今回は、戦力差的にさすがのアポロンでも、アストレア・ファミリアやヘスティア・ファミリアに襲撃は仕掛けないと思うので、アニメ2話をすっ飛ばして3話の内容に入ります。
尚、今回からリリルカ・アーデの表記がリリルカからリリに変更されます。
神酒
翌日。
俺はオラリオの北西に位置するメインストリート、冒険者たち通りを歩いていた。
何故かって?
換金し忘れてた魔石が
タッタッタッタッタ!
俺がボーッとしながら歩いていると、走っているような足音が聞こえた。
お急ぎなのかな?
そしてその音は近づき、俺の身体にぶつかる。
ベル「あっ...すみません!」
タハト「ん?ああ、平気...ってベルじゃん。何かあったのかい?」
ベル「今日もダンジョンに行こうと思って、リリとの約束通りの時間に待ち合わせ場所にいたんだけど...どれだけ待っても来ないから探してるんだ...でも、どこにも...どこにもいないんだ...」
タハト「マジか...心当たりはないのか?」
ベル「いいや...いやでも...まさか...!」
タハト「その子の所属は?」
ベル「【ソーマ・ファミリア】だね。」
タハト「あのファミリアは皆揃って神酒を求めてるって聞いたことがあるな...ワンチャン、同じファミリアの奴に...」
ベル「そんな...!」
タハト「あのファミリアなら有り得る...この間も色々奪われてたしね...」
ベル「...」
俺がそう言うと、ベルの表情は曇っていた。
何時も基本ニコニコしている俺の義弟は、今彼が見せている表情は、憤怒でも悲哀でもなく、絶望に近いものだった。
タハト「...大丈夫、安心していい。俺は何時だってお前の味方だ。それこそ、君が悪事を起こさない限りはね。」
俺はそう言って、ベルを抱き寄せる。
俺が思うに、奴らの魂胆はこうだ。
ベルと俺の戦力というのは、1人だけでもファミリアを壊滅させかねない。
その為、戦力を削るには、俺たちの周りから人を排除すればいい。
こういう事だろう。
酷いな...酷すぎる。
ベル「じゃあ...義兄さん、お願いがあるんだ。」
タハト「どうした?」
ベル「一緒に...リリを取り返すのを手伝って欲しい。」
タハト「任せろ。仲間も引き連れてやる。」
俺が救える者は、俺が救う。
手の届くのに救わないなんて、それは怠惰だ。
タハト「じゃあ、太陽が完全に沈んだ時、アストレア・ファミリアのホーム前で会おう。場所はわかるね?」
ベル「うん。」
タハト「おけ〜、じゃあ、またホームの前で。」
.
ベル「わかった!」
このファミリア間の事情に、リヴェリアとレフィーヤ、それにアストレア・ファミリアを巻き込む訳には行かない。
これは、俺の問題...義兄弟の問題だ。巻き込むなら、無所属で
俺はベルと別れ、目的地へ向かった。
ーミハイル宅ー
コンコン。
俺はオラリオのとある邸宅のドアをノックする。
ミハイル「はいはーい...ってタハト!何しに来たんだい?」
タハト「父さん、実はさ...」
俺は父さんに全てを話した。
父さんは元ゼウス・ファミリア、んで
戦力として申し分ないだろう。
ミハイル「成程ね...わかった。ミソナ!タハトからの頼みだよ!」
ミソナ「わかったわ〜。準備していく。」
タハト「本当にありがとう、父さん、母さん。」
ベル曰く、神の宴の時に、ヒュアキントスとソーマ・ファミリアの団長が話しているのを見たらしい。
アポロン・ファミリアとソーマ・ファミリアはグルってことかな。
後々判明した話ではあるが、神の宴が終わった後にリリはソーマ・ファミリアの団長、ザニスに連れていかれたらしい。
数時間後。
時間にして19:00程になり、俺達は星屑の庭の門の前に集まっていた。
何故かヘスティア様もいた。
父さんはライトアーマーに身を包み、両手にメリケンサックをつけており、母さんは黒いローブを羽織り、長い杖を握っていた。ベルも白を基調に、赤いラインの入ったライトアーマーを着用し、黒いナイフと赤いナイフを持っていた。
ベル「ミハイル叔父さんに、ミソナ叔母さん!?2人ともLv.7...それに加えて義兄さんもいる訳でしょ?...Lv.7が3人...ヒェッ...」
タハト「いやー、アルフィアさんが来るのは2週間に1回だし、ザルドさんもあの村でゆっくりしてるらしいし、呼べるのがこの2人しか居なかったんだよねー。んで、ソーマ・ファミリアのホームだったね。ニルヴァーナも行くかい?」
ニルヴァーナ「はい、御同行させていただきます。」
ミハイル「いつ見ても凄いねぇ...」
ミソナ「そうね...タハトちゃんには及ばなくても、オッタルくんには勝てそうな予感がするわ...」
タハト「それで、何故ヘスティア様が?」
ヘスティア「当たり前だろ?ボクの眷属、ベルくんの仲間を助けるのは、親として当然の役目さ!」
タハト「いい神様を持ったな、ベル。んじゃ、親孝行と行こう。ニルヴァーナ、父さんと母さん、そしてヘスティア様をソーマ・ファミリアのホームまで乗せてあげて。」
ニルヴァーナ「承知致しました。」
ミハイル、ミソナ、ヘスティア「「「えっ」」」
父さんと母さんは驚きながらも、ニルヴァーナの背に跨ると、ニルヴァーナはソーマ・ファミリアのホームに向かって走り出した。
ベル「あっ!ちょっ!」
タハト「いい準備運動だ!俺達も走るよ!」
ベル「まっ...待ってよ義兄さ〜ん!」
俺達はニルヴァーナを追いかけながら、ソーマ・ファミリアのホームへ向かった。
そして数分もすると、灰色のデカイ屋敷、ソーマ・ファミリアのホームに着いた。そのホームの扉の前には、ソーマの神酒を求めて押し寄せる団員がいた。
団員A「お願いです、ソーマ様のお酒を飲ませてください!1口...一口だけでいいですから!」
団員B「あれが無いと生きて行けねぇんだよおおお!」
ミハイル「うっわ...酷い光景...」
ミソナ「聞いたことがあったけど、神ソーマに狂わされた人がこんなに多いなんて...」
タハト「宛ら違法薬物と言ったところかね。」
ベル「なんの事...?」
タハト「いいや?こっちの話〜」
そういや違法薬物ってこっちの世界には存在しないのかね?
にしても、このホームの中に牢獄的なのがあるんだっけ?
趣味悪いねぇ...団長さんも。
タハト「そんじゃ...行かせてもらうよ...」
俺はそう言うと、群衆を掻き分け、門番に近づく。
門番A「...?って
門番B「何の用だ!」
タハト「君達の団長に用がある。通してくれ。」
門番B「出来るわけがないだろう!」
門番A「諦めろ、
門番B「あ、ああ。」
門番達は話し合った後、ホームの中を走っていった。
暫くすると、顎髭を付けたドワーフ、チャンゲラと、眼鏡を付けた見るからに性格悪いおっさん、ザニスが現れた。
チャンゲラ「アレだ。」
ザニス「おやおや、先日宣戦布告された神ヘスティアと
タハト「面倒だし率直に言わせてもらうよ。君達のファミリアの団員、リリルカ・アーデを退団させて欲しい。」
ザニス「そうか...ならば代償が必要だ!そうだなぁ...今回、我々の大切な時間を使ったこと、そしてリリルカが今までソーマ様に育ててもらった恩義に報いる為にも...ざっと5000万ヴァリスは用意せねばならん!」
奴は気色の悪い笑みを浮かべながら、欲望に塗れたその目をこちらに向ける。性欲、食欲、睡眠欲、物欲...様々な欲望があることをその目と発言が教えてくれる。
ヘスティア「5000万...!?そんな大金、幾らタハト君でもパッと出せるわけが...」
タハト「えーっと、無駄にダンジョンに潜りまくったお陰で最近総資産が1兆超えたから...まあ出しても問題はないね。ほら、受け取れ。」
ミハイル「え?1兆?」
ミソナ「私たちが追放される前よりもあるわね....」
俺は1000万ヴァリスずつ入ったデカ目の袋を5個出す。
ザニス「なっ!?」
タハト「正直さぁ、君みたいな煩悩まみれの目をしてる人、沢山見てきたけどさ。君のはそのどれよりも欲望に塗れてるね。ほんじゃ、約束通りリリルカ・アーデを退団させてもらうよ。案内しな。勿論、約束を違えたら金は回収して、ファミリアの貯蓄にさせてもらう。」
ザニス「わ...分かった...案内しようじゃないか...」
ヘスティア「すごいな...タハト君は。」
ニルヴァーナ「わかってますね、神ヘスティア。貴方も私と同意見で良かったです。」
ヘスティア「君、そんな性格だったかい?」
ニルヴァーナ「こんな性格です。」
俺達はザニスに案内され、地下牢からリリを出した。
リリ「ベル様!?何故ここに!?」
ベル「リリ、もう大丈夫。」
ミハイル「良かったね!ベルくん!リリルカちゃん!」
ヘスティア「よし!じゃあ、ソーマの所へ向かおう!」
ザニス「ふん...貴様らにあの神が耳を傾ける訳なかろう...」
俺はザニスの案内の元、神ソーマの元へ向かった。
そして階段を上り、2階のホームの真ん中の部屋に到着した。
そこには、酒をかき混ぜている髪が長い青年の姿をした神、ソーマがいた。
ザニス「ソーマ様、失礼致します。」
ソーマ「...何の用だ。」
ソーマ様は煩わしそうに俺らを睨みつけ、尚且つ酒を混ぜ続ける。
その表情は無に少しの怒りを混ぜたような感じで、楽しみを邪魔された子供のようであった。
反応を見るに、神ソーマは酒造り以外に興味を示さない感じだろうか。
ザニス「団員のリリルカ・アーデが退団したいとの事です。」
ソーマ「...アーデ、この酒を飲み、同じことが言えるなら考えてやろう。」
ソーマ様がそう言うと、リリにその混ぜてあった神酒を渡す。
リリ「はぁ...はぁ....はぁ...!」ブルブル
リリの手元が震えている。
俺が思うに、あの酒は普通の人間が飲もうもんなら、あっという間にあの酒の魔力に魅力されて堕ちる。
あの門の前の人達も堕ちた人々だろう。
リリ「んっ...んっ...あっ...あはぁ...」トローン
リリはその酒を一気に飲み干すと、バタリと倒れてしまった。
アルコール度数なのか、魅力の効果なのかは全く分からないが、顔を赤くしていた為に、酔いがすぐ回ったのだろう。
リリは確かに曲がることの無い信念を持っていた。だが、現実は非情で、その視界は信念に相反して揺らぎ、歪む。
ザニス「ははっ!ふははははははははは!」
ソーマ「......」
ザニスが高らかに笑い、ソーマ様は残念だと言わんばかりの表情をし、リリに背を向けて再度酒を混ぜようとする。
だが、その時。
リリから一筋の涙が流れた。そしてその表情は決意を固めたようなものに変わっており、神酒による揺らぎや歪みは存在しなかった。
リリ「くだ...さい.....」
ザニス「なっ!?」
ソーマ「っ!」
ザニスは驚き、ソーマ様もハッとして視線をリリに戻す。
リリ「リリを ...解放してください...!」
ソーマ様もザニスも、その眼を大きく見開く。
ただの人間の少女が、それも冒険者たちよりも力で劣るサポーターである彼女が、神酒の魅力を断ち、信念を貫いた。
神であるソーマ様の予想を打ち砕き、彼女、リリルカ・アーデは立ち上がったのだ。
リリ「リリはこの人たちの力になりたい!神様に教えてもらわなくたって分かる!リリは、今この時のために生まれてきたんだって!この日のために、間違いを積み重ねてきたんだって!今度はリリが、ベル様達の力にならなくちゃ!リリを...解放してください!!!」
神は...ソーマ様は彼女から目を逸らさずにその言葉を聞いていた。
万人を虜にし、堕落させる。そんな神の酒でも打ち砕けぬその思いと、彼女の信念。
酒の神ソーマは、酒でも何でもなく、彼女のその言葉に魅了されていた。
ザニス「ばっ...!馬鹿な!?ソーマ様、耳を貸しては行けm...」
ソーマ「黙れザニス。」
ソーマ様は、ザニスの方を向くと、力強くそう言った。
人間への興味が燃え尽きた神は、その興味を再び燃焼させられたのだ。
ソーマ「
ヘスティア「ソーマ...!」
ミハイル「凄いね...あの酒の魅了を砕くなんて...」
ザニス「こんな...!こんなの、認めてたまるか...!その女は、私だけの
ザニスは剣を抜き取ると、リリに向かって走り出す。
だが、俺の連れは全員Lv.2以上、何ならベル以外Lv.7の化け物集団だ。
タハト「させないよ。」
ザニス「そこを退けぇぇえええええ!」
ザニスは愚かながらも俺に剣を振り下ろす。
正覚 阿頼耶識で事前にそれをわかっている俺は、左腕に魔力で障壁を発生させ、その剣を受ける。
ザニス「なっ!?」
タハト「行くぞ...『天鳳』...!」
俺はその剣を振り下ろした力と、俺自身の筋肉を使って、ザニスの顔面に突きを放つ。
勿論、加減はしてる。
マジで殴ってしまった暁には、速攻でザニスの顔面は粉砕...見事にトマトと化すからね。
ザニス「ぐわっ!?」
バコオオオオオン!
ザニスは『天鳳』を食らった顔面から、回転しながら壁に吹き飛び、突き刺さる。
悪役にはふさわしいやられ方と言えるだろう。
タハト「ふぅ...さっ、邪魔者は居なくなった。さっさと終わらせて、帰ろうか。ソーマ様も酒造りで大変だしね。」
ヘスティア「そうだね...!とっとと
ミハイル「...結局、完全武装した意味無かったね。」
ミソナ「そうね...でも、怪我しなかったから良かったじゃない!」
ミハイル「にしても、タハトが使ったあの技...明らかに攻撃が来るのをわかっていたような...」
ミソナ「そうね。それに、タハトちゃんの目に花の模様が白く光っていたし、なにかのスキルかもしれないわ。」
ミハイル「まっ、気にしててもしょうがない!皆もう出ちゃってるし、早く行こう!」
俺達が部屋を出て、近くの部屋に待機させられた。
暫くすると、顔色も良くなって、ニコニコしているリリと、ヘスティア様、そして相変わらず無表情のソーマ様が出てきた。
リリ「ありがとうございます、ヘスティア様、ソーマ様、それにベル様達も!」
ヘスティア「いいさ!でも、ベルくん達がいなかったらできなかったことだし、ソーマの作った酒の魅了に耐えるなんて凄いよ!よくやったね!」
ベル「リリが無事で何よりだよ!」
タハト「いい仲間だ、ベル。」
スッタニパータの第1章には、こう記されていたらしい。
『かの尊き師は言った。声に驚かない獅子のように... 鋼にとらえられない風のように... 水に汚されない蓮のように ただ... 犀の角のごとく ただ独り歩め だが もしも汝が 魂を重ねるに足る 同伴者を得たならば あらゆる危機にうち勝ち こころから喜び 彼と共に歩め。』
と。
今のこの状況には最適なのかもしれない。
嘗て、誰1人として信じず、一人で生きてきた少女は、ベルという名の同伴者を得て、これからあらゆる危機に打ち勝ち、冒険をするだろう。
タハト「神ソーマ、正直に言わせてもらうよ。貴方は良い神でも、悪い神でもないが、親としては失格だと思う。勝手に失望し、放り出して、沢山の子供に好き勝手させる。彼女が変わった理由、深く考えて欲しい。そして、もう二度とこんなことが起こらないようにして欲しい。」
ソーマ「...ああ。」
俺は父さんと母さんを送った上で、ホームに戻った。
本題は、アポロンの件だ。
アストレア様が
どうしたものか...
アストレア「どうしたの?」
タハト「えっ?ああ、アポロン様の件っす。
アストレア「それなら、もう私の方で全て終わらせたわ。ルールは攻城戦、他派閥の介入はヘスティア・ファミリア以外は認めないそうよ。アリーゼや輝夜、リューにライラも来るらしいし、戦力面は問題ないんじゃないかしら。」
タハト「.....マジかよ...」
アストレア様の仕事の早さと、アリーゼさん達の優しさに驚かされた俺であった...
今回は短めでした。
ザニスって...クズですよね...
次回はいよいよウォーゲーム本番回となります。
それでは、お楽しみにー!
アリア復活、あり?
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ラミィくん、それはありだ。
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んなわけねぇだろ!