どうしよう。
トーカティブとの戦闘に現れた白髪のニケ、ピルグリムについての情報を調べる為に、北部の研究基地に向かう夏油たち。エレベーターで地上に到着した時、シフティーが通信状態を確認するために確認を取る。
ラピと夏油はシフティーの確認に応じるが、アニスとネオンは離れたところで雪合戦していた。
シフティー「通信状態をチェックします! みなさん、聞こえますか?」
ネオン「アニス! えいっ!」
アニス「うあっ! こんなに大きいのは反則よ!」
ネオン「雪玉は大きければ大きいほど、火力が高いですから。」
( `・∀・´)エッヘン!!
アニス「ふん、分かっていないようね。雪合戦で大事なのは、大きさじゃないのよ。」
( •`ω•́ )ドヤッ
アニス「生産力よ、生産力! 早く作って早く投げるの。」(せっせと雪玉をたくさん作るアニス)
アニス「こう...やって!」(たくさん作った雪玉を両手で大量に投げる)
ネオン「きゃあ!」
アニス「はははは!」
ネオン「ほほほほ!」
ラピ「......」
夏油「...」(元気だなぁ、二人とも。)
シフティー「...あの、雪合戦中にすみませんが、聞こえていますか?」
アニスとネオンが雪合戦を繰り広げる中、ラピはその光景を無言で見つめ、夏油は楽しそうに遊んでいる二人を見て微笑んでいる。シフティーは申し訳なさそに声をかける。
ラピ「聞こえてる。」
夏油「問題無く聞こえているよ。」
シフティー「ありがとうございます! お二人が答えてくれて本当によかったです!
北部はエブラ粒子の濃度が薄めです!ですので浄化シーケンスを作動させる必要はありません!」
夏油「異常事態以外は基本的に通信できなくなる状況は無いという訳だね。」
シフティー「はい! 吹雪が発生しない限り問題は無いと思います!
研究基地までの道は簡単です! 特に障害物もありませんし、ルートもシンプルです!
ただ、問題は雪と氷です!アークでは雪や氷の規模がどれくらいなのか、知る術がありません!」
夏油「足を取られないように、足元を注視する必要があるわけか...」
シフティー「その通りです!ですので気を付けてください! 特に氷には気を付けてください!」
夏油「氷が薄いと、崩れてしまうからね。...じゃあ氷はできるだけ避けて通ろう。」
ラピ「ラジャー。」
通信状態の確認を済ませた後、シフティーから研究基地までのルートについての解説、その道中にある雪と氷の注意点を伝える。夏油は研究基地に向かう際に氷をなるべく避けて通ると決めて、ラピはその指示を了解する。
そして、ラピは夏油に出発するように伝え、夏油は雪合戦を続けているアニスとネオンに呼びかける。
ラピ「では、出発します。」
夏油「そうだね、アニス、ネオン、雪合戦はそこまでにして、そろそろ出発...」
夏油が言い切る前に、顔面にアニスの投げた雪玉が命中する。見事に当たったことから、アニスとネオンは和気あいあいとしていた。
ラピは夏油に当たった雪を取り除くと、全く笑っていない笑顔を浮かべていた。
夏油「......」
アニス「あれ? 当たったぁ!」
ネオン「わあ、アニスってもしかして野球選手出身ですか? この距離から当てるなんて。」
アニス「私、才能あるかも?」
ラピ「指揮官...大丈夫ですか...っ。」
夏油「アニス、ネオン。」(^◡^ꐦ)
ネオン「...アニス、師匠の顔が全く笑っていないんですけど...」
アニス「わあ、ほんとに笑ってない...」
夏油「アニスは炭酸水抜き。」(^◡^ꐦ)
アニス「えっ!?」
夏油「ネオンは火力の高い弾丸抜き。」(^◡^ꐦ)
ネオン「ちょっ!?」
夏油「嫌なら早く来なさい。」(^◡^ꐦ)
アニスとネオン「「はい!!」」
夏油「宜しい。じゃあ、出発するよ。」(ꐦ^◡^)
アニスとネオン「「サーイエッサー!!!」」
ラピ「......。」
シフティー「......。」(わざと怒ると言っていましたけど...怖い...。)
研究基地への移動を開始した夏油たちは、雪道を歩いていた。ネオンは雪を踏みしめて、その感触を楽しんでいた。アニスはネオンの行動に疑問を抱いていた。
ネオン「ぎゅっ、ぎゅっ。」
ネオン「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅっ。」
ネオン「ぎゅぅぅぅぅぅぅっ。」
アニス「何やってるの?」
ネオン「雪を踏むと聞こえる音がおもしろくて、真似してるところです。」
アニス「あ、雪は初めて見るのね。」
ネオン「人工雪なら何回か見たことがあります。でもやっぱり本物は違いますね。」
アニス「そういえば、指揮官様も初めてかしら? 雪。感想はどう?」
夏油「あぁ...冷たくてふわふわして気持ちいいよ。それに、スノーブーツのおかげで歩行が楽だよ。」(本当は知っているんだが、伏せておこう。)
アニス「そうだよね。だからたまに、地上も悪くないって思うわ。」
ネオン「昔の人間のはみなさん、こんなことも普通だったんですよね。」
アニス「そうね。」
初めて天然の雪を見るネオン、雪の景色や感触から地上も良いところがあると考えるアニス、本当の雪を体験したことある夏油は混乱させないために事実を伏せる。
そして、天然の雪を知ったネオンはふとアークの環境について、自分の考えを伝える。
ネオン「損してますよね、今の人間たちって。」
ラピ「だから私たちが存在する、人間に過去を取り戻してあげるために。」
夏油「その為にも、早く地上を取り戻さないとね。」
ネオン「わあ、ラピの言葉、ちょっとかっこよかったかもです。今度誰かに聞かれたら今みたいに答えなきゃ。」
ラピの返答にネオンは質問された際に答えられるように、メモ帳を取り出してラピの台詞を忘れないように一言一句書き記す。
その後、風が次第に強くなり始め、視界が吹雪によって悪くなっていく。その時、シフティーから連絡が入ってくる。
シフティー「ラピ、通信の感度が弱くなっています! 何か変ったことはありますか?」
ラピ「吹雪が激しくなった、視野が悪すぎる。」
シフティー「近くにバンカーがあるはずです! 地図上では肉眼で確認できる筈ですけど、見えますか?」
ラピ「...いや、見えない。」
シフティー「では方向と距離をご案内します! 北北西へ移動してください!」
ラピ「ラジャー。」
吹雪によって視野が悪くなり、シフティーがバンカーの方角を誘導する中、アニスは夏油の身を案じていた。
アニス「...指揮官様、大丈夫?」
夏油「...流石に寒くなってきたね。」
アニス「唇が真っ青...全然大丈夫じゃないわ。これはいけないわ、ネオン。」
ネオン「はい?」
アニス「服を脱いで、指揮官様を抱きしめて。」
夏油「???」
ネオン「......はい?」
唐突なアニスの発言に、夏油は思考が停止し、ネオンは理解できない様子。ネオンの反応から、夏油の体温を上昇させるためだと伝える。
アニス「体を密着させて、指揮官様の体温を上げるのよ!」
ラピ「表現がちょっと...」
夏油「ペンギンのハドリングってことかな?」
ネオン「ア、アニスがすればいいじゃないですか、私より色々な面で大きくて、面積も広いですし。」
夏油(...気にしているのか。)
真人(まあ、アニスっておっぺいデカいもんね。)
花御(真人...そういった発言は控えてください。)
アニス「え?わ、私はいいよ。いや、できない。」
ネオン「どうしてですか? 私は合理的な提案をしているだけです。」
アニス「もう、恥ずかしくてそんなことできないよ!」
ネオン「私だって恥ずかしいんです!」
夏油(...早くバンカーに着かないのだろうか?)
真人(えぇ?いいの夏油?? どさくさに紛れて...色んなとこ)
夏油(花御、真人を黙らせてくれ。呪具の使用も許可する。)
花御(分かりました。)
真人(えっ?ちょt)
アニス「イヤならイヤって言ってよね!」
ネオン「私が師匠を嫌がるわけないじゃないですか! アニスこそ師匠が嫌いなんじゃないですか?」
アニス「何...!?私は指揮官様が大す...!...」
ネオン「......」
バンカーに向かって移動中、どちらが夏油を温める為に密着するか言い合っている中、夏油は二人を止めるために声をかける。
夏油「二人とも、我慢するから、もう喧嘩しないでくれ。」
ラピ「...速やかに移動します。」
吹雪が激しくなる中、バンカーを目指して北北西の方角を素早く移動すると、ラピがバンカーを発見する。
ラピ「バンカー発見、内部へ侵入する。...シフティー、聞こえる?...」
夏油「返答が無い、ということは...」
ラピ「通信途絶を確認。指揮官、とりあえずバンカーに移動して、吹雪が収まるまで待ちましょう。」
夏油「分かった。」
アニス「先に、バンカー内部を確認するわ。」
ネオン「ん?ラプチャーが入れそうな大きさではないと思いますけど。」
アニス「他の何かが、あるかもしれないから。指揮官様にそんなもの、見せられない。」
ネオン「......」
バンカーに到着した夏油たちだが、バンカー内部にラプチャーの確認、そして、精神的に悪影響を及ぼす光景が広がっているか、アニスは確認するために夏油を待機するように伝える。
その時、アニス吹雪が吹き荒れる中、バンカーのある方向に赤く輝く小さな光を見る。
アニス「行ってくるから、少し待って......うん?
......前方にラプチャー発見。」
夏油「っ!?」
ラピ「...何!?」
アニス「くそ!吹雪のバカ! こんなに近づくまで気づかないなんて!」
ラピ「エンカウンター!」
やがて夏油たちの前に、バンカーに入るまでの道を立ち塞がるようにラプチャーが現れる。視界が吹雪によって最悪の中、両者の発砲音が響き渡る。
ラピたちが応戦している時、夏油はアニスがラプチャーの発見が遅れたことについて疑問があった。
夏油(アニスが『視野が悪く、気付けなかった』と言っていたが、それは奴らも同じなのか?
もし私たちよりも視野範囲が広いなら、わざわざ接近せず狙撃という手段で奇襲できた筈。
...試してみるか。)
アニスの『発見できなかった』という発言から、ラプチャーの過剰とも言える接近に疑問を感じた夏油。視野範囲が同じだと仮定して、その作戦を実行に移そうとした瞬間、念話を通して夏油に語りかけてきた。
真人(夏油、その作戦、俺たちが引き受けてもいい?)
陀艮(ぶっふぅー!)(僕たちに任せて!)
夏油(...分かった、真人と陀艮は、それぞれのラプチャー側面に移動して、ラピたちの攻撃の注意を逸らしてほしい。
攻撃が二人に移ったら攻撃を中止、再びラピたちに攻撃が移ったら再開する。)
真人(オッケー!久しぶりに遊ぼうか!!)
陀艮(ぶふうっ!)(分かった!)
夏油の作戦を伝え終え、その内容を覚えた真人と陀艮。夏油は右手を前方に突き出して二人を呼び出し、飛び出すように現れる真人と陀艮。
陀艮が吹雪から飛ばされないようにフードを押さえていたが、夏油がフードを預かり、真人はストレッチする。
真人(こんな吹雪だし、ちょっと騒いでも問題ないよね?)
夏油「あぁ、銃声を掻き消す音じゃなければ問題ないよ。」
真人「うっし!陀艮、準備はいいかい?」
陀艮「ぶふぅっ!」(大丈夫!)
夏油「よし、作戦開始!」
真人「シッ!」
陀艮「ぶぅっ!」
夏油の合図と共に、目に見えぬ速さでラプチャーが固まっている区域を挟むように、夏油から見て右側面に真人、左側面に陀艮が移動する。
所定の位置に到着した真人と陀艮、それぞれの術式を用いてラプチャーを攻撃する。
...と思っていた。
真人「そぉ〜れッ!!」
陀艮「ぶっふぅ〜!!」(せぇ~の!!)
夏油「...は?」
真人と陀艮はラプチャー目掛けて雪玉を投げていた。
陀艮はオーバースローで雪玉を投げてコアを的確に狙い当てている。
真人は無為転変で長く変化させた腕を使い、アンダースローで雪玉を投げて装甲ごと複数のラプチャーを撃ち抜いていた。
真人と陀艮は雪合戦を心の底から楽しんでいるのか、満面の笑みで投げているように見えた。側から見たらとても和やかな光景だろう...しかし、雪玉が被弾したラプチャーからは、大砲を叩きつけられているかのような音が響き渡っていた。
ここまで強い力を引き出せているのは、呪力で肉体の強化はもちろん、雪に呪力を流し込み強度を高め、そこに呪力で雪玉を圧縮したことで貫通性能を向上させたのだろう...
この光景に夏油が困惑している中、ラプチャーは正面以外に側面にも敵がいると認識し、真人と陀艮の方が脅威だと判断したのか、攻撃を真人と陀艮のいる区域に集中させる。真人と陀艮は満足したのか帰っていき、ラピたちは攻撃を続行して、着実に撃破していく。
そして残るラプチャーは残り1機となった。
ラピ「あと1機!」
アニス「皆下がって! 自爆する!」
勝機が無いと判断したのか、少しでも戦力を削ぐために自爆を選択したラプチャーは、コアの赤い光の点滅が徐々に早くなり、『バンッ!』という音を響かせ爆発を引き起こした。爆発音と爆風で気圧されるが、負傷は無かった。
ラピ「うっ...!」
アニス「な、なんて大きい音!?」
ネオン「...ラ、ラピ!アニス!あ、あれは何ですか?」
夏油「...っ!」
大きな爆発音が響き渡る中、ネオンは付近で一番近い山を指さして何なのかを聞いてきた。夏油は山を見て直ぐに理解した瞬間、『ドドドドド...!』という音が雪と共に迫ってくる。
ラピ「雪崩だ!」
アニス「皆、バンカーの中へ! 急いで!」
ネオン「間に合いません! 遠すぎます!」
ラピ「指揮官―――!!」
夏油「くっ...!!」
『グォォォォォー!』という音が夏油たちの声をかき消すように包み込む。こちらに向かって走ってくるラピが手を伸ばし、夏油が掴もうとした瞬間...雪の波が夏油を飲み込んでいく。
やがて夏油は何も見えなくなり...視界黒く包まれる。しばらくして、音が小さくなっていき完全に無音になる。雪崩が収まったと分かると、夏油は雪崩に巻き込まれる前に呪力で強化した体で、積もった雪を退かす。
夏油「ふっ!...全く、相変わらず油断できないな、この世界の地上は。」
???「わぁ!女王様! こっちで雪の山から人が出てきました!!」
????「...えっ?」
夏油「...ん?」
夏油は周囲を見渡すと、ラピたちが見当たらないことに気付く。しかし、ピンク色のレザースーツを身に着けたツインテールの少女と、旧ソ連軍時代の軍服をベースにした白いファー生地の上着と、緑の前立がついた白いコサック帽を被った金色のロングヘアーと琥珀色の瞳の女性が夏油を見ていた。
???「こんにちは! 冬眠から起きたんですか??」
????「ふぅん...この状況から、雪崩から生き残ったのね。凄いじゃない。
アリス、案内してあげて。」
アリス「はい! 女王様! 大丈夫ですか? 立てますか?」
夏油「問題ない...私は夏油、傑。...君たちは...?」
アリス「私はアリスって言います! こちらは私の女王様のルドミラさんです!!」
ルドミラ「宜しく、夏油。」
お互いに自己紹介を終えた後、夏油は雪崩によってどこまで自分が流されたか知るために、アリスとルドミラに今の場所について質問する。
夏油「すまない、ここがどこか分かるかい?」
アリス「はい! ここは、悪いハートの女王のせいで、凍り付いてしまった世界です!」
夏油「......?」
ルドミラ「アリス、準備しなさい。」
アリス「女王様?」
ルドミラ「ここも見つかってしまったわ、早く移動しましょう。」
アリス「!! はい!」
場所について質問した夏油だが、アリスの説明で余計分からなくなった。そんな夏油に構わず、ルドミラはアリスに準備するように呼び掛け、夏油の所属を聞く。
ルドミラ「貴方、所属は?」
夏油「指揮官だが...」
ルドミラ「ふぅん、やっぱりそうだったのね。では、貴方はこれから私のしもべよ。」
夏油「???」
ルドミラの発言に余計分からなくなる夏油の様子を見て、ルドミラは夏油に質問する。
ルドミラ「1つ聞くわ。女王と指揮官、どちらが偉いと思う?」
夏油「...女王だね。」
ルドミラ「よろしい、だからあなたは、女王である私のしもべになるの。」
夏油(横暴な気がするが...)
アリス「わあー! 女王様、おめでとうございます!!」
ルドミラ「話がそれたわね、急ぐわよ。」
夏油「あぁ...」
ラピたちと離れ離れになった夏油は、雪崩が収まった後にアリスとルドミラに出会った。状況確認もまともにできなかった夏油は二人の後に続いていく...
夏油とカウンターズが、北部の研究基地に向かっている間、アークの喫茶店で...
ユニ「ミハラ、指揮官...大丈夫かな?」
ミハラ「夏油君なら大丈夫よ、彼の中にあった苦しみは取り除けたわ。」
ユニ「うん...」
ミハラ「ふふっ、ユニったら過保護になっちゃって。」
ユニ「.......」(テーブルに置いてあるメロンソーダをストローで飲む)
ミハラ「そ・れ・よ・り、夏油君のお礼について考えない?」
ユニ「お礼!!」
ミハラ「ユニは夏油君が、私たちにどんなお礼をしてくれると思う?」
ユニ「うぅ~ん...分かんない...」(´・ω・`)
ミハラ「まあ、二日の仲だもの。仕方ないわね...それなら、指揮官を何日か私たちの自由にできる権利とか?」
ユニ「それってデート??」
ミハラ「デートね、立派な。」
ユニ「指揮官とデート!!」
ミハラ「ユニは指揮官とどんな感じで過ごしたい?」
ユニ「指揮官といっぱい遊びたいけど...またつねってみたい!」
ミハラ「じゃあ、私は亀甲縛りしてあげようかしら...いえ、してもらうのもいいわね♡」
ユニ「えへへ...」
ミハラ「うふふっ...」
一方夏油たち
夏油「っ......」(なんだ?急に悪寒が...)
アニス「指揮官様?寒いの??」
ネオン「では走りましょう!そうすれば自然と熱くなります!!」
ラピ「体力は温存して、ネオン。」