ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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第26話 ミレニアムプライス

ルカは調月リオの呼び出しを受けて人気(ひとけ)の少ないフロアの使用頻度の少ない会議室に呼び出されていた。

 

「やっほひまりん、リオちゃん、直接会うのは久しぶりねえ、リオちゃん会計(ユウカ)の追求はどうだった?あんさあどんな大義名分があろうとも、横領は良くないと思うよ?どうせ私なら10分で更地に出来るし、あんな突貫工事の玩具の街程度…」

 

「それで、そっちは?」

 

「はい、私は今現在はリオ様の護衛兼お世話係を担当しています、1年生の飛鳥馬トキです。ルカちゃんの大ファンなんでお会い出来てとても嬉しいです」

 

「ふーんそっちが04(ゼロフォー)ちゃんねえそれで貴女が、私とネルの相手するんだ?アビ・エシュフの出力も当初の見込みより上がっているだろうとはいえ…」

 

C&Cに籍が有ることも大半の者が知らないのに当然のように言い当ててくる。エリドゥやアビ・エシュフのことも。トキはちょっと青くなっていた。

 

「え、貴女とネル先輩を同時に相手するなんて絶対にごめんなんですがっ…リオ様?」

 

「それは、最悪の展開の1つね。あのネルとの戦いの時の4倍が貴女の最大戦闘力というのなら確かにアビ・エシュフだけじゃどうしようもないわね…」

 

「それともアバンギャルド()とかいうおもちゃが居れば私達に通用すると…?」

 

「アバンギャルド君はおもちゃじゃないわっ!」

 

そこで強く否定すんのかよ、エリドゥも扱き下ろしたのに…沸点分かんねー。

 

「さて、ここまでは『ルカちゃんは大体なんでも識ってますよ』という牽制、本題に入る前に互いの立場を明確にしましょう」

 

「…私は今は未だ静観するけど、あの子が『無名の王女』で、ミレニアムに…いえキヴォトスに害を為すというのなら、手段を選ばずに排除するわ」

 

「私はそこの下水女とは違いますんで、あんなに可愛らしい後輩を手に掛けるなんてそんな恐ろしいことなんて、とてもとても…」

 

「こぉら、汚い言葉使わないの…先に言っておくけどリオ、私は貴女の考え方が間違っているとは思わないわ、乱暴で短絡的でとてもじゃないけど全面的に肯定するのは無理だけど、ね」

 

「だったら!」

 

「でも、そんなありきたりで退屈な大人の解決策選んでも皆が涙を呑むだけで、誰も幸せになれないわ。

そもそもの話として、『無名の王女』なんてキヴォトスの数ある厄ネタの1つに過ぎないし、現実的な話としてあの子味方に出来ないと詰む可能性もあるの。

まあ、まるで先生の存在に呼応するかのように私らの代で揃って災厄の種が表面化するのは勘弁してくれ、とは思うんだけどね。肯定的に考えるなら『私達の代で大半を片付けて、未来に禍根を残さずに済む』とも言えるけどね」

 

「実際に会長の存在をもうカウント出来なくなっても、私達の代は、私や貴女達の存在を筆頭に傑物が揃っている。まあ『そーいう物語(ストーリー)』ってことなんでしょうけど…

貴女達が主に担当するのは旧ゲマトリアの置き土産『デカグラマトン』への対処になるでしょうけど…」

 

「本当に貴女の懸念する事態になったら躊躇なくあの子を生命活動ごと止めるけどね、でも本当にギリギリまで動く気ないから。ついてきた『鍵っ子』のやらかしで怪我人くらいは出るかもしれないし…」

 

「「鍵っ子?」」

 

「ああ、『鍵』というのはね…」

 

───

 

「『王女を覚醒させる鍵』…!そんな存在(モノ)が…!?」

 

「でも…それを今の段階で私達に話したということは…」

 

「ええ、『彼女』を消す気は無いわ。頭は固いけど本当に悪い子ではないの…未だ何もしていないし、あの子にも『他の役割』があるからね。それに天輪(ヘイロー)と魂を持った『1人の人間』なのには違いないから…

確かに今なら消すのは赤子の手を捻るより簡単だし、誰の反感も買わないだろうけど…」

 

「…理解ったわ…貴女と私とじゃ戦力だけでなく持っている情報量も違いすぎるみたいだから…当分は動かないことにするわ…」

 

「そのうちユウカとノアちゃん達に謝っておきなさいよ…コユキはどうでもいいけど…」

 

「理解ったわ…そのうち…ね…」

 

話は済んだとばかりにトキを引き連れて、退出していくリオ。2人だけの部屋になったところで、ヒマリが口を開く。

 

「ルカちゃん、貴女が居てくれて本当に良かったです。私とリオとだけじゃどこまでも平行線だったでしょうから」

 

「私がしたことなんて、情報小出しにして、『お前だけじゃどうにも出来ない』って現実を突きつけただけよ。ヘタに能力が高いと、何でも1人でやろうとしたりして、極端な思考に染まっちゃうから誰からも賛同得られなくなっちゃって、

いざ誰かに助けを求めようとしても『周囲に誰も居ない』なんてことになるんだろうね…トキちゃんはあんま自分の意思表示しないだろうし…悪い子じゃないんだろうけどね…勘違いされ易い不器用な子だよ…」

 

「…妙にリオへの解像度高くないですか…?そんなに面識多かったですか?」

 

「ホント互いの能力だけは認め合っている貴女達がマトモに手を組んでいたら『向かうところ敵なし』って感じなのにねえ、会長もちょっと警戒していたよ?じゃあ、寮まで送りましょうかね、私はミレニアムプライスに向けて忙しいし」

 

───

 

それからクソゲー部はミレニアムプライスに向けて本格的にゲーム作りを開始した。私以外のS.C.H.A.L.E(シャーレ)の面々はゲーム作りには協力出来ないのでサポートがメインだったが。

万能ルカちゃんは汎ゆる分野に手を伸ばしているのだ。とは言っても私の仕事は主に高い観察力を活かしてのデバッグ作業だったが。

後は時折モモイが発作的にぶち込もうとするクソゲー要素を阻止したり、「急に始まる別ゲー要素」はミニゲーム要素として隔離させたり*1、普通にかなり完成度の高いゲームになっていった。

 

「おいモモイ、一応聞いておくが、この裏ボスの双子姉妹『破壊☆聖天使ミカーン』と『暗黒✙邪天使ルカーン』っていうのモデルは?」

 

と言うか聞くまでもない。どちらもピンク髪の上に、私の特徴的な翼も再現されているし。

 

「っつーか、これ強すぎない?きちんと勝てるように出来てんの?」

 

「ラスボス討伐後はクリア前までのレベルキャップが99だったのが1000にまで上がるので、そこまで上がりきれればなんとかギリギリ…」

 

「アハハひっでえバランス、まあ一応許可しといてあげる。どうせミカも笑い飛ばすだろうし」

 

クリア後EDのSpecial ThanksにはS.C.H.A.L.E(シャーレ)の面々の名前がばっちし。テイルズ・サガ・クロニクル2は完成してミレニアムプライスへの受付は完了した。

結果発表まで3日後。その間にネルがC&Cを率いて襲撃してきたりした。まあS.C.H.A.L.E(シャーレ)の暴力装置たる私らが暴れ過ぎたお陰であんまゲーム部戦わなかったしな。

ガチではなく力試しみたいなものだったので私は出張らなかった。ネルが強くなった分、アリスも強くしておいたので正史(ほんらい)と大差ない結果に終わったようだ。

多分ゲームの出来は正史(ほんらい)より完成度が高くなり、「特別賞」とかいう物語の都合みたいなアレではなく真っ当に高評価で2位に入賞した。

ちょっと私まで頑張りすぎたかな…まあ「廃部撤回」が最優先とはいえ、より良いゲームを世に出せたこと自体はプラスのはず。

クソゲー部の憂いの無い喜ぶ姿を視ているとS.C.H.A.L.E(シャーレ)に入部して良かったと思える。

 

 

 

 

*1
無駄に完成度高い

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