ゲヘナに舞い降りた堕天使 作:シファー
アビドス行きが決まってからユメパイは滅茶苦茶元気に喋るようになった。
「それでっそれでっシロコちゃんやノノミちゃんも本当に良い子達でっ…特に今生徒会長もしているホシノちゃん!私は散々叱られたけど小さくて可愛いけどしっかりしていてとっても強い凄い自慢の後輩なんだー」
「〝あははユメは後輩達のことがとても好きなんだね〟」
当然だが対策委員会の生徒会化は私からのアドバイスでとっくにしてある。
「1年生のセリカちゃんやアヤネちゃんのことはあんまり話に出さなかったね、ユメちゃん…」
「うえ!?だって今年は忙しくて休みあんまりとれなくてぇ…」
「忘れられていないといいですねー」
「ひぃん!?ルカちゃん意地悪だよぅ」
「あはは冗談ですよ、少なくともホシノはユメちゃんのこと無茶苦茶好きですからねぇ」
本人に言うと照れ隠しで撃たれるけどさ。
「じゃあ車出しますねー」
連邦生徒会所有の車を出す。運転は私だ。実際の距離を知っている身からすればここから徒歩とか無謀だ。私だけなら身一つで更に早く行けるんだけど。ちなみにワカモは留守番だ。デリケートなあの子達にワカモが不用意なこと言って一触即発になり兼ねない。
というかセリカが「大人はみんな信用出来ない」とか言い出しただけでワカモがキレかねない。ホシノの観察するような不躾な視線にもすぐ気付くだろうし。まあこの先ずっとそんなんじゃ困るから「不用意なことをしたら先生に嫌われるぞ」と脅して抑えていくつもりだ。
「でも、救援要請なんて…ルカちゃんが支援していたんじゃないの?」
「まあ個人のポケットマネーで保たせている状況そのものが不健全でしたからね、一応『友達を助ける』って以外の理由もちゃんと有るんですけどねえアヤネちゃんはいつも申し訳無さそうにしていましたし…
ホシノに偶に仕事手伝ってもらってその報酬に物資送っていたりもしていたんですけどね…借金返済には絶対に私を関わらせようとしなかったし」
「〝借金?〟」
「あ、先生、今のは聞かなかったことに、少なくとも本人達から言い出すまでは忘れといてくださいな」
そんな会話をしながら朝早くに出て昼過ぎ頃にアビドス高校付近に辿り着く。途中私が作った弁当で昼休憩を挟んだが。あと3kmくらいの地点で不意にルカが漏らす。
「んー多分校舎襲われてますね…」
ユウカに「〝凄い!生徒ってみんなルカみたいなことが出来るの!?〟」と聞いたら胡乱なものを見る眼で、「そんなわけないじゃないですか。皆がみんなアレと一緒だと思わないでください」と呆れたように言われたのだ。
彼女は単純な戦闘力含めて色々とぶっ飛んでいる。「眼にも止まらない」どころか
空まで飛ぶし、本気なら素手で銃相手に無双するらしい。自分の前では基本二丁拳銃スタイルだが、アレも縛りプレイの一種らしい。漫画のようなことを平然とするのだ。1人だけ。
シッテムの箱を繋いで指揮しようとしたが
それでも自己判断だけで常に最適解を選んでいるようにみえるのだ。アロナの声が生徒で唯一聞こえているみたいだし…
「ええっ!!?大丈夫なの!?」
「ホシノが本気出していないんならまだまだ全然大丈夫でしょう。日課レベルの襲撃ですよ。あの子が本気出したらこの距離からでも分かりますから。どうしても心配なら私が先生だけ連れて先行するからユメちゃん運転代わってください。」
そう言って車を止めると、素早く運転席のルカが降りて後部座席に乗り込み、助手席のユメが運転席に乗り込む。ユメにしては機敏な動きだ。これが初めてではなく慣れた動きなのだろう。そのままユメが車を出すが、ルカの服が突然ぼふんと生地が伸びる。
「【我が身は
変化は劇的だった。小柄だった身体が見る見る内に大人になっていく。最終的には女性にしては長身の170cmくらいにまで伸びる。
「キヴォトスの子達は大半が自分の力の
今ならユメちゃんにもおっぱいの大きさ負けていないですよ?ちっこいままだと腕力足りていても危なっかしいですからね…先生はこのまま私が運びます。じゃあユメちゃんは私達がヘルメット団を一掃した後に入ってきてくださいね?」
先生の膝の裏と背中に素早く手を入れてお姫様抱っこをしてそのまま車から飛び立つ。
「着いたらすぐに皆を指揮下に入れてあげてください」
などと言っているが全然頭に入ってこない。一瞬でかなりの高度にまで上がるし無茶苦茶速い。ヘリだの飛行機だのとは全然別物だろう。取り敢えずアビドス高校にはなんとか辿り着けた。