聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド 作:セイントドラゴン・レジェンド
最後まで楽しんでくれたら嬉しいです。
[裁きの鬼の誕生]
昼間は夢と希望に満ちながらも、夜は犯罪と欲望で荒れるアニメタウン。
そんな人々の絶望を無くすため、一人の異形の姿に扮する戦士が現れた。
それこそ制裁の鬼、ジャッジ・ザ・デーモン。昼間は小田原修司として活躍し、夜はジャッジ・ザ・デーモンとして戦い続ける彼の信念は凄まじいものだった。
裁きの鬼は闇夜で暗躍する犯罪者や悪党達を的確に打破し、刑務所へと送っていた。
多くの悪党は既にジャッジ・ザ・デーモンに恐れを成していた。
だが、年々戦い続けるジャッジ・ザ・デーモンに抗う犯罪者は増加の一途を辿る。
これによりジャッジ・ザ・デーモンは、一人だけで犯罪者達と戦い続けるのには限界があると悟った。
こうしてジャッジ・ザ・デーモンは後進の育成にも励んだ。
その結果生まれたのが、純真な心を持つ次世代の戦士、村田順一が指揮するスター・コマンドー。
ジャッジ・ザ・デーモンとスター・コマンドーは互いに協力しながら日夜悪党達から世界の人々を守っていく。
だが、やがてスター・コマンドーにも巣立ちの時が来た。スター・コマンドーはその功績を認められ、日本の皇軍へと就任したのだ。
こうしてジャッジ・ザ・デーモンはまた一人で悪と戦う日々を送るのだった。
ジャッジ・ザ・デーモンの宿敵として挙げられるのが天才的知能指数を持つ狂人Mrフェイク。
ジャッジ・ザ・デーモンとは相反する、この犯罪者にはジャッジ・ザ・デーモンすらも苦戦を強いられる事が多かった。
だがMrフェイクは自業自得という結末で最後はこの世を去った。
こうして最大の宿敵との闘いを乗り越えたジャッジ・ザ・デーモンには、まだ思い悩むところがあった。
それは魔鏡聖女ミラーガールとの関係だった。
そう、やはり鬼も人の愛に飢えていたのだ。
それから毎夜、鬼と聖女は共闘し、悪漢達を叩きのめしていった。
そして同じ時を過ごしていく中で、ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールに求婚。ミラーガールは嬉しさで思わずジャッジ・ザ・デーモンに抱き着いた。
ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司とミラーガールである加賀美あつこの結婚を、周りのヒーローであるセーラー戦士達にキューティーハニー、そしてバーンズやジュニア達も心から祝福した。
しかしジャッジ・ザ・デーモンである小田原修司は思った。ジャッジ・ザ・デーモンは恐怖の制裁人に対して、他のヒーロー達は人々の希望の象徴でなければならない。ゆえに希望たるヒーロー達が居なくなる事はあってはならないと。
それから小田原修司は現場を離れ、後進の指導に徹した。それと同時に小田原修司は若かりしヒーロー鏑木楓を新たな現場を指揮するリーダーに就任させる。鏑木楓は自らをナデシコ・メイプルと名乗って多くの人々を救済する道へと邁進する。
こうして小田原修司と小田原あつこ、二人の夫妻は現役から退いた。
[新しい意志]
だが、本当の物語は小田原夫婦の間に男児が授かってから始まるのだった。
「修太……夜な夜な犯罪者と戦い、安眠できない日々をお前には送ってもらいたくはないが……」
父となった小田原修司は息子である修太を抱きながら顔を見詰めて話し掛ける。
「だが、日々悪党共が凶事を行い、弱者を苦しめる世界が横行する中、お前にも戦いの日々が訪れるかもしれない。その準備だけはしておこう……」
こうして小田原修司は息子である修太をまだ幼い頃から、様々な英才教育を施した。
父である小田原修司本人から、様々な格闘技を学び、更に多種多様な武器の扱いも会得させられた。
そして小田原修司には昔から頼れる仲間が居り、その仲間達からも多くの事を修太は教わった。
水野亜美からは水泳を始めとする指導や教育を。キューティーハニー達などの戦士からは剣術を。マーメイドプリンセス達からは潜水術などを学習した。
他にも春日結たちからコンピューターなどを学び、知識を会得して精通。その他には科学などを学した。
こうして日々、父である小田原修司を始めとする聖龍隊の精鋭達から様々な武術に学術を教育された修太は成長していった。
そしてある日、修太が10歳のころ。
小田原一家は聖龍隊とアニメタウンが共同して設立した「英雄博物館」に招待され、訪れてた。
「うわあ、凄い! 大英博物館よりも大きいんじゃない?」
博物館の館内を見渡した修太が興奮すると、母であるアッコが言った。
「それだけ人々から感謝されてるって事よ。ヒーロー達がいなかったら、世界はもっと酷いことになってたわ」
館内を観て回る小田原一家。そんな中、父である修司が修太に言った。
「修太、いつかお前も此処に並ぶかもしれないぞ」
しかし父の言葉に修太は反発する。
「その手には乗らないよ。別にヒーローをやってもいいけど、せめて義務教育を終えてからにしてよ。……それにさ、もし僕が別の職業に憧れたらどうする?」
「例えば?」
「例えば……科学者とか」
「犯罪捜査の基本は科学だ」
「それじゃ、レーサー!」
「ジャッジ・モービルは地上最速の乗り物だ」
そう展示されてるジャッジ・モービルの前で立ち止まる一家。
すると追い詰められた修太は、何かを閃いたのか指を鳴らして笑顔で言った。
「宇宙飛行士」
「俺たちが住んでる地球は銀河系の一部でパトロールの範囲内だ」
そう父である修司が言うと、修司は振り返って修太やアッコ共々背後に展示されてるガラスケース内の衣装に目をやる。
「ほら、父さんの親友の鉄腕バーディーだって銀河系を守ってきた」
しかし半ば強引に将来の選択肢を決めつける父親に修太は立腹してしまう。
「もうやめてよ! 自分の将来ぐらい自分で決めさせてッ」
腹を立てる修太に、母であるアッコが優しく話し掛ける。
「まあ修太、そんなに怒らないの。ほら、セーラー戦士やマーメイドプリンセスのコーナーにお友達がいるわよ。一緒に観て回ってきなさいよ」
そう母に言われて友達の存在に気付いた修太は、笑顔でちびうさや七海るきあ達の許へと駆け出した。
「……あの強情さは、俺に似ちゃったのかな」
落ち込む修司にアッコが笑顔で言った。
「芯の強さだって、あなたから受け継いでいるわ」
「そういうお前からも、愛情や優しさを受け継いでくれてるよ」
そう微笑みながら話し合う修司とアッコ。アッコは更に続けて修司に言伝する。
「修司、焦っちゃダメよ。あなたの悪い癖。子供はね、自分で決断して決めさせないとダメになっちゃうわ。見守ってあげましょう」
アッコからの言葉に元気を取り戻した修司は、夫婦水入らずで館内を周ろうとした。
が、その矢先。
突如として博物館全域が揺れ出して、なんと天井が爆発で吹き飛んでしまった。
館内にいた人々は混乱し、逃げ惑う。
そんな混乱の中、両親が気になった修太が駆け付ける。
「父さん! 母さん!」
すると修太の姿を見つけた母アッコが崩れ落ちた天井の瓦礫に隠れながら息子を呼ぶ。
「修太! こっちよ!」
急いで瓦礫の裏に駆け寄った修太は、母親と抱き合い安堵した。
一方で父である修司は瓦礫の裏から顔を覗かせて様子を窺っていると、崩落した天井から屋内にジェットエンジン付きの靴で飛んで侵入する謎の笑う男に目が向く。
「ひゃーーははははっ。パパが味気ない世の中から、おさらばしちゃったからボクちんがわざわざこうして博物館をぶっ潰す羽目になるとはねぇ……!」
男は笑顔で博物館内に侵入すると笑顔で宣言した。
「皆さん、どうも初めまして! ボクはMrフェイクの息子でーーすッ」
[乱入する息子?]
なんと英雄博物館に天井を爆破して侵入してきたのは、あのジャッジ・ザ・デーモンの宿敵であるMrフェイクの息子と名乗る男だった。
Mrフェイクの息子は「ゴッホン、ゴッホン!」とわざとらしい咳ばらいをしながら周りを見渡すと、博物館に展示されてたある品に注目した。
「おやおやおやっ!? パパの万能ステッキがなんでこんなところに飾られてるの? ……異議あり!」
そう叫ぶとMrフェイクの息子は、父が生前使ってたハンマーなどにも変形できる万能ステッキを収納しているガラスケースを蹴破って取り出し、ステッキをハンマーに変形させると手当たり次第に周囲の展示物を壊し始めた。
「ひゃはははっ」
愉快に愉悦に破壊行為を行うMrフェイクの息子の傍若無人な行為を陰で見詰める修司とアッコは密談する。
「Mrフェイクの息子? あんな狂人の息子を産む女性がいるのかしら?」
「当然、偽物だ! 辱めもなく……!」
アッコと修司が立腹してる最中、Mrフェイクの息子は館内を周ってた一般市民に暴力を振るおうとしていた。
「おバカなアニメタウンの連中の頭を一人ずつハンマーでゴチンと殴れば、みんなヒーロー達のこと忘れちゃうかな? ヒヒっ」
そう不敵に喋りながら、Mrフェイクの息子は怯えて動けないでいる市民にハンマーで殴りかかろうとした、その時。
「うわッ!」
殴りかかろうとハンマーを振り上げたMrフェイクの息子の後頭部にジャッジラングが直撃した。
Mrフェイクの息子が慌てて後ろを振り返ると、そこには威風堂々と立つ小田原修司の姿が。
「Mrフェイクの息子! いや、おそらく息子でもないだろうが、これ以上の横暴は見過ごせないぞ」
そう修司が言い放つと、Mrフェイクの息子は直撃した後頭部を擦りながら返事した。
「おやおや、あんたは確か小田原修司じゃないか。ふーーむ、あんたを嬲り殺せばパパも喜んでくれるかも」
Mrフェイクの息子は次の瞬間、小田原修司に襲い掛かった。
だが小田原修司はMrフェイクの息子の攻撃を容易くかわすと、そのまま勢いづくMrフェイクの息子の足を躓かせて転倒させる。
しかしMrフェイクの息子の猛攻は留まらず、修司と熱戦を繰り広げた。
「と、父さん!」「修太、よく見ておくんだ。悪党と戦う時は、どう立ち回ればいいのかを、な!」
息子の修太に熱弁しながら、小田原修司はMrフェイクの息子の顔面に強烈な拳での一撃を浴びせる。
「ぐはっ!」
顔面を殴られて吹っ飛ぶMrフェイクの息子。
「まったく、親子そろって……まあ、体術的には父親の方がまだ骨があったかな」
と、小田原修司はMrフェイクの息子の戦いぶりを評価してると、そこに修太が駆け寄る。
「父さん、大丈夫!?」
「修太、見てたか? これが悪党との戦い方だ」
「こんな時まで英才教育? そんな時じゃないでしょ、逃げないと!」
と、親子で言い合っていると、Mrフェイクの息子は展示されてた両端に文鎮が付いている鎖を修太目掛けて投げつける。
「修太、危ない!」
狙われた息子を押しのけて、父である修司が鎖に巻き付かれて身動きが取れなくなってしまう。
「と、父さん!」
修太は慌てて修司の体に巻き付く鎖を外そうとするが、そんな修太に父は言った。
「修太、慌てちゃいけない。こういうのは冷静に的確に少しずつ外していかないと……知恵の輪と同じだ」
「こんな時まで勉強はやめてよ!」
思わず父の説教に呆れてしまう修太。
と、そんな悶着してる小田原親子にMrフェイクの息子は迫るのだが。
「ぎゃッ!」
ハンマーで小田原親子を殴打しようと迫るMrフェイクの息子に、遠距離から円盤状の盾が遠投されて直撃した。
盾を投げ付けて夫と息子を守ったアッコは啖呵を切る。
「偽りの犯罪者の息子が、私の大事な夫と息子に手を出すなんて許さないわよ」
そう啖呵を切るアッコの勇姿は、かつてのミラーガールを彷彿させる。
「啖呵を切るお前も、また魅力的だ」
自分達を守ってくれたアッコに、修司は改めて惚れ直すのだった。
と、Mrフェイクの息子が更に万能ステッキを使って館内を荒らし回るのを目の当たりにして、小田原一家は立ち尽くす。
「ね、ねえ、どうするの?」
修太が訊くと、小田原修司は身近の破壊された展示棚に展示されてたヌンチャクを手に取って修太に渡そうとする。
「これを使え、訓練通りにな」「もうっ、こんな時まで!」
と、修太が怒ったその時、二人の足元に一個の球が転がってきた。
「な、なにこれ!?」
「爆弾だ。大丈夫、昔と同じ構造なら爆発する三秒前に遠くに投げれば何事もない」
そう息子に言うと小田原修司は足元に転がってきた球を掴んでは背後へと軽く放り投げる。すると言ったとおりに三秒後に球は爆発した。
「ほらな。昔から変わってない」
小田原修司が呟くと、爆発で舞い上がる黒煙の中からMrフェイクの息子が奇襲を仕掛ける。
小田原修司とアッコの夫婦は共闘してMrフェイクの息子に反撃する。
が、ここでMrフェイクの息子は無防備な小田原修太に狙いを定めた。
Mrフェイクの息子は展示品の一つである拳銃を手に取ると、銃口を修太に向けて発砲しようと引き金を引く。
「修太!」「修太っ!」「!」
父と母の叫びに修太は気付くが、Mrフェイクの息子は引き金を引く寸前だった。
しかし其処へ。引き金を引こうとするMrフェイクの息子の手から拳銃を蹴り落として発砲を防いだ人物が現れた。
Mrフェイクの息子は何者かと目を向けると、そこにいたのは和風女子を連想させる衣装の一人の女性だった。
「初めまして、Mrフェイクの息子さん。私が今の聖龍隊のリーダーを務める、ナデシコ・メイプルよ」
[悲劇の死]
騒然とする英雄博物館の館内にて。
遂に現役の英雄であるナデシコ・メイプルが駆け付け、Mrフェイクの息子と名乗る悪党と対峙する。
「おやおや、君が今をときめくヒーローのナデシコ・メイプルなんだね。こりゃまたなんとも……ベッピンさんだね」
「それはどうも。無駄かも知れないけど大人しく刑務所に入ってくれないかしら」
「いやいや! こんな美人なヒロインを前にして大人しく帰るなんて無粋な真似はできないよ……こんなに綺麗なら、さぞ血塗れにしたら、もっと美しいだろうね」
「ふぅ、そういうサイコパスなところは先代のMrフェイクと同じね」
一呼吸ため息をつくと、ナデシコ・メイプルはMrフェイクの息子と闘い始めた。
時にはお互いが所持している武器で攻め合ったり、時には展示されてる歴戦の犯罪者や英雄達の武器で両者は激しく闘い合う。
と、ナデシコ・メイプルが腕力でMrフェイクの息子を圧倒し、追い詰めるとMrフェイクの息子は不敵に微笑む。
「ふふ、フフフ……ッ」
「どうしちゃったのかしら? 殴られ過ぎて、もっとおかしくなっちゃったの?」
ナデシコ・メイプルが問い掛けると、Mrフェイクの息子は怪しく微笑しながら彼女に言った。
「ふふっ、ナデシコ・メイプル。ボクちゃんが何の準備もしないまま、この英雄博物館に乗り込んできたと本気で思ってるのかい?」
「なんですって……!?」
突然のMrフェイクの息子からの告白に衝撃を受けるナデシコ・メイプル。
すると次の瞬間、博物館の館内の至る所から爆発が起き、館内に居た人々は更に驚き混乱した。
「ひゃーーはははっ! こんな事もあろうかと、前々から爆弾を館内のあちこちに仕掛けておいたんだよね」
「なんてことを!」
と、Mrフェイクの息子にナデシコ・メイプルが飛び掛かろうとしたその時だった。
「と、父さん、母さん……!」
運悪く離れ離れになってしまってた小田原一家、そして修太の目の前で両親である修司とアッコが爆発する博物館の瓦礫が覆い被さって下敷きになってしまう。
「父さん! 母さん!」「っ!」
小田原夫婦が瓦礫の下敷きになったのを目の当たりにする修太とナデシコ・メイプル。
「ふはははっ! ナデシコ・メイプル、ボクちゃんに構ってる暇はないよ。急がないと小田原Jrも瓦礫に押し潰されちゃうよ……くーーひゃはははっ!」
そう告げるとMrフェイクの息子は侵入時と同じくジェットエンジン付きの靴で浮上すると、そのまま侵入してきた天井の穴から一人脱出してしまう。
「な、ナデシコ・メイプル! 父さんと母さんが……!」
修太は両親の事をナデシコ・メイプルに伝えるが、彼女は先に修太を助け出す選択をする。
「分かってるわ、まずはあなたが先よ」
そう言うとナデシコ・メイプルは修太を抱き抱えてグラップネルガンでMrフェイクの息子が脱出した天井の穴から、修太共々脱出。
そしてナデシコ・メイプルは修太を炎上する博物館から離れた場所で降ろす。
「ナデシコ・メイプル! 早く父さんと母さんを助けに行って!」
「ええ! 今いくわ!」
修太からの訴えに強く返答したナデシコ・メイプルは、急ぎ炎上する博物館内へと戻り、今度は小田原夫婦を救出しようと駆け足で走る。
だが、ナデシコ・メイプルが駆け付けようとしたその矢先。博物館は轟音を上げて大爆発。粉々に吹き飛んでしまった。
「そんな!」
博物館が原型を留めず爆発するのを目の当たりにし、ナデシコ・メイプルは悲観する。
「あ……っ!」
そして一人生き残った修太も、両親の存命が絶望的だと理解して膝から崩れ落ちる。
それから爆破された英雄博物館の残骸の中から小田原夫婦の死体が発見された。
残された小田原修太、そして夫婦を救えなかったナデシコ・メイプルこと鏑木楓、その他にも多くのヒーローやヒロインが小田原夫婦の死を嘆き悲しんだ。
こうして小田原夫婦は、悲劇の死という形でその生涯に幕を下ろした。
[生きていたアイツ]
小田原夫婦の葬儀が終わって早数日後の事。
聖龍隊の基地でナデシコ・メイプルこと鏑木楓がコンピューターでMrフェイクの息子が次にどんな事件を起こすのか調べてた。
「……修太くん、Mrフェイクの息子が何をしてるか分かったわ。アニメタウンに建てられたジャッジ・ザ・デーモンの石像に落書きなんかしているわ」
「………………」
修太に伝える楓だったが、当の修太は激しく後悔してる様子が見て取れた。
「……僕があの時、父さんの教え通りに博物館でもちゃんと戦えていたら……父さん母さん、二人とも生き延びれたかな……」
「修太くん……!」
悲観する修太に楓は歩み寄り、修太の話に耳を傾ける。
「父さんは僕にもジャッジ・ザ・デーモンの……犯罪者達を抑制させるべき役目を負わせようと今まで教育してきてくれた。でも僕には父さんの様な強固な意志も無ければ、母さんの様な慈愛の精神も持ち合わせちゃいない」
「修太くん……」
「はぁ、何より……僕には父さんみたいに全ての特殊能力を無力化できる闇の能力もないし、母さんみたいなサポートに秀でた防御系の魔法も使えない。こんな僕に何ができるっていうの?」
落ち込む修太を前に、楓は修太の目をじっと見詰めて説き明かす。
「確かに修太くんだけでなく、多くの人は無力よ。でも、それは私の様な能力者だって同じこと。大切なのは常人以上に力を持っていようといまいと、自分の心と向き合い、まっすぐに間違いなく生きていく事なのよ」
「でも……僕に力があれば、Mrフェイクの息子を止められたかもしれないし、それで父さんや母さんを救えたかもしれない……」
「人にはね、運命というものがあるの。如何なる力を持っていても変えようがない悲劇を、人は自分自身の力で乗り越えていかなきゃならないわ」
「だけど、父さんは母さんや他の聖龍隊の人たちと協力して、多くの二次元人の非業の運命を変えていったって聞いてるけど……」
「……確かにあなたのお父さん、修司さんの尽力で私を含む多くの二次元人達が導かれて今を生きているわ。だけど、それはあくまで一例。本来は自分の力で悲劇という壁を乗り越え、自力で前へと突き進まなきゃならないの!」
そう修太に説きながら、楓はマスクを装着して微笑んで言った。
「まっ、私もまだまだ乗り越えて強くなっていかなきゃいけないのは同じだけどね」
楓ことナデシコ・メイプルに説かれた修太は、彼女に訊ねる。
「楓さんは、これからどうするの?」
「Mrフェイクの息子を止めるわ。これ以上、アイツの好き勝手にはさせない!」
そう修太に告げると、ナデシコ・メイプルは颯爽と駆け出してMrフェイクの息子の許へと急ぐのだった。
「運命は、悲劇という壁は自力で乗り越えなければいけない。か……」
修太はナデシコ・メイプルから説かれた教示を胸に、生前父である修司が用意してくれてた伸縮自在で如何なる体躯であろうと着用できるジャッジ・ザ・デーモンのパワードスーツが納められたガラスケースに目を向けた。
その頃、Mrフェイクの息子はというと。
アニメタウンに建造されたジャッジ・ザ・デーモンの石像の顔部分その首元に薬品が充填されたカプセルを設置した上で面白おかしく顔にイタズラ書きして笑ってた。
「ハハッ、ハハハッ」
と、Mrフェイクの息子が落書きしながら笑ってると何処からともなく声が。
「笑っていられるのも今の内よ!」「?」
Mrフェイクの息子が振り返ると、ビルの屋上からナデシコ・メイプルが仁王立ちしてMrフェイクの息子に叫んでた。
ナデシコ・メイプルの存在に気付いたMrフェイクの息子は地上に降り、それに続いてナデシコ・メイプルもMrフェイクの息子と向き合う。
「ウヒヒ、おやおやナデシコ・メイプルじゃないか! どうしたのかな? 無謀にも助けれなかった小田原夫婦の敵討ちにでも来たのかな?」
「それだけじゃないわ! 今や平等の裁きの象徴となっているジャッジ・ザ・デーモンの石像に落書きなんかして……これは刑務所から中々出られないわよ」
「ウヒャヒャッ、そんなの……ボクちゃんが刑務所に入らなければ意味ないじゃないか!」
「だったら、私が入れてあげるわ!」
「まあまあ、そう急がない急がない。慌てず慌てず……ボクちゃんがこのアニメタウンの人々に与える混乱を見てちょうだいよ」
そうMrフェイクの息子が言うと、彼は所持してたスイッチを押して仕掛けておいたカラクリを起動する。それはジャッジ・ザ・デーモンの石像の口が大きく開いて、その口内から大砲の筒が出現したのだ。これを見たナデシコ・メイプルは、石像の首元に仕掛けられた薬品を視て咄嗟に理解する。
「まさか……! 混乱ガスでアニメタウンを覆い尽くそうっての!?」
Mrフェイクの息子が仕掛けた爆弾と薬品、そして口から出てる大砲の筒を見て、ナデシコ・メイプルは薬品を気化させて人々が混乱し自我を失う混乱ガスを散布する算段だと判断する。
するとMrフェイクの息子は笑顔でナデシコ・メイプルに言った。
「二人で考えたんだ。アニメタウンの連中がジャッジ・ザ・デーモンを始めとするヒーロー達の事を忘れるのには、頭のネジを外して混乱させるのが一番! みんな笑顔で気が狂えばいい……!」
「え? ちょっと待って。今あなたなんて言ったの? 二人……?」
と、ナデシコ・メイプルがMrフェイクの息子の発言に困惑していると「うッ!」なんと彼女の背後から電撃を浴びせてナデシコ・メイプルを気絶させる男が姿を現した。
「おやおや? ナデシコ・メイプル、気絶するほどボクが生きてたのが嬉しかったのかい? フハハハハハッ……」
ナデシコ・メイプルに電撃を浴びせて気絶させたのは、高齢とはいえ存命していたMrフェイク本人だった。
[新生ジャッジ・ザ・デーモン登場]
気絶したナデシコ・メイプルはジャッジ・ザ・デーモン像に鎖で縛り付けられ、そんな彼女にMrフェイクはオモチャの銃で吸盤を発射してナデシコ・メイプルの口に吸盤をくっ付けて遊ぶ。
「プッ」
思わず口をふさぐ吸盤を、息を噴き出すようにして外したナデシコ・メイプルに、地上で徐に立っている息子の傍らで吸盤を発射して遊ぶMrフェイクが高性能のゴーカート形式の乗り物に乗って不敵に微笑む。
「おやおや、やっとお目覚めかい、ナデシコ・メイプル。それとも父親の名を取って、こう呼んだ方がいいかな? ワイルド・メイプル……!」
「あ、あなた! なんで……、ッ!」
自分がワイルドタイガーの娘である事実を知っているMrフェイクに問い詰めようとするナデシコ・メイプルだったが、その前にMrフェイクによって再び口に吸盤を張り付けられてしまう。そんな彼女にMrフェイクは自然な振舞いで述べた。
「おや、なんで分かったかって? ……確かにボクはイカれてるかもしれないけどバカじゃない……! IQ280を舐めないでほしいね。ちょっとやそっと考えただけで、すぐに誰がどのヒーローの子なのかスグに分かる」
「ッ。そ、それじゃ、なんであなたは……、ッ!」
と、またしてもナデシコ・メイプルの質問を遮ったMrフェイクは喜々とした様子で答えた。
「なんでボクが生きているのかって? ……このボクMrフェイクは、例え荒ぶる海に放り出されようがサメに喰われようが……最後は生き永らえるんだよ! ……はぁ、でも今回は流石に堪えたけどね」
そう溜息混じりでMrフェイクは語り始めた。
「遂にボク自身が作ってきた毒物が、ボク自身の体を蝕む様になってね。医者からはあと六年の命だと宣告されたんだ。……まあ、だからその医者を六秒で殺しちゃったんだけどね。ハハハッ」
狂気染みたMrフェイクの告白を聞いて、ナデシコ・メイプルは再び口にくっ付いた吸盤を自力で外すと再度Mrフェイクに問うた。
「そ、それで……自分の息子と一緒にアニメタウンを襲いに来たわけなの!?」
訊ねられたMrフェイクは不思議そうな面持ちで息子の方を見て答えた。
「息子……? ああ、彼の事か。彼は行く先も無ければ帰る場所すらないタダの風来坊だよ。Mrフェイクの格好をさせてあげたら素晴らしい程の演技力でMrフェイクを演じてくれたよ。ファンがいるのはね、ヒーローだけじゃないの! 悪者にだってファンはいるんだよ!」
「それであなたは、宿敵だった修司さんと奥さんのアッコさんを亡き者にした訳ね!」
「あの夫婦は現役を引退した後も、ヒーロー達の活動を支援しようとしてきた。だからその前にボクらで片付けたんだよ。最後はジャッジ・ザ・デーモンの像から狂気ガスを放出して、みんなの頭のネジを外してヒーローなんて忘れさせるほどの恐怖と混沌を与えて、ヒーローという存在を抹消するんだ……!」
「あなたは何も解ってないわ。ヒーローは象徴であって個人じゃない。消す事なんて、できっこないわ!」
しかしナデシコ・メイプルがそう唱えると、Mrフェイクは懐からロングバレルの拳銃を取り出してナデシコ・メイプルに銃口を向ける。
「やってみないと分からないじゃない。バイバーーイ、ナデシコ・メイプルの楓ちゃん! あの世で小田原夫婦はもちろん、君のお母さんにも会えたら……宜しく伝えといてよ」
と、肉体が衰えてるMrフェイクがナデシコ・メイプルに銃口を向けて引き金を引こうとした。その時。
「ッ!」
何処からともなく飛んできた遠投武器がMrフェイクが構える拳銃に直撃し、Mrフェイクの手から拳銃が弾き落される。
唖然とするMrフェイクと息子の耳に、声が届いた。
「新生ジャッジ・ザ・デーモンも此処に居るぞ!」
その声にMrフェイクと息子はビルの高所へと目を向けると、其処には生前の父である小田原修司が遺したデーモンスーツを着用した修太の姿があった。
「はっはっは、これはこれは。坊やじゃないの」
一方のMrフェイクは、一目見て目の前のジャッジ・ザ・デーモンが小田原修太であると瞬時に察する。
するとジャッジ・ザ・デーモンは翼を広げて背中のジェットエンジンを吹かして、ジャッジ・ザ・デーモン像に縛り付けられてるナデシコ・メイプルの許まで飛行する。
「修太くん!?」
飛来してきたジャッジ・ザ・デーモンを前に、縛り付けられてるナデシコ・メイプルは驚いてた。そんな彼女に新生ジャッジ・ザ・デーモンは言った。
「僕、決めたよ。父さんや母さんの意志を継ぐよ。……で、ナデシコ・メイプル。僕は何をすればいい?」
ジャッジ・ザ・デーモンからの問い掛けに、ナデシコ・メイプルは真剣に返答した。
「Mrフェイクたちをお願い。私は混乱ガスの方を片付けるわ」
ナデシコ・メイプルからの返答にジャッジ・ザ・デーモンは頷くと、地上に着地してMrフェイクと息子の前に立ちはだかる。
「新入りくん。殺っちゃいな」
そう先代のMrフェイクから命じられ、二代目Mrフェイクは新生ジャッジ・ザ・デーモンの前へと歩み寄る。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイク、二代目同士の格闘が始まった。
「ボクもこうしてMrフェイクの格好してるから人の事は言えないけど、君も君でジャッジ・ザ・デーモンの衣装を着ればボクらと同等にやり合えると思うなんて笑っちゃうね」
「うるさい! これは僕が選んだ使命なんだ!」
二代目Mrフェイクと二代目ジャッジ・ザ・デーモンは互いに激しく格闘しながら接戦を繰り広げる。
「フフフ、なんだか思い出さないかいナデシコ・メイプル。君のお父さんや先代のジャッジ・ザ・デーモン達とボクら悪党の戦いぶりを……!」
先代Mrフェイクは二人格闘を観ながら背後の像に縛り付けているナデシコ・メイプルに語り掛ける。
「今まで何人か弟子や後継者を育んできたけど、ああして理性が欠落しながらもガッツのある弟子は中々現れなかった」
格闘を観ながら説き明かす先代Mrフェイク。
すると此処で二代目Mrフェイクが二代目ジャッジ・ザ・デーモンを殴り飛ばす。
二代目が先代のMrフェイクに顔を向けて指示を仰ぐと、先代のMrフェイクは不気味に笑みながら親指を真下に立てて二代目にジャッジ・ザ・デーモンを始末するよう合図を送る。
先代から抹殺指示を受けた二代目Mrフェイクは、隠し持ってた万能ステッキを取り出して、ステッキをハンマーに変形させて二代目ジャッジ・ザ・デーモンを殴り殺そうと迫る。
二代目ジャッジ・ザ・デーモンは最初こそハンマーでの攻撃をかわしていくが、遂に振り回されたハンマーに直撃して吹っ飛ばされてしまう。
地面に転倒する二代目ジャッジ・ザ・デーモンと、彼を追い詰めようと追撃する二代目Mrフェイク。二人の闘いを観戦する先代のMrフェイクが再びナデシコ・メイプルに語り掛ける。
「ふふふ、二人を見てると昔を思い出さないかい? 楓ちゃ……!」
しかし先代のMrフェイクが見上げてみると、既にナデシコ・メイプルは自分を縛り付けてた鎖を指先に仕込んであるバーナーで焼き切って抜け出し、ガスの発射を阻止する為に像をよじ登ってた。
そんなナデシコ・メイプルを視認して、先代Mrフェイクが自身が搭乗してる乗り物のスイッチを押すと、車輪部分が稼働してエンジンが噴き出して上昇。あっという間にナデシコ・メイプルの許へと急浮上する。
「やあやあ、ナデシコ・メイプル。せっかくの復活祭なんだ、余計な真似は野暮ってもんだよ」
そう言うと先代Mrフェイクは自分が搭乗する乗り物から電撃の光線を発射して、ナデシコ・メイプルに直射する。
「ッ!」
電撃を浴びたナデシコ・メイプルはそのまま地面へと落下。背中から地面に激突すると、そこに形勢逆転した二代目ジャッジ・ザ・デーモンと二代目Mrフェイクが。
二代目Mrフェイクは二代目ジャッジ・ザ・デーモンからの猛攻に追い詰められ、苦戦していた。
ジャッジ・ザ・デーモンとナデシコ・メイプルに取り囲まれる二代目Mrフェイクの背後に先代のMrフェイクが着地する。
「も、もう逃げましょうよ!」
背後の先代に訴える二代目Mrフェイク。しかし先代のMrフェイクは毅然とした顔で二代目に言い付ける。
「ルールその1。真の悪党たるものヒーローを前にして逃げることなかれ……ヒーローに敗北という失態または死を与えるまで逃げてはならない!」
先代に教示されたその直後、二代目Mrフェイクにジャッジ・ザ・デーモンが強烈な蹴りを入れて気絶させる。
すると一人になった先代Mrフェイクは懐から混乱ガスの発射スイッチを取り出して微笑む。
「ルールその2。本物はカウントダウンなんて野暮な真似はしない」
そう言うと先代Mrフェイクは秒読みもせず即座にスイッチを押して、ジャッジ・ザ・デーモン像の口から大量のガスを放射した。
「うひゃひゃひゃっ! 恐怖と混沌に呑み込まれちゃいな、ウヒヒッ」
ガスが街を覆い尽くそうとするのを目の当たりにして喜々として舞い上がる先代Mrフェイク。
と、この非常事態にナデシコ・メイプルはガスを放出するジャッジ・ザ・デーモンの像の首元に爆薬を仕込んだ遠投武器を投げ付け、ジャッジ・ザ・デーモン像の首元を爆破して破壊。首元を爆破された像の頭部は地上へと落下。
「あ、ああ?」
舞い上がってた先代Mrフェイクの目の前に、頭部は落下。そして不運にも先代Mrフェイクの眼前にジャッジ・ザ・デーモンの口から出てるガスを放出する大砲があった。
「ああ、なんでこうなるの」
先代Mrフェイクが呟いた次の瞬間、大量のガスが先代Mrフェイクに浴びせられた。
「……はは、ははははははっ……ぷはっ」
そして狂い笑った先代Mrフェイクの口から入れ歯が飛び出すとの同時に、先代Mrフェイクは気落ちする様に気を失った。
先代Mrフェイクの末路を見届けたナデシコ・メイプルの許に、二代目ジャッジ・ザ・デーモンが駆け寄る。
「ナデシコ・メイプル! 僕はどうだった? Mrフェイクは……」
ナデシコ・メイプルに問い掛けるジャッジ・ザ・デーモンに、彼女は笑顔で言った。
「あなたのお父さんなら、きっと……自業自得だって言うでしょうね」
「そ、それで……僕は?」
「まあまあってところかしら。でも、本当に大変なのは、これからよ。覚悟はできてる?」
「はい、大丈夫です! ヒーローだって、一人じゃダメなんです! 普通の人と同じで、協力し合い、助け合わないと」
こうして二代目ジャッジ・ザ・デーモンは先輩であるナデシコ・メイプルから認められた。
それから新生ジャッジ・ザ・デーモンとナデシコ・メイプルは共闘して多くの悪党を倒していった。
時には辛辣な思いを噛み締めながらも、弱者を救済するため二人は戦い続けた。
そして時は過ぎ、年老いたナデシコ・メイプルから正式に小田原修太が聖龍隊のリーダーを任命された。
修太は大いに期待に応え、そしてナデシコ・メイプルも現場から退いた。
更に時は過ぎ、遥か未来。
今宵も悪党達が銀行を強襲して悪事を働こうとしてた。
そんな悪党達の悪事を双眼鏡で監視するジャッジ・ザ・デーモンが言った。
「今夜も悪党達の暴挙を止めるぞ、ジャッジ・ザ・キッド」
するとジャッジ・ザ・デーモンの後ろから一人の男子が歩み寄る。
「正義の
そうしてジャッジ・ザ・デーモンは息子共々、夜の街へと飛んで行き、今宵も多くの弱者を悪から救済するのであった。
[物語の名は……]
……と、執筆してるアニメタウンの新市長ウッズの許に素顔以外はデーモンスーツに身に纏った小田原修司がやって来た。
「ウッズ、筆は進んでいるか?」
「はい、ボチボチとですが……」
「まさか自伝本を出した俺に釣られて、お前も小説を書くようになるとは」
「いえいえ、私のは単なる嗜み程度のものですよ」
と、会話をする修司とウッズだったが、ここで修司が険しい顔でウッズに言った。
「またMrフェイクたち悪党どもが何かを企んでいるとミラーガールから連絡が入った。これから合流して一緒に見張るつもりだ」
「ああ、だから今夜は一段とデーモンスーツが磨かれているんですね」
「?」
ウッズからの問い掛けに修司は険しい顔のまま唖然としてると、ウッズが修司に微笑んで言う。
「修司様、早く私や周りの人たちを安心させる意味合いも含めて、アッコさんとご結婚して幸せな家庭を築いてくださいよ」
このウッズからの要望に対し、修司はデーモンスーツの頭部のマスクを被りながら答えた。
「悪党共が、俺に結婚なんて猶予を与えてくれれば良いんだがな」
そう言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンに扮した小田原修司はミラーガールと合流するべく夜の街へと駆け出すのだった。
「本当に早く、結婚して未来へと物語を紡いでほしいものです」
そう呟くウッズの手元には、先ほどまで執筆してた小説が綴られた本があった。
その本のタイトルには既に題名が記されていた。
その題名こそ……
【未来へと託される意志】