特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 アークレンジャー・ブラックを見ていると、遊戯王のシャドーミストが頭から離れないのですが...

 共感者を求む。


期約之幸(きやくのさち)

 夏油は気を失って雪原を背に預けていたが飛び起き、周囲を見渡すと遠くで見ていた筈のラピたちに、顕現した漏瑚たち自然呪霊たち、

 

 そして先程まで戦っていた五条も、夏油の顔を覗き込んでいた。

 

 寝ていたように背を預けていた事、そして思い返すのは玉藻前の領域内で、漏瑚たちや九尾に悪路王大嶽が攻撃する寸前だった。

 

 麻痺していた記憶が少しずつ鮮明になり、この状況を改めて見て事実に直面する。

 

 

夏油「そうか...私たちは負けたのか。」

 

 

 麻痺していた記憶には、(およ)そ半年分の情報が圧縮され詰め込まれたような感覚がある。

 

 あの攻撃の瞬間、夏油たちは五条の無量空処を受けて、情報の密度に気を失ったことで勝負が決したのだろう。

 

 だが五条が宣言した時間通りならば、術式の回復は攻撃よりも遅かったと、夏油たちには確信があった。

 

 

五条「どうして負けたのか、気になるって顔だな。」

 

夏油「教えてくれないか、私たちは何故負けたのか...」

 

五条「いいよ、傑が起きてから教えるつもりだったから。」

 

 

 五条は膝より少し高い岩を見つけて腰掛け、領域内の戦いが見れなかったラピたちにも教えるように話し始める。

 

 玉藻前が領域を展開した後、呪霊ら術式の攻めと五条の領域対策と呪力操作による守りの戦いがあり、術式が回復する寸前の瞬間に、守りの要である領域対策が強制的に解除された事。

 

 そして漏瑚たちが攻撃するよりも前に、五条が領域を展開。玉藻前の領域を押し返し、塗りつぶしたと伝える。

 

 

漏瑚「となると、宣言した残り時間は罠か。」

 

五条「いや? あれはマジに全快するまでのタイムリミットだったぞ。」

 

夏油「ならどうやって領域を展開した?

 悟の無下限呪術は、六眼が無ければまともな運用すらできない程に高度な術式だろ。」

 

 

 領域を展開した直後でも、ポテンシャルは著しく低下するものの、問題無く戦える術師は存在する。

 

 その最たる例として挙げられるのは、死滅回遊 仙台結界(コロニー)泳者(プレイヤー) 石流龍。

 

 彼の術式は呪力の放出という至極単純な術式ではあるが、出力は低下するものの自身の技量で問題無く使用できるのが強みと言える。

 

 しかし五条の無下限呪術は、六眼と抱き合わせで運用する事を想定したような高度な術式であるが故、必然的に自然治癒の時間が長くなる。

 

 五条の言ったタイムリミットが本当ならば、本来領域は使えないという矛盾が発生する。

 

 その疑問を解消するように、あっさりと答えを伝える五条。

 

 

五条「そう、だから自分の呪力で脳を破壊してから反転術式で直した。

 

 これで焼き切れた術式ごとリセットしたんだよ。」

 

 

 夏油は言葉を失っていた。

 

 術式が関わる部分は解明されていない部分が多く、言っている事は簡単で分かりやすいが単純な話ではない。

 

 成功しても運が悪ければ後遺症、失敗すれば術式が使えず、最悪まともに生活できない植物状態になってもおかしくない。

 

 呪力で傷を治せる漏瑚たち呪霊も、この五条の発言に驚愕して固まっていたが、ラピたちはいまいちよく分かっていなかった。

 

 前述の説明に対して、ラプンツェルが嚙み砕いて説明する。

 

 

ラプンツェル「反転術式が高度な技術であることは皆さん知っていますよね?」

 

マリアン「ええ...まぁ...。」

 

ラプンツェル「彼がやった事は、脳手術を目を使わず、自分自身でやっているのと同じ。

 自分から一度壊れた状態にして、脳の機能を積み木のように瞬時に組み上げているんです。」

 

紅蓮「つまり五条ぼっちゃんは、一回死にかけた...いや、自殺しかけたと言っていい。」

 

 

 五条のやっていることが如何に凄まじいか、理解し始めたラピたち。

 

 反転術式は失った肉体や傷を治す技術、だが焼き切れた術式は負傷ではなく、所謂(いわゆる)オーバーヒートの状態と、同じ特級呪術師 乙骨憂太は言及した。

 

 術式の使用は可能だがまともな運用は不可能、それを脳を自分から壊して反転術式で壊れた脳ごと術式を治すという力技。

 

 

夏油「なんて無茶を...!!」

 

五条「大丈夫だって、宿儺とはこれ5回やったし。

 大体コツは掴んでるよ。」

 

夏油「っ...。」

 

 

 何気なく言い放った一言で、夏油は更に五条との彼我の差を突き付けられた。

 

 五条の奥の手は、無量空処でも、虚式 茈でも無かった。領域展開直後でも術式を使える、反転術式の脳治療。

 

 しかも自分はようやく一回使わせたのに対し、宿儺との戦いでは5回以上術式を直し、連続で領域展開を展開した。

 

 ただでさえ一日に連続して領域展開すること自体が規格外だが、この差は六眼による緻密な呪力操作が成せる、超高等技術である。

 

 あまりにも乖離している実力の差と、最後の最後に勝てなかった悔しさに、唇を震わせ血が滲むほど強く噛み締めている。

 

 苦虫を嚙み潰したような表情をする夏油を初めて見たラピは、

 

掲げた夢が、目標が、

 

手に届くか分からない高さにあると、ひしひしと伝わって苦しそうだと感じる。

 

 だが五条は、悔しさや自責している夏油を見て、ラピとは全く別の思いを募らせていた。

 

 

五条(本来この技は、この模擬戦では使いたく無かった。

 

 命をかける戦いじゃないし、これを最初から使ったら傑の力量を調べる意味が無くなるからな。

 

 体裁では俺の勝ちだけど、本当なら俺の反則負けだ。)

 

 

 脳治療と領域の連発で、この勝負は呆気なく終わるが、それはこの戦いの意味でもある互いの力量を知る事が出来なくなる。

 

 それで戦う前からこの技は使わないとルールを決めていたが、反射的に五条は使ってしまった、使われたのだ。

 

 死の一歩手前まで追い詰めた夏油の素養に、五条はこれからの成長に期待が膨らんでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人の戦いは終わりを迎えて、すぐにアークに戻る支度を済ませた夏油たちと、この任務で新たに加わった五条。

 

 戦いのインパクトと内容から、ずっと驚きっぱなしだったラピたちの反応は、

超ヒット大作アクション映画を見終わったような面持ちのアニスとネオン、

 

 心も同じくらい強くならなければと、決意を固めるマリアン、

 

 戦いが終わった後の夏油の表情を見て、焦燥感と不安が見られるラピ。

 

 

 紅蓮は名残惜しそうな表情で、夏油たちを見送る。

 

 

紅蓮「もう行くのかい?」

 

夏油「ああ、これからやる事も沢山あるから。」

 

紅蓮「そうか......」

 

 

 人ととの接触が極端に無い彼女らにとって、今回のように実際に会って話す機会はそうある事では無い。

 

 加えて集会が無ければ基本一人で行動する事から、夏油たちと出会った時間は貴重だった。

 

 その時間が終わるという事実から目を背けるように、紅蓮は菅笠を傾けて顔を隠す。

 

 

五条「そんなに凹む事でも無いだろ。

 暇だったら傑のとこ来ればいいし。」

 

アニス「なんでアンタが決めんのよ。」

 

五条「傑が生活してる...前哨基地って地上にあるんだろ?

 なら大丈夫でしょ。」

 

 

 勝手に遊びに来てもいいという口約束を、五条の口から発せられるが、夏油は問題ない様子で頷く。

 

 紅蓮はこの提案に対して、躊躇いを感じながらも提案を受ける。

 

 先ほどまで陰っていた顔は消えて、綺麗な笑顔を咲かせる。

 

 

スノーホワイト「なら次から集会は夏油の部屋だな。」

 

五条「傑の飯食いたいだけだろ。」

 

スノーホワイト「六眼はそんな事も分かるのか。」

 

五条「オマエが分かりやす過ぎんだよ。」

 

ネオン「相変わらずの食いしん坊ですね!」

 

夏油「できれば事前に連絡を入れてほしい、急に来ても準備できないからね。」

 

ラプンツェル「では、私も...」

 

五条「ただし性女、テメーはダメだ。」

 

ラプンツェル「なっ!? 理不尽ですっ!!」

 

マリアン「...ふふっ。」

 

 

 場の空気は一変して明るく変わり、別れの空気が霧が晴れるように消え、各々の表情は異なるが全員別れを惜しむ気持ちは消えていた。

 

 楽しげに話している中、あまり引き止めるのはまずいと感じて、紅蓮は帰りの道案内について話す。

 

 

紅蓮「ラプンツェル、君がお客さんを見送るのかい?」

 

ラプンツェル「はい、私が連れてきましたから。」

 

 

 ラプンツェルの返答を聞き、スノーホワイトと紅蓮は頷いてそれぞれ出発すると呼びかける。

 

 

紅蓮「夏油ぼっちゃん、五条ぼっちゃん、縁があったらまた会おう。

 機会があれば、君たちとも立ち会いたいな。」

 

スノーホワイト「無理をするな。」

 

五条「機会があればな。」

 

夏油「スノーホワイトも紅蓮もお元気で。」

 

 

 別れを告げて、スノーホワイトと紅蓮は並んで去っていく。夏油たちもラプンツェルを先頭に、アークに向かって歩き出していく。

 

 この日の北部は珍しく凪いでおり、離れていった二つの道はハッキリと見えるほど輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏油たちはラプンツェルに道案内してもらいながら、彼女が所属するピルグリムの一つのグループ、パイオニアの活動内容について聞いていた。

 

 ラプンツェル、紅蓮、スノーホワイトにはそれぞれ掲げている目標があり、互いに干渉しない事を約束。

 

 アークが完成し地上でバラバラになった後、変わった姿を見て一つの目標に進めないと悟り、各々の人生を尊重しつつ月に一回生死の確認として集会するようになった。

 

 

 歩きながら会話していく中、ラプンツェルはふとラピを見つめ、その勇姿からある人物を想起する。

 

 

ラプンツェル「ラピは本当に私の友達に似てますね。

 雰囲気や性格は違うのに、戦い方は瓜二つです。」

 

ラピ「...その人って、レッドフードですか?」

 

 

 ラピの口から伝えられた名前から、ラプンツェルは知っているとは思わなかったような表情をしている。

 

 何故名前を知っているのか、その理由についてラピに質問する。

 

 

ラプンツェル「レッドフードを知っているんですか?」

 

 

 ラプンツェルの口から出てきた名前、レッドフードを聞いてラピは確信を得たような表情をしている。

 

 ラプンツェルの他に、アニスやネオン、マリアンもラピの様子がいつもと違うと感じて顔を覗き込む。

 

 ラピはラプンツェルに答えず話し続ける。

 

 

ラピ「レッドフード、一次侵攻のニケ。そして伝説の指揮官。

 貴方たちの分隊名は、最初からパイオニアだったのかしら?」

 

 

 レッドフードのプロフィールと、その当人を指揮していた人物の名前を伝えていく。

 

 そしてラプンツェルたちの分隊名について質問し、ラプンツェルがその質問に対して答えようとする。

 

 

ラプンツェル「いいえ、これは地上で2人に再会した時に貰った名前です。

 元の名前は...」

 

ラピ「ゴッデス。そうよね?」

 

ラプンツェル「はい、そうです。」

 

 

 ラピが告げた分隊名に対して、ラプンツェルは間違いないと答えるが、その返答にアニスとネオン、マリアンの三人は固まり開いた口が塞がらない。

 

 五条は何のことか全く分からず、夏油にゴッデスについて説明を受ける。

 

 

 ゴッデスとは、ラプチャーが出現してから敗北続きだった人類で始めて完全なる勝利を(もたら)した部隊。

 

 その異名は人類の希望や勝利の女神と呼ばれて、現在でもその名前は知らない者はおらず、名実ともに伝説のニケ部隊である。

 

 アークに人類を保護するためのアークガーディアン作戦にて、最後まで人類を守り切りアーク閉鎖まで命をかけたと言われ、公式発表や文献によるとその作戦で全員戦死したと言われている。

 

 本来なら生きていない筈の、夢の存在が目の前にいる状況に、アニスたちの反応は納得できるものだった。

 

 

ラプンツェル「じゃあ、ラピはレッドフードに会ったことがあるんですか?」

 

ラピ「...あります。」

 

ラプンツェル「そうだったんですね。どうりで似ていると思いました。

 言ってくれてありがとうございます。」

 

 

 今日何度目の驚きなのか分からなくなってきたが、アニスはゴッデスの指揮官を探せば見つかると話す。

 

 しかしラプンツェルはこれを拒否、自分がこうして地上を活動できるのは、まだゴッデスとして戦っていた時に果たせなかった約束を、今度こそ果たすためにアークに戻らないという決意を固めている。

 

 何よりも、こうして今のアークを生きる者たちから、自分たちの事を忘れずに覚えていてくれている事に胸がいっぱいな様子を見せながら、その表情には哀しみも混ざっていた。

 

 マリアンは一瞬感じ取るが、彼女たちの踏み込んではならない領域、明かしたくない過去があるのだろうと考え、あえて聞かなかった。

 

 

 こうして話している間に、夏油たちはアークに続くエレベーター近くまでやって来た。

 

 ラピはここまで案内した事に対して、マリアンはゴッデスの事を沢山聞かせて貰った事に感謝を伝える。

 

 ラプンツェルも、大人数で移動できた事に感謝を伝える。

 

 

ラプンツェル「私も久しぶりに楽しい旅が出来ました。」

 

 

 ラプンツェルは感謝を伝えた後、夏油と五条に視線を向けて、その表情を見つめ続ける。

 

 五条は親友がこんなにも生き生きとしている様子を久しぶりに見て笑みを零し、

 

 夏油は先程まで乖離していた力の差に悔しさと絶望を抱いていたが、今は闘志と対抗心を燃やしつつラピたちの会話を楽しんでいるように見えた。

 

 

 2人の表情を見たラプンツェルは、強い意志と揺るぎない心を持っていると分かり、助言や激励は必要無いと判断した。

 

 しかし、伝えておきたい事があったのか、五条に対して声を掛ける。

 

 

ラプンツェル「五条さん。」

 

五条「ん?何??」

 

 

 声をかけられた五条は露骨に嫌な顔を浮かべていたが、ラプンツェルの真剣な表情を見てすぐに耳を傾ける。

 

 

ラプンツェル「未来とは常に不確定なものです、ちょっとした拍子で簡単に崩れたり変わったりすることもあるかもしれません。

 

 でも、決して躊躇わず、自分の正しいと思う方法を突き進んで下さい。

 

 それがきっと、ブラザーと貴方を導く道標(みちしるべ)になるはずですから。」

 

 

 これから先の事に対して、激励するように見えるが忠告とも取れるラプンツェルの言葉に、五条は鼻で笑いながら力強く宣言する。

 

 

五条「心配すんな、コイツ()が道を踏み外しそうな時は、俺が殴り飛ばしてでも止めてやる。」

 

ラプンツェル「...さあ、では本当にお別れの時間です。

 

 久しぶりに賑やかな旅ができて楽しかったです。

 

 皆さんの人生も、今回のように楽しい旅になりますように。」

 

 

 五条の返答にラプンツェルは満足したのか、それとも安心したのか、笑顔を向けて悠々と去っていった。

 

 賑やかだったチームが、風が吹き込む音だけが耳に入り、静けさが支配していたが、夏油は自分の選択について話し始める。

 

 

夏油「私はこれから、アンチェインドの量産方法を手に入れ、君たちと人類を対等にしたい。

 

 しかし、私の意見に反対する比率が多いのが現状だ。

 

 恐らく私は、この世界の人類に排斥(はいせき)されるかもしれない。

 

 それでも君たちは、私についてくるのか?」

 

 

 今掲げている目標の、ニケの自由選択権利についてであり、基本的にニケを下に見る世俗は変わっておらず、夏油のような考え方は排除されるのが常だ。

 

 これまで以上に苛烈になると予想して、ラピたちの意思について聞いておきたかった夏油は、改めてついてくるのかと問いかける。

 

 

アニス「何回も死にかけて、今更それ言うの?」

 

ネオン「ホントに、その通りです。

 私は師匠を越えなければならないという目標があるんですから!」

 

ラピ「指揮官、私たちのことは心配しないでください。

 最初にあったあの時から、一緒にいる覚悟はできています。」

 

マリアン「貴方が命懸けで助けてくれたこの命、

 私は懸けても、無駄にするつもりはありません。」

 

 

 彼女たちは夏油について行く選択に迷いは無い、その瞳には陰りがなくまっすぐ見据えている。

 

 4人の反応を見た五条は、その瞳から教え子と重なり、抱いている決意の固さを感じ取る。

 

 夏油は問いかけた事自体が愚問だったと、見くびった事に謝りながらエレベーターのある前へ向かって踏み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五条「へぇ、ここがアーク。

 随分とまあ、こんな地下深くまで作ったな。」

 

夏油「元は核シェルターだった物を居住区に改造したらしいよ。」

 

五条「まるでモグラだな。」

 

 

 エレベーターに乗ってアークに到着した夏油たち、この世界の人間の居住地であるアークを軽く散策していた。

 

 車が少なく殆ど自転車とバイクが行き交う道路、天井に映し出された広大な青空、そして前世と同じように生活している人々。

 

 近代的な建造物に目を瞑れば、生前の世界と遜色無いが異色な世界が広がっている。

 

 

五条「うん、マジで呪力が無いんだな。」

 

夏油「ああ、だからこんな環境で生きても呪霊が全く発生しない。

 私たちの世界では間違いなく呪霊の温床だった。」

 

 

 夏油たちから聞いた話で、本当に呪力が存在しないのか確かめる為、五条の呪力感知からでも全く感じ取れず、真実だと判断する。

 

 違和感に慣れない様子を見せている五条に、夏油は今回の件をアンダーソンに報告する為に向かう。

 

 

 夏油はアンダーソンに、今回北部に向かって起きた事について報告する。

 

 地上に生存者(五条 悟)がいたこと、未確認のピルグリム2体(ミールとイサベル)と遭遇し、スノーホワイトが所属する分隊からアンチェインドの製造方法がある場所を教えてもらった、

 

 以上の三点を報告し、聞いたアンダーソンは次々と予想外の報告に頭を重そうに抱えていた。

 

 

アンダーソン「本当に君は...私の想像以上の事態に遭遇するな...。

 そこの生存者君は、君と同じ呪術師と見ていいのかね?」

 

夏油「はい、彼も生前私と同じ呪術師として行動していました。」

 

 

 あまりにもこの世界の人間にしては、異質な雰囲気を感じ取ったアンダーソンは、五条を夏油と同じ世界の住人だったのかと問う。

 

 夏油の返答を聞いて、新しい戦力で中央政府に秘匿する対象が増えたと判断して、迅速に対応するべきだと判断して電話を取る。

 

 聞くと電話の内容は、住民登録する為の認識チップを用意する手続きをしているようだ。

 

 

アンダーソン「すまないが、手続きに少し時間が掛かる。

 こちらの準備が終わるまでは、夏油君と一緒に行動してくれ。」

 

五条「イエッサー。」

 

 

 いつものように軽薄な調子の五条の返答を聞いて、アンダーソンは会議が控えている為退室してもいいと言う。

 

 

アンダーソン「ああ、夏油君。

 出来るだけすぐに前哨基地に戻った方がいい。」

 

夏油「何故です?」

 

アンダーソン「君の帰還を待っている人物が居る。

 行けばわかるさ。」

 

 

 帰っても良いと言ったアンダーソンだが、すぐに夏油を呼び止めて前哨基地で待っている人を待たせないように言い渡す。

 

 夏油は頷き早急に前哨基地に向かっていき、副指令室の扉を閉める。

 

 

 夏油たちが去ったことを足音で確認した後、アンダーソンは端末に表示されている五条の写真を見つめていた。

 

 

「......何故、あの男が()()に...?」




 呪術廻戦をきっかけにking Gnuの曲を聞き始めたのですが、カメレオンやらあなたは蜃気楼やら名曲が多く聞きまくっています。

 個人的には自白という曲がお気に入りです。



にけ さんぽ




 夏油たちと別れ、並んで歩いていた紅蓮とスノーホワイトは、これからの事について話し合っていた。


紅蓮「それにしても、彼らの戦いは凄まじかったなぁ。」

スノーホワイト「そればかりだな、戦い以外無かったのか?」

紅蓮「戦いの中、もりもりご飯を食べていた君に言われたく無いね。」

スノーホワイト「夏油の料理が上手いのが悪い。」

紅蓮「確かに、夏油ぼっちゃんの料理はとても美味しかった。
 無理を言って作って貰ってよかったよ、今から酒といっしょに(たしな)むのが楽しみだ。」

スノーホワイト「その袋の中がそうか?」

紅蓮「そうさ、お酒に合うつまみを作って貰ったんだ。
 お肉とつまみを燻製したものらしい、雑味が無く美味しいらしい。」

スノーホワイト「確かに美味しかったな。」

紅蓮「そうかいそうかい、それはより一層楽しみ......?」

スノーホワイト「今度食べるときはご飯と一緒に食べたいな。」

紅蓮「......どんな物があったんだい?」

スノーホワイト「肉と豆、チーズがあったぞ。」


 夏油から受け取った風呂敷(ふろしき)に包まれた箱を開けて、その中身を確認する。


紅蓮「.........スノーホワイト、この中身はどうしたんだい?」

スノーホワイト「? 夏油と五条が戦っている間に食べたぞ。」

紅蓮「そうかい、そうかい......スノーホワイト。

スノーホワイト「なんだ?」

紅蓮「君は自分のご飯が食べられたらどう思う?

スノーホワイト「嫌な気分になるな。」

紅蓮「そうだろう、そうだろう...食べ物の恨みは恐ろしいのだよ...。

スノーホワイト「...何故刀を抜いている?」








 一方アークに向かっている夏油たちとラプンツェル、移動中に夏油の端末からバイブレーションが伝わってくる。


マリアン「どうしたんですか?」

夏油「スノーホワイトから通信だ。」

アニス「スノーホワイト? さっき別れたばっかよね??」

ラプンツェル「何かあったのでしょうか?」

五条「どうせ飯の催促だろ。」




  スノーホワイト




 スノーホワイト
 (夏油、今いいか?)


夏油 

(? どうしたんだい??) 



 スノーホワイト
 (袋で包んでいた箱の飯はまだあるか?)


夏油 

(いや、紅蓮に渡したのしかないが。) 


(何かあったのか?) 



 スノーホワイト
 (ああ、かなり切羽詰まっている。)

 (出来ればでいい、また今度作れないか?)


夏油 

(構わないが...) 



 スノーホワイト
 (それは良かった。)

 (すまない、もう切るぞ。)


――――――――――END――――――――――



夏油「......。」

ネオン「どうでした?」

ラピ「スノーホワイトに何かあったんですか?」

夏油「どうやら逆鱗に触れたらしい。」

ラピ・アニス・ネオン・マリアン
「「「「????」」」」
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