ゲヘナに舞い降りた堕天使   作:シファー

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後書きに書いたナギサが原作通り補習授業部にうんこみたいな妨害をやらかしてルカをキレさせたルートです。ルカがコミュ不足だとこうなっていたかも。


if1 可哀想な正義実現委員会

仲正イチカは先輩で上司でもある副委員長の羽川ハスミに呼び出されてティーパーティー所有の建物の警備についていた。内部に居るのは桐藤ナギサ1名のみらしい。

 

「こんな時間に警備なんて…どういうことなんすかハスミ先輩?」

 

「ええイチカ…今夜にでもルカさんが攻めてくる可能性が高い、とミカ様の指示で…」

 

ちなみにナギサ所有のセーフハウスに隠れても無駄だ。あの異常な察知能力はトリニティ在学時代からも親しい者は皆知っていたし、「かくれんぼ」でルカに勝てた者は皆無だ。

 

「え?ルカ様がっすか?ナギサ様しか今は居ないティーパーティーに?やですねえ、冗談キツイっすよ、『お2人は親友』って話も有ったじゃないっすかぁ」

 

「この布陣もミカ様の指示です…『数は意味を成さないから少数精鋭で…』と。」

 

「ふぅんそれでツルギ委員長にアタシらに、マシロも既に高所に陣取っていると…え、マジですか?なんでそんなことに?」

 

「なんでもナギサ様がルカさんを怒らせたそうです…『正義実現委員会(わたしたち)には多分手加減してくれるから大丈夫』とのことですよ…ツルギ以外…」

 

「…ツルギ委員長いつもと震え方違くないっすか?ガチでビビってるっていうか…」

 

「けきゃああああああああああああああああっやっだあああああああああああああああっ」

 

ツルギが奇声を上げるのはいつものことだが、それも明らかにいつもと様子が違う。泣きながらぶんぶん首をメチャクチャに振りながら膝下はガクガク震えている。

 

「はあ…こればかりは…ツルギの頑丈さが全く羨ましくないですね…お陰で手加減してもらい難くなるとは…」

 

「ハスミぃいいいいいいいいいいいいいいいいお前今から土下座して許してもらってこおおおおおおい!」

 

「無理ですよ…そもそもやらかしたのはナギサ様であって私達じゃないのに何を謝るというのですか…」

 

「まあコハルの扱いのことでも怒っているらしいですから私もあんまりやる気起きないんですけどね…でもそんな私情持ち込んでルカさんに失望されたくないですし…」

 

「みんなーゴメンねーこんな無茶に付き合わせちゃってー嫌だったよねえ?」

 

「「「ミカ様っ!?」」」

 

ツルギとハスミらに呼びかけた張本人のミカが現れる。

 

「でもナギちゃんがボコボコにされちゃうのは流石に見過ごせないからね、皆でなんとか足止めして?私の隕石を直接当てられればワンチャンあるから…」

 

「…当たるんですか、それ?」

 

イチカの疑問は当然だ。「最強」はキヴォトスにおけるルカの代名詞だがそれ以前は「最速」として有名だった。

 

「んーまあ足止め出来ている間にすぐ頭上に直接召喚出来ればなんとか…いけるかも?」

 

「ワンチャン」とか推測系が多いが仕方ない。同僚のヒナや親友のホシノらですらルカの正確な実力は量れていないのだ。

 

ミカは双子の繋がり故か、ルカ相手に殆ど直接は戦ったことがなくても、他の誰よりも正確にルカの実力を量れているのだが…身も蓋もないが本当の意味での「全力」で来られたら誰も勝てない、ということは知っている。

まあ「アレ」を生徒に向けることはないだろうから、アレの考慮はしなくていいとして…ルカほどの鍛錬は積んでいないが、ミカもここ1年以上はらしくもなく努力を重ね、自身の能力を研究して研鑽した。

アビドスでのやらかしがあったからだ。制御出来ない巨大な力など災厄でしかないとあの時に思い知ったからだ。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 

 

不意に───

 

「!みんなっ来たよっ」

 

ミカが警告するが…

 

「がっ…」

 

「───誰も来ませんね?」

 

「いや多分もう1人…」

 

「まずひとり…ね。ごめんねえいつもなら正面から遊んであげるけど今日はそんな気ないんだぁ☆」

 

大人(ほんらい)の姿のルカが現れる。「全力」でないことが不思議なくらいの怒気だ。

 

「「「マッマシロォッ!?」」」

 

気を失ったマシロがアイアンクローで顔面を掴まれてぷらーんとしている。

そのマシロをイチカに投げつける。反射的に咄嗟に受け止めようとするが───

 

「「バカッ」」

 

ツルギとハスミが警告しようとした時はもう遅かった。

投擲したマシロを追い越す速度でイチカとの距離を詰め腹パンする。

 

「ぐえ」

 

イチカも倒れた。

 

「ふたぁりめ☆」

 

怪物。まさにそう形容するしかない。ミカは内心舌打ちしていた。正実の精鋭のはずが脆すぎる。

だが同時に仕方ないとも思える。2年前ならまだしも、今のルカは素手で預言者をバラバラにしてしまうような人の形をした怪獣だ。

 

「くっ…けきゃああああああああああああああああ!」

 

ツルギが叫声を上げながら二丁のショットガンをルカに向けて撃っていた。イチカが倒れた瞬間を狙った。相手を仕留めた瞬間の刹那の間隙を付いたが、命中しても身じろぎすらしない。

 

「ぐっ…うあああああああっ!」

 

ハスミもライフルで援護するが命中しても豆鉄砲の如く無意味だ。

 

「ツルギィッ!呆けていないでっ!私達もあの頃より強くなったでしょうっ!!」

 

ルカはその立場を隠してよく正実の訓練に参加していたが、素手でなくとも当時から同年代ではぶっち切りで強かった。というか歳上相手でもタイマンじゃ負け無しだった。当時を知る3年生にとってルカは目標であり、憧れでもあるのだ。

 

「くっ…けきゃああああああああああああああああああ!」

 

「いまっ!『星の呼び声』っ!」

 

再起したツルギに気を取られた今までで一番大きな隙を狙ってその頭上に隕石を堕としたのだが───

 

バカンッ

 

と音がしたと思ったら頭上に左の拳を突き出して粉砕すると、

パラパラパラ…と音を立てて無数の礫になってしまった───

 

「ざぁんねぇん♪隕石砕けるの悪魔王モードだけだと思った?これくらいのサイズなら今の形態でも充分だわ」

 

そうしてツルギは顔面を殴られ、ハスミも腹パンされ、その場の正義実現委員会は全員倒れ伏してしまった───

 

付け加えるとルカに不意打ちの類は絶対に通用しない。ルカの誰にも明かしていない最後の異能、「トリニティ生とゲヘナ生の異能は無数にコピー出来る」という能力があるからだ。

ルカはセイアの予知能力をコピーして自分用にアレンジして戦闘用に昇華させていた。元々の感知能力がずば抜けていたこともあって予知能力は非常に相性が良かった。視点を数秒先の未来に絞ることで

戦闘に活用しているのだ。サトリ*1や龍眼*2あたりが最も近いか。NTや見聞色の覇気も近いが。

そもそも瞬間移動能力も元々はコピーした異能だ。素の戦闘能力と速度、飛行能力、変身という大きな能力が見せ札となっているので気付ける者は皆無だ。

少し詳しい者でも「分身と光と影を操る能力」だけで全てだと思ってしまう。ちなみに予知能力を使い熟せるようになってからユズとのゲームにおける勝率は5分になったらしい。

この場合、元々ユズを除けば大抵のゲームで全一クラスの腕前があるルカが未来視をしても互角までにしかもっていけないユズの方が大概おかしいのだが…閑話休題。

 

死屍累々───と呼ぶ光景に相応しくこの場で立っているのは聖園姉妹だけである。ミカは諸々を諦めた。自身にも原因の一端があるとはいえナギサに罪が無いわけではないのだし…

当初の怒気で見誤っていたが、誰よりも自身の力の制御に腐心しているルカが手加減を誤ってナギサを撲殺することなど有り得ないし…

 

「ミカ…今回の一件だけなら貴女は悪くないからもうすっ込んでなさい…というかナギサが疑心暗鬼(ああ)なったのは貴女にも原因があったんだったんかしら…?」

 

「ぶぅーナギちゃんがあそこまで豆腐メンタルになった一番の原因はお姉ちゃんの転校だと思いますー」

 

「薄々そうじゃないかと思っていたけどナギサが情緒不安定なのって私が居なくなったから?」

 

「はぁ~お姉ちゃん自分への好意に無頓着なのどうにかしないといつか刺されるよ?」

 

「私を刺せる刃物と腕前って伝説の剣に超凄腕の暗殺者?」

 

「だめだこりゃ」

 

基本的には頭良くて格好良いのに妙なとこでポンコツなのだこの姉は。そこそこ親しい者達からすれば「そこが良い」とかなんとか。ホシノやヒナ達はさぞや悶々とさせられただろう。振り回される側は堪ったものではない。

見張りすら居なくなった建物に堂々と侵入していく。そして扉の前に立つと───

 

「ミカ、耳塞いでなさい」

 

「ナぁギぃサぁああああああああテメェの血は何色だぁあああああああああああああ!」

 

バンと扉を開けると、ナギサはガクガク震えながら精一杯の虚勢を張って応えた。

 

「貴族みたいなものですから青ですかね?」

 

「上ォ等ォだぁ…あの子達が『ゴミ』だって言うんなら私が今すぐお前をゴミクズのようにしてやらぁ…」

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

パシィン!と部屋に小気味よい張り手の音が木霊する。

 

「ふふふすっかり桃色に腫れ上がったわねえナギサの可愛いお・し・りぃ」

 

「もう…止めてください‥ルカさん…ミカさんも録らないで…」

 

最初は「いやあああああああやめてええええええええ」とか叫んでいたのだが50回を超えたあたりからレ目になってすっかり元気を無くしてしまった。

 

ミカには無駄に高性能なビデオカメラを渡して録画させている。

 

「ほぉらあと30回よぉ100叩きだからねえ」

 

「ななじゅういちぃ!」

 

すぱぁん!

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

「ひゃぁく!」

 

ぱしぃんっ!

 

「はい終わりぃもうこれに懲りたら陰湿な手使うんじゃないわよ少し癒しの力流しといたから結構早く回復すると思うわよ」

 

しょんぼりとしながら脱がされていた下着とスカートを戻していくナギサが不意に言う。

 

「私は───どうすれば良かったのでしょうか…」

 

「さぁねえ間違えたのは確かだけど…相談されたならいつでも乗ってあげたわよ?」

 

「ルカさんが居なくなってセイアさんも倒れて───ミカさんをどうやったら守れるのでしょうか───」

 

「バカねぇミカはアンタに守られるほど弱かないし、本当に危ない目に遭いそうになったら私が世界中のどこからでも飛んでくるわよ、勿論アンタが危なくなっても、ね」

 

「お姉ちゃん♡」

 

「ルカさん♡」

 

これまでの流れなどなかったかのように2人を抱き寄せて甘えさせるルカ。後日事の顛末を聞いた先生は「DV夫」という単語が頭に浮かんだとか。

 

*1
GetBackersの不動琢磨

*2
天上天下の棗亜夜




以上おしおきナギちゃんでした。


次やるとしたらルカが原作時空のミカと出会うお話かな、後書きに書いた方のもう一つの方のおしおきミカちゃんは今回と流れあんま変わらんだろうし。
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