アブノーマルとアブノーマリティ。そこになんの違いもないだろう? 作:鐘楼卿(ベル卿)ベルフェスティフ
「うーん、じゃぁせっかくだしカルエゴくんの補佐にアンドレくんもつけるってことでいいかな?」
反対意見はなく、部屋は静まったままである。
「じゃぁけってーい」
そう。この世とは無情なことに、重大なことほど本人のいないところで決まるものなのだ。
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崖の上、カルエゴ先生が生徒を引き連れて歩いてくる。
「あ、カルエゴ先生。準備完了してます」
「よし…では今回の授業と、使い魔召喚の結果を総合して貴様らの位階が決まる。内容は谷奥の旗までの競争…加えて今年は、囀り谷のみをコースとする」
そこまでカルエゴ先生がいうと、1人の生徒が叫び出す。
「なっ!待てい!金剪の谷も通過コースだろう!」
「ああ、だが今年は金剪の長の気が立っている…よって金剪の谷は今立ち入り禁止なのだ」
「なっ!らっ!ぬっ!」
金髪の生徒はもう一度さらに大きな声で叫ぶ。
「うるさい!そして、始める前に諸君らに紹介しておこう。副担任だ」
「どうもー、副担任のアンドレです。今年から10年間ここバビルスで勤務します。よろしく」
「ちなみに、10年間っていうのは実は私、とあるのところから技術・教育交流として送られてまして。10年でその契約が切れて本社に帰るよーってことです…何か質問ある人ー」
無表情、能面のような顔のまま話し、質問をよこすようにいう。
「はいはーい!先生どこに勤務してるんですかー?」
「いい質問ですね。みなさんはご存知ないかもしれませんが、Lobotomy Corporation というエネルギー会社ですよ。ちなみに超ブラック企業です」
金髪の少年の質問に淡々と答える。
「Lobotomy Corporation⁉︎」
桃色の髪の青年が驚きの声を上げる。
「アズくん知ってるの?」
青い髪の少年が聞く。どうやら桃色の青年は「アズくん」というらしい。
というか、彼と彼に聞いた青髪の子は先日教科書類を積み上げるのを手伝ってくれた子だな。いい子っぽいし多少良くしてあげよう。
「もちろんです!Lobotomy Corporationとは、つい10年ほど前に設立された新興のエネルギー会社ですが、その安価さで経った10年で魔界のエネルギーシェア70%を叩き出した今話題の超有名企業ですよ!」
「はい説明ありがとう…まぁ俺はエネルギー部門というより武力的な、例えば職員の悪周期とかを鎮圧する専門の職員だけどね。それで、最近は業務もやっと安定してきて悪周期になる職員が減ったから、この機会にということであと2人の鎮圧職員に任せてきたんだ」
もちろん嘘である。悪周期なんぞに構っていたら業務もままならないので、悪周期になった職員は雑に抑圧業務を好むアブノーマリティの部屋に送られる。
だから鎮圧とはアブノーマリティの鎮圧のことだ。
青い髪の少年とかが大企業ということでキラキラした目を向けてきている。
「はい以上。ほら、カルエゴ先生の方見て?」
そして奥で時計を見るカルエゴ先生が見えたので皆を誘導する。
「…ではこれより、飛行試験を開始する。総員用意…はじめっ!」
皆翼を出し、崖から飛び立…一人崖スレスレで止まった。
「早く行け」
カルエゴ先生はその背中を蹴り落として青髪の子が落ちていく。
「え?大丈夫なんですか今のやつ?」
「構わん」
どこかスッキリした表情のカルエゴ先生とともに、はるか上空に羽ばたきゴールに先回りするのであった。
久々なのに短くてすいません。