だって
加えて
絶対面白い...しっかり見たい...
北部から帰還して前哨基地に戻って来た夏油たち、五条も認識チップが出来るまでは夏油と一緒に行動する為前哨基地にやって来ていた。
しばらく空けていた拠点の扉を開けると、懐かしい雰囲気よりも先にこの場所とは不釣り合いで幼い声が響く。
扉を開けた正面に目を向けると、シュエンが靴で床を鳴らしながら立っていた。
シュエン「おい、お前。
なんでこんなに遅いの、どこで何してたのよ!」
五条「傑、何このガキ。迷子か?」
シュエン「ガ...ガキ...?」
地上の環境を同行していた事で把握していた五条は、シュエンのような子供が何故ここにいるのか理解できず、この状況で最もあり得そうな迷子として見ていた。
あまりにも直球すぎる侮辱に、思わずシュエンも固まってしまう中、マリアンが夏油の代わりにシュエンとアークを創設に大きく貢献した三大CEOについて説明する。
その間に夏油は、シュエンが何故前哨基地にやって来たのかについて伺う。
夏油「シュエンさん、何故こんな所までわざわ出向いたのですか?」
シュエン「まぁ...いいわ、お前たちが地上で何をしていたとか、今はどうだっていいし気にしない。
その代わり、私の言う通りにやって。」
夏油「と言うと?」
シュエン「あいつら、アークが平和だからああやってデモなんかしてるのよ。危機感が無いからよね。」
シュエンの計画を話す前に、聞き覚えのない単語を聞いて困惑するラピたち。
気になって端末を取り出しスレッドニュースを見てみると、NIMPHが無くなった事で人間への攻撃が可能になったと、ある一人の告発文による話題が殆どだった。
恐らく夏油たちが北部に向かっている道中で、告発文がネットワークに流出、これによりアンチェインドを使用したメティスに記憶消去とNIMPHの復旧を要求する団体がデモ活動を開始した。
マリアン(デモ...?)
ラピ(この記事ね。)
アニス(指揮官様の言った通りにNIMPHの無いニケが批判されてる...)
五条(平たく言えば、
アークっていつもこんな感じなの?)
ネオン(まあ............いつもではない筈です。)
五条(説得力
一つの情報からここまで大規模なデマにまで発展しているこの状況を見て、アークとはかなり不安定な環境なのだという認識を改める。
シュエンは五条たちの会話が入らないようで、緊迫感と焦りのある声色でラプチャーがアークに侵攻してきた時
NIMPHを付けるようにデモを続けられるのか、
それともラプチャーに恐怖してしまうのか、
シュエンの発言からある程度考えている計画について予測はついた夏油、その内容は意図的にラプチャーを呼び寄せ、攻めてきたラプチャーをメティスが撃破する。
自作自演の作戦で、NIMPHが無くとも人を守るというメティスの信用を回復させると企ていると読み取る。
夏油「ラプチャーをこちらに引き寄せて、メティスが殲滅する自作自演ですか。」
ラピ・ネオン・マリアン「「「!!」」」
アニス「はぁっ!?」
シュエン「そうよ。そうすれば今騒いでいる連中も黙らせられる!
最後にメティスが本当に復活して終わりってわけ!」
夏油の口から出てきた冗談のような作戦に、シュエンは上機嫌で成功したケースについて話し始めていることから、本気でこの作戦を推し進めようとしていると分かる。
夏油たちはラプチャーにアークの場所が知られていると知っているが、それでもアークを餌にラプチャーをおびき寄せるこの作戦はあまりにもリスキー。
加えて得られるメリットがメティスの復活のみという、人類全員と天秤にかけても不釣り合い過ぎる常軌を逸した考えを発する。
シュエン「勿論、クソ真面目なお前はこの作戦を受けるとは思っていないわ。
そんなことも見抜けないようじゃ、私はミシリスの社長じゃなくて、ただの間抜けだもの。」
夏油「こちらに対して何か利点があるのですか?」
夏油は表情を全く変えず、シュエンの考えを静かに聞いたうえで、作戦が成功した時の報酬について言及する。
その反応から、撒き餌に獲物がかかったと言いたげな表情で、夏油に対して与える対価を誇らしげに提案する。
シュエン「私がお前をヒーローにしてあげる!」
提示した条件は、夏油にアーク内での名声。
総力戦の時に注目されていたが、それ以上の名声と名誉を与えると約束すると言った。
その比較として出されたのが、60年前の第二次地上奪還戦で一劣勢に追い込まれた中、唯一ラプチャーに勝利を収め群を抜いて才覚を発揮した指揮官。
100年前の第一次地上奪還戦で、ゴッデスを指揮した伝説の指揮官以来の逸材として称えられた
新星という名声は、データベースに検索すれば直ぐに功績が出てくる程に、アーク設立以来最も有名な人物でもある。
その伝説のような人物よりも、有名にするとシュエンは自信を持って約束する。
夏油「お断りします。」
シュエン「ええ、あなたなら承諾すると思っ......は?」
夏油「申し訳ありませんが、お断りさせて頂きます。」
シュエンからの提案を、夏油は速攻かつ丁寧に断る。
受けると思っていたシュエンの表情が、嬉々としていたがみるみる凍りつきながら、内から熱が湧きあがってくるように感じられる。
シュエンが夏油の声しか届いていないと良いことに、小声でシュエンの失態を掘り返す。
ネオン(まだ師匠の事を、よく分かっていないようですね!)
アニス(ね~? だから、ただの間抜け...)
ラピ(アニス...)
五条「間抜けじゃん。」
マリアン(五条さんっ...!)
ラピ「はぁ...。」
アニスの失言を止めようとしたラピだが、それより先に五条がアニスと同じ考えを聞こえる声量でこぼす。
マリアンは口元に指で×印を作って止めて、ラピは結局こうなるのかという諦めのような感情で頭を抱える。
自作自演のこの作戦は、予めシュエンの方で等級が低く弱いラプチャーを集められるとシミュレーションで確認している。
一番戦闘力の高いラプチャーがロード級程度ならば、メティスの攻撃で簡単に殲滅できる戦力だと把握した上で、もう一度夏油の答えを聞く。
シュエン「ヒーローになれるのよ?」
夏油「申し訳ありませんが、そういった物に興味は無いので。」
二度目も同様に簡単に断られた、シュエンは無言で心に溜まった鬱憤を吐き出すように溜息をこぼす。
この男はいつもそうだ。
自分の目の前に聳える、目障りで邪魔な壁。
自分は何でも手に入れて何でもあるのに、何も持っていない奴が私の足を引っ張る。
心の中で毒づくがそれでも怒りは収まらず、歯を強く食いしばり擦れる音を立てる。
シュエン「...なんでそんなに拒むの?
メティスもニケでしょう? お前が可愛がっているニケ!
なんでうちの子だけ差別するのよ!」
内に秘めていた拒絶する夏油への悪感情、怒り、憎悪、止まることを知らず、決壊したダムのように溢れ出す。
救うべき存在である筈なのに、何故救わないのか。
自分が目障りなのか、
自分が嫌いだからなのか、
自分を陥れたいからなのか、
一度考え始めると、黒いコーヒーにこぼした白いカーペットを塗りつぶすように広がっていく。
シュエン「私の下にいるから?
私が可愛がっているから?」
夏油「そのような理由ではありません。」
否定された。
じゃあ何なのか、何故拒むのか、
私的な理由以外に、拒む理由があるのか、
完全に感情を表に出して、シュエンは小さい体を振り絞って声を張り上げる。
シュエン「じゃあ、なんでやらないの。
そこの
メティスはなんで助けないのよ!」
夏油「一つ、リスクが大きすぎます。
アークにラプチャーを引き寄せて、万が一にも、億が一にもヘレティックを引き寄せれば、多数の犠牲者が発生すると考えられます。
そしてメティスのみで処理しきれない場合、アブソルートが出撃してその場を収めたら、貴方の求めているメティスの信用回復は失敗します。」
夏油が提示したのは、シュエンの作戦を発動した際のリスク。予測外の戦力であるヘレティックの介入。
モダニアの際は、準備や作戦を整えた上で戦力を分配投入でき、かつ夏油が術式を使ってようやく犠牲者ゼロという異例の大戦果を
しかし今回の戦力はメティス、アブソルートと同等とされる戦力のメティスとはいえ、マリアンの加勢を考慮してもヘレティックの戦闘で犠牲者がいないとも限らない。
そのヘレティックを呼び寄せてアブソルートが出張ってくれば、この時点でシュエンが望むメティスの信用回復は失敗。
寧ろ呼び寄せた疑いのあるメティスは、今以上に大衆に糾弾され、排斥される可能性がある。
シュエンの考案した作戦は、ラプチャーの殲滅や人類を守る以前に、彼女の要求を叶えるには、あまりにも成功率が低すぎる作戦なのだ。
夏油の説明を聞いて、シュエンはその場でへたり込み、息苦しさすら感じられるか細い声で問いかける。
シュエン「じゃあ...どうすればいいの?
今みんな血眼になって、メティスを食い物にしようとしているのに、
どうやって落ち着かせるの?
どうやって
今にも泣きそうで光っている瞳で、夏油の顔を見上げる。
その姿は大衆の活動と言霊によって疲弊しており、とても脆く、人の形を保てているのがやっとという姿だった。
メティスの記憶消去なぞ強行しようものなら、今度こそ彼女という器は完全に砕け、正気を保つことは出来なくなるだろう。
夏油も記憶消去という選択肢を取りたくはない、だが大衆の動きが収まらない限り、中央政府が動き出すのも時間の問題だった。
シュエン「...方法を探すと言ったわよね?
メティスを助ける方法を、探し出すって言ったわよね!
信じろって、絶対助けるって!」
この場に出したのはマリアンを救出する総力戦前、夏油が取り付けた約束。
メティスが浸食に侵された際に、マリアンの救出が終わった後に必ず救うと誓った事。
だがこの約束はあくまで、
今回のような状況で果たされる約束ではない。そのような約束を取りつけた夏油に、五条は信じられないような、呆れたような顔をしていた。
もう自分の言っている事に矛盾があるということすら、彼女は気付いていない。
否、気付かないフリをして目を逸らしている。
そうでもしなければ、彼女は何もできずメティスの終わりをゆっくり見る事しかでき無くなるだろうから。
シュエン「やって、やってよ。
...頼むから...お願い...。」
夏油「......。」
声を張り上げていたシュエンが、今では立つことすらままならず、へたり込みながら夏油のズボンの裾を引っ張り
もうミシリスの社長などの肩書きすら感じさせない、幼い一人の少女の懇願だった。
その姿を見ていられなくなったのか、それとも別の要因によるものなのか、片膝をついてその懇願に答える。
夏油「分かりました、協力します。」
アニス「指揮官様っ!」
五条「はぁ...。」
夏油の一言に、シュエンは差し込んできた光を見つけたように、すぐに顔を上げ立ち上がる。
崩れ落ちそうな表情は何処にもなく、今や生気を取り戻し水を得た魚のように話し出す。
シュエン「本当に? やってくれるの?
やっぱりやめるとか言わないよね?」
夏油「協力します、解決しなければこちらにも問題があるので。」
この件を放置して、気掛かりとなるのが、同じくNIMPHが除去されたマリアンへの被害。
公にはNIMPHの有無については公表していないが、メティスの浸食除去の告発文には、アンチェインドが浸食ごとNIMPHを削除する事を知っている一文が記述されていた。
以上の情報は、中央政府が厳重に規制している情報である為、容易に外部には流出しないだろうが、今回の件を皮切りにマリアンもNIMPHが除去されていると辿り着き、標的になる可能性が十二分にある。
夏油にとっても、この
承諾の一言を聞いて、シュエンは完全に気力を取り戻し、嬉々として話を広げていく。
シュエン「そう、よく決心してくれたわ。
お前を必ずヒーローに...」
夏油「ただし。」
喜びを隠せずはしゃいでいるシュエンを遮るように、夏油が声を出して止めて、ゆっくりと腕を前に出す。
急に話を止められたシュエンは、困惑しつつも口が止まり夏油の返答を待っている。
夏油「条件があります。」
場所は前哨基地から変わり、ミシリスの本社内、メティスが待機している部屋に向かっているシュエンと夏油。
シュエンの表情は、約束した時の嬉々としていた顔は消え去り、苛立ちと怒りに変わっている。
対照的に、夏油は無表情で廊下を歩き続け、シュエンの後ろをついて行く。到着したのか足を止めて、自動扉の前に立ち尽くす。
シュエン「入る前に、1つだけ約束して。」
夏油「何ですか。」
シュエン「内容は後で話すから、取り敢えず約束して!」
入る前に思い出したかのように、シュエンが釘を刺すように約束を取り付ける。
夏油は頷いて承諾し、シュエンは内容を話す。
シュエン「中に入って、私があの子たちに何を言おうが、お前は何も知らないフリをして。
私の言う通りだと笑って、『分かった』って言って。」
約束だがあまりに曖昧とした内容、だが夏油はシュエンの作戦からその意図を汲み取り、こういった行動に出ることも予測していた。
夏油は一言「分かりました。」と答え、頷いたシュエンは即興で笑顔を作り、メティスが待っている部屋の扉を開ける。
シュエン「みんな! お待たせ!
ねえ、今日はある人を連れて来たのよ!」
夏油「やあ、久しぶりだね。」
メティスの面々は、夏油がやって来た事に目を見開き、驚きながらも久しぶりに出会えて喜びを隠せず駆け寄る。
入る前までは沈み込んで淀んでいた空気が一変し、明るく楽し気な雰囲気になるが、その変化を止めたのはテレビから流れているニュースだった。
内容はミシリス本社前で抗議している市民が、ニケに自由意志を持った時に、人類に銃口を向けない保証が無い事。
その保証の為にも、ニケにはNIMPHを付けるべき。と市民の声を放映しているもので、大勢の市民が本社前で抗議活動しているとテレビ越しでも分かる。
雰囲気は再び沈み始め、気分が下がっていくのを見たシュエンは、テレビの電源を消した後に手を叩き注目を集める。
シュエン「みんな、なんであんの見て暗くなってるのよ?
この私が、たかがあんな世論1つ覆せないとでも思ってるの?
お前たちに爆弾だの、NIMPHを埋め込むべきだの言わせるのも今日までよ。」
ラプラス「じゃあ...!」
シュエン「お前たちが再びヒーローになれる方法を見つけたわ。」
注目を集めた後に、シュエンが言い放った話に対して、ラプラスとドレイクは目を輝かせる。
唯一表情の変わっていないマクスウェルは、シュエンの対策について尋ねる。
マクスウェル「その方法って、一体どんなの?」
シュエン「アークに新しい防御壁を作るの。」
ラプラス「防御壁??」
シュエンの対策について真剣な表情で聞いていたラプラスだが、アークという地下で暮らしている防御壁を作る理由についていまいちよく分からず頭を傾げる。
ドレイク(防御壁...つまり作ってどうなるのだ?)
夏油(地上の一部をラプチャーのいない区域にできる。)
ドレイク(地上奪還という訳か...ならば前哨基地はどうなる??
あそこは投げがいのあるマンホールがたくさんあるのだが...。)
夏油(さあ......ちょっと待ってそれどういう事だい??)
ドレイクは夏油に防御壁を作る理由について夏油に質問し、夏油はドレイクがボソッとこぼした問題について初耳という反応で動揺する。
質問を切り出したマクスウェルは、ミシリスが防御壁を開発しているという情報を初めて聞き、シュエンに詳しい内容を追及する。
マクスウェル「うちの会社、また何か新しく開発したの?」
シュエン「...ええ、したわよ。
前に作っておいたやつがあるの。」
マクスウェル「じゃあ、何で今更使うわけ?
もっと早く使っておけば良かったじゃない。」
シュエン「それは...費用の問題があったのよ!
作ってる途中にラプチャーに襲われて! 研究所に近づけなかったの。」
必死になって嘘を取り繕うシュエン、荒削りして詳しい内容を聞いたマクスウェルは、地上に研究所があったのかと思い出してみる。
ドレイクと話していた夏油だが、すぐにでもバレそうな嘘を持ってきたシュエンに、その場しのぎできると思っていたのかと呆れながら見ていた。
マクスウェルの質問が終わって、話していた内容を簡単に嚙み砕き、頭の中で要約したラプラスは内容を復唱する。
ラプラス「じゃあ、私たちはその研究所へ行って、防御壁を活性化させればいいのか?」
シュエン「ええ、それだけよ。
研究所に活性化ボタンがあるから、それを押して帰ってくればいいだけ。」
ラプラス「本当に簡単だな!
たったそれだけの事で、本当に再びヒーローになれるのか?」
シュエン「ええ、勿論よ。」
加えて新たな壁を作る現場を生中継して、メティスが防御壁を築く光景をアーク市民に立ち会わせると説明。
ラプチャーとの戦闘と新たな防御壁の建造、十分に市民の印象を変える事ができると伝えて、ラプラスのテンションは最高潮になり、強い熱意と感謝を見せる。
ドレイクは急にテンションの上がったラプラスを見て、取り敢えず不敵な笑みを浮かべて笑い飛ばす。
マクスウェルは2人の反応に呆れながらも、いつも通りに戻って満更でもない表情を見せる。
そしてラプラスは、今日この場に来た夏油に目を向けて、やって来た理由について自分の考えを伝える。
ラプラス「バードボーイがこの作戦に、指揮官として参加するのか?」
夏油「そう、私も同行することになったんだ。」
ラプラス「やはりそうか! ありがとう、バードボーイ。
私たちがヒーローとして、復活できるよう手伝ってくれるのか。いつかこの恩は必ず返す!」
夏油「楽しみにしているよ、ラプラス。」
いつもと変わらない表情で、夏油はラプラスの熱意を正直に受け取る。
後ろめたさが完全に無いわけではなく、酷だと感じる一方で彼女たちを救う為にも、受けたからには絶対に被害を出さないと決意を静かに固める。
一方ラプラスは、両腕をブンブンと振り回し、居ても立っても居られない様子で部屋の中を駆け回る。
ラプラス「ああ! こうしてはいられない、早速出撃の準備だ!!」
ドレイク「む? 競争か? 負けてはおれん! 私も行くぞ!!」
マクスウェル「全くあのバカたち...じゃあ後でね、ベビ~。」
埃をまき散らして走り去ったラプラスとドレイク、巻き上がった埃を咳をしながら手で払いながら出ていくマクスウェル。
部屋の中には夏油とシュエンが残り、シュエンは必死に取り繕った噓の仮面を取り外し、疲れた様子を見せる。
夏油「随分と底の浅い噓でしたね。」
シュエン「うっさいわね、さっき思いついたんだから仕方ないでしょ。
ああでも言わないと、正直に言ったら絶対に乗らないもの...。」
メティスの本質、というよりラプラスとドレイクの行動原理は、人を救うこと。
人を危険に陥れる事、被害を齎す事に関しては極度に嫌う。
その性格を熟知しているからこそ、シュエンは嘘をついてまでメティスを地上に送り出す。
その目的は、再びメティスを輝かせるため、自分ではなく彼女たちの為。
シュエンも放送の準備に向かう前に、夏油に入る前に取り付けた約束を共有するように伝える。
シュエン「いい? この事が途中でバレたら、この作戦は終わりだから。
お前の鉄くずにも共有しておきなさい。」
夏油「そちらも、こちらの条件を忘れずに。」
シュエンは社長室に向かって出て行き、夏油は振り返らず一人残る。
夏油がシュエンの作戦に協力する為、提示した条件は3つ。
・ 一つはカウンターズを後方支援として同行する事。
メティスが対処できない物量、もしくは戦闘力を持つラプチャーに遭遇した際の保険。あくまでも夏油の術式は、カウンターズが加わってもどうしようもない時の手段。
・ 二つはメティスのみを報道するようにする事。
カウンターズが今後も、中央政府の上層部に目を付けられないように、敢えて自分たちは画角から入らないようにするという取り決め。
・ 三つはこの作戦でアークに被害が及んだ時、メティスの潔白を証明する事。
アークにラプチャーが侵入し、人類に対して被害が発生した時、メティスに向けられる糾弾を避ける為の措置。
シュエンは放送で、アークにラプチャーを呼び寄せた事、メティスを騙して作戦を行わせた事を自白するように決めた。
なお、三つ目の条件は夏油も、シュエンの作戦に協力しメティスを騙したと自白する事で決まった。
これらの条件を2人の間で取り決めて、夏油は作戦の協力を約束した。
今後のニケの印象を左右する作戦に、夏油は確固たる意志と覚悟を持って足を踏み出す。
ミニゲームが面白くて、中毒性が高すぎる。時間が湯水のように消える...
夏油がシュエンと共に本社で待機しているラプラスたちに会いに行っている間、五条とラピたちは前哨基地からエレベーターへ移動していた。
五条「あれで社長とか、この世界は労働基準法とか知らないのか?」
マリアン「確かに、指揮官たちから見ればかなり可笑しいですよね...」
アニス「そう言えば、
五条「ああ、しかも大半が
雑草が多くて終わってたから、僕が全部摘み取ったんだよ。」
ネオン「おぉ...躊躇が無いですね...」
五条「
そうそう、傑と一緒に生活してどうだった? 感想とかあると嬉しいんだけど。」
ラピ「初めは余裕が無く、かなり疲弊していた印象でした。」
アニス「秘密も多いし、何も知らない状態で
ネオン「それでも大丈夫って姿をずっと見せて、心の強い人だと思いました。」
マリアン「最近は余裕が生まれて、活気と生気を感じられますよ。」
五条「そっか......」
五条はラピたちからの印象を聞いて、顔を俯き微笑む。その表情からは安堵に近い感情を感じられる。
五条「それで...?」
ラピ「?」
五条「傑の事どう思ってんの??」
アニス「はぁっ!?///」
マリアン「ふえぇっ!?///」
ネオン「好きですよ。」
五条「へぇ、案外あっさり答えるんだね。」
ネオン「当然です!
アニス「どうなったらその考えが好きってなるのよ。」(≖ࡇ≖)
ネオン「師匠という目標に向けて切磋琢磨して追いかける...
正しく愛と言えるのでは無いですか!?」
五条「グラ◯ム・◯ーカーじゃん。」
アニス「愛の形は人それぞれっていうけど、それは無いわ...」(≖ࡇ≖)
五条「そういうアニスはどうなのさ?」
アニス「わっ、私っ!?...まぁ...そのぉ...」
ネオン「アニスも好きなんですよね?」
アニス「ネオンっ!」
五条「うんうん、青春してるねぇ。
とするとマリアンも〜?」
マリアン「...はい...///」
五条「傑ってば、人の事言えねぇじゃん、生粋の女誑しじゃん。
あっ、ラピはどうなの??」
ラピ「エレベーターが見えてきました。
地上に上がる準備を始めます。」
五条「露骨に逃げられた。」
マリアン「ラピも好きなんでしょうか...?」
アニス「好きだったら...ライバルが増える...。」
ネオン「私たちも急ぎましょう!」