ノッブとカッツに愛されて夜しか寝れないトッキ   作:星乃 望夢

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 歪んだ愛ではあるからヤンデレってタグ要りますかね?

 あと火葬戦記とか?

 桶狭間どうすっかねぇ。

 こんな戦国時代で火薬に物を言わせた火力馬鹿の砲兵部隊突っ込んだら今川義元が木っ端微塵に爆散するんじゃないかな?

 景虎さんそう言えば美少年スッキーでしたっけ?

 あの景虎さん、大砲ブチ込んでも止まらなそう。

 戦国武将ってバケモンしか居ないの?

 戦国無双、戦国BASARA、戦国ランス。

 取り敢えず戦国舞台の遊んだ事あるゲームってこの辺だから加減が分からん。

 まぁ、ドリフとぐだぐだイベントみたいなノリで行けるか?

 


第三話 戦国バトルコマンダー織田信時

 

 俺が目覚めたのは、射られてから3日後だった。

 

 そんでもって、目が覚めるとノッブから事の顛末を聞かされた。

 

 いやカッツ、怒ってくれたのは純粋にとても嬉しいんだよ?

 

 なんで初手ノータイムで軍を率いて出てくるの?

 

 薩摩隼人なの?

 

 そんでもって俺を射抜いた若武者らは切り捨て、一族郎党皆殺しって。

 

 俺の寝坊の所為でいくつものお家断絶に100人単位で死んだとか聞きたくなーい。

 

 そりゃ後始末大変じゃったわってげっそりしますよね姉上。

 

 ごめんノッブ、俺がポカした所為で苦労掛けまして。

 

「ま、勝がやらなければわしが根切りしとったんじゃがな! 勝め、わしの仕事を奪いおって」

 

 わっはっはっはぁ!! って笑いながらサラッと言いやがりましたよノッブ。

 

 えぇ、そんな一応叔父上の家臣なんだからもっと大切にというか、信次叔父上はノッブ派の人間なんだから、その家臣根切りにして自分の勢力削る事しないでよぉ。

 

「わかっとらんのぅ。時、おぬしはわしの影じゃろ。その影に弓引くばわしに弓引くのも同じよ。それが家臣とはいえ、その咎は免れん。ま、おぬしも単騎駆けという咎をやったのじゃから、家臣一族根切りで済む程度が落し所じゃな。勝め、頭に血が昇っておきながら要点は押さえておるわ。なんじゃ、やれば出来るやつではないか」

 

 うへぇ、やっぱり戦国倫理観は現代人には理解出来ないよぉ。

 

「してだ、時。おぬし、守山に入れ」

 

「はい?」

 

「咎められると恐れた叔父上が姿を眩ましてしまっての。じゃから空きの守山に入り、これを治めてみせい」

 

「無茶を言わないでくださいよ姉上。そんな事、手前に出来るわけありませんよ」

 

 言ってしまえばネットや本で得た知識でわかったような口を利いていたニートが、地方営業所のトップがミスにビビってドロンしたから代わりにその営業所のトップに就いて営業回してこいという様なものだ。

 

「わしは出来ぬ者に出来ぬ事を言う様なうつけではないぞ? わしの影としての務め、その為の足掛かりとせよ」

 

 確かにノッブの影武者をやるなら、内政も外交も戦も、ノッブが満足出来るレベルで外側に見せなくてはならない。

 

 その第一の試しとして領地経営やってみろと言うことだろう。

 

 というか既に決定事項であるから拒否権が無い。

 

 やれるだけやるしかないか。

 

 傷を癒す為に一月を使い、俺は守山城の城主として着任した。

 

 はい、ノッブの野望の始まりですね。

 

 取り敢えず内政と開発と備蓄に励みますか。

 

 1つ目の政策はやっぱりドッカーンと民衆の心を鷲掴みする為に、減税を打ち出した。

 

 今まで取り立てていた税を半分とし、民衆の負担を先ず減らす。

 

 やっぱり民衆から肥えさせないと領地が潤う事がない。

 

 あとは生活用水路の建設と上下水道の分離、そして帳簿の細分化と、労働時間の仕分け。

 

 日中と夜勤の時間を徹底させ、適宜休憩時間を設ける。

 

 朝から夕方、夕方から朝までと時間を別け、それぞれの時間に就く兵を振り分け、ローテーションさせる。

 

 今月は早番であるが、来月は遅番というようにさせれば昼でも夜でも動ける兵になる。

 

 その中から希望者が居れば早番と遅番に常勤する兵を募る。

 

 そして夜勤手当を出せば、金が欲しければ夜勤に出る。

 

 金よりも夜は普通に寝て昼間働くという働き方が分かれる。

 

 働き方改革と共に用水路建設によって生活用水の確保と、さらに上下水道を分けて水源汚染を防ぐ。

 

 大量の石ころや砂利を集めて敷き詰め、大掛かりな濾過装置を敷設し、生活用水路の水は直飲みしても取り敢えずは大丈夫な様な工夫もする。

 

 あと酪農始めたい。

 

 牛乳飲みたい、牛肉食べたい、焼肉喰わせろーーーー!!

 

 取り敢えず焼き鳥流行らせるか。

 

 養鶏で栄養満点の卵と、お肉食べてもりもり力つけましょう。

 

 お米と肉は身体を作ってくれるし。

 

 産まれたてならTKG、行けるか?

 

 先ず味噌と唐辛子で作った辛味噌で塩焼き鳥と酒のコンボを喰らえ!!

 

 鰻の蒲焼きと山椒もセットだ!

 

 深酒には締めの味噌ラーメンもいいぞぉ。

 

 あとは特産品として大判焼きでも流行らせるか。

 

 取り敢えず何をするにも飯の文化を発展させる。

 

 美味い飯で満腹になれば人は次の食事の為に励める。

 

 食に困らなければおセッセから子供が増え、そして将来的な国作りの為の労力が増える。

 

 働き手が増えれば国は豊かになる。

 

 生産性が上がればさらに子供が増える。

 

 その繰り返しがまず富国強兵の礎となる。

 

 ま、その為に税収減らすと言ったら家臣団から猛抗議の嵐だった。

 

 税収が減ると皆食べる物が減るとね。

 

 武士は基本、御恩と奉公だ。

 

 御恩の部分、領地からの税収を減らされると奉公への、つまり忠誠に影響する。

 

 だからこそ、その商売の元締め、つまりは俺が新しく普及させる焼き鳥屋とか大判焼き屋の先駆けをやらせる。

 

 焼き鳥はまだまだ贅沢品、庶民には全く馴染みのないものだ。

 

 最初は鶏の数を揃える所から始めるから目先の利益にはならない。

 

 しかしそれが軌道に乗れば飛ぶ様に売れる。

 

 未来で約束されている食べ物なんだから、流行れば普及するのはあっという間のはず。

 

 取り敢えず文句言った奴には俺のカステラ喰わせてやらん。

 

 文句言わなかった奴にはカステラと野苺のショートケーキのデザート爆撃じゃ!

 

 ついでに大判焼きも居るぞ!

 

 ハチミツパンケーキの増援だと!?

 

 なんとでもなるはずだ!!

 

 貴重な牛乳と砂糖をこれでもかと使ったカスタードクリームの大判焼きに、クッキーも伏兵に備えておる。

 

 甘いの苦手?

 

 炭火の焼き鳥と酒のコンボ行ってみる?

 

 もちろん文句言った奴らにはあげなーい。

 

 前代未聞の減税政策に文句を言った大半の家臣らは、俺の主催するビュッフェに参加出来ず、両手で数えられる程の家臣は美味い菓子と飯にありつけた。

 

 俺の言っていることを理解し、それを熟考出来る頭のある奴だけが残る。

 

 まぁ、一気に家臣団が1/4程度に減ったけど、是非もないよな!

 

 後日ノッブに、そんな楽しい催しにわしを呼ばんとは何事じゃ! って言われたから、ノッブも呼んで第二回戦国織田家ビュッフェが開催されました。

 

 胃袋掴めば皆チョロくて助かるぜ。

 

 ノッブのシェフにジョブチェンジするわけじゃないけどね。

 

 あぁ、ちなみに俺に文句つけた家臣らはノッブ経由でカッツに送られたそうな。

 

 大丈夫かなカッツ、頭禿げ上がったりしない?

 

 取り敢えずビュッフェで気分が有頂天になってるノッブに鉄砲強請ってみた。

 

 火縄銃は矢より疾く、威力もあればしかし弾込めに難ありにて未だ戦場を席巻する武器として普及はしていない。

 

 何処も彼処もどう使えば良いのか持て余している。

 

 だからその使い方を教えてやるってんだよ!

 

 鉄砲三段撃ちはノッブの逸話を奪ってしまうから無しである。

 

 三段撃ち以外で火縄銃でどう戦うのか考えていると、ポンっと浮かんだのは銃剣だ。

 

 宣教師がやって来て、祈りの時間にAmenと言ったから、そこからヒラコーのエイメェェェンッ!!を思い出して、さらにそこから銃剣(バイヨネット)、つまり火縄銃に小太刀でも括り付けて槍みたいに使えるなと考えた。

 

 さらに敵の矢から身を守る盾を装備させる。

 

 一回射られたから矢が苦手なんよ。

 

 矢を受け止め、さらにこれから戦場を席巻する鉄砲をも防げる盾を求めて、鉄板を木でサンドしたタワーシールドを造った。

 

 鉄塊ではないから少しはマシな携行性にはなっている。

 

 それで陣を組み、火縄銃を放ったあとは盾に隠れ再装填、出来ない距離に敵が居るのならファランクス陣形にて敵を薙ぎ倒す。

 

 火薬と鉛玉があるなら手榴弾作れるか?

 

 そう思い立って竹筒で試して破片榴弾を再現した。

 

 それが出来るならクレイモアも行けるだろうと、鉄釜に火薬と鉛玉を詰めて蓋して、着火したら、実験の為に放った鶏がミンチよりヒデェやになった。

 

 それをノッブに見せると、なんでも好きなもの買っちゃるわ!ってお目目キラッキラにして言うから、石火矢を買って貰った。

 

 石火矢というか、もののけ姫のあれのちゃんとした名前は火槍というらしい。

 

 馴染まないから石火矢と呼ぶが、あれは観れば分かるが重くて使い難い。

 

 発射したあとは棍棒として使えるが、やはり携行性が欲しい。

 

 だから火縄銃の原理を取り入れ小型化というか、火縄銃を大口径化した様な形となり、少し重めの火縄銃、大鉄砲となった。

 

 新型石火矢は肩に担ぎ、反動は火縄銃と比べ物にならないが、従来のそれよりはまだ反動制御出来るギリギリの力だ。

 

 そしてそこから発射される鉛玉は鎧兜を撃ち抜く。

 

 鉄砲、石火矢、手榴弾、対人地雷、そして馬で牽ける様に改造した大砲つまりは自走砲。

 

 それらを扱う専任部隊を編成した。

 

 戦国自衛隊じゃないけど、戦国時代には強力過ぎる機械化歩兵部隊の完成だ。

 

 人員輸送にも馬車を作れば馬に乗れない兵も迅速に展開が可能だ。

 

 今まで刀や槍、弓の稽古をやっていた兵らに全く新しい新機軸の兵器を扱わせるのは骨の折れる日々だった。

 

 手榴弾も導火線であるから扱いを間違えると手許で爆発する超危険物。

 

 まだ対人地雷の方が安全だった。

 

 統制の取れた迅速な機動部隊による電撃戦。

 

 野砲部隊による火力支援。

 

 打ち上げ花火なら長距離榴弾砲にならないかと職人を集めて火薬玉と打ち上げの為の鉄筒を作らせた。

 

 大砲は鉄の塊を撃ち出す、物理的な破壊力があるが、言ってしまうと被害範囲はその鉄塊が着弾した周囲に限定される。

 

 では火薬の大爆発の打ち上げ花火を人に向かって撃てばどうなる?

 

 爆発の衝撃で人は吹っ飛び、爆炎は大やけどを引き起こす。

 

 石火矢が迫撃砲として使えるから、広範囲に被害の出せる榴弾砲はまさに戦場を様変わりさせられるはずだ。

 

 一般的な足軽の使う火縄銃の有効射程は約100m前後。

 

 打ち上げ花火は大きさによるが100m〜300m。

 

 取り敢えず200mは飛ぶ火薬玉を作ったから火縄銃の倍の距離から撃ち込まれる榴弾砲。

 

 今主流の弓矢は精々50mの射程とあれば、アウトレンジからの一方的な砲撃、鉄砲が出回ってもさらに倍のロングレンジからの砲撃。

 

 滅茶苦茶金の掛かる部隊になるが、その威力は絶大だと思っている。

 

 説明する言葉がないから石火矢鉄砲隊と名付けた実質的な砲兵部隊は、その運用方法を解っている俺の専用部隊だった。

 

 なにしろ金の掛かる上に、どれもこれも貴重で強力な兵器を使うのだから万が一にも鹵獲されるわけにもいかない。

 

 であれば必然的に大規模な隊は組めない。

 

 防諜面と、やはり訓練にも火薬を使うから金が掛かる上、数を用意出来ないが故に50人程度の小隊規模となった。

 

 それでもこの時代に機動力を有した砲兵部隊は何処も編成してなどいない。

 

 トータルして一城が建つ程の先行投資を姉上にはしてもらったが、なればこそ、城の一つや二つ、落として見せねば顔向けは出来ない。

 

 石火矢には国崩しという名もあるらしい。

 

 なら、城崩し程度はやってみせなければ。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 わしの弟、天才過ぎなんじゃが?じゃが?

 

 やはりやつを腐らせておった母上は大うつけよ。

 

 自由にさせた途端にやるわやるわ、南蛮菓子の宴に民には一生口にする事など叶わぬ贅沢品を庶民食とする動き。

 

 なにより初手半減税はぶっ飛んでおるのぅ。

 

 しかも普請に参加すれば金が貰え、さらに減税じゃろ?

 

 噂を聞きつけ守山に移り住む民が後を絶たぬと、時の暴走を止めてくれと城と土地を預かる家臣らは言ってくるが、悔しければ時と同じ事をしてみよ。

 

 まぁ、無理じゃろなぁ。

 

 減税すれば収税がへり、自分らの手取りが減る。

 

 そして普請に参加した民への賃金、さらに減税とくれば身銭をどれだけ削れば良いのか。

 

 じゃがその削った身銭を南蛮菓子や食べ物を売って回収する。

 

 フッ、時も悪よのぅ。

 

 しかし商才もあったとは。

 

 職人や商人もさらに減税対象となれば、品物の動きが活発となる。

 

 人と品の流れの活発化により、あらゆる働き手か集い、そうして普請がやりやすくなる。

 

 最初は身を切る必要があるが、それはすべてを動かす歯車の一回しをする為の、いわば必要な犠牲。

 

 しかし払った対価以上の利益が舞い込むのだから、やらぬ手はない。

 

 またそれで己に従う家臣を篩に掛けるとは、一石何鳥じゃろなこれ。

 

 南蛮菓子の宴の褒美に鉄砲を与えてやれば、そこからはもう水を得た魚よ。

 

 新しい武器、さらにはまだまだわしすら持て余す鉄砲の運用すら編み出した。

 

 南蛮の古代ぎりしゃという国の盾槍兵のふぁらんくすという陣らしい。

 

 それ採用!

 

 農民でも槍持てば武者をば殺す。

 

 盾の陣に籠もればまるで亀ぞ。

 

 火縄銃にも小太刀を括り付け、銃剣という槍や薙刀の様にして振るえるという。

 

 南蛮の馬車を組み上げ、馬に乗れない兵を乗せて移動させるとは目から鱗じゃ。

 

 さらに竹筒の爆弾、そこから鉄釜爆弾の威力たるや。

 

 あれ? わしの弟もしかして天下取れる発明品ばかり作っとらんか?

 

 鉄釜爆弾の功に免じて中々値の張った石火矢を与えてみれば、なんというか、その名の如く国崩しの備えを始めよったぞ。

 

 なんじゃその大な鉄砲は。

 

 新しい石火矢?

 

 わしも使ってみたが、従来の重い石火矢より軽く、破壊力も申し分なく、持ち運びも容易い。

 

 また馬車に大砲を載せた火砲は、最早迅速を以て敵をその破壊力により蹂躙せんとす、というのがありありと伝わって来よる。

 

 花火を打ち上げ、その爆発と飛び散る火薬の炎で敵を薙ぎ払い火傷を負わす等、発想力にわしすら畏怖の念を抱くぞ。

 

 いったい時の頭の中はどうなっておるのか一度見てみたいわい。

 

 玉薬作り、間に合うかのぅ。

 

 練度を上げる為に使う分は是非もなし。

 

 練度を保つ為にも火薬を使う。

 

 戦となればそれは盛大に使うこととなる。

 

 しかし維持する為の金は時自身の稼ぎで賄える。

 

 これ以上増やせぬのが惜しいのぅ。

 

 火器もそうじゃが、やはり奪われる事の危険性や防諜の面からしても増やし過ぎてはならぬのだ。

 

 切実なのは維持する金じゃがな。

 

 それは時も解っておるから、向こうでも玉薬作りは始めていると言っておった。

 

 厳格な時間と交代制により兵の士気も高い。

 

 なにより時の守山城は南蛮食の目白押しと聞く。

 

 なぜそこらの城備えの兵までわしより豪華なもの喰っておるんじゃ?

 

 南蛮料理人が城主は卑怯じゃろ。

 

「姉上、毎晩の夕餉に突撃して来るの止めません? 城の兵らが休まる時がありませんよ」

 

「良いではないか良いではないか。おぬしの城だけ毎日南蛮料理の目白押しは卑怯じゃぞ!」

 

「卑怯と言われましても。作れる料理人が居ないのですから是非もないでしょう」

 

 この大判焼きというのも大変美味よ。

 

 この城の料理人共は時の教えにより幾つかの南蛮料理を作れる様になってきておる。

 

 じゃが味はやはり時が一番よ。

 

「しっかし、あのファランクスというのは実に強いのぅ。角田の奴も、新たな時代の試し台となれてさぞ誉れであろうよ」

 

 新たな軍と武器を備える間に起きた角田新五の謀反。

 

 時の篩に残った家臣であったが、完全実力主義の時の采配により立場を悪くしつつあった様だが、今更古い戦法と武器に時が敗けるわけなかろうよ。

 

 しっかし鉄釜爆弾の威力よ。

 

 単純な飛距離はそこまでではないが、起爆させればあれを避けられる者は居るまい。

 

 さらに鉄砲隊を列として連射を可能とさせるとは。

 

 忍びで時の許へ来れば思わぬ戦を拝めたものじゃ。

 

 竹筒爆弾も良く働いておったが、それを扱える兵を鍛えてこそじゃな。

 

 盾を物陰とし、矢を防いで鉄砲を撃ち、近付かれればファランクスの陣、それに手を拱いておれば装填され撃ち抜かれる。

 

 じゃが無理に突破しようとすれば後列の鉄砲からまた撃ち抜かれる。

 

 あの屏風の様に折り畳める鉄板も厄介じゃ。

 

 仮に鉄砲を持ち出されても貫けぬ厚さ、しかし折り畳める故に持ち運びを考慮した造り。

 

 最早どんな風に殺されるかわかったものではないな。

 

 まだ武器の備えが充分では無かったが、それでも戦が変わる息吹を見せて貰った。

 

 しかし謀反人で生きておる者は居らんとは。

 

 降り首に転じる前に尽く鏖殺されたからな、そんな暇すら無かった動きはまさしく稲妻の如し。

 

 戦は速さが物を言うが、あれは疾風(はやて)を超えた迅速、まさしく稲妻の様な、時の言う電撃戦というものか。

 

「全兵、着剣ッ! 機は今にあり、突撃せよ! Урааааa!!!!」

 

 隊を二つに別け、後備えの隊は前の隊を鉄砲で援護。

 

 それを背に前の隊はファランクスの陣にて敵陣を中央突破し、左右の兵にも竹筒爆弾を投げ込み混乱させ、敵陣の最奥を突破後に反転。

 

 挟み撃ちにするとは恐ろしい戦いぶりよ。

 

 戦人は無理だと言っておったにしては確りと出来るではないか、時のやつめ。

 

 武器の使い方、運用が解っているのだからそれを活かす戦術も解っている。

 

 それを実行したに過ぎぬが、あの勢いを止めるのは生半可な事ではすまんな。

 

 ただし、弱点もある。

 

 相手が足軽だけであったから良いものの、騎馬隊相手には使えまい。

 

 いくら重い盾を持っていても、馬に蹴散らされる。

 

 しかして鉄砲隊の前には騎馬隊も時代遅れとなるであろう。

 

 竹筒爆弾もあることじゃし、音に驚き馬もまともに使えんとなる時代が来るやもしれん。

 

 守山城の馬は教練で火薬を使うから音にも慣れ始めておる様だ。

 

 さて、時を娶る為に次の大戦で手柄を立てさせるか。

 

 そうなれば誰も文句はあるまい?

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 信時の守山城は、信時が城主となってから様変わりした。

 

 籠から解き放たれた信時は、まるで大空を飛ぶ鳥の様に自由となって、守山城の城下町を異国へと作り変えてしまった。

 

 それを僕の末盛城の隣でやるの止めてよぉ。

 

 民の流出が止まらないって家臣らが毎日愚痴を言っている。

 

 なんで収税を半減して、領地が回るの?

 

 川を新しく作るなんて事が出来るの?

 

 焼き鳥なんて僕も殆ど食べた事ない贅沢品なのに守山城の城下町では庶民が酒のあてに買えるの?

 

 南蛮菓子も買って食べられるなんてどうなってるの?

 

 いったいなにをしたんだよ信時ぃ!!

 

 信時が姉上と同じだとはわかっていた。

 

 その才を封じられ、閉じ込められていたのも。

 

 でもやっぱりそれは姉上への不利益だったんだ。

 

 僕も信時の助言を貰えなくなってから目に見えて領地を回せなくなった。

 

 いつ姉上へ白紙を持っていこうか悩む程だ。

 

 そして傍から見れば気でも狂れた様な行動をする信時を討ち果たすべしという家臣らに一つの報せが届いた。

 

 信時の家臣、角田新五が謀反を起こし根切りになったと。

 

 それに家臣らは震え上がった。

 

 当たり前だろう。

 

 あの姉上ですら怒らせたら信時は止まらない止められない。

 

 姉上は見掛けは厳しいけど、内はとても甘い。

 

 信時はその反対で見掛けは甘いけど、内はとても厳しい。

 

 少し調べてわかったけど、あの謀反はうちの家臣の諫言があったらしい。

 

 は? 僕の信時を殺そうとしたの?

 

 適当な名分を捏ち上げて根切りにしたけど、僕に何も言わないでなんで勝手に進めたの。

 

 え、母上の命?

 

 ……やっぱり、僕の味方は信時しか居ないんだ。

 

「信時っ、信時、信時っっ、信時ッ!」

 

 姉上の虚像を求めていたのに、居なくなってはじめてわかった。

 

 僕は姉上と同じくらい、信時を求めて止まないんだ。

 

 こうして自分を慰める相手も、姉上ではなくて信時を求めているのがなによりの証拠。

 

 妻を迎えて、子供も出来た。

 

 でも、本当に傍に居て欲しいのは──。

 

「姉上ぇ……、信時ぃ……」

 

 こんな時に僕の頬を優しく撫でて、涙を拭ってくれる温かい手は、何処にもないんだ……。

 

 

 

 

 

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