一般通過異世界転生者:あなた   作:ID:Am88n712

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少年期編 育成方針選択
一般的な異世界転生 少年期編 1


 

 どぽん。

 

 そんなくぐもった音を境にして、あなたは青い世界に飲み込まれた。

 

 衝撃により体を包むように生まれ、ひと時もとどまらずに上っていく泡をあなたは眺める。身を縮めるほど冷たくはなく、けれど体温よりは確実に低い環境は日に焼けた肌を程よく冷やしてくれた。

 

 重力のくびきもその手を緩め、自由と言う言葉を体感として味わえるこの時間は、あなたにとって心地良いものだった。

 

 

 

 が、残念ながら長々と楽しんでばかりもいられない。

 

 あなたは水中……ルワ・ザンガラの海の中で身をよじって、海面に背を向けた。眺めるのは水底だ。初見の折には思わず笑ってしまい溺れかけたほどに透明度の高い海水は、昼の陽射しをほとんどそのまま素通ししている。

 

 ルワ・ザンガラのザンガラ(岩礁)は大きく広がり、ほんの小さな小舟以外は通り抜けられないほど閉鎖された海を形作っている。

 

 だが、全域が浅い水域というわけでもない。岩礁の隙間を縫うように深くなっている部分も少なからずある。街と同じく迷路めいてはいるが、小舟でならば街から沖合まで抜けていける道もあるらしい。

 

 

 

 そんな深みのひとつへと、あなたは潜っていく。

 

 ルワ・ザンガラの人間にとって、水泳は必須科目だ。泳げない者を探す方がよほど難しい。あなたも当然、特段の装備や道具を用いずとも水底に辿り着く程度は問題なく行える。

 

 そうして水面から10メートル少々の海底で、あなたは岩に手を伸ばした。

 

 正確には、岩にへばりつく貝にだ。グルグルと渦を巻いた形の、ゴツゴツした出っ張りの目立つ巻貝である。あなたの掌に収まりきらないほどの大きさをした立派な個体だ。

 

 その貝を力を込めて引っ張り、岩との間に出来た隙間にナイフを差し込んでいく。ある程度差し込めたら、テコの原理の出番だ。支点力点作用点。この辺りの物理法則は前世と何も変わりない。あなたの腕力は効率的に増幅され、貝はあっさりと岩から剥がれた。

 

 

 

 ルワ・ザンガラでの主要な漁は3つある。

 

 まずひとつは、漁獲網を用いるもの。網を沈めて待ち構えた水域に魚を追い込んだ後、網を引き上げて一網打尽。小さめの魚をターゲットにしたもので、魚の移動を追って素早く岩礁を飛び移っていく身軽さと、周囲との連携力が求められる。

 

 次のひとつは、(もり)……というよりほぼ槍に近い道具を用いるもの。この地域特有の種であるらしい鎧のような鱗を持った巨大魚や、分厚い毛皮と脂肪をたくわえた海獣相手の漁だ。稀に、岩礁帯に迷い込んできたサメを相手にする事もある。胆力と腕力が勝負の決め手だ。

 

 そして最後のひとつが、あなたが今行っている素潜り漁だ。

 

 素手、あるいはナイフ程度の簡単な道具を用いて、海底の諸々を採集する手法。これは子供達が主に従事する漁だ。魔法無しの生身では困難が付きまとう他2つと違い、海に潜れさえすれば成果をあげられるためである。

 

 つまり、庇護されるだけの幼少期を過ぎたが、まだ魔法を扱える条件が整っていない、隙間の年齢の子供達が、これを行っている。

 

 今現在は、あなたもその一員だ。

 

 

 

 あなたはさらに続けて貝をふたつ剥がすと、海底の岩を蹴って水面を目指した。抱えた貝のために腕が使えない面倒はあったが、ルワ・ザンガラの民はそれを補える程度に足と脚の自由がきく。

 

 今もまた、力強く水を掴んでは蹴り、あっという間に水面へ顔を出す。

 

 ぷはっ、と久方ぶりの空気を味わうあなたは、傍らに浮く小舟へと貝を放り入れた。

 

「おー、こりゃまた大物取ってきたな。しかも3つも。お嬢もやるようになってきたねぇ」

 

 それを労うのは屋敷の男衆、若手のルワンジだ。

 

 素潜り漁では子供数人に対してひとり程度の割合で監督者がつく。単純に獲れたものを一時保管しておく小舟の管理の他、うっかり水中で息がもたなくなった者を命綱を引いて引き上げる役目もある。そうそうある事ではないが、周辺にサメや海獣が侵入したならば槍をとって戦うのもこの監督者だ。

 

「こんだけありゃ十分だろ。上がっとけ。他の奴らも次戻ってきたら終わりにしようぜ」

 

 ルワンジは嬉しそうにそう言い、あなたへと手を差し伸べた。

 

 なお、この嬉しそうにというのは、仕事が終わるのが嬉しいという意味だ。前世で言うなら高校生ほどの年齢の彼は体力が有り余っているらしく、早朝の漁と昼の素潜り監督、その両方を終えた後に街に遊びに繰り出すのが日課となっている。今もこの後何をするかと頭を巡らせているのだろう。

 

 それはともかく、あなたに断る理由はなかった。ルワンジの言う通り、すでに十分な量の貝や甲殻類が小舟には積み込まれている。

 

 ルワンジの手を取ると、流石に漁師の若手らしい、あなたの倍以上の腕力であっという間に引き上げられた。あなたはルワンジに礼を言い、潜水の繰り返しで溜まった疲労感を吐息と共に吐き出す。

 

 

 

 水の中ではあった浮力は、小舟の上では当然失われている。

 

 ずしりと重くなって感じられる自身の体重がなんともわずらわしく、あなたは後ろ手をついて背を反らし、太陽を見上げながら休息を取った。

 

 

分岐
容姿変動要素なし

あなたの容姿レベル8 → 8

体型変動要素

運動技能レベル3

戦闘技能レベル4

 

標準 → 筋肉質スレンダー

 

 

 その様を、ルワンジが横目でチラチラと見ている事に気付く。

 

 あの夜の街に幽霊探しに出かけた幼少期から数年。あなたの手足は随分と伸び、腰にはくびれが生まれ、胸や尻にはまだ薄くだが肉がついてきている。日に日に自分の体が女らしくなっているという自覚はあった。

 

 前世の基準でいうなら「女性らしい」と呼ばれる範囲を少々超えて筋肉がついているものの、今世、とりわけルワ・ザンガラではむしろ健康的で良いとされるくらいの体型だ。

 

 その上、首の上に乗っているのは母親譲りの整った顔と、暗色の多いこの街では良く目立つ鮮やかな赤髪と来る。少し歩くだけで他人の目を引く美少女としてあなたは開花しつつある。

 

 

 

 ……そうと分かっているのに無防備に体を見せつけるような姿勢を取ってしまったのは、疲労からくる油断だろう。

 

 高校生ほどのルワンジが、そろそろランドセルを卒業する程度の年頃のあなたをそういう目で見るのは、この世界では全くおかしな事ではない。そのくらいの組み合わせで恋仲となっている者はあなたの周囲にもそれなりに居る。中にはすでに婚姻を済ませた例さえあるほどだ。

 

 いくら彼があなたの父親の部下で、不埒な行為に走る可能性は限りなく低いとはいえ、もう少し警戒はしておくべきであった。

 

 とはいえ、あなたも男としての前世を持つ身として、理解はある。

 

 目が行ってしまうのは仕方がない。本能なのだ。健康的な年頃の男にとっては抗う術は無いに等しい。性的な視線に対する若干の忌避感はあるものの、それよりも今自分がさっと腕で体を隠せばルワンジがどれほど気まずい思いをするかという点に考えが巡ってしまう。

 

 結局あなたは少し迷った後、体を支えていた手を上に上げ、伸びをする振りを経てから自然な形で前に戻した。その途中動作で色々と更に強調されてしまう部分に関しては、必要経費とするしかない。今後気を付けようと心を改める勉強代だ。

 

 ……そんなあなたの気遣いからくる行動をチラチラどころかジロジロと見て、得をしたとばかりに鼻の下を伸ばすルワンジには流石に苛立ちを覚えもしたが。

 

 

 

 そんな風にして、あなたの今日の漁は終わった。

 

 同じ小舟で作業をしていた者たちも回収して、ルワンジの漕ぐ船で船着場へと戻る。

 

 あなたの仕事はここまでだ。船からの荷下ろしは監督役の仕事で、その後の処理は魚の解体と同じく女衆の仕事となっている。素潜り漁はそれなり以上に体力を消費するためだ。

 

 大変な仕事をこなした者にはたっぷりの食事とゆったりした休息を。そんな理念が根付いているのは、ルワ・ザンガラの良いところだろう。

 

 

 

 よって、あなたもその場を離れた。

 

 そして真っ先にする事と言えば決まっている。

 

「おかえりー。そっちも順調だったみたいだね」

 

 ヤレカとの合流だ。

 

 素潜り漁において、あなたとヤレカは別行動になることが多い。これはヤレカが刃物の扱いに長けるためだ。貝を獲らせるよりも海藻を刈らせる方が向いていると、あなたの父イシャバはそう判断している。

 

 無理を通せば……あるいはヤレカの技能を隠せば常に同行もできただろうが、あなたはそうしなかった。海藻担当は難しく、成り手が少ないのだ。

 

 あなたも体験したので知っているが、この辺りの海藻は分厚く太い物が多く、刃物を使ってもそう簡単に切り取れるものではない。一度の息継ぎで一本を採取出来るようになるのさえ、それなりの熟練が必要となる。

 

 そこへ来てヤレカはどうかと言うと、当然のようにサクサクと、まるで地上で雑草を抜くかのように作業を進めるのだから規格外が過ぎる。これほどの戦力を自分のわがままで遊ばせておくのは、あなたの罪悪感が許してはくれなかった。

 

 

 

 そんなヤレカは、今も以前と変わらず世話焼きだった。

 

 あなたに近付いてくるやいなや、手に持っていたタオル(亜麻製。植物資源に乏しいルワ・ザンガラでは高価だが、手に入らないほど希少でもない)であなたの髪を拭き始める。

 

「折角綺麗なんだから、大事にしないとね」

 

 その言葉通り、ヤレカの手つきは優しい。万一にもあなたの髪を傷つけまいと、持ち前の手先の器用さを全力で生かしてケアに努めている。

 

 また、海水が乾いた後に残った肌の上の砂や塩を、手指で優しく撫でて落としてもくれている。

 

 とてもありがたいと、あなたも日々思うところだ。

 

「〜♪」

 

 ただひとつ問題として、この日課の際にヤレカが積極的にあなたと密着しようとするのは困りものではある。離れていた分を取り返したいのか、普段よりもなおのこと容赦がないのだ。

 

 ヤレカもまたあなた同様、女性としての完成に近付く日々だ。身軽な彼女のイメージ通りに細身な体は猫のようにしやなかで、スラリとして美しく、つい目を取られる事も少なくない。

 

 動きやすさを重視して肩までの長さで髪をまとめるあなたに対し、艶のある黒髪を長く垂らしたシルエットも、元日本人として心をくすぐるものがある。

 

 今世でもう10年以上を女として生きているというのに、未だ男としての自認も完全には失われていないのは、この時間があるからなのでは。そんな懸念があなたの中にはあり、そしておそらく正しい意見だった。

 

 

 

 しかしまぁ、あなたとて伊達に何年も世話を焼かれていない。

 

「うん、じゃあ今度は私もお願いね。ふふ。役得役得」

 

 スキンシップを返すのにも心臓を跳ねさせていた頃とはもう違う。亜麻のタオルを今度はあなたが使い、ヤレカの髪を拭いていく。

 

 当然、先ほどまでと同様にべたべたとひっつき、ちょっかいをかけあいながらだ。これがヤレカにとってほとんど最上級の報酬になるといつだったか納得して以来、あなたにも遠慮はなくなっている。

 

 自分が憎からず思っている、自分に深い好意を向けてくれている相手。

 

 そんな存在と甘ったるく過ごす時間が好ましくないわけもない。あまりに長いと胸焼けする日も来るのかも知れないが、今の所は幸福を感じる瞬間の方がよほど多かった。

 

 

 

 ヤレカではないが、役得というやつである。

 

 ……と、そこまで考えたところで、これではルワンジをどうこう言う資格はないかも知れないと、あなたは苦笑を漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 さて、そんな風にして迎えた昼下がり。

 

 人目につきにくい物陰で(単純に他人に見られるのは流石に恥ずかしいため)ヤレカの膝枕で休みながら、今日の残りをどう過ごすかをあなたは考える。

 

 幼少期と比べ、あなたの行動範囲は広がった。

 

 単純に体力的に難しかった場所にも簡単に足を伸ばせるようになり、また年齢が原因で利用できなかった施設も出入りできるようになっている。

 

「そういえば聞いた? 街の真ん中くらいに学校みたいなのが出来たんだって。領主さん肝入りの改革みたいだよ。ルワ・ザンガラにももっと学問の火をー、って」

 

 ヤレカの言葉通り、最近新しくできたものもある。あなたが望むなら、気の向くまま訪れてみるのも良い。

 

ランダム分岐/初期所持金

生家裕福度「8」が上限

 

1d8=2

 

 とはいえ、残念ながら両親の教育方針により、あなたの小遣いは中々渋い。金のかかる行動を望むなら、まずは何かしら稼いでからという事になるだろう。

 

 

 

 後は……と考えて、あなたは無意識に下腹部を撫でていた。

 

 今はまだだが、魔法を扱える素養があなたに宿る日はもう近いだろう。むしろあなたの体の発育から考えると遅いぐらいだった。

 

 ルワ・ザンガラのような辺境の地では、完全に魔法を絶って生きる事は極めて難しい。

 

 このままこの街の一員となる事を望むなら、少なくとも生活に関する魔法を扱えなければ話にならない。

 

 何しろ、雨の少ないルワ・ザンガラでは真水の入手にも魔法を必要とするほどなのだ。井戸から組み上げられる水にも塩が混じっているため、いちいち魔法で塩分を取り除かねばならない。

 

 学ぶならそろそろ頃合いだ。

 

 幸い、あなたの母メナは優れた魔法の使い手であるという。教えを求める相手には困らない。

 

 

 

 どうするかは、あなたの自由だ。

 

 

 

少年期 育成回数

残り 4(前半2/後半2)

 

あなたの財布の中身
所持金レベル 2

 

 

 

惰眠を貪る
スヤスヤと昼寝を楽しみ、その後もダラダラ過ごす

 

あなたのストレスが下がる

あなたが少し怠け者になる

あなたが少し甘えん坊になる

 

女衆の仕事を手伝う
魚の処理や掃除洗濯を手伝う

 

あなたが少し勤勉になる

あなたの家事技能が成長する

 

男衆の仕事を手伝う
漁具の点検や補修を手伝う

 

あなたが少し勤勉になる

あなたの加工技能が成長する

 

子供達と遊ぶ
弟妹の面倒を見る

 

あなたの面倒見の良さが少し上がる

あなたの運動技能が成長する

 

ヤレカとイチャつく
人目のないところでヤレカを甘やかす

 

あなたのストレスが下がる

あなたの健全度が下がる

 

街の市場を見て歩く
お小遣いで買い物を楽しむ

 

あなたの物欲が少し上がる

あなたの鑑定技能が成長する

ランダムなアイテムを獲得する

 

所持金レベルが1下がる

 

街の歴史を調べる
住民に街の情報を聞いて回る

 

あなたの知識欲が少し上がる

あなたの社交技能が成長する

 

街の教会を訪問する
教会で神に祈りを捧げる

 

あなたの信仰心が少し上がる

あなたの信仰技能が成長する

 

街の中を探検する
安全な街中で散策を楽しむ

 

あなたの好奇心が少し上がる

あなたの諜報技能が成長する

 

街の外を探検する
危険な街の外をこっそり散策

 

あなたの好奇心がすごく上がる

あなたの探索技能が成長する

あなたの戦闘技能が成長する場合がある

 

料理の研究をする
より美味しい食事を求めて調理実験

 

あなたの食欲が少し上がる

あなたの家事技能が成長する

 

海に泳ぎに行く
海で楽しく遊ぶ

 

あなたのストレスが少し下がる

あなたが少し活発になる

あなたの運動技能が成長する

 

ヤレカと戦闘訓練
人目のないところで訓練を行う

 

あなたの戦闘意欲が少し上がる

あなたの戦闘技能が成長する

 

市場でアルバイト
街の市場で働く

 

あなたの郷土愛が少し上がる

あなたの社交技能が成長する

所持金が少し増える

 

冒険者組合で働く
冒険者として仕事を受ける

 

あなたの好奇心が少し上がる

ランダムな技能が成長する

所持金が増える

 

賭場で遊ぶ
街の賭博場でギャンブルを楽しむ

 

あなたの勤勉さがすごく下がる

あなたの健全度がわずかに下がる

所持金がランダムに大きく増減する

 

学校で教養を学ぶ
街の学校で勉学に励む

 

あなたが少し勤勉になる

あなたの教養技能が成長する

あなたの社交技能が少し成長する

あなたの家事/加工/鑑定技能がわずかに成長する

 

所持金レベルが3減る

所持金レベルが3未満だと選択不可

 

魔法を学ぶ
メナから魔法の扱いを学ぶ

 

あなたの魔法技能が成長する

 





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コマンド?

  • 惰眠を貪る
  • 女衆の仕事を手伝う
  • 男衆の仕事を手伝う
  • 子供達と遊ぶ
  • ヤレカとイチャつく
  • 市場を見て歩く
  • 街の歴史を調べる
  • 教会を訪問する
  • 街の中を探検する
  • 街の外を探検する
  • 料理の研究をする
  • 海に泳ぎに行く
  • ヤレカと戦闘訓練
  • 市場でアルバイト
  • 冒険者組合で働く
  • 賭場で遊ぶ
  • 魔法を学ぶ
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