UAが30000を超えてお気に入り登録者数が200を超えた...本編に戻りたい気持ちと、もう少し閑話の話を作りたいので板挟みになっている...。
ユニとのデートを終えた翌日、ミハラのデートの待ち合わせであるカフェで読書しながら夏油は待っていた。カフェに到着して5分後に、ミハラはやってきた。
ミハラ「おはよう夏油くん、待たせちゃった?」
夏油「いえ、さっき来たばかりです。」
ミハラ「そうなの? 約束の時間の前に来るなんて律儀なのね。」
そう言って席に着きホットコーヒーを頼むミハラ、数分とかからず肌寒い中で白い湯気が上がっているコーヒーカップが机に置かれる。ミハラはウェイターに礼をした後に、温かいコーヒーを喉に流す。
朝に残っていた眠気が、苦みとカフェインによって搔き消され一息つく。
ミハラ「はぁああ...」
夏油「? どうしましたか?? 何か悩みがあれば聞きますが...」
ミハラ「いえ、ユニのデートでかなり無理をさせてしまったから...デートの日程についてどうしようか悩んでるのよ。」
夏油「...まぁ、ユニが強制した訳ではなく、私が勝手にしたことですし。私も悩みを打ち明けたので、ミハラさんの悩みがあれば私は話を聞きますよ。」
トーカティブの捕獲作戦後に、精神的に追い詰められた際に、夏油はミハラとユニに自身が抱えている苦しみを打ち明けた事を挙げて、ミハラの悩みを訪ねる。ミハラは甘えて、自身の悩みを打ち明ける。
ミハラ「それじゃあ、甘えさせて貰うわね。私は、もっと変わった刺激を味わいたいの。」
夏油「...つまりマンネリ化してきたと...?」
ミハラ「まあそんなところね、勿論ユニが私のために努力してくれているわ。日替わりで色々なパターンで私の為に頑張ってくれてる。
でも結局は無限の想像力というものは存在しないわ。数十、数百、数千個のパターンがあったとしても、結局は繰り返しになる部分が必ず出てくる。」
夏油「限りがあると、どうしてもローテーションするしかない...ですね...。」
ミハラ「そうね、それは慣れという感覚で押し寄せてくるわ。その慣れを感じる度に、少し悲しくなるの。」
ミハラの求めているもの自体はさておき、身近にある悩みでもある新鮮味の渇望であった。新しい楽しみや発見が無ければ、何時かは飽きや慣れがやってきてしまう。初めての新鮮味を味わえない事が、ミハラの悩みである。
夏油「それが、ミハラさんの悩みですか...」
ミハラ「ええ、それでちょっと...ストレスが溜まるの。」
夏油「...今まで抱えていた理由が分かります、ユニには話すわけにもいきませんね。」
ミハラ「そうなの、ユニも努力と工夫をいつもしていて、ユニのきらきら輝く瞳。紅潮した頬。私の反応を期待して引き上がる口角。その全てが愛おしくて何も言えないの。
それでもっとストレスが溜まるみたい。」
夏油は腕を組んで、ミハラの悩みに対して真剣に考え、対処法を伝えてみる。
夏油「ミハラさんから何かリクエストがあったりしないのですか?」
ミハラ「私が?」
夏油「互いに望むモノをリクエストすれば解消されると思ったのですが...」
ミハラ「うぅ~ん...さあ。私もそこまで想像力が豊かではないから、ユニの提案と大して変わらないと思うわ。」
夏油「...では、ミハラさんから考えて、何を変えれば改善されると思いますか? 何でも良いんです、まだ体験したことない事とかあれば...。」
解決策に悩んでいる夏油は、考えが纏まらずにミハラが悩んでいる間に、解消されるヒントが無いか尋ねる。ミハラは少し考えた様子を見せて、分かりやすいように伝える。
ミハラ「夏油くん、刺激にはバリエーションがあるの。抓ったら突き刺すような痛みが、平手打ちされたらじわじわ広がる痛みがいっぱい...ユニは私よりもこういう色々なことに挑戦するのが上手なの。
言うなら...悟りを開いたテクニックって感じかしら。」
夏油「痛みを使い分けるテクニックですか...」
ミハラ「そう、そんなユニのテクニックを受けても、私は既視感を覚えてしまうの。同じ位置の同じ行動でも、数十種類のバリエーションを持つテクニックがあるにも関わらずね。
もしかしたら私が追い求める新たな刺激は、この世界には無いのかもしれないわ。」
ミハラの考えを聞いた夏油だが、頭を抱え始めた。正直、ミハラの言っている通り、ユニは長い時間をかけ、試行錯誤を重ねてきた。その状態で新しい刺激と言われても、どうすればいいのか分からなくなってきたのだ。
あまりの問題に、夏油は口ごもり思考を続ける。
夏油(刺激...といってもミハラさんが体験したこと無いもの...しらみつぶしに聞いたり実践しても、どのぐらい時間がかかるのか分からない...)
ミハラ「そういうわけで、今の私には想像力が必要だと考えているの。」
ミハラの発言に、ハッと顔を上げて受け答える夏油。ミハラは続けていく。
夏油「新しい想像力...?」
ミハラ「そう、混じり気のない、純真無垢な。正しくあなたのような新しい想像力がね。」
ミハラの表情が少し高揚しているように見えるが、夏油はこの問題を解決できるか不安が残っていた。
夏油「私が解決できるとは思えませんが...」
ミハラ「そうでもないかもしれないわ、夏油くんならその素質があると思うの。たった一日でユニの声を取り戻したもの...♡」
夏油「...純粋に喜べないんですが...」
ミハラ「あら? 褒めたのよ♡」
前日のユニとのデートで、ミハラの期待度は更に上昇しており、今回のデートで自身の悩みを打ち明けた。デートを始める前に、夏油は頭の中で刺激に関する情報を、脳から引き出すように纏めていた。
夏油(一旦刺激に関して考えてみよう...刺激とは、生体に作用して何らかの反応を引き起こす現象...触覚、聴覚、嗅覚、視覚、味覚の五感が作用することで刺激という現象は発生する。
ミハラさんは刺激が欲しいと言った...しかし新しい刺激...)
数秒間夏油は動くことなく、目の前に置かれている机の麦茶の水面を凝視するような状態で思考を続け、その様子を嬉しそうに眺めるミハラ。その思考を打ち切るように、夏油のスマホから電話が鳴る。
夏油「?...すみません、電話に出てもよろしいでしょうか。」
ミハラ「大丈夫よ、早く戻ってきてね。」
夏油は一礼をして立ち上がり、席を離れて電話に出る。
夏油「もしもし。」
???「もしもし? 会員さん? 今お時間よろしいですか??」
夏油「その声...ルマニかい?」
ルマニ「はい! 先日はご加入して頂き、ありがとうございます。それで、先程のプロテインやカロ〇ーメ〇トが入荷しましたので、一応会員さんに連絡させて頂きました。」
夏油「ありがとう、また顔を出すよ。今度からはblablaで気軽に声をかけてくれ。」
ルマニ「はい、それでは失礼します。」
通話が終わり、電話を再びしまってミハラの座っている席に戻る。ミハラは興味本位で、夏油に尋ねる。
ミハラ「何の電話だったの?」
夏油「最近、体を鍛えるためにここの総合体育館にあるスポーツジムに加入したんです。商品の入荷のお知らせでした。」
ミハラ「そうなの、真面目なのね。」
夏油「体を作るのも、維持するのも一朝一夕ではありませんから。」
ミハラの質問に答えていた夏油だが、ふと一つの考えがよぎる。
夏油(体育館...運動...運動も刺激の一つなのではないか? 体を動かすことで、筋肉や体への負荷によって脳に危険信号を送られる...有酸素運動も、肺と心臓、長期化すれば足にも...)
運動によって、筋肉や脳、骨などの体の各部位に負荷がかかることで、脳神経の活性化や筋肉の収縮、心肺機能への負荷が掛けられる。これらも立派な刺激になるのではないかと考えた夏油は、ミハラに提案する。
夏油「ミハラさん。」
ミハラ「...その様子だと、何か思いついたみたいね。なら行きましょう...はぁっ...楽しみだわ...♡」
夏油の様子から察したミハラは、体を震わせながら会計を済ませ、夏油の後に続く。
体育館に到着した二人は、周囲の人々の視線を集めていた。厳密に言えば、ミハラの服装が奇抜過ぎるせいなのだが。
ミハラ「ふぅ~...凄い視線を感じるわ。」
夏油「ミハラさんはきれいですからね、そのせいで視線を集めるのでしょう。」
ミハラ「まあ、そんな気の利いたことも言えるの? ふふ、お世辞でも嬉しいわ。」
会話を弾ませる中、ルマニが足早で夏油に声を掛ける。明日に来ると思っていた様子か、かなりびっくりしている。
ルマニ「...会員さん? それとミハラ? 妙な組み合わせですね。どうされましたか?」
夏油「ミハラに運動することで得られる刺激を知って欲しくて来たんだ。」
ルマニ「......? すみません、詳しく説明していただけますか?」
夏油はルマニに、ミハラが刺激を求めている事情を説明し、そして運動によって得られる負荷が刺激として作用するのではないかという自分の考えを説明した。
ルマニ「成程、運動で健全な刺激を得てストレスを発散したい...という訳ですね。私に任せてください。
健全な刺激なら、運動が一番です。」
ミハラ「まあ。そうなの? 期待してもいいのかしら?」
ルマニ「勿論、私について来て。あなたに運動の楽しさっていうものを教えてあげるわ。」
自信のある表情でミハラに言ったルマニは、早速トレーニングルームに案内する。最初に滑り止めマットの敷かれている区画から始まった。
ルマニ「まずはスクワットから始めましょう、これからお手本を見せるわ。」
ミハラ「そう、それじゃあお願いね夏油くん。」
夏油「うん...えっ? 私??」
ミハラ「このジムの会員なんでしょう?」
ルマニ「そうですね、会員さんも一緒にやるついでにお手本をお願いします。解説は私が行うので。」
ミハラはニコニコとこちらを見て、ミハラの発言に頷きながらマットの方に誘導するルマニ。夏油はマットの上に立ち、ミハラにも分かりやすくするためにスクワットをゆっくり始める。
ルマニ「スクワットは臀筋、四頭筋、ハムストリング筋、ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングよ。
まず姿勢は足を肩幅程開いた状態を維持して、お尻を後ろに動かし、膝とお尻を曲げ、胴体を低く下げてから、直立の姿勢に戻りこれを繰り返すわ。」
ミハラ「ゆっくりやっているけど、何か理由があるの?」
ルマニ「ゆっくり動かすと、より筋肉に負荷をかける事ができるの。」
ミハラ「つまり、より
ルマニ「その通りよ。」
夏油(分かりやすくする為にゆっくり動いたんだが、まあいいか。)
ルマニ「分かった? これがスクワットよ。やってみて。」
ミハラ「分かったわ。」
ミハラは夏油の隣のマットで、態勢を見ながらルマニに教わった通りにスクワットを始める。その姿勢を見てルマニは、素養があると関心を受ける。
ルマニ「あら。中々いい姿勢よ。素質あるんじゃ...」
ミハラ「うっ...ふうぅっ...」
ミハラ「ふぅぅっ...はあ...」
スクワット始めたミハラの口から、健全な運動をしているとは思えないほどの不健全な声がこぼれている。心なしか頬が赤くなっているミハラは、尻もちしそうな程に腰を落とし始める。
ミハラ「ああっ...足が...ガクガクするわ♡ どうしましょう...もう立ってられな...あっ♡」
ルマニ「......」
ルマニがげんなりした様子でミハラを見て、夏油は困惑した様子でミハラを見守りながらスクワットをし、周囲の男性会員たちは皆涼しい顔をしながら全身全霊で、あらゆる感覚をミハラに向ける。因みに夏油は気付かず、ミハラは気づいた上で更に興奮していた。
気持ちを改めて冷静さを取り戻したルマニは、夏油にクランチするようお願いした。
ルマニ「それじゃあ、お願いします。」
夏油「分かった。」
ルマニ「これが腹筋運動の一つ、ノーマルクランチよ。主に腹直筋を中心に鍛える事ができるトレーニングで、お腹をしっかりと凹ませることと、腹筋を使うように意識しながらトレーニングするのがコツ。
まず仰向けに寝転がって、膝を90度に曲げて足を上げる。次にそのまま腰が上がらないように、肩甲骨の辺りから上体を起こして数秒の状態を保って、最後に息を吸いながら上体を元の位置まで下げる。」
ミハラ「上体起こしみたいね。」
ルマニ「そうね、でも上体起こしみたいに抑えられている足を使わず、お腹の筋肉を鍛えられる点が良い所ね。会員さんのようにゆっくりと、筋肉に神経を集中させて動いてみて。」
ミハラ「分かったわ。やってみる。」
ミハラはルマニに教わった動きで、クランチを始める。ゆっくりとお腹が引き締まり、ミハラの上体が起き上がってくる。
ルマニ「そうそう。そうやってお腹の筋肉を意識しながら...」
ミハラ「うっ...ううっ...ふうっ...」
ミハラ「あっ...! お腹が...プルプルしてる...! 苦しい...! でも、いい気持ち♡」
ルマニ「......」
またしてもミハラの口から、先程以上の熱量の声がトレーニングセンターにこだまする。ルマニは頭を抱え、夏油は新しい刺激を感じているか様子を伺い、周囲の男性会員たちは目を瞑って
口からボソボソと声が聞こえたらしい...ではきっと念仏だろう。
次のトレーニングに移る為、ルマニはランニングマシーンが並んでいる区画へと案内する。心なしか疲労が溜まっているようだ...夏油たちが来る前のトレーニングの影響だろう。
ルマニ「...つっ、次はランニングマシーンよ。......この前の画面が見える? ここにはあなたが走った距離が表示されるわ。
取り敢えず軽く2kmでも走ってみましょう。ニケ用のランニングマシーンだから、壊れる心配は無いわ。思い切り走っていいわよ。」
ミハラ「分かったわ、始めるわよ。」
ミハラはランニングマシーンの上で走り始め、夏油はランニングマシーンを使わずミハラの様子を見ていた。
ミハラ「ふぅっ、ふぅっ。はっはっ、ふっふっ。」
ルマニ「...よし、これは特に問題なさそうね。」
夏油「そうですね...今のところは...」
ランニングが始まって数分が経過し、ミハラの息が上がってきた。ふと視線を落とすと、ランニングマシーンの画面には、残りの距離が1kmと表示されていた。
ミハラ「あっ、ふぅっ。もう1km、走った、みたい。ゴールは、もうすぐね。ふぅっ。」
ルマニ「その調子よ。最後まで頑張って。」
夏油「このままペースを維持できますか?」
ミハラ「あはっ。ええっ、ゴールまで、このまま行くわよ。」
筋トレではとても人前では出せない声を発していたが、有酸素運動であるランニングにはその傾向は見られず、刺激を感じていた。ルマニと夏油は最適解を見つけたと実感していた。
ミハラ「行くわよ、行くわよ、行くわよっ...!」
ルマニ「......」
夏油「......」
2人が望んでいた理想は、蜃気楼だったようだ。ミハラを見守り希望を見出した表情が、瞬く間に無へと化す。
ミハラ「ああっ、最後まで...! 行っちゃっ♡」
ランニングマシーンから目標設定を達成した電子音と共に、ミハラはランニングマシーンから降りて地面に倒れる。体験した刺激に対して、恍惚とした表情で汗を流し悦に浸り、その様子をルマニは諦めているようにも見えた。
ルマニ「......」
夏油「...タオルをどうぞ。」
ミハラ「あぁ...ありがとう...♡」
ミハラが倒れたことでトレーニングセンターは静まり、声が周囲に伝わったことで、周りの男性会員たちは少し前のめりの姿勢で椅子に座っている。......きっと休憩中なのだろう。
ルマニ「ご退場願います。」
ミハラ「まあ、どうしてかしら? 私はとっても楽しいのに。」
ルマニ「ご退場願います。」
夏油「...お騒がせして申し訳ございませんでした。」
そうして夏油とミハラはトレーニングセンターを後にした。
トレーニングセンターを離れた後、ミハラと夏油はそれぞれ自動販売機で買った飲み物を飲みながら、ベンチに座っていた。
ミハラ「......」
夏油「......」
ミハラ「ごめんなさい、私が調子に乗りすぎちゃって。」
夏油「そんなことは。それより、とても楽しんでいるように見えましたよ。」
ミハラ「ふふ、そう? 楽しかったのは本当よ。ありがとう。」
咄嗟の思いつきで運動を提案してみたが、退去に疑問を抱いたりすることから、心から楽しんだと分かる。一定の成果があり、悩みの解消に一歩前進したと言える。
ミハラ「じゃあ......次は何かしら?」
夏油「......」
誤算があるとするなら、今ミハラは体験したことの無い刺激を得られた事で、飢えが強くなっている事。当然運動している間に、次の刺激なんて考えていない夏油は、自販機で買ったスポーツドリンクを口に流し込んで頭を冷やし、思考を始める。
ミハラ「健全な刺激っていうのも、悪くは無いわね。この調子でお願いするわ。」
夏油(健全な刺激、運動よりも強度が弱い刺激...軽めの運動というと...)
筋トレや有酸素運動などのトレーニングは、ゆっくり動いたりペースを上げたりセット回数を増やす事で、幾らでも刺激を強くする事ができる。刺激を強くすること=ミハラのいかがわしい声が周囲に広がる。
そうなると、ミハラが刺激を調節できないように、こちらがリードして刺激を調節できる運動が適切だと結論付ける。早速思いついた計画を、夏油は実行に移す。
夏油「では、散歩に行きましょうか。」
夏油の言葉に、ミハラは驚きを隠せず聞き返す。
ミハラ「...散歩ですって?......ふふ。いいわ。いつかやってみたいと思ってたの。」
夏油(何ですかその含みのある笑いは...)
驚きの表情から一変、ミハラは直ぐに妖艶な含み笑いをしながら、期待を寄せる。そして夏油の感じていた嫌な予感は、
的中した。
ミハラ「はいこれ。」
夏油「......」
手渡されたのは、大体 線径6mmの鎖で少し重量感を感じる。そしてその鎖の先には、ミハラの首輪があり顔が赤く火照っているように見える。
ミハラ「ほら、早く行きましょ。」
夏油「...はい。」
立派な人生とは何だ? 人によって異なる定義の一つだが、誰もがそれを目標に生きているだろう。
ミハラ「あっ。そんなに強く引っ張らないで♡」
夏油「......」
二人の表情の差が激しく、夏油は半ば虚無に片足を突っ込んでおり、ミハラは充足を感じているかの如く笑みが止まらず昼間の裏路地を散歩していた。
ミハラ「ふふっ、ふふふ。どうしましょう。私、今すごく興奮してきちゃった。
屈辱感と開放感が絶妙なバランスで綱渡りしているような感覚よ。すごいわ。一度も感じたことのない刺激よ。
肉体への刺激だけが答えじゃないって、こんなに早く分からせてくれるなんて。さすがは指揮官よ。素質があるわ♡」
夏油「ハイ...アリガトウゴザイマス...」
最早魂が抜けているのではないかと見間違えるほどに、夏油から色彩と生気が抜け落ちている。しかしこんな状況下でも、夏油の感覚は近くの足音をしっかりと捉えていた。
夏油「!!」
ミハラ「...誰か来るみたい。指揮官。どうする?」
確実にこちらに近づいてくる事は分かる、この状況で誰かに見られるなど...考えるより先に夏油は行動に移す。
ラピたちは早朝に出かけて行った夏油を見送り、昼にやってきたユニと一緒に指揮官室で待機していた。
アニス「あなたもミハラと指揮官様を待ってるの?」
ユニ「うん、とっても気になるから。」
ネオン「以前のようにならなければいいのですが...」
ユニ「??」
ラピ「こっちの話よ。」
マリアン「お腹すきましたね、夕食は昨日と同じでカレーでいいですか?」
ユニ「うん!」
アニス「あなたも食べるの...?」(≖ࡇ≖)
夕食の献立を考えていたラピたちは、夏油が帰ってきた時に備えて準備に取り掛かろうするが、宿所のチャイムが鳴る。ラピがチャイムを鳴らした人物を、カメラ越しに見ると夏油だった。
ネオン「誰だったのですか?」
ラピ「指揮官よ。」
アニス「指揮官様が??」
マリアン「可笑しいですね、指揮官は必ず鍵を持って行っている筈なんですけど...」
ユニ「私が出るね。」
スタスタと進んで宿所の玄関に向かい、帰ってきた夏油を宿所に入れる。そしてユニと一緒に入ってきた夏油の姿に、ラピたちは驚愕していた。
マリアン「しっ、指揮官...///」
アニス「指揮官様...」(≖ࡇ≖)
ネオン「師匠...」
夏油「ただいま...」
ミハラ「......」
ラピ「...何でお姫様抱っこしているのですか?」
夏油「まぁ、成り行きで。」
ミハラ「今説明するわ。」
夏油抱っこしていた状態から炬燵に入れて、顔が赤面したままミハラはデートであった事を話始めた。
少女「今日は楽しかったね!」
少年「うん。ペンギンってあんなにかわいかったっけ?」
少女「いつか本物を見てみたいな。」
少年「僕も僕も。」
少女「地上には本物のペンギンがいるんだって。」
少年「本当に?」
少女「うん。いつか絶対に見に行こう。」
少年「そうだね。絶対に見に行こう。」
少女「約束だよ~」
動物園に行ったのか、楽し気に話す少年と少女の声がだんだん小さくなっていく。やがて声が聞こえなり、先程までいた路地裏の様子を伺う夏油。
夏油(行ったか...危機一髪といったところだな...)
ひとまず安心した夏油は、溜息を零し安堵する。少女と少年が通りがかる前に、夏油はミハラを連れて路地裏の隅に隠れていた。
ミハラ「......」
夏油「すみません、強引な形で引っ張ってしまいました。怪我はありませんか?」
ミハラ「......」
夏油「もし怪我してしまったのなら、申し訳ありませんが一度指揮官室に戻って怪我を...」
ミハラ「......。」
夏油「?...ミハラさん??」
夏油の声に反応を示さない事に困惑しつつ、何度も声を掛けるが固まっているミハラ。
ミハラ「...ごめんなさい、ちょっとびっくりしちゃった...。」
夏油「怪我はありませんか?」
ミハラ「大丈夫...」
咄嗟に路地裏の隅に隠れたが、かなり狭く密着しなければ入れない隙間で、夏油は手をつないだ状態でミハラと体を密着させていた。
ミハラ「夏油くんって...案外大胆なのね...♡」
夏油「すみません、急に引っ張ってしまって...。」
夏油は狭い隅から体を出して、周囲に人がいないことを確認する。一方、ミハラはまだ隅に残り、呼吸を整えようとしていた。
ミハラ(だっ...ダメっ...鼓動が止まらないっ...♡...聞こえるくらい高鳴ってる...♡)
ミハラは先ほど、夏油と散歩していた事で屈辱感と開放感という精神的な刺激を体感していたが、今は異性との情熱によって刺激を感じ、堪能していた。
周囲に人がいないことを確認したのか、夏油がミハラと繋いでいる手を引こうとする。刹那、ミハラはその場で地に手をついてしまう。
夏油「大丈夫ですか、やはりどこか怪我を...」
ミハラ「違うの...ただ...」
夏油「ただ...?」
ミハラ「腰が抜けちゃったの...悪いけど抱っこして貰えるかしら...?」
ミハラの要求はかなり無理がある。一つはニケのボディにはかなりの重量があり、とても抱っこして移動など出来ない。二つは仮に出来たとしても、あまりに恥ずかしくて歩けなくなると思ったからである。
言わばこれは、ミハラのちょっとした悪戯、軽い冗談だ。
夏油「分かりました。」
ミハラ「そうでしょう、とても運ぶなんてこと...えっ?」
しかし夏油は並みの人間ではない、その気になればモダニアとも戦える特級
ミハラ「げ、夏油くん...?」
夏油「どうしました?」
ミハラ「私...さっき...抱っこって...」
夏油「ええ、ですからこうして移動していますが...何か?」
ミハラ(こうして...って、これ...お姫様抱っこ...)
さっきまで魂が抜けていた癖に、今は赤面しているミハラをお姫様抱っこして、裏路地を出て公園から前哨基地に向かっている。
ミハラ(す、すごい...さっきは屈辱感と開放感だったのに...今は羞恥心しか...でも...こういうのもいい...♡♡)
ミハラもミハラで、この状況で周囲の視線が集中している中、恥ずかしがっていたが精神的に感じる刺激として、体と心に消えない刺激の開拓を刻み込んでいた...
ミハラ「...という事があったの...♡」
ユニ「わぁ...♡」
ネオン「......」
アニス「......」(≖ࡇ≖)
ラピ「......」
マリアン「あわ...あわわわ...///」
全員の視線が冷たい...いや、1人はミハラと同じように顔を赤らめ、1人はミハラのデートの内容を聞いて顔が真っ赤になって湯気を出している。
冷たい表情のラピ、アニス、ネオンが、夏油に対してそれぞれ言いたい事を言っていく。
アニス「指揮官様って女たらしって言われない?」
夏油「最近言われたね。」
ネオン「ここまで女性を堕とせる
夏油「通算デート数2回だけどね。」
ラピ「指揮官、あまり自分の印象に関わることをするのは控えてください。」
夏油「ごめん...」
ラピの指摘に対して何も返せなかった夏油は素直に誤り、ミハラはしどろもどろな状態で夏油に伝える。
ミハラ「ね、ねぇ...夏油くん...」
夏油「...? どうしましたか?」
ミハラ「また...私をお姫様抱っこしてくれるかしら...♡」
アニス「はぁああ!?」
マリアン「えええぇぇぇ!?」
ネオン「おぉ、大胆なお願いですね。」
ユニ「ユニもして欲しいなぁ...。」
ラピ「ダメよ。」
日は沈み始め帰宅している人々が歩いている中、宿所の賑やかな声はしばらく周囲に聞こえていたそうな...
オリジナル展開って作っていくとあんまり思いつかないものなんですね、書き始めて実感しました。
ミハラとユニが帰った後、宿所でラピたちの追求が続いていた。
アニス「それで、他に何をしたの?」
夏油「総合体育館に行って運動した。」
ネオン「歩くピンクの化身であるあのミハラが、健全に運動するとは思えないんですけど。」
夏油「運動自体は問題は無かった。」
マリアン「?? まるで他に問題があったような口振りですね?」
アニス「意外に運動音痴だったの?」
ラピ「トーカティブの動きを見る限りそうとは思えないけど。」
夏油「体に負荷がかかる度に、とても公共の場で
ネオン「容易に想像できる点がミハラの恐ろしさですね...」
ラピ「そうね、負荷といったら苦しむイメージなんだけど...」
マリアン「あわわ...」
アニス「でも、体育館ってルマニっていう
夏油「ルマニなら彼女の声を聞いてかなりゲンナリした様子だったよ。」
ネオン「三大欲求が運動と健康のルマニがそこまで...今度体育館に連行される事になったら連れて行きましょう。」
アニス「それ採用。」
夏油「やめてあげなさい。」
マリアン「その後はどうしたんですか?」
夏油「散歩した。」
ラピ「散歩...ですか?」
ネオン「絶対普通の散歩じゃないですよね?」
アニス「ミハラの事だし散歩は散歩でも、首輪で犬の散歩みたいなことやったんじゃないの?」
夏油「.........」
マリアン「...指揮官?」
夏油「.........」
ネオン「師匠? どんな散歩だったんですか?」
夏油「.........」
ラピ「指揮官...」
夏油「.........」
アニス「...まさか
夏油「ノーコメント。」
ラピ「合っていると言っているような返答ですが...」
マリアン「わわぁ...///」
ネオン「だからミハラは首輪を付けていたんですね。」
アニス「知りたくない伏線回収だわ...」
ラピ「指揮官。」
夏油「...はい。」
ラピ「先ほども言いましたが、指揮官自身の印象に悪影響を及ぼす行動は控えて下さい。」
夏油「すみません。」
アニス「確かに、自分が嫌って言うのも勇気が必要よね。」
ネオン「自分がデートするきっかけを作ったんですが。」
マリアン「困った事があったら頼ってください。」
夏油「...ありがとう。」