ゲヘナに舞い降りた堕天使 作:シファー
アリウス・スクワッドの面々は全員が捕らえられた。
錠前サオリが当初覚悟していた拷問や尋問の類は一切なく、アズサが信頼している人物とはいえ拷問はともかく、尋問程度はあると思っていたのだが…
そういったこちらを探るような質問はほぼ皆無だった。武器は真っ先に取り上げられたが、普通に全員が一緒に居られるし、拘束もされていない。なんならアズサも会いに来る。脱出だけは出来ないようになっていたが。
充てがわれた共同部屋も上質な物だ。今まで碌なメシを食えていなかったから、全員がすぐ「食事」には虜になった。特にヒヨリ。碌に娯楽を知らなかった自分達にとって彼女らが与えてくる物は劇物だった。
アズサは積極的に自分達にそれらを伝えようとした。かつて周囲の人間達に与えられた恩を返そうとするかの如く…
「世界には優しいことも楽しいこともいっぱいあるから絶望なんてしていないで前を向け」という声にならない訴えを聞いているかのようだった。
「このインターネットって凄いですねえ!色んな情報が出てきますぅ!」
「マダムがこんな便利な物を教えようとしなかったのは…」
「私達が外の世界に興味を持ち、脱走兵にならないようにしていた、ということだろうな…外界からの秘匿もあっただろうが…まあ、あのルカの言う通りだ、しっくりくる…」
「電子機器が碌に使えない時点で戦闘でもかなり不利だぞ…キヴォトスの普遍的な技術を知る度に自分達がどれだけ異常な環境に置かれていたのかも思い知ったからな…」
「あの聖園ルカさんの名前で検索してみたら滅茶苦茶情報が出てくるんですが…」
「どれどれ…うわすっご『キヴォトス最強』もフカシじゃないね、これは…」
「『空を飛ぶ』とか『変身する』とか『音より速く動く』とか『素手で誰よりも強い』とかあるんですけど…」
「はあ、流石にそれはフカシだね…間違いない」
「そのあたりは全部本当だぞ…だから心配していたんだ…あの人を敵に回すとか冗談じゃあない…まあみんなは『敵未満』だからかなり対応が甘いのも当然だろう」
「大体みんなが仮想敵にしていた空崎委員長も割と最近からだが、普通に空を飛べるらしいぞ…そのあたりの情報も伝わっていないのか…?」
「ゲヘナの風紀委員会副委員長で…『連邦生徒会長の相棒』『ミスエデン条約』『ゲヘナの実質的なトップ』『ティーパーティー全員がほぼ身内』…滅茶苦茶重要人物じゃないですかぁ!?」
「そうだ…諦観と恐れからみんなと激突必至だったあの人の情報も碌に渡していない時点で、ベアトリーチェは信用に値しないだろう、みんなの扱いも捨て駒以下だ」
「雑多な情報はいっぱいあるのに悪い噂は殆ど無い、ね…」
「まあ底が知れないところがあるし、裏で何やっているか分からない部分もあるけど…人格者なのは間違いないよ…頭も良いし…トリニティからゲヘナに移ったというのに悪く言う者が殆ど居ない。
トリニティでも未だ多大な影響力が残っているし、ゲヘナは言わずもがな…ミレニアムにも顔が利くし百鬼夜行や山海経も…」
「それでいて本人はあの戦闘力…か…」
「皆を拘束した訳の分からないあの能力も、多彩な能力のほんの一端に過ぎない上に、サオリは分からされたろうが本人もあの強さ、だ」
「のこのこ出ていっても為す
「
「なんだと…普通に見れるというのか!?」
「まあなんの参考にもならんだろうがな…」
───
「事前情報より大分強くなっていませんでしたか?委員長のお2人…」
「本当に素手で最強だった…」
「みんなの情報は古いんだ…キヴォトスで名の知れた強者は軒並みあの人の訓示を受けた弟子のようなものだぞ…アレを経験したかしていないかで成長速度も段違いだ。それにあの人が声を上げればキヴォトス中の強者があっという間に集まる。」
「ミカの強さもなんとなく肌で感じていたが…人望含めて妹とはまるで別物だな…」
「それ本人らの前で言うなよ…あの人はミカを溺愛しているからな…それにティーパーティーの2人とも未だに仲が良い…」
「つまり───」
「ベアトリーチェは、あの人の地雷を踏みすぎた…もう破滅の未来しか視えないな…」
「セイアを一度狙った私は踏み止まったお陰でセーフ、サオリも唯のメッセンジャーとしてしか見なされていないからセーフだ…良かったな本当に…」
「ねえ、リーダー、これもう…」
「ああ、マダムの側に居続けるのは危ういな…アズサ…ルカに『そちらに全面的に従う』と伝えてくれ」
「!ああ分かった良かった本当に!」
突っ込まれまくったんでアズサのスクワッドの呼び方を修正しました。
アズサエアプっぷりが露呈した…!