聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド 作:セイントドラゴン・レジェンド
YouTubeで大人気のチャンネル「ヒューマンバグ大学」と「バベル裁判所」とのコラボストーリーです!
修司やバーンズが、人気キャラと共演しちゃいます!
是非、楽しんでくださいね!
※今回は、修司の苦悩も表れていたり、新世代型二次元人も登場する事から、シリーズの一環として投稿します。
[裏側だから出来ること]
ある晩、一人、自由気ままに日本の裏路地を歩く男がいた。
彼こそ小田原修司。かつて現政奉還で世界中に混沌をを招いた人物だ。
現在、国連からの罰則でアニメタウンからの出国が禁じられている修司が、何ゆえ今こうして隣国である日本国内に居るのか。
それは修司が未だにコレクション・シークレットなる世界中の国家機密を握っているからである。修司が握る、この世界の秘密は、下手をすれば歴史そのものを覆す程の絶大な影響力を持っている。
そしてコレクション・シークレットを秘匿している修司は、今宵ある事情から日本政府の暗黙の了承を得て、秘密裏に日本国内へと赴いていた。
(俺がわざわざ、コレクション・シークレットの影響力を利用して、母国日本に赴いた理由……それは他でもない、日本の発展のためだ!)
内心修司は、自分が産まれた母国日本の発展を進展させる為に、わざわざ危険を冒して日本へとやって来ていた。
そして修司は、ある事務所へと入っていき、其処でとある人物と密会する。
「久しぶりだな、如月連夜」
「いやあ、よく日本に来てくれたね! Mr修司!」
修司と握手を交わす、その人物の名は如月連夜。通称:立法コンサルタントと呼ばれる男性だ。
如月連夜は日夜立法コンサルタントとして、日本の腐敗した政治家に代わって理想的な法案を作り、国会で可決させる為に様々な議員と交渉を行っている。時にそのやり方は、脅迫や暴行などの違法行為にも及んでいるが、悪法を断ち、国民が何不自由なく暮らせる社会の為の法律へと訂正させるといった信念の元、日夜奮闘している人物として、修司も一目置いている。
「小田原修司、よくぞ勇気を出して日本に帰国してくれた!」
「なに、如月連夜。日夜、腐敗し切った日本の政治家に代わって、時代遅れの悪法を断ち切ってくれている同志のアンタに協力するのは当然の使命だ」
そう会話すると、修司と連夜は互いに向かい合って席に着いた。
小田原修司は、この如月連夜と思想の合致から、連夜に大金を渡すなどして彼の立法コンサルタントとしての活動を陰ながら支援している。
もちろん、修司が連夜に活動資金を提供しているだけの関係ではなかった。
「そうそう、これが今度、国会で可決させてほしい法案なんだが……」
「どれどれ、ふーーむ……」
連夜は修司から手渡された書類に目を通す。修司は既にアニメタウンで、聖龍HEADやウッズ新市長によって可決された良法を母国日本でも取り入れさせる為にも、連夜と協力関係を築いているのだった。
「なるほど、少年法の改正にDQN親との絶縁、そしてイジメへの厳罰化法案か……」
「今や、少年法によって悪しき連中が好き放題に悪事を重ね、罪なき者を苦しめている……少年法は既に、少年を守る為の法案ではなく、外道を守る為の悪法へと成り代わってる。日本の未来を考えれば、少年法は改正または撤去するべき法案だ」
「うーーむ、確かに……今の時代の少年少女、青年の残虐な犯罪行為は見逃せないな……」
「それにDQN親との絶縁も可能にしなければ。未だに、過去ろくに育児や教育をしなかった毒親ですらも、実子が養わなければならないという理不尽極まる悪法は、排除せねばならない……!」
「ふむふむ……」
「そして最後に……イジメという悪行を完全に犯罪行為として、イジメてた人物はもちろん、それを黙認してた周囲の人間への罰則も必要不可欠。イジメを苦に精神的に追い込まれて自殺したり、はたまたイジメで命を奪われるといった悲しい事象を消す為にも、イジメという行動を全て厳罰化しなければ……!」
「確かに、君の言うとおりだ。既にアニメタウンでは、これらの画期的な法案は可決されているのかい?」
「ああ、当然だ。俺の同志である聖龍HEADも、新市長であるウッズも、人々が平等に暮らせる社会を望んでいるからな。理想的で素晴らしい法案はスグに可決しているさ」
「うーーむ、実に羨ましい。日本もアニメタウン同様に、悪法を即断ち切り、良法を素早く取り入れる政界にしていきたいものだ」
「日本の法律は、まだまだ世界から見れば遅れているのが現状だからな。でも、そんな腐敗している日本の法案にメスを入れ、改善していくのも如月連夜、アンタの務めだろ? なに、俺も今後とも資金提供は続けてやるし、人手が必要になったらBQZを加勢させてやるから安心しろ」
「いや、人手は今のところ足りてるから大丈夫だが……しかし、日本の法律を改善する為に今後とも私と協力関係を保ってくれるのは実に心強い! 今後とも、何とぞ宜しく……」
「ああ、少年法、毒親、イジメの法改善、楽しみにしてるぜ。如月連夜」
そう修司と連夜は対話し、連夜は修司から多額の資金を提供してもらった上で、二人は今後の互いの健闘を祈り、最後は握手し合った。
母国日本の悪法を断ち切り、良法へと改善する為の活動を終えた修司は、その足で今度は旧裁判所庁舎へと向かう。
法律は、時には人を苦しめてしまう。だからこそ、法律を改善させ、国民が幸せに暮らせる為に悪法を断ち切る如月連夜への協力を惜しまない修司。
そんな修司が如月連夜の次に足を運んだ旧裁判所庁舎で、修司を待っていたのは。
「……遅かったですね、小田原修司」
「ああ、悪い悪い。ちょっと旨そうな焼鳥屋があったから、つい摘まんできちまった」
「相変わらず食道楽ですね、貴方は」
そう約束の時間より遅れてきた修司と会話する人物は。東京高等裁判所の裁判官を務める赤城啓作なる男性。
修司は赤城啓作が取り仕切る裏裁判の同志。
裏裁判がどの様なものかを語る前に、まずその裏裁判を取り仕切る赤城啓作について語る。
東京高等裁判所の裁判官を務める赤城啓作。彼の額には父を殺害した罪人が無罪判決を受けた際に気が動転して傍聴席の柵に叩き付けた際に出来た傷跡がある。
幼少期に死亡した裁判官の父の遺志を継ぎ、父の「厳正中立」のもとで法と証拠のみに基づいた裁判を行うが、それでも罪から逃れるため心神喪失などの細工をした罪人に対しては通じす、無罪判決をせざるを得ない場合がある。これには赤城本人も、過去の経験から無罪判決を言い渡すこと自体心苦しく思っている。
しかし、その後の調査で罪人が無罪判決を勝ち取るために細工していたと判明した場合は、感情と真実に基づいて罪人を裁く裏裁判で裁くことになる。
裏裁判とは。通常の裁判と違い、旧裁判所庁舎の地下法廷で秘密裏に行われる裁判で、感情と真実に基づいて行われる。
基本的に検事も弁護人も罪人の罪をあぶり出す側であるため罪人に味方は1人もいない上、刃物で罪人の体を刺してまでも強制的に自白させるのが特徴である。
裏裁判では罪人が本当に反省しているなら情状酌量による減刑の余地もあるが、それが認められない場合は基本的に100%死刑判決が下され、罪人は判決後直ちに死刑執行される。
「赤城啓作、今夜もまた地下法廷で裏裁判が開かれるのか?」
「ああ、毎回多いが、心神喪失なんかで細工をして、無駄に生き永らえようとする悪人が蔓延っているのでね」
「アンタも大変だな……まっ、俺もそんなお前の同志であるが為に、こうして裏裁判を平然と続けられるよう資金を提供したりしてるんだがな」
「いつも感謝します。貴方のお陰で、裏裁判で真の悪人に厳正中立な裁きが与えられます」
「そういう意味では、悪人共は幸せだよな。平等に裁いてもらえるんだからな」
「………………」
修司が裁かれる悪人を羨ましがる言動に、黙ってしまう赤城啓作。
「そうそう、ところで今日は裏裁判を傍聴していかないのかい?」
「いや、今日はちょっとこれから行かなきゃならないところが、まだあるんでね。今日はこれで」
修司に裏裁判での傍聴を勧める赤城啓作に、修司は別件があるからと断ると、そのまま赤城啓作の前から去っていった。
そんな小田原修司を、赤城啓作は自分の助手と共に裁判所の窓から去っていくのを見送ってた。
「赤城さん、小田原修司って、あの……」
「ああ、現政奉還で酷く世間を混乱させた、あの小田原修司……だが、同時に彼は罪の意識に苛まれている」
「罪の意識? それって、現政奉還で刑務所などを強襲して多くの命を奪ったという……?」
「いや、罪人の命を奪うという点では、彼は悲しみを抱いているが後悔はしていない。彼が苛まれている過去の原罪、それは………………中東イスラムでの罪科だ」
「イスラム……!?」
赤城啓作からの返答に、助手は驚愕した。
裏裁判を取り仕切る裁判官の赤城啓作。彼の同志であり、裏裁判に資金提供をした修司が向かった今宵最後の訪問先は。
法律を改善する如月連夜、そして法律を欺いて刑を免れようとする人物を断罪する赤城啓作、そんな二人の存在がいても法律の網目を抜け出て罪を犯す外道を狩る人物の許だった。
「どうぞ」
修司がドアをノックすると、室内から一人の落ち着いた声の主が入室を許す。
「やあ、伊集院。元気にしてるか?」
「君は修司くん! いやいや、よく来てくれた」
修司を出迎えたのは、黒の蝶ネクタイに灰色のフォーマルベストとバーテンダー風の服装をしている、見た目は30~40代の高身長の男性だった。七三分けの髪型で、修司よりも高身長な180cmほどの、糸目の穏やかな風貌と落ち着いた物腰から人当たりの良い人物に見られた。
彼こそ、その名を伊集院茂夫といい、法から逃れた外道に裁きを下す拷問ソムリエを裏稼業にしている人物。
そんな伊集院茂夫に招かれて、修司は赤い絨毯が敷き詰められた応接室の中央にあるソファに座る。
修司がソファに座ると、其処に伊集院茂夫の助手である流川隆雄がコーヒーを運んできた。
「確か、コーヒーはブラックで牛乳多めの、ぬるめでしたよね?」
「ああ、その通りだ。流石は流川、伊集院の助手なだけに物覚えがいい」
そう修司に言うと、流川隆雄は修司の前に置いたコーヒーカップに半量ほど熱いコーヒーを注ぎ、次に冷たい牛乳を入れて、ぬるめのコーヒー牛乳を修司に提供した。
「ありがと、流川」
そう流川隆雄に礼を言うと、修司はグイっとコーヒー牛乳を飲み干した。
「うん! わずかに感じるコーヒーの渋み、いいコーヒー豆を使ってると見た!」
「はは、今日はやけに上機嫌ですね、修司くん」
上機嫌に飲み干す修司を前に、思わず伊集院茂夫も微笑む。
そんな修司に、伊集院茂夫は本題を切り出す。
「ところで修司くん、今日きみが此処に来たのは、なにか理由があるんだろ?」
「ああ、そうだな。伊集院、いつも法の網目を抜けて悪事を働く外道を狩る日々、いつもご苦労。今日は、そんなお前と、お前の助手として頑張る流川の為に資金を持ってきたよ」
「ふぅ、資金はいいと言っているのですが……」
「良いんだ良いんだ。外道を拷問する器具の新調や準備だけでも、かなり金はかかるだろ? 俺は、そんな外道を狩り続けて、罪なき者の涙を拭う活動をしているお前ら二人に多少ながら協力したいだけだ」
「……まあ、確かに拷問器具を取り揃えるのに何かとお金は必要な訳ですが……」
「そうだろ? 受け取ってくれ! 俺もお前ら二人の活動は、称賛してるんだからよ!」
すると修司は、ここで人が変わったかのように鋭い眼光へと一変する。
「それに…………罪なき者、力弱き者を理不尽に苦しめる外道に未来を与えてはならないからな……!」
「それは私も同意見ですね……!」
修司の言動に、伊集院茂夫も目を見開いて残忍な一面を見せるかのように鋭い三白眼へと目付きを一変させる。
そして修司は伊集院茂夫とその助手である流川隆雄に、外道を拷問する際にかかる費用として使ってもらう為の資金を提供すると、アニメタウンへと向かうのだった。
「先生、あの小田原修司って……」
「ああ、流川君。現政奉還で多くの罪人の命を奪った小田原修司だが……それ以前に、彼は羨ましいのかもしれない」
「羨ましいって?」
「私たちが裁いている外道というべき罪人にだ」
「えっ? それって、どういう……」
「彼は過去、まだ人間兵器として活用されてた頃、アメリカの命で中東イスラムで何万という命を奪った罪状がある」
「え? でも、それって戦争での行いですよね?」
「確かに、戦争での殺人などは罪には問われない。特に当時、テロ支援国家として認定されてたイスラムを攻撃した彼を犯罪者として裁くのは、同時にイスラムに出兵したアメリカ兵も裁くのと同意義。ゆえに、小田原修司は苦しんでいる……イスラムで多くの少年兵までも虐殺した自分を、正当に裁いてもらえない苦しみを……」
「………………」
「前に、修司くんが言ってたよ。「裁かれる事もまた、幸せ」と…………彼はイスラムで幼い少年兵までも虐殺した自分を、世界が裁いてくれない限り、一生罪の意識に苦しむ事だろう……」
伊集院茂夫から聞かされた小田原修司の罪に対する意識に、助手の流川隆雄は悲しいほど複雑な心境に至った。
そんな過去の罪状に苦しむ修司は、また一人深夜の日本を移動して、アニメタウンへの帰路へと就く。
如月連夜/赤城啓作/そして伊集院茂夫といった三人の仕事人に、今や聖龍隊の顧問として表側ではなく裏側で暗躍している修司だからこそ、秘密裏に資金提供などの支援を行い続けるのだった。
彼はこれからもイスラムでの己の罪科を悔いながらも、母国日本の発展を願って優秀な仕事人に支援を続けるのであった。
(弱者を救済する存在は、なにもジャッジ・ザ・デーモンだけではない……!)
修司は人知れず、そう思っていた。
[寄食は人類の叡智の結晶]
この日、聖龍隊総長バーンズは、とあるテレビ局の番組に出演してた。
番組のお題は「新時代の未知なる食」であった。
「さあ! 人口増加、食糧難……そんなピンチに人類の助けとなる未知なる食文化を、今宵もお送りしますよ!」
番組を進行する司会者が高らかに宣言する傍らに、あのバーンズが特別ゲストの一角を担ってた。が、そんなバーンズの隣側、彼と同じ特別ゲストの席が一つ空いていた。
「さあ、今宵の特別ゲストは、今をときめく聖龍隊総長バーンズ・ウィングダムズ・キングズ!」
「どうもどうも」
司会者に紹介されたバーンズは、ペコペコと頭を下げて周囲に愛嬌を振りまく。
すると司会者は、バーンズに続けてもう一人のゲストの名を高らかに呼んだ。
「そして今宵、もう一人素晴らしいゲストが! 秘境および、寄食を求めて世界中を飛び回る屈指のドリームハンター………………鬼頭丈二ッ!!」
するとスタジオのレッドカーテンが開いて、年の頃は30代ぐらいと思われる細身の風貌で、やや額が広めの中分けの黒髪とサングラス、白い背広に濃紫色のYシャツと、中々に奇抜な出で立ちをしている男性が笑顔でスタジオに出てきた。
「やあやあ、どうもどうも」
笑顔を振りまくこの男性こそ、時には秘境を追い求めつつ、世界各地のあらゆる食文化を体験している通称ドリームハンターの鬼頭丈二その人。
スタジオで笑顔を振りまく鬼頭丈二は、そのまま司会者に先導される形でバーンズの隣の空席へと着席する。
「やあ、初めまして。アンタがあの有名な寄食ハンターの鬼頭丈二か」
「君が今を時めく聖龍隊総長のバーンズだね。此方こそ宜しく」
バーンズと鬼頭丈二は、互いに笑顔を合わせて談笑する。
すると二人が笑顔で対面するのを見計らった司会者が、ここで鬼頭丈二について説明し出した。
「鬼頭丈二氏は、世界中の食を輸入する貿易系の食品会社「オーガヘッドフーズ」を創立し、30歳の頃には10億円規模の大企業に至るまで成長させました。そして今から3年前にその会社を自ら売却したことで莫大な資産を持つ大富豪へと転身! 今でもオーガヘッドフーズから信頼され、アドバイザーを務めているほどの実力者です!」
この司会者の話を聞いたバーンズは、鬼頭丈二と会話する。
「いやあ、改めて聞くと、凄い経歴と資産を持っているんだな」
「全ての切っ掛けは幼少の頃……そう、私が生まれて初めて食べたイナゴの佃煮からです。アレを食べて以来、私の中で寄食に対する欲求が目覚めたのです!」
此処からバーンズと鬼頭丈二の会話が始まるのだが、その間に昆虫食などの寄食の食材を幸平創真たち遠月茶寮料理學園の生徒たちが調理を開始する。
「世界から見て、寄食というのは珍しいものではないと思うんだが……実際に、先ほども述べられたように、日本にもイナゴやナマコなども寄食と見られていると思うんだけど……」
「はい! 日本にも寄食というものは存在します。蜂の子はもちろん、魚の卵巣である白子や腐った豆と評される納豆等々……外国では、これらの食品も寄食と見られています」
バーンズからの質問にも、鬼頭丈二は生き生きと説明する。
「一つ、気になっていたのですが……バーンズ氏の今や滅んでしまった超獣族の食文化は、どんなものだったのですか?」
鬼頭丈二は前々からバーンズたち超獣族の食文化が気になっており、それをバーンズに問い掛けると、バーンズは平然と答えた。
「オレたち超獣族の食文化は、小麦を主食にしつつ……肉は人口肉を生成して、それを食していたな」
「なんと! 人口肉とは!?」
驚く鬼頭丈二に、バーンズは淡々と説明を続ける。
「オレたち超獣族には、畜産とかの文化はなく、食肉は全て超獣族の科学力で作り上げた人口肉で補っていたな」
「ほほう、超獣族の食文化は人口肉が主流という訳なのだな。それはそれで凄い……!」
バーンズの超獣族の食文化についての説明に、鬼頭丈二は目を丸くして驚いた。
すると今度はバーンズの方から鬼頭丈二へと質問返しをした。
「鬼頭丈二氏は、世界中を寄食や秘境を求めて旅する訳だから、言語流通や人脈も幅広いと見ていますが……」
「まあ、世界中を旅している訳なので、やはりその土地の言語はもちろん交友関係も広いですね」
和気藹々と熱弁する鬼頭丈二に、バーンズは徐に問いかけた。
「でも……寄食の中には、やっぱり口に合わず食べられなかったというモノもあるんじゃないですか?」
「ッッッ……! た、確かに。特に私はアンモニア臭のする寄食には、いつも苦戦を強いられている。しかし! 食とは人類が生きる為の知識の結晶! そんな寄食を残さずリバースすなわち吐き戻す事は私のプライドが許さないッ!!」
そう熱弁する鬼頭丈二の言論は止まらない。
「私は出されたものは決して残さず完食する……それが、私の流儀です!」
「おおっ、これは凄い気迫! だけど今回は遠月茶寮料理學園の生徒がコオロギなどの昆虫食を、日本人好みに調理してくれるから食べやすいと思いますよ」
「なんと! あの名高き遠月茶寮料理學園の……未来の調理人たちが作ってくれるのか!? これは食べ応えがある!」
バーンズからの説明で、寄食の食材を調理してくれるのが新世代型二次元人でもある【食戟のソーマ】の面々だと知って、鬼頭丈二の期待が膨らむ。
「世界中を旅していると、やはり丈二氏でも知らない寄食が存在しているのか?」
「うむ! まさかそれを食うのかとか、それも食べられるのとか、衝撃は多々あります。予期せぬ食材や新たな料理との出会い、それこそが寄食探求の醍醐味なのです!」
バーンズは更に鬼頭丈二に問う。
「鬼頭丈二氏、貴方が食べてきた寄食の中には、時として命の危険に繋がったものも多かったと聞いていますが……いくら寄食探求しているとはいえ、命を削るまで探求する意味はあるのだろうか……」
このバーンズの質問に、鬼頭丈二は目を見開いて言い放った。
「食すとは命を頂くこと、危険は承知。如何なる食材をも探求し、喰らう。これこそ寄食ハンターの使命なのです!」
すると此処でバーンズが鬼頭丈二に信義を問い質した。
「そんな鬼頭丈二氏にとって、寄食……いや、食事とは如何なる意味を持ってますか?」
この信義に鬼頭丈二は迷う事無く強く返答する。
「食とは即ち、命を頂き、そして命を繋いでいくもの。どんな食文化でも人が生きてきた証、人類の歴史が積み重なって出来た文化……私は、そんな文化を心から尊敬します」
「す、凄い……実に凄い! そ、それじゃ、世論では動物を食べる事は野蛮だと主張する人たちもいますが、それに対してはどうお考えですか……?」
バーンズの疑問に、鬼頭丈二は毅然とした態度で自らの考えを述べた。
「自分が殺めた命、食材にされた生物を食すのは命そのものへの敬意。野蛮なんかでは決してない! 自分の糧になる命に感謝しつつ、食さねばならない」
そうして時には和やかに、時には熱く会話するバーンズと鬼頭丈二の元に、幸平創真たちが作った昆虫食が届けられた。
「おおっ、甘辛いタレに絡まれた照焼き風の匂いが何とも食欲をそそる……」
「こっちはシンプルに素揚げされたのに、塩とレモン汁をかけてサッパリとした見た目の一品だな」
食卓に並べられる数々の昆虫食に、鬼頭丈二もバーンズも目を見張る。
「では、そろそろ実食といきますか」
バーンズがそう言うと、鬼頭丈二も着席して目の前の料理に手を合わせて言った。
「では私も……これ程までの新しい昆虫食を作ってくれた學園の若者達と、食材になった昆虫達に敬意を表して……いただきまぁぁぁす!!」
鬼頭丈二はそう言いながら昆虫食を口の中へと一気に運んだ。それに続けと、バーンズも自然な流れで昆虫食を口にした。
すると二人は……
「「う、うまあぁぁぁぁぁぁぁい……!!」」
その余りの美味に、バーンズも鬼頭丈二も卒倒寸前に感動した。
「これは美味い! 白米と相性抜群の味だな!」
「コイツは……日本酒が欲しくなる味だ」
鬼頭丈二もバーンズも、創真達の料理を絶賛しつつ、次々と口の中に頬張り堪能する。
そして余りの美味に、鬼頭丈二もバーンズも、あっという間に料理を平らげてしまった。
「いやあ、実に美味しかった!」
「ホントだな。流石は遠月茶寮料理學園の新鋭達だ!」
完食した鬼頭丈二もバーンズも、料理の美味さを褒め称える。
出された昆虫食を食べ終えた鬼頭丈二とバーンズは、実際に昆虫を調理してみた幸平創真たちの話に耳を傾け、最後にバーンズと鬼頭丈二が話を締め括った。
「独特の食感や苦味などもある昆虫食。だが、そんな昆虫食が今後の人口増加や食糧難の危機を乗り切れる救世主になれる未来が訪れるかもしれないな」
「昆虫食はアジアでは割とポピュラーな寄食……豊富なアミノ酸などの栄養素も充実していて、欠点の少ない食材として今や注目されています! これを機会に、より多くの方々に昆虫食を知ってほしいです」
そうバーンズと鬼頭丈二が番組を締め括ろうとした、その時。
「動くなッ!」『きゃあっ!』
突然の怒号と共に鳴り響く銃声に、スタジオ内にいたスタッフ達が悲鳴を上げる。
「な、何事だ!?」「!」
鬼頭丈二もバーンズも、突然の事態に困惑する。
すると続々と銃器を構えた、黒い布地に白い髑髏が描かれたマスクの武装集団が、スタジオに雪崩れ込んできて素早く現場を制圧してしまう。
「何者なのだ! こいつらは!?」(髑髏の武装集団? まさか……!)
あっという間にスタジオを制圧した武装集団に取り囲まれ戸惑う鬼頭丈二に反し、バーンズは髑髏マスクの武装集団を見て不安を過らせる。
するとバーンズの不安が的中し、スタジオに堂々と入ってきた水晶製の髑髏のマスクを被った男が、バーンズと鬼頭丈二の前まで歩み寄るのだった。
「聖龍隊総長バーンズ、またしても美食の世界を汚そうとしたな」
「お前は………………ザ・ハングリー!」
「なんと! コイツがあの悪名高い……!」
二人の前まで歩み寄ってきた犯罪者ザ・ハングリーに、バーンズも鬼頭丈二も愕然とする。
と、ザ・ハングリーは騒然とするスタジオ内で訊ねられてもいないのに語り始めた。
「ふふ、また私を追いやった遠月茶寮料理學園のガキ共に人前で料理を作らせ、その腕を宣伝する算段だっただろうが……まさか、神聖な厨房に虫けらなんかを持ち込ませるとは、由々しき事を仕出かしてくれたな」
「! (虫けら、だと……!?)」
この時、ザ・ハングリーの発言に鬼頭丈二の神経が多少ながら逆なでされたが、ザ・ハングリーはそれに気付かず鬼頭丈二の前で問題発言を言い放ってしまう。
「昆虫はもちろんだが、不気味で下劣、そして下品で低俗な寄食なぞ……厨房で作ること自体、許してはならないのだ!!」
(なん、だと……!!)
この寄食を真っ向から否定し、そして寄食に対して暴言を吐いたザ・ハングリーの言動に、鬼頭丈二の怒りは頂点に達した。
「コイツめッ!」
怒りが達した鬼頭丈二は、なんと椅子から立ち上がると迷う事無く目の前のザ・ハングリーへと、懐から取り出した物を向けた。
「寄食をバカにする者は、寄食に泣くのだ! くらえッ!!」
鬼頭丈二がザ・ハングリーの目へと向けて噴射したのは、なんと防犯グッズである唐辛子スプレー。
「うぎゃあああ!! 目が、目がぁぁぁ……ッ!!」
髑髏のマスクでは防御し切れない眼球に直接唐辛子スプレーを噴射されたザ・ハングリーは、両目を押さえながらその場で転げ回り、苦しみ悶えた。
「ぼ、ボス!?」
唐辛子スプレーを目に噴き付けられ、転げ回るザ・ハングリーを前に子分達は激しく戸惑うが。
「こ、コイツ! よくもボスを……!」
と、子分達は即時、装備している小銃の銃口を鬼頭丈二へと一斉に向ける。
「危ない!」
それを目の前にバーンズが腕をゴムの様に伸ばして、鬼頭丈二に銃口を向けた子分達を殴り倒していく。
だが、これを切っ掛けにスタジオ内でザ・ハングリーの子分達との乱闘に突入してしまう。
「やっちまえ!」
子分達が銃を乱射しようとするのを、バーンズが再び腕を伸ばして取っ組み合い、子分達を打ち倒していく。
すると先ほどザ・ハングリーに唐辛子スプレーを噴射した鬼頭丈二も、乱闘に参戦し出した。
「食べ物を、寄食を蔑ろにしたバチだ!!」
そう怒鳴ると鬼頭丈二は懐から閃光手榴弾を取り出して、足元に投げ付けて爆発させ、眩い光で子分達の視界を奪う。
「うわっ!」
怯む子分達を前に鬼頭丈二は次に懐から鎖分銅を取り出し、その鎖分銅で子分達を攻撃し始める。
「真の食とは何なのかを理解していない貴様らにも制裁だ!」
「ひでぶっ」
鬼頭丈二の快進撃に怯む子分達に反し、バーンズは戦闘慣れしている鬼頭丈二を見て驚いてた。
「あ、あんた、やけに戦いなれているな……」
呆然と訊ねるバーンズに、鬼頭丈二は周りの子分達と乱闘しながら返答した。
「私は世界各地の秘境に寄食を求めるドリームハンター……時には治安の悪い国にも足を運ぶゆえに、自己防衛手段として多照の武術や装備は携帯しているのだ」
「………………」
平然と説明する鬼頭丈二に、バーンズはただただ呆然とするばかりだった。
そしてバーンズと鬼頭丈二の活躍により、ザ・ハングリーは目を真っ赤に充血して涙をボロボロ流しながら救急隊に運ばれ、彼の子分達は全員捕縛されて連行されていった。
「本当に申し訳ない、鬼頭丈二。せっかくの寄食の特番だというのに、ザ・ハングリーみたいな輩が襲撃して邪魔してしまって……」
バーンズは鬼頭丈二に、ザ・ハングリーの襲撃を許してしまった経緯に対して謝罪すると、鬼頭丈二は笑顔で答え返す。
「良いのだよ、バーンズ総長。確かに邪魔が入ったが、その前に美味なる寄食を堪能できたのだから、私にとっては有意義な時間だった」
ドリームハンター鬼頭丈二にとって、寄食を堪能できただけでも十分有意義だったと言われ、バーンズも幸平創真たちも安堵する。
そんな鬼頭丈二は、未だに新世代型二次元人として何かしら世間からの風当たりや蔑視が厳しい幸平創真たちに言い伝える。
「幸平創真くん達、君たちは未来の食文化を築く上では欠かせない料理人になる逸材だ。いづれ、アニメタウンはもちろん世界中で食糧難に見舞われる際、昆虫などの寄食が人類の助け舟になる可能性が最も高い。ゆえに、寄食といえど、侮ってはならない」
「ああ、鬼頭丈二。アンタの言葉、しっかり胸に刻み込んでおくぜ」
鬼頭丈二の言葉に幸平創真も同意し、両者は固く握手を交わした。
最後に鬼頭丈二は幸平創真たち新世代型二次元人の未来の料理人たちに向けて、こう強く言い残した。
「未来を生き、未来を育む新世代型二次元人よ。人類の英知、寄食の存在を蔑ろにしてはいけないよ」
こうして寄食と秘境を日夜追い求めるドリームハンター、鬼頭丈二との時間は終幕となった。
一方、警察病院に運ばれたザ・ハングリーは。
「目が……目があああ……ッ!」
「はいはい、普通の唐辛子スプレーが目に入っただけだから。水でよく目を洗えばスグ良くなるから」
未だに両目を押さえ込んで悶え苦しむザ・ハングリーに、医師は呆れるのであった。