ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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いい加減メインストーリーに入ろう


第5話 赴任初日

 私はキヴォトス最上位勢とは大体顔見知りである。1年生の頃に顔を隠して武者修行紛いのことをしていたのだ。まあ後に「七囚人」とか呼ばれるアケミやワカモとは面識は無いが…

今より未熟だったとはいえ当時からC&Cのエース格だった、ネルと()り合ったこともあるし、現メンバー全員とも面識がある。まあトキだけは流石にないが。

大型狩りの訓練としてアビドス砂漠に出向いて度々ビナーを狩っていた時もある。一応変装はしていたがカイザー連中を派手に巻込みまくって暴れていたので、奴らには蛇蝎の如く嫌われているが。正体は突き止めていないっぽい。

得物も偽装していたしまあヘイローも観測できない奴らじゃ判らんだろう。その頃にユメパイやホシノとも知り合った。ユメパイの後々のことも知っていたので「ポスターを破ることは絶対するな」と予言紛いの忠告をしまくった。

直接の原因では無いがアレが切っ掛けの1つであったのには違いないから。キヴォトスにも人工衛星くらいはあるのでGPSを入れてもらったし。そうじゃなくてもあの人の危なっかしさを考えれば当然の対策である。

まあ限界集落状態だったアビドスに私が度々訪れていたこともあり、ホシノも正史(ほんらい)より精神状態がマシだったっぽいので仲違いの類は普通に起こらなかったらしい。

その後は普通に円満に卒業…とはいかず「アビドス就職口無いよぉ~助けでえええええルカちゃああああああああん」と泣きつかれたので、連邦生徒会長に頼み込んで、サンクトゥムタワーの受付嬢に就職させてもらった。

基本的に役員連中も学生なので、午前中とかは人手不足になりがちなので上手くねじ込めた。ユメパイはとにかくドジというだけで決して成績が悪い類のバカではなかったので、なんとか仕事も頑張れているらしい。

ユメパイを私が連れてきた時の会長の顔は面白かった。「そうですか、貴女も…」と意味深なことを言われた。

ホシノとは今でも付き合いがある。砂漠で模擬戦をすると私の移動速度的に砂が巻き上がってとんでもないことになるので、人の居ない場所や他学園の訓練場を借りたりする。

あんまり適当な場所を使うとゲマトリアっぽい視線が増えるので場所は度々変えているが。本当の意味で本気のホシノと()り合える子は精鋭揃いのアビドスでも居ないので良いストレス発散になっているようだ。

まあキレッキレの暁のホルスの頃を知っている者からすればあの謎のおじさん化は抱腹絶倒ものなのだが。ユメパイが生存していてもおじさん化しているあたりどれだけ強固な運命なんだよ、と…

まあその頃のネタでイジるとすぐキレッキレに戻るのだが。私もよく訪れているからアビドスっ子達に結構慕われている。物資の支援も続けているから当然だが。シロコあたりは私の戦闘力を見ているっぽいが。

ホシノだけにはカイザーの裏側やら真の目的やらも伝えてある。土地の利権やらなんやらも見せて。奴らの非道なやり口には証拠付きでクロノスにリークする準備が出来ている。

インフラ握っているだけで安全圏にいるつもりでいる豚共へ目に見せてやる。先生が来てからのほうが丸く収まりそうなので未だしないが。

支援していることについては彼女らに対する情も勿論あるが、それだけが理由というわけではない。アビドス砂漠で眠るブツを考えれば、アビドスを支援してカイザーへ嫌がらせして遅滞させることは無意味では無い。

最終編が終わった後でもなければ周囲には説明しにくいが。資金は実家に頼ったりはしていない。ブラックマーケットで正体を隠して凄腕の傭兵として荒稼ぎをしているのだ。

依頼の度に使用する銃を変えているので、【千銃】なんて異名がついていたりする。この世界は神秘というけったいな力もある以上それを込め易い使い慣れた銃を使うのが一番推奨されてはいるが、

地球なら仕事の内容に応じて装備を変えるなんて当たり前のことだろう。神秘の扱いの練度や身体能力が圧倒的なので、基本達成率は100%だ。

私の経験上神秘は近いレベルの者同士がぶつけ合うとより研ぎ澄まされて成長出来る。更に相手が毎回違えば尚良い。私達キヴォトス最上位勢は近しい実力者が身近にいることがまずないし、大半が早熟で、「その先」が望みにくいのだ。

だからツルギやネルもヒナちゃんやホシノも私とやたら戦いたがる。ホシノとヒナちゃんは引き合わせたら普通に仲良くなった。模擬戦はちょいヒナちゃんが勝ち越しているが。

まあ私と居る時間がより長いという優位性(アドバンテージ)が有るので仕方ない。出会った時期はホシノの方が早いのだが。

メインストーリーで活躍する各校の主戦力を底上げ出来れば最終編で楽が出来るというもの。そうしてふと挙がる「連邦生徒会長失踪」のニュース…これは合図のようなものだ。原作開始の。

連邦生徒会もなあ…トップ1人抜けただけで破綻するような組織って欠陥過ぎへん?会長の卒業以降はどうする気だったのか…凡人なりに背伸びして手伸ばしてそれでもって盛大に自爆した、不知火カヤは擁護出来んが…

いやリンちゃんはなんとか代行出来ていたんだし…ハナコクラスの天才が他に居れば…政務能力だけならナギサやアコやアヤネちゃんも良い線行ってるし、単純に人材不足だったのかな…

あのレベルの人材を常に複数用意しなければ回らない組織とかがもう欠陥構造だけどさ。そこそこ程度の人材で回せるような組織構造に出来なければ安定した運営を何代も出来るはずがないのだ。

カヤの阿呆は会長に脳を焼かれて「超人」を連呼していたが、その「超人」が在籍前提の組織なんてものがそもそも破綻しているだろう。先生(えいゆう)1人居ないだけで容易く崩壊するこの世界も。

「色彩っていう悪者が全部悪いんだ!アレをやっつければ世界が救われる!」とかみたいな単純な話だったらもっと楽できたし、私1人でもまだどうにかなっただろうが、そこまで単純な話でもないのだ。

だからぶっちゃけ私はS.C.H.A.L.E(シャーレ)の最古参の部員になる気だ。まあ本気は出しにくいけど…ゲームでないこの世界では先生の護衛はキヴォトス最上位クラスを常に1人はつけたい。

過保護であろうがなんであろうが、アロナバリアが万能でないことも知っているので当然の判断だ。チナツがD.U.に出向いたタイミングを見計らって先回りする。D.U.に到着すると脱獄騒ぎやらなんやらで大騒ぎだった。

 

「やっほーリンちゃーん冷やかしに来たよー」

 

「周りの状況を見て言ってください…ルカさん…」

 

「そんなこと言わずにさー間もなくウチのチナツ含めた各校の使い達に突き上げ食らうよー?そん時私居たらあんま皆強く出れないでしょう?」

 

ハスミやチナツは当然のことユウカも私とネルの模擬戦見ていたこと有るから強く出れないだろう。

 

「…理解りました。お願いします…」

 

「それで先生は?もう居らっしゃるんでしょう?覚えのない気配増えているし…」

 

「な!?ルカさん貴女は…!?」

 

「邪推しないで別に会長から聞いたわけでもハッキングやら盗聴の類でも無いよ、私は偶々の例外」

 

「お!後ろの貴方が先生でしょうか?初めましてゲヘナ学園3年生風紀委員会副委員長の聖園(みその)ルカと申します」

 

二次元ではなく今は三次元なので確実なことは言えないが、先生はアニ先っぽい20代くらいのそこそこイケメンの男性だった。原作(ほんらい)は居ないはずの人間の登場にも大した動揺は見られなかった。

同郷(てんせいしゃ)の可能性が減ったのはちょっと安心した。別にそれが絶対駄目というわけではないが、私と同類の元日本人にあそこまでの器量を求めるのは無茶だろう。

 

「〝うん、よろしくね、ルカ〟」

 

「あ、ちなみにS.C.H.A.L.E(シャーレ)入部希望者なんでよろしくお願いしますね」

 

もう説明受けていた段階だっけ。まあいいや。(にわか)に騒がしくなってくる。彼女らが来たか。

 

「代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長呼んできて!」

 

ユウカが真っ先にまくし立てる。

 

「はぁー皆して『会長』、『会長』って…まあ確かに今の状況個人で収められそうな人なんて会長くらいしか居ないけどさぁ、皆してあの子に頼るから面倒になって失踪しちゃったんじゃないのぉ?」

 

「ゲェ!?ルカっ…」

 

「『ゲェ』とは失礼ね…ユウカ…ネルの物的損害率が大幅に減ったの誰のお陰だと思っているの?」

 

「ハスミもチナツも何青くなっているのよ、全く失礼ね…武力なら頼りまくるクセに…」

 

ルカは気に入った相手には肩書き関係なしに味方する。時に犯罪者であろうと。場合によっては身内を敵に回してでも。今の立ち位置を考えればリンと先生の味方ということなのだろう。

なんというか生徒相手なら誰であろうと常に歳下を相手にするような感じなのだ。犯罪者相手でも大抵は「仕方ねえなあ」くらいの態度だし。かつては成人していた彼女からすれば大抵は「子供のやんちゃ」くらいにしか見ていないのである。

正面から喧嘩売られたり、身内を害するような相手にはその限りでもなく結構沸点が低くなるのだが。連邦生徒会長にすらそんな態度だったから、まあ目立つ。統一模試でもトップクラスの秀才の上に武力では「キヴォトス最強」とも言われている。

会長をして「敵に回したら雷帝より恐い」と個人の武力だけで言わしめた怪物だ。親しい面子でも緊張を強いられてしまう状況であろう。それからリンによって先生が各校の人間たちに紹介される。

 

「丁度いいわ今の表の騒ぎ先生と貴女達で収めてきなさいな、先生にキヴォトスがどんなものか識ってもらう良い機会でしょうし。私は『生徒』としては参考になんないからね。」

 

そう行って彼女らを誘導し、サンクトゥムタワーの地下に先回りする。

 

「ワカモより早かったか…さてと…私に『先生』の資質があるとは思っていないけど…物は試しだ。『我々は望む七つの嘆きを…我々は覚えているジェリコの古則を』」

 

ヴン!と鳴ってシッテムの箱が起動した。イケんのかよ…例の教室でグースカ眠る幼女…

 

「うわっ…ちっこい会長可愛いなあ…まあ私もちっこいミカなんだけど…」

 

「むにゃむにゃ…ハッ!?貴方は先生ですかっ!?」

 

「ううん、私は『生徒』よ。『初めまして』アロナちゃん。あんま時間も取れないから話は後で…ね。すぐに貴女を本当の先生に渡すわ」

 

すぐ現実に戻って来る。

 

狐坂(こさか)ワカモ…私に不意打ちなんて通用しないわよ」

 

視線も向けずに背後から音もなく接近してきた相手を言い当てるルカ。

 

「檻の中でも貴女の話はちょくちょく耳にしていましたが…噂通り…いえそれ以上の怪物らしいですわね…」

 

「ハッ私が矯正局(アソコ)にぶち込んだ連中なんて十把一絡げの私相手に反応すら出来なかった雑魚共だし、なんの参考にもならないわよ…それより1つゲームをしましょう、ワカモ今からこの地下に降りてくるある大人の男性…

貴女がその人に『運命』を感じたら後で私の(もと)を訪れなさい、絶対に後悔はさせないわ」

 

答えを識った上でのカンニングのようなものだが、ワカモを最初期に取り込めれば間違いなくプラスだ。先生のことを絶対に裏切らないし。その後あっさり先生に一目惚れするワカモ…ふ…また勝ってしまった。*1

*1
卑怯

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