聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド 作:セイントドラゴン・レジェンド
このシリーズでは既に名士「三枝一族」は破滅していますが、今回のオリキャラはその生き残りという設定です。
[三枝一族の遺産]
この日、アニメタウン裁判所にて。
新世代型二次元人の人権を守る新世代型委員会代表の鬼龍院皐月が雇ったやり手の弁護士同伴で、裁判に挑む二人の少女の姿が。
それは
「……では、
「「はい!」」
裁判官からの質問に、二人は真剣な面持ちで答える。
「では、本件の要である
そうして裁判官は、調停を終わらせた。
「グヒヒ……」
判決を受けて、三枝鷲雄は一人、不敵な笑みを浮かべて裁判所を後にする。
「……良いのか、二人とも。三枝一族の遺産を受け取らないなんて……」
「良いんです。あんな穢れた一族の、薄汚い遺産なんて受け取りたくもないし……そもそも、三枝一族に、もう関わりたくもないわ」
傍聴席から、二人の裁判のやり取りを見守ってた鬼龍院皐月が問い掛けると、
そして
「グヒヒ……(この金を元手に……!)」
怪しげで不敵な笑みを浮かべて、何やら思案している様子だった。
今や破滅を迎えた三枝一族が遺した遺産を巡る裁判は、これにて終幕した。
だが、同時にこの遺産で悪事を働こうとする邪悪な意思が芽生えていた。
[市長主催のチャリティーパーティー]
裁判から数か月経過したある日。
この日、聖龍隊の支援機関がアニメタウン新市長ウッズ・J・プラント主導の元、パーティー会場を借り切ってチャリティーパーティーを開催した。
主催者であるウッズは鼻歌混じりにパーティーの準備を、自らも率先して行う。
「さぁってと。今日は大勢の政財界の方々が来訪してくれるみたいだし、張り切らないと……」
そう自分からパーティーの準備を行ってるウッズに、今や聖龍隊の支援機関の一部に加わっている新世代型委員会の代表である鬼龍院皐月が、準備の進行具合を見る為に話し掛ける。
「ウッズ殿、準備はどうですかな?」
「ああ、皐月さん。準備は着々と進んでいますよ」
「それは何より! しかし、昔は我らが始祖である小田原修司の執事をしていたから、まだ分かるが……市長に就任した今なお、自ら率先して作業に取り組むとは……」
「私は昔も今も、誰かのお手伝いをしたり、誰かに仕えている方が性に合っているんですよ。市長に就任したのも、ある意味アニメタウンという理想の国に仕えるという名目で就任したみたいなものですし」
「流石ですな……! 我々、新世代型委員会も出資した、このチャリティーパーティーが無事に終わるといいですな!」
「はは、なに。聖龍隊の方々の警護もありますし、何よりいくら政財界の重鎮達が来ると言っても直接襲ってくるような輩はいないと思いますよ」
そう談笑し合う鬼龍院皐月とウッズ。
すると、其処に鬼龍院皐月の妹である纏流子がやって来た。
「ね、姉さん……これ、本当に着てなきゃならないのか?」
そう言ってやって来た流子は、全身漆黒の美しいドレスを纏っていた。
「うむ! 美しいぞ流子! 今回のチャリティーパーティーは、我々新世代型二次元人の晴れ舞台でもある! 如何に我々もアニメタウンの発展に貢献してるか、政財界の重鎮達に知らしめる必要があるからな!」
「だ、だからって……こんな派手なドレス、着慣れないぜ……」
纏流子のドレス姿を絶賛する鬼龍院皐月に対して、当の流子本人は不慣れな様子だった。
すると其処に今度は、今や聖龍隊のオペレートサポーターズすなわち後方支援通信部のキャサリン・ルースが駆け込んできた。
「ウッズさん! 玄関周りの準備はオーーケイよ!」
「ありがとうございます、キャサリンさん! すいませんね、オペレーターの仕事もあるというのに、パーティーの準備までさせてしまって」
「いえいえ。私たち新世代型二次元人が世間に認めてもらう為のパーティーでもありますからね!」
キャサリンはウッズに笑顔で話し返す。
「楽しみですね! パーティー」「ええ、本当ですね」
笑顔で談笑するキャサリンとウッズ。
今回のチャリティーパーティーは、未だに新世代型二次元人達を危険視する政財界の重鎮達に、彼ら新世代型の気配りや心遣いを知ってもらうためのパーティーでもあるのだ。
そしてその夕方、記者などの報道関係者も押し寄せてのチャリティーパーティーが開催された。
パーティーに出席する大勢の政財界の重鎮達を、市長であるウッズが出迎える。
そうしてパーティーに招待された客人たちを無事にパーティー会場へと迎え入れたと思いきや。
一台のリムジンが会場の前に押し寄せる報道陣の前に停車する。
報道陣が、何事かと呆然とリムジンを直視してみると、なぜかパーティーに招待されてない一人の小太りで大柄な体格の男が、屈強なボディーガード二人を護衛にしてリムジンから出てきた。
「ギャハハッ。さあ、名士である三枝鷲雄様のご登場だぞ!」
そう偉そうにリムジンから出てきた三枝鷲雄に、報道陣は注目した。
[悪しき名士の生き残り]
その頃、ウッズと聖龍隊の支援機関が出資して開いたチャリティーパーティーは誰もが満足してた。
その中には、招待された重鎮達を快く出迎えて談笑し合う聖龍HEADの姿も確認できる。
そして、パーティー参加者の中には、過去に様々な事件を起こした為に悪い意味で有名になった小田原修司も、仮面をつけて参加していた。
「修司殿、別に素顔を晒してもいいのでは……?」
「俺は過去、色んな過ちを犯してきた。そんな俺がチャリティーパーティーに出席するのは、どうも申し訳ないんでな……せめて、素顔は隠しておかないと」
鬼龍院皐月からの問いかけに、修司は複雑な心境で答えた。そもそも修司がパーティーに出席してるのは、アッコやウッズそれに新世代型二次元人達からお願いされての事。
と、修司が鬼龍院皐月と会話している頃、パーティー会場の別所ではバーンズたち聖龍HEADが政財界の重役達と対話していた。
「聖龍隊の日々の活躍には我々も称賛しています。しかし連続殺人鬼のジャッジ・ザ・デーモンを聖龍隊に加盟させて、その活動を支援するのはどうかと思うのだが……」
「は、はあ……まあ、オレ達の活動も幅広く展開していかなきゃならないので、人手不足って奴ですよ、はい」
政財界の重役からの質問攻めに、聖龍隊総長のバーンズは困惑するばかり。
そして質問攻めした政財界の重役が離れた隙に、バーンズと参謀総長のジュニアは密談した。
「しかし、まあ……まさかチャリティーパーティーでも、ジャッジ・ザ・デーモンについて懸念の声を聞かされるとはな」
「政財界の人たちは怖がってるんだよ。ジャッジ・ザ・デーモンによって、自分達の汚職や犯罪行為が公にならないかって……」
ジュニアもバーンズも、政財界の重鎮達も犯罪者と同様にジャッジ・ザ・デーモンを恐れている事実を黙認してた。
「新世代型二次元人は本当に安全なのかね? 未だに凶悪犯罪に手を染めている輩も多いと聞くが……」
「大丈夫です、私たちが目を光らせていますので……」
重鎮達に、クイーン・セレニティが複雑な心境で受け答えする。
聖龍HEADが政財界の重鎮達と複雑な心境で対応していたその時。
「ガハハハッ、オーーオーー、これはこれは。旨そうな料理だな」
意地汚い三枝鷲雄は【食戟のソーマ】組が拵えた、パーティー用の料理の品々に手を出しては貪り食う。
他の客人の事など、まったく気にせず傍若無人な振舞いをする三枝鷲雄に、仮面をつけた修司が素性を隠して話しかける。
「そこの人、他の方々の迷惑になっている。少し行動を控えた方がいいんじゃないか」
「ん? なんだお前は? なぜ仮面舞踏会でもないのに、仮面なんか着けてるんだ?」
「こっちにはこっちの都合がある。それよりも、周りが迷惑しているのが分からないのか」
「ふんっ、こんなチンケな客なんかよりも、名士の出身である俺さまが出席してる方がパーティーも盛り上がるってもんだ! そんな事も分からないのか?」
「そもそも、あんたはパーティーに招待されてないだろ。それなのに……!」
修司が文句を言うと、三枝鷲雄は素顔を隠した修司に捨て台詞を吐き捨てた。
「へっ、俺さまはつい最近までヨーロッパ各地を渡り歩いて色々と学んでいたんだ。お前さんたち聖龍隊やアニメタウンのお偉いさんと違って、世界を巡り歩いて勉強してるんだよッ!」
「なら、その勉強したことを生かして、もっと人間性を磨いたらどうだ?」
「フンっ、いづれこの俺、三枝鷲雄が名士三枝一族を復興させたら、アニメタウンをも統治してやるんだからな! ギャハハッ」
そう捨て台詞を吐き捨てた三枝鷲雄がその場から離れようとすると、スタッフとして手伝っているキャサリン・ルースが修司の許にやってきて三枝鷲雄に告げる。
「ほら、あなた見なさい! パーティーの招待客に、あなたの名前はないの! これ以上、会場に居座るなら聖龍隊の隊士に連行してもらうわよ!」
キャサリンが半ば脅し文句で三枝鷲雄に言うと、三枝鷲雄は不機嫌そうな顔を浮かべる。
「フンっ、まあ、今夜はこれぐらいで帰ってやるよ。だが聖龍隊の様な奇人変人共にしか頼れない、こんなアニメタウンなんていつか俺さまが掌握してやるよ!」
そう言い残して立ち去ろうとする三枝鷲雄だったが、立ち去る際にキャサリンが持ってきた招待客のリストを奪い取る。
「寄越せ!」
強引に奪い取った招待客のリストを、三枝鷲雄は懐に仕舞い込むと、そそくさと立ち去っていった。
最後まで傍若無人な立ち振る舞いで好き勝手していった三枝鷲雄が人ごみの中に消えていくのを見届けた修司とキャサリン。すると二人のところに、同じくパーティーに参加している
「三枝鷲雄、三枝一族でも最も傲慢で傍若無人な男。一族の中でも特にずば抜けて嫌われてた男で、現政奉還の時も、無事に生き延びてた悪運の強い奴よ」
「最近じゃ、私たちが受け取り拒否した三枝一族の遺産を代わりに受け取って、鼻を伸ばしているみたいなのよね」
「「………………」」
二人の話を聞いて、修司とキャサリンは顔を険しくさせるのだった。
そしてウッズ新市長主催のチャリティーパーティーは何とか終わり、スタッフとして就いてくれた新世代型二次元人達と共に聖龍HEADはパーティーの後片付けのチェックをしていた。
「まったく……政財界の重鎮たち、楽しんではくれたけど言いたいこと言ってくれたな、ホント」
「ホントだな。ジャッジ・ザ・デーモンを受け入れた事はともかく、新世代型二次元人の安全性に対しても執拗に聞いてくるから嫌になる」
堂本海斗とキング・エンディミオンの二人は、政財界の重鎮たちが各々自分勝手な思想から好き勝手な言動をしてきた事に不満を愚痴ってた。
「せっかくのパーティーなのに、あの三枝鷲雄ってのが結構邪魔してくれたわね」
「うんうん! どの客にも当てつけしていたし、みんなに配ってた総菜も好き勝手に貪り食うんだもん」
ミュウミントと宝生波音は、呼ばれてもいないのにパーティーに参入しては好き勝手にしてた三枝鷲雄の傍若無人ぶりに苛立ってた。
「……ごめんなさい、親族とはいえ、あんなのが不躾な事を……」
「い、いえ、佳奈多さんや葉留佳さんが謝る事はないですよ」
申し訳なさそうに会場に残って後片付けやチェックを行う友や聖龍HEADに謝罪する
「そ、そもそも、勝手にパーティー会場にやって来て、好き勝手してきた、あの鷲雄って方が悪いんです。お二人が悪い訳ではないですよ……」
「で、でも……」
二人が謝罪する必要がないと優しく言うウッズに、
と、皆がそれぞれ後片付けなどを行っていると、準備と同様に率先して後片付けをしてたウッズがある事に気付く。
「1,2………………! 銀のトレイが一枚ない!」
なんと純銀製のトレイが一枚紛失している事にウッズは気付いた。
「! きっと、あの鷲雄が盗っていったのよ!」
純銀製のトレイを盗んだのは、三枝鷲雄だと腹を立てて言う
「おそらく……文句を言わないといけませんね」
ウッズも純銀製のトレイを盗んだ三枝鷲雄の行動を黙認できないとして、立ち上がる。
「私たちも一緒に行きますか?」
「いいえ! 私たち二人だけで事足ります! もう三枝一族の好き勝手にはさせられないわ……!」
ミラーガールが自分たち聖龍HEADも一緒に取返しに付いていこうかとウッズに声をかけると、
それを見て動揺する聖龍HEADや他の新世代型二次元人達に、ウッズが言った。
「ああ、念のため私も一緒に同行します。私からも一言、注意しないといけませんので」
そうして
「……こんな時に、修司はどうしてるんだ?」
「修司なら、ジャッジ・ザ・デーモンとして調べ物があるみたいで、先にデーモンハビタットに戻ってるわよ」
ウッズ達が大変な時にいない修司についてキング・エンディミオンが疑問視すると、ミラーガールが修司の現在を述べた。
[落ちぶれた名士の成れの果て]
一方その頃の修司は。
ジャッジ・ザ・デーモンとしての本拠地デーモンハビタットに戻って、アニメタウンで起こってる犯罪について調査していた。
「……! 今夜だけでアニメタウン各所で、宝石などの貴金属などが盗まれてる……! 今夜以外でも世界各地で同じような犯罪は行われてないか……?」
一晩だけでアニメタウン各所で宝石強盗が行われている現状に、修司はアニメタウン以外でも同様の犯罪が行われていないか調べる。
するとつい最近まで、ヨーロッパ各地で同様の犯罪が行われている事実にたどり着く。
「! ヨーロッパ各地でも似たような犯罪が横行していたのか」
と、修司は此処で先ほどのパーティーで三枝鷲雄が言った話の内容を思い返してみた。
(俺さまはつい最近までヨーロッパ各地を渡り歩いて色々と学んでいたんだ)
「三枝鷲雄がヨーロッパを渡り歩いている時期と、犯行が行われた時期が一致している……偶然か?」
次に修司は、今夜の間に宝石強盗が入った被害者について調べると。
「被害に遭ったところは、何処も今夜ウッズが開いたチャリティーパーティーに参加していた客人ばかりだ」
すると修司はまたしても先ほどのパーティーでの三枝鷲雄の行動を思い出す。
(寄越せ!)
そう強引に三枝鷲雄がパーティーの招待客のリストを奪い取ったのを思い出した修司は、一つの推理に辿り着く。
「今夜のパーティーの招待客をリストで知って、宝石強盗の標的にしたのか……」
修司はヨーロッパ各地での宝石強盗の犯行も、今夜アニメタウン各所で起こった宝石強盗もすべて三枝鷲雄の犯行だと推理。
すると修司は三枝鷲雄を尋問するべく、ジャッジ・ザ・デーモンに変わるのだが、その前にウッズに連絡をした。
「アッコ、ウッズはどうしてる? 緊急の要件だ」
「ああ、修司? ウッズさんならさっき、葉留佳ちゃんと佳奈多ちゃんの三人で、三枝鷲雄のところに行っちゃったわよ。何でも、あの三枝鷲雄ってのが、銀のトレイを一枚盗んだとかで……」
「なんだと……!?」
アッコからウッズ達の現状を知って、修司は激しく動揺する。三枝鷲雄の所に向かった三人の安否が危険だと察知したのだ。
そして修司は急ぎ、デーモンスーツを着用して、ジャッジ・ザ・デーモンへと姿を変えて三枝鷲雄の許へと出動する。
一方、今では完全に廃墟になっている三枝家へと訪問したウッズと
「これが……! かつて栄華を極めたという三枝一族の屋敷ですって?」
三枝家の屋敷の変わりようを目の当たりにし、
「三枝家は
「そして、その際生き残った三枝一族は、キャップ・ド・レッドに導かれて新世党に加わった訳なのね……」
ウッズからの説明を聞いて、
そして三人は、朽ち果てた屋敷へと正面玄関を潜って進入すると、焦げた屋敷内に盗み出された銀トレイが乱雑に置き捨てられているのを視認する。
「やっぱり有りましたね」
不満そうな顔で呟いたウッズと共に、二人も銀トレイに近付いてトレイを拾って早々に帰ろうとすると。
「ふんッ!」
なんと屋内の梁の上から三人を見下ろしてた三枝鷲雄が、目の前に飛び降りてきた。
「! あなたは……!」
「おいおい、俺さまの実家に忍び込んで……お前、市長から泥棒に転職したのか?」
目の前に飛び降りてきた三枝鷲雄に驚くウッズ達に、三枝鷲雄は嫌味を吐いた。
「なにを言ってるんです! 泥棒はあなたの方でしょ! その銀のトレイを盗んでおいて」
三枝鷲雄の発言に
「へっ、こんな銀のトレイ一枚で大騒ぎしやがって。それよりも、お前ら二人には前々から文句を言いたかったんだ! お前達のせいで名士である三枝家は滅んだんだぞ! 今じゃ、正当な後継者は俺さまだけだ」
「その三枝家も、今ではすっかり落ちるところまで落ちて、衰退しましたけどね」
三枝鷲雄にウッズが明言すると、そんなウッズに三枝鷲雄は偉そうに言った。
「フンっ、おいウッズ市長さんよ。アンタは元々、あの小田原修司の執事だったんだろ? 執事は執事らしく、俺さまにオードブルでも持ってきやがれ」
「私はかつて修司様に仕え、今はアニメタウンに仕えていますが……あなたの様に失礼極まりない方に仕える事は、今後ともないと思います」
市長であるウッズを召使いの様に見下す三枝鷲雄に対して、ウッズは毅然とした態度で拒否する。
するとその時、
「ちょ、ちょっと、アレ……」
二人の視線の先を、ウッズも目で追ってみると、三枝鷲雄の後方には無造作に山積みにされた多くの宝石が目に映った。
「あ、あれは……!?」
ウッズがきょとんとしていると、三枝鷲雄は不敵な笑みを浮かべて発言した。
「グヒヒ、ああ、あの宝の山か。ちょいとヨーロッパはもちろん、今晩アニメタウンの無能な奴らから頂戴しただけさ」
この三枝鷲雄の発言に、ウッズと
「い、今すぐオードブルを持ってきますね……!」
と、ウッズ達は適当な言い訳を述べて、その場から急いで立ち去ろうとしたが、三人の前に先ほどボディーガードに扮してた屈強な体付きの強面なチンピラ達が行く手を塞ぐ。
逃げ場を失ったウッズ達は、難なく屈強なチンピラ達にロープで縛られて拘束されてしまう。
「グヒヒ、葉留佳、そして佳奈多……! お前ら二人が三枝一族の遺産を放棄してくれたお陰で、俺はその遺産を元手に自分だけの組織を……犯罪グループを構成できた。その点は感謝してるぜ」
三枝鷲雄は葉留佳と佳奈多の二人が、三枝一族の遺産を放棄してくれたから、自分が頂点の犯罪グループを結成できたと述べた。
「しかしだ! 三枝一族が滅亡したのは、そもそもお前ら二人が元凶! その償いはしてもらうぞ!」
「「………………!」」
三枝鷲雄の勝手な言い分に、
そんな三枝鷲雄は子分であるチンピラ達に命令した。
「おい、お前ら! ……このガキ共、好きにしていいぞ」
「「「!!」」」
なんと三枝鷲雄は
そして屈強な体格の子分達は拘束状態の
「や、やめなさいよ!」「きゃあっ」
二人の悲痛な叫びも子分達を興奮させるだけで、二人は暗闇の中へと消えていくと。
「うぎゃッ」「ぐはッ」
暗闇の中からもがき苦しむ声が聞こえてくる。
「ギャハハッ、そうだそうだ! 好きなだけ甚振ってやれッ、ギャハハッ!」
聞こえてくる悶絶の声に、三枝鷲雄は喜々として笑う。
「ギャハハッ……でも、なんで男の悲鳴しか聞こえないんだ? ガキ共の悲鳴が全く聞こえない……」
しかし此処で三枝鷲雄は、暗闇から聞こえてくる悶絶の声が男だけだと気づき、
「ぐはっ」「ぐぎゅう……」
そして遂には暗闇の中から、屈強な子分二人が満身創痍の状態で三枝鷲雄の前に倒れ込んできた。
「ッ!?」
何事かと三枝鷲雄が驚いていると、暗闇の中から現れた異形の存在が三枝鷲雄と対峙する。
「お、お前は……!!」
驚愕する三枝鷲雄。彼の目の前に現れたのは、他でもないジャッジ・ザ・デーモンだった。そしてジャッジ・ザ・デーモンの後ろには、彼によってロープを切られて解放された
「三枝鷲雄、お前がヨーロッパ各地だけでなく、今夜アニメタウンの各所で盗みを働いたのは明白。それだけでなく、罪もないウッズ市長たちに暴行を働こうとしたのも明白。大人しくしろ」
するとこのジャッジ・ザ・デーモンの台詞に、三枝鷲雄は不敵に笑みながら返事する。
「グフフ、鷲雄という名前ではなくイーグルと呼んでほしいな! いづれアニメタウンを統べる王なのだから……猛禽類、いや鳥類の王の名が相応しいだろ?」
「いや、あんたの体格なら、どちらかというとフクロウの方が似合ってないか? ……まあ、罪もない動物の名を騙るのはどうかと思うが」
そういうと、ジャッジ・ザ・デーモンは怯む事無く三枝鷲雄に、いやイーグルに前進していく。
すると接近してきたジャッジ・ザ・デーモンに、イーグルは跳びかかると何発もジャッジ・ザ・デーモンに蹴りを浴びせた。
「アタタタタタタタタタタッ!」
イーグルからの強烈な跳び蹴りを何発も浴びたジャッジ・ザ・デーモンは、思わず後方へとバランスを崩して転倒してしまう。
「グヒヒ、こう見えてもアジアで格闘技を粗方マスターしてるんでね」
不敵に笑むイーグルに、転倒したジャッジ・ザ・デーモンは起き上がりながら返事する。
「あーー、これはこれは。俺が悪かった。あんたを容姿だけで判断してた……次からは本気で行かせてもらうぞ」
イーグルが素早く格闘技を使えるのを認識したジャッジ・ザ・デーモンは、率直に謝罪するとイーグルに対して本気で闘う姿勢を示し合わせた。
ジャッジ・ザ・デーモンが本気で闘う姿勢を示したのを視認したイーグルは、一旦後方に退くと、家屋の瓦礫の中に隠していた先端に分銅が付いている鎖鎌を持ち出して、ジャッジ・ザ・デーモンと戦闘を開始する。
[激闘! 鬼と鷲]
今や、すっかり朽ち果てた名士・三枝家の屋敷で、ジャッジ・ザ・デーモンと三枝鷲雄ことイーグルの闘いは始まった。
「えいッ!」
イーグルは鎖鎌に付いている分銅を振るい投げ、ジャッジ・ザ・デーモンへと向ける。だがジャッジ・ザ・デーモンはその向けられた分銅を瞬時に避けてイーグルに駆け寄る。
が、イーグルは投げ付けた鎖を捻り、分銅の軌道を変えてジャッジ・ザ・デーモンの高等部に文鎮を直撃させた。
「ウッ!」
後頭部に分銅が直撃し、怯んでしまうジャッジ・ザ・デーモン。そんなジャッジ・ザ・デーモンにイーグルは接近して鋭利な鎌で切りかかる。
しかしジャッジ・ザ・デーモンはイーグルからの鎌攻撃をかわしつつ、拳で応戦していく。
「ぐはッ」
ジャッジ・ザ・デーモンの拳が顔面や身体に直撃して悶絶するイーグル。
「このッ」
しかしイーグルも負けじとジャッジ・ザ・デーモンに応戦。鎖鎌でジャッジ・ザ・デーモンへと幾度となく切りかかる。
だがジャッジ・ザ・デーモンは変わらず、イーグルの鎖鎌での切り付け攻撃を後退しながらかわし、一瞬の隙をついて反撃。
「ぐふっ……!」
地上戦ではジャッジ・ザ・デーモンに敵わないと判断したイーグルは、朽ち果てた屋敷内の梁へと鎖鎌を使って上がり、梁の上からジャッジ・ザ・デーモンを鎖鎌の鎖分銅を用いて攻撃する。
「えいッ、このッ」
上からの重たい分銅での攻撃をかわしつつ、ジャッジ・ザ・デーモンもグラップネルガンで梁の上に飛び乗ってイーグルと応戦。
狭い梁の上での攻防で、両者は果敢にせめぎ合う。
と、両者が梁の上で攻防を繰り広げていると、なんと燃焼で脆くなった梁が崩落してジャッジ・ザ・デーモンが落下してしまう。
「ガハハッ」
そんな背中から落下したジャッジ・ザ・デーモンに、イーグルは鎖鎌の分銅をジャッジ・ザ・デーモンの腹部へと直撃させた。
「ッ!」
腹部に分銅を直撃されて苦しむジャッジ・ザ・デーモン。
「ガハハッ、これで最後だ!」
最後にイーグルは、分銅をジャッジ・ザ・デーモンの頭部に直撃させて、頭蓋を叩き割ろうと仕掛ける。
が、寸でのところでジャッジ・ザ・デーモンは寝転んで分銅の攻撃を回避し、イーグルへとジャッジラングを投げ付けた。
「うぎゃッ」
ジャッジラングが直撃し、梁の上から落下して床に激突するイーグル。
そんなイーグルにジャッジ・ザ・デーモンは跳びかかり、膝から落下する。
(呪われし、俺の負の遺伝子を受け継いだ新世代型二次元人。お前らの野心も邪心も、全て俺が止める!)
ジャッジ・ザ・デーモン、いや小田原修司は、自分のクローンである新世代型二次元人の悪行を止める覚悟でイーグルに跳びかかる。
(それこそ、俺が新世代型二次元人に対してできる、精一杯の……償い!)
過去に苦しめ、今でもクローンという立場で苦悩する新世代型二次元人への贖罪の意味も込めて、ジャッジ・ザ・デーモンはイーグルに膝落としを打ち込んだ。
「ぐはッ!!」
ジャッジ・ザ・デーモンから膝落としを打ち込まれて、イーグルは気を失ってしまう。
ジャッジ・ザ・デーモンが三枝鷲雄ことイーグルを完膚なきまでに叩きのめしたのを目視して、闘いを見守ってたウッズ達が歩み寄る。
「いつもながら、素晴らしい立ち振る舞いでした」
「別に。毎度のことだ」
ウッズからの称賛に、ジャッジ・ザ・デーモンは素気なく答える。
そんなジャッジ・ザ・デーモンに、
「あ、あの……ありがとうございます」
「やっぱり、ジャッジ・ザ・デーモンは悪を懲らしめてこそね!」
二人からの感謝にも、ジャッジ・ザ・デーモンは特別な反応はせず、無言を貫いた。
と、四人が会話している時、先ほどジャッジ・ザ・デーモンに叩きのめされたイーグルがか細い意識の中で一人思い更けてた。
(俺は、諦めないぞ……! 必ず、名士と呼ばれ、崇拝されてきた三枝一族を……俺を中心とした三枝一族を、復活させるんだ!)
そう目を見開くと同時に、怒りの形相で涙を流すイーグルは、懐から短刀を取り出して一気に飛び起きるとジャッジ・ザ・デーモンへと突進した。
「うおおおおおおッ!!」
突撃してくるイーグル。だが突進してくるイーグルに、ウッズが先ほど取り戻した銀のトレイを投げつけて、イーグルの顔面に直撃させる。
銀のトレイが顔に直撃して、ようやくイーグルは完全に気絶した。
「ナイスシュート。決まったな、ウッズ」
「いえいえ、ミラーガールの楯捌きには負けますよ」
ジャッジ・ザ・デーモンの言葉に、ウッズは笑顔で返した。
[精神疾患者の収容施設問題]
後日、アニメタウンの最高裁により、イーグルこと三枝鷲雄は当然ながら有罪となった。
しかし国選弁護人によって、イーグルは精神的に不安定なことも認められ、精神疾患者の収容施設に投獄されることが決まった。
そしてアニメタウン市長邸にて。
「……はい、これで、あなた達二人が新たに三枝一族の遺産を相続する手続きは終了しましたよ」
「ありがとう、ウッズさん」
書類にサインをした市長であるウッズに
三枝鷲雄が有罪判決を受けたことで、三枝鷲雄が受け取った三枝一族の遺産はそのままアニメタウン政府に差し押さえらえて押収。そして新たな遺産引き取り人に
「それで、どうするんですか? 結構莫大な遺産ですけど」
ウッズが遺産の使い道を二人に訊ねると、
「二人で話し合ったんですけど……鬼龍院皐月さんが管理している新世代型委員会に全部、寄付しようかと思うんです!」
「なるほど! 汚いお金も、使い方一つで綺麗で正しく使われますね」
「それにしても、あの三枝鷲雄……いいえ、イーグルが精神疾患者として刑務所じゃなく精神病棟に放り込まれるとはね」
「現在、アニメタウンには犯罪者や精神疾患者の収容施設が限りなく少ないんですよ。まあ、此処はこの先の会議などで話し合わないといけない議題ですね」
こうして三枝鷲雄ことイーグルが起こした初の事件は幕を下ろした。
しかしイーグルを始めとする精神疾患の犯罪者を収容する施設が少ないのが、アニメタウンの現状だという。
後に、この収容施設建設に、あの死神の名を持つ国連軍の男が深く関わる事となるのは、また別のお話。