聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回の話は、日本の内閣情報調査室が震撼する機密情報を、あのMrフェイクが持ち出した事から事件が始まります。
「名探偵コナン」から、あの降谷零と風見裕也も、内閣情報調査室に使われる形で登場します。



震撼する異常者(ヒール)収容所

[新・内閣情報調査室室長]

 

 アニメタウンとは。今や隣国日本とは完全に独立した国家。現在は、アニメタウンを実質統治するウッズ市長や聖龍HEADを中心に、一部の有力者である役員や議員達が政策を行っている。

 そんなアニメタウンの隣国である日本には、アメリカのCIAそしてイギリスのMI6などと同じ諜報機関がある。それこそが内閣情報調査室である。

 現在、二次元界と三次元界が融合した世界では、実質的に三次元人が国家を指揮し、二次元人は基本的に管理下に置かれるのが現状だった。

 そんな現状の中、アニメタウンの軍隊である聖龍隊を統率する聖龍隊総長バーンズと共に、今ある人物が聖龍隊の基地内を徘徊していた。

「しかし、まさか……聖龍隊を経由して、アメリカから銃器の類を輸入しようって魂胆とは。銃規制の厳しい日本も変わったな」

「近年、日本の犯罪やテロは過激化するばかりだ。それに伴って強力な銃器を必要としている訳だよ、バーンズ総長」

 そうバーンズと共に聖龍隊の基地内を徘徊し、倉庫内に保管されているアメリカからの輸入銃器類を見て回るのは、日本の内閣情報調査室から派遣された男性だった。

「しっかし、いくら犯罪やテロが過激化してるとは言え……オレたち聖龍隊を経由してアメリカからの良質の銃器類を入手しようって考えは、どうかと思うんだが……」

「君たち聖龍隊がアニメタウン及び、日本で発生した異常者(ヒール)の処分に手こずっている以上、我々日本政府も手をこまねいている訳にはいかないんだよ。君たち聖龍隊から派生し、今では立派に日本皇軍を務めている村田順一率いるスター・コマンドーだけでは人員不足は目に見えているし」

「いや、オレ達だって伊達に手をこまねいている訳じゃないんだがな……」

 内閣情報調査室から派遣された男性の言葉に、バーンズは些か困惑してしまうばかり。

 

 201X年、現在。

 兼ねてより国連より≪出国禁止令≫を発令され、アニメタウン国外に出る事を許されなくなった小田原修司。

 しかし彼は日夜、もう一つの顔であるジャッジ・ザ・デーモンとしてアニメタウンだけでなく世界中の犯罪や悪事と戦っていた。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンが正式に聖龍隊の一員として加盟してから、世界は更に混沌と化した。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンの活躍で、政府や国連が設けた刑務所などの収容施設には、凶悪で錯乱した囚人が増加の一途を辿っていた。

ジャッジ・ザ・デーモンの活躍で収容者達が増加し、収容施設が満員寸前にまで追い込まれてた頃、日本政府もジャッジ・ザ・デーモンや二次元人達に異常者(ヒール)を制圧させるだけでは、政府機関の信頼に欠けると思ったのか、なんと聖龍隊を経由して強力な銃火器を入手する様にまで至った。

 本来、銃刀法などの規制によって強力な銃火器の入手が困難な日本にしては武力行使が行き過ぎているという意見もあったが、日夜凶悪化していく犯罪や異常者(ヒール)に対応するべく致し方ない結論だと決定した。

 そんな日本政府と聖龍隊が銃火器の輸出入について話し合う中も、ジャッジ・ザ・デーモンは凶悪な犯罪者や異常者(ヒール)を武力で制圧し、そして拘束していった。

 

 しかし過去に数多の凶悪犯罪者を惨殺していたジャッジ・ザ・デーモンに対して警戒心を強めている組織も。

 それこそ日本の内閣情報調査室を始めとする各国の諜報機関だった。だが彼らが本当に恐れてるのは、ジャッジ・ザ・デーモンによって暴かれるかもしれない自分達が関与する不都合な真実である国家機密が明るみになる事だった。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンが聖龍隊に認可されてからしばらく。日本政府はジャッジ・ザ・デーモンなどの問題を早急に解決するべく内閣情報調査室室長に新たな人物を据え置いた。

 その人物こそ、名を学相子(まなびあいこ)。冷静沈着で日本の国益を第一に考える女性で、国益の為ならば如何なる手段も選ばない冷徹な思考の持ち主でもある。

 

 日本は法律などの問題から、外国から容易にスパイを入国させやすいと言われるほど、スパイに関しての法律が整備されてない現状だった。

 しかし、学相子はこの問題を逆手に取った。

 国内でのスパイ活動を黙認するのと同時に、相手スパイから情報を引き出す貴重な接点になると考え、あえて国内にスパイを引き入れている。

 当然、その貴重な情報源の中にはアニメタウンや聖龍隊に関する機密事項も含まれていた。

 そんな混沌とする現状の中、内閣情報調査室では学相子と職員たちが密かに暗躍していた。

「室長! ジャッジ・ザ・デーモンを放置していて良いのですか!」

「今では正式に聖龍隊へ加盟しているとはいえ、奴は過去に多くの人命を殺傷していた殺人鬼なのですよ!」

「そして何より……ジャッジ・ザ・デーモンは、あの男だと云われているのに、奴を放置しておくのは日本政府としてもマズいのではないですか!」

 内閣情報調査室の職員達からの懸念に対し、室長である学相子は毅然とした態度で言った。

「……ジャッジ・ザ・デーモンを逮捕する必要は、今のところないわ」

「何故です!」

 職員が学相子に問いかけると、学相子は振り返って答えた。

「ジャッジ・ザ・デーモンを放置する流れで、彼に好きな様に活動させるのよ。そうすればいづれ、ジャッジ・ザ・デーモンの正体に関する証拠などが見つかって行く行くは………………小田原修司ことジャッジ・ザ・デーモンを内閣情報調査室の一部として組み込む事ができるわ」

『!!』

「し、室長はジャッジ・ザ・デーモンを内閣情報調査室の一員として迎え入れる機会を窺っているというのですか……!」

「そうよ。まあ、実のところジャッジ・ザ・デーモンの正体は大部分まで把握しているけど、物的証拠がないわ。ジャッジ・ザ・デーモンの正体を完璧に把握できる物証が出ない限り、ジャッジ・ザ・デーモンを内閣情報調査室に招き入れる事は不可能……ジャッジ・ザ・デーモン、小田原修司を日本の防衛力の一部に組み込まない限り、日本の治安と国益収入の安定は困難なままよ……」

 学相子の冷徹な言動に、職員達は唖然と立ち尽くすばかり。

「……まあ、大方の証拠は集めているけど、まだまだ情報不足。ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司を完全に内調に組み込むまでは、まだ時間が必要だわ」

 そう告げると、室長である学相子は内閣情報調査室の室長室から出て、総理大臣の許へと向かう。

 

 と、学相子が室長室から出てきたところに、一人の男性職員が相子の前へと飛び出して、相子に訴えた。

「室長!」「あら? なにかしら」

 無表情で訊き返す相子に、男性職員は睨み付ける様に面と向かって話し出す。

「室長! 小田原修司がジャッジ・ザ・デーモンである証拠を掴んでいるのに、なぜ奴を裁かないんだ!?」

「ジャッジ・ザ・デーモンは国の利益の害になる犯罪者や異常者(ヒール)を勝手に排除してくれているだけ。……そりゃもちろん、証拠をネタに小田原修司を日本政府に引き込めれば、これ以上にない利益を生む切っ掛けにはなるけど、下手にその領域に踏み込めば聖龍隊とも衝突しかねない。ここは国益維持の為に敢えて野放しにしておくのが得策よ」

「……私の息子が、ジャッジ・ザ・デーモンに……小田原修司に殺されたというのに、奴を裁く気はないのか……!」

「何を言ってるの? あなたの息子は陰湿な強姦魔としてジャッジ・ザ・デーモンが排除してくれた国の害じゃない。国の害になる人間を排除してくれたジャッジ・ザ・デーモンを裁く事は、国益を損失するのと同じこと」

 そう学相子に否定された男は、相子に襲い掛かり彼女の首を絞めた。顔を真っ赤にし、完全に興奮して相子の首を絞める男は怒りで我を忘れていた。

 すると其処に、他の内調の職員達が取り囲む。

「動くな!」

 周りの職員達に銃口を向けられ、落ち着きを取り戻していく男。

 その時、相子が自分の首を絞める手が緩んだ隙に、男の腹部に強烈な打撃を与え、瞬時に足払いすると男を取り押さえてみせる。

 相子は中年の女性であっても、内閣情報調査室室長。護身術には長けていた。

 そして相子に取り押さえられた男は、周りを取り囲んでいた職員達に身柄を拘束される。

「ふう……社会人と言うのは、忍耐と我慢強さも必要なのよ。あなたには、それが欠けていた訳ね」

「………………!」

 息子を殺した存在ジャッジ・ザ・デーモンを罰せずに敢えて放置する考えを持つ相子に呆れ果てられ、男は激しい憤りに駆られた。

 すると男は此処で予想外の行動に。

 なんと男は、自分を取り押さえている職員の腕を振り解き、それと同時に職員が携帯している拳銃を奪って学相子へと銃口を向けた。

 しかし、男が銃口を向けた瞬間、殺気を感じ取った学相子は咄嗟に弾道から横転して回避し、自らの拳銃を素早く抜いて発砲。

 学相子が発砲した拳銃の銃弾は、相子に拳銃を抜いた男の額へと直撃し、男は死んだ。

「ふぅ、とことん忍耐というものがないわね」

 そう相子は呆れ果てると、部下である職員に言った。

「それじゃ、死体の処分は任せたわよ」『ハッ』

 相子からの命令に、職員達は姿勢を真っ直ぐにして同意した。

 そして学相子は何事も無かったかのように、総理大臣の許へと向かうのであった。

 

 

 

[盗まれた機密情報]

 

 内閣情報調査室の新室長に就任した学相子らが暗躍する中、ジャッジ・ザ・デーモンは変わらず凶悪犯罪者や異常者(ヒール)と奮闘してた。

 慈悲なく容赦なく、凶悪犯を断罪し、徹底的に暴力で犯罪を抑制した上で裁く「平等なる制裁」「弱者の救世主」のジャッジ・ザ・デーモンに休みはなかった。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンには決して相容れない宿敵がいる。

 それこそ本名ジャクソン・グレイシス、別称:Mrフェイク。

 真実を追求するジャッジ・ザ・デーモンに対し、嘘や偽りをモットーにするMrフェイクは多くの猟奇的かつ残忍そして狂気の犯罪を繰り返してきた。

 

 そしてある晩、Mrフェイクは内閣情報調査室に所属する秘密機関へと侵入し、其処で機密情報を入手する。

 盗み出した機密情報で世間を混乱させようと企むMrフェイクだったが、逃走中にジャッジ・ザ・デーモンの手で捕縛される。

 だがMrフェイクが、日本政府が保有している機密情報を盗み出しているとは認知してなかった日本政府は、ジャッジ・ザ・デーモンにそのままMrフェイクの身柄を譲渡してアニメタウンに連行させてしまう。

 アメリカ人であるMrフェイクは、過去に戦争犯罪をも犯したために、今やアメリカ国内へと入国を許されない国外追放された身。そんなMrフェイクを日本政府も自分達が管理する収容施設に入所させるのを拒んだのだ。

 その結果、Mrフェイクは日本国外であるアニメタウン領内の異常者(ヒール)収容施設へと収容される事となった。

 しかしMrフェイクが日本政府が保有している機密情報を持ち出したと判明したのは、Mrフェイクがアニメタウンに移送された後だった。

 この事態に日本政府は只ならぬ危機感を有し、直ちに内閣情報調査室、通称:内調へ行動に移すよう指令を下した。

 

 内調は、この緊急事態に日本の公安警察にも指令して、動員させた。

「……という訳よ。日本政府が所有している機密情報が、Mrフェイクの手に渡ってしまった。だけど、内調としてはアニメタウン相手に簡単に動く事も指示を出す事も外交的に難しいわ……そこで、アニメタウンに頻繁に出入国している貴方たち二人の公安警察に動いてもらいたいのよ」

「「………………」」

 内閣情報調査室室長の学相子からの指示に、警察庁警備局警備企画課、通称ゼロ所属の公安警察である降谷零警部と、その部下である風見裕也警部補は毅然と耳を傾ける。だが降谷零警部は心の内では内調に降ってる公安の現状に不満を抱いていた。

「しかし、室長……! Mrフェイクが収容された異常者(ヒール)収容施設は、アニメタウン沖の孤島に在る海上の牢獄。簡単に侵入する事は困難です……!」

 降谷零が学相子に任務の困難さを訴えると、学相子は平然と降谷零に言った。

「それは大丈夫。貴方たち二人が簡単に侵入できるよう、此方が別の手段を用いて支援するから」

「……因みに、その手段とは?」

 学相子の発言に、警部補の風見裕也が問い掛けるが。

「貴方たちが知る必要はないわ。貴方たちは収容施設に潜入して、Mrフェイクが情報入手に使った機具を手に入れ、機密情報漏洩を防ぐ事だけを考えなさい」

 と、学相子から断言されてしまう。

 それでも尚、学相子は降谷零と風見裕也が内調のやり方に疑問を持ち、そして内調に従っている今の公安の現状にも不満を持っている事を察して、二人に告げた。

「……そうそう、降谷零。貴方が今現在、関与している特殊任務の機密情報も、Mrフェイクは持ち出した様よ」

「「!」」

 学相子の発言に表情を変える降谷零と風見裕也に、学相子は更に言い続ける。

「降谷零、貴方は今現在も、素性や名前、年齢を偽ってアニメタウンの喫茶店ポアロでアルバイトしながら周辺の人間と関係を持っているわね。Mrフェイクは、そんな機密情報も持ち出しているのよ」

「「………………」」

 学相子の話に固まる二人。すると学相子は静かに降谷零に歩み寄ると、彼の目前で不敵に語り掛ける。

「もし……Mrフェイクが持ち出した機密情報が漏洩すれば、貴方達が追ってる黒の組織に降谷零の……いいえ、安室透の真実が伝わるわ。そうなれば貴方の身に危険が及ぶだけじゃない、安室透に関わった全ての人間が抹殺されちゃうかもしれないわね」

「………………ッ!」

 学相子からの警告に、降谷零は目の色を変えて睨み付ける様に言葉を無くすが、学相子からの警告は終わらない。

「なに、貴方たち二人が収容施設に忍び込んで、Mrフェイクの小道具を盗み出せば全ては丸く収まるわ。犯罪紛いの行為をするのは、公安の十八番(おはこ)でしょ」

「「ッ………………!」」

 この学相子からの皮肉に、二人は目付きを微かに変えた。

 だが学相子の皮肉は終わらず、最後に二人に言った。

「でも……私たち内調も、そんな犯罪紛いの行為を平然と行える公安のやり方には賛同してるというか、高く評価してるのよ。そんな貴方たち公安のやり方を見習って、私の方から貴方たち二人が収容施設に忍び込めるよう手筈を整えるから、しっかり務めてちょうだい」

 最後の最後まで公安のやり方を皮肉る学相子からの指令に、降谷零と風見裕也は姿勢を正して返答する。

「「……任務、了解しました!」」

 逆らう事ができず、指令を受ける二人を前に、学相子は不敵に微笑むのだった。

 

 そして内調の室長室から出た降谷零と風見裕也の二人は、廊下を徒歩で移動しながら話していた。

「時々思う……このまま公安が内調の手先として、永遠と使われ続けると思うと……」

「………………」

「……この日本(くに)を嫌いになりそうだ」

「降谷さん、そんなこと滅多に言うもんじゃありません。私だって、いつ貴方を上層部や内調に売るか分からないんですよ」

「ふっ、もし信頼している君に売られたら……僕は僕自身の手で、自分に印籠を渡すつもりで自決するよ」

「……もうこの話はやめましょう。今はアニメタウン国内に侵入し、収容施設に忍び込んでMrフェイクの小道具を入手するという任務だけを考えましょう」

「そうだな、風見」

 そう降谷零と風見裕也は話しながら、任務へと赴くのだった。

 

 一方、内閣情報調査室室長の学相子は、一人部屋の中で考え込んでいた。

(……降谷零と風見裕也、あの二人なら間違いなくMrフェイクから機密情報を取り返せるとは思うけど……収容施設は凶悪な犯罪者も容れられている堅牢な造り、簡単に出入りは困難を伴うわ。それ以前に、二人が本当に生きて帰れるかも未確定……)

 思考に思考を重ねた結果、学相子は一つの提案を講じた。

「……やはり、あの二人を収容施設に忍び込ませる為だけでなく、二人以外にも機密情報を持ち出してくれる戦力を用意する必要があるわね。そう、危険な異常者(ヒール)達を利用してでも……」

 そう考え付く学相子は不敵に微笑むばかりだった。

 

 

 

[集められる犯罪者達]

 

 内閣情報調査室室長の学相子は、日本政府が管理している危険性犯罪者の収容施設すなわち刑務所へと赴いていた。

「し、室長……いくらなんでも、超人狂人である異常者(ヒール)を利用した、この計画は危険なのでは……」

 部下である側近が問いかけるが、学相子は平然と返答する。

「日本の国家機関である、私たち内調が苦肉の策として立てた計画……「異常者(ヒール)再利用プロジェクト」は既に始まってるわ。無論、そんな危険極まりない異常者(ヒール)を管理する術も確立できているから安心よ」

 実は学相子が内調の室長へと就任すると同時に、聖龍隊や日本皇軍の活躍によって投獄された異常者(ヒール)達を利用する計画が進行していたという。

 聖龍隊や皇軍の活躍で投獄された異常者(ヒール)達は終身刑や死刑を言い渡されて、悶々している現状だったが、学相子は彼らを利用して日本の国益収入に活用させようと暗躍していた。

「ふむふむ、なるほど……」

 そんな学相子は刑務所の中を徘徊しながら、手元に配られた囚人達の資料に目を通しながら、気に入った囚人達を看守に命じて牢獄から解放させた。

「カニランテ……蟹を食べすぎて怪人に変異してしまった新世代型二次元人。両腕がハサミになっていて、石畳を簡単に貫くパワーがあり、ね……いいわ、解放しなさい」

 資料を読みながら学相子は、牢獄の中から怪人カニランテを解放させる。

「ガロウ……幼少期の体験からヒーローに対して複雑な思考を持つようになり、人間でありながら怪人を名乗り始めて「ヒーロー狩り」を行うように至ったダークヒーロー的存在……いいわ、解放よ」

 隅から隅まで資料を読み耽り、幼少期の体験から反ヒーロー思想に目覚めたガロウなる青年も、学相子は解放させる。

荼毘(たび)……蒼炎という個性という名の特殊能力を持つ異常者(ヒール)。全身から強大な青白い炎を放出し、自然災害に近い桁違いの威力を発揮する……いいわね、この能力者。解放しなさい」

 個性という特殊能力を持つ荼毘(たび)に多大なる関心を持った学相子は、彼もまた解放するよう看守に命じる。

「Mrコンプレス……戦闘は不下手だが、個性能力である「圧縮」を駆使して、多種多様に渡って臨機応変に使い分けられる能力者……素晴らしい、彼も解放よ」

 こうして紳士的な言動が目立つMrコンプレスも解放された。

 

 そうして学相子が一般の危険性がある異常者(ヒール)収容区域から立ち去って、特別収容区域へと移動しようとした、その時。

「あらあら♪ なーーんで政府のお偉いさんが、こんな所にいるんでしょうね」

 陰気臭い刑務所の中にも関わらず、嬉々として学相子に話しかける女子に、学相子も足を止めた。

「あら、あなたは……」

「あっれれーー? オバサマ、私のこと当然知ってますのね? 私はヒミコ、トガヒミコ。宜しくね」

 顔を向けた学相子に、ヒミコは満面の笑顔で自己紹介した。

「……渡我被身子、相手の血液を接種することで、その相手の容姿や声を完全にコピーできる個性を持つ異常性犯罪者……」

「あらら、私のこと、そこまで解ってくれているんですね。私、ヒジョーーに嬉しいですわっ」

 自分のことを知っている学相子に、ヒミコは心の底から感激する。

「トガヒミコ……あなたは生まれ付き、血というもに対して異常なまでに執着し、変身して油断させたところで相手を殺せる純粋な暗殺者。隠密行動に長けていて、気配を消したり、相手の死角に入り込んで消えたように見せかける等の技術を心得ている。まあ、これは警察に追われる中で独自に身に着けたものでしょうけど」

「ふふふ、おばさま。ヒミコの事よく調べてくれているみたいですわね」

「あなたは普通の、人間社会の中で自分らしく生きれない環境に鬱屈を感じてる、一種の社会不適合者の片鱗もあるみたいだけど……今でも、相手の血を吸血して自分の欲求を満たしたい衝動なのかしら?」

「ふふふ、そうですわ。私は私自身が生きられる……そう、どんな枠にも収まらない自分らしく生きていける世界を目指しているんですのよ」

(どんな枠にも収まりたくない心情、自分が思い描く理想の世界を実現しようとする点……そこは始祖である小田原修司と酷似してるわね)

 学相子は、トガヒミコの話を聞いて、彼女の思想の一部が新世代型二次元人の始祖である小田原修司に近いものがあると察する。

 そして一通りトガヒミコと話し終えた学相子は、側で護衛に当たっている刑務官に言った。

「……ふっ、面白い子ね。いいわ、この子も解放しましょう」

 すると刑務官は檻を開け、室内に収容されてたトガヒミコを解放するのだった。

「きゃははっ、自由にしてくれてありがとう♪」

「勘違いしないで。今から、あなた達は私の命令一つで動く傭兵なのよ」

 勘違いするトガヒミコに、学相子は冷徹に注意する。

 

 そして一般の異常者(ヒール)収容区域からトガヒミコたち一部の犯罪者達を出させた学相子は、其処から離れた特別区の収容施設まで足を運ぶ。

 特別区は、特に危険な思考や技術を持った犯罪者を収容する為の、普通の収容所よりも更に脱出困難な独房が立ち並ぶ区域。

 そこで学相子は、独房が立ち並ぶ区域の最深部まで赴き、最深部の独房に押し込められている一人の囚人と立ち会った。

 その囚人は、独房の中で体が鈍らない様にと自ら腕立て伏せを行って鍛えていた。

「相変わらず自主トレは怠ってない様ね……インヤン・チャオ」

「ほほう、政府高官……それも内調の室長様が、わざわざ俺に訪ねてくるとは面白い」

 独房の中に収容されている自主トレを行ってた囚人インヤン・チャオは腕立て伏せをやめると、学相子と鉄格子を挟んで対話する。

「それで? 俺さまに何の用かな、室長様。また前みたいに、外交問題で外国に俺の身柄を譲渡するのか?」

「いいえ、インヤン・チャオ。確かに貴方を収容施設に押し込めば、貴方の戦力を必要に思う権力者や機関が身柄を譲渡してもらえるよう手筈されてきたけど……今回は違うわ」

「ほう、なるほど……用件は?」

「手っ取り早く説明するわ。Mrフェイクが日本の国家機密を盗み出したままジャッジ・ザ・デーモンに捕縛され、そのままアニメタウンの収容施設に押し込められた。外部には決して洩れてはならない機密情報がアニメタウンなどの外部に流出する前に、あなた達にはアニメタウンの収容施設に侵入してMrフェイクの小道具ごと機密情報を取り返してほしいのよ」

「わざわざ危険を冒してアニメタウンに、それも収容施設に忍び込むって訳か。こりゃ、本来なら日本円で何千万って金が必要になるが、釈放してくれるなら話は別……ん、ちょっと待て。今、あなた達と言わなかったか? 俺以外にも人手がいるのか?」

「ええ、そうよ。インヤン・チャオ、貴方には私が組織した部隊を率いる隊長を務めてほしいのよ。その部隊を引き連れて、アニメタウンの収容施設に忍び込んで、機密情報がデータとしてコピーされているMrフェイクの小道具を盗み出して、私の元まで運んできてほしい訳。お分かり?」

「おいおい、冗談じゃねえぞ。俺は確かに傭兵だが、基本的に個人……一人で任務を行うのが主流だ。他の誰かを率いて任務を行うのは、ちょっと筋違いというもの……」

「拒否はできないわよ、インヤン・チャオ……いえ、グービンシー」

 すると次の瞬間、チャオの独房に続々と武装した看守達が雪崩れ込んできて、チャオを取り押さえるとそのまま外へと連行する。

「な、何の真似だ!!うっ……!」

 抵抗しようとするチャオの首筋に、看守の一人が注射するとチャオはそのまま意識を失ってしまった。

「そのまま処置室まで連れてって、例の処置を行って」「ハッ!」

 学相子の命令に、看守の一人が敬礼して応える。

 そうして連行されていくチャオを見届けながら、学相子は呟いた。

「小田原修司の完全なるコピー兵士、インヤン・チャオ、またの名をグービンシー……活用させてもらうわよ」

 こうして小田原修司の顔と瓜二つながら、その顔に真一文字の太い傷跡を残す傭兵グービンシーも利用される事に。

 

 

 

[結成! デンジャー・ヒールズ]

 

 学相子の命で、先に出獄されたトガヒミコを始めとする異常者(ヒール)達は、強制的に武装した看守や兵士達によって連行され、とある処置室へと移送された。

 そこでトガヒミコやグービンシーなどの異常者(ヒール)達は、脊髄に何かしらの超小型の機械を注入する様に埋め込まれ、そして処置が終わった異常者(ヒール)達は広い間取りの大部屋へと全員放り込まれる。

「こ、此処は何処だ……?」

 目を覚ましたグービンシーに、あのトガヒミコが声をかける。

「あらら、あららぁ? 誰かと思えば、あの小田原修司のコピー兵士として悪名高いグービンシーさんじゃありませんの! 私、あなたのファンなんですの! 色紙があったらサイン貰いたいですわ」

「お、お前は……」

 トガヒミコの声で起き上がるグービンシーは、小田原修司と瓜二つで太い傷跡が目立つ素顔を晒した状態で辺りを見渡す。

 グービンシーが辺りを見渡すと、周りにはトガヒミコの他に怪人カニランテ、自称ヒーローハンターのガロウ、灼熱の蒼炎を操る荼毘(たび)、多種多様な用途のある能力を有するMrコンプレスと、名立たる異常者(ヒール)が揃ってた。

 と、グービンシーが呆然としていると、室内のスピーカーから声が発せられた。

「諸君、気分はどうかしら?」「! 学相子……!」

 スピーカーから聞こえてくる学相子の声に、グービンシーは睨みを利かせる。

 一方で、安全な別室で監視カメラを通して大部屋の異常者(ヒール)達を見下ろす学相子は、大部屋内の六人に話を続ける。

「単刀直入に言うわ。これから、あなたたち六人には私が与える、ある任務の為にアニメタウンの異常者(ヒール)収容施設まで潜入してもらいたいわ」

 当然、この学相子からの命令に異常者(ヒール)達は拒絶する。

「おいおい、いきなり俺達を牢屋から出したと思ったら、何を訳の分からない事を言ってるのかな~プクプクプク」

「俺の目的は、あくまで自分が絶対的に正しいと妄信するヒーロー達を叩きのめす事! それ以外に戦う理由はいらない!」

「俺たち異常者(ヒール)を集めて何をやらかすと思えば……バカバカしい」

「私たちを使って、何をさせるか存じませんが……あいにく何処の誰とも分からない方からの命令は聞く気もありません」

 カニランテ/ガロウ/荼毘(たび)/Mrコンプレスが、そう言うと別室の学相子は衝撃的な現実を述べた。

「あなた達に拒否権はないわ。私たちが脊髄に埋め込んだ爆弾を爆発されたくなければ、大人しく命令に従った方が利口よ」

「ば、爆弾だと!?」

 学相子の発言に、荼毘(たび)たち六人は驚愕した。

「は、ハッタリだ! そんなの、ハッタリだ! プクプクプク……」

 俄かに信じられず受け入れられない現状に、カニランテたちは騒然とするが、そんな中で一人冷静なグービンシーが語り出す。

「いや、でまかせじゃないだろう……内調を取り仕切り、日本政府の中枢で暗躍する室長の学相子の言う事だ。間違いないだろう……」

「お、おい! 内調って、内閣情報調査室の事だろ!? そこの室長が俺達の体に爆弾を埋め込んで、俺たちに何かさせる気なのかよ!?」

 語り出すグービンシーに、ガロウが慌てた様子で問い詰める。

 すると、そんな騒然とする大部屋を監視カメラで観察してる学相子が話を続けた。

「でも安心して。任務に成功して、ちゃんと生きて帰れた場合は……減刑や釈放も考慮してあげる。あなた達には十分な報酬の筈よ」

『………………』

 学相子の話を聞いて、大部屋内は不気味なほど静寂に包まれる。

 と、此処で最初は学相子の命令に不満を感じてたグービンシーが、学相子に問い掛ける。

「おい、学。俺の場合、もし任務が成功した暁には釈放してくれるか?」

「まあ、あなたの場合は他の外国からの指示や外交問題で釈放されるかもしれないけど……傭兵を生業にしている貴方を悪い様にはしないわ」

 グービンシーからの質問に、学相子は冷静に答える。

 すると考え抜いたグービンシーは、学相子に言った。

「……分かった、お前さんからの依頼として引き受けよう」

「ふっ、やはり貴方は生粋の傭兵ね。貴方になら、この部隊を任せてもいいわね」

 と、グービンシーと学相子の会話を聞いて、荼毘(たび)が粗暴な言動で言い寄る。

「おい! まさか、この小田原修司モドキの指揮で、収容施設に忍び込めって言うんじゃねえだろうな!?」

「そうよ、それがあなた達への任務内容よ。拒絶すれば爆弾が爆発して死亡、よくてもまた独房に逆戻り。さあ、どうするの?」

 荼毘(たび)の言葉にも冷静に問い返す学相子の言動に、再び沈黙が流れる。

 すると、ここでトガヒミコが端を切る様に叫んだ。

「やったーーっ! なんだか面白そうですわ! こんな面白い事をさせてもらえる上で、成功したら釈放してくれるなんてラッキーですわ!」

 喜々と舞い上がるトガヒミコに、周りの異常者(ヒール)達は唖然としてしまう。

 そんな異常者(ヒール)達に、学相子が言い放つ。

「さあ、時間がないわ。武器などの装備は、全て此方が用意してあげるから、準備が終わり次第、全員出撃しなさい」

「はーーいっ」

 学相子からの命令に、トガヒミコは可愛らしく返事する。

 そして彼女以外の異常者(ヒール)達も、渋々ながら任務に参加する流れとなった。

 

「私が生きやすい、理想の社会を実現する……それが私の信条ですわ」

 吸血し変身。潜み紛れる純粋暗殺者。カワイイものが大好き、血に飢えた病みカワ少女。

 部隊紅一点の女子トガヒミコ。

 

「プクプクプク~……久々に殺しまくってやるプク~」

 怪力を誇るブリーフ派のカニ怪人カニランテ。

 

「俺は正義も、ヒーローも信じない……この世に存在するのは、正義感ぶった偽善者だけだ」

 自称「ヒーロー狩り専門の怪人」

 武闘派ガロウ。

 

「さあて……火遊びの時間だ」

 その蒼炎は正しく災害!

 蒼白い炎を操るヒーロー殺し。荼毘(たび)

 

「若い子ばかりの部隊に……オジサンである私が、果たして活躍できるかどうか」

 自在に対象物を圧縮させ、持ち運びも破壊も可能!

 とても便利な能力者Mrコンプレス。

 

「俺は確かに小田原修司のコピーだ。だが……俺の価値は、俺自身で見出す。それが俺の生き方だ」

 かつての中国共産党によって整形された小田原修司のコピー兵士。

 戦術・武術・暗殺術も一級品。

 小田原修司と決別した人生を選んだ男。

 部隊を率いるリーダーこと隊長。

 本名インヤン・チャオ。別称グービンシー。

 

「覚えておきなさい。私を欺けば……容赦しないわよ」

 内閣情報調査室室長。

 秘密や情報を牛耳る陰の暗躍者。

 悪党も怯える怖ろしい女性。学相子(まなびあいこ)

 

 そして各自、装備や備品を与えられた六人の異常者(ヒール)達は、今回の任務の総指揮を執る学相子に召集される。

「全隊員、集合せよ」

 そして各自、準備が終わった異常者(ヒール)たち六人が集まったのを見計らい、学相子が六人と対面して言い放った。

「今より、この部隊の名称を……デンジャー・ヒールズと名付けて、各々任務にあたってもらうわ」

 これを聞いて、トガヒミコの様に喜々と笑顔になる一方で、グービンシーなど他の五名は険しい顔だった。

「さあ……これから、ミッションを開始するわ」

 不敵に微笑む学相子の言葉に、六人の異常者(ヒール)たちは黙って命令を聞くしか選択肢はなかった。

 

 

 

[襲撃! 異常者収容施設]

 

 内閣情報調査室室長の学相子が召集した特殊技能を持った六人の異常者(ヒール)たち。

 学相子は彼ら六人による部隊を「デンジャー・ヒールズ」と名付けた上で、日本に不利益な機密情報が入ったMrフェイクの小道具を収容施設から奪還するべく任務に就かせた。

 脊髄に埋め込まれた超小型爆弾によって、入隊を余儀なくされた六人の異常者(ヒール)たちは、内調の手引きでアニメタウン沖の孤島に設立されてる異常者(ヒール)収容施設の近海まで大型輸送ヘリで移送される。

 

「……俺はトガと違って、あまり乗り気じゃねえな。政府のお偉いさんの命令で働くなんてよ。しかも俺達を現場で指揮するのが、小田原修司のコピー兵士なんて……」

「不服か? 自分たち新世代型二次元人の始祖である小田原修司のコピー兵士である俺の命令で動くのが」

「それを言うな! 俺たち新世代型二次元人は、小田原修司のクローンとか代用品とか言われるのは不愉快なんだよ! それは小田原修司のコピー兵士で代用品だったアンタも実感してる事だろ」

 輸送ヘリの中で、現場を指揮する隊長に就かされたグービンシーに文句を言う荼毘(たび)。するとグービンシーは任務時は必ず着用しているマスクを外して、敢えて小田原修司の顔に整形された素顔で荼毘(たび)たちデンジャー・ヒールズの面々に熱弁した。

「確かに俺も……お前たち新世代型二次元人と同じで小田原修司の代用品として生かされ、最終的には顔を整形された。だが、それだけだ。確かに俺自身は小田原修司のコピー兵士であったが、それはそれ。俺自身の生き方が少し変わっただけで、俺は小田原修司とは完全に違う人生を歩む傭兵として、善悪関係なく戦いに身を投じている」

『………………』

「いいか、お前達も俺と同等に小田原修司の代用品として人生が歪んだ存在。だが、小田原修司の人生や思考に影響されず、自分の価値は自分で見出す様な生き方を送れ。ゆくゆくは、その生き方こそが……小田原修司への報復になる筈だ」

「自分の価値は、自分で見出す……!」

 グービンシーからの熱弁を聞いて、荼毘(たび)を始めとするデンジャー・ヒールズの面々は衝撃を覚えるのだった。

 

 そして輸送ヘリで移送されたデンジャー・ヒールズ一行は、収容施設が在る孤島の近海で降ろされ、其処からエンジン付きのゴムボートに乗って孤島へと向かった。

「なんで、わざわざゴムボートで孤島まで行かなきゃならないプク~。輸送ヘリで、もっと近くに降ろしても良いのにプク~」

 孤島から距離が離れた近海に降ろされ、狭いゴムボートに無理やり乗せられてカニランテを始めとする面々が不満がっていると、グービンシーが告げる。

「俺達は堂々とアニメタウン政府管轄の収容施設には入る事も出来ない隠密部隊。さっきまで乗ってたバカでかい輸送ヘリで近付こうもんなら、一発で見つかっちまうだろ」

 そう自分以外のデンジャー・ヒールズの面々に忠告するグービンシーは、手慣れた手つきでゴムボートの舵を操作して収容施設のある孤島へと皆で向かう。

 

 収容施設が在る孤島は、周囲を断崖絶壁に囲まれており、収容施設を取り囲むように多数の監視塔が聳える、要塞の様な造りになっている堅牢な建物だった。

 最初にグービンシーが断崖絶壁を道具を用いてよじ登り、崖上へと辿り着くとロープを垂らして他のデンジャー・ヒールズの面々を登らせる。

 そして一行はグービンシーを先導に進む。グービンシーは三重の金網をカニランテに命じさせて切らせ、一人一人着実に金網の穴から侵入させると、監視員の照明を避けながら忍び足で収容施設の建物へと接近する。

「おやおや、此処はどうなってるんですか? 此処は基本、精神疾患を患った異常者(ヒール)を収容する病棟でもある筈なのに、この警備はまるで刑務所同然じゃないですか」

「精神に異常を来たした二次元人も、いつサイレンヘッドやスレンダーマンなどの狂暴な異常者(ヒール)に変異するか分からない不安から、アニメタウンで聖龍HEADやウッズ市長と共に政策を行ってる役員達の強行策で収容施設の警備は刑務所同然に変えられちまってるのさ。それよりもMrコンプレス、お前の出番だ」

 グービンシーがMrコンプレスに説明すると同時に指示すると、Mrコンプレスは自らの圧縮の個性で収容施設のコンクリの壁に穴を空けてみせる。

「よし、全員内部に突入するぞ」

 グービンシーの先導で、デンジャー・ヒールズが全員屋内へと侵入すると、ガロウがグービンシーに問い掛けた。

「それで? 次はどうするんだ?」

 ガロウに質問され、グービンシーは自分達の次の行動を決めようとする。

 と、その時。現場を仕切るグービンシーの通信機に連絡が入った。

「っ! どうした? ……うむ、全員建物内部に侵入できたが…………なにッ!? 本気か!?」

 驚く様子のグービンシーに周りの五人が唖然とする中、通信を終えたグービンシーが衝撃の指示を出した。

「学相子からの指示だ……看守などの人命は考えず、この収容施設に収容されている囚人達を解放して騒ぎを起こせと。俺達は、その騒ぎの中に乗じてMrフェイクの小道具を入手すれば良いらしい」

 このグービンシーからの指示に、全員が驚愕した。

「お、おい! わざわざ集団脱走騒ぎを起こして、その騒ぎに乗じてMrフェイクの小道具を盗み出せってのか? なんで、そんな回りくどい事を……!」

「俺にも解らない。ただ、これは学相子からの命令だ。逆らう事はできない」

 このガロウとグービンシーの言い合いに、荼毘(たび)が遂に我慢の痺れを切らした。

「もうウンザリだ! こんなバカげた任務、やってやれるか!!」

「おい、勝手な行動はやめろ! 勝手な行動すれば、それだけで全員の命が危ないんだぞ……! 今の会話も、当然内調に傍受されてる。いつ学相子が俺達の脊髄に埋め込んだ爆弾を爆発させるか、分かったもんじゃない」

「お前、偉そうなんだよ! いくら部隊の隊長にされたからって、その上から目線は俺らの始祖、小田原修司とそっくりだぜ!!」

「!!」

 この荼毘(たび)の発言にグービンシーは切れて思わず殺意が溢れそうになるが、それを必死に抑制して荼毘(たび)に言った。

「命令に従わなければ、一番に殺されるのはお前なんだぞ」

「ッ! チッ、ムカつくぜ……!」

 こうしてグービンシーの説得で、荼毘(たび)は渋々学相子からの指令に従うのだった。

 

 デンジャー・ヒールズは何故か収容者の集団脱走騒ぎを起こせという学相子からの指令に従う事に。

 まずは収容者達の小部屋の開錠を担う看守達を始末するべく、行動に移った。

 此処でグービンシーはトガヒミコに行動させる事に。

「それじゃ、看回り行ってきます」「ああ」

 収容者達の部屋の開錠を行える看守部屋から、一人の看守が看回りの為に部屋から出てきた。

 すると、そんな部屋から出てきた看守にトガヒミコが忍び足で追跡し、そして監視カメラの死角に入った瞬間、トガヒミコは看守を背後から襲って声も立てずに頸動脈をナイフで切って瞬殺してしまう。

 そしてトガヒミコは実に美味しそうに看守の首から溢れる鮮血を貪るように啜り、吸血する。

 それからしばらくして。

「ん? どうした? また戻って来て」

「すいません、ちょっと忘れ物を」

 看守部屋に戻ってきた看回り番を一瞬不思議に思うものの、それ以上は詮索せず読書に耽る中年の看守達。

 無論、この部屋に戻ってきた看守はトガヒミコの変身だった。

 看守に変身したトガヒミコは、収容者達の部屋を開錠する為の操作盤の前に立つと、まるでピアノを弾くかのように操作盤のスイッチを手当たり次第に押し出した。

「お、おい! 何をやっている!?」

 此処で操作盤が弄られている非常事態に気付いた中年の看守達が、看守に変身したトガヒミコを押さえ付けようと迫るが。そんな看守達にヒミコに付き添っていたグービンシーが素早い動きで室内に侵入しては、目にも止まらない速さで看守達の頸動脈をタガーナイフで切り付けて黙らせる。

「トガヒミコ、よくやった」

「ふふふ、こんなスリリングなこと初めてで興奮しますわ」

 変身を解いたトガヒミコと共に、看守部屋から収容者の所持品および証拠品が押収されている保管庫の鍵を盗み出したグービンシーは、ヒミコと共に他のデンジャー・ヒールズと合流する。

「よし! 倉庫の鍵も盗み出した。後は倉庫に忍び込んで、Mrフェイクの小道具を探し出して盗み出せば任務は終了だ!」

 グービンシーからの指示を聞いて、デンジャー・ヒールズの面々は頷いて同意すると一旦、屋外に出て倉庫へと向かった。

 収容者が逃げ出したという警報が鳴り響く中、デンジャー・ヒールズは屋外に飛び出して倉庫へと急ごうとする。

 が、屋外に出たデンジャー・ヒールズは其処で地獄の様な光景を目撃する事に。

「うわあああっ!」「ぎゃはははは……ッ!」

「来るな来るな、キチガイめ……ぎゃあっ」

「あは、あははははは……」

 屋外では、先ほどトガヒミコによって解放された精神疾患を患っている異常者(ヒール)が、銃を乱射して自衛する看守達に襲い掛かり、無残に殺していくという惨状が広がっていた。

「ひ、ヒデェ……」

 その余りにも目を覆いたくなるほどの惨状に、ガロウは言葉を失ってしまう。

 しかし看守達が次々に精神異常の収容者達に惨殺されていく現状の中でも、グービンシーはデンジャー・ヒールズに指示を出す。

「今はコイツらに関わってる暇はない。俺達はスグに収容者私物保管庫でMrフェイクの小道具を探し出して、持ち逃げするんだ!」

 グービンシーに急かされ、デンジャー・ヒールズは渋々ながら看守達が惨殺されていく惨状の中を突き進み、収容者の私物保管庫へと急ぐ。

 が、そんなデンジャー・ヒールズの前に、この騒動で駆け付けてきた他の看守達が立ちはだかる。

「だ、誰だ、お前ら!」「抵抗すると、射殺するぞ!」

 銃器を構えて取り囲む看守達に、デンジャー・ヒールズは睨みを利かせて即行した。

「うおりゃッ!」『うぎゃあっ!』

 荼毘(たび)の蒼炎が看守達を火達磨にして、一瞬で消し炭にしてしまう。

「はァッ!」「ぎゃっ」「ぐはっ」

 ガロウもお得意の拳法で看守達を叩きのめす。

「こ、コイツ、銃弾が効かないぞ!」

「プクプク~……俺さまの固い外殻に銃弾なんか効かないプクよ」

 看守達が発砲する銃撃を浴びてもカニならではの固い外殻に守られながら、カニランテが両腕のハサミで看守達の首を面白おかしくちょん切っていく。

 デンジャー・ヒールズが各々で周囲の看守達を返り討ちにしていく中、グービンシーが此処で自分の頭部に直射されるレーザーポインターに気付いた。

「ッ!」

 視線を向けると、なんと遠方の監視塔からライフルで狙撃しようと構える看守の姿があった。

 グービンシーは素早く狙撃による銃撃を回避すると、態勢を立て直してすぐ背中に装備していたライフル銃を構えて、監視塔の看守に撃ち返した。

 グービンシーが放った銃弾は、遠くの高所である監視塔の看守の額に直撃し、見事看守を撃ち抜いた。

 だが、他の監視塔からも狙撃しようとする看守達がデンジャー・ヒールズを狙う。

 するとMrコンプレスが指を鳴らして、自分達を狙撃しようとする看守達が立つ監視塔の大部分を圧縮して不安定にさせ、監視塔そのものを倒壊させた。

 崩れ落ちる監視塔から落下する看守達を遠目に視認して、グービンシーがMrコンプレスに言った。

「助かったぜ」「いえいえ、これぐらいお安い御用ですよ」

 グービンシーからの礼に、Mrコンプレスは余裕ある態度で返事した。

 そしてデンジャー・ヒールズ一行は、再びMrフェイクの小道具が収納されてる筈の保管庫へと駆け足で急ぐのだった。

 

 一方、デンジャー・ヒールズが暗躍している同時刻。

 精神疾患者収容施設の最深部の強固な監視体制を誇ってた、ある独房。

 先刻、トガヒミコ達が起こした集団脱走騒ぎで、この独房を見張ってた看守達も外の暴動を止めるべく離れていた時。

 最深部の独房から一人の精神異常者が深淵の中から現れた。

「……おや? なんだか騒がしいけど、お祭りじゃないよね」

 その精神異常者こそ、他でもないMrフェイク本人だった。

 

 

 

[潜入する二人の公安と駆け付ける鬼]

 

 デンジャー・ヒールズが内調の室長である学相子の命令で、収容施設内で収容者達の集団脱走騒動を起こした頃。

 収容施設が在る孤島から離れた上空では、公安警察である降谷零と風見裕也の二人を移送するステルスヘリが全速力で暴動が起きた収容施設へと飛来してた。

「降谷さん、まさか室長である学相子が仕掛けた、私たちが容易に収容所へと侵入できる手筈というのは……!」

「ああ、非常に有難迷惑ではあるが……どうやら、この収容者達の集団脱走による暴動がそうらしい。まったく、収容者達を脱走させて暴動を人為的に起こすなんて……!」

 ステルスヘリの中から、暴動で炎上する収容施設を遠視して警部補の風見裕也と上司である警部の降谷零は憤りを感じていた。

「……だけど、この機会しかなさそうだ。僕らが収容施設に侵入できるチャンスは……!」

「行きましょう、降谷さん! 内調の指示だとか、そんなのはどうでもいい! 貴方の機密情報が漏洩するのを防ぐ為にも、早々にMrフェイクの小道具を手に入れないと……!」

 上司である降谷零に強く発言する風見裕也に、降谷零も最終的に力強く頷いてステルスヘリを飛ばさせた。

 そして収容施設が混乱の最中に乗じて、降谷零と風見裕也はロープを伝って地上に降りて、収容者の私物保管庫へと足を急がせる。

 その道中、看守達が無残にも収容者達に惨殺されてる惨状を目の当たりにしながらも、二人は任務遂行の為に心を鬼にして立ち止まらなかった。

 だが、降谷零と風見裕也の二人が収容施設に隣接している収容者の私物保管庫に辿り着くと、保管庫を警備していた看守が既に何者かの手によって殺害されていた。

「降谷さん、これは……!」「……!」

 風見裕也と降谷零は保管庫の出入り口付近で死に絶えている看守の死体を見て愕然とした。

「……既に保管庫には何者かが侵入している様だ。用心しろ、風見」

「はッ」

 上司である降谷零に忠告され、風見裕也は降谷零と共に保管庫へと侵入する。

 

 その頃、降谷零と風見裕也の二人より先に保管庫に忍び込んでいるデンジャー・ヒールズは、血眼になってMrフェイクの小道具を探していた。

「クソっ、何処にあるんだよ!」

 自分達の脊髄に埋め込まれた爆弾を恐れてるのか、ガロウは必死になって木箱を強引に破壊して中を物色していく。

「ふむふむ、Mrフェイクだけではないんだな……ブラックホワイト、イーグル……おや? こんな物騒な代物まで所持してる精神異常者がいるのか……!」

 私物保管庫には、Mrフェイク以外のスーパー異常者(ヒール)の私物も保管されており、しかも保管されてる私物にはバズーカ砲などの重火器なども存在している現状にMrコンプレスが一驚していた。

「よいしょ、よいしょっと……あら? ヌイグルミがありましたわ! カワイイ」

 と、トガヒミコが私物品の中から可愛らしいピンクのクマのヌイグルミを発見して触っていると。

「! 危ない!」

 それを見たグービンシーが慌ててトガヒミコが持っていたヌイグルミを奪い取って遠くへ投げ飛ばした。するとクマのヌイグルミは爆発したのだ。

「ふぅ、危なかった……こいつはNEXT能力者のクリームが使ってた爆弾入りのヌイグルミだ。手りゅう弾みたいに爆発するのもあるから、気を付けろ」

 グービンシーからの注意に、流石のトガヒミコも茫然としてしまう。

 

 そんな収容者の私物を漁っているデンジャー・ヒールズを、物陰から遅れて侵入してきた降谷零と風見裕也が観察していた。

「降谷さん、どういう事なんでしょうか。あいつらは全員、日本の刑務所に身柄を拘束されている筈の危険な異常者(ヒール)達です。そんな奴らが何故ここに……!?」

「考えたくはないが……おそらく、あの学相子が僕らをこの収容施設に侵入させる手引きとして送り込んだ部隊として結成したんだろう」

「そ、そんな! あのグービンシーも、他の新世代型二次元人も危険極まりない連中だというのに……!」

「受け入れ難いが……多分、収容施設の集団脱走による暴動も、こいつらが収容者を解放して意図的に起こしたものだろう。僕たちと同様に、Mrフェイクの私物を盗み出す為に……」

「そんな……! どうします?」

「……今はアイツらを監視しつつ、Mrフェイクの私物を探させよう。あいつ等がMrフェイクの私物を見つけた時点で、私物を奪い取ればいい」

「な、なるほど。ハイエナの様に横取りする訳ですね」

「もっと、いい例えはないのかい? ……まあ、今はアイツらに探させながら、様子を見よう」

 こうして降谷零と風見裕也の二人は、デンジャー・ヒールズにMrフェイクの私物を探させてから奪取しようと息を潜めるのだった。

 

 その頃、孤島に聳える精神異常者収容施設から遠く離れたアニメタウン本州では。

 今宵もまたジャッジ・ザ・デーモンが黙々とアニメタウンで発生する凶悪事件の犯人を痛め付け、捕縛した後に警察に身柄を引き渡していた。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンが事件を解決させて、高性能ステルス機ジャッジウィングにグラップネルガンで搭乗してデーモンハビタットへ帰還しようとすると。

「ジャッジ・ザ・デーモン、ちょっと良いかしら?」

「どうした? キャシー」

 今では聖龍隊の通信支援部に入隊しているキャサリン・ルースこと別称キャシーからの連絡に答えるジャッジ・ザ・デーモン。

「今さっき、アニメタウンから離れている孤島の精神異常者収容施設から、緊急の警報通知が届いたのよ」

「なに……! 今現在、Mrフェイクも収容されてる精神異常者収容施設からか? まさか、Mrフェイクが脱走したとかか」

「いいえ、少し違うのよ。何者かの手引きで、収容施設に収容された精神異常者たちが集団脱走して、看守達を次々に惨殺してるって通報が来たのよ」

「なんだと……! 精神異常者が集団脱走とは、聞き捨てならない。それに、その集団脱走に乗じてMrフェイクなんかの凶悪犯も逃げ出しかねない」

 キャサリンから連絡を受けたジャッジ・ザ・デーモンは、即座に自らが運転するジャッジウィングの進路を変更し、精神異常者収容施設へと急いだ。

「収容所で何かが起きている……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ、孤島の精神異常者収容施設へと向かうのだった。

 

 

 

[衝突する脱走者たちと警察]

 

 ジャッジ・ザ・デーモンが高性能ステルス機ジャッジウィングで、孤島である精神異常者収容施設へと急いでたその頃。

 収容施設からの警報を受けて、警察隊が孤島周辺を警備艇で包囲していた。

 すると収容施設が在る孤島と陸続きの埠頭へと、脱走者達が群がる様に押し寄せて、埠頭に就けている警備艇を奪い取って脱走しようと集団で襲撃する。

「役員や議員達からの許可が降りている! 全員、収容者達に発砲しろ!」

 この時、アニメタウン本部長のウェルズは別件で不在だったために、現場を指揮していた指揮官が警察隊に収容者への発砲許可を下ろす。

 そして警察隊は躊躇する事なく、群がってくる脱走してきた収容者達へと銃撃を開始した。

「うあッ!」「ぎゃあっ!」

 無数の銃弾を浴びて、次々に倒れていく収容者達。撃ち抜かれた収容者の中には、そのまま海へと落ちて、海を血で真っ赤に染め上げる。

 そんな警察隊の勝手な行動を、警備艇に乗って遅れて現場に駆け付けてくるウェルズ本部長が呆れた様子で見ていた。

「おいおい、何を勝手に撃っちゃってるんだ」

 呆れながらも現場に駆け付けたウェルズは、警官達に指示を出している指揮官に詰め寄る。

「おいおい。なに勝手に銃火器なんか撃っちゃってる訳!? 勝手な真似はするな!」

「し、しかしウェルズ本部長。これは既にアニメタウン役員や議員達からのお達しなのです! 許可なんですよ!?」

「チッ、上役場の人間からの命令かよ。どっちにしろ、これ以上の発砲は……」

 と、ウェルズが指揮官にこれ以上の銃撃をやめるよう促そうとした、その時。

 なんと収容施設から巨大な影が闇夜の中を駆け抜け、埠頭を全速力で突っ切っていく巨体の姿が。

「な、なんだアイツは!?」「ウオオッ」

 埠頭に降り立って収容施設に突入しようとした警官隊を蹴散らしながら、その巨体は埠頭を一直線に駆け抜ける。

「あ、アイツは……!」「キラー、タートル……!」

 指揮官とウェルズは、その巨体を視認して絶句した。

 キラータートル。あのレイニー・タートロイドの弟で、ワニガメの獣人。粗暴で残忍な性格で、人肉をも平気で食す獰猛な危険獣人。

 そのキラー・タートルが583cmをもある巨体で埠頭を駆け抜け、事もあろうにウェルズと指揮官が搭乗している警備艇へと突進してきてた。

「う、撃て撃て!」

 突進してくるキラー・タートルに恐れをなして、指揮官が警察隊に銃撃を命ずるが、強固な甲羅に阻まれてキラー・タートルに傷は付かなかった。

「ば、バカやめろ! キラー・タートルに銃弾なんか効かないぞ!」

 ウェルズが注意したのも空しく、その間にキラー・タートルは自分に向けて銃撃をしてきた警官隊が乗る警備艇を襲い、転覆させてしまう。

「うわっ!」

 海に警官達が放り出されるのを見届けたキラー・タートルは、過去に自分をジャッジ・ザ・デーモンと共に捕まえたウェルズを恨んで、再びウェルズ達が搭乗する警備艇へと突っ込んでくる。

「あ、あああっ!」

 遂には指揮官が怯え切り、その場に頭を抱えて丸まってしまう中、ウェルズだけは突進してくるキラー・タートルを直視する。

 と、キラー・タートルがウェルズが搭乗する警備艇に突っ込んでくる寸前、上空からジャッジウィングが飛来した。

 ウェルズが頭上のジャッジウィングに気付いた次の瞬間、ジャッジウィングから鋼鉄製の網が放たれて、埠頭を駆け抜けていたキラー・タートルにその鋼鉄製の網が絡み付いて動きを封じる。

「く、クソッ! 引き千切れねえ……!」

 普通の網なら自慢の怪力で引き千切れるが、鋼鉄製の網を自力で引き千切れずに困惑するキラー・タートル。

 するとキラー・タートルを捕縛する鋼鉄製の網に搭載されてる装置から、高圧電流が流れてキラー・タートルを感電させる。

「ぐあああッ!」

 高圧電流で感電したキラー・タートルは、そのまま気を失った。

 そして、キラー・タートルが完全に気を失ったのを確認したジャッジ・ザ・デーモンは、上空にジャッジウイングを待機させて機体から飛び降りて収容施設へと単身突入するのだった。

 

 

 

[激突! デンジャー・ヒールズVS公安VSジャッジ・ザ・デーモン]

 

 その頃、ジャッジ・ザ・デーモンが収容施設へと突入した事など知らずにいたデンジャー・ヒールズの面々は、相も変わらず収容者の私物保管庫を漁ってた。

 そんなデンジャー・ヒールズの乱雑ぶりを、公安である降谷零と風見裕也の二人が物陰から踏み込む機会を窺う。

 懸命に品々を物色するデンジャー・ヒールズ。するとその時。

「あったぞ!」と、荼毘(たび)が声を挙げる。

 デンジャー・ヒールズの面々が荼毘(たび)の許へと集まると、彼が見付けた木箱の中にはMrフェイクが使用しているFの形状をしたステッキなどの小道具が納められてた。

「どれだ? どれが機密情報が入ってる小道具なんだ!?」

 ガロウが様々な小道具の中で、Mrフェイクが内調から盗み出した機密情報が入っているメモリーなのか迷っていると、グービンシーがFの形状をしているステッキを手に取った。

 そして皆が見ている前で、グービンシーはステッキのFの形状部分を回して、ネジの様に回し取って見せた。

「コイツが……機密情報が入ったメモリーだ」

 Mrフェイクが使用しているステッキの取っ手部分であるFの箇所こそ、機密情報が入ったメモリーだと見抜いたグービンシーは、それを懐に仕舞い込んで急ぎこの場から離れようとした。

 

 が、その時だった。

「動くな!」『!』

 突然、自分達に掛けられる声に、グービンシーたちデンジャー・ヒールズは驚かされる。

 そしてデンジャー・ヒールズが声の方に振り向くと、そこには拳銃の銃口を向けて徐々に近付いてくる公安の降谷零と風見裕也の二人の姿があった。

「あらあら、これはイケメンのお兄さん♪ なんで此処に居るのかしら?」

 二枚目な降谷零に口説くかの様に話し掛けるトガヒミコに対し、降谷零と風見裕也の二人は拳銃を向けたまま睨み付ける。

「こっちが何者かはどうでもいい……! それよりも、お前達が見つけ出したMrフェイクのメモリーを大人しく渡すんだ!」

 名前も知らない降谷零からの問い掛けを聞いて、グービンシーが真相をついた。

「……そうか。お前達も、この記憶メモリーを狙ってる訳だな。しかも、俺達がMrフェイクの小道具を見付け出すのを見計らって、今まで傍観してたと見た……! まったく、ハイエナみたいな奴らだな」

「どう思われようと構わない。お前達には、そのメモリーは過ぎたものだ。此方に渡した方が利口だぞ」

 と、降谷零はグービンシーを説得させようとするが。

「……フン、それはできないな。こっちも内調から充てられた任務なんだ、生き残る為にもこのメモリーは渡せないな」

「! (やはり内調の……学相子が寄越した部隊なのか! こいつらは……!)」

「………………!」

 グービンシーの発言で、彼らデンジャー・ヒールズが内調が派遣させた部隊だと知って愕然とする風見裕也と目付きを鋭くさせる降谷零。

 デンジャー・ヒールズと公安の二人、双方が睨み合い、膠着状態が続く中、痺れを切らした荼毘(たび)が蒼炎の火球を考案の二人に向けて投げ付けた事で戦闘が開始された。

 荼毘(たび)の火球を避けた公安の降谷零と風見裕也の二人は、拳銃を発砲して応戦。それに続き、グービンシーも鋼鉄製の棍棒を振るって降谷零と交戦する。

 降谷零は交戦しながらも、微かな隙をついてグービンシーから機密情報が入ったメモリーを擦り盗って奪い取ろうとするが、グービンシーはそんな隙など見せず只管降谷零を棍棒で痛め付ける。

「ぐッ」「降谷さん!」

 圧倒される降谷零に加勢しようと風見裕也がグービンシーに拳銃を向けようとすると、そんな風見裕也の前にカニランテとガロウの二人が立ちはだかる。

「プクプク~~、お前の相手は俺達だ」

「見せてやる、怪人が勝つ瞬間をな!」

「ッ!」

 カニランテとガロウに阻まれ、降谷零に加勢できず苛立つ風見裕也。

 そんな風見裕也にカニランテとガロウは二人がかりで猛攻を仕掛けるが、風見裕也は攻撃を回避しつつ銃で反撃。しかしカニランテの外殻に阻まれ、銃撃は対して意味をなさない。

 一方で降谷零とグービンシーの二人は、接近戦で激しく激闘を繰り広げてた。

「なんで! お前らみたいなゴロツキが……ッ!」

「仕方ないだろ? ……俺たちみたいな悪党でも、政府は必要としてくれてるのが現実だ」

 激しく格闘し合いながら、降谷零とグービンシーが言い合っている最中、暇を持て余した荼毘(たび)が声をかける。

「なあ、俺たち暇なんだけど……どうしよっか?」

 するとグービンシーは何かを閃いたのか、荼毘(たび)に答える

「よし! 荼毘(たび)、お前らがコイツを始末しろ。能力者でない以上、簡単に殺せるだろ」

「よっしゃッ! 暇潰しに焼き尽くしてやるか。Mrコンプレス、あんたも手伝え!」

「はいはい」

 グービンシーからの命令に、荼毘(たび)は隣で傍観してたMrコンプレスと共に降谷零の前に立ちはだかる。

「き、君はまだ子供なのに犯罪に手を染めてるのか!?」

 降谷零が問い掛けると、荼毘(たび)は不敵な笑みを浮かべて返答した。

「うるせえ奴だな。ゴミならせめて、燃えて俺の薪となりやがれ」

 そうして荼毘(たび)とMrコンプレスは降谷零に全力で戦いを仕掛けていく。

 その一方で、グービンシーはその場からメモリーを持って一人立ち去ろうとするが。

「どこに行くんですの?」

 そんなグービンシーの前にトガヒミコが行く手を阻む。

「アイツらには時間稼ぎをしてもらって、その間に俺はメモリーを持って日本に戻るだけだ」

「あららぁ、今まで一緒に協力し合ったのに、そんな簡単に見捨てるんですの?」

「俺は傭兵……任務遂行の為なら、時として同じ隊の仲間……いや、俺には仲間なんて居ない。誰だろうと利用して、使い捨てるだけ。そう、俺自身が使い捨てされない為にな」

「わあ……! 素敵なお考えですこと! ますます貴方のファンになっちゃいますわ」

「………………」

 トガヒミコの反応に、流石のグービンシーも黙り込んでしまう。

 だがグービンシーは、そのままトガヒミコも放置して現場から立ち去ろうと再び駆け出すが。

 駆け出したグービンシーに暗闇から謎の投擲武器が飛来。だがグービンシーは瞬時に殺気を感じ取って回避し、立ち止まると武器が飛んできた方を睨み付ける。

 グービンシーが睨み付けた先には。紅く大きな瞳が不気味に暗闇で光る、異形の存在が山積みにされた収容者私物の荷物の上からグービンシー達を見下ろしてた。

「! ジャッジ・ザ・デーモン……!!」「えっ?」

 大きな紅い瞳をしている異形の人影を見上げ、グービンシーが驚くと彼の言葉にトガヒミコも一驚する。同じく他のデンジャー・ヒールズや公安の二人もジャッジ・ザ・デーモンの出現に驚愕する。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは山積みされた荷積みの上から床へと着地すると、グービンシーの前に立ちはだかる。

「グービンシー、何の意図があって収容者達を脱走させたのか知らないが、大人しくしてた方が身の為だぞ」

「ハッ、そういう訳にはいかないんだよ、ジャッジ・ザ・デーモン。どうせ俺たち悪党の意見なんて誰もマトモに取り合わないだろうから言うが、俺達は内調の室長様から直々の命で、この収容施設に潜り込んだんだ。何故か収容者達を解放して、混乱を起こせと訳の分からない命令も受けたがな」

(おそらく、公安の二人を忍び込ませる為に、脱走騒動を起こさせたんだろう)

 互いに睨み合いながら会話するジャッジ・ザ・デーモンとグービンシー。

 するとジャッジ・ザ・デーモンは拳を構えてグービンシー達に言う。

「どちらにしろ……此処に忍び込んできた連中、全員大人しく投降してもらうぞ」

「面倒だが……闘うしかないな」

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンとグービンシーも戦闘を始めてしまう。

 

 

 

[乱入する偽りの犯罪者]

 

 風見裕也をカニランテとガロウが、降谷零を荼毘(たび)とMrコンプレスに任せて、一人脱出しようとするグービンシーの前にジャッジ・ザ・デーモンが立ちはだかる。

 そんな乱闘を、一人山積みにされた木箱の頂上から腰を下ろして面白そうに観戦するトガヒミコ。

 完全に観戦者に徹するトガヒミコを尻目に、降谷零は荼毘(たび)とMrコンプレスからの猛攻を掻い潜りながら懸命に拳銃を発砲して応戦。だが此処で降谷零の銃弾が切れてしまい、降谷零は素早く拳銃に弾丸を装填しようとするが、そんな戸惑う降谷零が持つ拳銃に荼毘(たび)が蒼炎の火球を投げ付けて、降谷零の拳銃を燃やしてしまう。

「ッ!」

 拳銃を失い、激しく動揺する降谷零にMrコンプレスが指を鳴らして能力を発動させようとするが、そんなMrコンプレスに降谷零は拳を叩き込んで指を鳴らさせまいと応戦する。

「降谷さん……!」

 一方で風見裕也も、カニランテとガロウの武力に圧倒され、拳銃もカニランテによって弾き落されて無防備になってしまっていた。

 降谷零と風見裕也の二人が苦戦している頃、ジャッジ・ザ・デーモンはグービンシーと互角の闘いを強いられていた。

「いい加減、大人しくしろ。チャオ」「今は任務中だ……グービンシーと呼べ!」

 互いに武力で押し合うジャッジ・ザ・デーモンとグービンシーの二人の激闘は加速を極めていた。

 

 と、ガロウの武術で満身創痍になった風見裕也がカニランテによって首を切断されそうに。降谷零が荼毘(たび)とMrコンプレスの連携に苦しみ。ジャッジ・ザ・デーモンとグービンシーの激闘の最中。そんな三組の戦闘を山積みの木箱の上からトガヒミコが観戦している。その時。

「ワーーオッ、これはこれは。皆さん、こんな夜更けに乱闘パーティーとは実に賑やかだね」

『!!』

 突然の謎の声に、全員の戦闘と動きが止まり、そして視線が声の方へと向けられる。

 九人の視線が集中する暗闇の中から現れたのは、収容者用の衣服に身を包んだジャクソン・グレイシスことMrフェイク本人だった。

「Mrフェイク……!」「おいおい、また厄介なのが現れやがったぜ」

 互いに戦闘の手を止めてMrフェイクを凝視するジャッジ・ザ・デーモンとグービンシー。するとMrフェイクは愉快そうに話し出す。

「ふふっ、僕にも参加させてよ! こんな楽しそうなお遊戯会! 僕、小さい頃は誰とも遊べなかったんだよね」

 幼少期は、虐待紛いの軍事教育を施されたために、普通の子供の様に過ごせなかったMrフェイクの訴えにグービンシーが反論する。

「悪いがMrフェイク、文字通り俺はお前と遊んでやる暇はないんだよ」

「ふーーん、そう……でも、君の様な悪人が此処に忍び込んだって事は、もしかすると日本の諜報機関から僕が盗み出した機密情報を取り返せって命令で渋々ここに来たんじゃないの?」

「……! (すべてお見通しか……)」

「でもね、多分ね多分……君たちが見付けた僕の私物って、もしかして違うんじゃないのかな?」

「なに……ッ!?」

 Mrフェイクの不敵な問いかけにグービンシーが反応すると、Mrフェイクは暗闇に隠していた自身の右腕を月明かりに晒して自分の所持品を見せ付けた。

「なんだと!? そのステッキ……!」

 月明かりに照らされたMrフェイクが持つFの形状をしたステッキを目の当たりにして愕然とするグービンシーに、Mrフェイクは笑いながら答える。

「ふふふ、ははははッ。僕ってこの収容施設に何度も収容されちゃっているからね。押収された私物も、一つや二つじゃないんだよ」

 なんと先ほどグービンシーたちデンジャー・ヒールズが発見したMrフェイクの私物は、別件で収容施設が押収して保管してた品で、日本の機密情報が入ったメモリーではなかった。

「クソっ、別物か!」

 グービンシーは懐に仕舞ってたFの部品を床に叩き付けて壊す。

 するとMrフェイクは日本政府から盗み出した機密情報が記憶されているメモリー機能付きのステッキを陽気に回しながら、先ほどまで戦い合ってた面々へとスキップしながら近付いていく。

「ふんふんっ、退屈憂鬱な日常から、毎日楽しく賑やかに刺激をもらって、みんなと触れ合えちゃう♪ それこそ夢と理想の二次元界の素晴らしさ!」

 そう鼻歌を口ずさみながら近付いてくるMrフェイクを睨みながら、グービンシーが言い放った。

「お前ら! Mrフェイクからステッキを奪い取れ!」

 グービンシーの命令に、それぞれ降谷零や風見裕也と戦ってたデンジャー・ヒールズの面々は挙ってMrフェイクに襲い掛かる。

 しかしMrフェイクはステッキの先端を押し付けて、そこから強力な電撃を放出して相手を感電させて気絶させる。

「ぐはあッ!」

 なんと、あの荼毘(たび)ですら、Mrフェイクの電撃に感電して気を失ってしまう。

「ハハハッ、僕が普通の非能力者だからって油断し過ぎだよ。きゃはっ」

 荼毘(たび)やガロウを感電させて気絶させたMrフェイクは陽気に笑うばかり。

 更にMrフェイクはカニランテやMrコンプレスの攻撃を軽々と踊る様にかわしていく。

「ふふっ、君は僕とミスター被りしちゃってるね。悪いけど、そんな君は此処から先は離脱してもらおうかな」

 と、MrフェイクはMrコンプレスの背後に回ると、彼の背中にステッキの先端を押し当てて強力な電撃をお見舞い。Mrコンプレスは感電して完全に意識を失う。

「ハハハッ、これでミスターは僕だけになったから書くのも楽になったね!」

 メタ発言を言うMrフェイクだが、そんなMrフェイクにカニランテが迫る。

「このヤローー、プク」

 と、自分の首を切断しようと迫るカニランテに気付いてるのか、Mrフェイクは余裕でカニランテのハサミを回避して、ステッキで器用にカニランテの足を躓かせて転ばせる。

 すると此処で乱入してきたMrフェイクを、降谷零と風見裕也が共闘し合って殴り掛かる。が、Mrフェイクは軽い身のこなしで攻撃をかわし、更にステッキで器用に転ばしたりと好き放題。

「ふふっ、君らは確か「名探偵コナン」の二人だったね……君ら二人の秘密が二次元界に広がっちゃったら、コナン君たちはどうなっちゃうんだろうねぇ」

「「……!」」

 Mrフェイクの挑発に、表情を引きつらせて睨み付ける二人。

「二次元界に多くの死を招く秘密を撒き散らしちゃうよ……!」

 Mrフェイクは二次元界に多くの混乱と死を引き起こす為だけに、機密情報をばら撒こうと宣言する。

 

 それからも降谷零と風見裕也はMrフェイクに対して激しく殴り合いの闘争をするが、Mrフェイクはひょいひょいと攻撃をかわしながら嘲笑う。

 此処で痺れを切らした降谷零は、携帯してたジャックナイフを取り出してMrフェイクに切りかかる。

「降谷さん……!」

「おやおや、僕を殺しちゃう訳なの? 簡単に切れて理性を失っちゃうなんて、やっぱり君は心身ともにベビーフェイスだね」

 驚愕する風見裕也を尻目に、Mrフェイクは容易に殺意をむき出しにしてしまう降谷零をおちょくる。

 と、降谷零が本気でMrフェイクを殺傷する勢いでナイフを振り回してた、その時。

「うぎゃっ」

 なんと山積みにされた木箱の頂上から、ジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクに飛び掛かり、困惑するMrフェイクの頭を殴り付けて完全に気絶させた。

 そしてMrフェイクを気絶させると、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクが持ってたステッキを拾い上げる。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクのステッキを手に取った次の瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンの首元にナイフを押し当てる降谷零が囁いた。

「それをこっちに渡すんだ、ジャッジ・ザ・デーモン」

「おやおや、お前にしては珍しい。こんな脅迫まがいの、それも凶器を使って強奪しようとするなんてな」

 降谷零にナイフを押し当てられながらもジャッジ・ザ・デーモンは冷静さを保つ。

「そのステッキの中には日本の機密情報が入ってる。君は賢い人物だ、それを大人しく手渡してくれると思ってるんだが」

「時と場合による。お前達は揃いも揃って、この精神異常者収容施設を荒らしまくり、死人だって出している。これはお前ら公安や内調の罪状の元凶そのものだ」

「確かにそれはそうだ。アニメタウンの収容施設を荒らし、死人まで出してしまった事は謝罪する。だが、その情報は日本政府が所有するべき情報なんだ」

「ふぅ、相も変わらず一つの国家に……日本という国を愛しすぎているんだな、愛国者よ」

「でも君みたいに、他国の機密情報をネタに二次元人の人権や聖龍隊の権威を保持するほど度胸は持ってないよ………………小田原修司」

「………………果たして、今の日本に其処までの価値があるものかどうか」

 お互いに囁き声で対話する二人。ジャッジ・ザ・デーモンは今の日本に命を賭けて守る価値があるのか訊ねつつも、お互いに正体を知り合っている降谷零と無駄な争いを避ける為に、降谷零にMrフェイクのステッキを手渡そうと頭上に上げた、その時。

 なんとジャッジ・ザ・デーモンが降谷零にステッキを渡そうとしたところを、グービンシーが高々と跳躍して二人の頭上でステッキを強奪してしまった。

「「!」」

 愕然とするジャッジ・ザ・デーモンと降谷零。

「悪いが、これは俺が持ち帰らせてもらうぜ」

 そう言うとグービンシーはその場から駆け足で逃走。そんなグービンシーの後を追うように、カニランテとトガヒミコも逃走する。

「い、いけない!」

 降谷零は悪党達の思惑通りにさせたくない一心で、グービンシー達を追う。そんな降谷零の後を、ジャッジ・ザ・デーモンと風見裕也も追った。

 

 

 

[機密情報の破壊]

 

 日本政府の機密情報が保存されているMrフェイクのステッキを奪取したグービンシーは、カニランテとトガヒミコと共に精神異常者収容施設から脱出する。

 そんなグービンシー達の後を、降谷零とジャッジ・ザ・デーモンそして風見裕也も追走する。

 するとグービンシーは所持していた通信機を発信し、収容施設が在る孤島近くに待機している輸送ヘリを呼び寄せる。

「大人しくしろ! でなければ撃つ!」

 そんなグービンシーに降谷零が拳銃を向けて威圧するが、グービンシーは平然と装備している拳銃で降谷零が構える拳銃を狙撃して弾き落す。

「ッ!」「悪く思うな、ベビーフェイス」

 降谷零をおちょくりながら、グービンシーは再び駆け出す。

 するとグービンシーの呼び出しを受けて近海で待機していた輸送ヘリが、孤島の隅に滞空しながら後方部を開けてグービンシー到着を待っていた。

 全開になっている後方部の出入り口に飛び乗って、輸送ヘリに搭乗するグービンシー。そんなグービンシーに続き、トガヒミコとカニランテも輸送ヘリに飛び乗ろうとした。

「させるか!」

 するとジャッジ・ザ・デーモンがグラップネルガンを射出して、輸送ヘリに飛び乗ろうとするカニランテの左手にロープを巻き付けた。

「おお……っ!」

 左手をロープで拘束されたカニランテは、咄嗟に反対側の右手のハサミで輸送ヘリを挟んでしまい、その為に輸送ヘリは浮上できなくなった。

「く、くそっ! カニランテ、離せ!」

「い、嫌だ! 俺も一緒に行くプク~!」

 カニランテにハサミを離すように怒鳴り付けるグービンシーに対し、カニランテは自分も日本に戻ると必死に輸送ヘリに掴まる。

 と、グービンシーとカニランテが言い合っていると、輸送ヘリに掴まるカニランテの頭を降谷零が踏み越えて、輸送ヘリ内に飛び移る。

「降谷さん!」

 ジャッジ・ザ・デーモンがカニランテと引っ張り合いする最中、輸送ヘリに単身乗り込んだ降谷零を見て目を丸くする部下の風見裕也。

 そして輸送ヘリの中では、ヘリ内に飛び乗った降谷零とグービンシーが乱闘を始めてしまう。

 互いに一歩も引かない攻防をする中、今まで乱闘を傍観するばかりだったトガヒミコが押し殺していた欲求を解放する様に隠し持ってたナイフを取り出して、怪しげな笑みを浮かべて降谷零の急所を狙い出した。

「きゃははっ、もう我慢できませんわ……お兄さん、あなたを血で真っ赤に染め上げさせてくださいな……!」

「! (なんだ、この女の子……異常なまでに殺気立っている……!)」

 異様な雰囲気で自分を殺しにかかるトガヒミコの異常性を目の当たりにして、流石の降谷零も愕然とした。

 そんな降谷零に、グービンシーは絶えず拳を殴り付ける。如何に降谷零がトガヒミコに背後を取られて、しがみ付かれながらナイフで滅多刺しにされていながらもグービンシーの攻撃も収まる事はなかった。

 2対1という圧倒的不利な戦況で、降谷零はグービンシーとトガヒミコの両者から攻撃される中、ジャッジ・ザ・デーモンはカニランテを捕縛するロープを懸命に離さず、風見裕也も輸送ヘリに飛び乗れないかと立ち往生していた。

 

 そんな緊迫した状況を、日本国内から指示を出している学相子がグービンシーたちデンジャー・ヒールズに装備させたマイクとカメラで把握すると、彼女は決断を迫られていた。

「やむを得ないわね……ジャッジ・ザ・デーモンに日本の機密情報はもちろん、この件に内調や日本の公安が絡んでいる物的証拠を掴ませる訳にはいかないわ」

 すると学相子は目の前のパソコンを操作して、画面にカニランテの顔が映ったのを視認すると、キーボード横の赤いボタンを迷う事無く押した。

 学相子が日本国内で赤いボタンを押した瞬間、なんとアニメタウン領海の孤島で輸送ヘリに掴まってたカニランテの脊髄に埋め込まれた爆弾が爆発。

「ウッ!」「わあッ!」「きゃあっ」

 爆発したカニランテに怯み、グービンシーと降谷零とトガヒミコは爆風で機内奥へと吹き飛んでしまう。

 一方で同じく爆風に巻き込まれたジャッジ・ザ・デーモンと風見裕也も転倒してしまい、風見裕也の方は爆風で軽傷を負ってしまった。

 カニランテが目の前で爆発したのと同時に、輸送ヘリは上昇を開始。ジャッジ・ザ・デーモンは冷静にグラップネルガンを今度こそ輸送ヘリに絡み付かせて、輸送ヘリへと飛び乗った。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンが上昇する輸送ヘリの機内へと飛び移ると、機内では再びグービンシーと降谷零が乱闘していた。

「チッ、どうせ公安も俺らみたいに犯罪紛いの方法で機密情報を盗もうとしてたんだろ! 俺ら犯罪者のお仲間みたいな公安が出しゃばるな!」

「お前たち犯罪者と僕らを一緒にするな! 僕らは、あくまで日本の為に戦っているんだ!」

「へっ、その日本の内調から俺達は派遣されたんだぞ? それに関してはどう思う?」

「………………!」

 グービンシーからの指摘に、降谷零は言葉を詰まらせる。

 すると此処で機内に飛び移ってきたジャッジ・ザ・デーモンが、グービンシーと降谷零が綱引きの様に掴み合っているステッキを前に言った。

「お二人さん、そんなにステッキが欲しけりゃ……半分こにしたらどうだ?」

 次の瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンは手刀でグービンシーと降谷零が掴み合っているステッキを真ん中から半分に叩き折った。

「「!!」」

 このジャッジ・ザ・デーモンの行動に、グービンシーも降谷零も驚愕する。

「き、貴様! 何しやがる!!」

 突然のジャッジ・ザ・デーモンの行動に怒り、詰め寄ってくるグービンシーにジャッジ・ザ・デーモンは平然と言った。

「俺は争いそのものを罪と捉えている。故に、争いの元凶であったステッキを破壊したまでだ」

 このジャッジ・ザ・デーモンの思想に、グービンシーも降谷零も呆然とする。

「じ、ジャッジ・ザ・デーモン、いくらなんでも……」

 と、降谷零がジャッジ・ザ・デーモンに言葉を掛けようとした、その時。

「キャハハハハっ」「うわッ!」

 なんと降谷零の背後からトガヒミコが突如襲い掛かって、二人はそのままの勢いで輸送ヘリから海上へと落下してしまった。

「クソっ!」

 それを目の当たりにしたジャッジ・ザ・デーモンは、二人の後を追って自らも輸送ヘリから飛び降りる。

「ッ……仕方がない。壊れたが、一応は任務内容のステッキを半分奪還できたんだ。このまま日本に戻るぞ!」

 一方、輸送ヘリに残されたグービンシーは、半分に叩き折られたステッキを手に、日本へと戻るよう操縦士に伝えた。

 

 上空でグービンシーを乗せた輸送ヘリが日本へ帰投する最中、海上では。

「ぷはっ」

 海中から顔を出した降谷零が、背中に気絶しているトガヒミコを背負いながら、収容施設がある孤島の岸へと泳ぐ。

 そして岸へと辿り着いた降谷零は、そのまま気を失っているトガヒミコを海岸へと優しく降ろしてあげた。

「ふぅ、海に落ちる際、みぞおちに一発入れて気絶させたんだが……寝ている時は普通の女の子だな、この子」

 海へと落下する中、降谷零は自分を急襲したトガヒミコのみぞおちに拳を叩き込んで気絶させていた。

 そんな降谷零とトガヒミコの許に、ジャッジ・ザ・デーモンも泳いで海岸へと辿り着く。

「その様子だと、トガヒミコも無事な様だな」「ジャッジ・ザ・デーモン……」

 重要なMrフェイクのステッキを叩き折ったジャッジ・ザ・デーモンを見て、降谷零がジャッジ・ザ・デーモンを睨み付ける。

「ジャッジ・ザ・デーモン、なぜステッキを破壊した」

 眼光を鋭くしながら降谷零が問い掛けると、ジャッジ・ザ・デーモンは平然と返答した。

「さっきも言ったように、俺は争いそのものを罪だと思っている。故に、その争いの元凶を破壊したまでだ」

「なるほど……小田原修司が国連と結託して、日本と韓国の争いの原因だった尖閣諸島を国連の所有地にしてアジア州立刑務所に仕立てたのと同じか」

「それに近い。それ以外に………………お前にとっても、あのステッキの中に保存された情報は丸ごと消滅させた方が良かったんじゃないか。安室透」

「………………」

 ジャッジ・ザ・デーモンに、アニメタウンでの潜入任務時の偽名を指摘され、無言になる降谷零。

 と、其処に。

「降谷さーーん」「風見……!」

 一人残されていた降谷零の部下である風見裕也が駆け付けてきた。

 風見裕也と合流を果たす降谷零を視認し、ジャッジ・ザ・デーモンが降谷零に告げた。

「……あとはアニメタウン警察本部長のウェルズと上手くやってくれ。アイツなら、お前ら二人を悪い様にはしないだろう」

 そう言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンは頭上に呼び寄せたジャッジウイングにグラップネルガンを用いて飛び乗り、そのまま闇夜へと消えていった。

 

 その後、降谷零と風見裕也はアニメタウン警察によって身柄を一時的に預ける。

 同時に収容施設を強襲したデンジャー・ヒールズは、爆死したカニランテを除いたガロウとMrコンプレスと荼毘(たび)、そして海へと落下する際に気絶したトガヒミコだけがアニメタウン警察によって逮捕・拘束された。

 一人だけ、グービンシーのみが日本へと戻るのに成功した結果だった。

 

 

 

[デンジャー・ヒールズと内調の顛末]

 

 アニメタウン沖に在る孤島の精神異常者収容施設での集団暴動脱走事件は、施設内に異常者(ヒール)が侵入した事で発生したと公表された。

 精神異常者収容施設内でジャッジ・ザ・デーモンに頭部を強打されたMrフェイクは、再び収容施設へと投獄された。

 独立国家アニメタウンを統べる聖龍HEADとウッズ市長は、日本公安警察の降谷零と風見裕也の身柄をしばらく預かっていたが、外交及び降谷零が携わってる事件の内情から二人を日本へと返還させた。

 一方で、日本内閣情報調査室の指示で収容施設を強襲した異常者(ヒール)である面々は、聖龍隊の処置室で外科手術を行い、脊髄に埋め込まれてた超小型爆弾を除去された。

「はぁ……まさか内調の奴らが異常者(ヒール)を使ってまで、アニメタウンの収容施設を襲わせるとは……」

 身柄を拘束した異常者(ヒール)達の外科手術が無事に終わり、内調のやり方に疑問などを感じて呆れる聖龍隊総長のバーンズ。

「日本を始め、世界各国の機密情報を義兄さん……小田原修司が握ってる事で、日本はこれ以上自分達にとって不利になる機密情報が漏洩するのを、どうしても防ぎたかったんだろう」

 バーンズと共に外科手術を見守っていた聖龍隊参謀総長のジュニアも呆れた様子で言う。

「まあ、安室透……いや、降谷零と部下である風見裕也の身柄は日本政府に還すしかないだろうが」

「確かに。特に降谷零が追っている『黒の組織』の一件は二次元界でも大きいからね。降谷零は解放させるべきだろう」

「証拠というか、証人も居ないのと同じ。グービンシーは日本へと逃げちまったし、例え逃げていなかったり他の異常者(ヒール)が存命していようと、異常者(ヒール)の証言なんて信ぴょう性に欠けるし、日本の内調が指示して収容施設を襲撃させたことは立証できないだろうな」

「……内調の新室長に就任した学相子と、彼女が率いる内調は今後も動向を逐一注視しないといけないだろうね」

 聖龍隊の基地内を歩きながら、バーンズとジュニアは心労で疲れ切った様子だった。

 

 場所は変わって、日本内閣情報調査室の室長室では。

「……学相子室長、貴女が差し向けた異常者(ヒール)による秘密部隊の強襲で収容施設では多くの死傷者が出ました」

「………………」

 室長室に赴いた、アニメタウンから帰投した降谷零と風見裕也に対して学相子は黙然としていた。

 すると学相子は閉ざしていた口を開いて、二人に言った。

「……それで? 私にどうしろというの?」

「「………………」」

「解ってる筈よ。貴方たち二人だけじゃ、簡単に収容施設に侵入する事は困難だった筈。それを手助けしたのは、紛れもない私が結成したデンジャー・ヒールズのお陰。まあ、最後は貴方たちはもちろ、あのグービンシーも機密情報が記録されたMrフェイクのステッキを完全な形で持ち帰れなかったのは残念だけど、日本の機密情報が漏洩するのだけは免れた。これだけでも良かったんじゃないの?」

「「………………」」

「降谷零、貴方は今後もアニメタウンに潜入して安室透として情報を収集しなさい。そして風見裕也は、そんな降谷零をバックアップする事。いいわね」

 そう淡々と告げる学相子に、降谷零と風見裕也は最後に敬礼で合意を示すと、室長室から出ていった。

 

 降谷零と風見裕也に話し終えた学相子が、机に置かれてたコーヒーを手に取り、口まで運んで啜る。と、そこに。

「学相子」「!」

 突如、学相子の真横から彼女に声をかける者が。

 学相子がコーヒーを受け皿に戻して視線を向けると、彼女の真横にはジャッジ・ザ・デーモンがいつの間にか立っていた。

「あら、ジャッジ・ザ・デーモンじゃないの。何かしら?」

 ジャッジ・ザ・デーモンと向き合い、問い掛けるとジャッジ・ザ・デーモンは学相子に忠告した。

「日本の国益を重視し、それを護る為に行動する精神は評価できる。しかし精神的にも異常な異常者(ヒール)を束ねて部隊を結成させ、施設を強襲したのだけは頂けない。デンジャー・ヒールズが施設を強襲した事で、大勢の命が死傷した。無論、罪もない看守も含めてだ」

「………………」

「学相子、これは警告だ。あの部隊、デンジャー・ヒールズは解散させろ。聖龍隊に潰される前にな」

 ジャッジ・ザ・デーモンから送られた警告を聞き入れて、学相子は平然と態度と表情を変えることなくジャッジ・ザ・デーモンに返答した。

「……分かったわ。一応、今のところ異常者(ヒール)を使っての有効利用をするほどの危機はない訳だし、今だけはデンジャー・ヒールズは無くしておくわ、今のところはね」

「………………」

 あくまで日本にとっての有事や内密に処理したい案件がない現状では異常者(ヒール)を利用しないと返す学相子の言動に、ジャッジ・ザ・デーモンは彼女を今後も注視しなければならないと学相子を警戒する。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンに答えた学相子は、再び受け皿に置いたコーヒーカップを手に取り、口にコーヒーを運んで啜った。

 すると次の瞬間には、ジャッジ・ザ・デーモンは影も形も消えていた。

 コーヒーを飲み干した学相子は、一人室長室から見える景観を見詰めながら思慮に耽る。

「あなたたち聖龍隊が私たちアニメタウン以外の国家を見張っている様に、逆に私たちも貴方を見張っている事を忘れないようにね……小田原修司」

 

 世界に罪を犯した罪人が蔓延っている以上、ジャッジ・ザ・デーモンは必要である。

 だが同時に世界は奴の……小田原修司の秘密を狙っている事も事実である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、一人日本へと帰投したグービンシーはというと。

 Mrフェイクのステッキを半壊した状態であったとはいえ、持ち帰った功績から脊髄に埋め込まれた超小型爆弾を無事に除去してもらってた。

 しかし半壊したステッキから盗み出された機密情報が何なのかを識別する事だけはできず、グービンシーは再び投獄されてしまう。

 だが、そんなグービンシーの許にある日……。

「……あなたがインヤン・チャオ、またの名をグービンシーと言うようだね」

「ふぅ、ふぅ……そうだが、何の用だ?」

 グービンシーが一人牢屋の中で腕立てをしている中、牢屋の中のグービンシーに話し掛ける集団が。

「今現在、聖龍隊が異世界で悪政を行っている政権を打破する為に、その悪政による軍勢へと進攻している事は知っているかしら?」

「少しは耳にしている。確か、リヴィウス一世とかが治める晴れの国に反旗を起こしたラニ・アリステスの軍勢と、リオネス王国で人民を圧政している聖騎士たち、メルロマルクのマルティ王女とオルトクレイ王に、マクギリス・ファリドを筆頭とした反逆勢力から人民を解放する名目で、聖龍隊が動いているんだろ?」

「その晴れの国に反旗を起こした軍勢と、聖騎士達による結託した軍勢力だけど……彼らに手を貸す事で、私達の利益に繋がると考えている勢力があるのよ」

「ふんっ、どうせ異国の戦争に加担して利益を貪る武器商人の集いだろ。分り切っている事だぜ」

「その武器商人が、聖龍隊と対抗する軍事勢力を勝たせる為に、傭兵集団を結成したいと言ってるわ。当然、プロの傭兵である貴方にも協力を仰ぎたいと言ってるわ」

「………………」

「もう釈放の手続きは済ませているわ。インヤン・チャオ、いえグービンシー、思う存分戦える時よ」

 こうしてインヤン・チャオことグービンシーは再び解き放たれる事となったのであった。

 

 

 

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