特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 メインチャプター45と46を見たんですけど...自分だけなのか感情の起伏が激しくなりました。

 イベントストーリーもこれから見る予定なのですが、ちょくちょく見えた文面から既に嫌な雰囲気が漂っていますよ...


一緒なら

 ケトゥスとの戦闘後、エキゾチックの裏切りによって夏油が負傷、反転術式で治癒した後にピルグリムの捜索を開始しようとしたが、何者かに連れ去れた。

 

 その後ラピたちは追跡しようとするが見失い、別れて探索して呪霊を発見、現地で合流する事になり待機するように指示を受けた。

 

 

夏油「皆、心配をかけてすまなかった。」

 

ネオン「師匠!」

 

アニス「指揮官様!!」

 

 

 白が広がる雪原に見えた人影が、こちらに向かって手を振って近づき、次第に見覚えのある面影だと分かりかけ寄った。

 

 アニスは夏油の体に異常が無いか調べ、ネオンは分かりやすい合言葉で確認する。

 

 ラピも後に続いて合流し、無事を確認した。

 

 

アニス「急に消えたからどうしたのかと思ったわ...」

 

ラピ「指揮官を連れ去ったのは誰だったんですか?」

 

夏油「それがスノーホワイトとは別のピルグリムだったんだ。」

 

 

 口から出てきた情報に唖然とする面々、今まで地上に出て遭遇したのがごく僅かだったピルグリムが、最近になって遭遇率が上がり始めた。

 

 

ネオン「そんなに遭遇する存在でしたっけ?」

 

アニス「指揮官様がおかしいだけだから。」

 

夏油「まあ詳しい話は歩きながら...?」

 

 

 連れ去られた顛末について、4人に説明しようとした矢先、口を開いていないマリアンに目を向ける。

 

 

夏油「どうしたんだいマリアン?」

 

マリアン「指揮官...一つ質問しても良いですか...?」

 

 

 顔が項垂れ声色が暗いマリアンを見て、真剣な話だと悟り雰囲気がガラリと変わる。

 

 顔を上げて声色が暗いまま、夏油に質問する。

 

 

マリアン「エニックが無作為に侵食を誘発させ、私のようにニケを地上へ送っていたのは本当ですか?...」

 

夏油「......。」

 

 

 マリアンの質問にラピたちも硬直し、ただ2人を見つめ信じられない様子を見せる。

 

 

ラピ「エニックが...!?」

 

ネオン「信じられませんよ!」

 

アニス「そもそも、何でエニックが侵食の技術を持ってる話になるわけ!?」

 

 

 当然の反応、人類の守護者であり管理者のエニックが、ラプチャーが有利になる行動の意図が分からない。

 

 その意図を、マリアンから聞こうとしたその瞬間。

 

 

夏油「本当だ、エニックが侵食を引き起こした。」

 

 

 夏油がマリアンの質問に答える。夏油以外はエニックがそうする意図が見えず、ただただ困惑と疑念が生まれ続ける。

 

 

ネオン「ちょっ、ちょっと待って下さい...訳が分からなくなってきました。」

 

ラピ「指揮官、詳しく聞かせてくれませんか?」

 

 

 ラピの要望に夏油は頷いて答え、4人にエニックから明かされた事実を話し始めた。

 

 現在ラプチャーと戦闘した場合、人類の勝率が完全な0%である事、知られずにいたアークの位置は既に知られていた事、アークに侵攻しないという対価に、ランダムで選定したニケに侵食を引き起こし地上に送る取引を結んだ事を伝えた。

 

 皆がかつて学んだ状況と全く異なる事に驚愕し、夏油の言葉を聞き入っていた。マリアンの浸食を引き起こしたエニック本人から聞いた事を、全員聞き漏らさないように耳を傾けていた。

 

 

ラピ「まさか、エニックが...」

 

ネオン「というか勝率が小数点無しの0%って、本当に一部の望みもないじゃないですか...。」

 

 

 信じられない出来事の連発に、若干オーバーフローを起こしながらも、必死に事実だと認識する3名。その中の1名は、この話題を作り出した人物について焦点を向ける。

 

 

アニス「待って? エニックが浸食していたってマリアンが切り出したわよね?

 指揮官様に聞いてたけど、どうやって知ったのよ??」

 

 

 衝撃的な内容で意識の外に行っていたが、ラピ、アニス、ネオンが知らない侵食を引き起こした存在と、詳しい内容を夏油が知っていて尋ねた事はかなり不自然だと気づく。

 

 指摘されたマリアンは、視線を逸らしながらもケトゥスを撃破する為に追撃した時の出来事を伝える。

 

 黒いフードを身につけたニケ ミールが現れた事、そのニケが何故かトーカティブとエニックが取引していた事を知っていたと話した。

 

 アークで製造されたニケとは思えず、イサベルやスノーホワイト同様に新たなピルグリムだと分かる。

 

 

夏油「私だけで無く、マリアンも...」

 

ネオン「まるでピルグリムのバーゲンセールですね。」

 

アニス「でも、指揮官様を連れ去った奴とミールっていうニケ、スノーホワイトとは別の目的で動いてそうよね?

 ミールって奴はまんまラプチャー側に思えるし。」

 

ラピ「ピルグリムにも、複数のグループが存在するって事でしょうね。」

 

 

 マリアンと夏油から聞いたミールとイサベルが、スノーホワイトとは全く違う考えを持って行動している事から、ピルグリムも複数のグループ、もしくは個人で行動していると仮定。

 

 中でもミールは、ラプチャー勢力に加担しているようで、各自接触した際に厳重注意すると決める。

 

 

アニス「なんか大事になって来たわね、一度戻った方がいいんでしょうけど...」

 

夏油「みんなには悪いけど、このままスノーホワイトと合流するよ。」

 

ラピ「ラジャー。」

 

ネオン「当然です、我々に後退のネジは無いので!」

 

アニス「アンタだけだし、そのネジはA.C.P.U.に行って探して来なさい。」

(≖ࡇ≖)

 

 

 監視を言い渡されたエキゾチックの裏切り、未知のピルグリムとの遭遇、生還しているなら直ぐにでも撤退し、部隊を整えてから出直す方が良い。

 

 しかし夏油の負傷は治癒されて、ラピたちもあまり負傷していない状態であり、ピルグリムの探索は問題無い状態と判断した。

 

 加えて夏油の力を知らないエキゾチックが居なくなった事で、術式を行使できるようになり戦闘の補助が可能になった。

 

 

ネオン「さあ、ピルグリムを求めて三千里です!」

 

アニス「冗談でも1200km歩くなんて言わないで。」

 

 

 意気揚々と一歩を踏み出すネオンに続き、アニスとラピも付近の捜索を始める。

 

 夏油も動き出そうとしたが、マリアンが立ち止まっていることに気づき声をかける。

 

 

夏油「?...マリアン、どうしたんだい?」

 

マリアン「......。」

 

 

 声に反応して顔を上げるマリアン、その表情は未だに不安が拭えず怯えていた。

 

 夏油はその不安を汲み取り、ラピに先に行くように指示を送り、マリアンに歩み寄る。

 

 静かに立ち尽くしていたマリアンは、夏油が近づいて来たと分かった瞬間、小さい声で伝える。

 

 

マリアン「実は...ミールというニケが...まだ私にラプチャーが残っていると言ったんです...

 そのラプチャーって...消えた筈の...モダニアかもしれないんです......」

 

 

 両腕で震えを止めるように、自分の体を抑えるように抱きしめる。風化して消えたと思っていた記憶が、周りを覆っていた錆が剥がれ、戻ったばかりの楽しい思い出を鮮血に染めていく。

 

 ミールのから伝えられた情報が嘘なら、ここまで深刻になる事も無かっただろう。

 

 しかし、夏油が取引の詳細を知っている事から、ラプチャーが残っている事が事実という可能性が浮上し、疑念が不安となりマリアンを苦しめていた。

 

 

マリアン「怖いんです...みんなが離れていくのが...私がみんなを傷つけてしまう事が...。」

 

 

 孤立してしまう恐怖と、(あや)めてしまう恐怖が、マリアンの不安の正体だった。

 

 考えれば考える程、モダニアが復活する危険性がある以上、アークには居られなくなるという思考になっていく。

 

 孤立する恐怖は消えないが、仲間を殺めてしまう恐れは無くなる。

 

 それでも決断を躊躇っていた。自分からモダニアの意識が残っているから、アークから離れると実行できずに立ち止まっていた。

 

 

夏油「皆を傷つけたく無い、けれど1人になりたく無い、決められず私を待っていたんだね。」

 

 

 夏油が反復した心情を改めて聞き、自身に不甲斐無さを感じながら頷く。その反応を見て、「そうか。」と一言(こぼ)しマリアンの頭をそっと撫でた。

 

 

夏油「よく私に相談してくれた、君は強い子だよ。

 大丈夫、君は私が守るし皆も君を守ってくれる。」

 

 

 誰かに秘密を明かす事、その行動にどれだけの勇気が必要か、夏油はよく分かっている。

 

 今ではルドミラから始まり、アンダーソンにイングリッド、そしてラピとアニスにネオン、マリアンに正体を明かした。生前で心中を明かせずに終えたからこそ、マリアンの勇気を純粋に賞賛したのだ。

 

 夏油の対応に、マリアンは戸惑いながら慌てふためいていたが、続けた夏油の言葉に目を見開く。

 

 

夏油「それに、これからピルグリムと合流して、アンチェインドの製法について聞きに行くんだ。

 もし出来上がってアンチェインドが余ったら、君に使って完全にモダニアを消そう。」

 

 

 侵食の対抗策とニケが不要になった時のNIMPHの除去手段として、アンチェインドを生産できるようにピルグリムを探しに来た。

 

 余るどころか生産出来るか分からないが、それでも夏油の提案が2つの恐怖を拭える。与えられたその提案は、眩しく映り頼りたくなった。

 

 鮮明に映っていた夏油の顔が、濁り始めて輪郭が見えなくなってしまい、目を擦る。

 

 

マリアン「ありがとう...ございます。」

 

夏油「この事は私たちだけの秘密にするかい?

 それとも、私から伝えておこうか?」

 

 

 命運を預けて頼ったが、頼りっぱなしで終わるつもりは無く、小さい歩幅でも一歩ずつ踏みして強くなると決意する。

 

 

マリアン「いえ...私から話します。」

 

夏油「そうか、じゃあ行こう。皆が待ってる。」

 

マリアン「はい!」

 

 

 先程まで抱えていた恐怖を脱ぎ捨て、軽い足取りで夏油について行く。彼女に降りかかる苦難と葛藤は今後も続く、その度に彼らを思い出し、勇気を抱きしめて踏み出して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マリアンが移動中にラピたちに秘密を明かし、余剰分のアンチェインドをマリアンに使う事を決めて、ピルグリムの捜索を再開した。

 

 

アニス「そうなるとそのミールって奴、本当に何者なのかしら。」

 

ラピ「侵食されていた事、ヘレティックに関する知識も私たちより持っていそうね。」

 

ネオン「ラプチャー側に潜り込んでいるスパイでしょうか?」

 

アニス「無いでしょ、アンタじゃあるまいし。」(≖ࡇ≖)

 

 

 ミールの正体について話し合うが、一向に掴める気配が無く各々の考えを共有する。

 

 結局分からず話は終わると同時に、ピルグリムがいるであろう区域に到着する。

 

 ラピたちはラプチャーが潜伏しているか確認した後、周囲を見渡し人影を探し始めた中、こちらに手を振って声をかけてくる人影が見える。

 

 

??????「あの〜! すみませ〜ん!」

 

ネオン「聖女ですね...」

 

アニス「見本のようなね、ここら辺に教会があるのかしら...」

 

 

 極寒の北部で聖女の格好をしているニケがいるという景色に、戸惑いを隠せないネオンとアニス。マリアンも唖然としていたが、ラピは近づいて来た聖女に銃口を向ける。

 

 

ラピ「止まって、その場で両手を上げて。」

 

??????「はっ、はい...!」

 

 

 ラピの言う通りに、聖女は杖を地面に置いてその場で両手を上げる。他に武装に当たりそうな物が無い事を確認した後、尋問を始める。

 

 

ラピ「貴方は何者なの?」

 

??????「す、すみません。初対面でしたよね。

 私の名前はラプンツェル、スノーホワイトと同じピルグリムです。お話は伺っていますよ、カウンターズの皆さん。」

 

 

 アークでは見かけないニケという事から、ピルグリムに成り済ました偽物か、イサベルのような別勢力かラピは警戒引き上げて武器を構える。

 

 しかし、イサベルは夏油の名前が分からなかったのに対し、ラプンツェルは分隊名を知っている事と、知られていないであろうスノーホワイトの名前が出てきた事から、本物のピルグリムと断定する。

 

 

ラピ「ごめんなさい、ここまで来るのに色々あって警戒していたの。」

 

ラプンツェル「謝らなくてもいいですよ、地上は命を落とす危険性と隣り合わせ。

 全ての人々が()い人でもありませんから...」

 

 

 ラピの謝罪にラプンツェルは気にしていない表情で、杖を手に取り握手を交わしながら自己紹介する。

 

 

アニス「アニスよ、よろしく。」

 

ネオン「ネオンです、スパイしています。」

 

ラピ「私はラピ。」

 

マリアン「マリアンです、よろしくお願いします。」

 

夏油「夏油 傑だ、スノーホワイトには何度も窮地を助けて貰った。

 改めて感謝するよ。」

 

 

 全員の自己紹介に相槌を打つように、頭を下げながら丁寧に挨拶するラプンツェル。夏油の自己紹介で、スノーホワイトの話を聞いて嬉しそうに微笑む。

 

 

ラプンツェル「こちらこそ、総力戦の時にご助力頂きとても感謝しています。」

 

 

 会話の中から少しずつラプンツェルについて知しっていく面々、優しい声で丁寧な言葉を紡ぐ事から、かなり親しみ易く温厚な印象を感じる。

 

 

アニス「スノーホワイトとは反対ね...」

 

ネオン「ええ。スノーホワイトは無愛想でしたけど、ラプンツェルは親近感があります。」

 

マリアン「確かに無愛想ですけど、とっても優しいですよ?」

 

ラピ「ともかく、ピルグリムに出会えたのは好都合ね。」

 

 

 スノーホワイトとの会話が殆ど無かった事から、ピルグリム全員が似たような人物なのかという印象があったが、友好的な人物がいる事に意外だったアニスとネオン。

 

 

ラプンツェル「ところでブラザー...?」

 

夏油「ブラザー、私のことかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラプンツェル「はい。胸と尻、どちらが好みですか?」

 

 

 

 

夏油「......は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真顔で自分の身体、胸と尻に手を添えて夏油に見せるラプンツェル。後ろで話していたラピたちも、夏油と同じように鳩に豆鉄砲食らった表情で固まっていた。

 

 次第にラプンツェルの様子がおかしくなり、鼻息が荒くなり白く濁った吐息を口いっぱいに吸っては吐き出しながら紅潮する。

 

 

ラプンツェル「恥ずかしがらなくとも良いんですよ...はあっ...私は全てを受け入れますっ...色欲も欲情も全て...はあっ...!」

 

 

 身体をくねらせながら夏油を見つめるラプンツェル、この姿を見た全員は親しみやすく温厚なラプンツェルの印象が粉々に砕け、変態という認識に改める。

 

 「いけませんっ...! そんな目で私を求めては...でも、私はニケ。貴方に逆らえません...!さあっ!溜まりに溜まったその肉欲を私にぶつけて下さいっ!!」と勝手に盛り上がっている。

 

 何はともあれ、当初の目的であるピルグリムと接触する事は達成できた。しかしどうやってこちらを見つけられたのか、気になってラプンツェルに質問する。

 

 

マリアン「...そういえば、どうやって私たちを見つけられたんですか?」

 

アニス「あなたよくこの状況で質問できるわね...」

 

 

 マリアンの声を聞いて、冷静になったラプンツェルは、見つけたきっかけを与えてくれた人物に顔を向けて紹介する。

 

 

ラプンツェル「実は私が皆さんを見つけたのではありません。道中に知り合った()のおかげなんです。」

 

 

 向けた手の先に視線を向けるが、誰もおらず雪原が広がっていた。目を凝らして見渡してみるが何処にも人は居らず、手のひらで方向を示したラプンツェル自身も、見失ったのか頭を振って探す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏油の背後から聞こえたなんて事ない呼びかけ、しかし聞き馴染みのある声で、体が硬直する。

 

 ラピたちも驚いて振り返ると、1人の男が立っていた。

 

 下にハイネックを着込み、上に簡素な白い羽織に梵天房と袴、ネックウォーマーを身につけた和と洋を融合させた服装だが、気さくに声をかけてきた男からは、荘厳な出立ちと気配を感じる。

 

 

「傑。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は......?」

 

 

 名前を呼ばれ振り返り、信じられない光景を見たように思わず声が溢れる。

 

 白髪で自分より一回り長身、非常識でひょうきんだが逆らえず、睥睨のみで射殺す威圧を放てる男。

 

 今際の際まで、親友と言ってくれたその男が、今笑顔を見せて目の前に立っている。

 

 

「久しぶりだな。」

 

 

 身体を向けて硬直したまま、男を凝視する。笑顔で閉じていた瞼が開かれ、青空を映し出したような珠玉の如く美麗な瞳が現れる。

 

 

アニス「いつの間に背後に!?」

 

ネオン「というか男ですよこの人!!」

 

「何処をどう見たら

こんな良い男が女に見えんの?」

 

ラピ「貴方っ...何者なの!」

 

マリアン「というか指揮官の名前を...」

 

「なんだ、傑から聞いてないの?」

 

ラプンツェル「ブラザーと知り合いだったんですね。」

 

 

 各々が男と会話し動揺や、知らなかった様子を見せている。

 

 ただ1人だけ、その場に立ち尽くし男から目を離さず見つめ続ける。

 

 

(偽物...それなら呪力の性質が変わっている...)

 

(変身の術式...ならこんなに呪力が凪いでいる訳がない...)

 

 

 目の前にいる男が本物か否か、数刻という時間の中であらゆる可能性を挙げるが、どれにも当てはまらないと結論づける。

 

 

「悟...なのか...?」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 遂に夏油の口が開かれ、男の名前を呼ぶ。その名前に聞き覚えがあったラピたちは、瞬時に思い出す。

 

 

ラピ(確か指揮官が呪術師だと明かした日...)

 

マリアン(ちょっとした疑問で質問した時に...)

 

アニス(唯一名前が挙がった呪術師...)

 

ネオン(この人が...)

 

 

((((呪術師最強、五条 悟......!!))))

 

 

 総力戦を終え宿所で打ち上げした時に、夏油と同じ等級に分類され、その中でも頂点に君臨する最強の呪術師だと伝えられたことを思い出す。

 

 モダニア戦で夏油の戦いを見た後、更に強い存在なんて考えられなかった面々は、無意識に体が萎縮して戦慄する。

 

 そんな彼女たちの事など知らないと言うように、五条は疑っている夏油に軽口を言いながら落胆した様子を見せる。

 

 

五条「おいおい傑、俺が偽物に見えるのかよ。」

 

夏油「......。」

 

 

 五条の落胆に対して、夏油は無言で返答する。沈黙する夏油に失望しそうになるが、その表情と認識はすぐに改められる。

 

 

五条「...ああ、そういうことか。まあ仕方ないよな。

 ったくあの雑巾ホント面倒くせー...」

 

 

 雑巾という単語に困惑している中、五条は澱みない足取りで夏油に近づき一言だけ伝える。

 

 

「お前は俺の親友だよ、たった一人のな。」

 

夏油「!!」

 

 

 死の間際告げられた言葉を、改めて伝えられる。自分の意義も理由も見失って敵となったのに、それでも見捨てなかった男の言葉。

 

 疑念が確信に変わる、今目の前にいる男は、正真正銘本物の 五条 悟 だと魂が肯定する。

 

 

夏油「そうか...そうなのか...悟も()()()に来たのか...」

 

 

 再会を遂げたというのに浮かない顔をする夏油に、五条は分からず頭を傾げる。無理もない、夏油が前世で命を落とした後にこの世界に来た、そうなると五条も同じ前世で命を落としたことになる。

 

 無論五条は死んだことを自覚してこの場にいる、それでも夏油は敗れるイメージすら湧かなかった親友がこうして現れた(死んだ)事を認めたくなかった気持ちがあったのだ。

 

 夏油が滅入っている中、五条は肩を音が出るほど強く叩く。

 

 

五条「何塞ぎ込んでんだよ、俺だって死ぬ時は死ぬんだよ。」

 

夏油「そうだが...こうして目の当たりにするとは思わなかったんだ...。

 君()最強だから...だが、私の目標で憧れだった君が死んでしまうなんて...」

 

 

 夏油の表情から目標であり憧れだった親友の死に、やるせなさを感じられてそのまま立ち尽くしたまま時は流れた。

 

 しかし、この静寂を破ったのは、黙り込んでしまった夏油だった。

 

 

夏油「すまない......君を、君たちを裏切った私が言えることではないな...。

 今のは忘れてくれ...。」

 

 

 あまりにも身勝手で、横暴な夏油の本心。

 

 信頼と確信があったからこそ、夏油は五条 悟を最強と称した。

 

 確固たる考えが覆り、顔と共に背けていた事実に目を逸らす。

 

 だがこの考えを押し付けるのは間違いと気付いて、五条の顔を見て謝罪する。

 

 

五条「―――。」

 

 

 夏油の瞳が捉えた表情は啞然、まるで考えていた行動とは全く違い予想外だったと言わんばかりの顔が目に入る。

 

 生前離反して本心を最後の最後に少し明かした友が、今自分の前で心から羨望と嫉妬の感情を露わにしている。

 

 何故五条が驚いているのか分からず、気がかりになってもう一度名前を呼ぶ。

 

 

夏油「?...悟..」

 

五条「プッ―」

 

 

 同時に五条の口から、小さい空気の一塊が思わず漏れ出す。

 

 両手で腹を抑え身を震わせながら、上半身が曲がり下へ項垂れていく。

 

 益々不安になる夏油だが、そんな心配は直ぐに消えた。

 

 

五条「ブッハハハッ!!!」

 

 

 項垂れていたと思っていた半身を勢い良く上げて、大きな声で笑い飛ばしていた。

 

 腹から声が出て、若干目元には笑い過ぎて涙が見える。

 

 言い淀む事や怒りをぶつけられる事はあると考えていたが、笑われるとは思わなかった夏油たちが今度は啞然とするが、直ぐに笑う五条に理由を問いただす。

 

 

夏油「なっ、何が可笑しい...!」

 

五条「だってよ...プッ...ククク、頭も性格も頑固(カッチカチ)でっ、自分一人で抱え込む先走りの傑がっ...

 ちゃんと面と向かってごめんなさいって、思い出すだけでも可笑しいって...アッハハハハッハハ!!!

 

夏油「なっ...!?」

 

 

 人が真剣に話している時に、茶化しながら煽ってくる五条に怒りを覚えつつ、笑う理由が分からず困惑している。

 

 しかし笑われるのは居心地が悪いので止めようと動く前に、ひとしきり笑い終え涙を指で拭った五条が、額をくっつけて聞こえるぐらいの小さな声で短く伝える。

 

 

「やっと本心を言ってくれたな。」

 

 

 その言葉に呆気に取られ、先程まであった怒りと鬱憤はどこかへ消えて、生前の出来事を振り返る。

 

 星漿体護衛任務の後、反転術式の併用で術式を回し続けた五条を見た時、旧  村の一件と灰原の死、今後の自分のあり方について。

 

 これらで膿んで大きくなった毒は、結局吐き出すことなく身に宿したまま世を去った。だが今、無意識に自分が五条に向けていた考えや、善し悪しの感情を隠さず表に出した。

 

 諭された夏油は口に手を添え、五条は肩を組んだまま続けて話し続ける。

 

 

五条「お前、変わったな。」

 

夏油「......そうかい...?」

 

五条「ああ、()()()が取れたように見える。」

 

 

 夏油が明かさなかった理由は、不安にさせたく無かった事や特級術師としての振る舞いを崩さないことにあったが、一番の要因はプライド、意地でもあった。

 

 弱みを見せたくない、戦闘や呪術で勝らずとも、一つでも強い所や勝っている所を作ろうとした。

 

 呪いの無い世界に来てそれが緩み、自身の弱さを向き合って前に進むようになったことで、皆に頼る強さを学んだ。

 

 五条は夏油がふとこぼした本音から汲み取り、良い変化を遂げたとこの場で気付かせたのだ。

 

 

ネオン「あの~...」

 

アニス「私たちも会話に入れてくれると嬉しいんだけど...」

 

夏油「ご、ごめん...」

 

 

 横から「花束いっぱいじゃん、罪な男だね傑。」と言われながら、声を掛けたネオンたちに謝罪して紹介を始める。

 

 

夏油「悟、仲間のラピ、アニス、ネオン、マリアンだ。

 私と彼女たちはカウンターズという部隊として活動している。」

 

ラピ・アニス「「よろしく...」」

 

ネオン「弟子のネオンです!」

 

マリアン「よ、よろしくお願いしますっ!」

 

五条「東京都立呪術高等専門学校、1年生の担任をしてました~夏油 傑くんの大親友の五条 悟で~す!

 こちらこそよろしく~。あっ、聞きたいことあったら何でも聞いて~。」

 

 

 自己紹介を終えた五条とラピたち、気さくな調子で質問を受け付けると、早速挙手して質問する。

 

 

ネオン「はぁーい! 五条先生!」

 

五条「はい! お弟子のネオン君!」

 

ネオン「呪術高専の先生ってどんなお仕事するんですか?」

 

五条「初っ端から職場についてか。」

 

 

 「もっと別の話題が良かったなぁ~」と小言を零しながらネオンの質問に対して、一日のスケジュールをリストアップする。

 

 

・7時:呪術高専の自室で起床

・7時30分:呪術高専に出勤

・8時30分:稽古や任務の他に、一般的な教養を含めた授業に食事とサボり

・20時:学長他上層部との会談(レスバ含む)

・22時:任務や今後の授業準備に事務作業

・4時:就寝時間

 

 

五条「とまあ、こんな感じかな?」

 

 

 その内容をざっくりと見たラピたちは、スケジュールに所々頭を傾げるような点があり、目に留まったところを各々指摘していく。

 

 

アニス「ハード過ぎない? 命のやり取りしながら授業も考えなきゃならないんでしょ?」

 

五条「任務はいいよ、遊びだし。」

 

ラピ「この...会談は...?」

 

五条「僕の考えを理解してくれないんだよねぇ~、それで呼ばれる事もしばしば。」

 

夏油「君()()()毎日じゃないか?」

 

五条「酷いなぁ、まるで G(グッド) L(ルッキング) G(ガイ) で生徒思いの優しい先生である僕が問題みたいじゃないか!」

 

夏油「問題そのものだろ。」

 

五条「あ゛あ゛?

 

 

 ラピたちが仲裁しながらも楽しげに会話する二人、怒りを収めた後に次の質問を受け付ける五条。続いて遠慮しがちに挙手する人物の名前を呼ぶ。

 

 

五条「マリアンちゃん...だっけ? 何が聞きたいのかな??」

 

マリアン「えっと...指揮官と同じ呪術高専に通っていたんですよね?

 その時の指揮官はどんな人だったんですか?」

 

 

 マリアンの質問にアニスとネオンも気になって食いつく、五条は顎に指を添えて昔の事を思い出しながら語りかけるように教える。

 

 

五条「懐かしいな~、ちょくちょく一緒にやらかして呼び出されてわ拳骨くらってたっけ?」

 

アニス「あの指揮官様が?」

 

マリアン「ちょっと想像できませんね。」

 

ネオン「師匠がそんなことする人間に見えませんのでダウトです。

 そうですよね師匠!」

 

 

 ネオンが信頼して五条の言った事が噓だと言い、全員の視線が夏油に集中するが、当の本人はそっぽ向いて明後日の方向を見ている。

 

 

夏油「ソウダネ、ワタシハソンナコトシナイヨ。」

 

アニス「噓でしょ指揮官様...」(≖ࡇ≖)

 

ラピ「指揮官...」

 

ラプンツェル「それだけやんちゃだった時があったんですね。」

 

五条「アンタは聖女してる時が想像できないけど。」

 

アニス「同感。」

 

ラプンツェル「しっ、してましたよ!?」

 

 

 知らなかった夏油の一面を知って意外だが呆れた視線を送るが、ラプンツェルは賑やかな雰囲気に心地良いのか笑みを浮かべる。

 

もっともラプンツェルが対面して紹介した直後にとんでもない質問したせいで飛び火したのだが、次の質問を受け付けようと五条はまた声を掛ける。

 

 

夏油「悟。」

 

五条「ああ、分かってる。」

 

 

 質問を遮って呼ぶ夏油と、何を気取ったのか理解した五条。この2人以外は全く分からないまま、夏油と五条は振り返り地平線に目を向ける。

 

 ラピたちも夏油たちが見ている方角を凝視すると

 

 

マリアン「っ、ラプチャーの中部隊が接近しています!」

 

ネオン「最低でもロード級ラプチャーが5機見えますね!」

 

アニス「なんで集まってきたのよ!?」

 

ラピ「灯台で戦闘していたことを検知された...?」

 

 

 その視線の先には、ロード級ラプチャーが5機以上集結して中部隊規模の軍勢がこちら目掛けて押し寄せてきている。マリアンが今からでも隠れるか提案するが

 

 

五条「あれもう見つかってるっぽい?」

 

夏油「ああ、間違いなく気取られているね。」

 

 

 潜伏による戦闘の回避と奇襲は不可能と断定、ラピは乱戦を想定しネオンは両頬を叩いて気合を入れて銃を握り、アニスは頭を抱えて質問に夢中になり過ぎたと自責し、マリアンはアニスに「さっさと片付けて続きを聞きましょう!」と激励しながら準備を終える。

 

 

ラプンツェル「私が皆さんを守りながらバックアップします。」

 

ラピ「防ぐ手段があるの?」

 

ラプンツェル「攻撃方向を逸らせるバリアと、皆さんの傷も癒せます。」

 

 

 ラピは武装について詳細を聞き、ラプンツェルは自信を持って武装のRL(ロケットランチャー)のホーリーグレイスを見せるように掲げる。

 

 瞬時にラプンツェルを、遮蔽物が無くなった際に前に立ち、それまでにロード級ラプチャー以外を殲滅する戦略を構築し夏油に提案する。

 

 

夏油「いや、ここは私たちに任せて欲しい。」

 

 

 その前に夏油と五条が、ラピたちの前に出てラプチャーの大群の侵攻方向上に立ち塞がる。

 

 

ラピ「ですが...」

 

夏油「行きは皆に頑張って貰ったんだ、今度は私の番さ。」

 

マリアン「しかし...」

 

五条「賛成、ずっと歩き続けていたから、僕も丁度ウォーミングアップしたかったんだよね。」

 

 

 止まらない2人を呼び止めても効果は無く、ラプンツェルは夏油たちに任せるように皆の肩に手を置く。

 

 2人の足取りは軽く、寧ろ嬉々としてこの状況を楽しもうという気すら感じられる。

 

 

ラピ「有事の際は援護に入ります。」

 

アニス「無理しないでよ指揮官様!」

 

ネオン「火力 on Fireです! 師匠!!」

 

マリアン「見守っていますから!」

 

ラプンツェル「怪我したら言ってくださいね。」

 

 

 彼女たちの激励に、二人は聞こえたように片腕を上げて合図を送る。四つ並ぶ眼の先には、無機質な音を威嚇するように響かせながら迫る黒灰色の大群。

 

 

五条「いい子たちだな、傑。」

 

夏油「ああ、彼女たちには返せない程のモノを受け取った。

 今度はこれから、私が返す番だ。」

 

五条「...そうか。」

 

 

 ラピたちへの思いを聞いた五条は、夏油の表情を見て心底嬉しそうに笑い、準備運動を始めながら勝負を仕掛ける。

 

 

五条「アレ多く潰した方が勝ちって事にするか?」

 

夏油「単純だが、分かりやすいな。」

 

五条「あの子たちに戦闘を任せて、訛ってないよな?」

 

夏油「そっちこそ、天狗になって疎かになっているんじゃないか?」

 

五条「ハッ! 言うじゃん、すぐに吠え面をかかせてやるよ。」

 

 

 準備運動を終えて、再び並び立つ二人。夏油は右手を前に出して黒い渦を生み出し、五条は両手を組む動作を始める。

 

 しばらくその状態を保っていたが、最前線にいるラプチャーの銃口からレーザーが照射され、2人の間を通り過ぎた瞬間。

 

 

バギッ!!

 

 

アニス「あっ? へっ!? 消えた!?」

 

ネオン「あそこにいますよ!!」

 

 

 夏油の隣にいた五条が、最前線のサーヴァント級に飛び蹴りしてコアを蹴りつぶしていた。続いて夏油も前に出していた右手を横に切り、白く雅ながらもおぞましさを感じる龍を突撃させ、その背に乗りながらイカ呪霊の特攻攻撃を開始する。

 

 

五条「おっと。」

 

 

 巻き込まれる前に、真上にジャンプして龍の侵攻を回避する五条。

 

 イカ呪霊の特攻攻撃で、下級ラプチャーの機体の7割に風穴が形成されていき、仕留めきれない機体は龍の顎で食い散らかしていく。

 

 大半のラプチャーは龍に乗った夏油に攻撃を集中させるが、部隊の中心から離れたラプチャーは、空高く飛翔した五条に照準を向け射撃する。

 

 

五条「――。」(ニィッ)

 

 

 地上から放たれたビームと実弾による攻撃、もはや地面が見えなくなるほどの密度で放出された攻撃を、五条は身を翻して全て躱していく。

 

 その表情からは、遊び相手が見つかって純粋に喜ぶ子供のような狂気が垣間見える。

 

 真っ逆さまに地上に落下し、ラプチャーをクッションのように踏み潰し、その残骸から脚部を引き千切り、ブーメランのように投擲する。

 

 脚部は研削円盤のような速さで回転し、綺麗にラプチャーを両断していく。投擲した直後、周囲のラプチャーに急接近し、徒手空拳で粉砕する。

 

 紙一重に躱しつつ、解体のような手際で武装と可動部を丁寧に破壊して、コアを抜き取っていく五条。射線上に立って同士討ちを誘いつつ、生じた隙を見極めて的確にコアを砕いていく夏油。

 

 両者共に呪力強化と持ち前の身体能力だけで、下級ラプチャーの群れを着実に殲滅する。

 

 

ビィイーーー!!

 

 

 怒号のように鳴り響く電子音、ロード級ラプチャー5機が2人に向かってくる。その背後から飛行していた一機の黒いラプチャーが、100km/hを超えるような速度で突っ込んでくる。

 

 

夏油「? よっと。」

 

 

 が、スピードの乗ったボールを奪う様に、そのラプチャーを蹴り上げ

 

 

夏油「悟くん、パス!」

 

五条「オーライ!」

 

 

 回転をかけながら五条目掛けてパスし、

 

 

五条「オーバーヘッドシュート!!」

 

 

 大きくジャンプして、送られてきたラプチャーをロード級目掛けて蹴り飛ばす。コアまでには到達しなかったが、爆散して見事に一機を撃破する傍ら、夏油と五条は上手くいってハイタッチしている。

 

 

五条「ナイパース!」

 

夏油「ナイシュー!」

 

 

 最初の攻撃で分散していた勢力が、続々と集結し始めていくラプチャーが、夏油と五条を囲うように陣形を形成する。

 

 周りを見渡した五条は、準備運動を終える声を掛ける。

 

 

五条「そろそろ使うか? 本格的に。」

 

夏油「そうだね。皆も待ってるし、手早く片付けてしまおう。」

 

 

 そう言って五条は両腕を前に出し、夏油は右腕を空に掲げる。

 

 五条の両手から、蒼い球体が形成され少しずつ大きくなっていく。

 

 夏油が振り上げた腕の先には、黒く小さな粒が練り固められている。

 

 

 

術式順転 (あお)

 

 

 

(うみ)

 

 

 

 五条の両手から放たれた蒼い球体に引力でもあるのか、大気が歪み周囲の小石やラプチャーを見境無く集めていく、さながらブラックホールのように吸い寄せられ一つの塊を形成。

 

 夏油が生み出した黒い粒は、残像を作りながら周囲に点在するラプチャーを目掛けて放出、機体が全て抉り取られる。

 

 ついさっきまで集まっていたラプチャーは、荒廃した世界に残った鉄くずと同じになってしまい、その所業に怒りを覚えたのか、天空から雷鳴を響かせながら翼を翻す巨大なラプチャーが降下してきた。

 

 

五条「何だあれ。」

 

夏油「名前は分からないが、恐らくタイラント級ラプチャーだな。」

 

五条「タイラント級? さっき潰したボード級?より上か??」

 

夏油「ロード級だ、私たち基準で分かりやすく言うなら...一級かな?」

 

五条「一級かぁ...まあ、さっきよりは手ごたえがありそうだ。」

 

 

 期待できなさそうな視線を送っていた五条だが、タイラント級ラプチャーだけ得点を多くしようと夏油と話し合っている中、電子音の咆哮を轟かせ攻撃準備に移る。

 

 

ビィイーーー!!

 

 

 機体から発生したスパークを、両翼で翻した竜巻に乗せて2人に向けて放つ。

 

 

五条「器用なことするねぇ、無駄だけど。」

 

 

 タイラント級ラプチャーの攻撃空しく、竜巻は2人に直撃したように見えたが、見えない壁があるかのように攻撃が逸れてダメージを与えられず霧散した。

 

 

五条「今度は」

 

夏油「私たちの番だ。」

 

 

 五条は空中を飛んでいるラプチャーに開いた右手を向け、夏油は両手で形成した黒い粒を手を組んで圧縮していく。

 

 眼前の2人が尋常ではなく、かつ次繰り出される攻撃が危険だと察知したのか、懸命に攻撃を仕掛けて止めようとするが実る事は無く。

 

 

ウ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛!

 

 

 鎧を身につけた巨大な怪物が、飛んでいたタイラント級を地面に伏せる。五条の右手から赫灼のような球体が、夏油が組んでいる手には異様な空気が高密度で練られている。

 

 

 

術式反転 (あか)

 

 

 

凶星(まがつぼし)

 

 

 

 超高速で放たれた2人の攻撃がコアを起点に接触し、タイラント級ラプチャーの全体を飲み込む程の大爆発を発生させる。

 

 その衝撃は付近のラプチャーのパーツが全方位に弾け飛び、地面と氷が砕け、雪が積み重なって雪崩を引き起こす。

 

 今の状況を分かりやすく言うなら、天変地異を目撃している。

 

 

五条「――。」

 

夏油「――。」

 

 

 数分後には落ち着いて、全員に被害は無かったがそれでも地図の修正が必要な位に、戦場(だった場所)は荒れていた。

 

 この景色を見て、二人は揃って呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はしゃぎ過ぎたな。」

 

「はしゃぎ過ぎたね。」




 というわけで、呪術廻戦から五条 悟参戦です! 約半年ぐらいかけてようやく登場させることができました。

 一応W主人公の立ち位置ですが、本編主人公を夏油、外伝や一部のイベント主人公を五条に当てようかと思っています。



にけ さんぽ




 戦闘終了後、ラプンツェルが他のピルグリムと集まる予定の座標に移動中の事...


五条「それにしても、何だよその格好は、全然似合わねぇww」

夏油「私から見ても、君がそういうしっかりした服装は違和感しかないよ。」

アニス(どんな格好だったのよ...)

マリアン「そういえば、五条さん。」

五条「そんな畏まらなくてもいいよ~?」

マリアン「いえ、この呼び方の方が落ち着くので...」

五条「あぁそうなの? それならいっか。
 それで、僕に質問かな??」

マリアン「五条さんの眼、凄く綺麗だったので気になったんです...」

ラプンツェル「是非私からもお聞かせください。」

五条「この眼ね、それは...」

マリアン「それは...?」

五条「ヒ★ミ★ツ!」

アニス(メンドくさい奴ね、この男...)

夏油「悟の眼は特殊でね、六眼といって呪力の可視化や術式情報の看破、それに緻密な呪力操作を可能にしているんだ。」

五条「秒でバラすじゃん。」

夏油「秘密にするほどのものでもないだろ。」

五条「それもそだね~。」

ラプンツェル「お二人共とても仲が良いんですね。」

五条「まあ1年ちょいとはいえクラスメイトだったから。」

ラピ「でも、ここまで仲が良いのは凄いと思います。」

夏油「それでも度々喧嘩したしね。」

五条「任務中でもあったっけ?」

夏油「そうそう、確か冬虫禍根(とうちゅうかこん)の除去の時に、山を丸ごと抉るとか言ったときは本当に対立したね。」

アニス「や...!?」

五条「だって楽だろ、たった数秒で終わるんだから。」

ネオン「師匠よりネジがぶっ飛んでますね...」

夏油「ちょっとネオンそれどういう意味か教えてくれないか?」

ラプンツェル「フフッ。お二人の事、是非私の仲間たちにも聞かせてください。」

夏油「ああ、分かった。」

五条「別に変な気を起こさないんなら僕も構わないよ。」

ラプンツェル「仲のいい...男二人...男二人...はっ!!」

五条「おっと?」

ラプンツェル「愛し合っている男の恋...はあっ!はあっ!

五条「まぁた盛ってるよこの性女。」

アニス「これが無ければ修道女として完璧なんだけどね...」

五条「修道女なのに欲に忠実ってどうなの?」

ネオン「確かに...身や心を清めて入信できる所もありますよね?」

ラプンツェル「に、人間には...三大欲求があるのですよ!!

夏油「君さっき私はニケだから人間に逆らえないって言ってなかったか?」

マリアン「言って...ましたね...。」

ラプンツェル「つ、罪があっても受け入れるのが私ですっ!! あえて聞きますが、あなた方は性欲をどう発散するのですか!?

ラピ「それは(よこしま)な考えを持っていると自白しているのでは...?」

五条「別に無いでしょ?」

夏油「私も無いな。」

ラプンツェル「ヘェッ!?

五条「というか頭ピンクになって盛ってる奴らって、僕からすれば猿と同じなんだよね。」

ラプンツェル「さっ、猿!? つまり私は獣だと...っ! 何という屈辱...しかし、この高揚感っ! とても心地良いですぅっ!

五条「ダメだこりゃ。」

アニス「あの人にも純粋だったころがあると世知辛いわね...」

ネオン「時間は残酷です...」

マリアン「何であんな恥ずかしい事を...言えるのでしょうか...///

ラピ「深く考えちゃダメよ、マリアン。」

夏油「そう、見ちゃいけません。」

五条「そう、聞いちゃいけません。」
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