特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 バニーコラボの後にバイオコラボが控えているニケ...イベントが立て続けにあるんだけど、運営が多忙過ぎて大丈夫か心配になっている今日この頃。


煩悶、変わりたくって変わらない気持ち

 ヘレティックとの交戦地帯であるエリアHに向かっている夏油たち、その移動中にベスティーが移動中に夏油とアニスに、口喧嘩に強くなる方法について訪ねていた。アニスはベスティーに口喧嘩に強くなりたい理由について聞き、その理由を要約して聞き返していた。

 

 

アニス「なるほど、ベスティーはいつもウンファに怒られてばかりだから、一回くらい口ゲンカで負かせたいってことかしら?」

 

ベスティー「う、うん。」

 

アニス「...そんなに難しくはないんだけど。」

 

夏油「...私もさっきのは感情的になって、かなり酷いことを言っただけで口喧嘩に強い訳ではないんだ。」

 

ベスティー「そ、そうなんだ。」

 

 

 夏油が口喧嘩に強くないと説明で会話する中、ベスティーから見て夏油の怖いというイメージが少しずつ無くなり、比例して会話もたどたどしさが無くなっていく。夏油との会話が終わった時に、アニスが恐る恐るベスティーに心配していることを伝える。

 

 

アニス「でも、大丈夫?」

 

ベスティー「うん?何?」

 

アニス「あいつ、あの性格だと手も上げるでしょう?」

 

ベスティー「あ...そ、それは大丈夫。わ...私がウンファより強いから。」

 

アニス「...??」

 

ベスティー「だ、だから教えて、く...口ゲンカが、強くなる方法。」

 

アニス「う~ん...いいよ。よく聞いてね。まず最初にやることはねぇ...」

 

夏油「アニス、ベスティー、どうやら話は後回しになりそうだ。」

 

 

 アニスがニカっと笑顔を見せながら、ベスティーに口喧嘩が強くなる方法について説明しようとした矢先、夏油に止められる。その理由を聞く前に、シフティーからラプチャーが接近している事を伝えられる。

 

 

シフティー「9時方向! ラプチャー42機! 5分後、射程距離に入ります!」

 

エマ「あら、戦闘が起こるわよぉ。」

 

夏油「シフティー、ラプチャーと接触するポイントを...」

 

ベスティー「わ、私行ってくる。」

 

夏油「...うん?」

 

アニス「行ってくるって、どこへ?」

 

ベスティー「す、すぐ帰ってくるから、教えてね。約束だよ? すぐに倒して帰ってくるから!」

 

夏油「いや、君一人に負担をかけるわけにも...」

 

ベスティー「全部倒してあげるから。」

 

 

 ラプチャーの接近を伝えられた夏油たち、エマはシフティーの報告から戦闘準備をはじめ、夏油はラプチャーと接敵するポイントについて聞く中、ベスティーはラプチャーの大軍を一人で倒すと言う。夏油は止めようとするが、言い切る前にベスティーは駆け足だが堂々とラプチャーが向かってくる方向に走り去っていく。

 

 人見知りなベスティーから想像もつかない行動に、アニスは困惑し夏油は立ち尽くす。不安な夏油とアニスに、エマは問題ないと声を掛ける。

 

 

アニス「え? ええ?」

 

夏油「大丈夫なのだろうか?」

 

エマ「ふふ、心配しないで。あれくらいなら問題ないわよ~。」

 

アニス「いや、単独進入なんて無謀すぎるでしょう! すぐに支援を...!」

 

エマ「大丈夫。ベスティーは強いから、すご〜く。」

 

 

 エマがベスティーの強さをアニスに話している最中、ベスティーが駆け出して行った方向から、耳がつんざくほどの爆発音が周囲に響き渡る。レーザーの発射音も聞こえていたが、再び爆発音が連続して響き、次第に聞こえなくなっていく。

 

 危機に瀕したのだろうか、ラプチャーからのコーリングシグナルが重なって耳に届くが、すぐに聞こえなくなる。心なしか、ラプチャーの断末魔のように聞こえた。

 

 そして、爆発音がした方向から、ベスティーが何事も無かったかのように帰ってきた。凄まじい戦闘能力に、夏油は愕然としアニスは自身の目を疑っていた。

 

 

ベスティー「た、ただいま。」

 

夏油「お、おかえり。」

 

アニス「...こいつ何なの? 最弱じゃなかったっけ? アブソルートで。」

 

エマ「ふふ、まさかぁ。一番強いわよ〜?」

 

アニス「...見かけとのギャップが激しすぎて、ついていけない...」

 

真人(キレた時の陀艮みたいだな。)

 

夏油(陀艮って怒るとそんなに強いの?)

 

花御(いや、人型になるらしいですよ。)

 

漏瑚(実際に見たことは無いがな。ぎゃっぷが激しくなるのだろう。)

 

陀艮(ぶふぅ〜...)(もう怒りたくないんだけど...)

 

 

 ベスティーの実力に改めて並外れていることを認識した夏油とアニス、アニスは普段接しているベスティーの違いに唖然とし、夏油は念話で渋谷で呪胎から進化した話を聞いていた。ベスティーはアニスの反応から、自分が困らせたと考え謝罪する。

 

 

ベスティー「ご、ごめんなさい。」

 

アニス「いや、謝ることは...」

 

ベスティー「......」

 

アニス「よし、じゃあ口ゲンカで勝つ方法を教えてあげるね! 私が言う言葉をそのまま言ったら勝てるから!」

 

 

 アニスはベスティーの顔を見て約束通り、口ゲンカに勝つ方法を快く教える。アニスは軽い足取りでベスティーに近づき、耳元で何かを囁いた。ベスティーはアニスの助言に動揺し、夏油は何を言ったのか気になりつつ不安になる。

 

 

ベスティー「えっ...! そ、それは言い過ぎでは?」

 

夏油(アニス、一体何を伝えたんだ...)

 

アニス「つまり、あなたもそれに同意するってことでしょう?」

 

ベスティー「......」

 

アニス「今度機会があったら、絶対使ってみて。」

 

夏油(不安だ......)

 

漏瑚(お前は親か...)

 

 

 不敵な笑みを浮かべるアニス、無言でアニスの考えに同意するベスティー、不安げに見守る夏油、落ち着きがない夏油を見てツッコミを入れる漏瑚。3人(+1呪霊)の様子を見て、3人に対して早く移動するように促すウンファ、この状況に先ほど伝えた方法を実践するように、ベスティーにアニスは催促する。

 

 

ウンファ「グズグズするな、戦闘が終わったらすぐに動け。

 そんなに時間を持て余しているのか?」

 

アニス「早くも機会が訪れたね。今よ、今。」

 

ベスティー「う、うん。」

 

ウンファ「何をしているんだ、早く動け。」

 

ベスティー「だ、黙れ。...ひ、貧乳!」

 

エマ「プフッ~!」

 

夏油「......」

 

 

 ベスティーは意を決してウンファに対抗する、アニスが伝えたのはウンファの胸のサイズを貶すもので、エマは笑顔で口元を手で隠しながら吹き出し、夏油はアニスが教えたことに対して困惑し硬直した。ウンファはベスティーの言葉に5~10秒硬直しながらも、いつも通り言い返す。

 

 

ウンファ「......バカなことを言う暇があるなら早く動け。」

 

ベスティー「え? う、うん。ごめん。」

 

エマ「待って~。」

 

ベスティー「...アニス、ダメだった。」

 

アニス「...そうだね、ごめん。」

 

 

 ウンファはベスティーの謝罪を聞いて、早歩きで去っていく。その後にエマが続いてついていき、あまり効果が無かったことにショックを受けるベスティーはアニス成果が無かったことを伝える。そんな中、早歩きで先に行ったウンファはエマに声を掛ける。

 

 

ウンファ「エマ。」

 

エマ「え?どうしたの?」

 

ウンファ「どう思う?」

 

エマ「えっと...思ったよりもレベルが高いわ。戦闘力だけでみると上位10%に入るかも~」

 

ウンファ「いや、そうじゃなくて。」

 

エマ「え? じゃあ、何?」

 

ウンファ「......」

 

 

 ウンファの質問を、『カウンターズ分隊の戦闘力をどう思う』と判断したエマは自身の考えを正直に伝える。しかしウンファは違うと否定し、エマは何の質問なのか言及するがウンファは沈黙する。いつもと様子が違うウンファにエマは困惑するが、何を気にしているのか理解し、ウンファが意外な一面を見せたことに微笑む。

 

 

エマ「...?...あら。まあ、ウンファがそんなことを気にしているなんて~。」

 

ウンファ「いいから答えろ。」

 

エマ「ふふ、触ってみないと分からないわよ~?」

 

ウンファ「もういい。」

 

エマ「うふふ、ふふふふ。」

 

ウンファ「...近づくな。」

 

 

 夏油たちも後に続いていく中で、ウンファはエマから避けるために更に早く歩いて逃げていく...

 

 

 

 

 

 

 

 

 移動中にネオンがエマの武器を見つめて、かなり大型で戦闘中でもミニガンの火力に目を付けて、エマに大きな武器について話しかける。エマはネオンに使う理由を話し、エマが発した単語に過剰に反応するネオン。

 

 

ネオン「エマは凄く大きい武器を使うんですね。」

 

エマ「ええ、この武器、火力がいいのよぉ。」

 

ネオン「!!」

 

エマ「あら、私何か変な事でも言ったからしら?」

 

ネオン「いいえ、遂に仲間に出会えた気がしまして。」

 

エマ「??」

 

ネオン「弾丸は何を使っているんですか? 追加の装備は?」

 

エマ「えっと...ごめ~ん、私はそういうのはあまり知らないの。」

 

ネオン「あ...」

 

エマ「エリシオンが支給してくれるものを、そのまま使っているだけ! その中で、最も強そうな物を選んだだけだから~」

 

ネオン「そう...ですか。」

 

 

 ネオンは同じく高火力の武器を持っているエマに、仲間意識を抱き武器の弾丸や装備について詳しく質問するが、エマは支給装備をそのまま使っていることを伝える。ネオンはその発言に自分だけがはしゃいでいたことに凹み、エマはそんなネオンの様子を見て、励まそうと火力を上げる方法についてネオンに教えてもらう。

 

 

エマ「......でも、最近は火力がちょっと足りない気がするのよね~。何か引き上げる方法が無いかしら?」

 

ネオン「はい?」

 

エマ「ネオンが火力の専門家みたいだから、お願いしたいの。教えてくれたら凄く役に立つと思うわ。」

 

ネオン「っ!......分かりました、私がこれまで培ってきた火力の真髄を伝授しましょう!」

 

エマ「ふふ、お願いするわね~」

 

 

 エマの頼みに全力で応えるために、仲間ができたことに嬉しく飛び跳ねそうになるネオンだが、冷静になってエマに火力を引き上げる方法を話始める。

 

 

ネオン「まず、火力を引き上げる最初の方法、

 

...それは心構えです。

 

エマ「あら? 心構えから入るんだぁ?」

 

 

 普段以上に真剣な表情で、エマに火力を引き上げる方法について話始めるネオン。エマはネオンの新たな一面を知って微笑みながらも、しっかりとネオンの話を聞く。

 

 ネオンの説明が始まったと同時に、漏瑚が念話で夏油に声を掛ける。

 

 

漏瑚(おい夏油。)

 

夏油(......どうしたんだい?漏瑚。)

 

漏瑚(気付いているのだろう、お主の後をつけている人間に。)

 

夏油(あぁ、上空で滞空している呪霊で確認しているよ。)

 

漏瑚(ならば何故対処せんのだ、お主一人でも対処はできるであろう?)

 

花御(あの人間の差し金でしょうか?)

 

真人(夏油が言ってたように、自分の業績が大事なんだろうね。)

 

陀艮(ぶふぅ~...)(敵はラプチャーなのに...)

 

漏瑚(尚更止めるべきだ、何か策でもあるのか夏油。)

 

夏油(ヘレティックの交戦地の中で、私たちを追跡している人数が少ないことと、彼女たちを信用しているからかな?)

 

花御(不安です...)

 

真人(まあ何とかなるでしょ。)

 

漏瑚(取り敢えず、奴らの動向は儂らが見ておく。夏油はそのまま目的地に向かえ。)

 

夏油(分かった、頼むよ漏瑚。)

 

 

 夏油が漏瑚たちと念話で、追跡している人間に対して話している中、シフティーは夏油がアブソルートとカウンターズの会話を聞いていないことから、声を掛ける。

 

 

シフティー「...?どうしましたか?指揮官?」

 

夏油「ん?、いや何でもない。」

 

シフティー「......皆、妙に仲良しですね。実はすごく心配してたんです、アブソルートの方々は普通じゃないって話をよく聞いてましたから。」

 

夏油「仲がいいのはいいことさ。」

 

シフティー「そうですよね? 指揮官は...混ざり辛いですよね......。」

 

夏油「私がしでかした事だ、君が気に病むことはないよ。」

 

ウンファ「静かに、それ以上喋るな。」

 

ラピ「......」

 

 

 全員を静かにさせた後、ラピはウンファに向けて手信号を送り、ウンファもラピに手信号を送り返す。

 

 

ラピ(8時方向、距離は2.5km。)

 

ウンファ(3人、武器は把握できない。狙撃は可能。)

 

ラピ(今はダメ、もっと引き寄せよう。)

 

ウンファ(ラジャー。)

 

夏油(3()...やはりあれは。)

 

 

 やり取りが終わったのか、2人はさり気ない態度で前の方へ歩いて行った。夏油は2人の手信号から、左斜め後ろにラプチャーではなく()がいる事を知る。

 

 シフティーは、最初ラピに対して怒りを見せていたウンファに、ラピと手信号する様子に驚愕していた。

 

 

シフティー「...あんなに歪み合っていたのに、戦闘では背中を任せられる仲間って事ですね。

 ...あ、知っていますか? アブソルートとラピは昔...」

 

夏油「説明しなくても大丈夫だよ、いずれラピから聞くから。今は話せなくても、いつか話してもらえるように...」

 

シフティー「あ...そうですね、人の話を勝手にするには良くないですから。移動しましょう、指揮官。」

 

夏油「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘレティックとの交戦地である場所を目指し、砂漠のような荒野を歩き続ける夏油たち。追跡者の存在に勘づきながらも進み続ける中、荒野の地面と同じ空が暗くなり、星空が見えるほど時間が経過していた。

 

 時刻を確認したシフティーは、夏油たちに亀裂のある場所で野営することをお勧めする。

 

 

シフティー「前方、深さ2kmの亀裂です。下の方にラプチャーの反応がありません。亀裂を背にして野営することをお勧めします。」

 

ウンファ「お前たち、デコイを撒いてこい。」

 

アニス「私たちが?」

 

ウンファ「そう、お前たちだ。」

 

アニス「今?」

 

ウンファ「今。」

 

アニス「何?」

 

ウンファ「野営するからな。」

 

アニス「野営を?」

 

ウンファ「......」

 

 

 ウンファはアニスとネオンに向けて、野営から離れた範囲にデコイを撒くよう指令を出すが、アニスがオウム返しのように復唱する。そんなアニスにウンファは怒りの表情を向けて、ウンファの起こり顔を見たアニスは、ベスティーに先程のオウム返しについて説明する。

 

 

アニス「ほら、見た? 今のは揚げ足取りスキルで、単純な方法で相手を怒らせる時にいいよ。」

 

ベスティー「う、うん。凄く効果あるね。ウンファがあんなに怒るのは初めて見た...!

 アニスって、凄い。」

 

アニス「はは、大したこと無いわよ~。」

 

ウンファ「行け。」

 

アニス「はいはい、行きますよ~。」(≖ࡇ≖)

 

 

 ベスティーに褒められて照れるアニスに、ウンファは怒気を含めてデコイ撒きを催促する。アニスは嫌々承諾しながらも、ネオンとラピに声を掛けるが、ウンファがラピは残るように追加で指示を出す。

 

 

アニス「ネオン、ラピ、行こう。」

 

ウンファ「いや、ラピは残る。2人で行ってこい。」

 

アニス「...まあ、いいよ。行ってくるから。積もる話でもしたら?」

 

ネオン「え、私も話に参加したいです!」

 

アニス「後でしましょうね~後で!」

 

エマ「行ってらっしゃい~。」

 

 

 アニスはラピとウンファのやり取りから、以前に関わりがあると気付き、深く追及せずにネオンを連れてデコイを撒き向かった。エマは声をかけて、ベスティーは小さく手を振って2人を見送り、ウンファは野営の準備を進める。

 

 

ウンファ「では、私たちはこの先を片付けて、野営地を確保する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 野営地を確保し、テントを広げた夏油たちは休憩しており、ウンファ、エマ、ベスティー、ラピは小さな炎を囲うように座り見つめ静寂が漂っていた。夏油は一足早くにテントで就寝しようとするが、中々寝付けず瞳を閉じて仰向けで寝ていた。

 

 静かな雰囲気が続く中、エマがラピにアブソルート分隊に戻って来ないかと切り出す。

 

 

エマ「ラピ。」

 

ラピ「うん。」

 

エマ「戻って来る気はない? アブソルートに。」

 

ウンファ「勝手なことを言うな。アブソルート分隊は、そこのゴミ屑が出て行った後、更に完璧になった。

 気まぐれで出て行った奴を、再び受け入れる程善人に見えるか、私が?」

 

エマ「う~ん、善人には見えないわね、確かに~。」

 

ウンファ「絶対ダメだからな。」

 

 

 断固として復帰することを止めるウンファだが、ベスティーは意を決して自身の考えをラピに伝える。

 

 

ベスティー「ラピ。あ、ああ言ってるけど、ウンファが一番懐かしんでいるの。

 さ、作戦中にもずっとチラチラ見てたよ。いつもあなたがいたポジションを。」

 

ウンファ「黙れ。」

 

ベスティー「わ、私もラピに帰ってきてほしい。だって、2人で協力する姿は、本当に格好良かったから。」

 

ウンファ「黙れと言っているだろう!」

 

ベスティー「ご、ごめんなさい。」

 

 

 ベスティーの発言にウンファが声を荒げて止め、少し深呼吸して冷静になった後、ラピに尋ねた。

 

 

ウンファ「1つだけ聞く。...何故だ?」

 

ラピ「......」

 

ウンファ「何故私たちを捨て...クソ。何故急に出ていった?」

 

ラピ「......」

 

ウンファ「黙るのが趣味か? 何か言え。」

 

 

 ラピはウンファの問いに沈黙するが、重い口を開けてアブソルートから脱退した理由を話し始める。それは、記憶消去された範囲の中にあった、アブソルート最後の思い出だった。

 

 

ラピ「タイラント級5機がアークの近くに現れた作戦、覚えてる?」

 

エマ「ええ、覚えているわ。凄く苦労したわよねぇ~。」

 

ベスティー「あの時、ラピとウンファがいなかったら、た、大変なことになったと思う。」

 

ラピ「私はあの時、人間を殺したの。

 

ベスティー「えっ...?」

 

ラピ「流れ弾だった。でも、死んだのは確かだから。」

 

エマ「作戦中に民間人が巻き込まれる事故なんて、何時でも起こり得ることよね?

 そんなことで責任を問われたりしないってこと、分かってるでしょう?」

 

ラピ「分かってるわ、でもね。体の半分が無くなって、血を流しているその人間を見て、私が何を考えたと思う?

 『あ、経緯書を書かされるな』、って。」

 

エマ「......」

 

ベスティー「......」

 

 

 アーク付近の区域での戦闘で、タイラント級のラプチャーの交戦によって一人の人間を殺めてしまったラピ。ニケとは元は人間だが、その骨格、構造までもが人間を超越した兵器として変わった為、扱う銃火器の出力も人間よりも高火力、高出力になった。

 

 ラプチャーの対抗として扱っているが、ラピは流れ弾を人間に当ててしまったことで、その弾丸を中心に人間の肉体は螺旋状に波打ち、瞬く間に半身は千切れ飛んだ。ピクリとも動かない肉塊から、紅蓮が広がり地に染める。

 

 

ラピ「壊れてしまったのよ。私の頭が、心臓が。人間を守る為に作られた、()という存在が。

 人間の死を悲しまず、ただ面倒くさいと思ってしまったことが、

 

 すごく...変だと思ったのよ。

 

 だから諦めたの、自分が何か分からなくなって。

 

 人間でも無く――、だからといってニケでも無い。

 

 自分が何か分からなくなって。」

 

 

 ラプチャーから守る為にあるニケが、人間の死に対する感情が薄れ煩わしさを感じた、そこからラピの在り方は総崩れしていた。肉体は人間では無くなったが、ニケとしての感情も持ち合わせていない。自己の存在が分からなくなった。

 

 

ウンファ「だから傭兵のように放浪する三流になったのか?」

 

ラピ「......」

 

ウンファ「私たちの気持なんか考えもせずに、ただ自分の気持ちだけを考えて? 挨拶もせずに、何の未練もないと言わんばかりにふらっと。

 書類を見て、お前が出て行ったことを知った私の気持ちはどうだったと思う?」

 

エマ「ウンファ...」

 

五条『説明しろ、傑。』

 

ウンファ「お前にとって、私たちは何だった?」

 

五条『意味無い殺しはしねぇんじゃなかったのか!?』

 

ウンファ「答えろ、お前にとって私たちは何だったんだ?」

 

五条『何が言いてぇんだよ?』

 

ラピ「大切な...仲間。」

 

ウンファ「ふざけるな!! 誰が! 大切な仲間をあんな風に扱うのか!?」

 

ラピ「......」

 

夏油「......」

 

 

 ラピの返答にウンファの声が響く、怒りと悲しみ...ウンファの中に積り、渦巻き続けていた形容できない感情が呼吸を乱す程に溢れ出す。ウンファの叫びは暗闇の荒野にこだまして、再び静寂に包まれる中、夏油は漏瑚から念話を通して連絡が届いていた。

 

 

漏瑚(...油、夏油っ!!)

 

夏油(っ!?...すまない漏瑚、どうしたんだい?)

 

漏瑚(...深くは言及せん、だが周囲を疎かにするな。お主が助かっても意味は無いのだろう?)

 

夏油(あぁ、すまない。)

 

漏瑚(うむ、それで、道中後をつけていた人間についてだが...)

 

夏油(何か動きがあったのかい?)

 

漏瑚(起きたふりをして合流すれば分かる。)

 

夏油(??...分かった。)

 

 

 漏瑚の進言からテントから出てきた夏油、先ほど起きたと装いながら何かあったのかを尋ねる。同時に、ウンファの声を聞いたアニスとネオンが、デコイ撒きを終えて帰ってきた。

 

 

アニス「もう、こんな夜中に叫んでどうするの? ラプチャーを招待でもするつもり?」

 

ウンファ「...すまない、頭に血が上った。」

 

アニス「...こいつ、謝罪もできるんだ?」

 

エマ「デコイは撒き終わった~?」

 

ネオン「はい、全部セットしたんですけど、帰り道に変なものを拾いました。」

 

エマ「変なものを拾ったぁ?」

 

夏油「一体どうしたんだい?」

 

エマ「ネオンが変なものを拾ったって~。」

 

 

 エマの説明にネオンが頷き、『ドサッ、ドサッ、ドサッ』っと投げられた3人のニケが地面を転がる。そのニケの姿にアブソルートは驚愕、夏油は困惑の視線を向ける。

 

 

ベスティー「うわっ、ニ、ニケ?」

 

エマ「...あら、ちょっとぉ~。」

 

ウンファ「こいつら...」

 

夏油(やっぱりかぁ...)

 

ラピ「メティス...?」

 

 

 地面を転がされた3人のニケは、エリアHでアブソルートと共にヘレティックと交戦したミシリスの最強分隊、メティス分隊だった...




 夏油と会話を混じらせるの難しい...



にけ さんぽ




 北部にいるアンリミテッド分隊のお土産を、アークのショッピングモールで探していた夏油...


夏油「うーん、やはり紅茶やお菓子の好みを聞いておくべきだったかな?...でもこれくらいなら、私の身銭で購入できるし...
 取り敢えず食べてもらって、好きなものができたらリピートしてもらおう。保存がきけばゆっくり食べられるだろうし。ラピたちに食べてもらうというのも手だな、ずっと頑張っているから日頃の感謝でプレゼントしよう。」


 アンリミテッド分隊のルドミラとアリスのお土産を吟味するため、紅茶の茶葉と箱入りのお菓子を購入しようと手に取り、レジに向かって歩き出すが...

強盗1「動くなぁ!!」

強盗2「俺たちは強盗だぁ!!」

強盗3「このショッピングモールは占拠したぁ!!」

強盗4「大人しくしろぉ!!」

夏油(やれやれ、物騒だな。)

花御(鎮圧するのですか?)

夏油(騒ぎを大きくされるとこちらも困るからね。)

真人(殺っちゃだめだよー)

夏油(分かっているよ。)


 ある程度弱めたイカ呪霊を強盗たちにぶつけようとするが...一際デカい爆発音がショッピングモール中に響き渡る。


強盗1「なんdグエッ!」

????「ハッハッハー!! 偶にはヒーローの真似事も悪くない!!

????「市民を傷つける悪党共! ヒーローである私が許さないぞ!!」

??????「はぁ...ただ買い物に来ただけなのに~。」

強盗2「うぉっ!? 何だコイツ等!???」

強盗3「ニケ...まさか、メティスか!?」

????「そうだ! 私たちがヒーローだ!!!」

????「私はヴィランだがな!!!

??????「あんた達さえ出なければ、フツーに買い物できたのに...」

????「覚悟しろ!!」

強盗2「アヴッ!!」

強盗3「ウボァー!!!」


 殴り飛ばして壁にめり込ませたり、ハンマー投げのように豪快に強盗を制圧していくメティス分隊。しかし、最後の一人である強盗が夏油の背後に回り込み、銃口をこめかみに突きつける。


強盗4「動くなぁ!!コイツがどうなってもいいのかぁ!!」

????「なっ、罪無き一般人を...!! 卑怯だぞ!!!」

????「貴様ァ!それでもヴィランかァ!!

強盗4「俺は強盗だぁ!!!」

??????「暢気言ってる場合じゃないでしょ!?」

強盗4「へっ、へっ、さて...おいテメェ。逃げられるまで付き合ってもらうぜ?」

夏油「悪いが、そうはいかないよ。」

強盗4「何?...うおッ!?」


 強盗の手を拳銃ごと掴みながら、背負い投げの要領で強盗を地面に叩き付け、拳銃を手から離した後、強盗の手を掴んだまま腕十字固めする夏油。


強盗4「痛ででででででで!!!

????「おおっ!! あの状態から逆転するとは!!」

????「凄い痛そうだな、アイツは大丈夫なのか?」

??????「さあね、後は警察に任せましょ。」

????「そうだな! 私たちを呼んでいる人達の下に向かうぞ!!」

????「競争なら負けん!!

??????「ちょっと!!...全くもう......」


 その後強盗は逮捕され、夏油も無事に紅茶と紅茶に合う菓子を持って帰ってきた。夏油たちは紅茶と菓子の吟味をするために、指揮官室でお茶会を開いていた。


アニス「う~ん♪美味しい!」

ネオン「こんな贅沢していいんでしょうか??」

夏油「作戦では頼りっぱなしだからね、いっぱい食べて英気を養ってくれ。」

ネオン「分かりました!師匠!!」

ラピ「北部のお土産ですか?指揮官。」

夏油「ああ、みんなの感想を聞いておきたくてね。食べ終わったらどれが美味しかったか選んで簡単に感想を教えてほしい。」

アニス「オッケー♪」


 なお、この時ショッピングモールで強盗が現れて、ものの数分でメティスが制圧したニュースが報道されていた。
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