こちら葛飾区亀有公園前派出所 サメの勢いはサメないの巻 作:青色好き
「はぁ…… くそぉ………… 疲れた…………」
『お、お疲れ様です』
両津達はどうにかサメ達を無力化した。だが、皆かなり体力を消耗をしており、誰がどう見ても「疲れている」と言われる程ぐったりとしている。そんな様子を見て、協力的なサメは両津達に水が入ったコップを渡した。
「随分便利な水槽だな……」
『絵崎さんが造ってくれたんです。これが凄く便利で……』
「あいつか…………」
絵崎コロ助。
様々な物を発明する、怪しさ満点の科学者だ。見た目などは怪しいが技術は確かで、今まで両津は何度か絵崎の発明品を使用した事がある。
その絵崎が発明した、高機能型移動水槽。
下には車輪が付いているが、原付スクーターで使われそうなモーターが付いている。その近くに階段でも問題無く上れるよう、伸縮自在のアームが付いている。これで水槽を持ち上げて段差を超える仕組みのようだ。更に水温の調節機能や通信機・電話など、様々な機能が付属している。
『これのおかげで移動が随分と便利になりました!』
「ところで、その水ってお前の水槽の……」
『違います! そこのウォーターサーバーの水です!』
「お、おぅ…………」
「そういえば、名前を決めた方が良いと思いますよ? まだ具体的な呼び名が無いですし」
「あ、絵崎さんから頂いています。泳ぐのが上手と言う事で『ジョズ』って呼ばれています! 他の皆も色々な名前で呼ばれています!」
「何時の間に名前を付けられていたんだ……」
此処にいる、両津達に危機を知らせに来たサメ達は随分と馴染んでいる。人類に危機を知らせたサメ…… いや、そろそろ名前を決めた方が良いだろう。と思ったが、既に絵崎に名前を付けられていたようだ。ジョズ…… 悪くない名前だろう。他にも名前が付けられたらしいが、どんな名前なのだろうか?
「あのサメ達はまだ反抗的なのね」
『『『『ふん!』』』』
頑丈な水槽に収監されたサメ達…… 両津達が無力化した、凶暴なサメ達だ。両津達に大分やられた事もあって体の各所に包帯が巻かれており、一部のサメはたんこぶがまだ頭から生えていたり、誰かの噛み跡が付いていたりする。
『人間共と仲良く手を結ぶとか嫌だもんね!』
『あ~、やだやだ! こんな繋がり眉毛警官の下に就くとか嫌だな~!』
「てめぇら! さっきからワシの悪評ばかりじゃないか!!」
「落ち着いて下さい! 先輩!」
中川は頭から湯気を出す両津を必死に抑えている。その両津は頭だけでなく顔まで真っ赤だ。相当怒っている事が分かる。無理も無いが。
両津が見ている水槽にいるサメ達…… 即ち今回の騒動を引き起こし、両津達に捕まったサメ達である。皆圧倒的な力で両津達を苦しめたが、何とか全員無力化して収監されたのだ。両津と戦ったサンドシャーク達は噛み跡とかが残っているが…… 聞かなくても分かるだろう。
「これで大方捕まえたと思いますが…… まだいるんですかね……?」
中川の一言に皆は冷や汗をかきそうになる。1回のサメ達の戦いでもかなり大変だ。というより命懸けと言った方が正しい。今までの戦いでもピンチに陥った事が多い。何とか乗り越えてきたが今後も乗り越えられる保証は無い。再び別のサメが現れるとしたら、今度はどうにか止められるだろうか?
「おい! 他にも暴れそうなサメがいるのか!」
『『『『ふーんだ…………』』』』
サメ達は何も言おうとしない。
「だったら電気を流すぞ! 痺れるからな!」
『うぐ…………』
電気を流す気があると分かると不味い顔をしている。流石に電気には耐えられないのだ。
『お、俺は耐えられるぜ!』
別の水槽に入れられているサメ、電気シャークはかろうじて威張っている。この電気シャークは発電器官を使用して電気を発生させる事が出来る。そんな事もあり電気が効く事が無い。今両津が流そうとしている電気を流しても意味は無いだろう。
「じゃあお前はこの殺魚剤や下水を……」
『わああああぁぁぁぁぁぁぁ!! それは嫌!』
しかし両津はその事も想定済み。
両津は電気が効かない電気シャークに殺魚剤と下水を入れようとしている。流石に電気シャークからすればとても堪ったものではないため、即効で嫌がっている。先程の威勢は何処かへと行ってしまった。
「先輩、えげつない…………」
周りにいる中川達は両津のやろうとしている事にドン引きしている。いくら黙らせると言えども、それは精神的にもきつい方法だ。こんなやり方をされれば他のサメでも嫌がるだろう。
『どうせお前らには勝てないから教えてやるか?』
『うぅん…… 教えても教えていなくても、ここまで俺達がやられたのなら、自分から動き始めると思うよ』
「動き始める……?」
サメ達から不穏な言葉が出てくる。
「自分から動き始める」という、何やら嫌な予感を感じさせる言葉だ。それは今から人類に敵対するサメが本格的に活動を始めようとしている、と解釈出来そうだ。
「一体どんなサメが……」
大原部長が冷や汗をかき、恐怖を抱き始めた。
その瞬間、
「緊急ニュースです! 小笠原諸島で謎の巨大生物が出現しました! この巨大生物は現在時速100キロの速度で泳ぎながら東京湾に向かっています! 海上自衛隊によると、巨大生物はサメに酷似した生物との事です!」
ニュースから流れて来た映像。そこには新たなサメが出現したという速報が流れてきた。
「な…… サメって…………」
「もしかして…………」
「あの巨大サメもあいつらの仲間なのか!?」
『あー、そうだよ』
緊迫するような両津達とは対照的にあっけらかんとした表情と口調で答えている。あのサメも人に敵対するサメだとしたら、どうにかして無力化しなければならないが、テレビ越しで見てもかなりの大きさだ。見た所大型船と同じ位の大きさだろうか? 全長100メートルはあろうかという大きさだ。
「ヤバいですよ! あれ程巨大なサメが暴れたら被害は甚大ですよ!」
「あぁ! まずいぞ! 今直ぐに行くぞ!」
「ちょっと待って下さい! 相手が100メートルもあるサメが相手だと重武装した方が良いですよ!」
両津の言う通り、相手はかなりの巨体なのだ。並みの武器では歯が立たないのは明白だ。それこそ自衛隊の協力も必要だろう。
「あぁ! そうだな! 今直ぐ準備だ!」
「「「「はいっ!」」」」
「おいっ! お前ら! あのでかいサメの弱点は何なんだ!」
大原部長達が巨大サメへの対策に乗り出し始める。相手は一筋縄ではいかないのはもう火を見るよりも明らか。機動隊や自衛隊などの組織への全面的な協力を呼びかける。そして、両津はあの巨大サメの弱点をタコシャーク達から聞こうとしている。敵の情報を知らずに戦うよりはマシだろう。
『おいおい、俺達が素直に言うかと……』
「……………………」
タコシャーク達はやはりと言うか、素直に言おうとする気はしない。相手が自分達を負かした相手なので当然だろう。
だがそれを聞いた両津は、無表情のまま近くにある殺魚剤を持ってそれをタコシャーク達に見せつけるように持ち上げた。
『うぅ………… 分かったよ! 言えば良いんだろ! 言えば!!』
「賢い判断だな!」
「先輩…… やり方がえげつない…………」
「えぇ…………」
両津の聞き出し方に本田と残念はドン引きしてしまう。だが、今はどうこう言っている暇は無い。巨大サメの脅威が迫っている今、対処しなければならないのだから。
「と言う訳でさっさと弱点らしい弱点を言うんだ!」
『うぅ…… 分かったよ! だが言ったところで勝てないだろうがな!』
両津の恐喝染みた怒声が広がっている中、巨大サメとの戦いに備えて準備を進めていた。
暑さより悪天候の方が怖いです。
次回は2025年8月2日21時00分に投稿予定です。