中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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ヴァレンチーナとベアオバのエミュってむずくない?違和感ありまくりだと思います。(特にアリウススクワッド周り)間違いがあったらじゃんじゃん指摘して下さい。これでもエデン条約編見直したんだけどね。文の書き方を少し変えてみました。結構時間飛ぶので注意。
※ヴァレンチーナの幼少期の話が少しありますが、自分の勝手な捏造です。


親指親方と崇高を目指す者

アタシは名家に生まれた。七大ファミリーの一つ、ボニャテッリ家に。

 

幼い頃から虐待まがいの修業を強いられた。いや、虐待なんて生ぬるい言葉じゃ足りない。

 

あの地獄で「パレルモ」という剣術を骨の髄まで刻み込まれたんだ。何度も叩き潰され、血を吐き、肉を裂かれ、骨を砕かれながら。

 

それでもアタシは完璧にパレルモを体得した。他のゴミどもを圧倒する力を手に入れた。

 

パレルモはボニャテッリ家の本質そのものだ。ただ一つの獲物を執拗に追い、狩り、解体する。隠密なんて排されるだけ。この剣の前では無力だ。

その華麗さと実用性が、ボニャテッリ家を七大名門に押し上げた。

アタシは煙戦争に駆り出された。G社の虫けらどもを蹴散らし、主戦力を何人も斬り伏せた。煌びやかな戦果を上げ、パレルモを完全に習得し、家宝まで継いだアンダーボス——それがアタシだった。

 

だが、アタシは致命的なミスを犯した。

 

「パレルモを伝授され、家宝まで継承しておきながら、このような醜態を晒すとはな。アンダーボスに昇格してから、わずか三日で罷免された者などヴァレンチーナ、お前だけだろう。」

 

こうしてアタシは没落した。蜘蛛の巣というゴミ溜めに落とされた。一家からは「お前の不名誉の残り香が染みついているから、遺物も剣も回収しない」「愛を取り上げる」と言われ、散々な扱いだ。

 

今までアタシの下にいたクズどもが、今度はアタシを蔑み、劣等者扱い。はらわたが煮えくり返る思いだったが、アタシは諦めなかった。

 

蜘蛛の巣に堕ちても、別の戦争に駆り出され、戦果を上げ続けた。それでも元の地位には戻れず、酒に溺れる日々。

その後、蜘蛛の巣で一人のガキを育て上げることになった。良秀だ。アタシの幼少期と同じ方法で、パレルモを叩き込んでやった。権力復帰の切符として、全力を注いだ。

 

結果はどうだ? そいつは一人で蜘蛛の巣を去ろうとした。その時、アタシは右目を潰された。

 

良秀——チケットが去った後、今度は裏路地で別のガキを拾った。ルチオには教本として、アタシの全てを叩き込んだ。まだ未完成だが、実力はついてきた。

 

少し経った後、ついにチケットを取り戻すため、蜘蛛の巣総出で企業を襲った。赤い視線と一戦交え、チケットを上手く誘導した。

 

だがその後、蜘蛛の巣に奴らが攻め込んできた。アタシの前に現れたのは、赤い視線とデカい女、虫野郎、不良のガキ。

 

アタシはルチオに雑魚三人を任せ、赤い視線と対峙した。最初は予知眼で攻撃を全て避けられた。だが、徐々に読まれていく。焦りが生まれた。

 

大きなガラスを突き破り、ルチオの方へ。見れば、まだ一人も仕留められていない。苛立ちながら戦った。

そして時が来た。もう一歩でルチオが虫野郎を仕留めるところ——突然そいつの腕が変形し、ルチオの心臓を貫いた。

 

一瞬、現実が受け入れられなかった。認識した瞬間、激情が溢れた。アタシは虫野郎に飛びかかった。

 

アタシなりの情があったのか、手間暇かけた教本を殺された怒りか、今でもわからない。その激情に振り回されながら、煙戦争の話をぶちまけた。お前の仲間を拷問するように殺し、優越感に浸っていたこと。お前が孵化できなかったG社の誇り高き害虫兵器の出来損ないだということ。

 

こいつを始末する寸前——覚醒した虫野郎に胸を貫かれ、捕食された。

薄れゆく意識の中、一つの執着だけが残った。それは不変だ。

 

権力。次こそ、全ての権力をこの手に。誰もアタシに逆らえない、会った瞬間に頭を下げる圧倒的な権力を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-アマリアがキヴォトスに来てから約1年後-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っは!! …ここは?」

目覚めたら、薄暗い廃墟だった。壊れた城のような場所。空は黒い雲に覆われ、何も見えない。

 

「裏路地…いや、都市にこんな場所はない。アタシは一体どこに飛ばされたんだ。」

 

血の匂いが濃い。ここも本質は都市と変わらない、腐った場所だ。

 

そんなことを考えていると、背中に殺気が刺さった。少しは訓練されているようだが、バレバレだ。

 

「殺気すらまともに消せないカスが…アタシに向かって何を?」

 

振り返り、一瞬で距離を詰める。殺気を放った奴は驚いたのか、即座に発砲してきた。意味はない。全て見えている。

 

「遅い! 」

 

パレルモの軌跡は金色に輝き、空虚なこの場所を眩しく照らす。傲慢さと流麗さを併せ持つ、ヴァレンチーナの剣だ。

 

ガスマスクの白髪の奴が地面に叩き伏せられる。機嫌が悪いアタシは、即座に剣を振り下ろそうとした。

 

「アズサ!」

 

そこに割り込んできたのは、少し大人びた生徒。ツバの短い帽子をかぶった、頭目めいた雰囲気の女。

 

「……」

 

無言でこちらを見ている仮面をつけた不気味な気配のガキ。

 

「はぁ…一人で突っ走ったらこうなるって、わかってるのに…」

 

生きてるようには見えない、都市では見ないデカい銃を持った厚着で痩せ細った女。

 

「み…皆さん…し、支援します…!」

視認できるのがやっとの距離でオドオドしながらスナイパーを構える小娘。

そして他にも、ガスマスクの雑兵どもがぞろぞろと銃を向けてくる。

 

「ぞろぞろと…アタシに勝てると思ってんのか?」

 

しかし、都市ではありえない大量の銃。ここはやはり都市ではない。その思惑が確信に変わる。

確かに厄介だ。だが——

「なら、後ろの雑魚から解体してやる!」

地面を蹴り、神速で接近。すると、アズサが小さく呟いた。

 

「かかった。」

 

目の前に極細のワイヤートラップ。キヴォトスの生徒すら止める、並の人間なら細切れにする殺陣。

 

「この程度で…」

 

だが、唯一の誤算。

 

「アタシが止まるとでも!?」

 

都市の上澄みどころか、蜘蛛の巣の親方クラスだ。ワイヤー程度では一切失速せず、全て切り裂いた。

 

後ろの雑兵どもは反応が遅れ——

 

「よそ見してる暇があるなら、くたばっちまいな!」

 

ただの生徒にパレルモの軌跡など見えるはずがない。瞬く間に体は切り裂かれ、血飛沫が空中を舞い、壁や床を鮮血で染める。悲鳴を上げる間もない。

 

「はぁ…この程度のガキがこんな大層な銃持ってるなんて…上の奴はとんだ無能だな。」

 

「…!? 何が…起きた…?」

 

サオリは驚愕した。今目の前にいた女が自分達より後ろにいた小隊を一瞬で制圧した。その間、彼女は薄っすらと金色の軌跡だけしか見えなかった。

 

「見えなかっただろ? お前らみたいなガキと違って、アタシは地獄を生き抜いてきた。それに…まぁいい。こんな問答に意味はない。」

 

剣の鞘に手をかけ、ヴァレンチーナは笑みを浮かべる。一呼吸置いて、言い放った。

 

「大人しくしてりゃ、楽に死なせてやるよ?」

 

その言葉で、サオリが絶叫した。

 

「逃げろ!」

 

遠距離狙撃のヒヨリを除き、サオリ以外は全員が駆け出した。

 

その刹那——金色の軌跡が空を裂く。

 

「ガハッ——ぐぅ……!」

 

サオリは両足の腱を斬られ、崩れ落ちる。アズサも、ミサキも、アツコも、同じだった。

 

ヘイローが輝いていても、痛みは消えない。血が地面に広がる。

 

「動かなければ楽に死なせてやるって言っただろ? 聞こえてなかったのか?」

 

ヴァレンチーナが屈み込み、倒れたサオリたちの顔を覗き込む。

 

その瞳に、嗜虐の炎が灯った。

 

「……この程度、私たちは慣れている。何をしても無駄だ。」

 

サオリの声は低く、震えていない。

 

ただ、どこか遠くを見ているような、諦めきった響き。

 

ヴァレンチーナは一瞬、固まった。

 

そして、次の瞬間——高らかに笑い出した。

 

「ハハハハハハハ!!」

 

「何がおかしい?」

 

「アタシはお前らを“すぐ”殺す気はねぇよ。

後ろの雑兵どもはもう全員死んじまってるだろうけどな……お前らには、アタシの鬱憤晴らしに付き合ってもらうさ。」

 

剣を逆手に持ち替える。

 

そのまま、サオリの足に深々と突き刺した。

 

剣の突き刺さる鈍い音が響く。

 

声は上げない。

 

だが、サオリの顔は苦痛に歪み、歯を食いしばる音が小さく響く。

 

「……やっぱり、訓練されてんな。泣くどころか声も出さないとは。前に育てたガキを思い出すねぇ。」

 

あのガキも、こんな薄汚い場所で同じように耐えてたっけ?

 

まぁ、もうどうでもいい。

 

「……言ったはずだ。この程度の痛み。訓練で…慣れていると。」

 

「ハハ、その割に声が震えてんじゃないか?

心配すんな。お前の大切な仲間たちも、同じ目に遭わせてやるよ。」

 

その言葉で、サオリの瞳が僅かに揺れた。

 

片手で近くに転がっていた銃を拾い、ヴァレンチーナに向ける。

 

だが——

 

「だから、遅ぇってんだよ!!」

 

引き金を引くより早く、剣がサオリの腕を貫いた。

 

「リーダー!」

 

ミサキが一瞬の隙を突き、ロケットランチャーを発射する。

 

「はっ、また弾いて——どこ狙ってんだ?」

弾はヴァレンチーナの頭上を通過。

外れた、と思った瞬間——

 

バゴォン!!

 

空中で爆発し、無数の小型爆弾が流星のように降り注ぐ。

 

ヴァレンチーナは面倒くさそうに舌打ちする。

 

「チッ…!」

 

パレルモの軌跡が金色に煌めき、炎を次々と斬り裂く。

 

加速弾で一気に加速し、火を一掃した。

 

「今だ! ヒヨリ!」

サオリの叫び。

 

「は、はいっ……!」

スナイパーの鋭い音が連続で響く。

 

ヴァレンチーナは反応し、弾を弾く。

だが、先ほどより威力の高い弾が、間髪入れず飛んでくる。

 

「さっきよりマシだが……その程度か!!」

 

ヒヨリの弾を全て弾き返す。

 

その隙に、アズサが再び銃口を向けていたことに気づく。

 

「くらえ!」

 

アズサの渾身の一撃。

いつも通り剣で弾こうとした瞬間——

 

ブシュッ!!

 

右目から血が噴き出した。

 

「チッ……また2、3回しか使ってねぇだろうがよ……!」

 

想定外の反撃。

 

使えない予知眼、遅れる反応、自分自身の苛立ちが募る。

 

「このガキ共がぁぁ!!」

 

アズサの弾を弾き飛ばし、一気に間合いを詰める。

 

首に剣がかかったその刹那——

 

「何をしているのですか?」

落ち着いた声が廃墟に響き渡った。

 

ヴァレンチーナの剣が、ピタリと止まる。

 

振り返ると、そこに立っていたのは超高身長の女。

 

足元まで伸びた長髪。体表は赤く染まり、頭部には無数の花弁が咲き乱れ、一つ一つの花弁に目が宿っている。

アリウス自治領の生徒会長——

 

ベアトリーチェ

 

「……なんだ? お前は?」

 

一瞬、戦争兵器か異形の怪物かと思った。

だが、すぐにわかる。

 

こいつには明確な「意思」がある。

 

「それはこちらの台詞です。人の領域に勝手に侵入し、私の生徒たちを痛めつけ、殺しておきながら……第一声がそれとは。同じ大人としても、品位が違いすぎますね。」

 

「あぁん?」

 

ベアトリーチェの声は冷たく、高貴で、どこか愉悦を含んでいる。それに、あからさまにヴァレンチーナを下に見ている。

 

それがヴァレンチーナの不快感に拍車をかけた

 

彼女の花弁の目が、一斉にヴァレンチーナを捉えた。

 

「あなたのような外の人間が、私のアリウスに何の用でしょう?

……いえ、用などどうでもいいです。

この4人を今失うのは少々困るのです。こんなにも無様に傷つけた罪は——重いですよ?」

 

ヴァレンチーナは剣を構え直す。

 

その瞳には——初めての、僅かな警戒が浮かんでいた。

 

「そこで提案…というよりは取り引きなのですが、私に協力する気はありませんか?」

 

「……は?」

 

「!?マダム、一体何を——」

 

「口を慎みなさい。サオリ。」

 

サオリは異議を唱えようとしたが、ベアトリーチェの一言で黙らされる。主従関係が決定的に成立しているのをヴァレンチーナは感じ取っていた。

 

「私に協力すれば、この無礼を帳消しにします。応じるかどうかは今決めて下さい。」

 

ヴァレンチーナは、数瞬だけ沈黙した。そうしたかと思うと、徐ろに懐からシガーを取り出し、火をつける。

 

「お前、さっきの奴らからマダムって呼ばれてたよな?つまり、お前がここのトップて訳だろ?」

 

「ええ。今そんなことを聞いている訳ではありません。今貴方が答えるべき点はこの取り引きに乗るか乗らないか。その2つだけです。」

 

火のついたシガーを一気に吸い込み、大きく息を吐く。

 

その目には、溢れ出る警戒心と僅かな期待。

 

ヴァレンチーナはベアトリーチェに自分と通ずる物があると微かに感じ取っていた。

 

「目的はなんだ?それだけ教えろ。」

 

ベアトリーチェは、少しの間沈黙し提案する。

 

「いいでしょう。着いてきなさい。サオリ、ここに倒れている生徒達はあなたに任せます。きっちりと処理しておくように。」

 

「……了解しました、マダム。」

 

そう言い残し、親指親方ヴァレンチーナとアリウスの生徒会長ベアトリーチェは奥の扉へと消えていった。

 

 





ちょっと長くて読みづらかったと思ってる人がいたら申し訳ない。しっかりと書けてるか不安になる今日この頃。
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