特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 新ドレイクも遅れて発表、周年の前にドレイクのイベントか、それとも周年配布がドレイクになるのか...


 というか終盤だからそろそろヘンゼルとグレーテル来てくれ、可愛いんだ彼女たちは。


第14章
忌避感と既視感


 夏油たちがニヒリスターが戦闘と繰り広げている間、ヨハンたちはドロシーの計画を聞いて立ち尽くしていた。

 

 この状況を作り出したドロシーは気にすること無く、ただニヒリスターがいるとされている座標へ足を向けて歩いている。

 

 

 ドロシーの勝手な行動に対して、ハランが鎌を喉元に突き立て引き止める。

 

 

ハラン「待ちなさいドロシー。」

 

ドロシー「おやおや、そんなに恐ろしい顔で見つめて...どうしましたか?」

 

 

 鋭い眼光で射抜くハランとは対照的に、ドロシーは嘲笑うような表情でハランを振り返りながら見つめている。

 

 ハランが引き止めたのは、今回の異常とも言えるドロシーの勝手な行動に関してだった。

 

 

ハラン「今回ばかりは勝手が過ぎるわ。」

 

ドロシー「そうでしょうか? 私は合理的で一番勝算のある選択を取っただけですよ。」

 

 

 ドロシーの作戦を執れば、インヘルトの損害は軽微かつこれまでの戦いより消耗したニヒリスターと戦闘できる。

 

 ヘレティック同士をぶつければ、例えマリアンがヘレティックとして活動していた期間が短くとも、ある程度は削れていると踏んでいた。

 

 

ハラン「彼らの命を犠牲にしてでも?」

 

ドロシー「犠牲にするとは人聞きの悪い、危機が訪れた時に助けますよ?

 それに、アークの指揮官やニケの代わりなど、幾らでもいるでしょうし。」

 

 

 「まあ、身体の大半は欠損しているかもしれませんが。」と付け加えて答えるドロシー。

 

 彼女が言っていたように、インヘルトはアークから追放、もしくは逃げ出した者たちの集まりであり、全員がアークに対して嫌悪感を持っている。

 

 

 その為エデンは出来る限りアークには不干渉を貫き、思い出したくもない記憶を触発しないようにしていた。

 

 

ドロシー「ハラン、貴方は第二次地上奪還戦で負傷を負い、味方に切り捨てられたと思ったら、アークが貴方の仲間共々見限った。

 だからアークが全ての元凶であると考えたのでは」

 

ハラン「それ以上口を開いたら、貴方の頬を切り落とす。」

 

 

 ドロシーの顔を掻っ切るように、鎌の鋒が軌道を描く。

 

 ドロシーは対して気にならない様子で、ハランが向けた鎌の刃を顔を逸らして回避する。

 

 先ほど以上の眼力と威圧の籠った様子から、ドロシーの笑みは止まらず周りにも呼びかける。

 

 

ドロシー「アークに恨みを持つのは、ハランだけでは無い筈です。

 

 イサベルも、ノアも、セシルも、指揮官も...そして、この私も。

 

 それに、彼らを見殺しにすると決めている訳ではありませんよ。」

 

 

 募りに募った憎しみは、気付かぬうちに肥大化し憎悪という膿を作る。

 

 ドロシーの言葉を聞いて、それぞれ反応して顔を逸らしたり項垂れたりする。

 

 だがドロシーの思い描いている復讐は、夏油たちが死ぬことでは無い。

 

 

 あくまでドロシーたちの復讐の対象はアーク、夏油たちはあくまで復讐するための手段の一つ。

 

 

ヨハン「なら、マリアンが死んだ時は嬉しい誤算とでも言うつもりか?」

 

ドロシー「棚から牡丹餅ですよ、あのブラックボックスをアークに渡すくらいだったら、私たちが手に入れて管理した方が得でしょう?」

 

 

 ヨハンと2人きりになった時に話した、マリアンの素体確保の話は救出が遅れた時、エデン側にとって都合が良い程度に出来事として見ていた。

 

 なんて事ないように返す態度に、いい加減怒りが抑えられなくなってきた時。

 

 

 100kmあまり距離がある岩壁で囲まれている火山の火口から、オレンジ色の光が天に昇る。

 

 火口の半分の面積を抉り取るように昇りながら、少しずつ細くなり完全に消える。

 

 その地点は、丁度ニヒリスターが拠点としている区域と一致していた。

 

 

ノア「何!? あの光!?」

 

イサベル「マリアンによる攻撃だと推測します。」

 

 

 仰天するノアを他所に、特に反応せず見えた光がモダニアとの戦闘で見覚えがあると記憶を掘り返す。

 

 主力武装のエネルギーブレードの射程を伸ばしたレーザー砲だと推測、その規模からしてニヒリスターを消滅できるパワーがあると発言。

 

 

 イサベルの仮説を聞いて、ドロシーは気を取り直して夏油たちと合流しようと進み始める。

 

 

ドロシー「やはり、彼らはニヒリスターを十分に疲弊させられそうです。

 急ぎましょう。命を助けるつもりなら、手遅れになってしまいますよ?」

 

 

 そう言ってドロシーはエネルギー砲が放たれた火口に向かって歩き出し、ハランは鎌と気持ちを納め、イサベルは時に慌てず、ノアはこの空気感にうんざりしている様子を見せている。

 

 ヨハンはこのままドロシーの思惑通りにするべきか否か葛藤しながら、その荒ぶりを表に出さず歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシル「ニヒリスター健在、しかしエネルギーが38.62874%減少。」

 

ドロシー「少し意外ですね、そこまで消耗しているとは。」

 

 

 セシルの報告から、ニヒリスターが予想よりもエネルギーを消耗していると分かり驚いているドロシー。

 

 20%超えていれば十分だったが、セシルから聞かされた数値を巨大化込みの消費量とすると、良くてあと2回、インヘルトが加われば1回しか巨大化出来ないと判断する。

 

 

 これ以上泳がせておく必要は無いが、ここまで来るとどれ程までニヒリスターを追い詰められるのか気になってくる。

 

 

 しかし、余裕を見せているドロシーだが、全く疑念や焦りが無い訳では無い。

 

 その原因となっているのは、

 

 

イサベル「......。」

 

 

 夏油をエデンに連れて来たイサベルだ。

 

 

 唯一生身の人間であれば、ニヒリスターの攻撃に晒されれば灰も残らず焼失する。

 

 だというのに、夏油の試練を見ていたイサベルからは動揺も身を案じる様子も見せない。

 

 

 無関心だと言うなら説明はつくが、尋問の際にあれだけ視線を送っていたら無関心とは考えられない。

 

 

ドロシー「イサベル、愛しい(夏油)の危機だと言うのに随分と落ち着いていますね?」

 

 

 あえてイサベルの冷静さを指摘して、心中を少しでも汲み取ろうと揺さぶりをかける。

 

 だが帰って来たのは、嘘偽り無しで何も隠していない純度100%の、

 

 

イサベル「フフッ...フフフッ...」

 

 

 ドロシーに対する嘲笑だった。

 

 

ドロシー「...楽しそうに笑いますね、何がそんなにおかしいんですか?」

 

イサベル「あぁ、失礼。気分を害したなら謝ります。

 でもあの方が死ぬ姿など想像できなかったので、思わず...フフッ。」

 

 

 ドロシーに向けた笑みは、まるで陶器を落としたら割れるように当然の事を聞かれたようだった。

 

 貼り付けの笑顔が剥がれ真顔でイサベルを見るドロシーに、続けて答えていく。

 

 

イサベル「確かに、試練の内容は私しか知りませんし、本当に相応しいかどうか皆は分からないと思います。

 しかし、これを見ればその疑念は解消されると思います。」

 

 

 端末を取り出し保存している写真の中から、一枚の写真を選択して他のメンバーに送信する。

 

 送られて来た写真を見て、一同は言葉を失う。

 

 

 送られて来た写真は、素手でラプチャー装甲を貫き、コアを抜き取っている写真。

 

 周囲には同様の手段で破壊されたラプチャーが散乱しており、その近くの地面に抜き取ったであろうコアが無造作に置かれている。

 

 

 常識では考えられない写真を見て思わず声を出す。

 

 

ノア「CGでしょ?」

 

イサベル「本物よ。」

 

 

 到底信じられない様子のノアに対して、イサベルは一刻も間をおかずに答える。

 

 人間が扱える銃火器すらラプチャーを傷つけられないのは、この世界で自明の理。

 

 

 その理を根本から覆すどころか、常識に対して助走をかけて殴りかかるような写真を事実だと言って来た。

 

 

セシル「別に彼をどう思うが勝手ですが...妄言も大概にしなければ嫌われてしまいますよ。」

 

イサベル「別に構いませんよ、私は事実のみを話していますから。」

 

ハラン「言っても無駄よセシル、話が通用するとは思えないもの。」

 

 

 ハランたちはイサベルが提示した写真を見て、合成による物だと考えてこれ以上の追求をやめた。

 

 

 ヨハンは写真を見て、冗談で済むものでは無いと考えていた。

 

 

ヨハン(普通だったら、合成だと言って終わっていた。

 だが奴は、6、7階ある高さの研究所を迷わず飛び降りた...)

 

 

 例え戦闘経験を積んでいる兵士でも、7階から飛び降りれば無事では済まない。

 

 

 7階は約20〜21m、そこから受け身を取って五体無事に着地するのは物理的に不可能。

 

 となると、落下の際にロープなどの降下を補助する道具を携帯していたかと考えるが、それも無い。

 

 爆破によって不安定な建造物に、ロープの固定ができるとは考えられない。

 

 加えてそう言った道具を携帯している身なりでもなかった事から、黒いローブのニケが協力者では無い限り、生身で飛び降りて五体満足で着地した事になる。

 

 

ヨハン(...とはいえ、簡単に聞けるような内容でも無いか。)

 

 

 実際に聞いてみるのが一番早いが、ひらひらと躱わされ会話が有耶無耶になる可能性がある。

 

 作戦前の尋問ならば聞き出せるかもしれないが。

 

 

ドロシー「......」

 

ヨハン(もし事実だと分かったら、奴はドロシーに使い潰されるだろう...)

 

 

 それ程の指揮官ならば、今回以上に過酷な要求を迫ってくると考えられる。

 

 まだ仮定の話だが、これ以上ドロシーの好き勝手にされるのは、ヨハンの精神衛生上好ましく無い。

 

 この事実を聞くにしても、ドロシーが不在の時にすると決めた。

 

 

 ヨハンが写真についての考えを纏めている中、ドロシーも写真を見てCGだと思えない表情を見せていた。

 

 

ドロシー(まさか......この人が...?)

 

 

 ドロシーの中で疑念が深まりながらも、その答えを求めるようにニヒリスターのいる火口へ向かい続ける。

 

 目的地の火山には局所的な熱量で異常気象が発生し、火口の上に黒雲が漂い雷鳴が轟いていた。

 

 

 

 

 

 

セシル「ニヒリスターの出力上昇、周囲の気温が上がっています。」

 

ヨハン「何()になった?」

 

セシル「現在43() 、秒刻みで温度が上昇しています。」

 

 

 人間は42℃の気温に晒されると、肉体のタンパク質が変性。

 

 呼吸が止まり酸素が供給されず、エネルギーが作られないまま、血液が固まり血管が詰まる。

 

 42℃でもとても生きられる環境では無いのに、その約7倍となる288℃という極限の環境下で戦闘している。

 

 

ノア「あの人間死んでんじゃ無い?」

 

イサベル「あり得ないわ、生き残るという点に関しては指揮官より信頼している。」

 

ノア「それもう人間じゃ無いでしょ。」

 

 

 人間が活動できない温度下、それでも生きているという確信を持っているイサベルにノアは呆れた様子でツッコむ。

 

 イサベルの反応に意識を向けていないハランは、ヨハンにどうするのか判断を仰ぐ。

 

 

ハラン「どうするのヨハン、このまま見ているつもり?」

 

ヨハン「......。」

 

 

 夏油たちの救援をせず見たまま終わるつもりなのか、ヨハンがこの状況を望んでいないと見抜くような発言をする。

 

 ヨハンも何か吹っ切れた様子で、インヘルト全員に通達する。

 

 

ヨハン「...全員聞いてくれ、只今より最優先目標をカウンターズとの合流に変更。

 フォーメーションFF、最短距離で移動する。」

 

 

 ヨハンの指令を受けて、待っていたと言わんばかりに頷きフォーメーションを形成する。

 

 ただ1人ヨハンの命令に待ったをかける彼女を除いて。

 

 

ドロシー「...お待ち下さい、指揮官。そこまで急ぐ必要がありますか?

 

 ニヒリスターだって無限の動力を持っている訳では無いのですから、見境無く暴れていればいつか火力が落ちる時が来るはず。

 

 そこに私たちが乱入すればいいのでは?」

 

 

 ヨハンの判断を早計で、カウンターズが戦ってニヒリスターの疲弊を狙うべきだと改めて進言。

 

 ドロシーの意見を聞いた上で、他の面々の考えを聞く。

 

 

 ハランは試練を課したのだから戦っている姿を見てみたいと答え、

 

 ノアは戦えない訳でも無いから様子見でもいいが待ち続けるのも性に合わないと言い、

 

 イサベルはヨハンの指令通りに動くと即答する。

 

 

 全員がドロシーと異なる考えを持ち、これから行動に移そうとする。

 

 ドロシーは呆れか、それとも言葉で伝わらない事への疲労か、大きく息を吐き出す。

 

 

ドロシー「皆さん、急にどうしちゃったんですか?

 いつの間にかアークに行ってNIMPHでも埋めて来ました?」

 

 

 アークを嫌悪するインヘルトに向けたスラングを交え、カウンターズを受け入れた経緯を説明する。

 

 

 あくまでもカウンターズは弾除けであり、ニヒリスターを楽に攻略するための布石である事。

 

 そして、まだ他に点在するヘレティックがいる事と、その戦いに備える為だと話す。

 

 自分たちにとって何の犠牲も無しにニヒリスターを倒せる最適解を、そこまで拒絶する理由が分からないドロシーに、大鎌の鋒のように鋭い目を向けて答える。

 

 

ハラン「ドロシー。私たちが普段お前に従うのは、

 お前が、私たちの誇りを裏切らない範囲内で動いていたからよ。」

 

 

 ハランの返答に対して、続けてノアもイサベルも便乗する。

 

 

ノア「そうそう。悪口も罠も全部オッケーだけど、私たちにだって許せない事があるんだからね?」

 

イサベル「...しかもあの人。ニケを解放する為に戦うと言っていたわ。

 

 もし...()()()より早く会っていたら。

 

 ここに来る代わりに、アークを選んでいたかもしれないわ。」

 

 

 カウンターズの指揮官である彼の素性を知らずとも、その意思や決意に惚れ込むのも大して時間は掛からなかっただろうと話す。

 

 仮定の話ではあるが、もし夏油と出会っていればエデンでは無くアークに所属していたと語る。

 

 頬を赤らめている彼女が口にした名前に、眉が僅かに動き嫌悪する対象に向けて不快感を募らせていく。

 

 

ドロシー「アーク。...アークですか。

 

 よくもそんな事が言えますね、イサベル。

 

 貴方たちは、アークにあるものを軽蔑していたのでは?」

 

 

 ドロシーの発言に偽りは無い、全員アークやアークに類する物に対して嫌悪と軽蔑を向けていた。

 

 見放され、見捨てられ、見限られ、切り捨てられ、中には人柱にされる前に逃げた者もいる。

 

 思い出すだけでも不快なのか、思わず顔を背けたり、握り拳を作り、目を細める。

 

 

 そしてドロシーは、この中でも最も軽蔑していた人物に向けて語りかける。

 

 

ドロシー「特に指揮官、貴方が一番酷かったですよね。

 

 アークは...貴方はアークの為にしてきた全てを否定したから!」

 

 

 この作戦中感情的になることの無かったドロシーが、ヨハンに対してされてきた所業を思い返して感情が露わになる。

 

 同じような事を自分もされたのか、声が次第に大きくなっている事に気付かず悪感情を吐き出す。

 

 

 吐き出し終えた所でふと我に帰り深呼吸、そして夏油を利用してもエデンの誇りは傷付かないと言う。

 

 ドロシーの発言にヨハンは目をゆっくり閉じてため息を一つ、そしてゆっくりと瞳を開いて心中を溢す。

 

 

ヨハン「かつては私もそう思っていた。

 

 しかし、お前という存在が気付かせてくれたんだ。」

 

 

 ドロシーの思惑を聞いた時から、自分の中で募っていた嫌悪感の正体。

 

 アークによって刻み付けられた呪いは、憎悪によって本質を見落としていた。

 

 

 良くも悪くも策謀を立てたドロシーが、後戻り出来なくなる前に気付かせてくれた。

 

 

ヨハン「私が軽蔑していたのは、アークでもアークの人間でもなく、

 

 今日お前が言い捨てたような、虫唾が走る思想だという事を。」

 

 

 この瞬間、ヨハンの頭の中は整理が終わったように清々しさを感じられ、対してドロシーは嫌悪と憎悪の対象であると言われて思わず後退りする。

 

 

ドロシー「何...ですって?」

 

ヨハン「...行くぞ。」

 

イサベル「はい、指揮官。」

 

ノア「イェーイ!」

 

ハラン「...ふふ、やっと戦闘らしい戦闘が出来るのね。」

 

 

 これ以上話す事がないと言うように、ヨハンはドロシーに見向きもせず待機していたハランたちに声をかける。

 

 彼女たちも待っていたと言わんばかりに張り切っており、火口に向けて足を踏み出していく。

 

 

セシル「盛り上がっている所申し訳ありませんが、連絡があります。」

 

 

 ヨハンたちが一歩踏み出した所でセシルが止める。

 

 ノアは勢いが明後日の方向に飛んでいく所だったと愚痴を言う中、ヨハンはセシルが止めたのは理由について尋ねる。

 

 

ヨハン「どうした?」

 

セシル「加工に向かう前に...というか、火口に向かうことはお勧めしません。」

 

ノア「どういう事?それ?」

 

セシル「火口付近の温度が急上昇、

 

周辺の温度は100℃を超え、

 

ニヒリスターがいるであろう火口の中心は

 

 

 

 

 

 

1000℃を超えました。

 

 

 

 

 全員がセシルの伝令に身が凍りつき、思考が完全に停止して理解できない様子を見せている。

 

 

ゴオッ!!!

 

 

 大地が震え、轟音が鈍く響く。

 

 遅れて風が乗せて来た熱波が、身を包むように押し寄せる。

 

 

 音の方角を見れば、ニヒリスターの豪炎によって固まっていた地盤を突き破り、火山が噴火を引き起こしていた。

 

 

 その光景を目の当たりにしたヨハンたちは、フォーメーションを再結成。

 

 セシルに人間が生存できる区域を割り出すように呼びかけ、ハランたちは割り出された箇所を分かれて捜索する。

 

 

 ただ1人ドロシーは呆然として、噴火した火山を見ていた。

 

 

私は知っている。

 

常軌を逸した情景を、

 

生物としての格の違いを、

 

肌を突き刺す負の力を。

 

 

 残されたドロシーは唯一、セシルから提示された区域では無く、火山の火口に向かって真っ直ぐ飛んでいく。

 

 

 

 

 

 そしてドロシーが見ていた火山の上空には、灰色の空に漂う黒い雲と

 

 

 

 

 

 

 

 

熱を発して大地を照らす、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽が浮かんでいた。




 こうして話を作っていると、頭に浮かんだ展開とかメモする体質になりました。

 まあその時って大体執筆できない時何ですよね、タイミング考えてくれよ...。



にけ さんぽ




 チップを10000枚に増やして第2ゲームへと進む五条、チップの入っているカードをバニーに手渡し、次のフロアへと進む。

 一番乗りで椅子に座り、待っていると6人が入って来て各々席に座る。


 男は5人で内4人は若く柄が悪そうな服装、1人は壮年で片眼鏡をつけている老人、女は1人水色薄着のドレスを身につけている。

 全員が席を座ったと同時に、モニターが表示される。


マスタング「Congratulations!Winers!

 見事 First StageをClearしましたNE!」


 見事第二ゲームに進出したプレイヤーに、マスタングは盛大な拍手を送る。

 そして現在4ブロックで第二ゲームに進んだ人は23人であり、脱落したプレイヤーは全員その様子を中央フロアのモニターで見物している。


マスタング「それでHA!Second Stageに移りまShow!
 Next Game HA〜...

Get The Joker(その手に切り札を)!!!



 第一ゲームと同じように、モニターの画面がマスタングからルージュに変わり、第二ゲームの説明に入る。


ルージュ「それでは第2ゲーム、Get The Jokerの説明に入ります。」


 ゲームの内容は、コインラッシュのディーラーがトランプを持ってシャッフル、参加者全員がカットをした後全員に配る。

 そして同じ数字のペアカードを捨てていき、Jokerを最後まで持っていた人の勝利。


五条(ジョーカー持ってたら負けだけど勝ちになるのね。)


ルージュ「それでは皆さん、最終ゲームの切符を賭けて、ご武運を(Good luck)。」


 モニターが消えると同時に、ディーラーがカードをシャッフルした後それぞれのプレイヤーがカット。

 7人にカードが配られゲームが始まる。


女性「よろしくね〜♪
 といってもこのゲームきり会わないと思うけど〜♪」

男1「それはお前が先に消えるからか?」

男2「ウダウダ言ってねぇでさっさと始めろよ。」

男3「ならテメェから引けやバカ。」

男4「ピーチク喧しいんだよ。」

五条(盛んになんなよ、弱く見えるぞ。)

老人「......。」


 老人が五条の方へ向きカードを向け、五条は適当にカードを抜き取る。

 次に体を女性の方を向けて、カードを向ける。


女性「あなたとってもカッコいいね♪私を勝たせてくれたら連絡先教えてもいいよ?」

五条「ああ、はいはい。分かったからさっさと引いてよ。」


 足を組み、左手でスマホを見て操作し、右手にあるカードを女性に向けて突き出す。

 女性の額から血管が浮き出ているが、五条は気付かず早く引くよう急かす。




 各々手札が3枚になり、勝負は終盤戦の様相を呈する。

 このブロックだけで無く、他のブロックにも共通しているが、イカサマをしているプレイヤーは存在する。


男1(へっへ、10000枚のチップを集めろと言われた時はゾッとしたが、こうして2ゲーム目に来ている時点で勝率50%!)

男2(あの女とジジイ、それにスカした野郎(五条 悟)は協力しちゃいねぇ!)

男3(どうって事ねぇな、あとはジョーカーを抱えている俺が残っていれば勝ちだ!)

男4(店長になって甘い汁を啜んのは俺たちだ!!)


 一つは複数人の協力者で固まっている人にジョーカーを残して死守する者。


女性(見た感じ、あの下品な集団の真ん中の男がジョーカーを持ってそうね。

 そしてあの男の周りの下卑た顔は、間違いなく協力者ね。

 まっ、それでも私の勝ちは揺るがないわ。)


 女性の手元には3枚あるように見えるが、カードを合わせてピッタリにあっているカードを少し出して、親指で擦るようになぞる。

 絵柄が変わり、♤のKがゲーム開始直後で出て来てもうペアのいない♧のJに変わる。


 もう一つは、超小型の印刷機を指に仕込んでいる者。

 ボディチェックに引っ掛からない為に、手術で指の肉に埋め込んでセキュリティを素通りできた。


女性(これがあれば、私はペアのいない絵柄にして生き残れる。
 そして、今何のペアが残っているか把握している!)


 イカサマで勝ち残る二つの勢力だが、先に均衡が崩れたのは男の方だった。


男1「オラ!早くカード見せろや!」

女性「うっさいなぁ、キーキー喚かないでよ。」


 男1が勢いよくカードを引き、先程まで浮かべていた笑みが次第に青ざめていく。

 その後ペアになったカードを乱暴に叩きつけ、男2に引かせて終了。

 男1は最初の脱落者となり、男2も引いたカードがペアとなり同じように脱落。


 残り5名となり、男4は男3の4枚の手札からカードを引き、またまたペアが出る。

 男4も老人に引かれて終了。


男3(クソっ!何で急に!? 俺らの上がれるカードは干渉しないようにアイコンタクトしてたってのに!!)


 互いに上がらないように、アイコンタクトを取ってペア相手のカードを回さないようにしていたが、ある時を境にその均衡は崩れた。

 何が何だか分からない男は、頭を抱えてしまう。


女性「ねぇ、待ってんだけど?」


 女性が笑みを浮かべながらカードを出して来た。

 あからさまな表情に仕組んだ張本人だと察し、怒りを抑えて震える腕でカードを引く。


男3「がっ...ああ...。」


 男は崩れ落ちるように天井を見上げ、ペアになったカードが手から落ちる。


 老人は男のカードを取り4枚になり、五条も引くが揃わず女性に回る。

 女性は舌打ち混じりに3枚に見える手札を、本来の4枚にして2枚捨てる。


 老人はすんなりカードを引き抜き、引いたカードに表情が歪む。

 引いたカードを見て固まっている老人に、女性は被っていた仮面が無くなったように急かす。


女性「何してんの? 早くカード引きなさいよ。」


老人「成程それが本性か、随分と手癖の悪い事だ。
 このカードは君がペアカードを捨てている時に出たカードではないのかね?」


 老人はそう言って引いたカードを見せる、そのカードは♧のJ。


 女性は眉が少し動いていたがしらばっくれて、イカサマと言いたいのかと老人を糾弾する。


女性「イカサマだって言うんなら、証拠見せなさいよ!!」

老人「証拠はここにある。」


 そう言ってテーブルの中心に散乱しているカードを指差す。

 ここにあるカードを整理して、同じ♧のJが見つかれば女性の手元からもう一度出てくるのは可笑しい事になる。

 女性は同じカードが出なかった際には、ゲームを破綻したという名目で強制退場にすると条件に出す。

 老人はこれを快諾し、結果♧のJは2枚あった。


女性「だっ、だから何よ!? 私がどうやってやったか全く分からないじゃない!!
 私がイカサマをしたって言うなら、その方法も...」

老人「指に印刷機を仕込んでいるんだろう?
 おそらく右手親指の辺りに。」


 割り込むように言ってきた言葉に、女性は絶句。

 方法だけでは無く、仕込んでいる部位までも言い当てられた。

 ディーラーは女性の右腕親指を確認すると、筋肉にしては異常な硬さだと分かり、別室で精密検査を行う。


 結果は老人と同じで、女性はコインラッシュの永久追放を受けた。


五条「よく分かったね、おじいちゃん。」

老人「ハッ、ハッ、昔同じ手口を使った奴がおってのぅ。
 じゃがホントに仕込んどるとは、イカサマは出来てもポーカーフェイスはダメじゃな。」


 女性の手口から昔を思い出して笑い飛ばす老人、イカサマを言い当てたことをクイズを正解したように楽しそうに微笑んでいる。


 このまま再開も出来ないので、老人の提案でジョーカーと♤のAをどちらか当てるゲームに急遽変更。

 当てるまでシャッフルする方と選択する方が変わるというルール。

 五条は問題ないと答え、老人から先にシャッフルしてテーブルに2枚のカードが置かれている。


 このどちらかに、一つは鍵が一つは敗北が眠っている。


五条(...ダメだ、カードに手を近づけても感情が動かない。)


 六眼とはいえ、長年ギャンブラーとして戦ってきた技能なのか、老人は一部の隙も見せずに五条を見つめる。

 もう自分の勘や運を頼るしかないと考え、右を選択してカードに描かれている絵柄を確認する。


老人「勝負ついたな。」


 五条が引き入れたのはジョーカー、よって老人の脱落が確定。

 老人は少し名残惜しそうに、だが真っ直ぐ扉に向かって歩いていく。


老人「久方ぶりに胸が躍った、今度は邪魔者無しで戦いたいものだ。」

五条「その時はここに来てよ、いつでも勝負するからさ。」


 老人は頷き、勝負への闘志を燃やしながら去っていった。
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