聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回もアメコミとの共演です!
 あのダークナイトの宿敵の一人が、アニメタウンを拠点にしようと暗躍します。



自然を愛する者

[着々と建造される施設]

 

 

「ふふふ……このアニメタウンを、緑の楽園にしてみせるわ……!」

 そうアニメタウンの夜景を見渡せる高層階から、妖艶な赤毛の美女が夜景を見渡しながら怪しげに笑みを浮かべていた。

 

 

 

 以前、国連からの勅令を受けて、ジャッジ・ザ・デーモンを引き入れた聖龍隊を国連の統括下におく為アメリカのヒーロー達がアニメタウンへと制圧に来た日から数か月後の事。

 アニメタウン政権は、国連側と紆余曲折を得て和平にまで至り、国連側からアニメタウン領内に精神に異常を来たした異常者(ヒール)を収容する為の触法精神障碍者病棟を建設するよう条件として受け入れる。

 三つの島々に囲まれた小島に建設される触法精神障碍者病棟、通称タナトス・アサイラムを建設するに当たり、国連から支給された費用で元々小島に在った収容施設をタナトス・アサイラムとして運用する為、建設及び改装されるのだった。

 アニメタウン沖にある三つの島々は、手塚治虫キャラクター達が住まう【手塚アイランド】、隣接するのがタツノコプロのキャラクター達が住まう【タツノコ島】そして自然に恵まれてアニメタウン政府より特別自然保護区に認定されている【麗わし島】の三つ。この三つの島々に囲まれた小島に元から在った収容施設をタナトス・アサイラムへと改装されていた。

 小島に元から在った収容施設は、公表されてはいないものの、過去に日本の内閣情報調査室から派遣された傭兵達により、集団脱走事件が起こされて荒らされてからというもの、修復費用などの問題もあって着工されてはいなかったものの、国連からの出費によりタナトス・アサイラムへ改装して実用する事を条件に工事が着工したのだ。

 小島では着々と、火事などで焼けた建物を修繕し、タナトス・アサイラムへと改装される工事が進む。

 

 

 そして沖合に在る三つの島々に囲まれた小島から離れた、アニメタウン本土に在る聖龍隊の本部では。

「オレたちHEADの新世代型化計画は順調に進んでいるか?」

「うん、最初は危険視されてはいたけど、僕たち聖龍HEADにも小田原修司の遺伝子を組み込むと、どうなるのか調べたいという三次元界の研究者達の容認もあって、何とか遺伝子組み込みは行えそうだよ」

 聖龍隊本部では、総長バーンズの指揮の下、聖龍隊とアニメタウンを統率する聖龍HEADの新世代型二次元人化計画が進められてた。

 と、バーンズと参謀総長ジュニアが会話している所に、傍らにいたアッコが不満を零す。

「でも、なんで私だけ仲間外れなのかしら」

 アッコの疑問にバーンズが答える。

「アッコ、お前はあくまで二次元人の始祖の一人……そんなお前まで修司の遺伝を組み込まれて新世代型二次元人に変化したら、他の二次元人にどんな影響が出るか分からないんだから我慢しろ」

 そういう訳でアッコだけは二次元人の始祖という理由で新世代型二次元人化が見送られてた。この理由に、アッコは自分だけ仲間外れにされてる気分で拗ねてしまう。

「拗ねるな拗ねるな、いい歳した大人なんだから」

 子供の様にふくれっ面で拗ねるアッコに、バーンズが呆れながら言う。

 

 聖龍隊とアニメタウンを統治する聖龍HEADの面々は、総長バーンズにより、この先の新たな時代に適応するべく自分たち聖龍HEADも新世代型二次元人へと進化する必要があると説いた。

 新世代型二次元人になる事、それは前総長にして新世代型二次元人の始祖である小田原修司の遺伝子を自分達の体に組み込み、修司と義兄弟の契りを結ぶ事となる。

 しかしバーンズたち聖龍HEADは、新たな時代に適応すべく、そして何よりもこの先より多くの人命を護れるようになる為にも、修司の遺伝子を自分達の肉体に組み込む事を決意するのだった。

 だが、加賀美あつこだけは例外として除外された。何故ならアッコは変身ヒロインや能力者など、多くの二次元人の始祖である為、そんな彼女に修司は元より三次元人の遺伝子を組み込めば、他の二次元人にどの様な影響が出るのか予測できない為に小田原修司の遺伝子組み込みは除外されたのだ。

 これにアッコ本人は少しばかり気分を害するが、バーンズ達の説得で納得した。

 

 そんな着々と聖龍HEADの新世代型二次元人化が進む中、新世代型二次元人へと生まれ変わったバーンズとジュニアを見てアッコが目を輝かせる。

「わあ……っ! バーンズにジュニア、二人とも見た目が一新されて素敵よ!」

「へへっ、オレもジュニアも見違えただろ?」

「なんだか慣れないと、今の自分の容姿が落ち着かないね」

 アッコの言動に、バーンズもジュニアも慣れない様子で少々照れてた。

 と、ここでアッコはある事に気付いてバーンズとジュニアに訊ねた。

「あ、ねえバーンズ、ジュニア。前々からなんだけど、今日も修司の姿見かけないけど、修司どうしたの?」

 この質問にバーンズとジュニアは顔を見合わせて答えた。

「修司の奴か……例の一件以来、オレらと顔を合わせるのが気まずいみたいで、ずっとデーモンハビタットに籠りながら黙々とジャッジ・ザ・デーモンとしての活動に専念しているぜ」

「例の一件で、あの……」

「ああ。義兄さんは、あの大戦以降、僕たちHEADと顔を合わせてなくて……自分から壁を作って、距離を置いちゃってて……」

「………………」

 バーンズとジュニアの返答を聞いて、アッコは悲しそうな表情を浮かべるのだった。

 

 そしてアッコはその足で、修司ことジャッジ・ザ・デーモンが秘密裏に活動している鬼の住処デーモンハビタットの洞窟に赴いた。

 アッコが洞窟内の作業場まで足を運ぶと、修司はジャッジ・ザ・デーモンのデーモンスーツを着用して武器の調整作業を行ってた。

「……修司」「アッコか……」

 一人、デーモンハビタットで作業に没頭してたジャッジ・ザ・デーモンにアッコが話し掛ける。

「修司、まだ気にしてるの? ……私たちHEADとアメコミヒーロー達の戦いを止める為に、私達にまで暴力を振るった事……」

「いや、気にしてはいない。ただ、俺の中であの行動が正解だったのか、疑問には思っているがな」

 ジャッジ・ザ・デーモンが気にしているのは、以前聖龍HEADとアメコミヒーロー達がお互い譲れない理由から衝突し合い、戦い合ってしまった大戦の事だった。その大戦でジャッジ・ザ・デーモンは双方を止める為にも、アメコミヒーロー達と聖龍HEADの双方に容赦ない制裁という暴力を振るい大戦を制止させた。だが、ジャッジ・ザ・デーモンの中で双方に平等な制裁を与えたのは正解だったのか疑問に思う所だった。

「……修司、あの件は私はもちろん他のHEADのみんなだって、もう気にしちゃいないわ。そもそも、修司がああしてまで制止してくれなきゃ、それこそ殺し合うまで戦闘が激化していただろうし、そういう意味では私もバーンズ達も感謝はしてる方なのよ」

「………………」

 背後から話し掛けるアッコの問い掛けに対し、ジャッジ・ザ・デーモンは黙々と作業に専念する。

「……修司、あまり自分を責めないでよ。貴方の悪い癖なんだから。そうやって自分で壁を作らないで、時には私達を頼ってもいいんだからね」

 そう優しく言葉をかけるアッコに対しても、ジャッジ・ザ・デーモンは寡黙に淡々と作業する有様に、アッコはそれ以上何も言わずデーモンハビタットから立ち去るのだった。

 

 

 

[犯罪を犯す聖龍隊士たち]

 

 その晩の事。

 デーモンハビタットにアニメタウン内で事件が発生した事を報せる警報が鳴り響き、ジャッジ・ザ・デーモンが高性能車両ジャッジ・モービルに搭乗して事件現場へと駆け付ける。

 

 そして事件現場にジャッジ・ザ・デーモンは到着。現場は、山林に隣接する工業地帯だった。

 颯爽とジャッジ・モービルから降りたジャッジ・ザ・デーモンは、闇夜の中から現場で何が起こってるか視認する。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンが見渡していると、とある工場から爆音と煙が上がっているのをジャッジ・ザ・デーモンは認識する。

 即行でジャッジ・ザ・デーモンは爆音が上がる工場へと駆け付けると、工場の大半が無残にも破壊されていた。

「これは……」

 半壊されている工場を見渡して、深々と観察するジャッジ・ザ・デーモンが立ち尽くしていると。

 工場の最深部から再び爆音が響いてきた。

「!」

 何者かが未だに工場を破壊しているのかと勘繰ったジャッジ・ザ・デーモンは、工場の最深部へと駆け抜ける。

 そして工場最深部へと移動したジャッジ・ザ・デーモンの視界に、工場を手当たり次第に破壊している人影が見受けられた。

「誰だ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは素早くジャッジラングを投げ付けて工場を破壊している人影に直撃させる。

 ジャッジラングが直撃した人影は、頭を押さえながらジャッジ・ザ・デーモンの前まで歩み寄ってきた。しかも人影は一人ではなく、三人だった。

 闇夜から現れる三人を視認したジャッジ・ザ・デーモンは、俄かには信じがたい光景を目撃する。

「!! お前達は……!」

 闇夜から現れた三人の人影、それはなんと聖龍隊の隊士である爆豪勝己と木之元桃矢と月野進悟だったのだ。

 驚愕するジャッジ・ザ・デーモンが目を凝らして三人の様子を観察してみると、三人とも目が虚ろで生気が無かった。

(操られているのか……!)

 生気のない瞳を見て、ジャッジ・ザ・デーモンは三人とも何者かに操られている様子だと直感する。

 すると、三人を注意深く観察してたジャッジ・ザ・デーモンに三人が突如襲い掛かってきた。

「!」

 爆轟の爆裂パンチを避け、木之元桃矢と月野進悟の攻撃をかわしながらジャッジ・ザ・デーモンは考える。

(今は兎に角、コイツらを気絶させるしかないようだな)

 ジャッジ・ザ・デーモンは冷静に、三人を気絶させるしかないと判断し、三人と戦闘を始める。

 すると此処で桃矢と進悟の二人は、聖龍隊の装備品である長い棍棒を取り出して、ジャッジ・ザ・デーモンに殴り掛かかる。

 二人からの棒術をジャッジ・ザ・デーモンは両腕のブレードエッジで受け止めつつ流し、反撃を開始。

 一瞬の隙に桃矢と進悟の頭部に鋭い拳での一撃を浴びせるが、二人は洗脳されているのか簡単には気絶しない。

 しかも桃矢と進悟の二人と戦って最中、そこに爆豪勝己が攻撃を打ち込んでくる。

 狙われた頭への攻撃を回避したジャッジ・ザ・デーモンは、攻撃してきた爆豪勝己のみぞおちに拳を打ち込み、勝己を悶絶させる。

 勝己が悶絶して蹲った所へ、ジャッジ・ザ・デーモンは勝己の首後ろに踵落としを叩き込み、勝己を完全に気絶させた。

 難敵でもある能力者の爆豪勝己を気絶させたジャッジ・ザ・デーモンに、またしても桃矢と進悟の二人が棒術で攻撃を。

 ジャッジ・ザ・デーモンは桃矢と進悟の攻撃を避けると、蹴りで二人に反撃。ジャッジ・ザ・デーモンの強烈な蹴りを浴びて、桃矢と進悟の二人は地面に倒れ込む。

 地面に倒れ込んだ桃矢と進悟の上にジャッジ・ザ・デーモンは飛び乗る様に跨ると、二人の頭目掛けて拳を振り上げ、殴り付けて完全に気絶させた。

(しかし何故……屈強な聖龍隊の隊士がこんな真似を……)

 爆豪勝己と木之元桃矢と月野進悟の三人を気絶させて現場を制圧したジャッジ・ザ・デーモンは、一人何ゆえ聖龍隊の隊士が犯罪行為をしたのか疑問に思うのだった。

 

 そんなジャッジ・ザ・デーモンの戦闘を、遠くから見下ろす謎の人影には誰も気付かなかった。

「ジャッジ・ザ・デーモン……アイツを何とかしないとね」

 謎の人影は、そう呟くと闇夜へと消えていった。

 

 

 

[事件の黒幕]

 

 それからも何故か聖龍隊の隊士を中心に、時には一般市民も含まれた状態で大勢が洗脳されて、工業地帯や企業への攻撃が相次いだ。

 報道は、必ず事件を起こしたりして巻き込まれる聖龍隊の隊士に注目して面白おかしく事件を掘り起こした。

「まったく……! 事件の裏側には聖龍隊が関係しているみたいな記事にしやがって」

「仕方ないよ。洗脳されて事件を起こした人間には、必ず聖龍隊の隊士が含まれているんだもの」

 事件を調べる中の報道を見知って、バーンズとジュニアが疲れ切った表情で呟く。

 と、そこにセーラーマーキュリーとナースエンジェルがやって来た。

「よっ、どうだ? 最初の事件で工場を破壊してた三人の様子は……」

 バーンズが訊くと、マーキュリーが不安そうな顔で答える。

「今は落ち着いているけど……やっぱり、事件の時の記憶がないみたいなの」

 するとマーキュリーに続いてナースエンジェルも答える。

「精密検査したけど、何かしらの機械とかで操られてた痕跡は無かったから……やっぱり、洗脳系の能力で操られていたとしか思えないわ」

「うーーん……犯人の目的、そして何ゆえ聖龍隊の隊士が標的にされているのか解らねえとな」

 セーラーマーキュリーとナースエンジェルの返答を聞いて、バーンズは腕を組んで考え込む。

 更に、この事件を起こした聖龍隊士の中には新世代型二次元人も含まれていた為に、マスコミは「またも新世代型二次元人が犯罪の渦中に!?」などと面白おかしく吹聴して記事にしていた。

「……それじゃ、あなたも他の人たちと同様に、気付いたら犯罪現場で他の聖龍隊士に取り押さえられてたって訳ね?」

「は、はい……何だか、いい香りがしたと思ったら次の瞬間には意識が飛んで……いつもの睡眠障害だと思ったのですが、気付いたらあの会社に殴り込んで破壊行為してしまってて……」

 事件を調査している聖龍HEADのミラーガールが、事件を起こしてしまった新世代型の直枝理樹に聞き込みをしてた。

 ミラーガールも他の聖龍HEADも、多くの人々が嗅いだ「いい香り」という認識に注目してた。

 

 その頃、デーモンハビタットで一人コンピューターに向き合って事件を調査する修司がある事に気付いた。

「何処の工場も、深刻な自然破壊に繋がるとして問題視されている会社の工場じゃないか」

 なんと襲撃された工場や企業は、すべて深刻な自然破壊に繋がる行為を行っていたのだ。

「だが、なんで聖龍隊の隊士が必ず事件に巻き込まれる? 首謀者になにか意図があるのか……」 

 何ゆえ聖龍隊の隊士が必然的に洗脳されて事件に絡んでくるのか考え込む修司。

 と、その時。更に修司はある事実に気付いた。

「! 確か、聖龍隊の隊士も、隊士同様に洗脳された一般人も……誰も彼も男だ。女は一人として洗脳されていない」

 そう、今回の自然破壊を行ってた工場や企業を襲撃した洗脳された人々は、全員男である事実に気付いた修司。

 すると此処で修司が向き合ってたコンピューターに通知が来た。それはアニメタウン内での異常を報せる通知だった。

 修司がパソコンを操作して、画面に監視カメラの映像を映し出す。見てみると、なんと続々と人々がアニメタウン郊外の山中へと歩を進める映像だった。

「山中に何かあるのか」

 この異常事態に修司は素早くデーモンスーツを着用して、ジャッジ・ザ・デーモンへと姿を変えると一人現場であるアニメタウン郊外の山中へと急ぐ。

 

 早速人々が入っていく闇夜に包まれた山中の入り口、その小高い木の上から地上を歩く人々を双眼鏡で観察するジャッジ・ザ・デーモン。

(ふむ……やはり誰も彼も目に生気がない。操られているという訳か……)

 ジャッジ・ザ・デーモンは木から木へと移動して、山中を進む人々の頭上から彼らを追跡する。

 すると人々は、山中に置き去りにされた山小屋へと足を運び、屋内へと進んでた。

(おかしい……あの小さな小屋には大勢は入れないというのに……)

 不思議に思ったジャッジ・ザ・デーモンが、小屋に入っていく最後尾の人間が小屋へと入ったのを確認してから、小屋の入口へと舞い降りて中に忍び込む。

 山小屋に入ってみると、中には誰も居なかった。

(ふむ……もしかすると……)

 ジャッジ・ザ・デーモンは何かを察したのか、山小屋の屋内の床を調べ始める。すると床の裏側に空洞がある事が発覚。

 すぐさまジャッジ・ザ・デーモンが調べてみると、山小屋の床下に隠し戸があり、その戸を開いてみると奥まで進める空洞を発見。

 ジャッジ・ザ・デーモンは空洞を進んでみると、謎の広い空間へと出た。

「ここは……」

 広い空間を見渡すジャッジ・ザ・デーモン、其処は発光植物により洞内が照らされており、思いのほか明るかった。

 そしてこの空間に入っていった男たちは、皆揃ってまるで働きアリの様に作業していた。

(何をしてるんだ……?)

 ジャッジ・ザ・デーモンは高所へと上がって、洗脳された男たちが何をしているのかを遠視しようとした。

 が、その時。そんなジャッジ・ザ・デーモンの頭部に巨大な植物の固い種子が飛ばされ、それが後頭部に直撃したジャッジ・ザ・デーモンは思わず地面へと落下してしまう。

 地面に叩き落されたジャッジ・ザ・デーモンが顔を見上げると、それと同時に太い植物の蔦がジャッジ・ザ・デーモンを縛り上げて拘束してしまう。

「ふふふ、まさか聖龍隊の英雄を誘き寄せようとしたら、ジャッジ・ザ・デーモンが引っかかるなんて……」

「お前は……!」

 蔦で拘束されたジャッジ・ザ・デーモンの前に現れた人物を見て、ジャッジ・ザ・デーモンは睨みを利かせた。

 

 葉っぱをモチーフにしたコスチュームに赤毛の髪の毛、妖艶な美貌を見せ付けるのは、あのバットマンの宿敵の一人である女性パメラ・アイズリー、別称ポイズン・アイビーであった。

 

 

 

[対峙する鬼と妖艶なる女]

 

 妖艶な美貌を誇るポイズン・アイビーと対峙するジャッジ・ザ・デーモン。

 しかしアイビーが操る蔦で拘束されて身動きができないジャッジ・ザ・デーモンに、ポイズン・アイビーが怪しげな笑みを浮かべて話し掛ける。

「ふふふ、ジャッジ・ザ・デーモン……あなたや聖龍隊の連中を誘き出す為に、敢えて男共を見付かりやすいように、この山中へと誘導していたのよ」

「なるほど、自然愛好家で環境破壊を嫌うアイビー、お前だったら自然破壊を行う会社や企業そしてその工場を破壊する様に洗脳した男たちに命令しても可笑しくないな」

 不敵に笑むポイズン・アイビーに、何とか自力で拘束を解こうとするジャッジ・ザ・デーモンが納得する。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンへポイズン・アイビーが微笑みながら話す。

「でも、あなたがどんなに頑張っても、今夜アニメタウンは終わる……これからこの地は、植物たちが繁栄する緑の楽園として生まれ変わるのよ」

「なんだと……!?」

 ポイズン・アイビーの発言にジャッジ・ザ・デーモンが睨みを利かせると、彼女は更に続けて明言した。

「私ね、水の中でも消えない特殊な洗脳用の胞子を作り出す事に成功したの。その胞子を、既にアニメタウンの水道管の中に流し込んで拡散させ……今夜、その胞子を一斉に操ってアニメタウン中の男共を洗脳して操った上で、アニメタウンの政権を転覆させようと思ってるのよ」

「! 水道管から拡散させた胞子を一斉に操って、アニメタウン中の男たちを洗脳し、政権を自分のものにしようというのか……! そんな事はさせないぞ」

「ふふっ、もう遅いわ。既に水道管から国中に胞子が拡散されて、空気中に散布されてる……あとは私の意思一つで、胞子が男たちを洗脳するだけで、この国は私の国に……そう、緑の楽園へと生まれ変わるのよ!」

「……!!」

 高らかに宣言するポイズン・アイビーの言葉に、ジャッジ・ザ・デーモンは愕然とする。

「だけどジャッジ・ザ・デーモン……あなたには残念だけど、私がアニメタウンの新たな女王に君臨する瞬間は拝ませられないわ。あのダークナイトと同様、あなたは何をするか分かったもんじゃない。だから悪いけど、あなたには此処で消えてもらうわね」

 そう告げると、ポイズン・アイビーはジャッジ・ザ・デーモンを拘束する蔦を操って、宙吊りにした上で巨大なウツボカズラへとジャッジ・ザ・デーモンを押し込もうとする。

「私が自作した、そのウツボカズラは植物でなければ鉄だって溶かすほどの強力な酸を溜め込んでいるわ。あなたは植物の養分として再利用してあげるのだから、感謝してほしいわ」

 そうジャッジ・ザ・デーモンに告げると、ポイズン・アイビーはジャッジ・ザ・デーモンを巨大ウツボカズラの中へと投入して、蓋を閉じさせてしまう。

「ッ……!」「酸素吸入が困難、自動供給装置を起動します」

 デーモンスーツが液体の中に浸かった事で、スーツに内蔵されている装置が反応して予め内蔵されている酸素ボンベから酸素が供給される様になった。

 だがそれでも巨大ウツボカズラの中でも未だに拘束している大きな蔦に体を巻かれて思うように動けないジャッジ・ザ・デーモンは脱出が困難だった。

「ふふっ、所詮ジャッジ・ザ・デーモンなんてこんなもの……ゴッサムのダークナイトより経験も腕も浅はかだわ」

 そう吐き捨てると、ポイズン・アイビーはジャッジ・ザ・デーモンを巨大ウツボカズラの中に放置したまま犯罪計画を実行するため去って行ってしまった。

 

 一方で、巨大ウツボカズラの中に投入されて強力な酸に溶かされるのが時間の問題であるジャッジ・ザ・デーモンはというと。

 一時ばかし、ジャッジラングで蔦を切り裂こうとするが、巨大ウツボカズラの中が暗い上に狭く、暗視ゴーグルもあまり意味をなさない現状に困惑するばかりだった。

 するとジャッジ・ザ・デーモンの脳裏に、まるで走馬灯の様に記憶が思い返されてきた。

 遠い昔、二次元界であるアニメタウンに来た事で、戦う必要のないアッコにまで戦士の宿命を与え、そして多くの二次元人の運命を大きく狂わせてきた自分。

 現政奉還では、いくら自分のクローンである新世代型二次元人を無造作に生み出された絶望感からと言えど、大戦を引き起こし、自分を受け入れてくれたミラーガールや多くの聖龍隊の仲間達も殺害した。

 そして今なお、二次元界を守る為、世界の平和を陰ながら守るためとはいえ、世界の歴史を一変させてしまう機密コレクション・シークレットを秘匿している点から、多くの有力者達から忌み嫌われている自分自身。

 更にヒーロー・ウォーではアメコミヒーロー側も聖龍HEADも、双方ともに手酷い制裁を与えて戦争を暴力で終らせた平等の制裁の象徴であるジャッジ・ザ・デーモン。

 そんな自分は本当に贖罪の意味でもジャッジ・ザ・デーモンを続けていいのか。ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司は思考に思考を重ねた。

 だが、遂に考えるのをやめたジャッジ・ザ・デーモンは、一人寂しく巨大ウツボカズラの中で自己嫌悪な人生を終わらせようと覚悟を決めた。その時。

 

(……うじ……しゅう、じ……)

(……誰だ? この声……懐かしく、そして温かい……)

 謎の声がジャッジ・ザ・デーモンの心中に響く。

(修司、修司……貴方はもう、独りじゃないのよ。私達が居る事を忘れないで……!)

 次の瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンの視界が眩いほどに照らされた。

「ッ!」

 巨大ウツボカズラの中から引きずり出されるジャッジ・ザ・デーモン。

「安全圏に帰還、自動供給装置を停止します」

 それと同時にデーモンスーツの酸素ボンベ供給装置が停止する。

 そして巨大ウツボカズラの酸から引きずり出されたジャッジ・ザ・デーモンが顔を見上げてみると、其処には。

 

「……! お前ら……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンを巨大ウツボカズラの中から引きずり出して救出したのは、他でもないキューティーハニー以外の聖龍HEADの面々だった。

「待ってて、いま体に巻き付いている蔦を切るから」

 そうミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンの体に巻き付いている蔦をミラーソードで切断しようとすると。

「あ、待ってミラーガール! まだそこら辺に広がったウツボカズラの酸をどうにかしないと、近付くだけで危険だよ」

「待ってて。今、私の水で中和してみるわ」

 ジュピターキッドがミラーガールを止めに入り、続いてウォーターフェアリーが水を散布して巨大ウツボカズラの酸を薄めて中和する。

 そしてウォーターフェアリーの水で酸が薄まったところに、改めてミラーガールが短剣でジャッジ・ザ・デーモンを拘束する蔦を切断して解放した。

「お前達……なんで……!?」

 と、ジャッジ・ザ・デーモンが信じられないといった心境で訊ねると、メタルバードが話し出す。

「相変わらず……お前は何もかも、独りで熟そうとしちまうな。それが失敗の元だって、なんで学習しないのかね?」

「………………」

 メタルバードの返答にジャッジ・ザ・デーモンが唖然としてると、メタルバードに続いてセーラームーンが笑顔で話し掛けてきた。

「修司くん、あなたは昔から十分すぎるほど頑張って来たじゃない! もちろん、独りじゃなく私達と一緒にね!」

 そうウィンクして話すセーラームーンの後に、ナースエンジェルとさくらが話す。

「ジャッジ・ザ・デーモン、貴方は昔から十分頑張って来たわ。その分、自分の心に数えきれないほどの傷を負ってまで、戦い抜いて……」

「でも、もう独りで頑張る必要はないんですからね! 私たちだって一緒にアニメタウンを護れるほど強くなったって知ってるでしょ?」

 健気に話し掛けるナースエンジェルとさくらの二人に励まされると、コレクターユイもジャッジ・ザ・デーモンに話し掛けた。

「誰だって独りじゃ何も成し遂げられない事ぐらい、修司くんだって大人なんだし理解しているでしょ!? 私たちも一緒に戦わせて」

 激励するコレクターユイに続き、魔法騎士の一人である獅堂光もジャッジ・ザ・デーモンに言った。

「みんなで力を合わせれば、どんな困難だって乗り越えられる……そう聖龍隊を結成して、多くの二次元人に教えたのは修司くん本人だよ!」

 優しい微笑みで、ちせもジャッジ・ザ・デーモンに話す。

「破壊と殺戮しか運命が無かった私にも、人を護れる運命を与えてくれた貴方に……今度は、私達が共に戦う運命を与えてみせるわ」

 ミュウイチゴと七海るちあの二人も優しい笑顔で話し掛ける。

「ジャッジ・ザ・デーモンとして、これからも激しい戦いに飛び込むのなら……」

「私たちも、その苦しみを半分だけでもいい……一緒に背負わせてください!」

 そしてローゼンメイデンの真紅も真剣な顔でジャッジ・ザ・デーモンに言う。

「ジャッジ・ザ・デーモンとして、これから先も犯罪と格闘する運命を進むというのなら……私たちHEADも協力は惜しまないわ」

 最後にジュピターキッドとウォーターフェアリー、そしてミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンに助言する。

「義兄さん……いや、ジャッジ・ザ・デーモン! 僕らも一緒に国を、アニメタウンを護って見せるよ!」

「貴方が私にも与えてくれた新しい運命、そして新しい故郷を……今度はみんなで一丸となって護りましょう!」

「修司、貴方はもう……独りじゃないのよ」

 そう告げるとミラーガールは、自然とジャッジ・ザ・デーモンに手を差し伸べる。

 目の前に差し伸べられたミラーガールの手に、ジャッジ・ザ・デーモンは一瞬戸惑いながらも利き手である右手で彼女の手を掴むと、そのままミラーガールに引っ張られる形で立ち上がった。

 

「さあ、一刻も早くポイズン・アイビーの悪事を止めるぞ」

 ジャッジ・ザ・デーモンの掛け声に、聖龍HEADは力強く頷いて同意するのだった。

 

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンはキューティーハニー以外の聖龍HEADと合流して、ポイズン・アイビーの悪事を止めに向かうのであった。

 

 

 

[対決! ポイズン・アイビーとの死闘]

 

 その頃、ポイズン・アイビーはというと。

 聖龍HEADがジャッジ・ザ・デーモンを救出している間に、街中に拡散した胞子を操って、街中の男達を洗脳し、洗脳した男たちを操って各所で暴動を起こさせていた。

「ふふふ、暴動を止めに来た聖龍隊の隊士も大体が男……屈強な聖龍隊の男たちも私の配下にしてやれば、もう私の計画を止める事は難しくなるわよ……! フフッ」

 各所で洗脳した男たちが起こす暴動を眺めながらポイズン・アイビーは微笑するばかりだった。

 

 と、ポイズン・アイビーがビルの屋上よりも高く自生させた巨大植物の上から、地上の暴動を静観していた時。

「スリープ(眠)!」

 なんと各所で起こっていた暴動が、男たちを一瞬の内に眠らせられた事で鎮静化されてしまった。

「っ!?」

 この事態にポイズン・アイビーは目を丸くして愕然とする。

 と、そんなポイズン・アイビーの近場にジャッジ・ザ・デーモンが聖龍HEADと共に駆け付ける。

「ポイズン・アイビー! 暴動は鎮静化された、観念するんだな」

「っ、ジャッジ・ザ・デーモン……! それに聖龍HEADまで……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンだけでなく、聖龍HEADも駆け付けてきた現状に苛立つポイズン・アイビー。

「ポイズン・アイビー! 私たち聖龍HEADがいる限り、アニメタウンで好き勝手はさせないわよ!」

 ミラーガールも啖呵を切ってポイズン・アイビーに言い放つと、ポイズン・アイビーはジャッジ・ザ・デーモンや聖龍HEADを睨み付けては自身が操る巨大な蔦で攻撃してきた。

 ポイズン・アイビーの蔦での攻撃に、ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADは一斉に散って、戦闘に突入。

 すると地上に降り立っジャッジ・ザ・デーモンにミラーガール達の前に、ポイズン・アイビーが洗脳する一般人が群がってきた。

「男共! ジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADを叩きのめしてちょうだい!」

 ポイズン・アイビーの命令で、洗脳されている男たちは、ジャッジ・ザ・デーモン達を取り囲んでは一斉に襲い掛かる。

「あまり手酷く痛め付けるな! 彼らは洗脳されているだけで、罪なき一般人なんだ!」

「言われなくても、解ってるわよ……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンが檄を飛ばすが、それにセーラーマーズが返答しながら美脚で襲い掛かってくる一般人を蹴り飛ばして応戦。

 すると群がってくる一般人の中には、聖龍隊の隊士の姿も目撃された。

「じゅ、ジュダルくん!?」「ゼブラ!」「し、賞……っ!」

 なんと目の前に立ちはだかるのは、【マギ】のジュダルに【トリコ】のゼブラ、そしてナースエンジェルの実弟である森谷賞の三人だった。

 セーラーマーキュリーはジュダルと、ゼブラは獅堂光たち三人の魔法騎士と、そして実弟である森谷賞をナースエンジェルが立ち向かう。

「ジュダルくん……! あなたが操られるなんて……!」

 セーラーマーキュリーは目に生気のないジュダルの攻撃を回避しながら、懸命にジュダルの目を覚まさせようと試みる。

「ぜ、ゼブラ……! お願い、目を覚まして!」

 大声で攻撃するゼブラに、龍咲海が呼びかけるが、完全にゼブラはポイズン・アイビーの手中だった。

「賞、お願い! 目を覚まして!」

 ポイズン・アイビーに洗脳されて戦う森谷賞に、姉であるナースエンジェルが訴えるが、賞は戦いをやめない。

 と、マーメイドプリンセス達がウォーターフェアリーと共に大量の水で暴徒と化してる一般人を押し流して鎮静化させていると、そんな彼女達に洗脳された聖龍隊士が銃撃してきた。

「危ないっ!」

 そんな銃撃をウォーターフェアリーが体を盾にしてマーメイドプリンセス達を庇い、全身に浴びた。だが彼女は流動体質系の能力者ゆえに物理攻撃は効かずに助かる。

「っ、洗脳された一般人だけでも厄介なのに、聖龍隊の隊士までも銃や刀で襲ってくるわ……!」

 真紅達ローゼンメイデンも、一般人や聖龍隊の隊士相手に苦戦を強いられてた。

 

 と、其処に。

「みんな! 一旦、私の近くに集まって!」

 と、ミラーガールが仲間を集合させる。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADが集まったところで、ミラーガールはミラー・シールドからバリアーを張って、自分を含めジャッジ・ザ・デーモンと聖龍HEADを囲んだ。

「さくらちゃん、今の内!」「はい!」

 ミラーガールの指示で、さくらが再びカードを発動させようと試みる。

「スリー……」「そうはさせないわ!」

 だが、ここでスリープ(眠)のカードを発動させて洗脳された人々を眠らせようとする、さくらの行動をポイズン・アイビーが邪魔した。

「あっ!」

 ポイズン・アイビーはさくらが持っていたスリープ(眠)のカードを、植物の蔦で奪い取る。

「同じ手は使わせないわよ」

 そう宣言するポイズン・アイビーに、セーラームーンが攻撃を仕掛けた。

「よくもカワイイうちの弟を操っちゃってくれたわね!」

 以前に、自分の実弟を洗脳して犯罪行為をさせたポイズン・アイビーと乱闘するセーラームーン。

「ッ、どうする!? ポイズン・アイビーを止めるのが先だが、それと同時に洗脳された一般人や隊士も相手しなきゃならねえ……!」

 メタルバードから問い詰められ、ジャッジ・ザ・デーモンは最終手段を講じる。

「こうなったら……ポイズン・アイビーが操る植物だけでも先に片付けるんだ!」

 このジャッジ・ザ・デーモンの指示に、セーラーマーズに獅堂光、木之元桜はそれぞれ炎をポイズン・アイビーが操る植物に向けて放った。

「! 私のカワイイ子供が……!」

 植物を我が子同然に愛するポイズン・アイビーが愕然としていると、そんな彼女の許にジュピターキッドが駆け付ける。

「……君が悪用した植物は燃え尽きた。大人しく投降してもらおうか」

 そう辛苦の思いでポイズン・アイビーに話し掛けるジュピターキッド。

 が、そんなジュピターキッドにポイズン・アイビーは隠し持っていた植物性の毒が詰まった注射器を手にして、ジュピターキッドの首元に突き刺した。

「ッ!」「ジュニア!」

 ジャッジ・ザ・デーモンとメタルバードが騒然とする中、倒れ込むジュピターキッドを見下ろしてポイズン・アイビーが勝ち誇った様な顔をしていると。

 なんとジュピターキッドの腕が動いて、ポイズン・アイビーの体に鞭を振るって、鞭を巻き付けて拘束してしまう。

「!?」

 死んだ筈のジュピターキッドが動いた事態に驚愕するポイズン・アイビーに、立ち上がったジュピターキッドは険しい顔で言った。

「あいにく、僕には植物性の毒素や薬は効かないんだよね」「っ……!」

 ジュピターキッドの台詞に、ポイズン・アイビーは苛立った表情を浮かべる。

 

 こうしてポイズン・アイビーは捕らえられ、洗脳されてた一般人や隊士も解放された。

「うぅ……頭がボーーッとするぜ……」

「このオレ様が、まさか洗脳されちまうとは……」

「と、いうか……HEADのみんなというか、姉ちゃんも、もうちょっと優しく攻撃してほしいぜ。イタタ……」

 ポイズン・アイビーに洗脳されていたジュダルにゼブラ、そして森谷賞は多少の生傷を負っただけで大事には至ってなかった。

 そしてコレクターズの三人が、特殊な拘束器具を両手に嵌めさせたポイズン・アイビーを武装警官達に渡して、彼女が連行されていきそうになる所にジュピターキッドが話し掛ける。

「ちょっと待ってくれ」

 ジュピターキッドの問い掛けに、ポイズン・アイビーは答え出す。

「ポイズン・アイビー、いやパメラ・アイズリー……君は過去に受けた実験で、子供ができない体にさせられたそうだね」

「そうよ、それがなに?」

「……君は、その過去の経験が切っ掛けで、自然を破壊する人間を……正確には、男が嫌いになったんじゃないのかい? だから男を道具の様に操る犯罪ばかり続けているんじゃ……」

「っ! それだけじゃないわ! 確かに私が男を嫌いなのは、それが切っ掛けだけど……それ以前に、人間は母なる大地を、自然を破壊し続けている! この地球の為にも、人間は滅ぶべきなのよ!」

「それで、我が子の様に大事に思ってる植物を犯罪の道具にするのかい?」

「っ……!」

「僕も確かに植物を用いて戦うけど、あくまで命を守る為に共生の意味も込めて使ってる。あなたの様に悪事の道具にする事が、果たして植物の……自然の為になるのだろうか」

「………………」

 ジュピターキッドからの問い掛けに、しばし沈黙するポイズン・アイビー。

 すると彼女は不敵な笑みを浮かべてジュピターキッドに反論した。

「……それでも、植物や自然はただ我欲の強い人間に破壊される前に、懸命に抗えるのよ。そもそも、私以上に植物を戦いに乱用するジュピターキッド、あなたが私に言えた義理はあるの?」

「………………」

「既に私は小田原修司の自伝小説を読んで知っているのよ。ジュピターキッド、あなたは幼い頃に人間の自然破壊が原因で起きた土砂災害で母親を亡くしているみたいね。そんなあなたが自然を破壊し続ける人間を守ってるなんて、死んだ母親が知ったら、どう思うかしら?」

「………………」

「あなた達、聖龍隊は自然と人間が共生できる未来を実現するという理想を掲げているけど、自然を破壊している人間なんて守る価値が本当にあるのかしら? 動物や植物を殺す人間を守ってるあなた達が自然を守る権利なんて、本当にあるのか疑問だわ」

 そう吐き捨てると、ポイズン・アイビーは言いたい事を言い尽くして、そのまま警官達に連行されていった。

 

「ジュニア……」

 ポイズン・アイビーの台詞を聞いて、静かに落胆するジュピターキッドをウォーターフェアリー達が見詰める。

 そしてジュピターキッドに言われた台詞は、同じく絶滅動物の保護活動をしているミュウミュウ達の心をも締め付けた。

 自然を守ると言いながら、その自然を破壊する人間を護るジュピターキッドやミュウミュウ達は苦悩する。

 

 と、聖龍HEADがポイズン・アイビーが言い残した台詞に悲痛を感じていると、ジャッジ・ザ・デーモンの通信に通報が入った。

「うむ、うむ………………また事件の様だ。今度は俺一人で十分だろう」

 そう言ってジャッジ・ザ・デーモンがその場からグラップネルガンで摩天楼の高所に昇ろうとすると。

「ジャッジ・ザ・デーモン!」

 ミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンに声をかける。

「ジャッジ・ザ・デーモン、解ってるわよね。貴方はもう……独りなんかじゃないって事を」

 そうミラーガールに言われたジャッジ・ザ・デーモンは、沈黙した後にこう言った。

「果たして……愛を感じられない俺に、繋がりは必要なのかね」

 そう冷たく言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンは摩天楼の高所へと昇って行って闇夜へと消えてしまう。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンを見詰めて、ミラーガールは静かに思うのだった。

 

(修司、貴方はもう昔と違う……昔と違って、今は独りじゃないのよ!)

 

 果たして、ミラーガールの悲痛な思いはジャッジ・ザ・デーモンに届くのであろうか。

 

 

[動き出す計画]

 

 

 

 

 

 そして連行されたポイズン・アイビーはというと。

 言わずもがな、精神に異常があるとして通常の刑務所には送れない事は決定事項。

 そんなポイズン・アイビーはアニメタウン沖の小島に建て直されたタナトス・アサイラムへと収監され、アメリカのゴッサムシティに在るアーカムアサイラムに移送されるまで隔離される事に。

 

 こうして無事にアニメタウン領内にタナトス・アサイラムが建設され、其処にポイズン・アイビーもアメリカに移送されるまで収監される事になり、聖龍隊もアニメタウン警察も安堵していた。

 だが、アニメタウン警察本部長に就任したウェルズは、このポイズン・アイビーの突然のアニメタウン襲来を重く受け止めていた。

「それにしても………………なんでアメリカ、ゴッサムシティの犯罪者がわざわざ海を越えてアニメタウンに来てるんだ?」

 ウェルズは、何ゆえポイズン・アイビーが海を越えてアニメタウンに来襲したのか疑問に思うのだった。

 

 一方で、ある場所では一人の愉悦な男が着々と計画を実行に移す段取りを組んでいた。

「ふふふ……ポイズン・アイビーも、ちゃんとアニメタウンに来てくれたね。これでアサイラムでのパーティーにご招待するお客さんは揃った……!」

 そう一人で怪しく笑む男は、自前のF型のステッキをくるくると回しながら陽気に面白がっていた。

 

 

 

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