特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 ミントとプリカが実装されたけど...アニスとネオンで滅茶苦茶消耗したから無駄遣いできない...
けどプリカの呆れ顔面白い...欲しい...。

だがしかし夏イベが......


抗戦

 地上奪還を目指すピルグリム パイオニアと合流し、アンチェインドの製法などの情報がある研究所の座標を教えて貰った。

 

 その後に談笑しながらこれまでの出来事について食事しながら話し、屋上で夏油と五条は今後どうするかについて決意を固める。

 

 陽が再び顔を出したこの時、互いの力量を知る為に模擬戦を始めることとなった。五条は夏油の現状を把握する為に、夏油は目標である五条の練度を体感する為に戦う。

 

 この急な決定にラピは、無駄な体力を消耗しない為にも止めようとする。幾ら人智を越える力を持っていても、いつ何処で遭遇するかも分からないラプチャーとの戦闘を想定するべきと提言する。

 

 模擬戦はまたアークとの距離が縮んでからと提案するラピを、紅蓮が五条と夏油に帰還する時の体力も考慮に入れて戦うよう、条件を追加した上で止める。

 

 ラピたちは5km以上離れたところで、夏油が調伏している視覚共有できる呪霊を経由して視覚を映像化し、2人の戦いを見ることになった。

 

 

ネオン「こんな事ならポップコーン用意すべきでした...」

 

アニス「私は炭酸水で我慢するわ。」

 

マリアン「どうなるんでしょうか...」

 

ラピ「さあ...でも今までより苛烈な戦いになるのは分かるわ。」

 

ラプンツェル「2人の気迫が、周囲の空気を張り詰めていくのを感じますね。」

 

紅蓮「ああ、こちらまで闘志を掻き立てられてしまう。」

 

スノーホワイト「......。」(もぐもぐ)

 

 

 アニスとネオンは2人の戦いを映画を見るようにお菓子を探り、マリアンとラピは初めて見る呪術戦に冷や汗を流す。

 

 ラプンツェルと紅蓮は、長年の経験から戦闘前の緊迫感を感じ取り、スノーホワイトは夏油が用意した朝食をゆっくり堪能していた。

 

 約3km離れた所で見物しているラピたちに気にせず、五条は夏油にこの戦いの内容について説明する。

 

 

五条「勝負は2構成で分ける、最初に呪力による身体強化、次に本格的な呪術戦で傑の現状を把握する。

 構成が変わる時は俺の方から合図を送って中断する。それでいいな?」

 

夏油「ああ、異存は無い。」

 

 

 戦いの内容に反論は無く、両者は体をほぐしながら異常は無いと確認した後、五条は足下にあった手のひらサイズの氷の礫を拾い空高く投げる。

 

 礫が落ちた時が戦いの合図だと分かったラピたちは、固唾を飲んで見守り、夏油と五条は直立したまま顔を見つめる。

 

 数十分のように長く感じる数刻の間、今、氷界に戦いのゴングが小さくこだまする。

 

 

 

 

 

 同時に駆け出し、夏油は喉元目掛けて拳を突き出すが、左手で受け止めれ右足払いを左足を上げて防ぐ。

 

 が想定上にパワーが強かったのか、勢いを殺し切れず夏油の体を左へ吹き飛ばし、追従するように五条が全力の右ストレートを鳩尾に突き出す。

 

 五条の突きを夏油は表情を変えず受け流し反撃に転じようとするが、空振りした勢いのまま体を上下逆転させ受け止められる。

 

 受け身をとってすぐに立ち上がり、再び肉薄する両者から追従出来ない猛攻が繰り広げられる。

 

 

ネオン「アニス、師匠が勝ってるんですか?五条先生が勝ってるんですか?」

 

アニス「私が聞きたいわよ...」

 

マリアン「どうなっているか、分かりますか?」

 

ラピ「いえ、どう動いているのか見えないわ...」

 

 

 ビデオの映像を見て夏油と五条の動きを目で追っているが、それでもその動きを見切る事が出来ないラピたち。

 

 同じくラプンツェルとスノーホワイトも、2人の動きを見れているがそれでも動きを完全に見れている訳ではない。

 

 完全に動きを見切っているのは紅蓮のみで、その動きの速さと練度の高さに思わず体が反応する。

 

 

紅蓮「夏油ぼっちゃんと五条ぼっちゃんは凄いね...こちらまで体が疼くというもの。

 贅沢を言えば、こちらから2人それぞれに手合せしたい。」

 

ラプンツェル「ダメですよ、2人の時間もあるんですから。」

 

紅蓮「分かっている、だからこうして必死に体を抑えているのだ。」

 

スノーホワイト「.........。」(もぐもぐ)

 

 

 肉薄する戦闘を久しぶりに見て、夏油と五条それぞれに一対一で戦いたいと、闘争心が搔き立てられて武者震いが止まらない。

 

 こうして2人の猛攻が続いていく。

 

 

ドゴッ

 

 

夏油「ッ...。」

 

 

 その矢先に均衡が崩れる、五条の打撃を手際よく流していた夏油だが、脇腹に右拳がめり込む。

 

 腹から込み上げる痛みと、焦燥感を振り払いながら応戦していく。

 

 しかしその効果は現れず、初撃を被弾してからその数は増え、気付けば七回も五条の攻撃を喰らっている。

 

 

アニス「指揮官様が押されてる...?」

 

ネオン「師匠はまだ攻撃を当てていないのに...」

 

ラピ「こちらからだと、何も分からないわ。」

 

マリアン「指揮官...。」

 

 

 戦況の変化に戸惑いながら、夏油を心配するラピたち、五条の攻撃が当たり始めた理由に気づいた紅蓮が全員に聞こえるように話す。

 

 

紅蓮「なるほど、五条ぼっちゃんが先に仕掛けたか。」

 

アニス「仕掛けた?」

 

ラプンツェル「教えてください、紅蓮。」

 

紅蓮「今五条ぼっちゃんは、夏油ぼっちゃんにフェイントを混ぜて攻撃している。」

 

マリアン「フェイント?」

 

 

 フェイントとは、相手を惑わせて意表を突くための動作であり、紅蓮はいち早く気付き目を凝らすように見て確信していた。

 

 

ラピ「ちょっと待って、フェイントは相手の意識を向けるように必ず動作が必要になるわ。

 でも見ている限り、五条さんにそんな動作があるようには見えない。」

 

ネオン「早すぎて細かく見えてませんが、そんな目立った動きは無いように見えます。」

 

紅蓮「当然さ、五体を動かす必要は無いのだからね。」

 

ラプンツェル「じゃあ...一体...。」

 

 

 ラプンツェルも会話に加わり、五条の行っているフェイントについて紅蓮に尋ねる。すると紅蓮は、自分の体の一部を指差し皆に説明する。

 

 

紅蓮「()だ。五条ぼっちゃんは目でフェイントを作り、夏油ぼっちゃんの動きをかき乱している。」

 

 

 体では無く目、視線でフェイントを作り掻き乱していると解説するが、その考えにネオンとアニスはイマイチ納得できていない。

 

 

ネオン「目で陽動できるんですかね...?」

 

アニス「よそ見ぐらいで惑わされるとは思えないんだけど。」

 

 

 至近距離で互いの攻撃範囲に入っている極限状態、よそ見で注視して意識を外に向けるという方法は有効的とも考えられる。

 

 それでも戦い慣れしている2人が、簡単な罠に引っかかるとは思えず、おまけに気付かれた場合は、無防備な状態で攻撃がやって来るとなるとリスクの方が大きい。

 

 アニスとネオンの考えに、紅蓮は首を振って説明を加える。

 

 

紅蓮「よそ見では無い、本気で打つような視線を送っているのだ。」

 

 

 分かりやすいよう短く伝えた紅蓮だが、アニスとネオンは余計分からなくなって、思わず首を傾げている。

 

 ラピは説明を聞いて、自分なりに言葉を変換して尋ねる。

 

 

ラピ「強い意志...ということ?」

 

紅蓮「そうだねぇ、あるいは殺意でもある。」

 

 

 フェイントの本質である殺意の籠った目で、どのようにしてフェイントをしているのか、詳しい説明を始めていく。

 

 それは長年ラプチャーと戦ってきた賜物ではなく、同じ近接戦闘を得意とする仲間との模擬戦闘で得られた成果だった。

 

 

紅蓮「生き物は攻撃する時、無意識で相手に小さな殺意を向ける。

 

 本気で殺すつもりではない、倒す、勝つ、生きるなどの目的から生まれる強い意志によって。

 

 近接戦闘に手慣れている者は、その意志に反応して相手の攻撃を防ぎ、躱す。」

 

ネオン「ふむふむ、確かに強くなりたいと考えて攻撃するかもしれません。」

 

 

 紅蓮の説明にネオンとアニスは、視線に殺意が宿るという意味に、何となくだが理解する事ができた。

 

 聞いていたマリアンやラプンツェルも理解している様子で、確認した紅蓮はフェイントについて焦点を変える。

 

 

紅蓮「だがもし、その本気の攻撃と見違う程の殺意を出せるとしたら?」

 

ラピ「回避か防御を取らなければならない...」

 

 

 ラピの発言に会話を聞いている全員が、紅蓮が伝えたいフェイントの原理について理解する。

 

 五条は本命の攻撃を繰り出す前、もしくは同時に殺意を込めた視線を向けて攻撃している。

 

 これによって夏油は、フェイントで見せた偽の攻撃に回避か防御を取らせ、回避なら移動を予測し、防御なら手薄になる箇所に攻撃を当てる。

 

 

紅蓮「このフェイント最大の利点は、攻撃せずとも手数を増やせる事。

 

 夏油ぼっちゃんから見れば、五条ぼっちゃんの攻撃が短時間連続で来ているようなものだからね。

 

 あの張り詰めた空気なら、反射的に回避や防御しても仕方ないさ。」

 

 

 紅蓮の言及した通り、フェイントによって夏油の行動を誘導し、その動きに合わせて攻撃を当てている。

 

 五条のフェイントを、紅蓮は初めから気取り看破した。この技術を一朝一夕で身につけられない事と、受ける側はたまったものではない事を補足で説明。

 

 

マリアン「でも、そんな頻繁に使ったら流石に分かると思うんですけど...」

 

紅蓮「そこがミソなのだよ、何度も見せればパターン化してしまう。

 

 だが五条ぼっちゃんは、本気の攻撃と同じ気迫で牽制している。

 

 陽動を使ってくると分かっても、今度は陽動か本命かの二択で思考を鈍らせてくる。」

 

 

 同等の殺意を常に見せ続けるというのは、普通なら精神的な負担が大きくなる。

 

 肉体的負担に変えるなら、全力疾走している中、直角に方向転換する事を何回も続けている。

 

 紅蓮の言ったフェイントは、確かに五条は使っているが、加えて戦っている2人しか分からない技術で、フェイントをより有効化している。

 

 

夏油(てっきり攻撃を呪力に乗せてくると思っていたが...呪力を全体に行き渡らせて視線や予備動作に絞ってくる...!)

 

 

 呪術師は攻撃に呪力を乗せて攻撃すると、与えるダメージが飛躍的に増大する。しかし、逆に呪力の流れが分かる相手に対して、攻撃手段が明かされてしまう。

 

 五条は最初に呪力を攻撃に乗せていたが、フェイントを始めた瞬間に呪力強化を止めて純粋な肉体のみで戦い、夏油の思考を翻弄していく。

 

 一撃の攻撃力は低いが、確実に夏油にダメージと、夏油の攻撃を全て躱す五条を見て焦燥感を蓄積させていく。

 

 

夏油(どうすればこのフェイントを崩せる...!?)

 

五条(どうする傑、攻略しない限り攻撃は続くぞ?)

 

 

 夏油に対して五条は冷静で、苦し紛れの攻撃を的確にいなし、呪力強化無しでも渡り合えている。

 

 焦りに囚われつつも攻撃の手と思考を止めず、応戦していくが実らずダメージだけが蓄積されていく。

 

 このままなす術なく終わると思っていた。

 

 

夏油(フェイントに惑わされるなら...視界は邪魔になる。それなら...)

 

 

 両目を閉じ、外部からの情報を完全に遮断して、五条の体を流れている呪力感知に集中する。

 

 目を閉じた夏油に構わず、殺意を乗せた目のフェイントと、本命の攻撃を繰り出す準備に入る。

 

 

夏油(......ここだ!)

 

五条(おっ?)

 

 

 攻撃の予備動作中の五条に、攻撃を被せて止める。

 

 その後も五条はフェイントと攻撃を混ぜて繰り出すが、殺意を気取らず体に流れている呪力を見て、夏油は動きを予測して防御と回避する。

 

 攻撃が当たらなくなり、目のフェイントは無意味になったと把握した五条は、

 

 

五条(それなら...これはどうだ?)

 

夏油(呪力が右腕に集まった...?)

 

 

 振りかぶり突き出してきた右腕に呪力を巡らせる。

 

 呪力強化で夏油のガードを破るつもりだと考え、咄嗟に受け流そうとする。

 

 

 

 

 しかし、

 

 

 

 

夏油(?...今、左腕に...?)

 

 

 僅かながら、均一に保たれていた五条の呪力の流れが、左腕のみ一瞬揺らぐ。

 

 夏油は五条の右腕をいなす構えを取っていたが、左腕を本命と考え両腕を交差させ防御に移る。

 

 

 

 

 

 

 

 五条から繰り出された攻撃は、左腕だった。

 

 

夏油(呪力を集中させたのはブラフ...私の意識を左腕から逸らすために...!)

 

五条(アレに反応するか...)

 

 

 五条の次の攻撃が来る前に、夏油は左腕を引き寄せようとするが、するりと左腕を抜かれて下がっていく。

 

 

五条「オッケー、近接戦終了〜。」

 

 

 距離を取った五条から、戦闘終了の合図を出す。合図を聞いた夏油は、巡らせていた呪力を落ち着かせて、ゆっくりと歩み寄っていく。

 

 

夏油「あぁ...それでどうだった?」

 

五条「合格! これくらいなら問題無いかな?

 今後の課題としては、さっき目をつぶって出来た呪力感知を、目を開けた状態でできるようになろっか!」

 

夏油(さっきの感覚を...目を開けたまま...か。

 簡単に言ってくれるよ。)

 

 

 夏油の体術に関しては申し分なく、フェイントを交えた攻撃は呪力感知のレベルを知るために行ったものだった。

 

 目を閉じて僅かな呪力の起こりを、何とか見つけられた夏油だが、五条の軽々しく言ってきた要求に引きながらも、次の目標を見つけられた事に向上心を高めていた。

 

 

五条「さて...次から術式を使っていくけど...準備はいいか?」

 

夏油「問題ない、直ぐに始めよう。」

 

 

 五条は両手の骨を鳴らし、夏油は首元のネクタイを緩めながら、先ほど負傷した傷を反転術式で治癒する。

 

 再び互いを見つめ合い緊張感が走る中、遠くから見ていたラピたちの反応は様々だった。

 

 

マリアン「まだ本気じゃなかったんですよね...」

 

アニス「知ってるけど...もうお腹いっぱいよ...」

 

スノーホワイト「.........。」(もぐもぐ)

 

ラプンツェル「あの攻防ですら全力では無い...」

 

ラピ(...ここからが、私たちも初めて見る指揮官の全力...)

 

ネオン「目が離せませんね!」

 

紅蓮「全くだ、瞬きなどできる暇もない。」

 

 

 それぞれこれから繰り広げられる戦いに、思いを募らせ緊迫しつつも2人を見つめるラピたち。

 

 今度はゴングも無しに、夏油がイカ呪霊を特攻させるが、五条に当たるすんでのところで呪霊が空中に静止する。

 

 呪霊が影になり五条の姿が見えなくなった後、夏油は次の攻撃の準備に移りながら昨日の事を思い出していた。

 

 

 

 

漏瑚「あれだけ啖呵を切ったのだ、何か策はあるのだろうな?」

 

夏油「今悟は、私たちの現状を完全には把握していない事だ。」

 

真人「それって俺たちの強くなってる事?

 アレ相手じゃどんぐりの背比べだろ。」

 

陀艮「ぶふぅ〜...」

 

花御「予防策はあるのですか?」

 

夏油「アレも使う事を考慮に入れて戦う。

 不意打ちで決まればおそらく...」

 

漏瑚「だが、アレは呪霊から見ても怪物そのもの...

 こちらの思惑が見透かされても可笑しく無いぞ。」

 

夏油「その時は囮に使うしか無い。

 もし私の作戦が上手くいけば、勝機は見えてくる。」

 

花御「勝算は?」

 

夏油「10%...あればいい方だね。」

 

真人「一桁代とかなんて無理ゲー。」

 

漏瑚「数字があるだけマシだ、こちらとしても雪辱を晴らす絶好の機会よ。」

 

 

 

 昨日の夜に戦う事を約束して五条が去った後、漏瑚たちと対五条の作戦を練っていた。

 

 五条は漏瑚たち自然呪霊と生前調伏していた呪霊が夏油にいる事に気付いているが、基本は呪霊の戦闘力が以前より上がった情報をアドバンテージとし、想定外の一撃で倒すのが大凡の流れ。

 

 

夏油(問題は、私の作戦が上手くいくかどうか...

 もし通用しなかったら、勝ちの目が完全に無くなる。)

 

 

 情報戦で優位ではあるが、それ以上に五条の戦闘力が漏瑚たちから聞いた渋谷での戦いと、昨日見た戦っている姿しか無い。

 

 こちらの準備が盤石になる前に、領域展開か虚式 茈が飛んで自然呪霊が欠ければ作戦は崩壊する。

 

 かなり部の悪い賭け、それでも代案が無い以上、最強を撃ち倒すにはこの作戦しかないと準備を進める。

 

 一方五条は視界を遮られた中、現状を冷静に分析していた。

 

 

五条(このイカは目眩し...天与の暴君(フィジカルゴリラ)と同じ方法か。

 

 イカの先に呪霊が縦に2体...こっちが傑に向けて攻撃した時の盾。

 

 そうなると、傑は俺を倒すのに準備が必要で視界を遮ったか...)

 

 

 初撃で夏油の思惑を看破し、次に力量と情報を整理して、自身を倒す作戦を考え始める。

 

 

五条(本来だったら傑は、百鬼夜行までの俺の強さしか知らないが、ハゲ(漏瑚)雑草(花御)がいる辺り、領域展開と茈も知ってるだろうな。

 

 ツギハギ(真人)と徒党を組まれると面倒だが、そうなると無下限を突破する方法は領域展延しか無い...

 

 だが渋谷での戦いを聞いているなら無駄だと分かる...)

 

 

 夏油が調伏している呪霊の気配から、呪霊の中でも印象に残っている漏瑚ら自然呪霊がいる事を気取り、渋谷での大虐殺までの出来事を知っていると改める。

 

 その情報を呪霊から伝えられていると考えて、術式の突破方法を挙げては問題があると判断して切り捨てる。

 

 

五条(傑は俺の無下限を最低一つ破れる方法があって、この勝負を挑んだ...

 

 そうなると切り札は...

 

 

俺がいない間に強化した領域展延か?)

 

 

 一通り整理した後、呪霊から聞いている観点から、領域展延の強化と考える。

 

 夏油と呪霊の動きを警戒を最大まで引き上げる。

 

 

五条(...こっちも考えは纏まったし、雑魚はいいだろ。)

 

 

バチュン

 

 

 五条の周りを取り囲んでいたイカ呪霊が、五条を中心にして一斉に弾け飛ぶ。

 

 無下限の外側に発散する無限、術式反転 赫を発生させて一挙に片付ける。

 

 弾け飛んだ呪霊の肉片の先には、既に準備を終えていた夏油と、4体の呪霊がこちらを向いて立っていた。

 

 

五条「早速登場か、久しぶりだな呪霊共。」

 

漏瑚「チッ。」

 

花御「......。」

 

真人(ニィッ)

 

陀艮「......。」

 

五条(ハゲと雑草、ツギハギは知っているが...あのタコは初めて見るな...

 同率と考えていいが、一応警戒しておくか。)

 

 

 相対するのは、未登録の特級自然呪霊。うち花御は左腕をあらわにし、陀艮は呪胎では無く成体の状態となっている。

 

 いきなり夏油の呪霊の中でも、最上級に位置する4体を顕現したこの状況、ラピたちはその脅威をモダニア戦で痛感している。

 

 

マリアン「いきなり特級呪霊を4体...!?」

 

紅蓮「成程、あれが夏油ぼっちゃんの呪霊...その反応から見るに、上澄みの部類なのだね。」

 

アニス「そうよ...

 指揮官様も把握しきれていない呪霊もいるみたいだけど...」

 

ラプンツェル「出し惜しみは無し...という訳ですね。」

 

 

 ラピとネオンは固唾を飲んで見守り、スノーホワイトは夏油が作った朝食をゆっくり食べ続けている。

 

 先手を取ったのは夏油側、陀艮が両手の間に水球を作り、高圧力で五条に向かって解き放つ。

 

 さながら巨大ジェットのような水が、五条に当たる寸分で壁に当たったように逸れていく。

 

 

漏瑚「真人!」

 

真人「りょーかーい。」

 

 

 漏瑚の合図を受けて2人は五条に向かって駆け出し、左右から握り拳を当てる。

 

 正面からは陀艮の高水圧による攻撃が続き、2人も無下限を突破する秘策をあらわにする。

 

 

「「領域展延!!」」

 

 

 漏瑚と真人の体から淡黄色のオーラが身を包み、スパークを散らすように五条の無下限を削り始める。

 

 接触してはいないが、突き出された拳は少しずつ確実に五条に近づいている。

 

 

五条(ハゲは渋谷の時より出力は上がってる、ツギハギも同じかそれ以上に削ってる。

 それでも突破する事は無理だけど、まずはこっちから潰すか。)

 

 

 漏瑚と真人を蒼で体ごと引き寄せ、突き出していた腕を掴む。

 

 

漏瑚「なっ!?」

 

真人「へっ?」

 

 

 漏瑚を蹴り飛ばし陀艮の水に叩きつけながら、真人に蒼で体を引き寄せながら鳩尾に拳を叩き込む。

 

 陀艮はすぐに攻撃を止めて、残った勢いで飛んできた漏瑚を受け止め、真人は吐きながら吹き飛び、殴った時に埋め込んだ赫で体が爆ぜる。

 

 

五条(ツギハギは魂に直接攻撃しなければダメージは与えられない...)

 

 

 魂の境界を認識して直接攻撃できるのは、宿儺を取り込んだ事で無意識に認識した虎杖 悠仁と天与呪縛によって魂を知覚でき、釈魂刀を所持する禪院 真希と伏黒 甚爾。

 

 五条の攻撃は真人に対して、有効打は与えられずダメージは無い。

 

 

五条「なら肉体を保てなくなるまで擦り潰してやるよ。」

 

 

 呪霊の肉体は呪力で補完することができ、真人のガス欠を狙って高威力攻撃を連打する作戦を実行。

 

 

陀艮「させるものか!」

 

漏瑚「手数で奴の気を散らせ!!」

 

 

 漏瑚と陀艮が真人から注意を逸らすため、遠距離から高圧力に水鉄砲と火礫蟲を五条に向けて放つ。

 

 無下限を展開しているため、その攻撃は届くことは無く、更に見向きもせず真人に攻撃を絶え間無く与えようと、収束する無限を用いた瞬間移動で接近する。

 

 ほぼ同時に、真人も散らばった体の一部に手足を生やし集結させる。

 

 両手を自分の顔に触れた瞬間、五条は呪力の起こりを感知、攻撃の予備動作と判断して咄嗟に距離を取る。

 

 

 

無為転変

 

 

 

 真人は自身の体を膨張、拡大させ目や口などの人間の器官を複数持つ巨大な肉塊へと変身。

 

 すぐさま巨大化した肉塊は収束して、黒と灰色を基調とした人型呪霊へと変わる。

 

 容姿は人の形を保ちつつも、肘から鋭利な刃と新しく尻尾が生え、瞳と鼻が灰色の装甲によって覆われている。

 

 

 

遍殺即霊体

 

 

 

真人「初っ端からこれを使わせるとはな...」

 

五条「センスのねぇ姿だな。

 殻に閉じこもって、てめえは亀かよ?」

 

真人「悠長に喋ってる場合か?」

 

 

 姿を変えた真人を煽るように貶すが、気にしていない様子で五条の背中を指差す。

 

 真人が指差した方向には、対空しながら急接近してきた陀艮が拳を振りかぶり、五条の右からは漏瑚が右脚蹴りを顔面に向けて放つ。

 

 真人も加わり領域展延を使って無下限を削るが、先ほどと同様に届く気配は無く攻撃は留まる。

 

 

五条「学習しろよ、烏合が集まったところで何も」

 

 

 渋谷の時は漏瑚と花御の2体のみだけで、無下限を突破する事は叶わなかった。

 

 前回の改善策として数を増やしたが、どんなに頭数を増やしても、無下限は突破できない事を呆れながら教えようとする。

 

 

ピシッ...

 

 

 五条の耳に届いたのは、ガラスが軋み割れる前の音。改めて呪霊の攻撃を防いでいる箇所に目を向けると...

 

 

ギリギリッ...バリッ!

 

 

 漏瑚、陀艮、真人が突き出している拳と足を起点に、無下限にヒビが広がり砕け散っていた。




 よく考えると初めて呪術戦を書きましたが...予想以上に難しいですね。特に言い回しとか技の説明と戦闘描写の両立が...



にけ さんぽ




 五条と夏油が戦う前夜、食事を囲っていた時のこと...


アニス「指揮官様があなたの教え子に倒されたって聞いたけど...
 その教え子も特級なのよね?」

五条「そうだよ、彼にはちょっと悲しい経緯があったけど...
 彼女を自由にできてよかったよ。」

マリアン「お別れしたくない思いが呪いになるなんて...」

五条「性女も言ってたけど、逆に(まじな)いのつもりが(のろ)いに転じることもある。
 善かれ悪しかれ、彼は魂を縛っていたけど彼女は笑顔を見せていた。」

ラピ「魂を...縛る...。」

紅蓮「時に五条のぼっちゃん、その教え子の(術式)について教えてくれないか?」

五条「乙骨の術式? 相手の術式を模倣(コピー)するの。」

ネオン「コピー...? カー○ィみたいな感じですか??」

五条「()だとあながち間違ってないね。」

ラプンツェル「()...?」

五条「今の乙骨は式神リカを使って外付けの呪力と呪具の備蓄、加えて術式を付与している状態なの。
 これでここぞという時にリカを完全に顕現させると、それまで貯めてたほぼ無限の呪力をフルに使って全力で戦えるし、相手に実力を誤認させるミスリードもできる。」

アニス「良い事尽くめじゃない、リカをずっと出してたら勝てるんじゃないの?」

五条「そういう訳にもいかないんだよね、これだけバフを得られる反面、完全顕現時間は5分だけ。
 それまでに倒せないと、ガス欠状態で戦う羽目になる。」

ラプンツェル「だからここぞとという時に使うのですね。」

紅蓮「文字通り最後の切り札か。」

五条「因みに祈本里香ちゃんは、ほぼ無制限に出られて底なしの呪力をずっと貰えるんだよね。」

マリアン「流石にバランスブレイカー過ぎませんか...?」

アニス「それでも瞬間的な爆発力の再現ができるのは凄まじいとしか言えないわ...」

ラプンツェル「あの...」

五条「却下。」

ラプンツェル「まだ何も言っていませんよ!?」

五条「だって勝手に発電すると空気がぶち壊れるじゃん。」

ラプンツェル「いつもそうではありません!!」

紅蓮「それは無いだろ。」

スノーホワイト「ラプンツェルはいつも呼吸が荒い。」(もぐもぐ)

五条「はぁ~...一応聞くけど何?」

ラプンツェル「五条さんの術式について、詳しく教えて頂きたいのですが...」

紅蓮「...そうだった、お嬢ちゃんたちは夏油ぼっちゃんから聞いているが、私たちは知らないんだった...」

ネオン「私も! 本人から聞ける機会なんて滅多にありませんからね!」

五条「それじゃ、実演してみようか。
 僕の術式を体験したい人~?」

ネオン「ハアァイ!!」

ラプンツェル「はい!」

紅蓮「は~い。」

五条「三人かぁ、そうだなぁ...
 うん、ラピちゃん行こうか!」

アニス「何でよ...」(≖ࡇ≖)

五条「僕に触ってみてよ。」

ネオン「字面だけ見ると変態みたいですね。」

五条「性女と同じにしないで。」

ラプンツェル「失礼な! まるで私が変態みたいじゃないですか!!」

紅蓮「君はもう少し客観的に自分を見た方がいいよ。」

ラピ「...失礼します。」


 ラピは五条に向けて、手のひらを向けて触れようとする。しかし、ラピの手のひらが五条に触る寸での所で止まる。


ラピ「っ!?」

五条「触れないでしょ?」

アニス「ホント?...えっ? 止まってる!?」

ネオン「ホントですね! 触れません!!」

五条「止まってないよ、僕に近づく程遅くなって止まってるように見えるだけ。」

紅蓮「ということは、君に向かってくる攻撃は全て当たらない訳だ。」

五条「そういう事!」

マリアン「でも、指揮官は前世で亡くなってこちらに来たと聞きましたが...
 五条さんも亡くなったんですよね? 老衰ですか?」

五条「28歳で死んだよ~」

ネオン「六眼を持って生まれた人は短命とか...」

五条「そんな設定も無いよ~」

アニス「毒殺とか...暗殺...?」

五条「そもそも呪力感知できるからすぐ分かるよ~
 皆僕が簡単に死ぬと思うの?」

アニス「それは分かってるわよ!
 でも貴方が死ぬなんて全く想像つかないのよ!!」

五条「まあ顔も実力もハイスペックのナイスガイだからね。」

紅蓮「となると、やはり君を殺した者がいるのだね。」

五条「ま~ね、完膚なきまでに負けたよ。」

アニス「全く想像出来ないんだけど...」

マリアン「一体どのような...」

五条「空間ごとぶった切る斬撃で無下限ごと輪切りにされた。」

アニス「チートにはチートをぶつけるのね、よく分かったわ。」
(≖ࡇ≖)
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