ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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第4話 ゲヘナのお茶会(ティーパーティー)

丹花(たんが)イブキは最近毎週金曜日が楽しみになっていた。

その理由は───

 

「ルカせんぱーい皆さーん待ちましたー?」

 

「あらイブキちゃん時間通りよいらっしゃい、今日も用意してあるわよ、トリニティの有名店の限定プリン」

 

「きゃー♡流石ルカせんぱーいだいすきー!」

 

材料やらや手間やらで数量限定の人気プリン…平日は時間的にどうあっても普通の学生じゃ手に入らないのだが…家の者を使って手に入れさせてきた。権力とはこう使うのだ。

というか不良が転売目的に一般客脅して並んでたこともあるのでその手のを排除していったら、並ばなくても店側が回してくれるようになった。家の方に直接卸されるようになり、それを届けさせたのを回しているのだ。

勿論トリニティの旧友達にも。ミカやナギサ、ハスミにも回している。女子は基本みんな甘いものが好きなのだ。ついでに放課後スイーツ部にも。あの子達全員1年生だから在学中の面識はなかったけども。

 

(ミカ)が困った時力になってあげて」

 

と言って。経験上ネームドの子たちは他のモブ扱いされるであろう大半の子たちより強いので、無駄ではないはずだ。この繋がりも。

まあ今の時点では「ティーパーティーのお偉いさんの力に私達がどうやって?」という感じだろうが、保険のようなのものだ。

結局アリウスとは繋がってしまったみたいだけどもしミカがこの世界でもイジメに遭うようになったら私も向こうに復学する心積もりだ。

今のゲヘナの学友も大切だがミカ以上ではない。進路の類は気にせずとも大丈夫だし、好きにやらせてもらう。

この「放課後のお茶会」…英語にするとまんま「ティーパーティー」だが、私主催で風紀委員会の一室を使って週末に行っている。

基本私のお気に入りしか参加出来ない。プリン含めたお茶菓子を美食研に回すことで「金曜土曜日だけは大人しくしてもらう」ようにしている。

お茶会の参加者は固定メンバーは私とヒナちゃん、イブキちゃんに大体イオリやチナツもいる。

万魔殿の他の連中や、私に反抗的な面があるアコは当然締め出しだ。というか上層部が完全にもぬけの殻にならないようにアコだけ残している形だ。

 

「あいつら連れてきたらイブキちゃんでも入れない」

 

と言っているので、きちんとイブキちゃんは守れている。万魔殿に調子づかせないためにはイブキちゃんを押さえるのが一番手っ取り早い。風紀委員会の幹部以外の面子は大体その週の成績優秀者を呼んでいる。

流石に私達が直接イブキちゃんに何かすることまでは疑っていないので、連中も泣く泣くイブキちゃんを1人で向かわせているようだ。笑える。マコトの陰湿ぶり、小物っぷりを誇張抜きの事実をイブキちゃんに教えているので、マコトへの信頼はだだ下がりだ。

イブキちゃんも最近気が付いてきたらしい。「万魔殿(だいすきなせんぱいたち)が優しいのは、実は自分(イブキちゃん)にだけ」という現実を。そのあたりの客観的な事実を自覚しないままでいたら、この子の成長は望めない。

ちなみに私の今の姿は大人モードだ。ヘイローは半分が金色でもう半分が黒、12枚の翼、右側は全て黒く染まった天使の羽根で、左側が悪魔の羽根である。戦闘で晒すのにも過剰な形態なので忘れないようにこの姿になっているのである。

この姿は「半テラー状態」とも呼べる形態だが、とにかく有り余る神秘と漏れ出る恐怖の力で加減が難しいので、普段はロリに擬態しているのである。

ゲヘナ生的には「マコトがカスに見えてしまう」くらい威厳溢れる姿に見えるらしい。各校の特記戦力クラスにもこの姿は滅多に晒さない。普段の姿ですらミカや前のヒナちゃんよりは強いのだから必要ないのだ。

全員集まったところで各々好きに茶菓子を摘み始める。メインのプリンに即食らいつく者や後にとっておく者など様々だ。

 

「しかしこのプリン本当に美味いな…ルカさん、美食研にまであげる必要あったんですか?」

 

「なぁにイオリ?『プリンもっとよこせ』って?レッドウィンターのアホ共みたいに『プリン2個が最高の贅沢』とか言うつもり?」

 

「ちがっ…私が言いたいのはっ…」

 

「はいはい、『あいつらに気遣う必要あるのか?』ってことでしょ。別にたった4人の集団なんて温泉開発に比べれば可愛いもんだし、偶に産地偽装とか客舐めている悪徳業者潰す時もあるし、なんだかんだ矯正局送りにされていないのは

『そこまでの悪党ではない』って判断されているからよ。アンタは頭固いのよ。次期委員長なんだし、補佐役出来そうなのチナツくらいしかまだ育っていないんだからアンタも少しは考えられるようになりなさい。

地頭は悪くないんだし、アコほど感情的にならないだけマシだし…」

 

「なら鬼怒川カスミはっ…」

 

「あいつはアホだけど温泉開発部は全員を取り締まるには()()()()()()()()の。ゲヘナ基準なら個々の罪状なんて大したもんでもないし…3桁規模の連中なんて全員ぶっ飛ばすだけなら私達なら出来るけど捕まえて取り調べるには無理がある人数でしょう。

あんなアホ集団の中で曲りなりともリーダー務めて纏めているあいつを矯正局送りにしてあの人数が余計無秩序に暴れるようになったらどうする?アンタ責任取れんの?アイツが毎回なあなあで釈放されているのはマコトからこっちへの嫌がらせもあるだろうけど、

そういうことなの」

 

ヒナちゃんだけでなくチナツやイブキちゃんも真剣に聞いている。良い傾向だ。

 

「便利屋はっ!?あいつらにも妙に甘いところありますけどなんでですっ!?」

 

「いやだって、アルちゃんは普通に良い子だし…この前なんか困っているお婆さん助けているところ見たし…子供にも優しいし」

 

「知っての通り実力はそこそこあるから、本気で取り締まるの私やヒナちゃん以外だと面倒でしょ?美食研もだけど…」

 

「だから余程の騒ぎ起こさなきゃ偶に利用し合うくらいの関係でいいのよ」

 

「ごめんルカ…私は面倒臭くてそこまで考えていなかった…『所詮犯罪者連中』と見下して本人達と向き合おうとしなかった…」

 

「ヒナちゃんはいいのよ最大戦力の片割れ『武の象徴』だし。本来はアコが情報集めて精査して纏める立場なのに…昔のヒナちゃんみたいにさ、ヒナちゃんが『力だけの脳筋トップ』だったら個々の人格なんて知る必要も無かったかもしれないけど、

ヒナちゃんは頭も良いでしょう?だから教えようともしなかったアコの責任よ。大方カヨコに思うところがあるんだろうけど…」

 

ヒナちゃんを撫でながら慰める。前の仕事量の時なら面倒臭くなって当然だからな…今は結構余裕あるからアコにもそれくらいして欲しいところなんだけど。そんな感じでお茶会(ティーパーティー)の時間は過ぎていった。

 

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