特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 色々ストーリーについて考えがあるのに、執筆スピードが遅すぎて追いつけない...

クーガー兄貴ならきっと「それはきっと速さが足りない」って言ってくれるんでしょうね。もっと頑張ります。

 そしてマザーホエール、雑魚敵が硬すぎて倒せずに一週間も立ち止まってるんだけど(#^ω^)


消失、命とは 死とは

 トーカティブとの戦闘で、かなりの被害を受けたカウンターズとワードレス。夏油以外が負傷と気絶するという事態までに発展し、その中でも最後に力尽きたラピは真っ暗な意識の中を漂っていた。

 

 

ラピ(ここは...私は...トーカティブの攻撃に...)

 

 

 気絶する前の記憶を再び思い出そうとするラピ。トーカティブを足止めし、夏油を逃がそうとした瞬間、白髪のニケが助けてくれたことまでを思い出す。夏油の安否を心配するラピは、必死に意識を取り戻そうする。

 

 刹那、ラピの意識が真っ白に包まれる。急な変化に目をつぶろうとするほどだが、直ぐに荒廃した地上の風景へと変化する。

 

 

??????「じゃ、とりあえず聞いた話をまとめると...」

 

アークに人類が逃げて、30年以上経ってる。

 

それで反撃する作戦があって...

 

1回目の地上を取り戻す戦いは、失敗した。

 

それから必死にがんばって、2回目の戦いを始めたけど...

 

一方的にボコボコにされてる。それで2年と少し過ぎた。...

 

こんなとこか?

 

??「その通りです。」

 

 

 ラピの背後から、二人の女性の声が聞こえて振り返ると、荒廃した地上の風景がハッキリ見えるのに対して、二人の女性の姿や輪郭が霧がかかっているかのように朧気だった。しかし、二人を見て懐かしいと感じる違和感に、ラピは疑問が生まれていた。

 

 

ラピ「この景色...どこかで...」

 

??????「お前は何をしてたんだ?」

 

??「合流地点へ移動中でした。連絡を試みていますが、エブラ粒子の影響で困難です。」

 

??????「...エブラ粒子って、何だ?」

 

??「ラプチャーの通信を阻害する粒子です。地上のいたる所に散布されています。」

 

??????「ラプチャーの通信を妨害してんのに、何でお前まで通信できないんだ?」

 

??「アークの通信機器にも影響があるものだからです。

 

 ただ、ラプチャーは粒子の影響を受けない独自の通信手段を確立したと聞いています。」

 

??????「ダメじゃんか。」

 

ラピ「エブラ粒子を知らない...?」

 

 

 二人の姿は変わらず朧気だが、会話を聞いている内に、内容が鮮明に聞こえるようになってきた。エブラ粒子の説明を行っていることと、2回の地上奪還戦の会話から、ラピは気づき二人の姿が鮮明になってきた。

 

 

ラピ「っ!?...あなたはっ...!」

??「......あなたは?」

 

レッドフード「あたし?あたしはレッドフード。」

 

ラピ「これは...っ、初めてあった時の...」

 

 

 赤い髪とマフラーを巻いている女性がレッドフードと名乗り、朧気だった姿が完全に見えるようになり、もう一人は昔の自分だと分かるようになった。

 

 ラピの動揺など気にせずに、昔のラピとレッドフードは会話を続ける。

 

 

ラピ「名前は既に聞きました。所属部隊と、ここにいる理由を教えてください。」

 

レッドフード「......自分で言っていいのかなぁ、これ...」

 

 

 レッドフードは恥ずかしそうに昔のラピの顔を逸らし、頭を掻き始めるが直ぐに表情をニヤリと笑いながら向き直る。

 

 

レッドフード「聞いて驚くなよ。所属部隊は......」

 

 

 レッドフードが最後まで言い切る前に、ラピの視界が白くぼやけていき、瞬く間に完全に見えなくなる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてラピの視界は、白いタイルに変わった。どうやら病室のベッドに寝ていると気付いた。状況確認を終えたラピは、腕や足を動かして体に異常が無いか確認する。

 

 体の確認を終えたラピは、側から声をかけられ、ラピはベッドから起き上がる。どうやら声の主はイングリットのようだ。

 

 

イングリット「目が覚めたか、ラピ。」

 

ラピ「...はい。」

 

イングリット「体には問題ないか?」

 

ラピ「はい、異常はありません。」

 

イングリット「よし、では直ぐに移動してもらおう。目的地は端末に送ってある、詳しい説明はその場所にいる者に教えてもらうように。」

 

ラピ「了解しました。」

 

 

 病室から退出したイングリットに敬礼するラピ。扉が完全に閉じたことを確認して敬礼を解き、端末から目的地を確認するが、ラピは疑問を浮かべながらも移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラピは前哨基地の宿所の扉前に立っていた。意識を失う中、もう戻れないと思っていた景色を見つめつつも、宿所の扉を開けて入る。

 

 扉を開けた先には、落ち着いた表情のアニスとネオン、そして、笑顔を作っているが、悲しみを隠しきれていない夏油がラピを見つめていた。

 

 

アニス「......」

 

ネオン「......」

 

夏油「.........」

 

ラピ「......?」

 

 

 急に性格が変わったかのような変化にラピは困惑している中、アニスとネオンはラピに命令口調で声をかける。

 

 

アニス「ちょっと、新人。来たら早く挨拶しなさい、何やってるの?」

 

ラピ「...?」

 

ネオン「まずは私の眼鏡を拭いてくれますか?」

 

ラピ「...??」

 

 

 ラピは自分の事を新人と言って来るアニスと、眼鏡を拭かせようとしてくるネオンに更に困惑する中、夏油がラピに声をかけてくる。

 

 

夏油「今日付で君はこの二人と同じカウンターズに所属することになった。そして現在カウンターズの指揮官を務めている夏油傑だ。...よろしく、ラピ。」

 

ラピ「...???」

 

 

 夏油の性格と表情から、ふざけているように見えないと分かるラピだが、余計この状況に困惑する。夏油はアニスとネオンに自己紹介するよう呼びかけようとするが、ラピの様子に違和感を感じ取り、声をかけようとする...

 

 

夏油「?...どうしたんだい?? 何か手違いが...」

 

ラピ「指揮官、アニスとネオンに何かあったのですか??」

 

夏油「...え?」

 

アニス「...は?」

 

ネオン「...はい?」

 

 

 呆気に取られる夏油たち。しかし直ぐに、ネオンが口を開きラピに伝える。アニスもネオンに続く。

 

 

ネオン「違います!私はブケパロスです!」

 

ラピ「それは馬の名前でしょう、ネオン。」

 

アニス「いい?私はアレクサンドロスだから!」

 

ラピ「王様みたいな立派な名前ね、アニス。」

 

アニスとネオン「「......」」

 

 

 はっと思いついた名前を言っても動じないラピを見て固まるアニスとネオン、アニスはラピを動かないように伝え、ネオンと夏油を連れて聞こえないように小声で話す。

 

 

アニス「ちょっと、ここで待ってなさい。」

 

ラピ「......」

 

アニス「何で動じないの?」

 

ネオン「名前もいい当てましたし...」

 

夏油「記憶消去する範囲が最近までと考えられないか?」

 

アニス「いいえ、それはないわ。少なくとも私と分隊を結成する前の記憶ならないとおかしいわ。」

 

ネオン「でもどうして名前を言い当てられたんでしょうか?」

 

アニス「きっと端末とかの情報で知ったのよ。BlaBlaとかで...」

 

ネオン「なるほど、でも本当に記憶が無くなっていないか確証が無いんですよね...」

 

アニス「う~ん...」

 

夏油「...ある。もし覚えているなら即答できるのが。」

 

ネオン「本当ですか!?師匠!」

 

アニス「ラピが覚えているのじゃないとダメだよ指揮官様。」

 

夏油「大丈夫だ、私に任せてくれ。」

 

 

 話がまとまったのか、夏油はラピに向かって歩き出し、一丁の拳銃を見せる。

 

 

ラピ「...ちゃんと手入れもされているんですね、指揮官。」

 

夏油「この銃を覚えているのかい?」

 

ラピ「はい、覚えています。...マリアンを処分する為に渡しました。」

 

夏油「......」

 

ラピ「...でも指揮官は撃てなかった。」

 

夏油「!?」

 

ラピ「責めているわけではありません、でも、あの時の指揮官の顔は、強い決意を抱いているように見えました。」

 

 

 ラピの返答を聞いた夏油とアニスは、記憶消去されていないことを確信し、その話を知らないネオンは頭を傾げている。

 

 

アニス「本当に記憶消去されたの?...いえ、私たちが起きている間もずっと眠っていたもの...」

 

ネオン「そのマリアンという方については後で聞きますが、ラピは記憶消去されたことを知らないんですか?」

 

ラピ「初耳よ。指揮官、私が眠っている間に何があったのですか?」

 

夏油「あぁ、分かった。」

 

 

 夏油はラピが眠っている間に何があったのかを事細かに説明し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 トーカティブと白髪のニケが離脱し、ラピが気絶した後、私はラピに皆が目を覚ました時と同じように説明した。

 

 

夏油「君が気絶した後、ひとまず全員を安全地帯へと避難させ、動かせそうな車両を見つけアークに続くエレベーターまで戻ってきたんだ。

 アークに到着した際に、皆のそれぞれの会社の修理施設へと移動させた。」

 

 

 この話を聞いて、不幸中の幸いとも思える出来事だろうが、事実は違う。私が空を飛べる大型の呪霊を呼び出してアークのエレベーターまで移動したのだ。

 

 このような強行ができたのも、皆が意識を失いかつ、オペレーターであるシフティーも居ないからだ。空高くでの移動のおかげか、ラプチャーと全く接敵することなく、アークに戻ることができた。

 

 戻った後のことは、ラピに説明した通り、各会社の修理施設へと向かい、修理を依頼した。数十分後に、アニスとネオンが指揮官室へとやってきて、地上での出来事を聞いてきた。

 

 ...問題はこの後だった......指揮官室の扉をノックする音を聞いて、扉を開けると中央政府直属の部隊であるトライアングルが訪問してきたんだ。

 

 

?????「失礼します。カウンターズ分隊の指揮官、夏油傑さんですか?」

 

夏油「あぁ、君たちは?」

 

プリバティ「私は中央政府直属第一部隊トライアングル所属、プリバティと申します。」

 

アニス「中央政府直属の部隊に所属する貴方が、私たちの指揮官様に何か御用ですか?」

 

プリバティ「夏油さん、貴方を裁判所に連れて行きます。ご同行を」

 

ネオン「へっ??」

 

 

 後から知ったことだが、なんの報告もなしに地上に上がること、無断でニケを同行させることは重罪だった。その二つの重大な違反を犯した私は、軍法会議に掛けられた。

 

 その後、裁判所に移動した私は、エニックというニケに私が犯した罪状について詳しく説明した。

 

 

エニック「第一。上部に報告せず、地上での作戦を遂行したこと。

 第二。3機のニケを伴い、アークの戦力を低下させたこと。

 第三。ただし、その意図は人類の平和に貢献するためであったこと。

 

 

 ミハラとユニも地上に出ていたが、ミシリスのトップであるシュエンがその事実を黙秘、偽装したことで、関連性が無くなり対象は私とカウンターズの計4名のみとなった。

 

 

エニック「上記の事実を元に、過去の事例を調査した結果、100%一致するケースが2件存在し、該当ケースは全て同じ判決が下されたことから、次のように判決を下します。」

 

エニック「夏油傑。2日間、作戦遂行を禁じる。」

 

夏油「...えっ?」

 

エニック「続い...」

 

夏油「質問してもよろしいでしょうか?」

 

エニック「発言を許可します、どうぞ。」

 

夏油「2日間...ですか?? 短いと思うのですが...」

 

エニック「それは第三の人類の平和に貢献したという点を考慮した結果です。貴方の行動自体に悪意が無いと判断しました。」

 

夏油「成程...ありがとうございます...。」

 

エニック「判決に戻ります。」

 

夏油(とにかく...大事にならなければそれで...)

 

エニック「続いて、同行したニケに対して判決を下します。

 第一。命令体系を無視した作戦であることを、認知していながら参戦したこと。

 第二。それにより、アークの大事な財産を浪費させたこと。

上記の事実を元に過去の事例を調査した結果、73%一致するケースが28件存在し、該当ケースは全て同じ判決が下されたことから、更に類似ケースの再発を防止するため、次のような判決を下します。」

 

エニック「事件の主役であるカウンターズ、該当分隊のリーダーのニケ、ラピに対し、記憶消去を実施する。」

 

夏油「...は?」

 

エニック「以上です。」

 

 

 エニックの判決に呆気になった私を気にも留めずに、エニックは裁判所から退室した。エニックと入れ替わるように、プリバティが裁判所に入り私を呼び掛けた。

 

 

プリバティ「夏油さん、軍法会議は終わりました...大丈夫ですか...?」

 

夏油「......大丈夫だ、すまない。...直ぐに出るよ。」

 

プリバティ「はい......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 裁判所から生気が抜けたように、私は無気力だった。そんな状態で宿所に戻ると、アニスとネオンに、私が裁判所に行ったこと聞いたミハラとユニも私を待っていた。

 

 

アニス「指揮官様...?...どうしたの??」

 

ネオン「師匠??」

 

ユニ「指揮官?」

 

ミハラ「......。」

 

 

 アニス、ネオン、ユニは私の様子に動揺して心配するが、ミハラは察していたのか私に声をかけなかった。私は顔を俯いたまま、エニックの判決を伝えた。

 

 

夏油「私が...上部に連絡しなかったから...ラピの記憶が...消去されるらしい...。」

 

アニス「はっ?」

 

ネオン「へっ?」

 

ユニ「えっ?」

 

ミハラ「っ...」

 

 

 四人の反応を見た私は、ラピの記憶が消される範囲について聞いた。

 

 

夏油「...記憶消去される範囲とか分かるかい?」

 

アニス「私たちが...出会うよりも前...つまりこの場にいる全員の事を全て忘れるわ...」

 

ユニ「っ!?」

 

ネオン「そんな!!」

 

ミハラ「...指揮官、」

 

夏油「ありがとう...アニス、ミハラ...少し、外の風に当たってくる.....」

 

 

 そう言って私は屋上に続く階段に足をかけようとした時、宿所の扉が開く。不機嫌な顔のシュエンがそこに立っていた。私は生気の抜けた顔のまま、シュエンの方に振り向く。

 

 

シュエン「おい、お前。」

 

夏油「...何ですか。」

 

シュエン「何ですか?...じゃないわよ。お前、私はトーカティブを()()してこいと言ったのよ。なのに手ぶらで帰り、分隊は壊滅的、本当に使えないわね。」

 

アニス「この、くそ野郎!」

 

ネオン「アニスっ!」

 

 

 シュエンの発言に怒り心頭になるアニス、そのアニスを止めるネオン、そして表情を変えないシュエン。

 

 

アニス「どうしてくれるのよ! あなたCEOよね? だったら地上に出たことを揉み消せるでしょ!!」

 

シュエン「事情があったの、察しなさいよ。」

 

アニス「いったい、どれだけ偉い事情なの? 罪のない一人の記憶と、引き換えるくらいに!」

 

シュエン「はぁ~...逆に聞くけど、何で捕獲もせずに戻ってきたの?」

 

アニス「こっちは死ぬとこだったのよ...! そのトーカティブか何かのせいで、死にかけたのよ!」

 

 

 アニスの発言から、シュエンは私に視線を移し確認を取る。

 

 

シュエン「おい、話してないわね? トーカティブに会ったこと。」

 

夏油「...はい。」

 

アニス「あなた...! それがそんなに大事なこと!?」

 

シュエン「おい。ニケの記憶がなくなることなんて、大したことないのにどうしたの?」

 

 

 シュエンの言葉を聞いたアニスは、ネオンを振りほどこうとした動きを止め、信じられないものを見るかのような目でシュエンを見つめる。

 

 

アニス「...今、何て...」

 

シュエン「ただの兵器じゃん、私たち人間の代わりに戦わせる兵器。兵器に記憶だとか感情だとか、関係ないでしょ?」

 

 

 シュエンの話を聞くにつれて、アニスは拳を握りしめ、震えだす。

 

 

シュエン「あぁ、一緒に苦労してきたから? じゃあ、また一緒に苦労すればいいじゃない。

 白紙状態だから、更に良くない? お前の好みに合う、いい友達に仕上げられるから。」

 

アニス「っ!!!

 

 

 堪忍袋の緒が切れたアニスは、強引にネオンの拘束を振りほどき、シュエンに向かって握りしめた拳を突き出そうとする。

 

 

アニス「こんの...!!!

 

 

 私は直ぐにアニスの背後から、シュエンとアニスの間に割って入り、シュエン目掛けたアニスの拳を止めた。

 

 

ネオン「えっ!?」

 

アニス「指揮官様...!」

 

夏油「今手を上げても、状況は悪化するだけだ...。」

 

アニス「っ...ああああぁーっ!! くそーっ!!

 

 

 アニスの攻撃を止め、何もできないことに憤慨し、叫ぶアニス。その光景を嘲るように笑うシュエン。

 

 

シュエン「ははっ、みんな人間ごっこで大変そう。」

 

ユニ「っ...。」

 

ミハラ「...。」

 

 

 じっと見ていたユニは下唇を噛み、ミハラはアニスと同じように手を握り閉める。シュエンは背を向けて去ろうとする。

 

 

シュエン「じゃあ、またね。

 

 

 

...あ、ちゃんと掃除してるの? 汚いわよ、ここ。」

 

 

 扉が閉まり周囲が静寂に包まれる中、私はネオンに向いて頼む。

 

 

夏油「ネオン...後を...頼めるかい...?」

 

ネオン「師匠......」

 

夏油「ちょっと...風に当たってくる...。」

 

 

 そう言って私は屋上に続く階段に足をかけて、進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿所の屋上で、私は手すりに寄りかかり、流れる雲を見ていた。そして、今の私はまた救えなかったという罪悪感が、無力感が支配していた。

 

 ...あの時と同じだ、彼女(マリアン)を救えなかった時と、同じ過ちを繰り返している......

 

 

...私如きが救うなどと、驕り高ぶりだったのだろうか......

 

 

...私がいない方が、ラピたちは今回のようなことには巻き込まれないのかもしれない......

 

 

...そもそも私が死ぬまでラプチャーを滅ぼせばいいのかもしれない......

 

 

......だが、もしラプチャーが滅びたら...?...彼女たちはどうなる...?

 

 

......今の価値観が消えず、一生奴隷のような人間として見られないのかもしれない......

 

 

......それなら、人間も抹殺の対象に......

 

 

ユニ「指揮官っ...。」

 

ミハラ「......」

 

夏油「...ユニと...ミハラか......」

 

 

 私の後に続いて、ユニとミハラが屋上にやってきたようだ。静かな雰囲気の中、ユニが私に少しずつ近づきながら声をかける。

 

 

ユニ「ラピ...ユニたちのこと忘れるの...?」

 

夏油「そうなるらしいね...。」

 

ユニ「...。」

 

 

 私の側に来たユニが、慰めるように背中をさする。

 

 

夏油「ありがとう...ユニ...でも大丈夫...」

 

ユニ「大丈夫じゃない。」

 

夏油「...」

 

ユニ「指揮官、ずっと苦しんでる。」

 

夏油「......苦しんでる?」

 

 

 私はユニの発言に呆気になる。そして、ユニの反対側にミハラが並び立つ。

 

 

ミハラ「貴方とは2日も無いような関係だけど、貴方今、眠っているラピ以上に悲しんで、苦しんでいることは分かるわ。

 アニスも、怒れなかった貴方の代わりに怒ってくれたんだと思う。」

 

夏油「...。」

 

ミハラ「今回の任務、貴方のせいでラピは死んだ(消える)んじゃないわ。私たちのせいなのよ。」

 

夏油「っ...違う、私が...私のせいで...!

 

ユニ「指揮官、無理しないで。」

 

夏油「私は無理なんか...!

 

ユニ「じゃあ、なんで泣いてるの?」 

 

夏油「...えっ?

 

 

 ユニに指摘された私は、頬を触る。すると、両目から涙の粒が流れていた。涙を流していると認識すると、途端に涙が溢れ出す。

 

 

夏油「うっ...うぅっ......。

 

ミハラ「貴方だけで全部背負わないで。...その重荷を、悲しみを、私たちにも背負わせてちょうだい......。」

 

夏油「もう...周りの仲間や友達が...目の前で死んでいくのが...消えていくのが...怖いんだ......。

 

ユニ「ユニも怖い...もし私の知ってるミハラが消えたら...ずっと泣いてると思う。」

 

夏油「でもっ...人に明かすことなんて出来なくてっ...ずっと一人で抱え込んでっ...次第に辛くなって......っ。

 

ミハラ「確かに、心配させたくないわよね。でも、今だけは、貴方の抱えてるもの、私たちにぶつけていいのよ。」

 

夏油「気付けばっ...私は孤立して...っ...必死に追い付こうにも......追いつけなくなって......っ。

 

ユニ「今はひとりぼっちじゃないよ、私たちやアニス、ネオンも、ラピもいる。」

 

夏油「私はっ...結局...守りたかった人たちや...っ...仲間に...呪いを振りまいてしまった......っ。

 

ミハラ「間違えても、やり直せる。それが人生なの。だから、もっとみんなに頼ってもいいのよ。」

 

夏油「...うっ...っ。

 

 

 私は手すりを握ったまま膝を地面に着け、大粒の涙を流しながら、過去の後悔をミハラとユニに吐露した。

 

 ずっと、ずっと話すことができずに膨らみ、蝕み続けていた私の後悔や苦しみを、初めて吐き出すことができた。

 

 父や母、硝子や親友の悟ですら明かせなかった私の本心を...勇気を出せなかった私を...二人は引き出してくれた。

 

 暫く泣き崩れていた私は、いつも以上に気が楽になったような感覚を感じた。喉元につっかえていたものが零れ落ちるかのような感覚だ。落ち着きを取り戻した私は、ミハラとユニに感謝を伝える。

 

 

夏油「...ありがとう、気が楽になった。」

 

ユニ「本当??」

 

夏油「あぁ、ありがとうユニ、ミハラもありがとう。」

 

ミハラ「どういたしまして、夏油君。」

 

夏油「何故急に君付けで呼ぶんだい?」

 

ミハラ「ふふっ、私がそう呼びたくなっただけよ。」

 

 

 ユニの頭を撫でながら、ミハラに感謝を伝えるが、急に呼び方を変えたミハラにクスッと笑いながら質問する。ミハラもクスッと笑いながら答える。

 

 

ミハラ「これから、貴方にとってもっと辛いことが起きるかもしれない...」

 

夏油「そうだね、でも、二人に背中を押してもらえた。もう一人だけで抱えはしない、ちゃんと皆に明かせるようにするよ。」

 

ミハラ「そう、でも辛かったら連絡して。」

 

夏油「あぁ、分かったよ。」

 

ユニ「ユニも~!」

 

 

 私はblablaという気軽にメールでのやり取りができるアプリケーションを開き、ミハラとユニに連絡先を交換した。

 

 交換し終わった最中、端末から着信音が響く。シフティーからだ、となるとアンダーソンさんが読んでいるのだろう。私はシフティーからの着信を出る。

 

 

夏油「もしもしシフティー、私に何かようかな?」

 

シフティー「夏油指揮官、アンダーソン副司令官がお呼びです。」

 

夏油「分かった、直ぐに副司令室に向かうよ。」

 

 

 通話を切り、端末を仕舞った私は、ミハラとユニに通話の内容を伝える。

 

 

夏油「どうやら、アンダーソンさんが私をお呼びのようだ。」

 

ユニ「アンダーソンって、副司令官さん?」

 

ミハラ「このタイミングで呼ぶということは...」

 

夏油「あぁ、トーカティブと接触したことに気付いているだろうね。」

 

 

 私は下へ降りる階段がある扉に向かって開く。副司令室に向かう前に、改めてミハラとユニに感謝を伝える。

 

 

夏油「今日は本当にありがとう、また何かお礼をさせてくれ。」

 

ユニ「本当!?」

 

ミハラ「ふふっ、楽しみにしてるわね。」

 

 

 感謝を伝えた後、私は階段を下りていき、副司令室に向かう。ミハラとユニには抽象的だが、いつかはラピ、アニス、ネオンにも、私の正体について明かすことを考えてつつ、アンダーソンさんのもとに向かった...




 この小説を作っていて気付いた、シュエン書いてるとき凄いムカムカする。

 あと、夏油が生前ずっと思い悩んでいた苦悩や葛藤を吐露するシーンを入れてしまいました。もう一回こういうシーンを描写するかもしれません。
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