ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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第25話 ツンデレ

 ネルとルカは暫く戦っていた。C&Cとしてはゲーム開発部に目的を達成されて撤退され既に戦略的な敗北が決まっていたのに、長々と戦う理由は()()()()()()()

大元の依頼主(リオ)正史(ほんらい)の主目的たる「『無名の王女(アリス)』の能力査定」はとうに済んでいる。エンジニア部との模擬戦の時にルカが散々アリスを試したからだ。

その後も演習場でルカとアリスは師弟のような関係となり、模擬戦も多くこなしているので、最早彼女個人の戦闘力など量る必要などない。

だがリオはルカのことを最大限に警戒し、恐れていた。「総合的には連邦生徒会長と同程度の脅威」と見積もって。ルカの行動は連邦生徒会長よりシンプルで判り易い。

「いざとなれば自身の腕っぷしだけで大抵の帳尻は合わせられる」という圧倒的自信を持っているからだ。その彼女が「ゲーム開発部と共にアリスを連れ帰った」というのなら、その立ち位置は明白だ。

自分達の味方になってくれないであろうことは明らかだった。ネルも性格上自身と対立することになるのは目に見えていたし。実妹(ミカ)ほどではないのだろうが、アリスを妹のように可愛がっているのだから自身との対立も目に見えていた。

何より「あのヒマリが慕う彼女が自分のようなやり方を選ぶわけがない」とある種の信頼まで向けていた。

 

 ルカは拳でも銃相手に間合いで遅れを取ることがない。拳圧に神秘を乗せれば、立派な凶器になり、10mくらいなら余裕で届くからだ。

ルカの「左」は比喩ではなく本当に戦車砲のような威力が有った。マシンガンのように飛んでくる本来は牽制であるそれをいつまでも避けることは不可能だ。

1発だけでも動きが鈍るし、動きが鈍れば更に数を喰らうし、そこに本命の「右」だ。ネルはソレを受けて現在は倒れ伏していた。

 

「前より動きのキレも神秘量も上がっていたね…嬉しいよ、()()()()()鍛えてくれたんでしょう?」

 

「はぁ!?誰がテメェのためになんかっ…!ただいつまでもテメェが最強のつもりでてっぺんでふんぞり返ってんのが気に喰わねェだけだよ!」

 

「はい、ツンデレ発言頂きましたーやっぱ私のためじゃん可愛いわねー」

 

「ぐ…!ああ言えばぁ…」

 

「それに前より4cmは身長伸びた…きちんと自身の神秘の制御も出来ている証拠だ、感心感心♪」

 

「そーかよ…チッいつまでも師匠面しやがって…そーいや最近あんま伸びなくなってきたんだが…」

 

「ああ、それ?講義の時も言ったけどあくまでも『本来以上の成長をさせる』ものじゃなく『正常化させる』だけのものだから…『遅れた成長期を迎える』以上のことには成り得ないよ…元々あんまおっきくなれないんでしょう」

 

「ア!?んだよそれぇ!?お前と同じくらいは無理なのかよお!?」

 

「アンタ途中から聞いていなかったわね…それより笑っちゃうよねリオちゃんってば私とアンタの両方を仮想敵にしているみたいだよ?」

 

「はぁ!?それどーいう…もう後で説明しろよなっ!」

 

多数のドローンの耳を気にして会話を掘り下げるのを止めるネル。

 

「それよりS.C.H.A.L.E(シャーレ)に入んなさいよ、アンタも。C&C全員で。」

 

「構わねえが条件がある…そ…」

 

「はいはい『空崎ヒナと小鳥遊ホシノを紹介しろ』ってんでしょ。いいわよ、あの子達にもメリットあるし。アンタほど戦うの好きなわけじゃないけど、同格以上相手だと滅多に居ないから楽しそうにするし…ね」

 

更に言えば次の山場乗り越えればツルギも加わるだろうし…

 

「それにお前の言い分だとその方が強くなれるんだろ、アタシも、あいつらも」

 

───

 

ゲーム開発部は【鏡】でG.Bibleを解析した結果、そこにあったのは「ゲームを愛しなさい」という微妙に哲学的っぽいメッセージだけだった。

 

「こ…これだけ───!?」

 

「まあ現実なんてそんなもんでしょうよ」

 

「ルカさんは何でそんなに落ち着いてんのさぁ!?」

 

「いや、元々どう考えても胡散臭かったし、第一本当にそんな神ツールがあんのなら広まっていないはずがないでしょうが…」

 

「うん、私も薄々そう思っていたよ…」

 

「まあその通りですわね…」

 

ワカモやユメパイですら同意する。

 

「現物見せなきゃ納得せずに諦められなかっただろうから付き合っていたのよ、さあチート(ズル)が通用しないならもう残された手段は1つだけよね?」

 

「うん!真っ当に頑張って『テイルズ・サガ・クロニクル2』を完成させよう!」

 

ようやくこれでスタートラインか、本番はここからだよなあ、本来の主目的考えると…

 

 

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