ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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第38話 終曲

 ベアトリーチェは変身して巨大化していた。

 

「花…?細ッキモッ…ゲマトリアで一番醜い姿になったのもその異形の姿もアンタの腐った性根の影響かもね」

 

「ちくしょうがあああああああああああぶっころしてやるぁあああああああああああこむすめえええええええええええええええええごばぁっ!?」

 

軽く一発殴る。このままでも普通に殴り殺せそうだが…

 

「貴様の罪を数えろ…」

 

私の大切な最愛(ミカ)の気持ちを弄び親友達の命を狙った。歪んだ教育を受けていた子供達を更に歪ませて一方的に搾取していた。こいつには私のそんな想いも聞かせたくない。

ゴシャァブシャァグシャァッとまるで豆腐でも殴るかのように抵抗なく拳が身体にめり込んで削っていく。

 

「責任のある1人の大人として貴様はこの私が裁く」

 

「【我が身はサタン、地獄で最も猛き憤怒の王】」

 

その瞬間───()()()()()()()()()

 

12枚の翼が全て左右対称の悪魔の翼に変わり、2本の雄々しい角と尾が生える。腕や足にも獣毛と鋭い爪が生える。キヴォトス広しといえども生徒の中でここまでの異形と化す者は居ないだろう。

だが、元が人間とすぐに分かる程度には美しさも混じえた妖艶な美女の姿だった。ここまでする必要のない相手だったがいい加減怒りを抑えられなかったのと、これを見せることがゴルゴンダとの契約の1つだ。この「完全テラー化」は。

 

古聖堂では───

 

「ホシノ先輩っ」

 

「うん…ルカちゃんが全力を出したみたいだね…」

 

「ええっ!?隕石を砕いたっていうあの…!?」

 

「ホシノ先輩がジャンケンで負けていなければっ…!」

 

「こっちの任務も重要でしょうがっ!?」

 

「〝あはは、私の護衛なんかさせちゃって申し訳ない〟」

 

 

正史(ほんらい)のこのタイミングでは檻の中に居たミカだが、ここでは当然のごとく調印式に参列していた。

 

「お姉ちゃん…」

 

「彼女の怒りの大半は私達のためだろう?何を憂う必要があるんだい」

 

「うん…ってセイアちゃん!?」

 

「『護衛が居ればもう出歩いて構わない』だってさ…ルカはそのベアトリーチェだかを完全に仕留める気なのだろうが、君が憂う理由がどこにあるんだい?」

 

セイアに侍っていたミネが会釈する。

 

「でも、アレあんまり好きじゃないんだ…アレを誰かに向けるってことはその人には『死』しか有り得ないからね…私が手を汚すことはあんなに嫌がっていたのに、本人は躊躇いなくするんだから…」

 

「さあねえ、ベアトリーチェってのは話を聞く限りじゃ死んで当然の奴だと思うけど。ルカが私達やナギサの分まで意趣返ししてくれるのなら願ってもいないことさ」

 

「私達はそんなつまらない奴のことなんかとっとと忘れて彼女を笑顔でまた迎えてあげればいいのさ、そうだろう?」

 

「むーっ、ふんだっそんな当たり前のことセイアちゃんに言われるまでもないよっお姉ちゃんは私だけのお姉ちゃんなんだからっ」

 

「『私だけの』ねえ?それはどうなのかな?君のほうが先に会ったというのに、アズサは後から会ったルカの方だけを姉のように慕っているじゃないか…」

 

「こらこらセイアさん、意地悪しないんですよ、もう…ルカさんは多くの人に優しいですが1番に可愛がっているのはミカさんですよ、昔から」

 

「ナギサ、もう避難指示はいいのかい?」

 

「ええ、もうミサイル攻撃は止んで、付近に潜んでいたアリウス生は全員捕えたみたいですし…式典は台無しになってしまったからせめてセイアさんの復帰を大々的に発表しましょうか」

 

「ええっ暫く一生徒として好きに遊べると思っていたのにっ…」

 

地下演習場では───

 

「終わりは呆気なかったわね…」

 

拳の一撃だけでベアトリーチェはその魂ごと消し飛んでいた。

 

とにもかくにもこれにて終曲(フィナーレ)ってことで。

 

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