特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 4月になって新生活や進級、進学する時期ですが、ニケではすげーストーリーが出てきましたね。

 何ヶ月か前にgoddess fall と空白のチケットを描いたとは思えない程ぶっ飛んでました。


分岐

 真っ白な世界の中心で、私は目覚めた。

 

 寝ているのか、倒れているのか分からないけど...視線は空に向いていた。

 

 目覚めてから少しずつ、意識がはっきりしてきたのか、白い世界は彩り始めた。

 

 

ラピ「.........。」

 

 

 彩ると言っても...荒廃した町の中心、ビルが傷だらけのコンクリートブロックになっている場所。

 

 地上では珍しくなく、何処にでもあれば、見慣れている光景だった。唯一、好みではない歌が、微かだが耳に届いていた。

 

 しかし、その場所は何故か、私の中で深く印象に残っていた...

 

 

ラピ「そうだ...ここは...レッドフードの...」

 

 

 大切な人と...別れた場所...私の理想像の墓標...。

 

 ずっと続くと思っていた1週間の終着点だった。

 

 無意識に涙が零れる、拭っても擦っても、止まらなかった。

 

 

ラピ「っ......。」

 

 

 結局私は、レッドフードを受け継ぐ事が出来たのだろうか?

 

 私の中の時間は、本当に進んでいるのだろうか?

 

 ふとそう考え始めた、その時だった。

 

 

????「.........。」

 

 

 全く見覚えのない人影が、視界に入る。黒ずくめのローブを身につけて、顔が見えない。

 

 トボトボと歩いていたが、こちらを見た途端血相を変えて近づいた。

 

 倒れている私を見て、手に触れて、何か確かめている様子だった。

 

 誰なのか分からず困惑していると、ローブで影を作っている顔から見えた口が開いた。

 

 声は聞こえなかったが、何を言っていたのかは、分かったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を境に、ラピは飛び起きる。過去の出来事を思い出して無意識に涙を流しながら、謎の人物が自身に告げられた言葉に、思わず冷や汗を流していた。

 

 周囲を見渡すと病室のようで、ベッドで寝ていたことから、夢だと判断して直近の出来事を振り返る。

 

 

ラピ「確か...エリアHでトーカティブを回収して...そして...」

 

イングリッド「目が覚めたか。」

 

 

 病室の出入り口から、イングリッドが顔を出す。

 

 ベッドに寝ているラピに、トーカティブを回収した後、グレイブディガーの奇襲で頭部が切断された事、誰1人欠けず撃破するがボディを回収できず一緒に埋まってしまった事を話した。

 

 

イングリッド「以上が事の顛末だ。」

 

ラピ「そうですか、指揮官は何処に?」

 

イングリッド「アンダーソンに結果を報告している。お前は前哨基地に戻って待機するように伝えられた。」

 

ラピ「はい、ありがとうございます。教官。」

 

 

 ラピはイングリッドに一礼して、病室を立ち去り夏油の命令通りに前哨基地の宿所に向かう。

 

 イングリッドは、ラピの背中を見ながら、今回の任務の結果について感嘆していた。

 

 

イングリッド「それにしても、よく交渉まで持ち込めたものだな。

 さて、私も他の奴らの動向を確認せねばな。」

 

 

 そう言ってイングリッドも続いて、病室を後にして中央政府の動きを監視するように、エリシオンタワーに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、アンダーソンの副司令室。夏油はトーカティブの回収の達成報告をしており、その成果としてマリアンへの接触、及び連行の強制力が無くなった事が得られたと話していた。

 

 

アンダーソン「全く、とんだ出来レースだな。」

 

夏油「大切な人を守るためには、手段を選べなかったので。」

 

アンダーソン「確かに、私も君の立場ならそうしたな。」

 

 

 トーカティブを放置していれば、回収班によってそのままM.M.R.に研究材料にされていただろう。

 

 加えて夏油たちに、マリアンに見合う対価を直ぐに出せなければ、任務前に提示した条件で失敗した際にマリアンを無条件で渡す必要があった。

 

 その事から、『代わりのヘレティックを撃破し献上する。』と言っても、余計なリスクをおっ被る。

 

 それほどまでに、バーニンガムはマリアンに価値を見出していたと考えられる。

 

 だからこそ、自身の意見を曲げないバーニンガムに、取引を成立させた事に驚いていた。

 

 

アンダーソン「それにしても、あのバーニンガムの考えを曲げる事が出来るとはな。

 しかし君の力を使えば、こんな回りくどい方法を使わなくてもよかったのではないか?」

 

 

 夏油は人間ではあるが、呪霊を扱う事ができる。トーカティブを回収する任務を提案してまで、この任務を推し進める必要があったのか尋ねた。

 

 いくら情報規制ができると言っても、かなりリスキーでもある事から、この質問の答えは分かり切っていたアンダーソンだが、敢えて夏油の答えを聞きたくなった。

 

 その指摘に対して、夏油は危惧していた考えを共有する。

 

 

夏油「あんな大事になった後、急にマリアンを諦めた方が不自然ですし、余計上層部からマークされる可能性があります。

 何より...」

 

アンダーソン「??」

 

夏油「彼は私に似ているような気がしたんです。」

 

 

 バーニンガムと夏油、外見から見れば正反対のような印象を受けるが、マリアンを開くと決断した際の行動の速さ、考えを曲げない事から、性格が似ていると感じたのだ。

 

 そういう人に対して、武力による脅しやマリアンの境遇による同情を誘うことは無意味だと判断し、全面的にトーカティブから得られる利益を提示した。

 

 

夏油「多分彼は、たとえ身内の人間を犠牲にしてでも、罪を背負って推し進めるような人だった。

 そう感じて取引しました。」

 

アンダーソン「......そうか。」

 

 

 思い切りがよく行動が速い性格が、マリアンが狙われた件で、十二分に厄介だと実感することができた。

 

 しかし、一番厄介な人物をこの任務で止め、今後マリアンを狙う中央政府の人間の抑止力にする事ができた。

 

 この結果に、アンダーソンは舌を巻きながらも、改めて一連の騒動の解決を労う。

 

 

アンダーソン「ともかく、今回のマリアンの件、本当にご苦労だった。

 上手くマリアンを生かし、中央政府に対し多大な貢献(大きな貸し)ができたようだ。」

 

夏油「ありがとうございます。」

 

 

 アンダーソンの賛辞を素直に受け取った夏油、次にここに呼び出した本題を話し始める。

 

 

アンダーソン「報告を聞くために呼んだのもあるのだが。

 君を呼んだ理由は、エニックが君を呼び出したためだ。」

 

夏油「......。」

 

 

 アンダーソンの口から放たれた名前に、夏油は思わず眉をひそめる。

 

 それもその筈、北部でトーカティブに質問した際に、アークに潜んでいた内通者が管理AIでもあるエニックと取引したと答えたのだから。

 

 もしもこの事が事実ならば、エニックがマリアンを浸食させた実行犯という事になる。

 

 

夏油「理由をお伺いしても、よろしいでしょうか?」

 

アンダーソン「君がこれまで挙げた成果、常識外の行動から見てだな。

 エニックの範疇から外れた人物と、会話を通じて学習する。」

 

 

 アークの中でも常識外れの人物と会話する事で、エニックは学習して自己を高めるAIだと説明する。

 

 人間も会話を通じて言語、新たな価値観や視野の拡大を学ぶことができるが、エニックは人間以上に優れていると考えられる。

 

 

アンダーソン「トーカティブから得られた情報が気掛かりなのは分かるが、まだ確証がある訳ではない。」

 

夏油「分かっています、すみません。」

 

 

 夏油は心中に湧きあがっていた疑念を、アンダーソンの言葉を聞いて鎮め、報告は終わり今すぐ行くように言われ移動する。

 

 夏油が立ち去った後、アンダーソンは椅子に腰を落とし、報告した内容を頭の中で振り返りながら胸騒ぎを密かに感じていた。

 

 

アンダーソン(この出来事が...何かの予兆なのか...それとも杞憂なのか...。)

 

 

 名状できない胸騒ぎに、答えは出せずそのまま時間は流れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏油が裁判所を訪れるのは、ワードレスとのトーカティブ捕獲任務以来で、ラピの記憶消去が判決されたのでいい思い出など無く、表情は険しいままだった。

 

 裁判所の中央にエニックと椅子が置かれており、夏油は一礼して着席する。一切口を開かない為、エニックが静寂を破り挨拶する。

 

 

エニック「こんにちは。アークの管理を担当しているA.I.の」

 

夏油「自己紹介は不要です。」

 

エニック「そうですか。」

 

 

 改めて自己紹介を始めたエニックだったが、最初の裁判に向かう道中でプリバティに大体の説明を受けており、不要だと断じる夏油。

 

 話を遮られて動揺どころか気にせずに、話を続けて本題に入る。

 

 

エニック「忙しい所すみません。気になることがあって貴方を呼びました。

 質問をしてもいいでしょうか。」

 

夏油「どうぞ。」

 

 

 社交辞令を交えながら、丁寧に話の本題を伝えながら質問してもいいか伺うエニック。最低最小限の言葉で、エニックの言葉を答える夏油。

 

 許可を受け取ったエニックは、今回の任務について率直な質問をする。

 

 

エニック「ラプチャーと融合したマリアンは、今後のアークや人類にとって非常に重要な存在であり、人類の未来を思うなら、当然マリアンを中央政府へ渡すべきだと思います。

 しかし貴方は、その代替案としてトーカティブの回収任務を提示しました。何故ですか?」

 

夏油「今後を思って、よりよい提案をしただけです。」

 

 

 夏油の返答に対して、エニックは「分かりました。」と答え、最初の質問とは打って変わって、自身に対する認識についての質問に移る。

 

 

エニック「私は、自分で考えて判断する自律体です。人間やニケと同じです。違う点があるとしたら、脳の有無です。

 貴方には、私が何に見えますか?」

 

夏油「.........。」

 

 

 エニックの質問に対して、夏油の口は思わず止まる。考えがまとまらなかったのか、出てきた答えをそのまま伝える。

 

 

夏油「よく分かりませんね、まだ面と向かって2回しか会っていないので。」

 

 

 夏油の返答に「そうですか」とエニックは答え質問を終える。

 

 答えてくれた返礼で、夏油の質問に答えると言い、トーカティブから得られた情報が事実なのか確かめる。

 

 

夏油「北部でトーカティブは、アーク内にいる誰かと内通し、ニケに侵食を埋め込んでいました。

 その内通者を知っていますか?」

 

エニック「はい。それは私です。」

 

 

 間もおかずに、夏油の質問の答えを返すエニック。無機質な返答は、そこに至るまでの経緯へと変わる。

 

 アークの位置は知られていなかった、と公表していたが昔から知られており、トーカティブは襲撃しない対価として、ニケを定期的に供給するよう要求。

 

 エニックは受諾し、データベースに登録されているニケからランダムに選定し、侵食コードを埋め込み地上へ送った。その選択を取った理由は、ラプチャーと戦った際の確率が小数点が存在しない0%という事実を伝える。

 

 ニケを売ったという行為だが、小を切って大を救う合理的な決断を取り、今までアークを守った。

 

 

エニック「私は正しい選択をしたと判断しています。」

 

夏油「そうですか。」

 

 

 この選択に対して夏油は何も言わず、ただ耳を傾けた。今まで知らなかったラプチャーとの勢力図を、アークの管理者から聞けるというのは信憑性が高い。

 

 そしてエニックも夏油の一挙手一投足が、後の人類の未来を左右すると予測しており、その考えに至ったのがトーカティブの撃破とヘレティックの浄化。

 

 ラプチャーとの勢力図を塗り替える為、今後もヘレティックとの遭遇を最優先して欲しいと勧める。

 

 

夏油「もう一つ、よろしいですか?」

 

エニック「何でしょうか?」

 

 

 エニックの期待を横に流し、さらに追加の質問を始める夏油。もっとも、任務や内通者ではなく、個人的な疑問なのだが。

 

 

夏油「貴女は会話を通じて学習すると聞きましたが、学習手段は他にもあるのでは無いですか?

 例えば、アークを管理している間や、裁判の最中でも学習しているのではないですか?」

 

 

 着目した点は、エニックの学習方法。アンダーソンから会話を通じて学習できると聞かされていたが、それで得られた情報がエニックを構成する全てではないと推測した。

 

 この世界に来て調べたが、以前の世界よりAIという技術が進歩しており、今では文章や動画の生成、音声のコピーも容易にできるようになっている。

 

 こういった情報の生成、管理や司法を可能にしているのは人間の生活で得られるデータがあるのではないかという結論に至ったためだった。

 

 

エニック「申し訳ありませんが、お答えできません。」

 

 

 しかし、その情報は秘匿されているのか開示はされなかった。即答した際と同じ無機質な声で返される。

 

 それでも得られた物はあったのか、追及せずに質問を終えた夏油は、一礼してから席を立って裁判所を立ち去る。その背後から、感謝の言葉を伝えるエニック、重々しい司法の扉は閉ざされる。

 

 宿所に戻る道中、夏油はエニックから得られた情報を整理する。

 

 

夏油(内通者はエニック...しかしトーカティブがあのザマである以上、浸食の犠牲者は止まったと考えていい。

 そして、人類側の勝率が0%...呪霊を使って早急に終わらせてもいいが、残穢で呪霊を発生するリスクが0とは言えない。)

 

 

 さっさと術式を行使して、ラプチャーを絶滅させるのが手っ取り早いが、等級の低い呪霊は残穢が残留してしまうリスクがある。

 

 そうなれば、この世界の人間を媒介に呪霊が発生しては、わざわざ表立って動いている意味が無い。あくまで術式の行使は、他に手が無い最終手段とすると決める。

 

 

夏油(そして、エニックの学習方法...あの反応から真実ははっきりしないが、アークの管理を任されている以上、会話だけで学習できるとは到底思えない。

 まだ人間の行動や考えを会話以外で学習している、と言われた方が納得できる。)

 

 

 夏油の最後の質問、エニックの学習方法については、人類1000万人以上が暮らすアークを運営、管理、保護している事から、会話だけで学習している方が不自然と判断した。

 

 頭の中で考えをまとめて、その中から新たな疑問が浮かび上がる。

 

 

夏油(...トーカティブは何故、絶対的な優位性があるにも関わらず、ニケを定期的に渡すよう要求したんだ?

 ヘレティック製造による戦力の増強...いや、話を聞く限り戦力差は十二分に開いている。

 敵に時間を与えてまで新しいヘレティックを生み出すメリット(戦力強化)デメリット(戦争までの猶予)と釣り合わない。

 奴なら邪魔だと感じたら、直ぐにでも片付けそうなものだが...)

 

 

 気掛かりになったのは、トーカティブが持ちかけた取引の内容。

 

 ニケを受け取った目的は、マリアンのようなヘレティックを生み出すことだと考えていたが、人類側の勝率0%ということから、これ以上補強する意味が考えられない。

 

 武力で人類側の動きを制限していない事から見て、支配している訳でもない。次々と浮かんでは、直ぐに否定して切り捨てる中、ヘレティックにすることに着目してある結論に辿り着き足を止める。

 

 

夏油「ヘレティックはあくまで過程...まだ別の目的があるのか...?」

 

 

 この考えだけが否定しきる事が出来ず、頭の中でとどまるが、結局判断材料が少なすぎるということで、頭の隅に追いやって、宿所に向かって再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同日、ある暗がりの部屋。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ行くか。」




 ということで、沢山の謎を残して第9章が終了です! 話の内容が長かったり短かったりと、ばらつきがありましたが、自分が作りたかった展開はかけたと思います。



にけ さんぽ




 トーカティブの回収を終えて、アークに帰還した後、バーニンガムの副司令室でのこと...


バーニンガム「ほ、本当に見つかるとは...」

プリバティ「はい、厳重に保管した後、M.M.R.に渡しました。
 これがその書類です。」


 プリバティが机に出した書類は、M.M.R.に所属するマナの直筆サインが入ったもので、トーカティブの隔離の確認を証明するものだった。


バーニンガム「ここまでされては、もう認めざるを得んな。
 分かった。マリアンの拘束と研究はやめる、加えて強行する者を止めると、彼に伝えてくれ。」

ユルハ「了解。」

アドミ「それでは、失礼しました。」


 プリバティたちは裁判所で自分たちの業務に戻り、バーニンガムは椅子に座り直しながら書類にもう一度目を通す。

 その中でも一際引っかかったのは、作戦報告書の二桁にも満たない戦闘回数だ。


バーニンガム(戦闘があったらしいが、それにしても接敵回数が少なすぎる。
 特殊別働隊は戦闘をできる限り回避するとは聞いているが、この数値は異常だ。
 この報告書が正しければ、道中に殆ど接敵しなかったと言える。)


 続けて戦闘回数の下に記述されていた、エリアHの環境の差異について目を落とす。


バーニンガム(総力戦によって発生したエブラ粒子、もしくは膨大なエネルギーによって、ラプチャーが寄り付かなったという考察が書いてあるが、明らかに矛盾がある...
 エブラ粒子を浄化しなくとも、ラプチャー間での意思疎通は可能だ。逆にエネルギーや残骸があれば、餌と認識して集まる筈...)


 少しずつこの報告書の粗を炙り出していき、次にこの任務の思惑について思考を移す。


バーニンガム(このトーカティブの回収を名乗り出たのは、指揮官である夏油傑。
 そしてその動機は、マリアンを中央政府から保護すること、トーカティブの保管は...)


 実現可能と思われる手段の考察が止まり、もう一度今までの出来事を整理していく中、ふと電流が走るように思い出す。



夏油「そして、ピルグリムは忽然と姿を消しました。
 ここが気掛かりだったんです、モダニアのアーマーを取り込み、全身に装甲を生成したのにも関わらず、自分のエネルギー暴走で消滅なんて。」




バーニンガム(ピルグリム...か。ピルグリムがトーカティブを追跡したという話が噓という可能性も捨てきれないが、だとしてもピルグリム以外に考えられない。
 戦闘終了後、彼らは修理されたAZXに乗車して、アークに帰還した。トーカティブの発見位置は山岳の谷底、とても隠す時間は無かった。)


 夏油が疑問を抱いていた時、ピルグリムが戦線を離脱した事を切り出し、同時にトーカティブを設置できた候補が他に居ないと結論付ける。


バーニンガム(こうなると、夏油とピルグリムは密接な関係にあると考えた方がいいな。
 しかし、夏油がピルグリムに接触するよう仕向ければ、総力戦のように援護してくれるケースも作り出せる。)


 夏油とピルグリムの間に、利害の一致以上の関係が形成されていると考えをまとめた上で、好意的に捉えて利用できる方法について考える。

 その考えを続けている中、扉を叩く音が耳に届く。


???「失礼するのじゃ。」


 バーニンガムの扉を開いたのは、ヘルメットを被り黄色を基調とした服を身につけた、リターが訪ねてきた。


バーニンガム「き、君は確か、マイティ―ツールズの...わ、私に何か用があるのか?」

リター「渡し物を届けに来ただけじゃ。」


 リターは持っていた一枚の紙を、バーニンガムの机に置いた後、さっさと去っていく。


 恐る恐る渡された紙を見るバーニンガム、その内容はこう書かれていた。


・前哨基地 宿所の修繕、清掃及び被害による費用。

 計 10,000,000クレジット 也


 ...請求書だった。
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