巨竜は
かつて昔、同じことを一介の剣士にされた。自身の生命を脅かさんとする恐怖に、身をすくませ始めたのだ。
魔力を生存本能、その全てに振り分ける勢いで、必死になって体をよじらせる。
その本能は、自身の力を進化させる『虚無』。そちらを取り込まんと狙いを定める。
『虚無』の居場所は……あのときと同じく、真上だ。
「ルイズ、今だ!」
額の目に深々と剣を突き刺したフリーレンは、巨竜の大暴れにしばし、柄を握って耐える。
一方巨竜は暴れながらも生存欲求から、やがて顔を再び真上に見上げる。
その動きを見て、ルイズも意を決した。
「ルイズ、あんた本当に行くつもりなの!?」
キュルケは心配から、未だに止めようとするが、
「行くわ。使い魔が主人を信じてくれてるのに、行かなくてどうするのよ」
今のルイズは無意識に、笑みすら浮かべる余裕すらあった。
今の今まで、ずっと嘲られてきた。
家の中にも居場所はなく。
『ルイズお嬢様は難儀だよねえ』
『上の二人のお姉さまは、あんなに魔法がおできになるのに』
家庭教師にはずっと叱咤され。
『どうしてこんな簡単な魔法すらもできないのです!?』
『杖のせいにしてはなりません。全てはあなたの未熟な集中力にこそ問題があるのです!』
学院に来れば馬鹿にされる。
『聞いたか? 例のヴァリエール家のご令嬢』
『ああ、魔法一つろくに使えねえって噂だろ?』
『使えないだけならマシさ。もっとひどいと爆発するんだぜ!』
『うっそお、それであの面の皮の厚さなの!? どういう教育を受けたらあんな風になるのか、是非とも教えてほしいものだわ!』
魔法が絶対のこの世界、魔法が使えない。それだけでいろんな人に馬鹿にされてきた。
悔しかった、見返したかった。だけどどれだけ努力しても、それを嘲笑うかのように、爆発の威力はひどくなる一方。
自分はずっとこのままなのだろうか? 魔法を一回も成功させられない『ゼロ』のままなのだろうか?
暗闇の大海原をずっと泳ぎ続けるような感覚。それに終止符を打ってくれたのが、今年召喚したエルフの使い魔。
『ルイズは私よりも、ずっと大きな魔力を秘めている。もったいないよ』
『だから私が、魔法を好きにさせてあげる』
『ルイズ、魔法は好き?』
彼女が来てくれたことで、自分の中が大きく変わり始めたように思えた。
彼女の言葉に、自分はどれくらい救われただろう。自分を認めてくれる人がいてくれる。それがどれだけ大きな光となっただろう。
爆発はしなくなり、異国のものとはいえ、ちゃんとまともな魔法を使えるようにもなった。
六千年にわたる仇敵だとか、そんなことはもう、ルイズにとってはどうでもよくなっていた。
自分の可能性を誰よりも認め、信じてくれるのが彼女、フリーレンなのだから。
だからわたしも、無条件でフリーレンを信じる。
誰よりもわたしのことを信じてくれる、彼女の言葉に嘘をつかせたくないから。
ルイズは飛び降りた。
すぐ目の前には、大口を開けた巨竜が、自分を食らわんと迫ってきた。
ルイズはすぐ〝防御魔法〟を全面展開する。巨竜はそのまま、咀嚼すらせず彼女を丸呑みした。
「ルイズ! ルイズ!」
「ミス・ヴァリエール!」
シルフィードの上、キュルケとシエスタの心配そうな声が飛んでくる。タバサもまた固唾を飲んで見守っていた。
巨竜はそのまま、丸呑みしたルイズを首の下から身体へと、送ろうとしていた。
「――――っ!」
ルイズは暗闇の中、巨竜の食道を通っていた。
バリアを張っているおかげで、消化されるということはない。
ずっと維持できてれば、問題ないのである。
そのまま、ルイズは竜の核、ひときわ魔力の強い場所を〝魔力探知〟で探し始める。
〝魔力探知〟、〝防御魔法〟、そして〝一般攻撃魔法〟。
フリーレンから習ったこと、会得した魔法。そのすべてを総動員してこの事態の解決に当たるのだ。
「――――見つけた」
ここでルイズは一際、魔力の鼓動が強い〝そこ〟に向かって、杖を向ける。
これ以上ない高揚感が体を包む。今まで感じたことのないリズムが、言葉にできない〝何か〟となってうねり始める。
これがどういうことか、ルイズに知るすべはない。ただ、今はこの高揚感にすべてを身に任せることこそが『正解』だと、強く感じたのだ。
その本能のままに、ルイズは杖から六枚花弁に展開し始める魔法陣に、目を向ける。
「―――――〝
どうしてその『名』が出たのか、ルイズは分からない。潜在的に眠る『虚無』が、そうさせたのだろうか。
だがなぜかしっくりとくる。この技名を無意識に叫びながら、ルイズは潜在した魔力を総動員させ、魔法を発動させた。
さて、竜の頭上にいたフリーレンはというと。
ルイズが食われ、大人しくなった瞬間を見計らって、デルフを突き刺したまま、跳躍した。
その後、すぐに魔法の杖を呼び寄せる。〝浮遊魔法〟でデルフを抜き取り、手元に呼び寄せ距離を取った。
しばし巨竜を、上空から俯瞰した視線で傍観する。
次の瞬間、巨竜は内から大爆発を起こし、粉みじんとなって消滅した。
「……おぉ」
巨竜を倒したこの瞬間。
オスマンは、かつての在りし日が一瞬、フラッシュバックする。
自分が若かりしときの記憶。今でも一番、鮮明に焼き付いている光景を。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「はあっ!!」
当時のデルフリンガーの所持者、ヒンメルもまた、全盛の
「ヒンメル! そのまま切り上げろ! 俺が今までため込んだものすべてぶつけてやる!」
彼の勇気に、デルフもまた応える。
ヒンメルは別に『使い手』じゃない。分類上なら、どこにでもいる普通の剣士である。
それでも、デルフは彼の可能性を、誰よりも間近で見てきた。この気持ちに応えるのなら、自分の精神が消滅したっていいぐらいの覚悟を、この時すでに持っていたのだ。
デルフはそのまま、今までため込んだ魔力を一気にぶつける。刀身全体が巨大な炎剣となり、竜の額を完膚なきまでに焼き潰していく。
ヒンメルがデルフを使って切り上げる。巨竜の瞳から鮮血がほとばしるも、膨大な熱量がすべてを蒸発させる。あまりの激痛に、巨竜は大きく体勢をぐらつかせた。
ヒンメルはそれに耐えきれず、デルフをつかんだまま、一度振り落とされる。
まだ、奴は倒れてない。
宙に投げ出されながらも、しかしヒンメルの目はまだ、諦めてなかった。
「オスマン! 今だ!」
ここで秘かに構えていたオスマンが、とっておきの武器を持って古代竜の正面に立つ。
旅の途中、ヒンメルとはまた別の『異世界』から来たという、不思議な武器を数多く持っていた人間。しばし共に旅をし、無事帰るべき世界に戻れるとなった時、お礼にと譲り受けた秘蔵の品。
それは、後の貴族たちが『破壊の杖』と呼ぶ代物であった。
オスマンは杖を肩に担いで構える。使い方は既にその人間から聞いていた。だから使える。
「とっておきだ! くたばれクソドラゴン!」
オスマンはそのまま『破壊の杖』――――彼は『M72ロケットランチャー』と言っていたか、の発射トリガーに指をかけた。
しゅぽっ、という栓抜きのような軽快な音とともに、弾丸は巨竜の胸部……、この戦いで疲弊し、大きく外殻にヒビが入った部分に、見事命中する。
吸い込まれた弾頭が、巨竜の弱所に見事めり込み、そこで信管が作動し、大爆発を起こしたのだ。
やがて、赤熱した巨竜の外殻が崩れ落ち、柔らかそうな腹が露出する。
あそこが正真正銘、本物の弱点。そう察したヒンメルだが、まだ宙に投げ出されて身動きが取れない。
オスマンももう、半日以上に及ぶ死闘で絶えず魔法を使い続け、とうに精神力は尽きていた。
後一瞬、あの隙を生かせれば今度こそ終わらせられる!
そんなヒンメルの思いを汲んだのは――――
「まだやれるだろう? ヒンメル」
「ナイスタイミングだ! ビダーシャル!」
ヒンメルの落下予測地に、金髪のエルフの子供がいた。
彼はそのまま、ヒンメルに向かって飛び蹴りを始める。
ヒンメルもまた、身体を一回転し、足先をエルフの子供の足と合わせる。
二人の蹴りが生み出す爆発力が、ヒンメルの行き先を、再び巨竜の弱所へ変えた。
巨竜もまた、ここが正念場とばかりに迎撃態勢をとっていたが、突如上空からの瓦礫の流星群により、気をそらされる。
「ヒンメル様! 今です!」
竜の頭上を旋回する幻獣グリフォン。その上に乗る『当時の虚無の担い手』が、ヒンメルの活路を開いた。
(ありがとう、みんな)
最後の最後まで一緒に旅をした、三人の仲間に感謝をしながら。
ヒンメルは皆の思いを込めた一撃を、巨竜の弱所、心臓部が潜む部分へと打ち付ける。
「おっしゃあああ! これで最後だ! 気張ろうぜ相棒ぉぉぉぉぉ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
そして、ヒンメルはありったけの力を発揮し始めるデルフを、思い切り突き刺し続ける。
巨竜はもがいた。だがもう、すべてが遅かった。
ヒンメルはそのまま、最後の力を振り絞って、巨竜の心臓を無理やり引きちぎったのだ。
巨竜の核が体外にまろび出た瞬間、半日以上に渡って暴れ続けた古代竜の瞳から、光が消える。
そして、その巨体を徐々に崩しながら横たわっていった。至近距離にいたヒンメルをも巻き込んで。
「おい……、おいヒンメル!」
巨竜の残骸の下で、オスマンは必死になってヒンメルを探した。
「返事しろナルシスト! 天然! 冒険バカ! 銅像作りに二日以上もかけやがって! 付き合ってやった時間を返しやがれ!」
杖を捨て、ボロボロになった手で巨竜の死体を掘り起こす。
ほかの仲間たちも、事態を見た周囲の人間たちも、必死になって彼を助けんとしていた。
「謝らせろ! お前が『魔王を討った』と自慢するたび、嘘つけとバカにしてきたことを! お前は間違いなく勇者だ! だからこんなとこで死ぬな――――」
からり、と小石が崩れる音がする。
オスマンは視線をそっちに向ける。仲間たちも、人々も、音のする方へ眼を向けた。
巨竜の遺体の隙間から、のっそりとヒンメルが起き上がっていたのだ。
「ヒンメル……」
オスマンが、声にならない声で呟く。よく見れば、彼はボロボロだった。
マントの端々が傷ついており、澄んだ青髪は煤だらけになって。
顔もイケメンぶりが台無しになるぐらい、血や泥で汚れていた。
それでも彼は、顔を上げた後、デルフを―――巨竜の心臓を突き刺した愛剣を掲げた。
次の瞬間、地鳴りのような喝采が周囲から巻き起こり、天が割れんばかりの拍手で埋め尽くされた。
『虚無』が集結しないと倒せないとされた巨竜を、ついに彼は討ってみせたのだ。
彼によって、世界に平和が訪れた。
あの時ほど、滂沱の涙を流したことはない。オスマンはそう思った。
旅の中、ワイバーンに巻き込まれた時に助けてもらった平民の剣士。
『これでも勇者だった』とか、『魔王を討った』とか、『エルフと旅をしていた』とか、とてもハルケギニアでは受け入れられない言葉を臆面もなく言い続ける青年。
当然、最初はオスマンも信じなかった。彼が自慢気に言うたび、軽口を返してやったものだ。
だがその軽口に対し、彼はずっと行動で示し続けた。
困った誰かを救う。ただそれだけを続けた最終地点がこの決戦。
そしてこの瞬間、オスマンは、この戦いに臨んだハルケギニアの人々は、心の底から認めたのだ。
彼こそ、『現代のイーヴァルディ』そのものだと。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さすが、かつてのあいつの仲間じゃのう。ミス・ヴァリエールの可能性を、誰よりも信じて事態を収めおったわい。うむ、うむ」
オスマンは顎髭をしごきながら、満足そうにうなずいた。
それとともに、避難していた民たちからも、歓声が沸き上がる。自分たちは救われたと。わかった彼らは涙を流しながら互いを抱きしめあっていた。
オスマンはそんな周囲を見ながら、まず城壁を解除する。そして横で心底疲れて倒れているフーケに目を向ける。
肉体的にも精神的にも限界が来た彼女は、地面に身体を投げ出していた。
「……終わったのかい?」
「うむ、ミス・ヴァリエールとミス・フリーレン。あの二人の主従によってな」
「そうかい……」
投げやりな会話を、しばし続ける。
やがて、フーケは切り出した。
「捕まえなくていいのかい?」
「……お主も反省しておるようじゃしな。今回は見逃してやるわい」
「学院でも思ったけどさ、どうしてあんたはそこまで甘い対応をしてくれるんだい?」
国中の宝を盗みまくったのに。どうしてこんなにも甘いのだろうか。フーケは思わず尋ねた。
「ま、一言で言うなら……」
すると、オスマンは誇らしげな目ををして、こう言った。
「勇者ヒンメルならそうしたからじゃ」
勇者ヒンメル?
フーケはその言葉を聞いて、首をかしげる。
だが、オスマンの顔を見るに、相当大事な友人なのだろうということは、なんとなく分かった。
オスマンもまた、この名が伝わらないのはもう仕方が無いという顔をして、こう続ける。
「『土くれ』のフーケは、盗みの果てにあの化け物に食われて死んだ。ここにいるのは生徒や住民たちを助けようと動いた我が学院自慢の秘書官、ミス・ロングビル。それでええじゃろうて」
一方で、こうも続ける。
「無論、今までやったことはこの国の貴族からすれば絶対に許されんことじゃ。お主はこれから贖罪として、誰かを助けるためにその命を尽くせ、よいな」
「……私がまた裏切るとは、思わないのかい?」
ふと、疑問をこぼすフーケ。
それを聞いたオスマンは、底なしの闇を湛えた瞳をフーケに向ける。
「そうなった時は、わしが貴様を完膚なきまでに叩き潰す。友の言葉に泥を塗ること。それは死よりも重いと分かるまでその身体に叩き込んでやるわい」
本物の殺意。フーケは心の底から、初めてこの学院長を恐れた。
歴戦の気迫を直に受け、ガタガタと震えだすフーケ。そんな彼女を安心させるように、オスマンは再び微笑みを浮かべた。
「じゃから、まずは事情を聞かせてほしいのう。お主は何を思って国の貴族から宝を盗んだのか。何か理由があると、ミス・フリーレンは見ておるようじゃしな」
「……分かったよ。後で、全部話すさ」
フーケももう、観念したかのような声でそう告げた。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
そう言って駆け寄ってくる、先ほど助けた二人組の子供たちを見やりながら。
「ああ、大丈夫だよ。あんたたちも、無事でよかった」
二人の子供を、優しく抱きしめるフーケ。
その背景を、オスマンは満足そうに見つめていた。
さて、巨竜は完膚なきまでに消し飛んだ。
その爆心地のど真ん中、倒れていたルイズは目を開ける。
「大丈夫? ルイズ」
「あ、フリーレン……」
起き上がったルイズは周囲を見渡し、思わず叫んだ。
「ど、どうなったの! あのドラゴンは……」
「ルイズが無事倒したよ。よくやった」
フリーレンはそう言うと、ルイズの頭をなでなでした。
ルイズはしばし、ぽかんと口を開けながらも、すべてが無事解決したことに、安堵のため息をこぼした。
「……よかった、それじゃああれで全部終わったのね」
「そうだね。まあ、聞きたいことは山ほどできたけど」
フリーレンはそう言うと、左手にまだ持っているデルフリンガーに目を向けた。
「きゅい、疲れたのね……」
遅れて、シルフィードも着地する。
搭乗者であるタバサやキュルケたちも、地表へと降り立った。
「はぁ、つっかれたぁ……」
「本当に、こんなことになるとは思いませんでしたね……」
シエスタのぐったりしたような言葉に、二人のメイジは心底同意する。
「あたし、バタバタしてばかりで何もできなかった……」
「あの混乱の中、怪我無く生き延びた。それだけでも十分優秀」
活躍できなかったことでちょっと萎れるキュルケの背中を、親友のタバサが優しくさすった。
「まったく、あの盗賊さんにも本当に困ったものね――――」
キュルケがそう言った時だ。
森の茂みから、何かがシルフィードにとりつこうとした。
それは、先の爆発を食らいながらも生き延びた古代竜の核だった。まだ奴は、完全には死んでなかったのだ。
「きゅういいいいいいいいいい!」
シルフィードの悲鳴を聞き、オスマンたちやルイズ達もそちらを振り向く。
竜の核は触手を伸ばしながら、シルフィードに巻き付こうとしていた。
「助けて! 助けてお姉さまぁあ!」
涙声でシルフィードは助けを求める。タバサも助けようとするが、もう精神力を切らしていた所為で魔法が出ない。
「くそ、韻竜は洗脳できんから、直接口内に入って操ろうとするか!」
オスマンもまた杖を構えるも、どうするべきか悩んだ。
あの竜の核は、本当にしぶといのだ。どれだけ破壊してもある程度の大きさになるまで再生する。
だから討伐当時、残された手段が封印しかなかったのである。
だが、このままではシルフィードがあの巨竜の核に取り込まれてしまう。そうなったら悪夢だ。この戦いのすべてが水泡に帰してしまう。
その合間にも、竜の核はついにシルフィードの口内へ、強引に入っていこうとする。
誰もがその光景を、唖然としながら見守るしかなかった。
「――――〝
たった一人を除いては。
相変わらず冷静沈着でいたフリーレンは、冷静に杖先を竜の核に向け、魔法を放つ。
殺意を凝縮させた閃光は、再生を始めた竜の核を、今度こそあっけなく、一片の細胞残さず灰燼に帰していく。
一切の再生すら許さず。太古の昔より厄災として大暴れした
「高圧縮した〝
完全な塵と化した核の焼け跡を、静かな瞳で追いながら、淡々と告げるフリーレン。
オスマンはただ、顎髭をしごくばかりであった。
「あの巨竜の核を完全に消滅させるとか、本当に恐ろしい魔法じゃわい。お主が作り上げたのか?」
「いいや、これは私の世界の脅威、〝魔族〟の中でも一際優秀な魔法使いが生み出した魔法だ。あまりにも便利だから、人類側でも基礎技術として広まるくらいには使われている」
「〝魔族〟か……話には時折聞いておったが、本当にそんな奴がいるのじゃのう」
昔、よくそう言ったたわいない話をヒンメルから聞かされていたため、魔族の存在を素直に認めるオスマン。
「じぬがどおもっだのねええええ!」
鼻水垂らして泣きわめく韻竜の子供を遠巻きに見つめながら、フリーレンはオスマンに目を向ける。
「ねえオスマン、今回の件はこれで解決ってことでいいのかな?」
「ああ、まったくとんだ事態になったわい。とりあえず、みんな一旦学院に帰ろうかの」
オスマンは周囲に目を向けそう告げた。
かくして一行は、落ち着いたシルフィードに乗って学院へ戻る。
フーケの廃墟にあった宝も無事回収。巨竜に踏みつぶされたかとも思われていたが、廃墟自体は無傷で済んでいたため、中にあるお宝も全部取り戻すことができた。
勿論宝自体はすでにオーク鬼によって壊されていたが、オスマンは「これぐらいならなんとかなるわい」と胸を打った。
巨竜が散った地には、綺麗な花畑が周囲一帯に広がっていた。偏った生命を戻すため、ルイズとフリーレンが再び、草木一本生えてなかった荒れ地に〝花畑を出す魔法〟をかけたのである。
花畑の上、感謝の声を発する民衆たちの声を受けながら、ルイズ達は学院に舞い戻っていった。
後にこの花畑は『厄災祓いの花街道』と呼ばれ、現地の人々に広く親しまれる名所になったという。
実績解除『アニメ版ラスボス撃破』
金トロフィーくらいはもらえないですかね……?