ゲヘナに舞い降りた堕天使 作:シファー
ホシノ以外のメンバーとも話をつけて2人を預けて別れた。
箱舟突入メンバーもこちらの世界に飛ばされていたが、全員安否の確認を取り連絡済みだ。
各々がそれぞれの出身校で上手くやっているとのことなので、取り敢えずは後回しにする。
「◯◯が2人ィ!?」みたいな騒ぎになると思うが大丈夫なのだろうか…
まあ本人らが「構わない」と言ってるから構わないか。
「さて…取り敢えずはトリニティ行くかな…向こうと同じならミカが精神的に追い詰められている時期だろうし、多分」
「こちら」のミカは当然だが、私の妹ではない。ないのだが助けに行くのは当然だ。「ミカの味方」というのは私のアイデンティティの一つだ。
世界中があの娘の敵に回ったとしても。本当に悪いことをしてしまったのなら叱って慰めて一緒に償って…常に寄り添うと決めているのだ。
でもどうしようかな…「生き別れの姉」説…見た目で簡単に騙せるだろうけど、下らない嘘
ドッペルゲンガー…識っていたら恐がって攻撃されそうだ…却下。「並行世界のミカ自身」…そこまで明かすなら、中途半端に隠す必要も無い、か。
まあミカのフリすれば堂々とトリニティに入れるのだが…制服持っているし。伸縮自在素材の。ということで堂々と会いに行くことにした。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「はあ…セイアちゃん…」
セイアの死亡報告を聞いてから余り時間も経過していない頃───気落ちしていたミカが寮の自室に戻って来る。しかしその部屋の自身のベッドに堂々と腰掛ける者が居た。
「我は汝、汝は我。なんちゃって」
「うそ…わた…し?」
今のルカの見た目はミカと寸分変わらない。体格も翼も服装も全部合わせた。
「『初めまして』。ミカ。私は『聖園ミカのお姉ちゃん』よ。別の世界の…ね」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
結局自分がどういう存在かを転生者云々のみ除いて全て話してしまった。
「私の所に来たのはなんで?」
「まあこっちで活動する上での拠点が欲しかったから。見ての通り貴女のフリも出来るから役に立つよ、私は。授業サボらせたりする気は無いけどね」
嘘だ。別に私だけならどこでも生きていける。現金に換金出来る物もいくらでも持っているし「ミカを元気付けるため」なんて正直なことを言うのは照れくさい。
ミカの好みも知り尽くしているし、元気付ける方法も熟知している。それから──────
「お姉ちゃん♪」
「お姉ちゃんっ☆」
「お姉ちゃぁん…♡」
私が甘やかせば即オチする。しかし自分の部屋だけでしか会えない状態に不満を持っていたミカは密かに事を進めてとんでもないことをやらかしてしまうのであった。
「えへへーお姉ちゃんと一緒の初登校ぉ~☆」
ミカは自身のティーパーティーの立場を利用して、私の身分を作り出し、編入試験まで受けさせて、アズサよりも堂々と編入させられてしまった。
試験でわざと手抜くことはしたくなかったので結局流されるままに再びトリニティ生になってしまった。
ミカの笑顔には勝てないので、諦めて普通に協力することにした。私の今の対外的な名前は「
堂々と同じ苗字を使ったら実家から突っ込まれかねないからこうした。
設定的には「自分とそっくりで名前も似ている私をミカが面白がり拾って編入させた」…ということになっている。
セイアの状態は教えた。前の時と同じように
今は私が確保した拠点で世話をしている。偶に気晴らしに「お空の旅」から遠出しているが。トリニティやゲヘナからも遠い他の自治区ならベアトリーチェの手駒に捕捉されることもないだろう。
元々のミカの側近だった子に嫌がらせをさせられそうになったが、正実でツルギと模擬戦でヒャッハーしたり正実の活動に協力していたらビビって何もしてこなくなった。
そんなこんなでトリニティで暫く過ごしたある日のこと…
「ルカさんが編入してからそろそろ2か月ですか…」
「うんまあ、思ったより長引いちゃったわねえ、そろそろ先生も赴任することだし、お暇しようと思っているんだけど…」
「サンクトゥス派の首長代理…引き受けてはくれないのですか…?」
「やー
「───ですが本当は長期に渡ってトリニティ生でもあったのでしょう?」
ナギサにもミカと同レベルで情報を渡している。というか「在野にこれほどの逸材が無名で存在していた」よりも「違う世界からやって来た」の方が突飛ではあってもまだ信憑性が有ったというか荒唐無稽さではマシだったのだ。
ルカはナギサの好みもクセもミカのことの次くらいには把握していたので、気に入られるのも早かった。トリニティの問題も把握していたしエデン条約がどうでもよくなるくらいにはナギサもルカが欲しくなった。
「『ここではない』…ね。ちなみに現役のゲヘナ生よ。連邦生徒会に紐付きの…ね」
「貴女がトリニティを辞めたことに少しでも後ろめたく思っているのなら…どうか私達で晴らしてくれませんか?」
「ずっと一緒に居たいからパテルに入れたいけどお姉ちゃん居たらあの子達調子に乗りそうだからなー」
ちなみにミカは膝枕されている。わざわざ横になり易いようにソファーまで持ち込んで。
「定期試験でいきなり学年トップ、何をやらせてもトップクラス、あのツルギ委員長をあしらうほどの戦闘力…貴女を特別扱いにすることに誰にも文句を言わせない実績にはなりましたが、もう少し手を抜くことは考えなかったのですか?」
「戦闘は流石に手加減しないと相手が大変なことになるし、『教導』という形にすればいくらでも加減出来るから…でもそれ以外のところで手抜いたりしてナメられると結局後で面倒臭くなるって身に沁みてんのよね、もう…」
「正実は信用出来ない?ツルギもハスミ達も凄く良い子達なのに…サクラコ引き込めればなあ、あの子ツルギ以上に誤解され易いし…シスターフッドが中立謳ってるのも面倒くさいのよね…」
「ミネも本当は凄く良い子だけど直情的で暴走し易いからね、ティーパーティーの資格有っても恐くて引き込めないよね」
「本当は、もう普通にピンピンしているセイアが戻ってくれば話早いんだけど、『アリウス問題』解決するまではあの子は隠れていないと危険だからね」
トリニティの事情をよく知っている、いや知り尽くしていると言っても過言ではない。本人の実力も相まって絶対敵に回してはならない存在だろう。
だがトリニティ生の誰かの名前が出る度に隠しきれない親愛の情が滲み出ているのだ。いつの間にか浦和ハナコやヒフミ達とも接触して手懐けているし正実はシンパになるのに1週間掛からなかった。
その手腕は恐ろしいがミカと同じ容姿、声ということもあってどうしても警戒するのが無理な存在だ。
「『お姉ちゃんを編入させた』っていう功績だけで私の立場もかなり強化されちゃったからなあ…もしお姉ちゃんが居なくなったらティーパーティーへの批判が凄く出ると思うよ?」
「はぁー分かったわよ、一応代案も考えてあるし…エデン条約締結までは居てあげるからそ・れ・ま・で・よ」
視界の中ではナギサと起き上がったミカが「やったー」とハイタッチしている。
まあいいか、前世なら別の世界で無駄に歳食うこと気にしただろうけど、今は全然構わないし。先生が死ぬ可能性が高いのも多分エデン条約の頃だろうし。「ティーパーティーの4人目」かあ…いつだったかの冗談紛いのネタが現実になっちゃったかなあ。
「エデン条約締結されなきゃルカさん(お姉ちゃん)ずっと居てくれるんじゃね?」
ミカとナギサは訝しんだ