...その前にディスカバリーやらなきゃ...(金欠)
夏油とアンダーソンが交渉を始め、副司令室にイングリットが入室してから10分経過した。アニスとネオンは交渉が良い方向に進んでいるか頭を抱えたり、不安を募らせている。一方ラピは、扉の正面に立ちながらじっと見続けている。
ネオン「流石に不安になってきました...師匠があの副司令さんと2人きりになってから何分経ちました?」
アニス「ざっと20分くらい...後ろ盾になってもらうんですもの、でも見方を変えれば話は終わらず続いているとも取れるわ...」
ネオン「そうですよね! 大丈夫...な筈です。」
ラピ「......」
アニスとネオンが不安という気持ちを払拭できない中、ラピは副司令室内に疑問を抱いていた。
ラピ(
重厚な扉とはいえ、話し声が聞こえてもおかしくない...盗み聞きの対策を扉に施されている?)
そうラピは思案を重ねている中、副司令室ではイングリットとアンダーソン、そして夏油は後ろ盾の交渉を進めていた。
イングリット「...最上級ラプチャーの攻撃が、独りでに爆散した理由は十分に分かった。そして2人が密約を交わして情報を収集していたことも分かった。
私では知り得ることが出来ず、有用な情報だ。アンダーソン、随分な人材を下に就かせたな。」
アンダーソン「私も驚いたとも、君が聞いてきた時は鳥肌が立った。」
夏油「ではイングリット社長、後ろ盾になって頂けますか?」
イングリット「いいだろう。しかしその前に、アンダーソン伝える秘匿情報とは何だ?」
夏油はイングリットの質問に対して、アンダーソンの顔に視線を向ける。アンダーソンは頷いて開示しても構わないと伝える。夏油も頷き返して、内通者に関する情報を二人に伝える。
アンダーソン「構わない、この場で伝えてくれ。」
夏油「分かりました、北部の任務にトーカティブと接触したことはご存知ですね?」
イングリット「あぁ、報告書を確認した。おおよその内容は知っている。」
夏油「トーカティブと接触した際に拘束され、その際に内通者に関して聞き出すことが出来ました。」
アンダーソン「その内容は?」
夏油「研究基地の内部地図の捏造、アークと内通しているか、その内通した相手の名前です。」
アンダーソン「!?」
イングリット「...最後の項目が気になるが、地図の捏造について聞こう。」
夏油がトーカティブから聞き出した内容から、アンダーソンは最後の内通者の名前に動揺する。イングリットも最後の項目に焦点を向けていたが、最初の捏造に関して尋ねる。
夏油「トーカティブと接触する前に、ピルグリムと遭遇しやすいポイントを記述された地図を確認して向かったポイントで拘束されたので、トーカティブがおびき寄せるために、捏造した物だと分かりました。」
アンダーソン「北部の研究基地が占拠した時か...情報の改ざんした技術は内通者によるものか。」
イングリット「目的は一体何だったんだ?」
夏油「私をある所に連れていくことが目的だったようです、初めて遭遇した時も同様だと考えられます。」
アンダーソン「そうなるとトーカティブの目的は君か?」
夏油「恐らくそうなります。私の経歴について聞いてきました。」
イングリットとアンダーソンの質問に答えていく夏油、トーカティブの目的が夏油を連れていくことだと分かった。次にアークの内通者が存在することについて尋ねる。
イングリット「内通者が存在するかと質問していたな、その内通者は誰なんだ?」
夏油「このアークを管理しているAI...エニックです。」
イングリット「なっ!?」
アンダーソン「何だと...!?」
その名前を聞いて動揺するイングリットとアンダーソン。当然二人はエニックが内通者なんて予想はしていなかった。夏油の発言に信じられる訳なかった二人は、その確たる証拠があるかを聞く。
イングリット「その発言を裏付ける証拠はあるのか?」
夏油「このメモリーカードに記録されています。」
アンダーソン「...再生してみよう。」
アンダーソンは夏油からメモリーカードを受け取り、机のパソコンからモニターに映像を再生する。その映像は夏油が北部に向かった時の動画が流れており、長身の夏油よりも大きい巨体で機械仕掛けの怪物、トーカティブとの会話が記録されていた。
トーカティブ『ああ、貴様がどんな目的で動いているのかは、知っていた。
おびき寄せるには、それに勝るエサは無かったからな。
思ったよりも簡単で拍子抜けだったが、ふはは。』
夏油『アークと内通しているのか?』
トーカティブ『ああ。』
夏油『相手は誰だ?』
トーカティブ『エニックだ。』
夏油『!?...』
トーカティブ『ふはは、どうした人間。随分と慌てているじゃないか?』
夏油『ではエニックとどんなやり取りをしていたんだ?』
トーカティブ『ここまでだ、質問は終わりにする。』
この映像を見たアンダーソンとイングリットは、確かに同じ質問の内容であることを確認する。映像再生後、イングリットはアンダーソンからメモリーカードを受け取り、その媒体を確認する。
イングリット「...なるほど、書き切り型媒体*1か。」
アンダーソン「これ以外に、動画は残っていないのか?」
夏油「えぇ、それ以外に証拠はありません。実際に映像加工が無いことは調べれば分かると思います。」
イングリット「こちら側で調査しよう、これで映像加工が無ければ証拠として成立し、」
アンダーソン「エニックが内通者であることが事実になる...」
夏油の突拍子も無いと判断していた話に、信憑性が付いてくる。アンダーソンとイングリットは、これほどの情報力を提供されて夏油と協力関係を結ぶことを改めて約束する。
イングリット「ここまでの情報を提示されるとはな。改めて夏油傑、並びにお前が指揮する隊、今はカウンターズと協力関係を結ぼう。
アンチェインドについての調査をこれから行う、暫く待機していてくれ。」
アンダーソン「私からも、君の作戦や行動のサポートしよう。何か必要ならば、いつでも頼ってくれ。」
夏油「ありがとうございます。アンダーソンさん、イングリット社長。」
アンダーソン「こちらこそ。」
イングリット「宜しく頼む...それと、無理に社長と呼ばなくてもいい。」
夏油「では、イングリットさんで。それと...アンダーソンさん。」
アンダーソン「なんだ?」
夏油「出来れば、シフティーにエクシアが傷心していることを伝えてくれませんか?」
アンダーソン「...分かった、伝えておこう。」
イングリットとアンダーソンが夏油に協力の証として、手を差し出し握手を求める。夏油は願ってもない二人からの握手を快く受け入れ、しっかりと握り返す。
これにて交渉は無事成立し、イングリットは早速アンチェインドについての調査を開始し、アンダーソンは夏油の任務を影で知ったシュエンの警戒度を最大まで上げて、イングリットと夏油の警備の強化を行うこととなった。
具体的に、イングリットはアンチェインドの調査中に第三者の介入を防ぐファイアウォールなどのセキュリティの強化。夏油はラピ、アニス、ネオンの武装強化と、シュエンの介入を妨害するように努めることとなった。
交渉が終わった後、ラピたちと共に宿所に戻り夏油たちは就寝した。翌日夏油たちが食事を取っている中、宿所に大荷物が届く。アニスは何事かと荷物を警戒し、ネオンは配送先が宿所であることを確認して箱を開ける。
アニス「何この荷物の山は...?」
ネオン「でも送り先は間違っていませんよ、ちゃんと宿所の住所が書かれています。送り主は中央政府ですね。」
アニス「じゃあ昨日指揮官様の交渉が上手くいったから、情報の対価とかかしら?」
ネオン「取り敢えず、安全の為に開封します!」
アニス「私も!私も!」
アニスとネオンが嬉々として箱を開封している中、ラピは夏油を連れて宿所前の荷物について質問する。
ラピ「指揮官、あの荷物はアンダーソン副司令の?」
夏油「あぁ、偽造したテロ計画書の作成などのシュエンの妨害対策として、アンダーソンさんから支援してくれた物だ。
この荷物の他にもラピたちの武装強化もしてくれる。」
ラピ「ありがとうございます、指揮官。」
夏油「これからも、君たちに無理を強いるかもしれない。だけど私も、君たちが万全に戦えるようサポートする。」
ラピ「...はい。」
夏油の決意に、ラピもこれからの戦いの苛烈さが上がっていく中で、己の責務を全うするという覚悟を固めた。そんな中、アニスとネオンは箱を開封して中身にあった物にはしゃぎだす。
ネオン「これ、私の口径ピッタリの弾丸じゃないですか!!それも今持っている弾丸よりグレードが高いやつです!!」
アニス「パーツあるじゃない!おやつもご飯も高いやつだわ!!」
ネオン「こんないい物貰っていいのでしょうか!?」
アニス「良いに決まってるわ!私たち頑張ってるもの!!」
夏油「私も送られてきた物を確認しよう、ラピも使える物があるか確認してくれ。」
ラピ「了解しました、指揮官。」
アニスとネオンが支援物資を見て喜び、夏油とラピも加わって物資の確認を行う。
支援物資の内容は主に、ラピたちの銃のグリップやストックなどのアタッチメントパーツや、威力や貫通力の高い弾丸、野営用と私生活で使用出来る携帯食料、宿所の監視カメラや防犯グッズなど様々な物が送られた。
一通り確認を終えた後、夏油は防犯カメラの設置と動作確認、ラピは任務で携行していく食料や弾丸の整理。アニスははしゃいで汗をかいた為、指揮官室のシャワーを借りている。ネオンは取り付けるアタッチメントパーツに悩みつつ、早く発砲したくてウズウズしている。
各々が準備を進める中、夏油の端末からメールが届きバイブ音が鳴る。どうやらイングリットからアンチェインドの調査が終了したとの報告が入ったようだ。
イングリット
イングリット
(夏油、時間があるか?)
イングリット
(弾丸の調査が終わった、アンダーソンの元に来れるか?)
イングリットから受け取ったメールのメッセージを確認した夏油は、ラピたちに呼びかけてイングリットがいる副司令室に向かう。そしてアンチェインドに関する情報を共有する。
アンダーソン「来たな。」
夏油「弾丸、アンチェインドの情報が分かったのですか?」
イングリット「あぁ、調査し終わった、これから簡潔に説明する。
アンチェインドはニケの不滅を破壊する。ニケの脳にあるナノマシンを破壊し、不滅という縛りから解放する。」
アニス「ニケの不滅?」
ネオン「私たちの脳にナノマシンがあったんですか!?」
イングリットは中央政府のデータベースから調べた内容を、夏油たちに伝えアニスはニケの不滅という単語に首を傾げ、ネオンは脳にナノマシンがあった事に驚愕する。夏油たちにアンチェインドの詳しい説明に入る前に、ニケの不滅に関する説明に入る。
イングリット「先ほどニケの脳にナノマシンがあると言ったが、そのナノマシンはNIMPHという。その機能は主に脳にある情報を消し、記憶させ、上書きする。簡単に言えば記憶をデータとしたバックアップだ。」
夏油「記憶消去ができるのはNIMPHがあるからですか?」
イングリット「その通りだ、記憶消去で初期化された脳に予めバックアップしておいた記憶が上書きされる。
脳が物理的に破壊されない限りニケは何度でも蘇る、それがニケの不滅の理由だ。」
夏油はイングリットの説明を聞いて、NIMPHがニケの脳の記憶保持と上書きと消去ができるナノマシンがあることと、脳が無事である限り滅びることは無い、ニケの不滅を担っていることを理解する。
NIMPHの説明を一通り終えたイングリットは、本題であるアンチェインドに関して説明を始める。
イングリット「本題に戻るぞ、アンチェインドとは、ニケの不滅を破壊する。これは先ほど説明したNIMPHを破壊し、不滅を破壊する。」
アニス「つまり、復活できないってことですか?」
イングリット「その通りだ。」
アンダーソン「NIMPHのみを破壊するのか?」
イングリット「そういうことだろう。」
夏油「NIMPHはニケの記憶を記録し、上書き、消去できる...」
ラピ「NIMPHの機能が消えるということは...記憶消去もできないということですか?」
イングリット「恐らくそうだろうな。」
ラピ(...!?)
アニス(それって...!?)
ネオン(ということは...!?)
動揺するラピたち、イングリットはその仕草に気付きラピに尋ねる。だがイングリットの問いかけに応じたのはラピではなかった。
イングリット「...どうした?」
夏油「イングリットさん、アンダーソンさん。出来ればこれから言うことは内密にして欲しいのですが...」
アンダーソン「...今の話に関係することかな?」
夏油「はい。」
アンダーソン「...いいだろう、口約束で申し訳ないが秘匿しよう。」
イングリット「私も口外しないと約束する。」
二人の宣言に夏油は頷く、アニスとネオンは不安で体が震える中、ラピは夏油を真っ直ぐ見つめていた。顔を下げた夏油はゆっくりと上げて二人を見つめて口を開く。
夏油「実は」
ラピ「指揮官、私から言います。」
夏油「...いいのかい?」
ラピ「元々私が蒔いた種です、私が言わないと意味がありません。」
夏油「分かった。」
ラピ「アンダーソン副司令官、イングリット教官、
アンダーソン「何だと...!?」
イングリット「信じられん...!?」
ラピ「以前気絶した状態で記憶消去されましたが、全て覚えています。」
ラピの記憶消去が効かない秘密を知ったアンダーソンとイングリットは、動揺を隠せず声を漏らす。アンダーソンは動揺が続いているが、イングリットは冷静にラピが記憶消去が効かなくなった理由について質問する。
アンダーソン「...そんなバカな...」
イングリット「.......原因について心当たりはあるのか?」
ラピ「NIMPHを殺す物質、アンチェインドにばく露したと思われます。いつ、どんな経緯でばく露したのかは分かりません。
しかし、私はその結果を持っています。結果があれば、原因はいくらでも突き止められます。その逆も同じです。教官に教えて貰いました。」
イングリット「...
イングリットはラピの発言から、興味深そうに見つめて思案する様子を見せる。直ぐに思案する仕草を止めて説明に戻る。アンダーソンもイングリットが説明を再開する様子を見て、動揺する姿から平静を取り戻す。
イングリット「ラピのことが気になるが、ここからは私が予想するアンチェインドの効果についてだ。お前たちは、地上で二度トーカティブと接触していたな?」
夏油「はい。」
アニス「確か、北部と廃墟都市の二回だったわよね?」
イングリット「そこでトーカティブが腕を負傷した後、再生したと聞いた。恐らくだが、ナノマシンによる修復能力である可能性が高いと考えられる。」
ネオン「アンチェインドって...NIMPHを破壊するんですよね?」
アニス「そしてNIMPHはナノマシン......あっ。」
アンダーソン「つまりアンチェインドによって、ナノマシンによる自己修復能力を無力化できるということか?」
イングリット「そう考えている、ヘレティックにも自己修復機能があるか分からん。だが、北部で遭遇したヘレティックは、夏油の初任務で同行していたニケだったな?」
夏油「はい......まさか!?」
イングリット「浸食はニケのNIMPHにラプチャーのコードを流し込むことで乗っ取る。NIMPHを破壊すれば不滅は無くなるが、浸食から解放されると考えている。」
イングリットの考察に夏油は動揺を隠せず、ラピたちも思わず声を漏らす。アンダーソンも同様する素振りを見せるが、その確率を冷静に尋ねる。
アンダーソン「仮にアンチェインドでNIMPHを取り除いて、彼女が以前のように元に戻る確率はあるのかね?」
イングリット「あくまでこれは考察だ、確率なんてものも前例も無い。しかしあくまでNIMPHはニケの記憶を制御する物だ、削除されなければ元通りになるということもあり得る、それだけだ。」
夏油「十分です。」
その効果が十分にあるかに関する内容を聞いて、ラピたちは顔を俯き、無意識に拳を握り締め、浮かんでいたが沈む顔に変わる。そんな中、夏油はイングリットの考察を聞いて決意に満ちた表情を見せる。
夏油「例えそれが那由多や不可思議のように限り無く小さな確率だろうと、彼女を助ける可能性があるならば、十分です。」
アニス「指揮官様...」
ネオン「師匠...」
ラピ「......。」
イングリット「そうか、ならば少しでもその可能性を高めるために、ヘレティックの調査は必要だな。アブソルート分隊との面談...いや、協同作戦を許可しよう。」
夏油「アブソルート...とは?」
イングリット「ヘレティックと交戦経験のある分隊だ、そしてヘレティックとの交戦があったところに行って、自分の目で見て確認するように。ただ話を聞くよりも、その方が確かだろう。」
アンダーソン「...ヘレティックの交戦地......エリアHか。」
イングリット「出入り禁止だが、お前なら許可できるだろう。」
アンダーソンは顎に手を添えて長考する、イングリットはアンダーソンの顔を真っ直ぐ見つめ続ける。夏油たちもアンダーソンの顔を見つめる。アンダーソンの長考が終わったのか、手を降ろして宣言する。
アンダーソン「...分かった、許可しよう。」
イングリット「よし...では、直ちに出発するように。こちらからの支援物資を受け取り、万全に準備を済ませてたら連絡してくれ。」
夏油「了解しました、失礼します。」
アニスとネオンはアンダーソンの宣言を聞いて、顔色が明るくなり小さくハイタッチする。夏油は表情を変えずに敬礼し、ラピも続いて敬礼して退室していく。新たな希望を胸に、夏油たちは火中の中に向かって歩いて行く......
編集・加工・消去できないように設計された物
また書き終わるのが遅れてしまった...本当に申し訳ございません。最近謝ってばかりだ。
夏油がアークのスーパーで食料の買い出しをしている時のこと...
夏油「いくら安いからといって、保存食ばかりだと流石に寂しい。たまには手料理を振る舞おう。」
??「その気持ちすご〜く分かるわぁ〜、ご飯を食べるのは栄養だけじゃなくて元気も入るもの。」
夏油「...貴方も食事を作るのですか?」
??「そうなの!でも同居している2人が、『保存食にする』って言うのよ〜。元気が出ると思って色々作ってるんだけど...」
夏油「そうなんですか、それは困りますね。」
??「でも、私と同じ考えの人がいて嬉しいわぁ。...あっ!いけない、私ったら自己紹介忘れてた。私はエマっていうの。」
夏油「夏油傑です、宜しければ私も協力してもよろしいでしょうか?」
エマ「本当!でも忙しいんじゃ...」
夏油「本日中の予定はもう無いので、それに私も女性に人気のある料理とか情報を共有したいので。」
エマ「じゃあお言葉に甘えようかしら?私の家に招待するわね。」
材料を購入したのち、エマが住んでいるマンションに到着する。早速購入した食材を並べていく夏油とエマ。
その食材を見て、作る料理を考える夏油。
夏油(パン、玉ねぎ、にんじんにジャガイモ...ブロッコリーと鶏肉の合成肉...クリームシチューのルウがあるから、パンを主食にしたクリームシチューか。
至って普通...ん?りんご?...きっと隠し味か何かだろう、ハウスで有名なカレーの隠し味にも使われているからな。...魚も混ぜるのか、具材が多いからパンが無くとも美味しく...
なんだあれは、栄養ドリンク?プロテイン??エナジードリンク???)
エマ「夏油さんありがとう、これで2人も喜んでくれる筈だわ。」
夏油は思い違いをしていた、これがクリームシチューに入るわけない、きっと普段の生活に必要な物だと考えた。
夏油「此方は片付けますね。」
エマ「?? 大丈夫よ、それも料理に使うから。」
夏油「...クリームシチューに使うんですか?」
エマ「正解!最近寒くなってきたから温かい物がいいと思ったの〜♪」
夏油の希望はエマの言葉に打ち砕かれた。中でもヤバイのがプロテイン、栄養ドリンク、エナジードリンクの3点だ。因みにプロテインはチョコ味である。
夏油「一応聞くのですが、この3点は何故...」
エマ「それはね、プロテインは筋肉を付けるために必要なの。仕事柄で必要なの。次に栄養ドリンクは不足している栄養素を補う為、そしてエナジードリンクは効率良くエネルギーを接種する為なの。
これならきっと、仕事でもたくさん活躍できるわ〜!仕事中に振る舞えないのが欠点なのよね。」
夏油(マズい、こんなモノをクリームシチューに入れたら、食べ物とは形容できないモノが誕生してしまう...)
エマ「折角だから、夏油さんの分も用意したの♪」
夏油「え」
エマ「待っててね、腕によりをかけるわぁ♪」
夏油(マズい、私が焚き付けたせいで、彼女と同居している名前も知らない2人の命が危機に瀕している...
ここはハッキリ言うべきか。)
夏油「エマさん。」
エマ「どうしたの?」
夏油「一食にそこまで完璧を求める必要なんてないんですよ、足りないのなら他の品目を足せばいいし、何よりあの3点は単体で摂取した方がいい。」
エマ「そうかしら?...これがいいと思ったのだけど。」
夏油「貴方が2人にかける優しさは十分伝わっていると思います。でも空回りして台無しになることもあります、だからその優しさは料理に込めてみて下さい、そしたらきっと伝わる筈です。」
エマ「夏油さん...うん、分かったわ。アドバイス本当にありがとう!」
夏油「いえいえ、困った時はお互い様です。いつかその優しさもきっと届く筈です。」
エマが元気よく頷き、下処理を始める。夏油も手伝おうとするが、エマが御礼も兼ねてちゃんと振る舞うと言い、夏油は言葉に甘えて席に座って待った。
エマ「召し上がれ♪」
なお振舞われた物は、普通のクリームシチューに丸焼きにした魚が漂い、パンがドス黒い紫色に変色していたモノだった。いや、なってしまった。
夏油(無理矢理にでも料理をリカバリーするべきだった...)
????「エマ、他に誰か来ているのか?」
?????「だっ、誰だろう...」
エマが玄関に向かいながら、帰ってきたら2人を出迎える。
エマ「あっ、2人とも、丁度ご飯ができたのよ〜。」
????「...保存食でいい。」
?????「わっ...私も...」
エマ「ちゃんとご飯を食べなきゃダメよ〜、昨日で保存食が無くなったから〜。」
????「......」
?????「そんなぁ...」
夏油(本当にすまない。)
その後、後から来た2人もエマのクリームシチューを食べた。2人は終始驚きつつも美味しそうに食べる姿を見せたが、パンには手を出せなかった。夏油が『クリームシチューの具材が多いことで腹が膨れたのでは?』と弁明。
そしてこの事態を招いてしまった責任として、グロテスクパンを全て平らげた夏油。1人は人間では無い者を見るように見つめ、1人は心底心配そうに見つめ、エマは口に頬張るほど美味しいと思ったのか、満面の笑みで夏油を見つめる。
後日、夏油の中でエマは要注意人物と判断、エマのグロテスクパンは、『呪霊玉程では無いが、出来れば二度と食べたく無い。汚染物質としてならまだ納得は出来るが、食べ物として見ることは出来ない。』との事。