オレは本物の宇宙海賊! 作:パイレーツ
今回の海賊退治は、俺にとっては好ましくない結果だったな。
俺が回収した連中のお宝は、札束の山と人の気配がする妙な石像のみ。金銀の財宝は一つもなかった。
それと撃破スコアも腹立たしい。俺が僅差で二番ってどういう事だよ!何でクラークの野郎が一番撃破数を稼いでいるんだよ!一人で戦艦百隻とか、おかしいだろ!!
「どうした大将?えらく不機嫌だな」
「誰のせいだと思っている!誰の!!」
俺はクラークに向かって怒鳴るも、当の本人は困ったように笑みを浮かべるだけだ。クソッ、本当に腹が立つ。これまでの利益がなかったら、とっくに首を飛ばしているぞ。
「今回は機体性能の差があったからな。今のドレイクとアヴィドとじゃ、どうしても動きに差が出てしまうんだよ。むしろ、性能の差があるのに僅差の大将の方が凄いだろ」
そこでヨイショされても嬉しくないんだよ!こうなったら、今回の報酬は不興を理由にゼロ――
「あ、それと大将。今回の連中の残骸の中から、金で作られた儀礼用の剣が五十本ほど見つかったぞ。適当に保管してたからか、汚れが結構目立ってたが今は洗って綺麗にしてあるぞ」
「よくやった。その剣は俺が手にするまで大事に扱えよ」
にしようかと思ったが、特別に大目に見てやろう。ちゃんとお宝を回収していたことに免じてな!!
それはそれとして、個人的に気になることを聞いておくか。
「クラーク。お前のドレイクという機体には、変形という浪漫ある機構が組み込まれていただろ。アレは前からなのか?」
「ああ。オレの敬愛するレイジャー船長が駆る機動騎士もそうだったし、最大の一撃を放つのに必須だったしな」
また、空想からか。だが、最大の一撃を放つのに必須とはどういう意味だ?
俺の問い掛けの視線に、クラークは肩を竦めながらその答えを口にした。
「“一突”。オレが生身で放てる、必殺の突きだ。生身はともかく、機動騎士で使うと関節が粉々に壊れてしまうんだ。それを解決する意味でも、あの形態は必要だったんだ」
突き一つで関節が粉々……俺がアヴィドで全力の“一閃”を放つのと同じようなものか?どこでそんな突きを……とも思ったが、どうせ何時ものアレだろう。コイツの行動基準は、全部あの娯楽小説だからな。
「ちなみにだが、生身の“一突”は機動騎士を真っ二つにできるぞ。目標は戦艦だから、まだまだだが」
突きで機動騎士を真っ二つにするな……とは言えないか。俺の“一閃”も同じようなことができる筈だし、安士師匠なら戦艦を簡単に真っ二つにできるだろう。だとしたら、俺も戦艦をこの身一つで斬れるようになるべきか。コイツのような、ぶっ飛んだ実力者が他にいないとも限らないからな。
「そろそろ……今回の報酬について聞いてもいいか?さすがにゼロだと、船員たちに申し訳ないんだが……」
「そうだな。今回の報酬は色を着けてやる」
「感謝するぜ、大将!!」
本当はゼロにするつもりだったが、金の剣の入手と今後の為になりそうな話が聞けたからな。俺の取り分から二割ほど出してやるか。だから、今後もいい金ヅルとしてせっせと働いて金を運んでくれよ?
……本当にあのエセ海賊が気に食わないわ!!リアム様に負けるのは当然でも、素の実力でさえ負けているなんて!!
いえ、落ち着くのよ私。あのエセ海賊が私より実力が高い。それ自体は認めなければいけないわ。あのエセ海賊……クラークが駆るドレイクはリアム様のアヴィド並……いえ、それ以上にクセが強い機体だ。リアム様なら簡単に乗りこなせるだろうが、今の私では振り回されて終わるだろう。それだけ、あの機体は高性能かつ操作性が独特なのだ。
そのクラークがリアム様に牙を向ける可能性は……皆無と判断していいだろう。ロイネが一緒にいるし、人柄も信用に値する人間であることは不本意ではあるが理解はできる。納得はしないが。
なにより、あの男を認めない一番の理由は……ロイネが無自覚に、あのエセ海賊を意識しているからだ。それも恋愛的な意味で。これは姉として間違いないわ。
あんな無職同然で、収入も安定しない。しかも千回殺しても殺し足りない宇宙海賊を名乗っている。そんな男と身内になるのはもちろん、ロイネを安心して任せるなんて出来ない。出来る筈がない。ロイネを助けてくれた事自体には、凄く感謝はしているが。
後、あの船団の者たちの実力も侮れないわね。旧式の機体で、海賊たちと互角に戦えていたのだから。撃破スコアもそこそこだし、普段からどんな訓練を受けているのかしら?心から気に食わないけど。
ロイネも同様に戦闘訓練を受けていたみたいで、槍術に関しては私も素直に感心する程だった。後で、憎きエセ海賊に襲い掛かったが。
ロイネに戦い方を教えるのは私の筈だったのに……!その役目を奪われたと思って襲撃を掛けたが、剣術は教えてないと弁明したので、一応は引き下がることにした。かつての約束をコイツが知っていたことを知り、再度斬りかかったが。
それで通信越しであったり、日が合えば直接、ロイネに剣術の手解きをしている。あの時は叶えらないと思っていた約束……それを果たすこともできて、私は幸せだ。
リアム様はもちろん、ロイネのためにも私にできることは何でもするつもりだ。エセ海賊との関係以外は。
「ここがロレイア!当時の古代技術が数多く残っている、技術者にとっても宝の山の惑星!!ああ、可能であれば持ち帰りたい!それができないなら分解して調査したい!!」
ニアス大尉、めっちゃ興奮しているな。目が凄く輝いているし。ニアス大尉がロレイアにいる理由を語るには、少し時を遡る必要がある。
エクスナー領の盗賊退治は無事に終わり、連中の所有物は全部回収した。今回の盗賊は宝らしい宝をあまり溜め込んでおらず、オレらが回収した金で作られた儀礼用の剣がなければ、大将としては残念極まりない結果になっていた。あの要塞の中にあったのは多額の現金と、悪趣味な石像くらいだったからな。
しかもその石像からは人の気配があり、人を石化した石像だと察しがついてオレはゲンナリだった。ゴアズといい、今回の盗賊といい、なんで偽物の宇宙海賊は不快な悪趣味を持っているんだ。そんな悪趣味を持っている輩が宇宙海賊を名乗るから、オレたちのような本物の宇宙海賊が泣きを見るんだ。
だが、エクスナー男爵は本物の宇宙海賊に理解があったのは収穫だった。読みやすくした電子ペーパー版でしか知らないようだが、《レイジャー海賊団の大冒険》について知っていたのだから。ブライアン殿に続き、篤い握手を交わしたのはこれで二人目だ。
で、肝心のニアス大尉についてだが、オレたちがロレイアに戻るのに便乗して、一応本部の許可を得て着いてきたのだ。大将に要塞級の戦艦と巡洋艦等の戦艦三百隻を売ったことで、今回の同行を勝ち取れたとのこと。
「持ち帰りは無理だぞ。この惑星の物は全部、大将のものだし」
持ち運べた設備も、一応は大将の許可を得て運び込んでるし。オリジナルの流出は利益面でも避けたい筈だしな。
……そうだ。ニアス大尉に噂になっているアレを聞いてみるか。
「ニアス大尉。噂で聞いたんだが、新たなタイプの機動騎士を開発したとか……」
「ああ、【ハウンド】のことですね。ウチの上層部が貴方のドレイクに触発されて、量産型の可変機を作ってみようと満場一致で可決したんですよ。こんな感じで」
ニアス大尉はそう言って、ハウンドのデータを見せてくる。オレの今のドレイクをさらにシンプルにしたみたいだが、部外者の人間に社外秘のデータを見せていいのか?
「あの、ニアスさん。堂々と見せて大丈夫なのですか?これは機密データの筈では」
「ハウンドはドレイクのデータが元になってますし、関係者ですから大丈夫ですよ。それに完成も間近ですし」
「そういう問題じゃないと思うんだが……」
ロイネと整備士長が呆れ気味に困惑しているな。コンプライアンス的にアウトな気もするし。
「それとついでにですが、前に打診されていた特別研修の認可が降りましたよ。実力と知識が十二分にあると判断されましたので、ウチで数年研修を受けてもらえれば、正式な資格が手に入りますよ」
「それはついでに話すことじゃないだろ……」
「でも、良かったな。ロイネ」
「ええ!正式な資格があれば、色々と融通が効きやすくなりますから!」
これにはロイネも嬉しそうだな。正式な資格があれば、行動範囲が広がるから当然だけど。
実はロレイアの再利用の為に足止めが決まった時、ロイネから話を持ち掛けられたのだ。姉とも色々と相談しており、本格的に技術者として活動する以上、資格があった方が都合が良いという結論を出したそうだ。
本来なら資格の取得には十数年単位の期間が掛かるのだが、厳しい基準と引き換えに数年という短期での資格の取得が可能となる交渉が行われた。姉のクリスティアナも妹のために色々と調べ、積極的に動いてくれていたしな。
もちろん、姉妹仲は良好だ。時間が合った時には剣術を教えているし、昔の約束も叶えられて万々歳だろう。オレがロイネに槍術を教えたことを知ったクリスティアナが、周りがドン引きする表情でオレに襲いかかったが。
いや、戦う上で何かしらの武術は学んでいないと駄目だろ?剣術は本人があまり乗り気じゃなかったし、今後の応用が利きそうだったのが槍術だったから、基礎の指南書片手に教えたんだよ。
「しかし、こうなってくると人員が少し厳しくなるか?」
「そうですね……バンフィールド伯爵との契約が続く以上、今の人数ですと少し厳しくなりますね」
「けど、人員はなぁ……基本的に物好きじゃないと来ないし」
過去に安物の電子ペーパーで船員の募集をして、軍に連行された経験があるんだよな。数時間の取り調べで解放されたけど、誤解を招く勧誘はするなと厳重に注意されたし。
誤解も何も、オレは夢と浪漫を求める宇宙海賊という見出しの電子ペーパーを通行人に配っていただけだ。略奪を繰り返す偽物の宇宙海賊とは違う、本物の宇宙海賊として宣伝していただけなのに。
「それでしたら、お姉様の部下数名が立候補していますよ」
「……それ、お前の護衛目的じゃないか?」
「他の船員とトラブルを起こさないか、心配になりますが……」
「船内の雰囲気が悪くなりそうで、ワシも不安でしかないな。贅沢を言える立場じゃないのは理解しているけどよ」
ロイネの報告に、オレたちは素直に喜べずにいる。クリスティアナほどではないにしろ、彼女の部下たちも偽物の宇宙海賊を心底憎んでいる。オレたちと一緒に行動するのは、ストレスになるんじゃないかとも心配になるし。
今は選択肢の一つとして、頭の隅に置いておくか。
散々悩み、全クルーとも相談した結果、ロイネの提案を受け入れることにした。オレらが保有している機動騎士はアシスト機能が満足に機能しない中古の機体しかないし、今後を見据えるなら早い内から鍛えた方がいいしな。いくら大将との契約で機動騎士の出費が向こう持ちとはいえ、好き勝手に決めていいわけではないからな。
それで五名ほど、同じミスティリア出身のクリスティアナの部下――親衛隊の女性たちがシミュレーターでの訓練を受けているが、当然の結果のように大苦戦。アシスト機能のない状態でのシュミレートだから、操作の難易度が上がっているから無理もないが。
「クッ。こうも満足に動かせないとは……!」
「けど、絶対に負けないわ……!」
「ロイネ様の為にも、ここで退けるものか……!」
「おーい、新人。そろそろ交代の時間だぞ」
「五月蝿い、エセ海賊共!私達に指図するなッ!!」
「ええ……」
完全に敵意剥き出しの横柄な態度に、注意した船員が困惑したように引いている。シミュレーターの数にも限りがあるし、他の船員の訓練もあるのだから我が儘を言わないでほしいんだが。
「やる気があるのはいいが、最低限のルールは守ろうな。他のみんなの迷惑になるから、な?」
「誰がお前の指示を受けるものか。私たちはロイネ様の為に此処にいるのだ。断じてお前たちと馴れ合う為ではない!!」
オレがやんわりと注意しても、彼女たちは噛み付いて聞こうともしない。……こうなっては仕方ないか。
このまま横柄な態度を取らせ続けるわけにもいかないので、オレは力づくで彼女たちをシミュレーターの中から外へと放り投げる。強引に外に出されて目を白黒させる彼女たちに、オレはハッキリと告げる。
「いい加減にしろよ?お前たちがオレらを毛嫌いするのには多少目を瞑るが、最低限の守るべきルールさえ守れないなら話は別だ。横柄な態度を容認するほど、オレだって甘くはない。すぐに改めないなら、お前たちを叩き返すぞ」
オレの最終通告に、彼女たちは敵意を隠さずに睨み付ける。その睨みに対し、オレも負けじと睨んで返す。これは船団の長として、曖昧に済ませてはいけないからな。
「お前たちがロイネの為に動くのは別に構わないし、無理に仲良くしろとも言わない。だが、今のように好き勝手にし、周りに迷惑をかけるのは論外だ。オレは長として、船員の命を守る義務があるからな。今のお前たちは船員を、仲間を危険に晒しかねない存在としか判断できない。分かったら、ここでルールを守ると誓うか、船を降りるかのどちらかを選べ」
「……ッ。分かり、ました」
オレの通告に、彼女たちは渋々といった感じで頷く。非は自分たちにあることくらいの理性は残っていたようだ。
本当に前途が多難だな。ロレイアの専用ゲートの完成にはまだ時間が掛かるから、気長にやっていくか。
新しく入ってきた新人――ロイネと同じ惑星出身の彼女たちに、食事中の船員たちも頭を悩ませていた。
「うーん、完全に重症だよな」
「決まり事や当番にさえ、文句を言うなんてな。訓練以外の接点は避けてるのに」
「船長が海賊と公言してるからな。経緯も考えれば仕方ないと思えるけど」
「でも、挨拶さえ拒否されるのはツラいぞ。無視されるとこっちも気まずいし」
「船長だけに背負わせるわけにはいかないですよね。僕たちの方でも、何とかしたいですよね」
「いっそ交流会を開いたらどう?もしくは新人の歓迎会」
「今の彼女たちの態度じゃ、参加するかも怪しいだろ。ここは模擬戦でぶつかり合うべきだな」
「それ、女性に効果があるのか?それよりも、飲み会を開いて暴露大会だろ!」
「いいえ!ここは女性船員によるガールズトークよ!同じ女性なら、少しは話し合える筈!!」
「だったら俺は文通だ!顔を合わせない文字のやり取りなら、彼女たちも乗ってくれる筈!」
「それならあたしは、ファッションショーを提案します!」
食事しながら彼女たちの受け入れ方法に和気藹々と語り合う中、食堂の扉が音を立てて開かれる。そこに立っていたのは、今まさに話題に上がっていた彼女たちだった。
「「「「「「…………」」」」」」
「……もしかして、聞こえてた?」
一人が代表して問いかけるも、彼女たちは無言。その反応に、全員が顔を合わせてコソコソと話し合う。
「マズイです。この反応、絶対に聞かれてましたよ」
「え?本当にどうする?思い切って話し掛けるか?」
「歓迎会、暴露大会、模擬戦、女子会……どれが正解?」
「女子会はないだろ。年齢を考えろよ」
「今すぐお前の息子を潰すぞ」
チラチラと彼女たちの顔を伺いながら、どう対応すべきか話し合う船員たち。そんな船員たちに構わず、彼女たちは自ら歩み寄っていく。
「……お前たちは何故、そこまでする?」
その質問に対し、船員たち顔を見合わせると困りながらも口を開く。
「何故って、なぁ……」
「これから一緒に過ごすんだし、な?」
「貴女たちが私たちをよく思ってないのは知っているけど、それで私たちから壁を作るのは違うと思うし……」
「同じ船の上だから、出来れば仲良くしたいし」
「それに船長さんだけに、全部背負わせるのも忍びないですしね」
「……どうしてそこまで、あの男に肩入れする?あの男は、宇宙海賊と公言しているんだぞ」
その質問に、船員たちは妙に納得したかのような抜けた声を上げる。なんと言うか、困った人を見たかのような反応だ。
「まあ、確かに船長は宇宙海賊と名乗ってるな。盛大な勘違いで」
「昔の娯楽小説を今も真に受けてるのよね」
「頑なに宇宙海賊を冒険者と同一に見てるからな。俺らの船長は」
「でも、海賊の認識以外では普通にいい人なんですよね。変人の類ですが」
「そうそう。誘い文句が『夢と浪漫のある宇宙海賊にならないか?』だぞ?それも街中で堂々だから、何度も軍に通報されてたし」
「それで何度も身の潔白を証明したり、保釈金を払う羽目になってたよな。場合によっては精神鑑定までされる始末だったし」
色々とやらかしていたクラークの話をする彼らだが、そこに嫌悪や怒りの表情はない。昔を懐かしむかのような優しい顔だった。
「まあ、その誘いに乗ったあたしたちも人のことは言えないですけどね。自棄っぱちだったのもありますが」
「だな。船長の誘いに乗ってなけりゃ、今頃は船長の言う偽の宇宙海賊だったな」
「海賊を名乗ってるのに、やっていることは冒険者なのよね。それで新人が面食らうのがお約束になってたし」
「そういうアンタも面食らってたでしょ。私もだけど」
「死んでいった仲間や、新たな人生を見つけて船を降りた仲間もいたけど……間違いなく、船長に出会えたのは幸運だよ」
クラークの話をする彼らの表情は、笑顔そのものだ。それもゴアズや飼育係が見せた下卑た笑みではなく、幸せを分かち合える朗らかな笑みだ。
「……本当にあの男は、何もかもが違うんですね」
「当たり前じゃないですか!船長さんは、私達の誇りなんですから!」
宇宙海賊は心底憎いが、クラークは別に扱っても構わないのではないか……そう想い始めた彼女たちであったが、次の一言でそれもひっくり返った。
「それにロイネちゃんも船長さんが好きですし!あの二人はお似合いですよ!!」
「……ちょっと待て。それは聞き捨てならないぞ」
和やかになりかけた空気が一瞬にして冷える。その空気のまま、新人組は言葉を続けていく。
「ロイネ様は元とはいえ王族。皇女の婿候補があの出生不明の男など、断じて認めるものか」
「……それは二人に失礼じゃないか?恋愛に身分や出生は関係ないだろ」
一気に険悪な雰囲気となり、互いに火花を散らせていく。人数的に新人組が圧倒的に不利だが、そんな事は関係ない。これは海賊云々は一切関係ないからだ。
「いいえ。ロイネ様の幸せを考えれば、あの駄目男は絶対にないです。稼ぎなんてあってないも同然ですし」
「稼ぎの話で言えば、船長はかなり稼いでいるぞ。毎月全員に、自由に使える金をそれなりに渡しているからな」
「冒険者の真似事をする男は、結婚相手の対象外!嫁ぐとしても、ティア様の厳密なるチェックをクリアした者だけです!」
「それは横暴だろ!そもそもロイネちゃんは船長を馬鹿呼ばわりする割に、表情が乙女チックなんだぞ!!」
「ロイネ様もあの男は馬鹿と言っているではないか!やはり、ロイネ様はそんな感情など抱いてなどいない!!」
「その馬鹿呼ばわりは親しみを込めてだ!侮蔑の感情は一切入ってない!!」
「我々は幼き頃からロイネ様を知っています!だからこそ、断言できます!!」
「それこそ僕達も同じです!何十年と同じ船の上で過ごしたのですから!!」
「ハッ!その程度で同じと口にするとは笑止!私はロイネ様の幼き頃の秘密を知っています!!」
「それもこっちの台詞だ!今のお嬢ちゃんの隠しごとは知らないだろ!ちなみに俺は知っている!!」
次第に話が脱線しているが、どちらも互いに一歩も引かず、自らが正しいと信じる主張を押し通し続ける。まるで子供のように言い争う一同であったが、そこに嫌悪感は一切なかったのだった。
「ヘックションッ!!」
「クシュンッ!!」
ちなみに二人は別々の場所で、揃ってクシャミをしていた。
機体紹介
ドレイク
クラークが操るオリジナルの機動騎士。サイズは18mの中型。機体カラーはネイビーブルー。
元は様々な旧式の機動騎士のパーツを繋ぎ合わせたゲテモノ機体であったが、第七兵器工場の協力を経て最新機へと一から作り直された。
特筆すべきは人型から飛行形態へと変形する可変機構。この可変機構により、従来の機動騎士より機動性と運動性が向上している。単純な機動力なら第三兵器工場製の機動騎士【ネヴァン】を大きく超えている。
他にも両前腕に内蔵されたアンカーガンや、胸部中央のドクロのエンブレムに組み込まれた発光装置。機首となる部位にはブレードと小型のビーム砲が搭載されている。後、左目のカメラアイには、無意味な緑色のクリアカバーが掛けられている。
独自の可動機構により、従来のアシストとオートバランサーでは対応できず搭載されていない。その為、操縦にはかなりの技術が求められる玄人向けの機体となっている。
ハウンド
ドレイクのデータを元に作製された量産型のオリジナル機動騎士。基本カラーはシルバー。
ドレイクと同様の変形機構を有しており、こちらは機首のビーム砲以外はオミットされている。ブースターも二つのみとかなりシンプル。
変形機構故に汎用性が低く特機扱いであるが、機動性と運動性はネヴァンを超えている。ドレイク同様にアシスト機能がないため、使い手がかなり限られる機体となっているのがネック。
見た目は第七にしては素晴らしいデザインとなっている。コクピット周りは最悪になっているが。
これは余談だが、ドレイクのシュミレーターはロイネを含めた船団全員が経験している。