聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド 作:セイントドラゴン・レジェンド
第二話は怪盗ジョーカーの面々とジャッジ・ザ・デーモンが対決します。
[捕縛された怪盗ジーニアス]
その事件は、ある晩に起こった。
「空駆ける翼ひるがえる時、闇に現れし一輪のカサブランカ。今宵一幕のマスカレードタイム、我が名は怪盗ジーニアス!」
黒を基調とする服装に、同色のつばの広い大きな帽子をかぶったマスク姿の怪盗がプリパラアイドル達の目の前に現れ、ドレッシングふらわーのプリチケを強奪するという窃盗事件が発生。
怪盗ジーニアスと名乗る、その犯罪者はプリチケ強奪後、プリパラアイドル達にこう吐き捨てる。
「明日からのプリパラは、下らん仲良しごっこより、実力だけが測りとなり、友は別れ、バラバラとなり、敵として反目し合うだろう」
そう忠告ともいえる捨て台詞を言い終え、怪盗ジーニアスが闇夜へと飛び去ろうとした、その時だった。
深淵の如き闇夜から、紅く大きな瞳を光らせる異形の怪物が、夜空を滑空する怪盗ジーニアスへと襲い掛かり、背後からジーニアスを捕えて放さない。
「う、うわ! なんだ、こいつは!」
突然自分の背後から拘束する様に両腕で取り押さえられる怪盗ジーニアスは酷く混乱。
そして混乱する怪盗ジーニアスと、ジーニアスの逃走を見上げていたプリパラアイドル達の目に、月明かりに照らされて怪盗ジーニアスに飛び付いた存在が露になる。
「あ、あれって……!」
怪盗ジーニアスに飛び掛かった異形の存在を視認して、プリパラアイドル達は唖然とする。
それと同時に、自分に飛び付いてきた、その異形の存在を同じく視認した怪盗ジーニアスは蒼然とした。
「う、うわあっ!」
蒼褪めた怪盗ジーニアスは余りの恐怖に悲鳴を上げてしまう。
紅く大きな瞳、防刃効果のある硬い表皮、未確認生物チュパカブラの様な異形な容姿に、漆黒の闇夜に溶け込むほどの黒い体。
そう、怪盗ジーニアスに空中で襲い掛かり、飛び付いたのは他でもない制裁の象徴ジャッジ・ザ・デーモンだった。
ジャッジ・ザ・デーモンは、そのまま怪盗ジーニアスを捕獲したまま地上へと急降下。しかも頭から地面へと突っ込んでいくので、怪盗ジーニアスは恐怖で瞳孔を開き切った。
「うわあああっ!!」
泣き叫ぶ怪盗ジーニアスが、ジャッジ・ザ・デーモンと共に地面へと真っ逆様に急降下していく状況を、プリパラアイドル達が騒然と傍観するしかなかった。
が、ジャッジ・ザ・デーモンと怪盗ジーニアスが地面に直撃する寸前の事。
地面から3mほどの高さで、怪盗ジーニアスと共に急降下してたジャッジ・ザ・デーモンがピタリと停止した。
よく目を凝らすと、ジャッジ・ザ・デーモンの両足には、闇夜に紛れる黒いロープが縛られており、そのロープが伸び切ったことでジャッジ・ザ・デーモンと怪盗ジーニアスは急停止したのだ。
蒼然とした面持ちで冷や汗を大量に流す怪盗ジーニアス。
するとジャッジ・ザ・デーモンは此処で、自分の両足を縛り付けてる黒いロープを自らジャッジラングで切り、3mの高さから敢えて落下。しかも怪盗ジーニアスの顔面を地面へと叩き付けて、自分は受け身で安全に着地する。
「ッ!」
ジャッジ・ザ・デーモンによって、地面へと顔面を叩き付けられた怪盗ジーニアスは悶絶するが。
「そりゃっ、そりゃっ!」
地面で悶絶する怪盗ジーニアスから素早くジャッジ・ザ・デーモンが離れるのと同時に、待機していた警察隊が次々に怪盗ジーニアスの真上に飛び乗り、ジーニアスを押さえ付ける。
警察隊が次々に真上から飛び乗って押さえ付ける度に、何度も顔面を地面に叩き付けられた怪盗ジーニアスの鼻骨は完全に潰れてしまう。
そして警察隊が鼻骨を折って苦痛に喘ぐ怪盗ジーニアスに手錠をかける。
「怪盗ジーニアス! 現行犯で逮捕だ!」
警察隊は手錠をかけると、続け様に怪盗ジーニアスのマスクをはぎ取り、素顔を曝け出した。
「う、うそ!?」「怪盗ジーニアスが、まさか……紫京院ひびき!?」
怪盗ジーニアスの素顔を見て、プリパラアイドル達が騒ぎ出す。
そんな騒然とするプリパラアイドル達を睨み付ける様に、真っ赤な鼻で見上げる紫京院ひびきを警察隊はそのまま連行した。
そして一方のジャッジ・ザ・デーモンは、怪盗ジーニアスに扮してた紫京院ひびきから早々と離れると、グラップネルガンでプリパラアイドル達がいる高所まで上がると彼女達に強奪されたプリチケを手渡して返した。
「ほれ、これ大切なもんなんだろ」「あ、ありがとう……」
異様な容姿のジャッジ・ザ・デーモンに怯えつつ、プリパラアイドル達はジャッジ・ザ・デーモンに礼を述べる。
ジャッジ・ザ・デーモンは警察隊に連行される怪盗ジーニアスこと紫京院ひびきを見届けると、立ち去る間際プリパラアイドル達にこう告げた。
「夢と希望に満ちた子供たちよ。友情も実力も、共にお前達を輝かせる魅力である事を忘れるなかれ。そして努力し続ければ、いつかは必ずその努力が報われ、夢が叶うだろう」
そうプリパラアイドル達に言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンは再び闇夜に包まれた摩天楼へとグラップネルガンを用いて上り、去っていくのだった。
その後、紫京院ひびきの裁判が行われた。
彼女は過去の体験から、極度の人間不信に陥り、厭世的な人格へと変貌してしまったと弁護士が代弁。
その結果、彼女は精神疾患者の収容施設で端正する機会を与えられ、一人真っ白で空虚な部屋へと押し込められる事へと至った。
紫京院ひびき、人間不信に陥った彼女だったがプリパラへの愛は変わってなかった。
だが、今の彼女にプリパラへの愛は残ってなかった。
白に統一された空虚な部屋の中で、紫京院ひびきは食事と共に提供されたフォークを掴むと、そのフォークを壁に貼り付けているジャッジ・ザ・デーモンの写真記事に向けて投げ付け突き刺した。
紫京院ひびきの心中を満たすもの。それはジャッジ・ザ・デーモンへの憎悪と殺意だけだった。
[対決! ジョーカー一味]
ある晩、アニメタウンの金有美術館にて。
此処に展示されている、黄金の金有胸像を盗み出すという予告状が出され、警官達が配置されてた。
「さあ、今日こそはアイツらの年貢の納め時だ!」
そういきり立つのは、アニメタウン警視庁怪盗対策本部長の鬼山毒三郎。その両脇には鬼山毒三郎の部下である、元F1レーサーの黒崎ギンコと元特殊部隊SATの隊員である白井モモも目を光らせていた。
その頃、金有美術館の館内では。
金有胸像の付近を、警官達が配置について警備していたが、何処からともなく眠気を誘う気体が流れ込んできた。
「う、うぅ……」
その気体を吸い込み、警官達は堪らず眠くなり、そのままその場に倒れ込んで意識を失ってしまう。
「ハチ、お前が調合した眠り薬、よく効くな」
「へへっ、ありがとうございます、ジョーカーさん」
そう美術館の天井裏から話し声が聞こえたと思いきや、その直後、美術館の館内に六人の人影と一体の小動物の影が降り立った。
「怪盗ジョーカー! 華麗に参上!」
そう名乗りを挙げるのは、不可解なトリックを起こす「
「ジョーカー、せっかくハチが眠り薬で眠らせてくれたのに、そんな大声上げたら、みんな起きちゃうじゃないか」
「仕方ないだろっ、気分を挙げなきゃ仕事にならねえよっ」
そう怪盗ジョーカーに指摘するのは、ジョーカーの同期である怪盗スペード。
「二人とも、けんかしないでください」
「ギョギョ、そうですよ。今回は例の鬼を警戒して、みんなで協力し合う約束ですよ」
そうハチと共にジョーカーとスペードに指摘するのは、スペードの助手でスペードマークの中に一つ目を描いた覆面をしているダーク・アイ。
「ほんと、男の子ってお子ちゃまなんだから」「ははっ」
ジョーカーとスペードの戯れに呆れてしまうのは、二人の同期である少女ダイヤモンド・クイーンと、クイーンの相棒である人語を話せる怪盗犬ロコ。
「ふぉっふぉっふぉ、そうじゃぞジョーカー、スペード。競い合うのも大事じゃが、時には協力し合う事も大切じゃ」
そうジョーカーとすスペードに説くのは、ジョーカー/スペード/クイーンの師匠である伝説の怪盗、「銀の魔術師」と呼ばれる怪盗シルバーハートという老人。
「ま、まあ、此処までくれば、あとは金有胸像を盗み出すだけだ。みんな、抜かりなくな」
「ああ、解ってるよ」「ジョーカーこそ、ヘマしないでよね」
そうしてジョーカーとスペードとクイーンの三人が、ガラスケースに収納されて展示されている金有胸像に近付こうとした、その時だった。
「怪盗ジョーカー……怪盗スペード、そしてダイヤモンド・クイーン。哀れに、幼少の頃から犯罪者として育成させられ、盗みしか興味を示さなくなった子供達よ。今夜こそ、お前達の悪行を止めて見せようぞ」
謎の声にジョーカー達が動揺していると、声の主が美術館の天窓を突き破って館内へと突入。ジョーカー達の前に立ちはだかる。
『じゃ……ジャッジ・ザ・デーモン!!』
目の前に立ちはだかるジャッジ・ザ・デーモンを前に、ジョーカー達は騒然とした。
「怪盗一味、お前達の窃盗行為も今夜が最後だ」
そうジョーカー達に告げるジャッジ・ザ・デーモンに、ジョーカーが毅然とした態度で言い返そうとする。
「だーーかーーらッ! 前から何度も言っているだろう! オレ達がしてるのは怪盗であって、窃盗じゃな……」
「同じだよ」「ッ!」
怪盗と窃盗は違うと自論を述べるジョーカーに、ジャッジ・ザ・デーモンは顔を近付かせて真っ向から否定する。
そして改めてジャッジ・ザ・デーモンは怪盗一味に向かって言う。
「もう盗みはやめろ、お前たち。未来を紡ぐ新世代型二次元人が犯罪行為をするなんて、世間が許さないぞ」
「へっ、オレ達はオレ達で自由に生きるのさ。まっ、所詮元連続殺人鬼には解らないと思うけどな」
「そうか……なら、仕方ないな」
ジョーカーの反論にジャッジ・ザ・デーモンはこれ以上話し合いで解決できないと判断して、両手にジャッジラングを握り締めて武力でジョーカー達を止めようと試みる。
「来るぞ!」
ジョーカーの一声に、他の面々も戦闘態勢に入った。
「それそれそれ!」
ジョーカーの助手であるハチは、忍者らしく手裏剣でジャッジ・ザ・デーモンと応戦するが。
「まだまだ投げが甘いぞ!」
と、ジャッジ・ザ・デーモンに指摘されながら、彼が投擲するジャッジラングに手裏剣を弾かれ苦戦する。
「うわあっ!」
ジャッジラングに当たりそうになって涙目になるハチ。
「これでも食らいなさい! ギョギョッ」
ダーク・アイが一つ目から怪光線を発射して、ジャッジ・ザ・デーモンの目を眩ませようとするが、ジャッジ・ザ・デーモンは平然としてた。
「悪いが……俺の視界ビジョンは強烈な光は遮断してくれるよう設定してある」
「ギョギョっ!?」
自分の技が効かないと知って驚愕するダーク・アイ。
そんなダーク・アイに、ジャッジ・ザ・デーモンは強烈なハイキックを喰らわして転倒させる。
「ギョギョーーっ!」「ダーク・アイ!」
助手であるダーク・アイが倒され、怪盗スペードは所持している銃を構える。
「アイスショット!」
通称アイスショットと呼ばれる冷凍銃を愛用するスペードの狙撃は、ジャッジ・ザ・デーモンの左足に直撃して、左足を硬直させる。
が「そう簡単には凍らないぞ……!」と、ジャッジ・ザ・デーモンは自力で凍り付いた左足に張り付いている氷を引きはがし、玉砕してしまう。
「なら、これはどうだ!」
と、スペードは、今度はアイスショットを連射してジャッジ・ザ・デーモンに攻撃。
だがジャッジ・ザ・デーモンはスペードのアイスショットを綺麗にかわすと、スペードに接近して彼の腹部に掌底を喰らわして悶絶させる。
「ぐふっ」「スペード様!」
ジャッジ・ザ・デーモンに押し出されて悶絶するスペードを見て、助手であるダーク・アイが叫んだ。
すると、お次はダイヤモンド・クイーンが、強度がダイヤモンドと同等の愛用の剣ダイヤモンド・ソードを振るってジャッジ・ザ・デーモンに斬りかかる。
「ほう、剣術に長けているのか。これは見事」
そうクイーンの剣術を評価しながらも、ジャッジ・ザ・デーモンはクイーンが振るう剣をジャッジラングで受け止めつつ流していく。
と、ジャッジ・ザ・デーモンがクイーンとの剣戟に気を取られていると。
「ワオーーーーーー……!!」
クイーンの相棒である怪盗犬ロコが、必殺の特殊な音波を口から放ってジャッジ・ザ・デーモンを攻撃。
「うおッ!」
ロコの咆哮にジャッジ・ザ・デーモンも堪らず後方の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「おおっ!」「やったぞ、ロコ!」「よくやったわ」
ロコの功績にジョーカーもスペードもクイーンも称賛する。
「さっ、皆さん! 今のうちに金有の黄金胸像を……!」
と、ハチがジャッジ・ザ・デーモンが倒れている間に目当ての黄金胸像を盗み出そうと、胸像が展示されているガラスケースに駆け寄ろうとした。
が、その時だった。
「うわあっ!!」「は、ハチ!」
なんとハチがガラスケースに駆け寄ろうとした矢先、ガラスケースに向かって無数の銃弾が浴びせられ、弾幕にハチは涙目で驚き、ジョーカーは焦る。
そしてガラスケースが粉々になったところに、館内の騒動に気付いて鬼山毒三郎たちが駆け付けた。
「なんだなんだ!?」
すると鬼山毒三郎達の目の前に、暗闇から武装集団を引き連れた男が現れる。
「黄金の金有胸像か……悪趣味だが、金は金。俺たちの活動資金の足しにはなるな」
「お、お前は確か………………ブラックホワイト!」
美術館に展示されている金有胸像のガラスケースに銃を乱射したのは、今やギャングを率いる元アイドルのブラックホワイトの一味だった。
「はははッ、怪盗小僧ども。お前達とジャッジ・ザ・デーモンの乱闘を暗闇から眺めていたが、まさかその犬っころがジャッジ・ザ・デーモンを倒しちまうとは驚きだ。まあ、これでお目当ての金有胸像は持って帰れるがな」
「そ、そうは行くか! 怪盗でなくても、犯罪者であるブラックホワイト! お前たちの好きにはさせんぞ!」
高らかに宣言するブラックホワイトに鬼山毒三郎が反論すると、部下である黒崎ギンコと白井モモの二人がブラックホワイトの前に立ちはだかるが。
「きゃあっ!」「ひぃっ!」
二人に向かってブラックホワイトの一味は、銃を乱射して退かせる。
「はははッ、銃に敵うと思ってるのか! どれ、この悪趣味な金有胸像は俺が持って帰って溶かし、金塊として保管しておくぜ」
そう言ってブラックホワイトが黄金の金有胸像を抱え込むと、そんなブラックホワイトに怪盗ジョーカーが叫ぶ。
「おい! それはオレ達の獲物だ、返せ!」
「フン、この世は常に強いものが何事も得られるもの……たかがガキの怪盗遊びのオモチャにすんじゃねえぞ」
このブラックホワイトの怪盗遊びという発言に、ジョーカーだけでなくスペードとクイーンも怒った。
「遊びじゃねえ! 怪盗ってのは、奇跡を起こす
「そうだ! 僕たちの華麗なる技をバカにするんじゃない……!」
「あなたみたいに、武力で何もかもを強奪するような犯罪者とは違うわ!」
すると、この三人の力説を聞いて、ブラックホワイトは高らかに笑い飛ばす。
「は……はははははッ! なにが一緒じゃないだ! 解ってるのか、どんなにお前達が否定しようと、お前らがしている怪盗も、俺がやっている強奪となんら変わりはない犯罪行為……なのに俺とは違うだって? バカバカしい!!」
「「「……!」」」
ブラックホワイトからの真説に、ジョーカー達は何も言い返せなかった。
すると悔しそうにブラックホワイトを睨み付けるハチが、徐にジャッジ・ザ・デーモンの方へと視線を逸らすと、いつの間にかジャッジ・ザ・デーモンの姿が消えているのに気付いた。
(あれ? ジャッジ・ザ・デーモンがいない……!?)
ハチがジャッジ・ザ・デーモンの姿が消えているのに気を取られている中、武装したブラックホワイトの一味がその場から逃走しようと駆け出す。
「あ、待て!」「追え、追うのだ!」
怪盗ジョーカーと鬼山毒三郎が、ブラックホワイトの一味を追跡しようと駆け出そうとすると、ブラックホワイトの一味は二人に向けて銃を乱射し、追跡すら許せなかった。
「おい、そんなガキ共と警察なんか放って、さっさと逃げるぞ!」
ボスであるブラックホワイトに急かされ、一味はそのまま屋外へと逃げ去っていく。
そのままブラックホワイトの一味は美術館を出るが、外には数台のパトカーが待ち伏せていた。しかも自分の胸像が盗まれると知って、美術館の持ち主であるミスター金有の姿も見られた。
「キィ~~! ジョーカー達だけでもウンザリなのに、ブラックホワイトなんてヤバい犯罪者までもワタクシの黄金胸像を狙うなんて、あんまりザマス!!」
するとブラックホワイトの一味は、そんなミスター金有を含めた警官達に向けて銃を乱射。
「ヒィっ!」
ミスター金有は怯えて警官たちと共にパトカーの影に隠れて身を伏せる。
と、銃を乱射しているブラックホワイトの一味に、ジョーカー達と鬼山毒三郎たちが迫る。
「おい、待て! このジキルとハイド野郎!」
ジョーカーは多重人格者のブラックホワイトを皮肉りながら、武器であるトランプを黄金の胸像を抱え込むブラックホワイトに投げ付けた。
ジョーカーが投げたトランプは、ブラックホワイトの腕に直撃。するとトランプは閃光を放った。
「うおッ!?」
眩い閃光で、思わず怯んだブラックホワイトの腕から黄金の金有胸像が零れ落ちた。
すると予想外の展開が発生。なんと地面に落ちた黄金の金有胸像が粉々に砕け散ったのだ。
『ああっ!!』
黄金の金有胸像が粉々になって、それを目撃した一同は驚愕した。
「お、おい! なんだ、この黄金像は……ただの金メッキの胸像じゃないか!」
粉々になった胸像を見て、ブラックホワイトはそれが単なる金メッキの贋作であると豪語する。
そして全員がミスター金有に疑惑の眼差しを向けると、ミスター金有は観念して真実を話し始めた。
「い、いやあ……実を言うと、最初はちゃんとした黄金の胸像を造ろうとしたザマスが、最近の不景気で胸像一体を造る為の金を仕入れる事ができなくて、その~~……」
そんな優柔不断な言動のミスター金有に、鬼山毒三郎が呆れながら言った。
「要するに、見栄を張って金メッキの胸像を展示してたって訳か……」
全員、冷えた目でミスター金有を見詰める。その視線に思わず委縮するミスター金有。
と、活動資金として黄金の胸像を盗み出そうと目論んでいたブラックホワイトは、黄金の胸像が単なる金メッキの贋作だった事に腹を立てて、怒りに任せて銃を乱射し始める。
「フザケるな!! 贋作を堂々と展示するんじゃない!!」
そう怒鳴りながら、ブラックホワイトの一味はミスター金有へと銃を乱射。
「ヒィ~~……ゆ、許してザマス~~っ!」
銃の乱射にミスター金有は泣きながら退き、そのまま逃げ去ってしまう。
しかしブラックホワイトの怒りは収まらず、部下に命じて共に銃を乱射して、鬼山毒三郎たち警官にも、ジョーカーたち怪盗達に銃撃する。
「ヒィっ、ジョーカーさん、どうするんです!?」
「い、いま考えてる!」
銃を乱射してくるブラックホワイトの一味に、ハチが泣き叫ぶ中、ジョーカーは必死に考えを巡らせていた。
と、銃を乱射するブラックホワイトに、上空から一体の人影が奇襲してきた。ブラックホワイトが見上げてみると、それと同時にブラックホワイトの顔面に強烈な飛び蹴りが炸裂した。
「うおッ!?」
強烈な蹴りを浴びたブラックホワイトが転倒する中、ブラックホワイトに蹴りを浴びせた張本人は続け様に周囲にいたブラックホワイトの手下達も次々に倒して一掃する。
「うぅ……」
そしてブラックホワイトが混迷しながら起き上がると、既に自分の部下達は襲撃者によって気絶させられていた。
「お、お前……!」
ブラックホワイトが襲撃者を睨み付けると、その襲撃者は一言ブラックホワイトに告げる。
「ジャッジメント」
そう告げた直後、襲撃者はブラックホワイトの顔に拳を叩き込んで、今度こそ完全にブラックホワイトを気絶させた。
ブラックホワイトとその一味を一掃した襲撃者、それは他でもないジャッジ・ザ・デーモンだった。
「おおっ、流石はアニメタウンの守護者、聖龍HEADとアニメタウン警察が公認したジャッジ・ザ・デーモン! あっという間にブラックホワイト一味を片付けてくれたわい!」
ブラックホワイト一味がジャッジ・ザ・デーモンによって全員倒されたのを見届けた鬼山毒三郎は、即行でブラックホワイトとその一味を捕縛した。
「鬼山本部長、ご苦労。ところで、ジョーカー達は?」
「おおっと、そうだ! ジョーカー達も捕えなければ!」
ブラックホワイト一味に手錠をかけた鬼山毒三郎たちにジャッジ・ザ・デーモンが訊ねると、鬼山毒三郎はジョーカー達の事に気付く。
するとジョーカー達の声が美術館の屋根上から聞こえてきた。
「へっ、オレ達は簡単には捕まらないぜ!」「ジョーカー!!」
いつの間にか美術館の屋根へと移動したジョーカー達を見上げて、鬼山毒三郎が叫ぶ。
するとジョーカー達の逃走を許すまいと、ジャッジ・ザ・デーモンは屋根上のジョーカー達にジャッジラングを投擲した。
「うおッ、危ねえ!」
ジョーカー達は各々の武器や術でジャッジラングを弾き落としていくが、なんと剣でジャッジラングを弾いてたダイヤモンド・クイーンが足を滑らせて美術館の屋根から落下してしまった。
「きゃあっ!」「クイーン!」『!』
落下するクイーンを見て、ジョーカー達は騒然とする。
そして高所である美術館の屋根からクイーンは落下するのだが、そんな彼女を駆け足で駆け付けたジャッジ・ザ・デーモンが真下で受け止める。
「こらこら、女の子が危ない真似しちゃダメだろ」
真下でクイーンを受け止めたジャッジ・ザ・デーモンが、優しい口調でクイーンに注意すると、そんな紳士的な対応をするジャッジ・ザ・デーモンにクイーンは思わす頬を赤くする。
しかしジャッジ・ザ・デーモンは、受け止めたクイーンを立たせると、彼女に特製の手錠をかけて拘束する。
「へっ?」
有無も言わずに手錠をかけられたクイーンは思わず茫然としてしまう。
「ほれ。大人しくするんだ」
そうクイーンに言うと、ジャッジ・ザ・デーモンはクイーンを鬼山毒三郎の許へと首根っこを掴んで運んでしまう。
「ちょ、ちょっと……!」
慌てるクイーンを尻目にパトカーへと運ぶジャッジ・ザ・デーモン。
だが、その時。クイーンを運ぶジャッジ・ザ・デーモンと鬼山毒三郎の間の地面に、ジョーカーのカードが突き刺さり、それと同時に眩い閃光が放たれる。
「うおっ!」「!」
驚くと同時に思わず目を瞑ってしまう鬼山毒三郎とジャッジ・ザ・デーモン。すると二人が怯んだ隙に、ジョーカーとスペードが急ぎクイーンを救出する。
「あッ! クイーンが!」「!」
目の前からダイヤモンド・クイーンが消えて驚く鬼山毒三郎とジャッジ・ザ・デーモン。
そしてジョーカー達は急ぎ、飛行艇までイメージガムを用いて浮上し、逃走するのだった。
「今日は引き分けって事にしとくぜ、ジャッジ・ザ・デーモン!」
そう捨て台詞を言い残して、ジョーカーはハチや仲間達と共に飛行艇に乗り込んで逃走する。
「あ、待てジョーカー! ジャッジ・ザ・デーモン、一緒にジョーカー達を追跡してくれるか!」
「ああ」
と、ジャッジ・ザ・デーモンが鬼山毒三郎に返答した、その直後。
ジャッジ・ザ・デーモンの通信に連絡が入った。
「っ? ちょっと待ってくれ。どうした? ……ふむ、そうか……うむ……」
そして通信から連絡を受け取ったジャッジ・ザ・デーモンは鬼山毒三郎たちに言った。
「すまない、先ほどイーグルが港区で違法武器の取引に動いていると連絡を受けた。申し訳ないが、ジョーカー一味を追う事は難しくなった」
「へっ?」
ジャッジ・ザ・デーモンからの丁寧な謝罪に、鬼山毒三郎たちは唖然としつつ固まってしまう。
そしてジャッジ・ザ・デーモンは、その場にジャッジモービルをリモコン操作で呼び出した。
「本当に済まない、鬼山本部長。ジョーカー達を捕まえるのは、また次の機会に協力し合おう。今夜はこれにて、では健闘を祈る」
そう紳士的な言動で鬼山毒三郎たちに言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンはジャッジモービルに搭乗してイーグルの違法武器の取引現場へと急ぐのだった。
「「「………………」」」
鬼山毒三郎はもちろん、部下の黒崎ギンコと白井モモの二人も、ジャッジ・ザ・デーモンの紳士的な物言いに驚きを隠せなかった。
「い、意外と紳士的なんだな。ジャッジ・ザ・デーモン……」
「自警団っていうから、もっと物騒な言動だと思ってたけど……」
「意外に落ち着いているというか、冷静なんですね……」
すっかりジャッジ・ザ・デーモンの言動に改めて認識させられた三人は、ポカンとするばかりだった。
その後、アニメタウン警察本部では。
「……と、いう訳で。いやあ、ジャッジ・ザ・デーモンが意外や意外、まさかあそこまで紳士的な奴だったとは驚きました」
「ははッ、あいつは凶悪犯が相手じゃなきゃ、意外と落ち着いた物言いだからな」
金有美術館での、ジャッジ・ザ・デーモンの言動を警察本部長のウェルズに報告する鬼山毒三郎。
「ウェルズ本部長、アニメタウンにはジョーカー以外にも多くの……それも我々と同じ新世代型二次元人の犯罪者が大勢蔓延っています。ジャッジ・ザ・デーモン以外にも対策を練らないと……!」
「うむ、それは重々理解している。今、聖龍隊とも連携して犯罪対抗策を練っている段階だ。それまで、怪盗と名乗る犯罪者の対抗は任せたぞ、鬼山本部長」
「はい! この鬼山毒三郎、全身全霊全力をもって、怪盗たち犯罪者を逮捕する所存であります!」
上司であるウェルズに、鬼山毒三郎は敬礼して強く応えるのだった。
その頃、ジョーカー達はというと。
「あ~~ん、この手錠取れない~~っ!」
飛行艇の中で、怪盗ダイヤモンド・クイーンが両手にしっかりと嵌められたジャッジ・ザ・デーモンの手錠に泣かされていた。
「う~~ん、この手錠はなかなか外せない特殊な構造をしておるから厄介じゃぞ。しかも本体は超合金で出来てるから切断するのも難しいじゃろうて……」
「あ~~ん、お爺ちゃん、なんとかして~~っ! ジョーカー、スペードも助けてよぉ……!」
「そ、そう言われても……」
「師匠でも外せない手錠を、オレ達が外せる訳ないだろ……」
懇願するクイーンに、スペードもジョーカーも困惑するばかりであった。