聖龍伝説 ジャッジ・ザ・デーモン ネオ・ダーク・レジェンド   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回は、あの「食戟のソーマ」に登場する薙切薊(なぎりあざみ)が異常な犯罪者へと変異してしまう物語です。
 その陰には、あの狂人ともいえる高知能犯罪者が巧みに操作しています。
※今回は、此方のYouTube動画を参考に書き上げました。→https://www.youtube.com/watch?v=hsAoV47fDTQ



ザ・ハングリーの貪欲

[食に飢えた男]

 

 とある晩。

 此処は精神的に異常が見られる異常者(ヒール)を収容している施設。

 しかし収容者には暴力的かつ残忍な精神疾患者も多いことから、警備は厳重で、警備員も武器を所持している。

 そんな収容施設から、突如として収容者達が集団脱走。収容施設は混乱した。

 そして銃声が轟く中、一人の収容者が命からがら収容施設から逃げおおせ、山小屋の中で乱れた呼吸を整えていた。

「はぁ、はぁ……!」

 その収容者である男は、息を乱しながら小屋の中で壁にもたれ掛かっていると。

「おやっ? 君は……」「!」

 小屋の中に、もう一人別の男が入って来て、先に入ってた男は驚愕する。

 収容者である男は、懐から収容施設から持ち出したカッターナイフを取り出して、男を脅そうとするが。

「ははは、大丈夫大丈夫。ボクは君を襲ったり、通報したりしないからさ」

「………………」

 男の発言に、収容者は唖然とするばかり。

「確か君は、食には人一倍うるさかったね。ちょっと待ってて、いま街から買いだした食材で調理してあげるからさ」

 そう言うと後から山小屋に入ってきた男は、収容者のために特別な料理を振る舞ってあげた。

 そして完成した品を、収容者の前に差し出すと、収容者は施設では満たされなかった食への執着を満たそうと、一気に貪った。

 まるで獣の様に貪り食う収容者を目の当たりにし、男は不敵な笑みで言い放つ。

「その食に飢えた食べっぷり、まさにハングリーな精神だね!」

「ハン、グリー……!」

 男からの問いかけに、収容者は呆然と硬直するのだった。

 すると男は、唐突に収容者に投げかける。

「あ、そうそう! 君は収容施設に投獄されてたから知らないかもしれないけど、今度遠月茶寮料理學園でアジアの武将達を招いた食事会が開かれるみたいだよ!」

「……!」

「どうだい? ボクの考えた計画に、君も乗ってみないかい? ……薙切薊」

「……どんな計画なのか、まずは教えてもらおうか。Mrフェイク」

 

 こうしてMrフェイクと収容者だった薙切薊の犯罪計画は着々と始まった。

 

 

 

[怒涛の招待客たち]

 

 後日、アニメタウンの空港にて。

 空港には多くの報道陣に、数多のファンが押し掛けていた。

「今、武将達を乗せた飛行機がアニメタウン空港に着陸しました! 今日、アジア各地で活躍している名立たる武将達が、聖龍隊が開いた食事会に招かれての来訪と言われています。空港に敷かれたレッドカーペットの上を、武将たちが各々のパフォーマンスを披露して登場するとの事ですが……あ、いま武将の一人が飛行機から出てきました!」

 空港内でリポートするアナウンサーの言葉で、カメラが空港に敷かれたレッドカーペットに向けられる。

 今回、アニメタウンで開かれる食事会に招待されたのは、現政奉還でも活躍した武将達であった。

 

「Are you ready?」『Let's party!』

 三本の刀を前に突き出し、高らかに名乗りを挙げるのは、蒼い色合いが鮮やかな中国漢族の長であるデイ・マァスン。

「漢族筆頭、デイ・マァスン……推して登場だぜ!」

『筆頭ーー!』『いよっ、漢族の伊達男!』

 デイ・マァスンの登場に、待ち受けていたアニメタウンのファン達は歓喜に沸く。

 

 デイ・マァスンに続き、レッドカーペットを渡るのは、カーペットにも負けない真紅の衣装を身に纏う若虎シン・ユキジ。

「天・覇・絶槍!! モンゴル軍が将軍、シン・ユキジ! 見参!!」

『うおーーッ!!』

 シン・ユキジの熱気にあてられて、空港のファン達も騒然とする。

 

「無言即殺! 悪と無駄口、削除なり! 韓国が国将軍、サイ・チョウセイ。今ここに在り!」

 更に小田原修司の義弟にもあたる韓国将軍のサイ・チョウセイも、その雄姿を披露した。

 

「この世の乙女たちの為に、私は剣を振るう……! 女将軍、イン・ナオコ! 華麗に馳せ参じた次第!」

 シン・ユキジにも負けない程の熱気で登場するのは、中国が地方将軍に新たに就任した漢族の豪族であるイン・ナオコが勇猛果敢に登場。

 

「アジアの地下路は、小生に任せろ! 黒劉席がやってきたぜ!」

「阿保席、少しは落ち着けよな」

 今やアジアの各地に地下路を掘る大任を担った元中国共産党幹部の黒劉席と、その側近であるゴ・マータンも飛行機から降りて雄姿を見せつける。

 

「ぶ、ぶるぶる……ど、どうも初めまして……」

 気が弱くて小心者、しかし食に関しての欲求はアジア一番と自称する、ウイグル族の名士出身の地方武将シャ・キンカもおどおどしながら姿を見せる。

(は、早く、創真くん達の料理を食べたいな……!)

 しかしシャ・キンカは内心では【食戟のソーマ】組が作る料理の数々を楽しみにしていた。

 

「こんにちもまた、毘沙門天の加護のもと……」

 そう群衆に対して祈りながら登場するのは、ロシア軍の冷徹なる軍神ケンノフスキー。

 

「アニメタウンの皆さん、初めまして! アラブの武将として修業中、山中鹿之助をどうぞ宜しくッス!」

 今回はアラブ連邦軍の代表としてアニメタウンに初めて訪れた山中鹿之助が、お目付け役の雌鹿おやっさんと共に派手に登場。

 

「平和と平等への思い、終わらせる気はねェ! 某、徳竹康! 武蔵丸と共に参った次第!」

「!!!!!!」

 突如、空港に地響きと共に勢いよく着陸するサイボーグ武者の武蔵丸の肩に乗って来訪するは、今や壊滅した中国共産党に代わって新政権を立憲し、主席を務める中国将軍の少年武将の徳竹康。

 

「アニメタウンの皆様方、どうも初めまして……! 台湾が国将軍シバ・カァチェン、参りました!」

 そして先の現政奉還で大活躍した台湾軍の若かりし武将シバ・カァチェンが観衆の前に姿を現すと、人々はカァチェンの到着に活気だった。

「きゃーー、カァチェン様ーー!」

「現政奉還の大英雄!」「よくぞ来てくれた!」

 男女から熱い声援を送られるカァチェンは、観衆に微笑み返すが。

「チッ、二次元人共め……!」

 今ではカァチェンの側近として台湾軍に入隊している元北朝鮮の残党兵で、聖龍隊や二次元人に憎悪を抱いているマン・サコンは、内心では二次元人たちを目の敵にしていた。

 

 そして最後に、日本からの便でアニメタウン空港に到着し、観衆の前に姿を見せた懐かしき武人達に人々の興奮は絶頂する。

「人との絆は、至高の宝! 村田順一、ただいま帰参した次第!」

『うおーーッ!』

「村田順一万歳!」「スター・コマンドーが帰ってきた!」

「聖龍隊最高の英雄たち!」

 皇軍筆頭にして日本将軍の村田順一と、彼が従えるスター・コマンドーの一時的とはいえ帰還に、人々の興奮は更に加熱した。

 村田順一を先頭に、スター・コマンドーが空港のレッドカーペットを渡ってる最中も、観衆は大いに盛り上がる。

 

 

 こうしてアジア各地に名を馳せる武将達は、聖龍隊が主催の食事会へと向かうのだった。

 

 

 

[遠月茶寮料理學園での食事会]

 

 そして食事会の場である遠月茶寮料理學園に、武将達を乗せたリムジンは到着し、武将達は各々降りて學園内へと徒歩で移動する。そして學園の庭にて、武将達は聖龍HEADを交えて各々に対話を始める。

「ヨッ、久しぶりだなユキジ! 腕は鈍ってねえよな?」

「無論! マァスン殿も、まだまだ腕は健在のようでござるな!」

 互いによき好敵手として認識し合ってるデイ・マァスンとシン・ユキジは、腕を組み合って互いに健闘し合う。

 

「ははは! 久しぶりだな、村田順一! 兄者の一番弟子である貴殿もまた、日々正義の為に奮闘しているようだな!」

「はい! チョウセイ氏も相変わらず、素晴らしい活躍をしているようで」

 熱気溢れる挨拶で順一と会話する韓国将軍のサイ・チョウセイに、順一も明るく対応する。

 

「劉席さん、お久しぶりです! 今も相変わらず、アジア各地を繋ぐトンネルを掘る現場監督を担ってるんですか?」

「おうよッ! 小生たちが手塩にかけて掘ったトンネルは、アジアを一跨ぎにできると言われてるんだぞ! がははっ」

「まあ、その陰で阿保席のドジで落盤事故も頻発してるんだけどな」

 今やアジア各地にトンネルを掘る現場監督を一任されている黒劉席に山中鹿之助が問い掛け、それに劉席が答える横で側近のゴ・マータンが呆れてた。

 

「ミラーガール! 今回の食事会に招いてくれたこと、非常に嬉しく思う! まさか、アジア一の戦乙女と共に食事できるとは、感激で胸がいっぱいだ……!」

「ふふふ、いいのよナオコさん。今日の食事会は、ぜひ皆さんと一緒に楽しみたかったの」

 憧れである聖龍隊の乙女たちと食事できることを非常に嬉しく思うイン・ナオコに、ミラーガールも感無量だった。

 

「ねえねえ! 今日の食事会の料理も、創真くん達が作ってくれるんだよね!? まだなの、食事は? もうぼく、お腹が空きすぎて、お腹と背中がくっ付きそうだよ……」

「あ、ああ、もちろん! 料理は全て學園の子たちが作ってくれるから、待っててくれ……(相変わらず、食にはうるさいな、この子……)」

 食いしん坊のシャ・キンカの執念に、対話しているキング・エンディミオンは半ば呆れてしまう。

 

「ふふ、バーンズ殿、こたびの食事会へのまねき、まことに嬉しくおもいます」

「ああ、ケンノフスキー。今日は思う存分、食べてくれよな!」

「ふふ、わたくし普段はしょくが細いのですが、こたびはいつも以上に堪能させてもらいましょう」

 ロシアの将軍ケンノフスキーに、聖龍隊総長バーンズは心行くまで堪能するように言う。

 

「今日は食うぞ! 食って食って、武蔵丸に負けないほどの巨体を手に入れてやる!」

「は、ははは、お腹だけは壊さないでね。竹康くん……」

 側近である武蔵丸に負けない肉体を手に入れようと食欲を漲らせる中国将軍の徳竹康に、聖龍HEADの七海るちあが心配する。

 

 そして何やら二人で真剣な真顔で話し合う、台湾が国将軍のシバ・カァチェンと今ではその従者を務めるマン・サコンの許に、ジュニアが歩み寄った。

「カァチェン、サコン、久しぶり」

「ああ、ジュニア殿!」「おう、小人族の二次元人じゃねえか」

 ジュニアからの声掛けに、カァチェンは明るく振舞う反面、サコンは不愛想な顔で返す。

「なんか二人で言い争っていたみたいに見えたけど、どうしたんだい?」

 ジュニアが問い掛けると、カァチェンが困り顔で答えた。

「はい、それが……サコンが「二次元人が作ったゲテモノなんて、食べない方がいい」と、アニメタウンに来訪する前から、しつこく言われ続けてしまって……」

「そう……(サコン、やっぱり未だに二次元人を憎んでるんだな)」

 カァチェンの返答を聞いて、ジュニアは未だに祖国を滅ぼし、主君を死なせた二次元人に対して憎しみを抱いているのだと内心悲しく思うのだった。

 するとすかさずサコンがジュニアに言い寄る。

「ケッ、俺さまは今ではカァチェンの側近で、カァチェンは新しい上官なんだ! カァチェンが変なもん食って具合悪くなったらどうすんだいッ!」

「大丈夫だって。衛生面では人一倍、気を使ってるし、そもそも変な食材なんか提供しないから……」

 当てつけしてくるサコンにジュニアが懸命に説明するが、サコンは一歩も譲らない。

「そもそも二次元人なんかが作った料理食べて、黄泉戸喫(よもつへぐい)にならなきゃいいが」

「これ、サコン!」

 サコンの言動に、思わずカァチェンが制止する。

「あ、あれ? サコン、君よく黄泉戸喫(よもつへぐい)なんて知ってるね……」

 ジュニアが訊ねると、サコンは蒼褪めた表情で返事した。

「か、カァチェンがよく怪談話とかしてくるから、嫌でも知識が増えちまうんだよ。ぶるるっ、俺さま怪談とかお化けは相変わらず苦手なのによ」

 怪談やお化けの類が苦手なサコンが、今では主君のカァチェンから色々と怪談話などを聞かされての知識だと知って、ジュニアは愛想笑いを浮かべる。

「ははは、カァチェンは相変わらず怪談とか物の怪の類が好きなんだね」

「いえ、それほどでも」

 ジュニアの反応に、カァチェンは率直に頭を下げる。

 と、そんな辛気臭い空気を一変させるように、サコンが言い放つ。

「まっ、今日は怪談とかの怖い話はさておいて……カァチェン! 俺が毒見してやるから安心して食えよな!」

「もちろんです」「毒見って……」

 サコンの言動に、カァチェンは真摯に受け止め、ジュニアは呆然としてしまう。

 

 

 

[食前の会談]

 

 アジアの武将達は、白いテーブルクロスを敷いた長テーブルに各々座る。

「バーンズさん! こうして一緒に食事するなんて、僕が聖龍隊に居た頃を思い出しますね」

「ああ、そうだな! よく修司の奢りで、オレとジュンとの三人でラーメン食いに行ってたっけ」

 互いに向かい合いながら、昔を懐かしむ順一とバーンズ。

 

「わかとらよ、そのご如何お過ごしでしたか?」

「うむ! ケンノフスキー殿! 現政奉還後の混乱も、どうにか鎮静化できた次第……某、まだまだモンゴル将軍としては未熟ながら日々精進しております故!」

 隣同士の席で、互いに隣国という間柄でもあり、何より先のモンゴル将軍モウ・コダイの後任であるユキジと笑顔で会話するケンノフスキー。

 

「まだかなまだかな♪ 楽しみだな~、創真くん達の料理……!」

「これ、シャ・キンカよ。其方も地方とはいえ、将軍ならこういった場では落ち着くのが礼儀というものぞ」

 幸平創真たちの手料理を今か今かと楽しみ過ぎて興奮するシャ・キンカに、サイ・チョウセイが注意する。

 

「セーラームーン、ミュウイチゴ! あなた達と共に食事できるとは、夢のようだ……!」

「ふふっ、ナオコちゃんも思う存分、楽しんでね」

「デザートもたくさん出るって!」

 イン・ナオコを挟むように隣同士で会話するセーラームーンとミュウイチゴ達は、女子会の様に笑顔でお喋りする。

 

「ジュニアの若造! 今日は小生、たらふく食いまくるから、その気でいろよッ!」

「阿保席、此処は他国の領地なんだし、少しは礼節な態度とれっての」

「昔は散々、狂人並みの行いしてたマータンが言えるのかい?」

「………………」

 聖龍隊参謀総長のジュニアに上から目線の黒劉席に部下のマータンが口を出すが、現政奉還の時は狂人の様になってたマータンが言えた事かなとジュニアが言うと、マータンは黙ってしまう。

 

「おめえさんも若いのに、アラブじゃ豪い頑張ってるようじゃな!」

「い、いえいえ。竹康くんも、崩壊した共産党に成り代わって、新しい政権で中国を生まれ変わらせているし、僕なんかまだまだっす」

 同世代の少年同士からか、今や中国を平定する徳竹康とアラブ連邦の武将である山中鹿之助は和気藹々と話し合う。

 

「ふふっ、カァチェン。今日はいっぱい食べてね」

「は、はい……ありがとうございます、加賀美殿……!」

 笑顔を振りまくアッコの言葉に感銘を受けるカァチェンだったが、そんなカァチェンの隣に座ってるデイ・マァスンが口を開いた。

「まあ、オレたちアジアの武将達に聖龍隊の頭目であるHEADも一緒に食事会に参加するのは解るとして………………なんで鬼神のおっさんも参加してるんだ!?」

 マァスンは、自分たち客人である武将と、聖龍HEADが参加するのは理解できるが、先の現政奉還で黒武士として暴虐の限りを尽くした小田原修司も自然と参加していることに驚く。

 そのマァスンの一言で、食事会参加の面々が一斉に修司へと視線を向けると、修司は真剣な真顔で言った。

「確かに俺は場違いな存在かもしれない。だが、我が子と云える新世代型二次元人である【食戟のソーマ】組がHEADと共同で開いた食事会、これがどの様に進行するか見届けるのも親である俺の務めだと思ってな。なに、単なる傍観希望者と思ってくれればいい」

「い、いや……傍観希望者って言われてもよ……」

 修司の台詞に黒劉席は唖然とする。

「さっき、修司殿も食事会に参加すると知って、サコンがかなりご立腹でした……」

「まあ、あいつはある意味、二次元人以上に俺の事を恨んでいるだろうからな」

「そりゃ、まあ、そうだよ。オレ達と一緒に北朝鮮を滅ぼした元凶も、サコンやカァチェンを一度とはいえ殺したのは、全部お前なんだし……」

 かつての母国である北の国を二次元人と共に壊滅させた修司を恨んでいるサコンの反感をカァチェンが伝えると、それに対して真顔で返す修司にバーンズが呆然とする。

「ま、まあまあ。修司君も、もう自分のクローンである新世代型二次元人とは和解して、今では大人しくしてる訳だし……」

「そ、そうですわ。今回は、それも含めてアジアの武将さん達と食事会をと……」

「そうそう! 修司くんも普段は、アニメタウン郊外の自宅で一人隠居生活送ってる訳だし、今日ぐらいは一緒に食事しようよ!」

「お、おいおい、Magicknight、それはいくらなんでも無理を通し過ぎじゃないか?」

 魔法騎士の海・風・光の三人の言動に、デイ・マァスンが呆れていると。

「……みんな、あの時の修司は自分のクローンの事や未来の事、そして何より世界の事で苦しんでたのよ。ホンの少しで良いから、寛大な気持ちで修司を迎えて上げて」

 そう皆が修司の存在に困惑してると、聖龍隊副長のミラーガールが修司の改心と、そんな修司を迎え入れてくれるようにと嘆願する。

 そんなミラーガールの嘆願を聞いて、ロシア将軍のケンノフスキーが口を開いた。

「ふふ、そうですね。きしんの気持ちも、少しは理解してあげなければ……」

「け、ケンノフスキー殿がそう仰るのであれば……!」

 ケンノフスキーの台詞を聞いて、シン・ユキジも唖然としつつも賛同する。

「ふんっ、まあ、先の現政奉還での大戦で最も傷心したであろうミラーガールが許しているなら、私も許してやろうではないか」

「………………」

 先の大戦で、修司との戦闘の最中に自慢の長髪を自ら切ったイン・ナオコの許容に、その状況を作り出した当の修司本人は尋常でない汗をかいてた。

「へっ、まあ、今じゃ聖龍隊の顧問として大人しくしているみたいだし……大人しく隠居生活送ってくれてるなら文句はナシでいいぜ」

「おいおい、マァスンお前までそんなこと言うの……?」

 現政奉還では問題を起こしてきた黒武士であった修司の現状に反感を抱くデイ・マァスンに、バーンズが困惑してると修司本人が話し出した。

「まあ、文句や反感を言われるのは、もう慣れっこだ。だがみんな、これだけは安心してくれ。俺はもう、新世代型二次元人の事は許容してるし、受け入れてるつもりだ。だから今の俺は静寂だけを求めてる」

 この修司の台詞を聞いて、デイ・マァスンは唖然とした。

「……おい、バーンズ。鬼神のおっさん、また純粋なる破滅に進化するんじゃないだろうな」

「いや、静寂を求めるのは素の修司だから安心しろ」

 蒼然とする武将達に、バーンズはこれが小田原修司の人間性だと説いた。

 

「さ、さあ! そろそろ創真くん達がフルコースを持ってきてくれるだろうし、みんな笑顔笑顔!」

「わあっ! 遂に久々に食べれるんだね……! 創真くん達のフルコース……!!」

 セーラーヴィーナスが慌てた様子で伝えると、料理を待ち望んでいるシャ・キンカは目を輝かせる。

 

 そして學園を代表して薙切えりなが最初に現れ、彼女に続き幸平創真達が、自分達が拵えた手料理を運んできて、食事会が始まろうとした。

 

 

 ……その時だった。

 

 

[突然の急襲]

 

 幸平創真たち【食戟のソーマ】の面々がフルコースを運んできた、その時。

 なんと學園裏に停車していた、食材を運んできたトラック三台が食事会が行われている芝生へと突っ込んできたのだ。

「な、なんだ!?」

 突然、此方へと向かってくるトラックに驚くバーンズたち一同。

 すると三台のトラックは皆の目前で停車するが、同時に三台のトラックの車内から続々と顔に髑髏の仮面を装着した武装集団が出てきて、食事会に参加している面々も食事を運んできた幸平創真たちをも完全に包囲してしまった。

「な、何事だ!」「………………!」

「ひ、ひぃ! な、なんなの、なんなの!?」

 突然の包囲網にシン・ユキジは驚き、ケンノフスキーは冷静に武装集団を見据え、それに反してシャ・キンカは突然の襲来に怯え出す。

 そして各々、小銃を装備している髑髏集団が食事会を包囲し、一時ばかし不気味なほどの静寂がその場を包み込む。

「………………………………」

 この状況に、修司は鋭い眼光で現状を警視していた。

 すると其処に、髑髏集団が出てきたトラックから一人の男が出てきた。全員、その男に注目する。

 その男は、他の物騒なほど武装した髑髏集団と違って、黒のスーツにコートを身に纏い、実業家やマフィアのボスを思わせる、どこか威圧的な様な風体の持ち主であり、そして何より他の髑髏集団と違って男が素顔を隠しているのに装着しているのは水晶の髑髏のマスクだった。

 この水晶の髑髏のマスクを被っている男の登場に、皆が警戒していると、水晶の髑髏の男は皆の前で演説し始める。

「これはこれは。アニメタウンの統治者である聖龍HEADに、アジア各地の名武将の皆様方。今日は我が遠月茶寮料理學園での食事会にようこそ」

「我が遠月茶寮料理學園、だと……!?」

 この水晶の髑髏の男の発言に、バーンズが目付きを鋭くさせる。

「私の遠月茶寮料理學園で、優雅に、そして上品に洗練された食を堪能しに来てくれたこと、大いに喜ばしい事。……だが、この私を除け者にするのは頂けないな」

「あなた! さっきから何を言ってるの!? 學園が自分のもの……? 訳わからないこと言わないでちょうだい!」

「え、えりな様!」

 水晶髑髏の男の言動に、薙切えりなが反論すると、えりなの秘書である新戸緋沙子が慌てて彼女を制止する。

 すると水晶髑髏の男は、えりなに歩み寄り、彼女の瞳を見詰める様にえりなの顔に自身の顔を近付ける。すると突然、男と視線が合ったえりなは何かに怯えた様に顔面蒼白になってしまう。

「……私に反抗するのか? ……えりな」「あ……あ……」

 男の言動に完全委縮してしまう薙切えりなに、皆が何事かと注目してると、えりなの口から想定外の言葉が出てきた。

「お…………お父、様…………?」

『!』『!』

 えりなが発した「お父様」の発言に、食事会に参加していた面々も【食戟のソーマ】の面々も驚愕した。

「えりなの、父親だと……!?」

 衝撃の展開に、小田原修司は愕然としつつも冷静に現状を見据える。

「バーンズ、えりなの父親と言えば……!」

「ああ、この前、異常者(ヒール)収容施設での集団脱走の際に逃走した薙切薊だ……!」

 ジュニアとバーンズは、此処で水晶髑髏の男が薙切えりなの父親である薙切薊であると認知した。

 すると薙切薊は、実子であるえりなを睨み付け終わると、自然な流れで食事会に参加している人々の後ろを歩き出す。

「薙切薊! これは何の真似だ!?」

 そう着席している自分達の背後を歩き出す薙切薊にキング・エンディミオンが疑問をぶつけると、薙切薊は素早い動作でエンディミオンの席に置かれてたナイフを右手で取り、その刃先をエンディミオンの首筋に押し当てながら言う。

「今は食事中だろ? 静かに食事するのがマナーだと思わないのか? ……キング・エンディミオン」

 そうしてエンディミオンを無理やり黙らせると、再び薙切薊は歩き出し、そして修司の背後へと歩み寄った。

「これはこれは。我ら新世代型二次元人の始祖であり、大罪人の小田原修司も出席を許されているとは……実に由々しき事態だ」

「薙切薊、なにが目的だ?」

 険しい面持ちで修司が薙切薊に問い掛けると、薙切薊は不気味な雰囲気を漂わせて答えた。

「目的? 格段、特別な理由などはない。私は己のやるべき信条を果たすべく、この學園に舞い戻って来たのだ」

「果たすべき信条……?」

 修司が疑問視してると、薙切薊は冷徹な言動で淡々と語り出した。

「私が果たすべき信条、それはこの腐り切った遠月茶寮料理學園を改革する事だ。真なる美食を追求するべく、そしてその為には腐敗した學園の内情を一掃しなければならない……!」

「その為に、武装集団で今回の食事会に殴り込んできた訳か。やはり話に聞いてた通り……お前の行いは単なる独裁主義や奴隷制度に匹敵しているな」

「黙れ! 真なる美食を追求する為には、弱者は切り捨てなければならない」

「哀れな……だが、俺はそんな外道であるお前の悪行を宥めてやりたい……お前も、俺の子供には違いないからな」

「!!」

 この修司の発言に逆上した薙切薊は、修司の席に置かれてたフォークを手に取り、怒りに任せてテーブルに置かれてた修司の左手の真横にフォークを突き刺した。

『!』

 僅かながらに修司の手の横すれすれを突き刺したフォークに、皆が愕然としていると、薙切薊は怒声を言い放つ。

「それを言うな!! 私が……完璧主義を目指す私が、障害者で欠陥品である貴様の子供だという事実は認めない!!」

 完全に逆上して冷静さを欠ける薙切薊。そんな薊に修司が言った。

「だが事実だ。事実は如何に反論しても変え様がない。お前が遠月茶寮料理學園から完全に追放されている異常者(ヒール)である事実と同等にな」

 この修司の話を聞いて、少し冷静さを取り戻した薙切薊は再び語り出す。

「ハァ……! 確かに。私の食への追及が世間では異常者(ヒール)と認定される悪行と一括りにされてしまった以上、もう學園にも何処にも私の居場所はない……! だからこそ私は戻って来たのだ! 真の美食を追求する飢えた者……ザ・ハングリーとして!!」

「ハングリー……!?」

 突然、自らをザ・ハングリーと名乗る薙切薊の言動に、修司だけでなく他の面々も不思議に思う。

 

 するとザ・ハングリーと自称する薙切薊は、再び娘である薙切えりなの許へと歩み寄ると、彼女に迫る。

「えりなよ。私はお前を、幼少の頃から美食への徹底した教育を施してきた。今こそ、この腐敗し切った遠月茶寮料理學園に改革を起こし、私の後釜としての務めを果たすのだ……!!」

 恐怖の対象である実父の薙切薊からの迫真に、えりなは委縮していたが、かつて自分たち新世代型二次元人を憎しみながらも、今では自分達の存在を受け入れ、我が子として見てくれる修司の方に視線を向けると、えりなは覚悟を決めた。

「……お父様。私は現政奉還を体験し、そしてその後も多くの経験を積んできました。その経験を積んだ今となっては、あなたの食育は根底から間違った危険極まりない教育だったという事は、今の私でも理解できていますわ」

「……!」

 自分に反抗の意思を示す娘のえりなの言動に、薙切薊が一驚してると、えりなは更に実父である薊に言い切った。

「私は……! 現政奉還で多くの、本当の意味で家族である新世代型二次元人と絆を得られた! あなたが弱いものだと切り捨ててきた人との絆が私の目を覚まさせてくれたわ!」

「えりな……!」

「極星寮での出会いは、あなたから奪われてきた至高の刺激(スパイス)でした! いえ、それ以上に私は……あなたの奴隷ではないわ!」

「………………!!」

 娘えりなに真っ向から反抗された薙切薊は、先ほど以上に激情。

 そしてナイフで目前のえりなを突き刺そうと、ナイフを持つ手を掲げた。

「えりな様!」

 それを目の当たりにした、えりなの秘書の新戸緋沙子は絶叫する。

 

 が、その時。

 

 

 

[反撃]

 

 今まで黙視していた修司が、手元にあった食事用のナイフを手に取り、薙切薊へと素早く投げ付けた。

 修司が投げ付けたナイフは、薊が振り上げたナイフを持つ手へと突き刺さる。

「ッ!」

 ナイフが手に突き刺さり、苦痛で咄嗟にしゃがみ込む薊。

「今だ!」

 するとこれを切っ掛けにバーンズが声を上げ、それと同時に着席してた武将達が一斉に食事会を包囲する武装した髑髏集団に飛び掛かる。

「うわっ!」

 髑髏集団は突然の事態に混乱し、武将達の行動に対処できず次々に取り押さえられる。

「く、クソっ!」

 しかし、全ての髑髏集団を取り押さえる事はできず、逃れた髑髏集団は小銃を武将達に向けた。

 が、その時。

「あらよっと」

 と、髑髏集団の足元の影から一人の人間が出現し、颯爽と髑髏集団を片付けてしまう。

「おおッ、佐助!」

 髑髏集団を片付けたのは、モンゴル軍の忍頭である猿飛佐助である事を主であるシン・ユキジが見届ける。

「武将達を相手に襲撃するだなんて……命知らずも、いいところだ」

 そう髑髏集団を一片に三人片づけた佐助。すると其処に他の武将の家臣や忍が、主君の危機に駆けつける。

「マァスン様、大丈夫ですか!」

「オウッ、モンジュロか! 構わねえ、ド派手に暴れちまいな!」

 主君デイ・マァスンの許しを得て、側近タク・モンジュロが髑髏集団を次々に峰打ちで叩きのめす。

「ケンノフスキー様に手出ししようなんて……許さないッ!」

 ロシア将軍ケンノフスキーの美しき忍である懐刀の、かすがの華麗な忍術とくないが髑髏集団を痛め付ける。

「オラオラッ、てめェら! カァチェンに手出しする奴はこの俺、マン・サコンが容赦しねえぞ!!」

 今は台湾将軍のシバ・カァチェンの側近に至った元北の国の残党兵マン・サコンも、今では友であり主君であるカァチェン相手に襲撃した髑髏集団へと容赦なく双小刀で斬り付ける。

 一方で、最初に髑髏集団を押さえ付けようと試みた各武将達と聖龍HEADも、髑髏集団からの追撃に反撃を開始する。

「Hell dragon!」『うわあッ!』

 デイ・マァスンが放つ電撃の球が、髑髏集団を一掃する。

「紅蓮脚ッ!」「ぐへッ」

 シン・ユキジの技が髑髏兵を次々に打破していく。

「このヤロッ!」

 武将達に続き、バーンズたち聖龍HEADも各々で髑髏集団を殴打したりして撃破していく。

 

 粗方の髑髏集団を片付け終わった、その場の一同。だが其処に別働隊が駆けつけ、暴れ回る武将や聖龍HEADに小銃を撃ち込もうと構える。

『ッ!』

 全員が愕然とする。が、其処に小銃を構えた髑髏集団の背後から、ある人物が髑髏集団に連続で斬り付けた。

『ぐはっ』

 髑髏集団は凍て付く冷気の斬撃で痛め付けられて倒れると、斬り付けた人物が自分を招待しなかった聖龍HEADに物申す。

「やれやれ、聖龍隊の諸君。英国紳士である吾輩を呼ばないから、こんな羽目になるんだよ」

 そう唱えながら一度に複数のギャング達を倒したのは、食事会に呼ばれなかった為に、勝手にやってきたイギリスの外交官にして国将軍のモーリス・ナイロンだった。

「ナイロン卿!」「あなたも来てた訳?」

 外交官と国将軍を兼任するナイロンの登場に、聖龍HEADの真紅と翠星石が声をかけると、ナイロンは御自慢の髭をピンと立てて話し返した。

「ごっほん。君たちが吾輩を呼ぶのを忘れていたみたいだから、わざわざ吾輩自ら、こうして馳せ参じた事態なのだよ……まあ、来てみたら、こんな騒ぎになっていたのは想定外だけどね」

「………………(今回はアジアの武将達だけを呼んだから、元々呼んではなかったんだけど……)」

 招待する気もなかったのに、自ら遠路はるばるアニメタウンへと足を運んできたモーリス・ナイロンの言動に、ジュニアは内心呆れていた。

 

 そして戦闘中に、偶然にも駆けつけたモーリス・ナイロンの戦力もあって、どうにか薙切薊ことザ・ハングリーが雇った髑髏集団を一掃し終えた一同。

「ふぅ、まさかアジア武将の集会に殴り込んでくる愚か者が、こんなにも居たとはねえ」

 周りに倒れている髑髏集団を見下ろして、猿飛佐助が呆れてしまう。

「まさか……武勇に秀でた武将達を相手に、武装した集団が襲ってくるとは……」

 と、シバ・カァチェンが思わず零したのを耳にした、カァチェンの側近であるマン・サコンが鬱憤を吐き出す。

「ケッ、だからアニメタウンに来るのは反対だったんだ! 簡単に下種な異常者(ヒール)になっちまう、小田原修司のクローンがわんさか居るアニメタウンなんか、危険以外の何もんでもねェ」

『………………………………』

 サコンの言動に、他のアジア武将は何も言えなかった。

 そして周辺で倒れ込む髑髏集団を見渡して、この事件の首謀者であるハングリーこと薙切薊の実子である薙切えりなの心中は重たかった。

「……えりな……」

 そんなえりなに、修司が歩み寄り声をかけると、えりなは溜め込んでた思いが爆発したのか修司の胸倉に顔を押し付けて泣き出してしまう。

「えりな……」

 自分の胸で泣き出すえりなの心情を感じ取り、修司は居た堪れない心情に駆り出される。

 

 

 一方、襲撃事件の首謀者である薙切薊ことザ・ハングリーはというと。

 修司やアジア武将達が、傭兵である髑髏集団に集中している隙に、一人食事会の場から逃走してた。

「はぁ、はぁ……!」

 息を切らし、山中の林の中で呼吸を整えていると、そこに一人の人物がザ・ハングリーに話し掛けてきた。

「その様子だと、遠月茶寮料理學園を襲撃して乗っ取るという作戦は失敗に終わったみたいですね。ハングリー」

「はぁ、はぁ……み、Mrフェイク」

「しかし! 悪のカリスマたる貴方を、ボクはこのまま見捨てるなんて野暮な真似はしません! どうです? 今度は貴方自身のやり方で、食品業界に革命を起こしてみては……!」

「そ、そうだな。しかし、私は革命を起こすだけでは、まだ足りない! 失ったモノを取り返すのだ……!」

「失ったモノとは?」

「はぁ………………私の忠実だった愛娘、えりなを我が手中に収める!」

 こうしてMrフェイクとザ・ハングリーは新たな犯罪計画を練るのだった。

 

 

 

[新たなる革命]

 

 実父の食事会襲撃の事件で、えりなの傷心がまだ癒えない後日のこと。

 折角の食事会も、ザ・ハングリーの襲撃で急きょ中止してしまい、国際社会からアニメタウン及び新世代型二次元人への非難が殺到してしまう。

 そんな中、小田原修司はジャッジ・ザ・デーモンとして、襲撃事件から逃走したザ・ハングリーの追跡に専念してた。

「薙切薊、いや、ザ・ハングリーは何処に逃げた?」

 ジャッジ・ザ・デーモンは黙々とコンピューターでザ・ハングリーの追跡作業に専念する。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンに、食事会にも参加していたミラーガールが話し掛ける。

「修司、食事会の日からあんまり寝てないでしょ。少しは休んだら?」

「今の俺は小田原修司ではなく、ジャッジ・ザ・デーモンだ。休んでる暇などない。ザ・ハングリーは俺のクローン、俺の子供の一人だ。そんなハングリーを止め、えりなの悲しみを終わらせるためにも休んでる暇なんかない」

「……あくまでザ・ハングリーも、えりなちゃんも自分の子供だから責任を感じてるのね。でもあなたが無理して倒れたら、それこそえりなちゃんが悲しむわよ」

 だがミラーガールの心配をよそに、ジャッジ・ザ・デーモンは黙々と集中するのだった。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンに呆れてミラーガールが離れようとした、その時。

 ジャッジ・コンピューターの通信機が鳴り出し、ジャッジ・ザ・デーモンが受話器を取って通話する。

「もしもし」

「し、修司さん! 大変です!」

「その声は緋沙子か! どうした?」

 電話の相手は薙切えりなの秘書を務める新戸緋沙子だった。

「そ、それが……先ほど、あの薙切薊が……ザ・ハングリーから手紙がえりな様に届いて、それを読んだらえりな様一人で出ていっちゃいまして」

「なに!? ……それで、手紙の内容は?」

「それが……『拝啓、我が手中の娘えりなよ。もし少しでも遠月茶寮料理學園を護りたければ、一人でアニメタウンの〇〇食品加工工場へと来い。お前が私のものとして戻るのを心待ちにしてる。ザ・ハングリーへと変わり果てた父、薊』と……!」

「……!!」

 緋沙子からの連絡で、えりなの身に危険が及んでいると知ったジャッジ・ザ・デーモンは、即行でえりなが向かった食品加工工場へと急いだ。

 

 

 その頃、薙切えりなは一人、実父である薊ことザ・ハングリーが待っているという食品加工工場へと足を運んでた。

「お父様! 言われた通り、一人で来ましたわよ!」

 えりなは暗闇に閉ざされた工場内で、父の姿を探し回る。

 すると暗闇の工場内で、唯一灯りが点いている場所があり、えりなは自然とその灯りの方へと足を向ける。

 そして灯りが灯った空間へと、えりなが足を運んで近づくと、そこで見た光景にえりなは驚愕した。

「っ!」

 驚きのあまり、えりなは思わず口を塞いだ。

 其処で目撃したのは、無数の筒状のカプセルの中に押し込まれ、口枷として布を顔に巻かれている全裸の男性達。

 驚くえりなが思わず後ずさりするのを、いつの間にか彼女の後ろに立ってたザ・ハングリーが止める。

「お、お父様……!」

 いつの間にか後ろに立ってた実父に、えりなが驚いていると、ザ・ハングリーは彼女に言った。

「我が娘、えりなよ。よく来てくれた。さあ、昔の様に一緒に食事でもしようじゃないか」

「しょ、食事って……!」

 戦慄するえりなが問い返すと、ザ・ハングリーは真剣に話した。

「えりなよ、私はな……遠月茶寮料理學園を改革する前に、今の食品業界を改革せねばならないと思い立ったのだ」

「し、食品業界を……!?」

 えりなが唖然としてると、ザ・ハングリーは封を切ったように言い放った。

「そうだ……! 偽りの食肉を加工し、販売したミートホープの田中稔を知ってるか。こいつは神聖な食を汚したというのに、裁判ではたった4年の実刑判決にしかならず、のうのうと生きていた。勇気を出して内部告発した赤羽氏は家族や親族から絶縁され、躁うつ病を発症したというのに、田中稔は平然と生き永らえている……! こんな怠慢な管理が許されてなるものか!」

「………………!」

「食品偽装だけではない! イミテーションである安物で質の悪いフェイク食品までも排除せねばならない……! トランス脂肪酸などの悪玉コレステロールを増やすだけのマーガリンなどの乳製品……コンビニでの鶏卵から魚卵に海鮮物、トラウトサーモンと表示された養殖ニジマス! 回転寿司では代用魚類が大量に紛れ込み、スーパーなどにはサイコロステーキで有名なインジェクション加工肉が普通に売られてる……!」

 実父であるザ・ハングリーの怒りに満ちた言動に、えりなは怯えながらも反論した。

「で、でも……菜食主義者やお肉アレルギーの人にも安心して食べられる偽物(フェイク)肉は、多くの人の恩恵を受けているじゃないですの! カロリー制限のある肥満患者などの病気で、お肉が食べられない人から支持がある食材を否定するなんて! そ、それに偽物(フェイク)食品が流通している事で、この先の食糧難などの問題を解決する為にも、偽物(フェイク)食品が有効だって意見もありますわ……!」

 するとザ・ハングリーは強い口調で、えりなに怒鳴り散らした。

「たかが一部の低俗な消費者、クズ共の都合なんて知った事か!!」

「!」もはやザ・ハングリーは、大勢の消費者の事など考えていない事を、えりなは察した。

 そしてザ・ハングリーは、自分が調理している調理場へと娘えりなを歩ませて、えりなに調理している肉を見せびらかした。

「どうだ? この肉……食品偽装を行った田中稔や、偽物(フェイク)食材を作って売り捌いていた連中の末路には打ってつけだろ? どんなに性根の腐った輩でも、私の手で美味しく調理してやれるのだよ」

「調理してやったって……ま、まさか……!」

 実父ザ・ハングリーの言葉を聞いて、えりなの顔色から血の気が引いた。

 

「腐り切った人間の肉も、調理次第では実に美味へと変わるもんだ……!!」

 

 なんとザ・ハングリーは、ミートホープの社長であった田中稔を含めた食品業界の人間を、下ごしらえで茹で上げると包丁で切断して食肉として調理していたのだ。

 実父であるザ・ハングリーが、人肉までも食肉として扱うまでに気が狂った事態に、えりなは顔面蒼白。

 するとザ・ハングリーは意を決したかのように叫び出した。

「改革だ、革命だ! 神聖なる食物を汚す偽装食品にコピーである偽物(フェイク)食品も、すべてこの世から排除する! その為にも、汚れ切った連中を私の手で、神聖な食物へと変えてやるのだ!!」

 高らかに人肉を調理すると宣言するザ・ハングリーの発言に、えりなが蒼然とした顔で思わず後退りしてしまうと、彼女の背後から一人の青年がえりなの背後に立つ。

「やあ、えりなちゃん」「きゃっ!」

 突然後ろから現れた青年に、えりなが驚いてしまうと、青年が話しかける。

「そんなに驚かないで。ボクは君のパパみたいに、人肉を食べようってところまで狂ってないから!」

「み、Mrフェイク……!」

 後ろに立ってた青年Mrフェイクを、えりなは睨み付けると、Mrフェイクは喜々として彼女に話す。

「ハハハッ、いやあ、君のパパもボクの見立て通り、実に素晴らしい悪役に生まれ変わったね!」

「お父様になにしたの!?」

 怒ったえりなが問いかけると、Mrフェイクはおどけた感じで彼女に返答する。

「いやいや、特段変わった事はしてないよ! ただ、君のパパに今の食品業界に蔓延る過ちや真実を説いてやっただけさ……まっ、その甲斐あって君のパパは立派な食人鬼へと変わっちゃったけどねっ! ハハッ」

「………………!」

 Mrフェイクのふざけた言動に、えりなは腸が煮えくり返った。

 すると娘えりなと会話しているMrフェイクに、ザ・ハングリーが話し掛けてきた。

「おい、Mrフェイク。お前は私に、食品業界の闇を……過ちを教えてくれた。その礼も含めて、私の料理を食べないか」

「い、いやいや。確かにボクは世間からは狂人の類として見られているけど、人肉を食べるまでは狂ってないよ……」

「いいから食え! この私が作り上げた料理の数々を食べないというならば、それこそお前自身も調理してやるぞ!」

「………………(人肉を食べなきゃ、逆に食べられちゃうなんて、まるでレクター博士みたいだな)」

 ザ・ハングリーから共に人肉を食べるよう言われ、そして共に食べなければお前も食らうと脅されたMrフェイクは、まるで【羊たちの沈黙】のハンニバル・レクターみたいだなと若干怖気付く。

 そしてザ・ハングリーは手元のスイッチを押して、口枷などの拘束している人間を押し込めた筒状のカプセルに水を入れ始める。

「な、何するんですの……!?」

 えりなが蒼然とした顔でザ・ハングリーに問いかけると、ザ・ハングリーは平然と答えた。

「見て分からないか? あいつらも今から調理するのだよ。まずは灰汁を取り除くためにも、下拵えに茹でないとな……!」

「……!!」

 ザ・ハングリーの平然とした物言いに、えりなは愕然とする。

 

 業者たちを押し込めたカプセルに水を入れ、茹でようとするザ・ハングリーは、娘であるえりなにも予め用意していたテーブルに着席し、自身が調理した人肉を食すよう促す。

「さあ、えりな! こっちに来て私の料理を食べるんだ!」

「いや! 人肉なんて、死んでも食べないわ!」

 そうザ・ハングリーとえりなが親子で言い争ってた、その時。

 

 

 

[欲求を抑制する鬼]

 

 ザ・ハングリーとえりなの親子が言い争ってた、その時。

 なんと突然、ザ・ハングリーが押し込んだ食品業者たちを茹でるために水を投入し始めたカプセルにジャッジラングが突き刺さり、そのジャッジラングが爆発してカプセルのガラスケースを割れ、中に押し込められてた業者達が水と共に流れ出たのだ。

「何事だ!」

 怒声を張るザ・ハングリーに説明するように、Mrフェイクが話した。

「ジャッジ・ザ・デーモンだ! 彼がジャッジラングでカプセルを割ったんだ!」

「くッ、元殺人鬼の分際で、私の美食を邪魔するとは、いい度胸だ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの急襲に、ザ・ハングリーは怒りに身を任せて娘えりなの襟を掴む。

「えりな、一緒に来い!」「きゃっ!」

 実父ザ・ハングリーに首根っこの襟を掴まれて強引に引っ張られて、えりなは困惑する。

 

 そしてそのままザ・ハングリーは娘えりなを引き連れ、同時に彼女の頭に拳銃を突き付けながらMrフェイクと共に食品加工工場の扉を蹴り開けて、外へと飛び出す。

「Mrフェイク! ジャッジ・ザ・デーモンは何処から襲ってくるか解るか!?」

「い、いや、彼は神出鬼没だからね。強いて言うなら、頭上とか上方から襲ってくるかも……」

「ッ、当てにならない奴だ……!」

「そんな風に言わないでよ! そもそも君だって、自分の娘を人質にして逃走できるなんて思わない事だね! ジャッジ・ザ・デーモンの奇襲は中々読めないんだから!」

 そうMrフェイクと言い争いながらも、ザ・ハングリーはえりなに拳銃を押し当てながら工場から逃げ去ろうと試みる。

 が、その時。ザ・ハングリーに拳銃を押し当てられている薙切えりなが不意に前方の上方に視線を向けると、彼女の視界に異形の人影が滑空してくるのが見えた。

 その人影が此方へと急速に滑空してくるのを視認したえりなは、自然としゃがみ込んで姿勢を低くした。

「「?」」

 突然しゃがみ込んだ薙切えりなに、ザ・ハングリーもMrフェイクも呆然としてると、そんな二人に滑空してきた人物が滑り降りながら飛び蹴りを喰らわした。

「ぐわッ!」「ひっ!」

 飛び蹴りを頭部に受けて、ザ・ハングリーもMrフェイクも激痛で声を上げてその場に倒れ込む。

 飛び蹴り一発で意識朦朧とするMrフェイクに反して、ザ・ハングリーは頭部を覆う水晶製のマスクで打撃を緩和させて辛うじて立っていた。

 しかし、そんなザ・ハングリーに飛び蹴りを浴びせた異形の人物ジャッジ・ザ・デーモンは何発も拳による打撃を浴びせ続け、遂にはザ・ハングリーを殴り倒して気絶させてしまう。

 ザ・ハングリーを倒した直後、そんなジャッジ・ザ・デーモンにMrフェイクが拳銃を取り出して発砲しようとするが、ジャッジ・ザ・デーモンはそんなMrフェイクにジャッジラングを投げ付けて今度こそ完全に気絶させてしまう。

「きゅぅ……」

 こうしてザ・ハングリーとMrフェイクを倒したジャッジ・ザ・デーモンは、えりなに問い掛ける。

「えりな、無事か?」

「しゅ……う、ううん、ジャッジ・ザ・デーモン、私は大丈夫よ。ありがとう」

 思わず本名で呼びそうになるえりなは、咄嗟にジャッジ・ザ・デーモンの名で礼を述べる。それに対してジャッジ・ザ・デーモンは無言で頷くだけだった。

 こうしてMrフェイクに唆されて、異常犯罪を行ったザ・ハングリーの猟奇的事件は幕を下ろしたのであった。

 

 

 

 後日、聖龍隊本部で事件の当事者である薙切えりなを交えて、新世代型委員会との会談が行われた。

「いくらMrフェイクに唆されたとしても、まさか食人にまで手を染めるとは……」

「言っちゃなんだけど、ザ・ハングリーこと薙切薊は完全に精神に異常を来たしてる。裁判でも普通に収容施設への投獄が決定するだろうね」

「……仕方ありませんわ。アジア武将との食事会を襲撃しただけでも国際問題なのに、そればかりか食人という悍ましい行為をしたんですもの。許される筈はありませんわ……」

「えりな……」

 バーンズとジュニアからの説明に、えりなは実父であるザ・ハングリーの異常行動を許容できないと受け入れ、そんなえりなの心情を委員会代表の鬼龍院皐月は重く受け止める。

「しっかし、まあ……食品偽装は確かに問題だが、偽物(フェイク)食品までも許容できず、それらを作ってた業者までも調理して食っちまおうって完全にイカれてるな」

 バーンズに続けて、えりなを始めとするその場の皆にジュニアが語った。

「まあ、確かに偽物のコピー商品ではあるだろうけど、偽物(フェイク)食品そのものが悪とは決め付けられないけどね」

 ジュニアのこの発言にバーンズが付け足す。

偽物(フェイク)食品だろうと、名前が食材そのものとは違っていようと、アレルギーや持病のある人の為に『成分表示』だけは、きちんと表示してもらいたいけどな」

 これを聞いた薙切えりなも今回の件で理解した内容を述べた。

「そうですわね。誰もが安全に、かつ安心して食べ物を補給できる時代である為にも、嘘偽りのない成分表示であってほしいですわね。そして何より、多くの人々に食が行き渡れる様、コピー食品といえど供給が絶たれる事はあってはなりませんわ」

「そうだな、えりな。コピー食品だろうと偽物(フェイク)食品だろうと、大勢の人々に安全な食が行き渡る事には変わりない。確かに質も大事だが、それ以上に誰もが栄養を摂取できる安心安全な食への供給システムを絶たせてはならない事だ」

 えりなの理解を受けて、バーンズは食に対する考えを説明した。

「……だが、バーンズ殿。今回ザ・ハングリーが殺めたり、調理して殺した業者の中には本当に食品偽装に携わった業者もいたんですよね?」

「ああ、皐月……それが悩ましい問題だ」

 鬼龍院皐月からの質問に、バーンズは頭を悩ませる。

「食品偽装全てを公表し、問題にすれば……それこそ全ての食品業界を潰す結果になるのは目に見えている。故に、オレ達ができるのは業界への注意勧告なだけだ。問題を大きくすれば、市民に食品が供給できなくなる……!」

「ミートホープの食品偽装を告発した赤羽氏も、その後マスコミなどの追及で心身を疲労して今では精神疾患……食品偽装を告発するべきじゃなかったと嘆いている現状だ」

「食品偽装……問題を追求すれば、それこそ食品業界を全て閉鎖に追い込まなければならない一大問題。闇が深いぜ……」

 食品偽装に関する深淵の如き深い闇に、バーンズもジュニアも苦悩するばかり。

 

 だが、それ以上にバーンズとジュニアを悩ませる問題があった。

「食品偽装も問題だが……ザ・ハングリーの奴、二次元人だけでなく三次元界の食品偽装を行った業者までも調理して殺しやがった」

「三次元政府が、ここぞとばかりに二次元人を非難してくるだろうね」

 今回、ザ・ハングリーが殺めた業者の中には、田中稔などの三次元人も含まれてた事から、三次元政府からの非難が殺到するだろうとバーンズとジュニアは苦悩するのだった。

「ふぅ……二次元人、特にザ・ハングリーと同様の新世代型二次元人が更に危険視されるだろうな」

「「………………」」

 バーンズの懸念の言葉に、薙切えりなも鬼龍院皐月も険しい表情を浮かべるのだった。

 

 

 最後に筆者から。

 現在も尚、フェイク等のコピー食品は日々増えています。

 その割合は、もはや9割に達する勢いです。

 今では逆に、本物食材を探す方が困難な時代に突入したと言っても過言ではありません。

 

 

 最後に作者から皆様へ問い掛けたいです。

 あなたが食べてる食品、本当に安全ですか?

 

 

 

[修司とえりな]

 

 ザ・ハングリーを討伐した後日。

 アニメタウンのとある屋台ラーメンで一緒に食事してた小田原修司とバーンズの姿があった。

「そうそう、修司。お前、今度あのえりなと一緒にデートしてくんないか?」

「デート? あの薙切えりなと? なんでまた……」

 ラーメンを啜りながら会話するバーンズと修司。

「えりな、未だに実父であるザ・ハングリーの事で苦しんでいるんだよ」

「まあ、前から独裁的であっただけでなく、食人なんて異常行動に走った実父がいたんじゃ、苦しんで当然だ」

「だろ? だから、えりなを励ます為にも、修司お前が彼女と一緒に食事したりとデートしてくれよ」

「なんで俺なんだよ。聖龍HEADの女子達に任せるのが良いんじゃないか? 同じ女同士で……」

「あの子は父親という存在に今まで苦しんできた。そしてお前も、少し意味合いが違っているとはいえ新世代型二次元人の親だろ。親なら娘を励ますぐらいしてやれよ」

「………………」

「修司、えりなは実父に食育で苦しまれていた。そんな彼女に少しでも、明るく食すという実体験を与えてやるのが一番じゃないか? どうだ、新世代型二次元人の始祖さんよ」

「………………………………」

 バーンズに問われて考え込む修司。

 そして二人はラーメンを食べ終わると、屋台から立ち去ろうとする。

「また一段と旨くなってたぜ。この調子で聖龍隊での活動以外でも、しっかり働けよ、幽助」

「おうッ、また食いに来いよ!」

 そう修司は屋台の店主、裏飯幽助に言い残すと、バーンズと共に帰っていった。

 

 それからまた後日。

 修司はバーンズに言われるがまま、薙切えりなと親子?デートをする事に。無論、このデートは修司の婚約者であるアッコの了承を得ている。

 修司はえりなに少しでも明るく元気を取り戻してもらおうと、色んなお店を食べ歩きした。

 えりなの方も、食育として実父である薊の思惑通りにされてきたのが反発からか、修司が連れて行くラーメンなどのB級グルメなどを心から堪能した。

 そしてデートが終わり、夕暮れ時。

「ふうっ、お腹いっぱいですわ」「お前も俺もたらふく食ったからな」

 互いに満腹に至ったえりなと修司。そんな修司に、えりなが言った。

「あの……修司さん」

「なんだ?」

「今日は、その……ありがとうございました。お陰で私は再確認できました。本当に美味しい食とは、調理された品ではなく、大切な人と一緒に食べれる幸せなんだと……」

「そうか、それを認識してくれたなら俺も嬉しいぜ」

 すると、えりなは突然修司の腕に抱きついた。

「ありがとう! 私たち新世代型二次元人のお父さん!」

「! お、お父さんは、やめてくれよ……小っ恥ずかしい」

 えりなからの感謝の言動に、修司は思わず赤面するのだった。

 

 

 

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