特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 前回に比べて二分の一ぐらいの文章量になってしまった...


第11章
久闊(きゅうかつ)(じょ)


 ラプンツェルと五条と合流し、ついでに侵攻してきたラプチャーの部隊を夏油と五条の二人で片付けた後、ラプンツェルにアンチェインドの製法について尋ねる。

 

 しかし、その情報はスノーホワイトとラプンツェル含む3人の秘密らしく、ラプンツェルはピルグリムが集会する場所に案内し、全員に事情を説明する機会を与えた。

 

 そして現在、その集会する場所に向けて移動している道中のこと...

 

 

五条「はぁっ!? 傑ってば死にかけたの!?」

 

アニス「そうなのよ! どてっぱらに風穴空いてホント心臓止まりそうだったのよ。」

 

マリアン「本当に...良かったです...。」

 

五条「なんか僕みたいになってたんだな。」

 

ネオン「五条さんも反転術式を習得した時は死にかけたんですか?」

 

五条「うん、喉ぶち抜かれた後、頭にナイフぶっ刺された。」

 

アニス「指揮官様より瀕死じゃない...」

 

夏油「悟だからね。」

 

 

 移動中にこの世界が、元の世界(呪術廻戦)ではない事、呪いや呪霊が存在しない事、そしてここまでの出来事を五条に話していた。

 

 驚愕する事もしばしばあるが、それでも仲睦まじく話しており、その光景を後ろからラプンツェルが見つめていた。その表情からは、懐かしみ微笑みながらも悲しみを感じられる。

 

 その視線を気取ったのか、アニスが振り返って問い詰める。

 

 

アニス「ラプンツェル、何でさっきからじーっと見てるの?」

 

五条「傑の体を視線で舐め回してたんじゃない?」

 

ラプンツェル「ちっ、違います!!」

 

ネオン「どちらかと言うと五条先生の体を見ていたような気がするんですか...」

 

五条「マジ?」

 

 

 ラプンツェルに視線が集中する中、当の本人は顔を逸らし視線を避ける。しかしすぐにハッと向き直り、誤解を解くために釈明する。

 

 

ラプンツェル「すみません、失礼しました。

 ただ...皆さんの姿が微笑ましくて、ちょっと昔を思い出していたんです。」

 

夏油「じゃあ体は見ていないんだね。」

 

ラプンツェル「............。」

 

五条「おい否定しろよ。」

 

ラプンツェル「昔、私が初めて分隊に配属された時、私()()も凄く賑やかだったんです。」

 

アニス「話を逸らした。」

 

 

 気を取り直して、ラプンツェルがニケとなり部隊に配属される当時の出来事を語り始めた。

 

 全員死と隣り合わせの環境で、長い戦争で別れや惨劇を目の当たりにしても、仲間と一緒に居られる幸せがかけがえのない時間で、その旅が宝物のように全員に向けて語り掛けていた。

 

 その戦いと旅の間に、行方不明になった仲間と今では変わってしまった仲間と別れてしまったという。

 

 

アニス「ごめん、私...無神経だったわ...」

 

ラプンツェル「いえいえ! 本当に微笑ましかっただけですから。

 皆さんの身に起きた事も、重々承知していますし、警戒するのも仕方ありませんよ。」

 

 

 軽はずみで質問したアニスは、申し訳なさそうに頭を下げて謝罪するが、ラプンツェルはその光景を心温まっていたとアニスを元気づける。

 

 

ラプンツェル「それに...全部が全部、悪い事だけではないんです。

 

 知っていますか? (のろ)いという言葉は、相手に害を与える時に使われます。

 

 しかし、同じ文字で(まじな)いと読ませることが出来るんです。

 

 辛いことも悲しいことも沢山ありましたが、それでもあの時間は何物にも代えがたい大切な宝物なんです。」

 

 

 挫けそうになり自分を見失う時もあった、それでも心が砕けず今の自分があるのも、あの時の記憶(思い出)が自分を支えてパワーを与えてくれたのだと、ラピたちに伝える。

 

 忘れたくなるくらい嫌な記憶《思い出》でも、自分を支えてくれる大切な物があると説くラプンツェル。だからこそ、ラピたちに思い出や記憶と仲間を大切にして欲しいと伝えた。

 

 

ラプンツェル「さあ、気持ちを切り替えて元気出してください、皆さん!

 もうすぐ着きますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見えてきたのは雪が積もり重なって、屋根や壁が崩れている廃墟となった村。その中の噴水が氷固まった広間の中心で、スノーホワイトと鉄で作られた菅笠(すげがさ)を被った女性が待っていた。

 

 ラプンツェルは2人に駆け寄り、スノーホワイトが声を掛ける。

 

 

スノーホワイト「遅かったな。」

 

ラプンツェル「すみません、遅くなりました。」

 

 

??「まだ朔月(さくげつ)*1は沈んでいない、遅くなった訳ではなかろう。

 客人も沢山連れて来たのだ。これくらいは大目に見るとしよう。」

 

 

 

 そう言ってスノーホワイトと菅笠(すげがさ)を被った女性は、後からやって来た夏油たちに目を向け、気さくに話しかけて自己紹介する。

 

 

??「やあお嬢ちゃんたち。」

 

アニス「お、お嬢ちゃんたち...」

 

??「おや? 嫌だったかね??」

 

アニス「そうじゃないけど...出てこなかった単語だったから。」

 

??「むず痒いのかい? 初々しいねぇ。

 私は紅蓮、君たちの事はスノーホワイトから聞いているよ。」

 

 

 腰に刀を携え菅笠(すげがさ)を被った女性は、ラピたちの頭を撫でながら自己紹介していく。しかしラピを除くアニスたちの紅蓮に向ける視線は鋭い眼光で見つめていた。

 

 

紅蓮「お、お嬢ちゃんたち...?」

 

ネオン「丸い物と言ったら何が出てきますか?」

 

 

紅蓮「丸い物? そうだねぇ、西瓜(すいか)かな?

 日照りの強い日に食べる西瓜(すいか)は格別でねぇ。」

 

 

マリアン「猿と聞いてイメージするものは?」

 

紅蓮「温泉でくつろいでいる姿かな? 最近見かけたが愛らしかったねぇ。」

 

ラプンツェル「温泉...湯けむり混浴...はあっ...はあっ...!

 

紅蓮「あぁ...。」

 

 

 2人の質問の意図を、ラプンツェルの反応から汲み取り、ラピが代わりに謝罪する。

 

 

ラピ「ごめんなさい、急に問い詰めるような質問をして...」

 

紅蓮「いや、謝るのはこちらの方だ...」

 

アニス「大変そうね...ホント...。」

 

 

 紅蓮の心労を感じ、労うように背中をさするアニス。ラプンツェルは温泉というワードを聞いて、紅潮して欲情した視線を夏油と五条に向けるが、スノーホワイトが止める。

 

 ラピたちへの紹介を終えた後、今度は夏油と五条に近づき自己紹介する。

 

 

紅蓮「改めて紅蓮という、君もスノーホワイトから聞いているよぼっちゃん。」

 

夏油「夏油 傑です、よろしくお願いします紅蓮さん。」

 

紅蓮「そんなに畏まらんでおくれよ、こちらも固くなってしまうよ。」

 

夏油「じゃあ紅蓮、よろしく。」

 

 

 うんうんと頷いて夏油の呼び方に満足した紅蓮は、もう一人いることに動揺しながらも声を掛ける。

 

 

紅蓮「やあやあ、君もぼっちゃんとおな...じ...?」

 

五条「ん? まあそんなとこだけど。...どうしたの?」

 

 

 五条に駆け寄って気さくに話しかけた紅蓮だが、顔を見て硬直し足先から頭まで見回し目を見開く。

 

 口元と体が震えながらも必死に口を開こうとする紅蓮。

 

 

ラプンツェル「紅蓮。」

 

紅蓮「っ...。」

 

 

 何かを言おうとした所を、ラプンツェルが肩を手に置き止める。紅蓮の表情は陰るがすぐに持ち直し、気を取り直して自己紹介する。

 

 

紅蓮「取り乱してすまなかった、信じられぬ程の覇気を感じて身が固まってね。」

 

アニス「()()が...?」

 

五条「()()って言わないで。」

 

スノーホワイト「時間が無いから本題に入るぞ。」

 

 

 自己紹介を終えたタイミングを見計らって、スノーホワイトが今回やって来た本題について話を切り出す。

 

 もっとゆっくり話をしたいラプンツェルと紅蓮は、素っ気なく余裕が無いや愛嬌が無いと茶化すも、スノーホワイトは気にせず夏油に尋ねる。

 

 

スノーホワイト「今回は何の為に訪れて来たんだ?」

 

夏油「アンチェインドに関する情報を聞くために来た。」

 

 

 夏油の返答にスノーホワイトは目を見開き、ラプンツェルはいつもの調子を感じられず目を細め、紅蓮は表情を崩さず声を低くしてもう一度質問する。

 

 

紅蓮「ぼっちゃん、何故アンチェインドを知っているんだい?」

 

夏油「2ヶ月程前にスノーホワイトから貰ったんだが...」

 

紅蓮「ほお~そうか。スノーホワイトから貰ったわけか。」

 

ラプンツェル「ふ~ん、そうだったんですね。

 何処で手に入れたかと思えば、スノーホワイトだったんですか。」

 

 

 言及して紅蓮は横から微笑みながら頷き、ラプンツェルはニッコリと笑いながら顔を覗き込むようにスノーホワイトを見つめる。

 

 身震いする雰囲気を纏う2人に、肩身が狭くなったスノーホワイトは目をつぶって顔を項垂れる。その光景を見て、伝わっていなかったのかと質問する。

 

 

マリアン「知らなかったんですか?」

 

紅蓮「そうさお嬢ちゃん、今初めて聞いたよ。」

 

ラプンツェル「私も初耳です。」

 

スノーホワイト「話が長くなるだろう、こっちに来い。」

 

 

 指を曲げて案内するジェスチャーを出して、大きく古びた木造の家に入っていくスノーホワイト。続いて紅蓮とラプンツェル、夏油と五条にラピたちが後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 室内には所々破れたソファとベッド、手置きのクッションからバネが飛び出している椅子があり、それぞれ座れる場所を探して座り話始める。

 

 スノーホワイトはモダニアと北部で戦闘した時より、その認識について変化があるか探るため何処まで知っているか夏油に尋ね、ニケのNIMPH及びナノマシンの機能を除去できると答える。

 

 

スノーホワイト「アンチェインドの機能は全て知っているわけだ。

 他に何が知りたい。」

 

夏油「アンチェインドの製法、つまり量産できるか聞きたい。」

 

 

 スノーホワイトだけでなく紅蓮も目を見開き、ラプンツェルは夏油の要求に対して難色を示し、スノーホワイトがすぐさまその答えを返す。

 

 

スノーホワイト「断る。私がお前にアンチェインドを渡したのは、お前がヘレティックとの戦闘で援護してくれたからだ。

 その対価としてアンチェインド1発。それで借りは全て返した。それ以上は欲張るな。」

 

 

 何が何でもアンチェインドの量産に対して、非協力的なスノーホワイトとこの発言に対して何も口を出さない紅蓮とラプンツェルだが、スノーホワイトを落ち着かせ夏油たちの言い分を聞こうとする。

 

 アンチェインドの製造方法は、彼女たちにとってタブーだとスノーホワイトの反応から感じ取る。落ち着かせた後、紅蓮は夏油に向き直り声色が少し低くなり張りつめた空気が漂う。

 

 

 

紅蓮「ぼっちゃん、これからは言葉を慎重に選んで喋った方がよいぞ。

 

 冷静がモットーのスノーホワイトが熱くなるほど、アンチェインドは私たちにとって、非常に大切なものなのだ。

 

 一歩間違えたら、これまでの交流が全て水の泡になるかもしれない、致命的な話題だということだ。」

 

 

 

 これまでの交流が水泡に帰す、即ち彼女たちを納得できない理由や噓をつこうものなら、金輪際会うことは勿論話すことも無くなるだろう。

 

 マリアンはこの雰囲気に思わず、喉を鳴らして冷や汗を流す。その様子を五条は壁に寄りかかりながら見つめ、夏油は紅蓮の忠告に動ずる事なく答える。

 

 

夏油「納得させてみせるよ。」

 

紅蓮「では、話を聞かせてごらん。」

 

 

 紅蓮は座りなおして夏油の話を聞く体制を整え、夏油もアンチェインドを必要とする理由を話し始める。

 

 

夏油「私がアンチェインドを必要だと言う理由は、NIMPHの除去...いや浸食への恐怖を取り除くためだ。」

 

紅蓮「ふむ、浸食への恐怖か。」

 

ラプンツェル「......。」

 

 

 切り出してきた言葉、浸食への恐怖に対してラプンツェルの表情が陰りを見せる中、紅蓮は夏油の理由についての見解を話し始める。

 

 

紅蓮「NIMPHが無ければ浸食は発生しない、そうすればそこのお嬢ちゃんのように心の傷が出来ることも無い訳だ。」

 

マリアン「.........。」

 

紅蓮「確かにお嬢ちゃんが感じた恐怖や苦悩は我々では測れん。私たち以上に辛い経験をしてきたのかもしれん。

 しかしNIMPHは、ニケに悪影響を及ぼすものなのかい?」

 

 

 マリアンがモダニアとして活動した際に、見せられてきた光景は心を削り取っていくようなもの。半分以上も意識を手放して、死んでいるような精神状態だったと、夏油から聞いたスノーホワイトを経由して紅蓮も聞いていた。

 

 それでも一概にNIMPHが悪いと考えられない紅蓮は、NIMPHがあるからこその利点を話す。

 

 

 

紅蓮「戦場の恐怖や悲しみから逃げる為、記憶消去を選ぶお嬢ちゃんは幾らでもいる。

 

 そしてNIMPHはニケに()()を与える事で、恐怖を薄め勇気を与えてくれる時もある。

 

 このような者たちには、NIMPHが必要だと思わないのかい?」

 

 

 

 戦場に赴くことで、死の危険や事故、災害などのトラウマが夢となって思い出されるPTSDや、

戦場によるストレスによってパニックや無力感、記憶障害など精神的な変調をきたすシェルショックなど、

戦の中で精神が崩壊することも珍しくなく、そう言った点でNIMPHは彼女たちの恐怖を和らげ、このような心の傷を負うことなく戦えている。

 

 夏油もラプチャーとの戦いが終わるまで、NIMPHを完全に排除する考えは毛頭無く、必要なニケがいることは考慮した考えを示す。

 

 

夏油「そんな彼女たちの為にも、選択する機会を与えたいと思っている。」

 

紅蓮「ほぅ、選択か。」

 

夏油「永遠に生きるか、限られた時間で生きるのか、彼女たちが選べる機会を作りたいと思っている。」

 

 

 その機会が与えられる世界の実現のためにも、NIMPHを除去するアンチェインドが必要になる。しかし、ニケが未来を選べる未来はアークの総意とは全く異なり、排除すべき危険な思想と紅蓮は言及する。

 

 アークのシステムは、統制を通じて安定を追求し維持することであり、夏油の掲げている理想とはかけ離れた現実主義なのだとラプンツェルは紅蓮に続いて話す。

 

 

ラプンツェル「でも不思議なことに、私はブラザーの理想論が好きです。だから賛同したいと思います。

 過去の思い出をただの痕跡にするのではなく、未来の鍵として残したいです。」

 

 

 ラプンツェルが合流する前に話した、嫌いな思い出にも大切な物や人物との記憶が残っている話に通ずる。NIMPHによって戦闘の障害となれば、記憶の改ざん最悪その部分の記憶のみを削除される可能性がある。

 

 それでもNIMPHが必要か否かという選択を、個人に委ねるという夏油の考えはラプンツェルと同じく紅蓮も賛成する。最後に残ったスノーホワイトに、夏油の考えに賛同するか発言するようにラプンツェルは呼びかける。

 

 

スノーホワイト「2人も賛同したのに、私の同意が必要か?」

 

ラプンツェル「勿論ですよ! スノーホワイトが同意してこそ、()()()の過半数が同意する事になるでしょう?」

 

マリアン(過半数...? 他にもいるんでしょうか?)

 

ラプンツェル「ドロシーはもう、こんな事には興味ないだろうし。

 リリスもレッドフードも...指揮官も今はもういないから。」

 

ラピ「!!」

 

 

 ラプンツェルの口から、この場にいない人物の名前が3名出てきて、内2名は居ないと言及すると4名となり、スノーホワイトが賛成すれば確かに過半数が賛成ということになるとマリアンは密かに納得する。

 

 その中の人物名の中から、ラピは神経反射で反応し体が動く。

 

 

ラピ(...レッドフード?)

 

アニス「? どうしたのラピ??」

 

ネオン「具合でも悪いんですか? お腹が不調とか...」

 

ラピ「いえ、何でもないわ。ありがとう。」

(まさか...あの人の仲間って...)

 

 

 アニスとネオンがラピの反応に気付いて声をかけるが、ラピは平静を装い秘密を内に秘めてスノーホワイトの判断に耳を傾ける。

 

 対してスノーホワイトは、夏油がアンチェインドを必要とする理由が、ラプチャーとの戦いに関係無いことを指摘する。

 

 

スノーホワイト「...どうしてだ。どうしてそこまでするんだ?

 NIMPHは地上奪還とは何の関係も無い。NIMPHを持っていても、記憶消去をされてもニケたちはお前を守るだろう。」

 

お前は()()だからな

 

 

 それはNIMPHに刻まれている絶対命令の一つに、人間を殺さないことがある。これがある限り、周りのニケは、夏油を身を呈して守る。

 

 

夏油「私は守ってもらう必要は無い。」

 

スノーホワイト「......。」

 

 

 しかし、夏油にとっては守ってもらう事など必要無い。寧ろ夏油は、彼女たちを守らなければならないという責任を持って指揮官を務めているのだ。

 

 この短い返答にスノーホワイトは押し黙ってしまうが、それでも身を挺してまで求める理由として不鮮明だと話す。

 

 

スノーホワイト「ならば、どうして命を懸けてまでアンチェインドを手に入れようとする?」

 

 

 確かに命を懸けてまでアンチェインドを追及する目的としては少し考え辛く、スノーホワイト自身も夏油がどんな信念を持って行動するのか、論理ではなく感情から聞きたかった。

 

 命を懸ける理由として、夏油は瞼を閉じて、これまで無慈悲に命が摘み取られた出来事を想起する。

 

 

夏油「...これ以上、」

 

 

 

「...脳が破損したニケは処分するのが規則です!」

 

「軍法により、ニケの処分は...指揮官が行わなければなりません。」

 

「ここ...で...す。...指揮...官。」

 

「包帯...うれし...か...った...です。」

 

「自分にできることを精一杯頑張るのは、

気持ちがいいです!!」

 

 

 

 

 

「帰ろう、理子ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......うん!」

 

 

 

 

夏油「()()()()という理由で...大切な人の死から目を背けたくない。だから、撃ちたくないんだ。」

 

スノーホワイト「!!」

 

マリアン「指揮官...」

 

 

 夏油の心情、それは今と前世から仲間の死を目の当たりにして、導き出した答えであり本当の自分。

 

 夏油が言い放った「目を背けない」とは、一生の終わりから背けず、仕方ないという用意された簡単な理由で片付ける事の否定であり決意と意思の現れ。

 

 そして「撃ちたくない」は、死という決められた選択をしない為に、自分の手で選択肢を作って人を活かすという覚悟。

 

 この短い一言に、これらの夏油の心情が集約され、その思いを汲み取ったのかスノーホワイトは答えを出す。

 

 

スノーホワイト「分かった。私も同意しよう。

 アンチェインドに関する全てを話してやる。」

*1
地球から見て月と太陽が同じ方向に位置し、

月が隠れて見えない新月のこと




 後半五条が空気になってしまいましたが、次回はガッツリ関わってくる予定なのでご期待ください!



にけ さんぽ




 アンチェインドの情報が記録保存されている研究所の場所を教えてもらった夏油たち、その場所に向かう前に準備を整える必要があると助言を受け取る。


夏油「そうなると、一度アークに戻り今後の準備が必要になるね。」

ラピ「了解しました。」

紅蓮「しかしまだ昼前だ、こちらはまだゆっくりできるのだし、夜になるまで話に花を咲かせるというのはどうかね?」

ラプンツェル「そうですね、また長い間会えなくなるでしょうし。
 私も皆さんの事をもっと聞きたいです。」

紅蓮「スノーホワイトも一緒に話すかい?」

スノーホワイト「私は用がある。」

紅蓮「相変わらず釣れないねぇ。」

五条「傑、飯とかない? ちょっと腹減ってきたんだけど。」

アニス「確かに...予想外の連続で安心したらお腹減っちゃった...。」

マリアン「出発前に一杯食糧持ってきましたっけ?」

スノーホワイト「.........。」

夏油「持ってきたよ、2日を想定して6食分を5人分。」

スノーホワイト「食事を取ってから用事を済ませる。」

五条「爆速で戻って来た。」

紅蓮「相変わらずの食い意地だ。」

ラプンツェル「というかスノーホワイトはブラザーの手料理を食べた事があるのですよね?」

スノーホワイト「ああ、美味しかった。」

紅蓮「スノーホワイトにここまで言わせるとは楽しみだ。」
 上物の酒を持ってきたかいがあるというもの。」

夏油「それじゃあ、準備を始めるからそれまで待っていてくれ。」

ラピ「お手伝いします。」

マリアン「私もお手伝いします!」

アニス「じゃあ私は飲み物出すわ~。」

ネオン「私は食器を用意します!」


 そう言って夏油は、赤い花の模様で彩られた和装を身につけ白い絹で顔を隠している呪霊を一体出し、呪霊が和装の中からクーラーボックスと調理道具諸々を取り出す。

 取り出すときに見えた呪霊の腕には、眼球が敷き詰められていたように見えた。目を疑ったラピは目をこすってもう一度見ようとするが、腕を引っ込めていた。


アニス「四次○ポケ○ト?」

ネオン「ク~ラ~ボックス~!」(大山のぶ代さんボイス)

マリアン「あの呪霊は使わないんですか? あの芋虫みたいな呪霊。」

ラピ「マリアン、あの呪霊が物を何処から取り出すか思い出して。」

マリアン「...すみません。」

スノーホワイト「食べられれば問題ない。」

五条「マジで言ってんのこの人。」

紅蓮「便利だねぇ。そうだぼっちゃん、酒のつまみになるような物はあるかい?」

夏油「調理が必要ですが出来ますよ。」

紅蓮「では私も手伝って調理する過程をつまみにしよう。」

五条「酒を流し込みたいだけだろ。」

紅蓮「そうともいうねぇ。」

ラプンツェル「私も手伝いますよ、私たち3人の体を見て...ブラザーは猛獣のような昂ぶりを...そして私たちは鎮めるために...はあっ!...はあっ!

ラピ「貴方はそこで待っていて。」

夏油「私たち3人で十分だから。」

ラプンツェル「あっ...はい。」

紅蓮「君は少し声に出さないようにできないのかね?」

五条「壊れた蛇口に水出すなって言っても無理な話なんだよ。」

ラプンツェル「水?...透け透けになった裸体を見て...興奮するブラザー...成すすべなく弄ばれる私...はあっ、はあっ!

五条「な?」

紅蓮「はぁ...。」
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