「本日より、アリウススクワッドにこの男を加えます」
それは、突然言われたことだった。いつも通り、マダムの命令で任務に行く直前。マダムは一人の男子生徒を連れ、そのようなことを言った。
「この男は先日発見した侵入者、ですがヘイローはなく反抗する気力もないようでしたので生け捕りに……そして体力が回復したようだったので、あなたたちがここでの生活を教えなさい」
「す、少し待ってくだ「サオリ、あなたたちに拒否権はありません。ああもちろん、抵抗するようでしたら死なない程度に痛めつけてくださいね」
では私はこれで、と言い残し、マダムはその男子生徒を残し去っていった。
「……」
沈黙が流れる、その沈黙を破った……とは言えないが、姫が手話で話始める。
「……」
「『まずは自己紹介から』?……そうだな、そうしよう。リーダーの錠前サオリだ、お前は?」
私がその男子生徒にそう聞くと、彼はゆっくりと口を開き、そして――
「我が魂を凍てつかせる雨の名を冠せし者……呼び声は《時雨沢涼》──時の雫と共に現世に降り立ちし
――意味の解らない言葉をつらつらと並べ始めた。
「……ふざけてるのか?」
「我が言の葉に偽りなし……これは戯れなどでは断じてない。虚構と狂笑が渦巻くこの腐敗した舞台にあって、今この瞬間だけは、我が魂より零れ落ちた“真”の断片に他ならぬ……!貴様らがどれだけ笑おうと、嘲ろうと、我はこの咆哮を撤回せぬ──これは我が意思、我が信念、我が宿命を語るための言霊だ……我はふざけぬ。今だけは、世界を黙らせる覚悟で語って封印が疼くッ!!?」
取り合えず足を強めに蹴っておいた。
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「いいか、任務は必ず成功させなければならない。失敗すればその責任を負うのは私だ、だが失敗した要因となる人物はマダムから『指導』を受ける」
「指導……?フッ……貴様ら、まだ“それ”を指導と呼ぶのか?違う、それはただの支配欲に塗れた
「また蹴られたいのか?」
「冗談だろう……?魂が穢れる……」
今度は銃で大人しくさせた方がいいのかと思いハンドガンを取り出し、男子生徒……涼に向かって発砲する準備をしようとしたところで、後ろから服の裾を少し引っ張られた。
「……」
後ろを見れば、姫が手話で私たちに何か伝えようとしていたため、一度涼に向けているハンドガンを降ろし、姫の発言に目を凝らす。
「……『「あれは指導じゃなくて虐待、なんでお前たちはそれを受け入れてるんだ」って言ってる』?姫、この拗らせ男の言ってることがわかるの?」
「ほう、我が
「お前は黙っていてくれ……話を戻す。今回の任務はこの近辺をうろつく侵入者の排除だ」
「問おう──その存在は“排除対象”と決まっているのか?ならば、誰がその“選別”を下した?神か?法か?それとも……恐怖か?」
「ミサキ、こいつの口を抑えてくれ」
「了解」
「ッ、くそッ……拘束程度で沈黙する我ではない……!話せ!問いに応えろ!この闇の中で、お前が唯一放てる価値は“言葉”だけだ……!」
「相手は複数人、トリニティの関係者の可能性が高いそうだ」
「じゃ、じゃあやっぱり消さなきゃいけないんですね、逃がしちゃったらマダムに何をされるのかわかんないですし……」
「……ああ」
私がそう返すと、直後にミサキの拘束を解いた涼が「ぷはっ」と言いながら手を挙げた。
「どうしても解けぬ謎がある。トリニティとは何だ?我が記憶の断片では届かぬ
……トリニティを知らない?そんな馬鹿げた話があるのだろうか。トリニティはここキヴォトスにおいて、ゲヘナ・ミレニアムに並ぶ三大学園の一つだ、知らない人間はまずいないはず。さらに言えば、私たちアリウスにとってトリニティは憎むべき存在。マダムからそう教えられてきたのだから間違いはない。涼はそう教えられていないのだろうか?そもそも、なぜ涼にはヘイローがない?
考えれば考えるほど思考はまとまりにくくなる……一度考えることを止め、任務に専念するとしよう。
「後でマダムが教えてくださるだろう、まずは任務だ……行くぞ」
「了解した……その愚かなる願い、我が名を以て遂行しよう。汝が
……この阿呆の世話をいつまでしなければならないのかだとか、そんなことを考えながら、私たちは目的地へと足を踏み出した。
☆ な ん だ こ れ ☆
追記 なんかスカーレット・メイデンズ・オブ・ラグナロクだけルビがふられてないんですけど気にせんといてください、多分バグです