こちら葛飾区亀有公園前派出所 サメの勢いはサメないの巻   作:青色好き

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暑くなってきたよ……
水分や塩分補給はこまめに取ろう。


第5話:陰謀との戦い

 世界各地でサメ達が人間に助けを求める事例が多くなった。

 その内容はどれもこれも人類にとって深刻な内容ばかりだった。そのため世界各国は人類に敵対しようとするサメ達への対策が急ピッチで進められる事となった。その中には中川コンツェルンと秋元貿易、そしてさし水産が加わっていた。

 

「うぅむ、予想以上に不味い事になってますね……」

 

「えぇ、これって我が社が役に立つ時があるんでしょうか……?」

 

「一応サメの研究をしていたという実績があるので、多分役に立つとは思いますが……」

 

「えぇい! 狼狽えるな! なっちまったもんは仕方無い!」

 

 さし水産の研究員達は自身達が選ばれた事に少なからずとも動揺していた。今のところサメの脱走の事はメディアなどに話していない。これでは隠蔽なのだが、批判や責任追及により妨害が起きる可能性を考慮したのである。

 とはいえ、正義感が高い部長達がいる以上いずれは公表しなければいけないが……

 

「でも、サメ達が言うには皆強そうなサメなんですよね? 何だか自衛隊でも難しいらしいんですけど……」

 

「僕達で本当にどうにか出来るんですか……?」

 

「あぁもう! だからどうにかするしかないと言ってるだろうが!!」

 

「まぁ、ゴキブリ並み、いや、ゴキブリ以上の生命力を持つ両津なら何とか出来るかもしれんな」

 

「げっ…… 部長…………」

 

 大原部長から厳しい一言が発せられた。確かに、両津は人間を超越した生命力を持つ。凶暴なサメをどうにかするには両津の力は必要になるだろう。

 

「それで、そのサメ達が言うには様々なサメが人類を支配しようとしているんだな」

 

『そうなんです…………』

 

 近くの水槽には両津が連れて来たサメ達が、水面から顔を出すようにガラスに乗りかかっている。その様子をみると少し可愛く見える。首には翻訳機が付けられている為サメが話すと自動的に翻訳される。

 

「しかし、何で私達を支配しようと思い至ったのかしら?」

 

 麗子はサメ達に疑問を投げかける。

 確かに大半のサメ達は人類に友好的なのだ。何故人々を支配しようとする考えを持ったサメが現れたのか。

 

『そのサメ達は色んな環境に住んだ結果、物凄い変態をしたんです。その力を実感して自身こそ最強だと思うようになったんです。だから……』

 

「そのサメ達は調子に乗っている…… と言う事ですかね?」

 

『まぁ………… ハイ…………』

 

「変態? スケベなサメなのか?」

 

「違います! 生物が姿を変える事です!」

 

 変態。

 動物が姿を大きく変える事を指す。例えばチョウやカブトムシ。卵・幼虫・蛹・成虫という段階を経て姿を変える(セミなどは蛹を経ない)。サメなどの魚類も変態を行う種も存在する。どうやら研究所から脱走したサメの一部が変態を行い、強くなったようだ。

 

「両ちゃん、一体どういうサメなのよ……?」

 

「多分、以前にも行った『色んな遺伝子を入れた』サメだろうなぁ……」

 

「あぁ…… あのサメですね…………」

 

 少し前に両津が言った、様々な遺伝子を入れたサメ。

 遺伝子を入れた影響で遺伝子を持つ生物の形質が発現したのだろうか。両津が言うには様々な動物だけでなく植物や菌までの遺伝子を入れている。一体どんな形質を持つのだろうか。

 

「ところで、あなたが会ったサメはどんな特徴があるのですか?」

 

『確か下半身がタコとイカの足が生えていたり、複数の頭が生えているサメでした。あと、トビウオの鰭が生えているサメもいました。他にもそういったサメがいるかもしれません』

 

「…………、いきなり厄介そうなサメですね」

 

 人類を助けようとするサメが出会ったサメ達は手強そうな特徴がある。タコとイカの足が生えているとなると吸盤と足の数の多さが面倒だし、複数の頭があるとなると数頭分の噛みつきをしてくるだろうし、トビウオの鰭があるとなると飛行が可能かもしれない。

 

「うぅむ、どうすれば…………」

 

 両津達はサメへの対策を考えるが、様々な種がいる事を考えるとそれぞれの種ごとに対応と対策も違ってくる。人類に協力的なサメが出会ったサメも、変態したサメ全種とは限らない。一体どれ程の数が変態しているのだろうか……?

 

「情報をくれただけでもありがたいです。このサメ達への対策を考えましょう」

 

「タコがいるなら、茹でれば良いんじゃねぇか?」

 

「どうやって茹でるんだ!」

 

 両津達はサメへの対策を考え始める。水産の人々や優秀な頭脳を持つ中川・麗子・残念がいるためある程度有効的な対策が思いつくだろう。

 

 だが、その時間はあまりにも短かった。

 

「大変です! さっき東京湾に奇妙なサメの群れが現れたとニュースで報じられています!」

 

「何だと!?」

 

 研究員からの報告により対策を考える時間はあっさりと打ち切られた。

 研究員がチャンネルを手に取って電源ボタンを押す。すると、近くのテレビが映像を流し始める。その映像は現在放送されているニュース番組だが、その内容に釘付けとなった。

 

「こちら東京湾です! 東京湾をご覧下さい! 湾を航行する船舶に謎のサメが上陸しています! あのサメ達は…… タコやイカのような足が生えています! 海中では複数の頭を生やすサメも泳いでおり……」

 

 ニュースで報じられている内容は正しく協力しているサメからの情報に合致している。放送画面では「LIVE」と表示されている事から、そのサメ達が現在進行形で暴れているという事が分かる。

 

「まずい! 皆! 直ぐに出動だ!」

 

「でも、僕達は動物の確保の技術がありません……」

 

「だからこそ、両津! お前が行くんだ!」

 

「うっ……!」

 

 部長に指名された人物は両津である。当然だろう。サメの研究の責任者でもあり、超人的な身体能力を持っている。それに加えて今までに野生動物の捕獲した事も多い。この事件を解決するのに必要な人物であろう。

 

「と言う訳で両津! 行くんだ! 本田達も! 念のためワシらも行くぞ!」

 

「えぇ!?」

 

「僕達もですか?」

 

「何度も両津共々動物の捕獲を手伝った事があるし、何よりこの状況でワシらが何もしない訳にはいかん!」

 

 両津だけでなく本田達も行く事になった。思えば両津が不祥事で恐ろしい生物が流出した時に、一緒に捕獲を手伝った事が何度かある。今まで行われて来たから今回も行うつもりのようだ。

 

「それじゃあ行くぞ!」

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

『お、お気を付けて……!』

 

 両津達はサメ達が暴れる東京湾に向かっていき、その様子をサメ達は心配しながら見守っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 東京湾。

 普段は多くの船舶が運行している、世界的大都市の東京の貿易を大きく支えているこの港湾では現在船は一隻も運行していない。いや、厳密にいえば東京湾状に貨物船が数隻浮かんでいる。つまり、浮かんでいるだけで運行はしていない。その原因は何か。

 

 グオオオォォォォォ!!

 

 言うまでも無く、サメである。

 

「うわぁ…… 本当に怖いサメだ……」

 

「ひぇぇ…… タコとイカの足だ……」

 

 先程言った通り、サメである。

 東京湾の貨物船の上にタコとイカの足が生えたサメが上陸しているのである。それにより東京湾の船が運行を停止している状態だ。船に上陸するのであれば船員に危害が及ぶ可能性が高い。極めて危険な状態だ。

 

「よく見ると、海面に何かが泳いでいるような…… 他のサメでしょうか?」

 

「うぅむ…… 船のサメを退治したいが、どうやって船に行く?」

 

「船で行くのは危険ですね。ヘリコプターで空から行きましょう」

 

 ヘリコプターによる接近。確かにそれなら安全だ。今暴れているサメは船上と海中にいる。つまり陸と海が活動圏内だ。空であれば安全に移動出来る筈。中川はそう考えた。

 

「丁度このヘリを使えます! 直ぐに行きましょう!」

 

「いっそ空から麻酔銃とかを撃った方が良いかもしれん。あの巨体だと麻酔の効果が現れるのに少し時間がかかりそうだが……」

 

 麻酔銃と籠を用意している両津がボサッと呟いた。彼の言う通り安全圏の空から麻酔を打つのであれば、襲われる事無く暴れているサメ達を無力化可能だ。両津は超人的な身体能力持ちであるが、安全に越したことは無いだろう。

 

「よしっ! ヘリコプターに乗るぞ! 直ぐにあのサメ達を無力化するんだ!」

 

「は、はい!」

 

「この麻酔銃を打ち込みます! 念のため多めに弾を用意しました!」

 

 両津達は麻酔銃を所持してヘリコプターに乗ってサメ達がいる船に向けて発進した。ローターが音を出しながら勢い良く回り始める。何時でも発進可能な状態だ。両津達が乗り込むとローターが更に音を上げて離陸した。

 ヘリコプターは東京湾の青い海の上を通過していく。海上では白い波が散在している。その中に灰色の影が泳ぐように移動している。間違いない。サメだ。

 

「あれが…… 頭が複数生えているサメ…… 何だかモンスター映画に出てくるサメみたいですね」

 

「あのサメ達をどうにかしたいが…… 今は船上で暴れるサメを止めましょう!」

 

「そうだな! 中川、麗子、両津! 麻酔銃を準備するんだ!」

 

 両津達は麻酔銃を持ち始める。その照準は船上で暴れる、タコの足を生やすサメ・イカの足を生やすサメだ。今あのサメ達は自身達に気付いていない。今がチャンスだ。

 照準がサメを捉え、そして……

 

「「「よしっ!」」」

 

 麻酔弾が放たれた。

 

 サプレッサーにより発砲音は響いていない。あのサメ達に気付いていない。これならあのサメ達を無力化出来る。両津達はそう確信していた。

 

 

 

 

 

 だが、

 

 

 

 

 

 サメ達は後ろを見ながら、

 

 

 

 

 

 タコとイカの足で弾を受け止めた。




こち亀のアニメ、また放送されて欲しい……

次回は2025年6月28日21時00分に投稿予定です。
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