漏瑚から聞いた話に夏油は困惑を隠せず聞き返すが、漏瑚は逆に夏油に問う。
夏油「私の体を...乗っ取った??」
漏瑚「そうだ、しかしまだ儂らの憶測に留まっておる。貴様の口から直接聞きたい事がある。」
夏油「...聞きたい事って?」
漏瑚「夏油傑...貴様は何時死んだ?」
漏瑚の問いかけに疑問を抱き、その理由を夏油は聞く。
夏油「何故...死んだ時期を...?」
漏瑚「儂らの推測が正しければ、貴様の体は死後活動を行なっていた筈だ。いや、そうでなければ儂の情報とは辻褄が合わん。」
夏油「辻褄?...いや、先にこっちが答えるべきだね。
...2017年12月24日だ。」
花御「...私たちが、貴方の偽物と行動を共にしていた時期は2018年10月31日です。」
夏油は花御の言った年月日に目を見開き、困惑する。しかし直ぐに冷静さを取り戻し、夏油は漏瑚に問いただす。
夏油「いや、変身の術式を用いて私の姿を真似た人間、もしくは降霊術を使ったんじゃないか?」
陀艮「ぶぅ...?」
真人「でも、夏油の術式って呪霊操術だよね?? 偽物の夏油...呼びづら、偽夏油も呪霊操術だったよ?」
夏油「そうなると降霊術か...。」
漏瑚「違うな。」
夏油の考察を真っ向から漏瑚は否定する。その否定に夏油は理由を問いただす。
夏油「何故、そう断言できるんだい?」
漏瑚「貴様を知っているという、二人の人間に会った事がある。その内の一人がこう言っておった。」
漏瑚は夏油に一言一句違えることなく、夏油にその言葉を告げる。
漏瑚「『下に額に縫い目のある袈裟の男がいます。そいつを殺してください。夏油様を解放して下さい。』...とな。」
夏油「......。」
『夏油様』という呼ばれ方から、呪詛師として活動していた時の家族の誰かだと分かる。再び目を見開き、思考する夏油に続けて漏瑚は伝える。
漏瑚「夏油、もし貴様が知っている存在なら、美々子...という名を知っておるか?」
夏油「美々...子? まさか、菜々子も!?」
漏瑚「金髪の人間か、儂の隣で死んだ。」
夏油「っ...。」
漏瑚から淡々と伝えられた事実に、夏油は歯を食いしばりながらもその最後を聞く。
夏油「...二人は、何故死んだんだい...。」
漏瑚「目覚めた宿儺に美々子とやらは首を切られ、貴様の言う菜々子とやらは肉片すら残らず細切れになった。」
真人「(ヒュー!)えげつないねぇ?」
花御「人間からしたら、貴方が言える事ではないと思いますが...」
二人の最後に、夏油は顔を伏せこぶしを握り締めて血を流す。再び夏油は顔を上げて、漏瑚が言っていた情報について考える。
夏油「...漏瑚は二人の言葉から、降霊術ではなく私の体を乗っ取っていると考えたのかい?」
漏瑚「そうでなければ不自然だ。偽物が真の名をかたることは許せんことだが、単なる偽物ならば『解放』などと言う訳がない。」
夏油「だとすると何だ? 傀儡? いや、私の知らない術式か?」
花御「私たちも偽夏油の本当の術式は判明していません。」
真人「頭に縫い目があるから、脳みそ入れ替えてるとか??」
漏瑚「これでは憶測どまりだ、情報が少なすぎる。」
夏油「...ありがとう、死後私の肉体を使っている事は分かった。本題に移ろう。」
漏瑚の発言から納得した夏油は、死後何があったのかを漏瑚たちから説明を受ける。偽夏油と漏瑚たち呪霊側と利害の一致による協力関係を結び、それぞれの目的を達成する為に行動していた。
そして、漏瑚たちとともに活動していた2018年10月31日、渋谷にて呪詛師と共謀して多くの呪術師を始末し、五条悟を獄門疆を用いて封印したことを説明される。
夏油「悟を獄門疆に...そうか、体力が疲弊した時に私の姿を見せることで困惑させたのか...。」
真人「電車の中にいた人間全員改造して、陀艮以外の三人がかりでようやく疲労させられたからね~。」
花御「......。」
陀艮「ぶふぅ~?」(無言になっている花御を心配する)
漏瑚「(「ふぅ~」と煙管を吹かす)儂らが知っているのはこれで全てだ。後は各々の目的を達成するために行動した。だが、何故貴様に調伏されているのかは分からんのだ。」
一通り聞いて、死後に見たおぼろげだった情景が約1年後の渋谷駅で、封印される光景だと理解し、また、事の顛末を聞いても調伏するタイミングが真人以外は無く、未だに漏瑚、花御、陀艮が調伏されているのかは分からないままだ。
夏油「...それで、君たちはこれからどうするんだい? 私の呪霊操術は術者である私が死ねば、調伏している呪霊がどうなるか私にも分からない。
恐らく私から解放されて自由になれると思うが...?」
漏瑚「儂は既に
花御「私は地上の荒廃から、星を再生させるために戦います。再び緑を蘇らせるために...。」
真人「俺も! この世界にはとってもワクワクするものがある気がするんだ!! だから夏油についていくよ!!」
陀艮「ぶふぅー!」(皆が残るなら、怖いけど僕も戦う!!)
花御、真人、陀艮は夏油の問いに答えるが、唯一返答していない漏瑚に視線が集中する。漏瑚は視線を逸らすが、真人が肩を組んでくる。
真人「漏瑚~、どうすんの~?? 一緒に戦うの?戦わないの??」
漏瑚「やかましい!真人!...夏油。」
夏油「...なんだい?」
漏瑚「お主は一体何のために戦う?」
漏瑚の問いかけに夏油は面食らうが、直ぐに元の表情に戻り、漏瑚に伝える。
夏油「彼女たちを、ニケを救うため。」
漏瑚「マリアンのような犠牲者を出さぬために戦うのか?」
夏油「それもあるけど、もっと先の事も考えているよ。」
花御「もっと先...?」
夏油「もし、ラプチャーとの闘いが終わったら、今のままだったらニケの扱いは変わらないだろう...ラプチャーという脅威から守る為に人間を捨てたのに、そんな仕打ちはあんまりだ。」
夏油は密かに元の世界でいう
元の世界に戻って、五条や家入に再会したい気持ちはある。しかし、夏油はマリアンと別れる記憶が離れなかった...。
夏油「私は彼女たちが再び人間として生きられる世界を作る。...その為に戦う。」
漏瑚「......。」
漏瑚は夏油の眼差しを見つめて、その表情から真剣だと分かる。そして微笑み、夏油に告げた。
漏瑚「成程...ではその行く末を見るついでに、儂がこの世界に来た理由を見つけるとしよう。」
真人「それって理由がないってことでしょ? 何カッコつけてんの??」
花御「いいではありませんか、時間はたくさんあります。その間にゆっくり考えましょう。」
陀艮「ぶふぅ~!」(漏瑚が加わったことに喜ぶ。)
それぞれが異なる目的を抱き、夏油と共に戦うことを決めた。一人は新たな世界に誘われた理由を見つけるため、一人は星を救うため、一人は自身の好奇心を満たすため、一人は皆を守るため、夏油と共に戦うことを決意する。
夏油「それじゃあ皆、これからよろしく頼む。」
花御「はい、よろしく。」
真人「よろしくね~!」
陀艮「ぶふぅ~!」
漏瑚「ふっ、呪霊と呪術師が手を組むか...前の世界では考えられぬな。」
夏油の手の甲の上から順に重ねていき、前世とは異なる協力関係を結んだ漏瑚たち。決意を固め終え、帳を解除する夏油。
そんな中、携帯からラピのメッセージが届く。
ラピ
ラピ
(指揮官、今屋上にいらっしゃいますか?)
ラピ
(来客です。)
(至急、一階へ向かってください。)
ラピ
(分かりました。)
メールの内容を確認した夏油。どんな内容だったか真人が尋ねる。
真人「どったの夏油?」
夏油「来客らしいね。」
漏瑚「指揮官である貴様に用がある...任務か?」
花御「早速ですか、直ぐに向かいましょう。彼女たちを待たせるのも悪いですし。」
夏油「そうだね、行こうか。」
再び夏油は歩みだす、以前は居なかった仲間と共に...。
本編のお話を伝える回だったから結構短めでした。次回は再び地上に上がり、任務に赴きます。呪霊4人組の出番は未定です。
一階で待っている来客を迎える道中の事。
夏油「ふと思ったんだが、君たちも呪術師に祓われたのかい?」
花御「はい...? どうしたのですか陀艮。」
陀艮「......」(両手で頭を抱えガタガタ震えて涙目になっている。)
真人「俺は...どっちかっていうと呪詛師かな?」
漏瑚「儂もどちらかというと呪詛師だな、貴様も呪術師に?」
夏油「まあ呪詛師として活動しててね、悟の教え子に負けたよ。」
花御「私は無下限に押し潰されました。」
夏油「悟の祓い方がエグ過ぎないか?」
真人「俺は術式抽出する為に偽夏油に取り込まれて、うずまきで消し飛んだ。」
夏油「特級呪霊となると、かなりの大きさになるからね......ん?術式の抽出??」
漏瑚「儂は宿儺と戦い、死力を尽くして敗れた。」
夏油「聞き流してしまったけれど、宿儺も顕現しているのかい!?」
陀艮「......」(ぶるぶると震える陀艮)
真人「陀艮ってばずっと震えてんね?」
夏油「別に絶対聞きたい訳じゃないんだ、無理に言わなくてもいいよ。」
陀艮「ぶふぅ、ぶふぅう! ぶふう!」(怖いけど、僕も強くなりたい!だから言うよ!)
真人「怖いけど言うって、それで?誰に祓われたの??」
陀艮「ぶふぅ...ぶふぅう...ぶふぅぅ。」(呪力が無くて...赤い三本の棒を持ってて...なんか凄く力が強くて。)
真人「呪力が無くて、赤い三本の棒持ってて、凄く力が強い??」
夏油「ん?...それって黒髪ショートヘアの男かい?」
陀艮「ぶふぅ!!」(ぶんぶんと頷く)
漏瑚「なんじゃ? 心当たりあるのか??」
夏油「いや...私も知っている男なんだが...その男も悟が殺したんだ。...私が死ぬよりもっと前に...」
漏瑚・花御・真人・陀艮「「「「?????」」」」(宇宙猫状態)
ここに新たな謎が生まれる。尚、オガミ婆による降霊術だということに、彼らは知ることは無かった。