ユメ先輩とホシノのアマリアの呼び方を固定します。
ユメ→アマ
ホシノ→
今回短いけど許して
-時期はヴァレンチーナとルチオがくる数ヶ月前-
「チッ……クズ共が、なぜあんな学校ひとつ潰せんのだ。」
机を指で叩きながら、イライラを隠さない恰幅の良いオートマタ——カイザー理事。
彼はアビドス高校の自治区を手中に収める計画を進めていた。
だが、小鳥遊ホシノとユメがまだ生徒会として残っている以上、下手に動けば連邦生徒会の目を引く。
不良たちに武器を支給し、雇い駒として放ったはずが、ことごとく返り討ちに遭い、出費だけが嵩む一方だ。
「おや? どうされたのですか、理事?」
背後から静かな声。黒服だ。
「黒服か……なに、少々アビドスを潰すのに手こずっていてな。あんな矮小な子供二人すら片付けられないとは……やはり、不良など信用できん。」
黒服が小さく笑う。それを聞いた理事は顔をしかめた。
「貴様……何を笑っている?」
「クックック……いえ、情報として彼女の存在を把握していると考えていたのですが、ご存知ないのですか?」
理事は眉をひそめ、首を傾げる。
「今、アビドス高校にいる『大人』が、アビドスを脆弱な城から堅固な城へと変えている張本人です。」
「何……?」
おかしな話だ。キヴォトスでは大人は子供より発言力が低い。ましてやアビドスは大人に騙され続けてきた。特にホシノは、大人に対する不信は計り知れない。
それが、アビドスに大人が介入しているという異常事態に、理事は頭を悩ませた。
「ふむ……つまり、その大人とやらいなくなれば、アビドスは落としたも同然か。」
理事は知っている。大人は生徒ほど頑丈ではない。銃で脅せば簡単に屈するはずだ。
「だが、念には念を入れて、奴に協力を『依頼』しよう。ここ最近、トリニティで頭角を現してきた新勢力な。」
しかし、彼は知らない。
アビドスにいるその「大人」——アマリアが、予想の遥か上を行く怪物中の怪物であることを。
そして、理事が依頼しようとしている相手も、同等の化け物であることを。
黒服は薄ら笑いを浮かべながら、静かに部屋を後にした。頭の中に、これから起こる惨劇が既に浮かんでいた。
——とあるアビドスの裏路地——
「——とまぁ、これがあなた方への彼の評価ですね。一企業の理事であるのに、この情報網の薄さは愚かと言わざるを得ませんね。」
黒服がため息混じりにアマリアに伝える。
アマリアは——
「ホシノとユメの居場所を壊そうとするカイザー理事……ね。」
_φ(・_・カキカキ
せっせと帳簿に書き込んでいた。
(中身が共有されても、バイトついでにブラックマーケットで情報を得たと誤魔化せばいいか)
「非常に癪だが、今回ばかりは感謝するよ。黒服。」
「いえいえ、これからも良好な関係を築いて行きましょう。クックック……」
「お前、ホシノ死なせかけてんの忘れんなよ?」
黒服は黒い霧を残して消えていた。
——黒服視点——
「クックック……やはりあの方とは良好な関係を築いていかなければ。」
思考に耽っていると、奥から足音が近づく。
「黒服、今日はいつになく機嫌がいいように見えるな。」
「おや、マエストロ。そんな貴方も少し機嫌が良いように見えますね。」
マエストロは静かに微笑み、理由を語り始めた。
「実は、最近私たち以外の『外の人間』と会ってな。私と同じで芸術を志す二人だったのだよ。」
全身が義体という背の高い男と恐らく女。
背の高い男は「カリスト」と名乗り、義体の中に臓器が透けて見え、骨と血と臓物でできた巨大な大剣を携えていた。
弟子を名乗る者は、まるでアイアンメイデンのような衣装に身を包み、同じく大剣を持っている。師弟仲は良好とのこと。
「それはまた、随分と興味深いですね。」
「あぁ、彼らは私たちの知らない技術を持っている。然り、彼らの芸術も驚嘆に値する。黒服、貴下も私と同じように興味深い人間と出会ったのではないか?」
「ええ、そうですともマエストロ。彼女の力と、彼女の世界の技術を探求することに、今は興味が尽きないのです。」
私の情報で彼女はどのような動きを見せてくれるのか……今から想像しただけでも、ゾクゾクが止まりませんねぇ。
——一方、アビドス高校——
「あぁ、疲れた。バイトも楽じゃないね。」
アマリアがバイトから帰宅する。
カイザーの情報を得るために数ヶ月空いたので、せっせと金を稼いでいた。
もちろん、犯罪行為は避けている。アビドスの二人に迷惑をかけないためだ。
「お帰りなさい、姉さん。」
「おうホシノ、最近自然に『姉さん』呼びできるようになってきたな。嬉しいぞ!」
ホシノは顔を赤くして睨む。照れ3割、怒り7割。なお、アマリアは照れてるだけだと思っている。
「アマ姐お帰り! 疲れたでしょ? これ飲んで!」
ユメが栄養ドリンクを差し出す。アマリアは一気に飲み干し、家族の労りに感無量の表情を浮かべた。
「まぁ、それより本題だ。これを見てくれ。」
大きな紙を広げる。
「!……姉さん、またブラックマーケットに行ったでしょ。」
「まぁまぁ、聞けって。私たちを散々苦しめたカイザーを潰すためには、念密な計画が不可欠なんだよ。そのために、あんな場所にまで行って情報を集めてたんだぞ?」
嘘である。情報の9割は黒服提供だ。
「けど、アマ姐、カイザーを潰すと言っても、どうやって?」
ユメが首を傾げる。
「最近、カイザー理事が不審な動きをしているらしい。アビドスの自治区に戦力を散らしているんだ。」
ホシノは疑問を抱く。
生徒会を持つ学校に強襲などすれば、企業側が連邦生徒会に潰されるのは自明。
なぜ自滅まがいの行動を?
「何故こんなことを? 相手は相当な馬鹿か、とんでもない無能かのどちらかですね。」
(どっちもあんま意味変わんなくね?)
(ホシノちゃん最近口悪くなってきちゃったなぁ、少し今度構ってあげよう)
「いいえ、結構ですユメ先輩」
「思考読まれた!?」
そんなやり取りの合間に計画が固まる。
勝利条件は三つ。
1. 自治区の死守
2. アビドス高校占領の阻止
3. カイザー理事の失脚or破壊
「…………これ、私たち三人じゃ無理じゃないですか? 明らかに人手足りませんよ?」
「あぁ、全く足りないぞ。」
「は?」
「アマ姐……もう少し頑張れそうな計画を立てて欲しいなぁ。」
アマリアは手をヒラヒラさせながら笑う。
「最初から三人でやるなんて言ってないだろ?」
「「え?」」
アマリアが「入れ」と言うと、奇妙な服を着た女子生徒たちが数十人現れた。
「我ら! 元ヘルメット団所属の者です! 数ヶ月前は大変申し訳ございませんでした!」
一斉に土下座。現場はカオスオブカオス。
「えっと、姉さん、この人たちは?」
「結構前に帳簿買いに行った時に襲撃してきた奴ら。こいつらの引き渡し人から戦力として借りてきた。」
ホシノとユメは不安げ。
以前二人であっさり蹂躙した元ヘルメット団が、本当に役立つのかと言う疑問があったからだ。
「おいお前ら。お前たちが生きているのは、契約主の契約と私による訓練の成果だ。そして、待ち望んだ今回が初任務だ。末端共、私が最初に教えたことを言ってみろ。」
“は! ミスは即ち死! ミスは即ち死! ミスは即ち死!”
「そう。」( ̄ v ̄)b
別の意味で狂気を感じた二人。
なお、撃退時より人数が減っていることに、二人はまだ気づいていない
「学校の護衛はユメとこいつらに一任させる。それがベストだ。」
「わ、私ですか? アビドスを守るんだったら、なんだってしますよ! この大楯で全てを守り切って見せます!」
アマリアは頼もしい気概に嬉しさを覚える。
「ユメ先輩……がむしゃらに頑張ることよりも、もう少し相手を疑うことを覚えてください。」
「せっかく気合いを入れたのに酷くないホシノちゃん!?」
「それに関してはそうだな。」
「ひぃん……アマ姐まで……」
「それじゃあ私は姉さんとやるんですか? その理事って奴を。」
アマリアは頷く。
ホシノとアマリアが二人で手を組めば、カイザーコーポレーションなど負けるはずがない。
——そう、カイザーコーポレーションだけならば。
「ホシノ、今回はかなり辛いことになるかもしれないから。充分に用心しておけ。」
「えっ? それってどういう——いや、私たちより圧倒的に強い姉さんが言うってことは相当だね。」
「あぁ、だが安心しろ。姉ってのは……家族のために少しくらい傷ついても、痛くないもんさ。」
トリニティのあいつが絡んでくるなら、間違いなく厄介になる。
アマリアは、それが実現しないことを願っていた。
しかし、運命は残酷だ。
カイザー理事の依頼は、既にその男に渡ってしまっていたのだから。
リサンよぉ、お前は一体何が出来ないんだ?欠点がFurioso replica打ち切る前に敵が死ぬことくらいしかねぇじゃねぇか。
???「久々に俺っちの出番やんけ!待たせすぎやろ!」