オレは本物の宇宙海賊!   作:パイレーツ

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宇宙海賊、新型を買う

――ある路地裏にて。

 

「ハァハァ……くそっ、リアムめ。騙していると伝えたのに感謝するとは……なんて話の通じない奴なんだ」

 

そこにはダメージを受け、ゲホゲホと吐血するように黒い液体を吐き出す案内人の姿があった。

先日の暗躍が失敗に終わった案内人はレーゼル家当主、その娘のカテリーナ、そしてリアムの情報と交換したペーターから負の感情を吸収して回復。最終手段として自身の暗躍をリアムにばらし、リアムからの怒りを買おうとした。リアムが怒り――負の感情を抱けば、案内人はそれだけで力を得られるからだ。

 

しかし、どういう訳かリアムは案内人に憤慨するどころか逆に感謝していた。その感謝により、またしても大ダメージを受けた案内人は、消えるように逃げる羽目となったのだ。

案内人視点では意味が分からないと苛ついているが、これはリアムの認識だけでなく、案内人の調査不足にも問題がある。

 

そもそもレーゼル家には、宇宙海賊達と裏で繋がっているという黒い噂もあったのだ。そこに加え、男の息子が爆発する性病まで蔓延していた。むしろ案内人が情報の入れ替えなどと余計なことをしなければ、リアムに不幸が訪れていた可能性だってある。実際、ペーターはその性病に見事に感染して被害にあったのだから。

 

そこに加え、レーゼル子爵家も今回の件が引き金となって男爵家に降格したのだ。そんな不利益満載な彼らの状況を知るリアムに、ペーターの立場は本来はリアムのものであり、自分が奪ったのだと明かせばどうなるのか?冷遇されていた事に気付いていないリアムは、ゴアズ海賊団の時のようにわざわざ裏で動いてくれたのだと、勘違いするのも無理はない。

更にそれだけに留まらず――

 

『それにアイツら……本物の宇宙海賊と名乗る馬鹿な連中との縁も、お前が裏で動いてくれていたんだろ?』

『え?あ、ハイ』

 

思い描いていた反応と違うことに困惑していた案内人は、リアムの問い掛けを混乱した頭のまま生返事で肯定してしまったのだ。最悪のタイミングでクラーク船団の件もバレてしまい、リアムの勘違いをロケットパンチ並みに加速させてしまったのだ。悪縁を切り、良縁を繋げたとなれば、リアムでなくとも誰だって勘違いする。

 

せっかく回復した力もリアムの感謝によって全部削られ……否、回復前よりも弱体化してしまっている。このまま何もしなければ、消滅してしまう可能性もある。それくらい、今の案内人の体はボロボロだった。

 

「こうなれば首都星へ……彼処なら負の感情も大量に蔓延している……効率に関係なく、負の感情を集めて回復しなければ……!」

 

案内人は体を引き摺るようにして、その場を後にする。その後ろ姿を、犬の形をした光の存在がじっと見据えるのだった。

 

 


 

 

――本日も盗賊連中は盛んだな。どれだけロレイアに食いつくんだよ。

 

「襲撃した艦は六十隻ほどか。襲撃の度に増えていくな」

『本当にこの惑星は海賊ホイホイですね。どれだけ噂が広がっているのやら』

 

戦艦にいる副長も呆れているが、オレも概ね同感だ。海賊以外で。

 

「あれは強盗や盗賊、もしくは傭兵崩れだ。断じて宇宙海賊ではない」

 

今日も強盗共を返り討ちにしたが、それに伴って新たな問題が浮上している。それは、このロレイアの防衛体制だ。

 

「小規模から中規模とはいえ、襲撃の頻度が上がっているな。月に三回から、週に一回になりつつあるぞ」

『あの黒い海が天然の防壁かつ、異常な水圧で海底に辿り着けないとはいえ、攻めてくる連中が後を絶ちませんからね。今は人的被害は出てないですが、このままでは危険ですね』

 

そうなんだよな。バンフィールド家の私設軍も、再編成した影響で数が十分とは言えないしな。本星とロレイア専用のゲートの警護もあるから、此方に人員が回せないし。

それに規模が大きくなっているのも問題だ。規模が大きいと、それに比例して捕虜を連れ回している連中の可能性が高くなる。実際、この数ヵ月間で盗賊に捕まっていた人々を保護したし。治療は全部大将に任せているけど。

 

『手っ取り早い解決策は傭兵団を雇うことですが……連中は面倒ですからね』

「古代遺産目当てに襲ってきて、全部返り討ちにした連中だしな。確実に嫌われているし、依頼しても足下見られるだろうしな」

 

それに傭兵団の中には、裏切る前提で二重契約する輩もいる噂もあるからな。そうなれば絶対に大将の怒りを買うし、その責任を取らされる。ああ、本当に儘ならないな。

 

「こうなったら……大将に相談して、最新の機動騎士の買い換えを願い出るか。機体は……第三のネヴァンかな?」

『第七の新作、ハウンドもありますがね。使用者を選ぶ機体ですので、あまり売れていないそうですが』

 

あー、ドレイクの量産タイプか。乗れる騎士が少なすぎて、買い手が数える程度だとニアス大尉が嘆いていたな。後、コクピットが従来より狭くなって乗りづらいと文句が来ていたとも。

ドレイクは素晴らしい機体で、その系統たるハウンドも決して悪くない機体の筈だ。でも、押し付けは良くないしな……

どっちにしろ、大将に相談してからじゃないと駄目だけど。

 

『ハウンドへの買い換え?そのくらいなら別に構わないぞ』

 

試しに相談したら、大将はすんなりと許可を出した。てっきり不機嫌になると思ったんだが、この反応は意外だった。ちなみにハウンドの購入は船員全員の意見を聞いた結果だ。断じて無理強いはしていない。

 

「本当にいいのか?頼んだオレが言うのもなんだが、購入は予備も含めて二十機くらいになるんだぞ?新型ということも相まって、それなりの出費になると思うんだが」

『お前たちはしっかり稼いでくれているからな。それに、俺も予備機としてそのハウンドを買うつもりだった。もちろん、金色にカラーリングした特別仕様でな』

 

金色にカラーリングしたハウンド……ゴールド・ハウンドと言ったところか?金色のハウンドを想像して……カッコいいと思ったね。贔屓かもしれないが。

 

「けど意外だな。てっきりコクピットの悪さから手を出さないと思ったんだが」

『確かに座り心地は最悪だったが、シートの質を替えれば解決する程度だったからな。狭さも許容範囲だったし、変形という浪漫に見合う対価と十分に取れたからな』

 

既に試乗していたのか、大将。

 

 


 

 

大将経由で購入して数日後、希望した数の倍、四十機のハウンドがオレたちへと届けられた。

 

「今回はハウンドのご購入、ありがとうございまーす!引き渡しの必要書類はこちらでーす!!」

 

スーツ姿で引き渡しにきたニアス大尉は、実に上機嫌で嬉しそうだ。

 

「ハウンドは既に説明した通り、かなり上級者向けの機体なんですよね。アシスト機能がないのを理由に売れなくて……第三のネヴァンより優れているのに!!」

「そこはまぁ……仕方ないかと。アシストなしで動かせる人は、本当に少ないからな」

 

オレはそう言いながら、既に人が集まっているハウンドへと視線を向ける。汎用性が犠牲となっているが、強襲と高速移動に特化した機体という扱いになっている。オレのドレイクのように万能向けではないが、それでも誇らしいものだ。

 

「俺らにもついに、最新機が……!」

「武装を変えるだけでも、専用機感が出るし最高だよな!」

「アシスト機能なんてただの飾りよ!むしろ無駄な荷物よ!!」

「ああ……この形状……色合い……イイ……実にイイ……!」

 

ハウンドは船員たちにも好評だな。意外だったのは、ミスティリア組もネヴァンではなくハウンドを選んだことだな。船員たちと口喧嘩はするけど、以前のような嫌悪感が消えてるから関係は良好だ。オレへの敵意の視線は相変わらずだけど。

 

「早速だが、どう改造する?」

「その前に機種転換訓練だろ。追加装備とかは慣れてからだ」

「基本武装はライフル、シールドにソード……オーソドックスね」

「巡航形態は操作感覚が違うから、慣れるのに少し苦労するかも」

「でも、すぐに慣れるだろ。今までがアシスト機能がマトモに働かない、オンボロ機体だったし」

「武器は……こっちで作るか。幸いに材料も設備もあるし」

「そこは対艦ミサイル一択だろ!」

 

そんなこんなで、早速機種転換訓練。皆がノリノリでロレイア周辺の宙域でハウンドを操縦していく。

 

『やっぱり新型はいいな!今までのような軋みが欠片もない!』

『船長のドレイクが元になった機体だから、機動性はバツグンね。少しパワーが物足りないけど』

『僕としては、変形時の攻撃手段が少ないのが気になるかな?機首のビーム砲だけじゃ、心元ないし』

『だったら武装をありったけ載せた小型艇を使え。すぐに解決するぞ』

 

それぞれが思い思いに口にしつつも、ハウンドを操縦していく。元々のメンバーはすぐにハウンドに慣れるだろうが……

 

『わきゃあっ!?』

『実際にアシストなしだと、ここまで難しいなんて……!』

『だけど、私達も負けてられないわ!』

『ああ!聞けばロイネ様も、アシストなしで機体を動かせるのだ!』

『ロイネ様をお守りするためにも、絶対に乗りこなしてみせる!!』

 

ミスティリア組はハウンドの操縦に苦戦していた。今までがアシストありきで動かしていたから、苦戦するのは当然なんだが。でも、やる気も向上心もあるから、次第に慣れていくだろう。

その意味だと、ロイネも凄いよな。本人はエース級にはまだ及ばないと口にしていたけど、贔屓なしに十分に通用すると判断しているんだけどな。普通に主力として使ってたし。

 

「これでアシスト機能もあったら、かなり売れそうだよな」

「それ、ほとんどの人に言われました!構造上の問題から従来のアシスト機能が使えないと説明しても、アシスト機能を搭載しろと言ってくるんですよ!!後、座り心地が最悪だとも!!」

 

ニアス大尉は顔を覆い、ザメザメと泣き始める。うーん、相変わらずの残念さだな。

 

「ああ、それとロイネの様子はどうだ?」

「グスッ……ロイネちゃんですか?予定通り、ウチで真面目に研修を受けていますよ。とても勤勉ですし、腕も確かですから、こちらも教え甲斐がありますよ。今のままでしたら、資格も問題なく取得できますよ」

 

第七兵器工場で研修中のロイネも、元気にやっているようで何よりだ。

 

「ただ、彼女の噂を聞き付けて、引き抜きの勧誘が何度も来てるんですよね。中にはしつこい勧誘もあって、彼女も辟易してますし」

「それは……大変だな」

 

優秀な人間は誰でも欲しいからな。現に大将も偽海賊に捕らえられた人をエリクサーを使ってまで治療して、人材確保に動いてるし。見返りを求めない慈善なんて、この世界じゃあり得ないしな。

実際、エリクサーの闇製法と特急の毒物が存在しているし。

 

 


 

 

……本当にこの船団はどうなっているのだ?訓練が終わり、当番制ということで案内されたのだが……

 

「水のやり過ぎに気を付けてね?やり過ぎたら、すぐに駄目になってしまうから」

 

この船の船医の一人が注意しているが、何で船内で複数の植物を栽培しているのだ!?普通は買うものだろ!?

私のその不満を感じ取ったのか、船医は苦笑したように私に視線を向けてくる。

 

「これらの植物はどれも希少なの。簡単に手に入らないし、買うより育てた方が早いんだよね。エリクサーの貴重な材料だし」

 

…………は?

 

「エリクサーの材料……だと!?ここにある植物全てが、あの万能の霊薬を作り出すのに必要なものなのか!?」

「そうだけど?万能ならどの症状にも効くし、長い期間溜め込めるからね。かつてロイネちゃんも、衰弱死するギリギリだったけどエリクサーを注射して繋ぎ止めたし」

 

ロイネ様の治療にエリクサーを使ったのか!?いや、ロイネ様も生きているのが奇跡と言われるくらい弱っていたと口にしていたが、エリクサーの事は一言も口にしなかったぞ!?

 

「でも、あんまり広めたくないのも事実かな?エリクサーの製法には、外道なものもあったし」

「……外道なもの、だと?」

「ええ。エリクサーの製法には、生きた人間の命を使う方法もあるの。これの一番の問題は、あまりにも簡単かつ大量に作れてしまうこと。こっちは時間も手間も掛かるし、量も少ないからね」

 

万能の霊薬の原料が人の命、か……あれが大勢の犠牲の下に作られたと知ると、複雑になる。おそらくは暗黙の了解で目を瞑っているのだろうな。

そんな私を気遣ってか、船医が優しく私の背中を撫でる。

 

「複雑かもしてないけど、エリクサーのおかげで助かった命もあるでしょ?エリクサーの製法には他にもあるみたいだし、あまり深刻に捉えなくて大丈夫よ」

「……仮にそうだとして、何故エリクサーの製法を知っているのだ?」

「昔、廃退した惑星の遺跡に、エリクサーの製法が書かれた石板を船長が見つけたのよ。石板は文字が古代のものだから、解読に苦労したけどね」

 

本当にあの男の運はどうなっているのだ。ロレイアといい、今回のエリクサーといい、何故こうも大きな当たりを引くのだろうか。実は表に出てないだけで、大きな成果を幾つも上げているんじゃないのか?

どちらにせよ、この事はティア様にも報告しておこう。

 

 


 

 

……まさか私設軍から派遣されるなんてな。大将はこれを見越して、ハウンドを要望の倍届けたのか?

 

「名目は軍の再編のための各部署からの出向ですが、彼らからしたらクビ同然の左遷ですね。ロクな説明もされず、連れて来られたそうですし」

「紹介は現地でって奴か。一応、彼らにはオレらに従うように通達されているみたいだが……素直に従うか怪しいな」

 

オレたちは基本、外様だし。バンフィールド家に仕えているわけでもないから、向こうからしたら不満しかないだろうな。

 

「筆頭騎士の伝言では、遠慮せず厳しく鍛えろと。ウチは養成所ではないんですがね」

「それでも要請だからな。契約は守らないと駄目だし、彼らもオレの船員同様に扱うさ」

 

先ずは顔合わせだな。オレが彼らがいる待機所に顔を出すと、全員が目を丸くしてオレを見てきた。そんなに驚くことなのか?

 

「な、何で領主と契約している人間が此処に……?」

「まさか今回の出向先って……」

「イヤイヤ。そんな訳ないって。間違えて此処に来たに決まっている」

 

間違えてないって。ちゃんと副長と一緒に確認したし。リストにあるメンバーの顔写真も一致してるし。

 

「オレを知っているなら自己紹介は不要かな?責任者からは厳しく鍛えろと指示されている。オレの船員と同じ扱いをするから、覚悟しておくように」

「念のために言っておくが、貴君らに拒否権はない。文句があるなら、退役することを奨める」

「……間違いでも何でもなく、マジで?」

「つまり出向先は……ロレイア!?」

「超重要な惑星への出向とか……左遷じゃなくて大チャンスじゃないのか!?」

「貧乏クジどころか、栄転じゃないか!!」

「俺らにも遂に、運が回ってきたのか!?」

「ジャンケンに負けて押し付けられたけど……あの時、負けて本当に良かった!!」

 

急に喜びだしたな。何で出向先を伝えてなかったんだよ。いや、伝えたら志願者多数になるからと教えられているけど。

一応は挨拶を済ませ、彼らにも普段からやっている訓練を受けてもらった。

ランニング一時間。筋トレ十セット。模擬戦にシミュレーターも。

 

「ゼェ……ゼェ……」

「何で一船団が、軍隊並みにハードな訓練を……」

「シミュレーターの難易度がおかしいだろ……瞬殺どころか、マトモに動かせないぞ……」

 

出向した全員が屍の如く、床に広がる結果になった。一応、軍人の筈だよな?これ、普段から訓練をサボっていただろ。いや、大将が再編するまではハリボテだったみたいだし無理もないのか?

 

「こりゃ、しばらくは訓練漬けだな」

「今のままでは直ぐに墜とされかねないですからね。大変でしょうが、根気よく鍛えましょう」

 

大事な人材だから根気よく鍛えることにし、今後の訓練メニューについて相談していく。もちろん、掃除などの当番は免除しないが。

そんなオレと副長に向かって、一人がプルプルと腕を上げて質問してきた。

 

「あの……普段からこんな訓練をしているんですか?軍隊ではないのに、何故……」

「何故って……オレらは夢と浪漫を求めて旅する本物の宇宙海賊だからな。常に危険と隣り合わせだし、普段から鍛えとかないと駄目だろ」

 

オレのその返答に、彼らは何故か『ええー……』と困惑している。何もおかしな事は言ってない筈だぞ。軍人だって、死と隣り合わせなんだし。

 

「それと、今ある機動騎士もアシスト機能はないからな。だから頑張ってアシストなしで動かせるようになれよ」

「いくら何でも無理だろ!?アシストなしで動かすなんて――」

「ちなみに、ここにある機体は第七の新型のハウンドだ」

「心身ともに頑張ります!」

「あれ、凄いカッコいいんだよな!」

「正規軍のエースから好評だと聞いているからな!最悪な座り心地だとも」

「訓練に時間を費やせるなら……絶対に乗りこなしてみせる!!」

 

副長からハウンドの名前が出た途端にやる気を出したな、君たち。まあ、やる気が出たなら別にいいか。

 

 


 

 

「団長。もうすぐ目標ポイントです」

「ああ。分かっている」

 

その男は千隻の艦隊を率いる宇宙海賊だった。元はとある貴族に仕えていた軍人だったのだが、当主交代で切り捨てられたのを切っ掛けに、己が欲望のために宇宙海賊になったロクでなしだ。

当然、商人を襲って金品を奪ったり、惑星を焼いて搾取したりとやりたい放題やってきた。そんな男もロレイアの噂を聞きつけ、その遺産を手中に収めようと赴いたのである。

 

「ロレイアの守りには、あの【艦斬】がいますが……」

「奴がいくら強くとも、千の艦隊の侵攻を同時には防げまい。それに、俺たちにはこれがある」

 

男はそう言ってとある装置――惑星開発装置を見せつける。偶然手に入れた品物であるが、これを使えば人の命をエリクサーへと変えられる。

 

「これを使えば、惑星にいる人間を人質にできる。人質を取られれば、奴とて俺たちに降伏するしかないだろう」

 

高々一隻の戦艦……それは防衛戦においては致命的。マトモに相手せずに惑星の人間を人質に取る……それこそが最適解だ。

太古の遺産と名声を我が物に……そう考えていた男であったが、それは現実となることはなかった。

 

「こちらに高速で接近する機影を複数確認。これは……小型艇?」

「機動騎士でなく小型艇か。すぐに撃ち落と――」

 

男は嘲笑の意味も込めて撃墜命令を下そうとするも、その前に接近した複数の小型艇の下部に搭載された物体――対艦ミサイルが一斉に放たれ、戦艦の艦橋へと次々と命中する。

 

「十数隻との連絡が途絶!応答ありません!!」

「さらに同様の小型艇を確認!対艦ミサイルを装備しています!!」

「小型艇のクセにふざけた真似を!すぐに機動騎士を――」

 

男が指示を出そうとしたところで、対艦ミサイルを撃ち切った小型艇が迫ってくる。その銀色の小型艇は腹を見せるような姿勢を取ると――機動騎士へとその姿を変えた。

 

「な――」

 

小型艇が機動騎士になるという予想外の光景に、男は硬直したように思考が止まる。そんな男が見た最後の光景は、その機動騎士が剣を振り下ろした瞬間だった。

 

 

 




原作キャラからのクラークの認識。

リアム「海賊を勘違いしている金ヅル」
天城「旦那様が好むお宝をよく見つけてくる方」
ブライアン「海賊という名の素晴らしい冒険者」
ニアス「海賊を名乗る変な人」
クリスティアナ「妹に近づくゴミ虫」
クルト「憧れの冒険団の人」
ユリーシア「色々と残念な人」
エイラ「変わった人」
案内人「リアムの次に怒りを覚える男」
犬「主人に益をもたらす人間」
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