聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 ※今作に登場する人物はモデルがいますが、一応はフィクションの人物です。



再始動ジャッジ・ザ・デーモン

[鬼を認可した聖龍隊]

 

 小田原修司のクローンに近い新世代型二次元人の誕生。

 新世代型二次元人にして国連総長を就任した足正義輝が発起した「現政奉還」。

 再び乱世に戻った世界各地で猛威を振るう黒武士の横行。

 開戦した第三次二次元・三次元戦争。

 そんな戦争の最中で正体が明らかになった黒武士。その正体は新世代型二次元人の始祖たる聖龍隊の創設者である小田原修司本人。

 戦いの中、新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収して新人類「純粋なる破滅」へと進化した小田原修司。

 激戦の中、多くの二次元人や三次元人が戦死。しかし、そんな絶望という戦況の中、一人の希望が立ち上がる。

 その青年、玉虫色の鎧と兜を身に着け、純粋なる破滅へと進化した小田原修司に挑む。更に、その青年の希望に感化されて戦死したミラーガールも復活。

 かつて孤独だった青年と、産まれながらに愛を感じない男を愛した聖女。二人の共闘が小田原修司を追い込む中、聖女の希望の力が戦場で戦死した者たちを蘇らせる。

 そして遂に青年と聖女は、小田原修司を打ち倒し、更には小田原修司を本来の姿と心に戻す事にも成功する。

 しかし、現政奉還という始まりの大元である国連総長・足正義輝が小田原修司と聖龍HEADとの戦いを所望したため、修司達は国連総長と対決する次第に。

 剣帝とも謂われる剣豪将軍・足正義輝の数多の攻撃の数々に苦戦を強いられる聖龍HEAD。

 だが、そんな苦境の中でも鬼神と聖女は諦めず、懸命に義輝と合戦する。

 その果てに、鬼神と聖女は勝利を勝ち取った。

 そして現世にもまだ熱気が溢れていると改めて認識した足正義輝は考えを改めて、贖罪の意味も込めて国連総長の座へと戻った。

 一方、足正義輝と共謀して一時は「純粋なる破滅」へと進化した小田原修司に対しての罪状は、聖龍HEADの嘆願により軽減された。その結果、国連及び世界は小田原修司に「出国禁止令」を発令し、小田原修司はアニメタウンから出国する事はできなくなった。

 アニメタウンに戻った小田原修司は、一時は自分が信頼してる聖龍隊の面々と、かつてはその存在を忌まわしいと思った自分のクローンである新世代型二次元人たちに未来を託して穏やかに隠居生活を送ろうとした。

 だが、そんな小田原修司を聖龍隊の二代目総長バーンズ・ウィングダムズ・キングズが、新たな聖龍隊の人材を育成するための逸材として、修司を聖龍隊の最高顧問に据え置き、後進の育成係を担わせた。

 新たな時代の戦士や英雄達を育成する傍ら、小田原修司はある新世代型二次元人による凶悪犯罪が横行している現実に直面する。

 意を決した小田原修司は、かつて犯罪の抑制と平等な裁きを行う制裁の象徴ジャッジ・ザ・デーモンに再び姿を変える事を決意。

 そんな小田原修司のジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を、HEADを始めとする一部の聖龍隊と新世代型二次元人たちは応援する事に。

 それに伴い、聖龍HEADはある決断を下す。

「……最初は自分のクローンである新世代型二次元人を忌み嫌ってた修司も、そんな新世代型二次元人を我が子として認めた事で……ジャッジ・ザ・デーモンとしての活動内容に変化が現れた」

「ああ、そうだね。義兄さん、いや……ジャッジ・ザ・デーモンが後世の新世代型達の手本になれる様にと、犯罪者を殺す事はなくなったのが幸いだね」

「これを機に、オレはジャッジ・ザ・デーモンを正式にと考えているんだが……」

「僕も同じことを考えたけど……問題は世論だ。世間は僕らがジャッジ・ザ・デーモンを受け入れた事に対して、如何に受け止め、そして感じるか。ジャッジ・ザ・デーモンは一応は連続殺人鬼でもあるからね」

「そうだな。だがジャッジ・ザ・デーモンの決意をオレはくみ取りたい……そしてオレ達は今後、本格的に組織でジャッジ・ザ・デーモンと協力しながら人々を守っていかなきゃならないとオレは思ってる」

「……それじゃ、決まりという事でいいかな」

「ああ、そうしてくれ」

 聖龍隊総長のバーンズ・ウィングダムズ・キングズと参謀総長のジュニア・J・プラントは話し合いの結果、ジャッジ・ザ・デーモンの処遇を決定した。

 

 バーンズとジュニアの話し合いから数日後。

 この日、アニメタウンの議場にて国中の記者達が一堂に集められ、記者会見が開かれる事となる。

 今や一国家として、例え国連より離脱しているとはいえアニメタウンの影響力は外国などにも多大な為に、記者達は揃って記事になるネタを求める。

「今日は聖龍HEADが我々、記者達をこの場に集めさせた訳だが……」

「一体、なにを発表するんだ?」

「聖龍HEADが戦犯でもある小田原修司を庇護してからアニメタウンは国連より離脱。何か国民にとっていいニュースはないものか」

「あっ! 聖龍HEADと新市長ウッズからの勅令でアニメタウン国家警察の本部長に就任したウェルズ氏だ!」

 記者たちが騒ぐ中、その公の場にアニメタウン国家警察本部長に就任したばかりのウェルズ・J・プラントがカメラなどで撮影する記者達の前に用意されたパネルと演説台へと歩み、そして演説を始めた。

「えーー、記者の皆様方。本日は多忙の中、足を運んでくださり誠に感謝します。本日、記者の皆さんの前で、本部長に就任したばかりの私と、このアニメタウンという国家を纏める聖龍HEADの面々で会議した結果、決定した事項を発表したいと思い、この場を設けました」

 記者達から注目されるウェルズは、演説を続ける。

「えーー、近頃、アニメタウン国内だけでなく隣国の日本国内でも問題視されてる二次元人……特に近年、生み出された新世代型二次元人が起こす異常にして悪質極まりない犯罪行為が増加の一途を辿ってるという報告を、本部長に就任する前から私は聞き及んでいます」

「ウェルズ本部長! 聖龍HEADは遂に、新世代型二次元人の行動を制限したり、常に監視体制の中、徹底的に言動を管理する動きを示してくれるのですか!?」

「新世代型二次元人の悪事の数々によって、我々罪もない一般の二次元人まで危険視され、差別などの問題に晒されてる現状が後を絶ちません!」

 ウェルズは演説中に記者達から問い掛けられる質問攻めを宥めると、落ち着いた頃を見計らって再び演説する。

「確かに……近況で最も異常性犯罪を犯す犯罪者の大部分が新世代型二次元人である事は明白です! ですが、我々は人々の人生を管理し、自由を制限する様な政策は行わないと肝に銘じています!」

「では! 新世代型二次元人の横暴や凶行をそのまま見逃すという訳ですか!?」

 記者達の騒めきを落ち着かせたウェルズは、ここで身振り手振りで語り出す。

「いえ……私も、そして聖龍HEADも善良な国民を守る為に活動するのは変わりありません。しかし、我々警察機関や聖龍隊の組織力だけでは、全ての犯罪行為を阻止するのは不可能だという結論に達したのも事実……!」

 記者達が固唾を飲み、ウェルズの公言に目と耳を傾ける。

 そしてウェルズは背にしてた後方のパネルに姿勢を向けると語り続ける。

「それに伴い、我々アニメタウン政府を動かす中枢の警察機関と聖龍HEADは決めました。かのゴッサムシティのバットマンに習い、我々も一人のクライム・ファイターすなわち犯罪者専門の格闘家を招き入れ、共にアニメタウンを中心に横行する凶悪犯罪から市民を守ろうと決意しました! この……」

 ウェルズが語ってた次の瞬間、ウェルズが姿勢を向けてたパネルを突き破って一人の異形の存在が記者達の前へと姿を現す。

「そう、この………………ジャッジ・ザ・デーモンです! 我々アニメタウン警察機関と聖龍HEADはジャッジ・ザ・デーモンを犯罪抑制力として起用する事を決定しました!」

 このウェルズの公言、そして公の場で姿を現したジャッジ・ザ・デーモンに、記者達はより一層騒ぎ出した。

「ま、待ってください! ジャッジ・ザ・デーモンって……そのジャッジ・ザ・デーモンって、本物なんですか!?」

「アニメタウンや日本はもちろん、世界中の捜査機関が総力を挙げても正体が掴めないジャッジ・ザ・デーモンを犯罪抑制力に起用するのですか!?」

「連続殺人鬼であるジャッジ・ザ・デーモンを、ゴッサムシティのバットマン同様に警察機関や聖龍HEADが認可してもいいんですか!?」

 記者達からの怒涛の質問の嵐に、ウェルズ本部長は毅然とした対応で答えた。

「確かにジャッジ・ザ・デーモンは過去に凶悪犯を殺害した経歴を持ち合わせています。しかし! 今後は聖龍隊が責任をもってジャッジ・ザ・デーモンを監視しつつ、本人も今後は殺人だけはしないと述べている事情から、ジャッジ・ザ・デーモンは正式に聖龍隊の一員としてこれから活動するので、どうか宜しくお願い致します」

 そう述べると、ウェルズはジャッジ・ザ・デーモンを引き連れてその場から立ち去る。そんな二人に記者達は警備してる強面のボディーガードを担当してるマン・ヒールズに押さえられながらもウェルズとジャッジ・ザ・デーモンに殺到する。

「殺人鬼のジャッジ・ザ・デーモンが本当にこれから先、殺害しないと何故言い切れるのですか!?」

「連続殺人鬼のジャッジ・ザ・デーモンを犯罪抑制力に起用するのは危険過ぎではないのですか!」

「ジャッジ・ザ・デーモンなんて信用してもいいのか!」

「聖龍HEADはなんでジャッジ・ザ・デーモンを起用したんだ! 経緯を教えてください!」

 しかし殺到する記者達をマン・ヒールズに一任し、ウェルズとジャッジ・ザ・デーモンはその場から離れていった。

 

 そして公の場での記者会見を終え、ウェルズはジャッジ・ザ・デーモンと共に聖龍隊本部へと赴いた。

「帰ったぞ。いやあ、予想はしてたが記者達の質問攻めには参ったぜ」

「お疲れ様、叔父さん」

 二人を招き入れ、参謀総長のジュニアがウェルズを出迎える。

 そしてウェルズの後ろをついて屋内に入ったジャッジ・ザ・デーモンを、ウェルズとジュニアそして出迎える聖龍HEADが見詰める中、記者会見の最中も一言も発しなかったジャッジ・ザ・デーモンが言葉を発する。

「本当にこれで良かったのか……俺は未だに解らない」

 ジャッジ・ザ・デーモンの疑問に聖龍隊総長のバーンズが返した。

「それはオレ達だって同じだ。だがな……これが新たなる時代の第一歩だと、オレも他のHEADも信じてる」

 バーンズに続き、HEADのキング・エンディミオンも言った。

「俺も信じてる……ジャッジ・ザ・デーモンが殺しを行わなくなった上で、今まで通りに犯罪の抑制と制裁に力を注ぐという信念の下で俺達と共に戦ってくれるとな」

 すると最後にミラーガールも語り出した。

「大事なのは過去ではなく未来……この先の未来で、如何に私たち聖龍隊とジャッジ・ザ・デーモンが協力し合えるかが大事だと、私も思いたいわ。そうでしょ………………修司」

 ミラーガールがそう言うと、ジャッジ・ザ・デーモンは顔全体を覆うマスクを外して素顔を曝け出す。

「……そうだな。俺もこの先、我が子と言える新世代型二次元人の手本になる為……ゆくゆくは新世代型に恥ずかしくない姿を見せる為にも、ジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を改める必要があるからな」

 

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司は、ジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を聖龍隊の公認してもらい、自分のクローンである新世代型二次元人にとって恥ずかしくない言動をしていこうと悔い改めて、この先行動していく事だろう。

 

 

 

[UMA狩り]

 

 こうして世間が波乱する中、ジャッジ・ザ・デーモンは正式に聖龍隊へと加盟する事に。

 最初、世間は連続殺人鬼であるジャッジ・ザ・デーモンに不信感を募らせていたが、ジャッジ・ザ・デーモンは宣言通り殺人は行わず、活躍の場もアニメタウンや隣国日本の犯罪現場に留まらず、電脳世界などの仮想空間でも大いに活躍する。

 特に2014年以降になってから頻繁に発生する、肉体が突然変異してシャドーパーソンやスレンダーマンなどのUMAに変化した二次元人・通称:異常者(ヒール)の捕縛活動だった。

 スレンダーマンやサイレン・ヘッドなどの危険なUMAに変異した二次元人への捕縛に乗り出すジャッジ・ザ・デーモンは聖龍隊との協力の中で力を出した。

 当然ながら犯罪の抑制として、闇夜に駆り出し犯罪者達にとっての制裁者としての活動も順調であった。

「逃がすな!」

 聖龍隊の新人の一人である桐ヶ谷和人、通称キリトは仲間達と共に今回も突然変異して狂暴化した二次元人、いや二次元人だったUMAの捕縛に懸かってた。

「ピキャアアアアアアアアアアアァァァ……ッ!」

 耳鳴りがする程の奇声いや甲高い音を発しながら、人里離れた野山を駆け巡るサイレン・ヘッド。

 歪な歯が並ぶサイレンから、精神に異常を来たす奇怪な音声を発して時には人をも襲いかねない、このUMAに聖龍隊は悪戦苦闘してた。

「ふんッ」

 と、そんな暴走するサイレンヘッドに【ワンパンマン】のサイタマが強烈な一撃をお見舞い。結果、サイレンヘッドは地面を転げまわり、倒れ込んでしまう。

「や、やったか……?」

 シルバー・クロウを始めとする多くがサイレンヘッドを仕留めたと思った、その時。

 サイタマの強烈な拳による一撃を浴びても、サイレン・ヘッドは起き上がり、その褐色の錆び付いたような体で立ち上がった。

「そ、そんな!」「サイタマのパンチを浴びても死なないの……!?」

 サイタマと同じ部隊である地獄のフブキと戦慄のタツマキの姉妹も驚愕。

 そんな驚愕する一同に闇夜から駆け付ける影が助言をかける。

「相手はUMA化した二次元人だ! 攻撃は効かないものだと思うんだ!」

 そうこうしている間に、その声の主はグラップネルガンのワイヤーでサイレンヘッドを素早く巻き付けて拘束する。

 そんな素早い動作でサイレンヘッドを拘束する様を目の当たりにして動揺してしまうキリトに、巻き付けている鬼が言った。

「キリト! おどおどするな! こいつは迂闊にかかれば奇声で此方の頭を可笑しくさせる異常者(ヒール)なんだ! 怖気付くな!」

 鬼からの一喝に、キリトはハッとする。

 その間にも暴れ回るサイレンヘッドを押さえ付けながら、鬼は叫んだ。

「タツマキ! フブキ! お前らの超能力でサイレンヘッドを真上から押さえ込むんだ! もうじき本部から収容ボックスが移送される筈だ!」

 そう言われてタツマキとフブキの姉妹は超能力でサイレンヘッドを真上から念力で押さえ込んで動きを封じた。

 

 そして数分もしない内に、聖龍隊本部から大型の移送ヘリに吊るされて透明な強化プラスチック製の巨大な収容ボックスが運ばれて、駆け付けた応援の隊士によって拘束されたサイレンヘッドは収容ボックスに押し込められて、本部へと移送された。

「や、やっと終わった……」

 耳からサイレンヘッドが放つ奇声を防ぐ耳栓を外して安堵するキリトたち。

 そんな中、先ほどグラップネルガンでサイレンヘッドを拘束した鬼が皆に言う。

「みんな、ご苦労。一先ず、全員本部に帰還してゆっくり休め」

「貴方はこれからどうするんです?」

 アスナの質問に鬼が答える。

「俺は夜の内が仕事だからな。今度は場所を変えて、犯罪の抑制にも力を尽くさなければ……」

 そう言うと鬼は用意してあった二個目のグラップネルガンを真上に向けて発射。上空に待機させてたジャッジ・ウィングに乗り移るとそのまま夜空を駆けて行った。

「……相変わらず多忙ですね、修司さん……あ、いや違った、ジャッジ・ザ・デーモンは……」

「そうね。本来、あの鬼は犯罪抑制の為に活動してるのだから」

 シルバー・クロウとブラック・ロータスが話し合っていると、サイタマとその弟子であるジェノスが先ほど皆で捕えたサイレンヘッドについて喋り出した。

「しかし、まあ……俺のパンチを受けても倒れないとは、やっぱりバケモノ染みてるな。UMAに変異した二次元人は……」

「そうですね、師匠。それにしても、なんでサイレンヘッドなんてバケモノが生まれたんでしょうか……」

 すると、その疑問にアスナが答えた。

「確かサイレンヘッドは、trevor_henderson氏によって作られた創作上の怪物で、それがSNSを通じて世界中に拡散されたからこそ、二次元人の肉体にも突然変異という形で影響が出ちゃうみたいよ」

 このアスナの発言に、キリトが愚痴をこぼす。

「まったく。三次元人の想像力には参ったぜ……まあ、その想像力で俺たち普通の二次元人も生まれてる訳だけどよ」

 

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンを交えてのUMA捕縛は今日も行われてるのだった。

 

 

 

[C・C・ムーア拉致監禁暗殺未遂]

 

 さらにジャッジ・ザ・デーモンが活躍するのはアニメタウン国内だけには留まらなかった。

 ジャッジ・ウィングで世界中を飛び回り、各地の犯罪を未然に食い止めたりとジャッジ・ザ・デーモンの活躍の幅は広かった。

 数多くの犯罪者たちを罰したジャッジ・ザ・デーモンの活躍の一つを挙げてみよう。

 

 それはアメリカにて起こった時間。

 ある日、警察の捜査機関にも協力する天才科学者C・C・ムーアが突如として行方不明になった事件。

 彼女は遺伝子学の権威であり、「遺伝子系図」という画期的なシステムを考案して、警察の未解決事件及び冤罪事件を解決に導かせた功労者。

 そんな彼女が突如として姿を消したのを知り、ジャッジ・ザ・デーモンは聖龍隊の仲間と共に捜査に乗り出した。

 そして驚いた事に、なんとCCムーアは警察機関が利用している建物の中に拘束されていた。

 何ゆえ警察機関が利用してる建物が使われているのかを知ったジャッジ・ザ・デーモンはまたしても驚かされる。

 だが何よりもジャッジ・ザ・デーモンはCCムーアの救出に乗り出した。

 CCムーアが拘束されてる建物の内部では、犯人グループが集められてた。

「どうしたんだ急に? 署長は何の理由で俺らを……」

「分からん。どっちにしろ、もうあの女を始末する段取りでも決まったから報せるんじゃないか?」

「それにしたってよ。なんですぐに捕まえた後にでも殺さなかったんだ?」

「あの女はFBIからも信頼があるし、事件に巻き込まれたと分かれば捜査本部が動き出すのが怖かったんじゃねえか?」

「まったく。俺たちの働きを無駄にした上に、勝手に冤罪だと晴らした女なんかすぐにぶっ殺しちまえばいいのによ」

 そうして犯人グループが建物屋内へと入っていくと、そこには犯罪グループを先導している男がいた。

「署長、なにか進展でも?」

「進展? ……何のことだ?」

「え? だって俺たちに何か報せたい事があって呼んだんじゃ……」

「いいや、私はCCムーア拉致に関して問題が起きたとお前らから連絡が来たから、急いで駆け付けたんだが……」

 話がかみ合わずに困惑する犯罪グループ。

 すると、その時。突然、屋内の電灯が全て消灯して部屋一帯が暗転した。

「な、なんだ!?」突然の停電に犯人グループは困惑する。

 すると暗闇の中で鈍い音と呻き声が。

「ぐわっ!」『!』

 誰かが暗闇の中で殴られる鈍い音と、殴られた者の声に犯人グループは驚く。

「だ、誰だ!?」「灯りだ! 誰か早く灯りを!」

 戸惑う犯人達に、指示を飛ばす署長。

 しかし暗闇の中で次々に犯人達は姿の見えない何かに殴られていく。

 そんな中、突然灯りがついて部屋が明るくなったのだが、署長と呼ばれる男の周りには顔面を何度も殴打されて血だらけで床に倒れる警察官達が。

「こ、これは……!!」

 署長が驚く中、そんな驚いている署長の背後から忍び寄る者が。

 背後からの気配に気づき、後ろを振り返った署長の目に飛び込んできたのは漆黒の体に顔の半分以上はあるであろう巨大な紅い瞳を持つ怪物だった。

「う、うわあッ!!」

 驚愕した署長は素早く携帯してる拳銃を抜いて怪物に銃口を向けたが、怪物はそんな拳銃を片手で振り払い落してしまう。

「ジャッジメント……!」

 怪物の紅い瞳に睨まれながらの威圧に署長は愕然とするが、そんなのお構いなしにと鬼は署長の顔面を一発拳を打ち込んで鼻の骨を砕きつつ気絶させた。

 そして怪物は屋内の一室に拘束されたCCムーアの所へと向かうと、彼女を拘束する縄と手首に繋がれてる手錠を携帯用の小型金属切断機で切断して救出した。

「もう大丈夫だ」「あ、あなたは……まさか、ジャッジ・ザ・デーモン?」

 助けられたCCムーアが訊ねると、それは平然と返答した。

「ほほう、天才科学者のあんたが俺の事を知ってるとは嬉しい限りだ」

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは拘束されてた為に体力が消耗してるCCムーアを屋外へと連れ出した。

 すると二人が屋外に出ると同時に何台ものパトカーや車両が駆け付ける。

「っ……!」「大丈夫だ。俺が此処に来る前に呼んでおいたFBIだ」

 怖がるCCムーアにジャッジ・ザ・デーモンが宥めかける。

 するとそんなCCムーアを救出したジャッジ・ザ・デーモンの前に、一人の捜査官が。

「ジャッジ・ザ・デーモン、今回は一応礼を言っておく。だが、君は過去に何人も殺害した殺人鬼には違いない。悪いが、今回の件も含めてその件でも事情聴取させてもらおう」

「悪いが、俺にそんな時間はない。今夜も世界のあらゆる場所で犯罪が横行し、弱き者たちが苦しんでいる。俺は、そんな者たちの救済と制裁の為にも休んでる暇はない」

「勝手な真似はさせないぞ……!」

 捜査官が言うと、ジャッジ・ザ・デーモンと彼に肩を借りてるCCムーアの周りを警察官が取り囲んだ。

「おいおい、まさか警察官によって拉致監禁された挙句に殺されそうになったCCムーアにまた暴力を振るう気か?」

「お前が大人しくしてれば、誰も傷付かない」

「そう上手くいくかな」

「なに?」

 捜査官が首を傾げてると、なんとパトカーの周りをいつの間にか大勢の記者や野次馬が群がっては取り囲んでいた。

「こ、これは……!」

 捜査官が驚いていると、ジャッジ・ザ・デーモンが言った。

「念のために俺が報道関係者や野次馬をSNSなどで呼びかけておいた。まさかとは思うが、俺が居なくなった後にでもCCムーアに危害を加えないか心配だったからな」

「! わ、我々FBIも信じてないのか……!」

 捜査官が驚愕すると、ジャッジ・ザ・デーモンは顔を向けたまま話し続ける。

「CCムーアの遺伝子系図で冤罪だと立証されて困り果てているのは普通の警察だけでなくFBIも同類だ。お前らFBIは大衆の目を気につつ、CCムーアの護衛と屋内で伸びてるクズ警察官の連行だけを考えてろ」

「!!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの言動に捜査官が驚愕してると、ジャッジ・ザ・デーモンの真上から照明が照らされた。

 驚いた周辺の面々が見上げてみると、なんと夜空には謎の飛行物体がジャッジ・ザ・デーモンに照明を照らしながら真上で滞空していた。

 周囲が驚いている中、ジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンを真上へと射出して、滞空させてるジャッジ・ウィングに移動して乗り込むとそのまま夜空の彼方へと姿を消していった。

 

「遂にアメリカ中が注目してた天才科学者CCムーアが見付かりました! なんと彼女はアイダホ州の警察官達によって拉致監禁されてた上に、救出が遅れてたら警察官達によって殺されてたかもしれなかったという事です! アイダホ州の警察官達は、自分達が捜査してでっち上げた冤罪事件をCCムーアの遺伝子系図によって暴かれた事による逆恨みから、CCムーアを拉致して頃合いを見て殺害しようとしてた様です! その警察官達は今、担架に乗せられて移送されていくところです。今夜、このCCムーア救出の功労者はあの一時期都市伝説にもなった怪人ジャッジ・ザ・デーモンとの事です! 詳しいニュースは、後ほどFBIから発表されるとの事です……!」

 

 報道機関が一様にCCムーアを誘拐した上に殺害しようとした犯行グループが、冤罪事件をでっち上げた警察官達による逆恨みの犯行だと報道した翌日。

「ふぅ……まったく、アイダホ州の警察官達は余計なことをしてくれたね」

 FBI本部にて、とある一室で長官と部下が机を挟んで対談していた。

「やれやれ……無能なアイダホ州の警察官だけでも目の上のたん瘤だというのに、まさかCCムーアを誘拐した上で機を見計らって殺害しようとしてたなんて愚かにも程がある」

「し、しかし長官。警察官達はいくら冤罪だったとしても、自分達が労力を削ってまで事件を解決しようとしたのに、その努力を全て踏み躙られたんですよ?」

「おや? 君は凶悪犯罪者になった元警察官達の肩を持つのかい? まあ、君の父親である捜査官も既に死んでいるとはいえ、担当してた事件が冤罪だと遺伝子系図によって証明された同類だったとはいえ、犯罪者に成り下がった連中に同情するのは普通じゃないよ」

「………………」

「……不服そうだね。しかし君みたいな冤罪しか生み出せない捜査官よりも、CCムーアが発案した遺伝子系図によって多くの事件が解決に導かれているのは明白な事実だ。君の不出来な父親や冤罪製造人共が嘆くのは勝手だがな」

「………………!」

「……まあ、どんなに人間が努力しようが、科学による犯罪立証には叶わないのが現在の捜査技術だ。多くの冤罪を生み出した警察官達には不服であるが、今後もCCムーアによって作られた遺伝子系図によって多くの冤罪が明るみとなり、そして事件が無事に解決されていく未来が続くだろう」

「………………」

「……でも君の父親の場合は、まだマシなんじゃないか? 冤罪とはいえ、そんな大きな事件ではなかったし、マスコミも喰いつかなかったから、君の父親は定年まで警察の職に就いていられたじゃないか。まあ、定年まで数か月前のところでギャングの抗争に巻き込まれて凶弾で死亡してしまったが」

 そう部下に淡々と話す長官は、そのままデスクの前で処務に勤め始める。

「それじゃ、CCムーアの件はアイダホ州の警察官達による暴挙で、犯行グループである警察官達は全員ジャッジ・ザ・デーモンによって叩きのめされたと報道陣に伝える形でいいね?」

 と、長官が部下に伝えると、部下は険しい面持ちで長官に訊ねた。

「長官、既にCIAや各国の諜報機関が奴の………………ジャッジ・ザ・デーモンの正体を把握しているというのに、なぜ逮捕状が発行されないのですか」

 すると長官はデスクに向かいながら返答した。

「まあ、まず第一に物的証拠がないからかな。現場に残されているジャッジラングなどの武器では個人であると特定はできない。それと、これが一番の問題だが……」

「………………」

「……政府としては、ジャッジ・ザ・デーモンを……いや、小田原修司を逮捕するのは極めて国益に不利益になる点から逮捕状は発行しないらしい。小田原修司を捕まえるのではなく、小田原修司がジャッジ・ザ・デーモンである証拠と引き換えに、ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司を我が国の防衛力に組み込む事こそ最大の国益に繋がるとアメリカは思ってる訳だ」

「そ、それでは! アメリカは小田原修司を逮捕せず、そのままジャッジ・ザ・デーモンを野放しにするつもりなんですか!?」

「怒ったって何も状況は変わらないぞ。それにこれはアメリカ政府の中枢、軍やCIAそしてホワイトハウスで既に決まった事だ。そしてそれ以上にアメリカ以外の国々も……アメリカと同様に小田原修司を逮捕するのではなく国家の戦力に組み込む形でジャッジ・ザ・デーモンの手掛かりを掴もうとしてるのだよ」

 長官からの指摘に部下は何も言い返す気力すらなくなり、無言で黙り込んでしまう。

 

 世界は既にジャッジ・ザ・デーモンの正体を把握してた。

 だが世界はジャッジ・ザ・デーモンを捕える事はせず、彼を国家の戦力に組み込む為に敢えて泳がせてジャッジ・ザ・デーモン=小田原修司の証拠を見つけ出す魂胆。そして証拠を揃えたところで小田原修司の身柄を政府が引き取り、国家の戦力に組み込む算段なのだ。

 

 世界は奴の………………ジャッジ・ザ・デーモンの秘密を狙っている

 だがしかし、世界に罪を犯した罪人が蔓延っている以上、ジャッジ・ザ・デーモンは必要である。

 

 

 

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