ゲヘナに舞い降りた堕天使 作:シファー
演習場での一部始終がリアルタイムで中継されていた。
「想像以上にヤバかったな…『殺さない自信がない』は誇張でも何でもなかったというワケだ…」
「リーダーアレ相手によく対抗心維持出来るねえ?」
「アレで頭も良くて妙に多彩な能力も有るんだから、同じ人間とは思えないな…」
「うん、凄い…あの人が敵対せずに味方になってくれて良かった…」
「ん!?アツコだっけか?お前喋れたのかっ…!?」
「うん…あの人に『不安ならマダムが死んでから喋ればいい』って言われていたの…皆もC&Cの皆さんも今までありがとう」
「っ…アツコ!」
「アツコッ!」
「アツコちゃんっ!」
こうしてスクワッドは呪縛から解放され大団円っぽかったのだが…中にはそうはいかない手合いも居るワケで…
ルカとヒナはゲヘナに帰還したが…羽沼マコトは───風紀委員会の檻の中に居た。それを横目にルカとヒナ達は優雅にお茶をしていた。
「くっそぉおおおおおおおおおおお何故このマコト様がこんな目に遭っているううううううううううううううううううううううううううううう!?」
「あー馬鹿の囀りは耳が気持ち良くなるわねえ?ほら、いつものキキキ笑いはどうしたの?してご覧なさいよ、ほーら『キキキー』って」
「なんだっけ?『目障りなティーパーティーと風紀委員会を纏めて潰す』だっけ?この私が居る今のゲヘナでよくそんなことが言えたものだな」
ドスの利いた声と共に殺気がマコトの全身を覆う。やはりヒナより何倍も恐ろしい。
「アンタの今までのバカはまだ可愛気があったから笑い飛ばせたけど、今回のは流石に無理だわ、矯正局送りにしなかっただけ慈悲だと思いなさい」
「外患誘致で、テロリストとの取引で手に入れた飛行船…ルカがミレニアムから呼んだ、爆弾処理班が居ないままアレに乗っていたら大惨事だったわね…」
押収して爆弾を撤去した後はちゃっかり風紀委員会で活用している。ヒナやアコだけだったらこんなことはしなかっただろう。
「まあ卒業直前くらいのタイミングになら出してやるわよ、万魔殿の議長は少々早いけどこのままイロハに引き継がせるわ、チアキよりはまだ向いているでしょう」
「あ、あとイブキちゃん来週からミレニアムに留学するから。本人も快く了承したし、そろそろ私でも理数系は教えるの辛くなってきていたしね…」
「なっなんだとぉ!?聞いていないぞそんな話ッ」
「そりゃ言っていないし、言う必要もないでしょう、お前らは別に保護者とかじゃなく、唯の先輩と後輩に過ぎないんだし。
あの子の才能を伸ばすのにあそこ以上の環境は無いでしょうよ、統一模試の結果セミナーに見せたら『大歓迎』だってさ。ユウカやノアちゃん達なら心配ないし、
碌に仕事もさせずに猫可愛がりしているだけのアンタらのぬるま湯よりよっぽどあの子のためになるでしょうよ。
まーそれが終わってからあの子の成長次第では副議長あたりを任せてもいいかな。あの子が叱咤すればイロハもサボんないでしょうし。
あの子はアンタらの
それとも何?雷帝さんみたいになるのを恐れて敢えて腑抜けに仕立てようとしていたとか?そうだとしたら大した役者だわ褒めてあげるわよ」
「あの子が実年齢通りの学校に通っていたのなら唯可愛がるだけでも良かったでしょうけど、飛び級までしている学ぶ意欲のある子に対してアンタらの態度は不誠実すぎだ。
前まではアンタらの甘やかしで腑抜けにされていたけど、ここ最近のあの子は入学した頃の情熱を持ったギラ付いた眼をしているから…
私はそういう子が大好きだし、なるべく甘やかさずに対等に近い関係で接しようと決めているの。もう碌に会えないと思うことね、アンタのようなコバエは鬱陶しいだけだから、あの子の道には不要だわ」
「凄いわねルカ、正論すぎて容赦ないわ…でも私も殆ど同意よ…『厳しさ』もきちんと与えてあげられるルカの方が何倍もイブキのためになるわ…マコト達の所に居ても成長に寄与するとは思えないし…」
「私がっ…イブキの足を引っ張っていただと…?」
マコトは信じたくないものを突き付けられてワナワナ震えている。
「ホント、万魔殿に入んなくて良かったわ、アンタは私の戦闘力と人気だけ見て『ヒナに強く出れるぞ』とか思って勧誘していたんでしょうけど。どのみちイブキちゃんの教育方針で対立して追い出されるのが目に見えていたし…」
「マコト…イブキはルカの方針を肯定しているわよ…あの子も本当は聡いからね…『誰が本当に自分のことを想って考えてくれているのか』程度は察しているわ…そのことも含めて暫くはそこで反省していなさい」
尚この時のマコトの醜態はばっちり録画しており、後日ハスミやアコに見せて笑いの種にしたという。
マコトファンの方ごめんなさい