この素晴らしい世界に福音を!~……いやいやいや!? 俺、乗るとか無理だから!?~   作:李忠成

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第1話-2 NERVにカズマ、襲来。

ミサトさんが運転する車は、爆発と煙の中を猛スピードで突っ走っていた。てかこの人、運転荒すぎじゃない? 警察いないの?

 

「シンジくん、よく来てくれたわね!」

「えっと、はい……」

思わず敬語。美人の迫力って怖い。いやマジで。

 

ミサトさんはポケットからガラケーを取りだしてどこかへか電話をかけた。

 

なんでガラケー?

喋っている内容はよく分からないがサードチルドレンだかなんだか言ってるのは聞こえた。

 

「……了解、すぐ連れていきます」

 

そう言ってミサトさんがガラケーを閉じた。ってか、何この世界……技術は爆弾バンバン撃てるのに、通信は平成初期レベルなの!?

 

「よかった……間に合って」

 

運転席のミサトさんが、安心したようにそう呟く。

 

いや、間に合ってないでしょ!?

巨人、めっちゃまだそこにいるけど!?

爆風で標識飛んできてるんだけど!?

 

「シンジくん。第3新東京市に来るの、何年ぶり?」

「え……と、さんね……あ、いや……えーと……」

 

誰かシンジの履歴書くれ。

何年ぶりとか知らねえし、こっちは異世界から急に転生(?)したばっかなんだよ!

 

「お父さんからは何も聞いていないの?」

「え、お父……?」

 

「お父さんが、あなたを呼んだのよ」

 

そうだった、確か封筒に「シンジくんへ」って手紙あったな。

あれ書いたの碇シンジのお父さん?

 

ドォォォォンッ!!!

 

「きゃっ!」

 

外でまた爆発。

見ると、巨人に向けて軍の攻撃が全く効いてない。

なんかバリアみたいなやつで全部弾いてる。

 

「えっ!?ノーダメ!?なにあれ!?デストロイヤーの結界みたいの!?」

「A.T.フィールドよ」

 

「えぇ!?あれ名前ついてんの!?フィールド!?じゃあどうすんの!?核とか使わないと無理じゃない!?」

 

「……使うわよ」

 

「え!?マジで!?ほんとにやるの!?この世界こわっ!?」

 

すると、車の後方からまばゆい光。

地平線の向こうが一瞬、白く光って――ズゥゥゥンッッ!!!

 

「ひょおぇぇぇえ!?何今の!?俺また死んだ!?」

 

車が転覆して、天地が入れ替わった。

俺とミサトさんは何とか車から這い出した。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫、生きてるわ。ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」

 

ミサトさんは壊れた車を見て叫んだ。

「まだローン半分以上も残ってるのにぃ...」

 

……この人もこんな感じか?。

 

__________

 

地上ではキノコ雲みたいなのがゆっくりと立ち昇っていた。

核……撃ったよね今。

マジで。

普通に。

 

「ま、待って待って……これヤバいやつでしょ!?普通に死ぬじゃん!?俺、もう蘇生制限とかかかってるからダメなんだってば!!」

 

「落ち着いて、シンジくん。爆心地からは離れてるから、放射線の影響も少ないはずよ」

「“少ないはず”って!!あんた命張るタイプの美人なの!?安全確認、ふんわりしすぎでしょ!!」

 

っていうかなんで俺だけこんな目に。

アクアのせいだよな、完全に。

やっぱあいつ後でしめる。

 

「でも、やっぱり……効かないのね」

 

ミサトさんがぼそっと呟いた。

見ると、例の巨人が、普通にピンピンしてた。

バリア張ったまま、ズンズン進んできてる。

 

「えっ、マジで!?核無効!?やっぱ魔王より強くない!?アレ、倒すことできるの!?」

 

ミサトさんは何も答えず、車は地下トンネルの奥へ進んでいく。

 

車内はしばし沈黙。

 

ってか、これ完全に誘拐ルートだよな。

俺、知らない世界で、知らない女に連れてかれて、気づいたら兵器と巨人が戦ってるし、親父は謎の組織のボスみたいだし……

――あれ?なんかこれ、ひょっとして“エヴァ”ってやつじゃね?

 

……いやいや、俺エヴァ見たことねぇし!?

知識ゼロだぞ!?

誰か、早くマニュアルくれ!!

 

「着いたわ。ここがNERVよ。あなたの父親の職場」

 

ミサトさんがハンドブレーキを引いた音が、やけに重たく聞こえた。

 

この世界、異世界よりもやばいかもしれない。

__________

 

「遅かったわね、葛城一尉。時間も人手もないときに」

「ごみん、迷っちゃって」

「その子が例の男の子」

「そ、マルドゥックの報告書によるサードチルドレン」

 

受付ロビーで出迎えたのは、白衣の女性。

クール系美人だ。

 

あと何かの不幸を背負ってそうな顔してる。

 

 

原作に出てきそうな雰囲気の人。

っていうか、このネルフって施設、見た目が完全に悪の秘密基地なんだけど。

あと照明が暗い。

なに、予算削減?

 

 

俺たちは赤い水をゴムボートで移動して行った。

なんの水だ?これ

 

「初号機はどうなの」

「現在B型装備のまま冷却中」

「それホントに動くの? まだ一度も動いたことないんでしょ?」

「起動確率は0.000000001%オーナインシステムとはよく言ったものだわ」

「それって動かないってこと?」

「あら失礼ね、ゼロではなくってよ」

 

初号機、エヴァのことか。

まて、この流れ嫌な予感がする。

エレベーターに乗って地下へと降りていく。

シン…いや、俺の心臓がドキドキしている。

緊張? いや違うな。

これは完全に「ろくでもない予感」だ。

 

「君のお父さんが待ってるわよ」

 

 

待っていたのは高所から見下してくる中年男性。

ポーズと視線の威圧感が魔王級。

おまけに名乗りもせず、いきなり言い放った。

 

「久しぶりだな、シンジ」

 

おい父親よ、

 

それは本当に久しぶりに会う息子に対しての1言目か?

なんかもっと感動的なシーンじゃないのか?

 

 

「……出撃」

 

何を?とはとてもじゃないけど聞けない。

 

 

「出撃ぃ!? 零号機は凍結中でしょ!……まさか、初号機を使うつもりなの?」

「ほかに道はないの。碇シンジ君、あなたが乗るのよ」

 

……はい?

 

え?何今の?さらっと言ったけど今、完全にヤバい単語出たよね?

エヴァってあのロボだよな?

乗るの?

俺が?運転免許いらない?

 

エヴァってこんな急展開なの!?

訓練とかシュミレーションとかないの!?

 

ミサトさんがこっちを見てる。

リツコさんもこっちを見てる。

ゲンドウも……サングラス越しなのに、見透かされてるような視線を感じる。

 

ねぇ、ちょっと待って!?

ホントに待って!?

俺、引きこもりだったんだけど!?

今さっきまで!

 

「なんでこうなった……」

 

俺の心の声が、ネルフ本部の静寂に虚しく響いた。

 

__________

 

 

 

 

 

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