中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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今更その1
ズールゥとカリンってめっちゃ似てない?

今更その2
日本語版ラオルでのホドの声が透き通り過ぎててマジで可愛いこと。

コロたんになってて執筆遅れてました。コロナ中にも執筆してたから色々雑かもしれない。


猛虎強襲!

-アビドス高校-

 

「よし!これで全部かな?」

 

「フゥ…」

 

「キヒヒ、頭から…金属音が、する。」

 

ユメがピースを作り飛び上がり、シュカが魔弾のキセルをふかし、精神を整える。アユミは戦闘が少し長引いた所為か頭を壁に叩きつけている。

 

「まだ、残っているな。」

 

シュカが指を刺す。その方向には、見慣れない深みのあるワインレッドの服着て、金の装飾が施されたバッジを身につけ、背が高く気の良さそうなおじさん。レイホン。

 

「ええ闘い振りやったなぁ嬢ちゃん。」

 

パチパチと手を叩きながらレイホンは急に褒め出す。警戒心を高めていたが、僅かにそれが下がる。

 

「えっと、貴方は?」

 

「俺っちか?俺っちはな、レイホンっちゅうんや。」

 

レイホンは笑いながら自己紹介を済ませる。元々人への警戒心が0に等しいユメは完全に警戒心を解いてしまう。

 

「私は梔子ユメって言います。ここアビドス高校の生徒会長をやってます!」

 

「元気があってええな!ほうか、嬢ちゃんが生徒会長っちゅうなら話が早いわ。」

 

ユメが「?」となっていると、レイホンの目つきが鋭くなる。

 

「依頼でここを潰せ言われとるんや。退いてくれへんか?」

 

レイホンは生徒会長のユメにあくまでも対等の立場として接する。故に直ぐに戦闘するのではなく、一度だけ提案をする。

 

「ごめんなさい、レイホンさん。」

 

ユメが謝ると同時に、シュカと少し正気に戻ったアユミ、モブ達が一斉にレイホンに敵意をむき出しにする。

 

「それはできません。」

 

ユメははっきりと断った。

 

「あちゃー振られてもうたか、そんじゃあ押し通らせてもらうで?」

 

剣を腰から抜き、懐からシガーを取り出す。

 

「おい、火つけぇや。」

 

そう指示を出すと、1人のトリニティ生がライターを持って火をつける。それを深々と吸う。

 

「始めんでぇ。」

 

そう言った瞬間、レイホンの姿が消える。ユメ、シュカ、アユミだけは本能で攻撃を回避する。しかし——

 

「なんや、やっぱ3人以外は大したことあらへんやん。」

 

昇降口の前には、早々に血みどろの小さな丘が一つ築き上げられた。

 

「こいつは想像以上だな…!?」

 

「キヒ!壊し甲斐がありそうなおじさんだねぇ!」

 

アユミが前に出る。レイホンに大ぶりな一撃を放とうと後悔を振りかぶる。

 

「いい音が鳴りそう!」

 

ガァン!!

 

結果はまさかの直撃、レイホンは回避の動作すらとらなかった。理由は——

 

「え……壁?」

 

全く意味のない攻撃だったから。

 

「なんや、これで全力か?」

 

レイホンが天退星刀を振りかぶる。アユミは回避しようとするが、反応が遅れて間に合わない。

 

「させない!」

 

しかし、大楯持ちのユメがレイホンとアユミの間に割って入る。レイホンの斬撃を受け流し、大楯で弾き飛ばす。レイホンは多少驚いたのか、笑みを浮かべる。

 

「俺っちの目は正しかった様やな。嬢ちゃんがこん中で1番強いっちゅうわけや。」

 

レイホンは天退星刀を軽く振ると、ガコンという音と共に、弾をこめる部分が開かれる。そこに虎標弾を装填する。

 

「その盾は厄介や。最近は弾が楽に手に入るさかい。贅沢に使わしてもらうわ。」

 

ティーパーティに出した条件で、レイホンはキヴォトス性の虎標弾•猛虎標弾の入手が容易になった。かなり無茶使い方をしない限り弾切れなど起きないし、都市の様な莫大な税金もない。

 

つまり、キヴォトスでは親指の真骨頂である銃や弾丸での戦闘が、いつでもどこでも発揮し放題な理想の戦場である。

 

「この攻撃、受け切れるもんなら受けてみぃ!」

 

加速したレイホンの一撃はさっきのそれとは比較にならないほど鋭く重い。大楯で防御しても、衝撃を消しきれずに腕が痺れる感覚をユメは覚えた。

 

「一点だけを狙う。」

 

「タイミングが甘いで!」

 

シュカが魔弾を撃つが、レイホンに容易く弾かれる。その勢いのまま、レイホンはシュカに剣を振るう。

 

「チッ…」

 

細い銃身で受けるが、威力を殺しきれずに派手に吹き飛ばされ、背中から壁に叩きつけられる。

 

「クソ強いな…」

 

「ボーっとしとんなら首貰うで!」

 

激痛が走る体をなんとか動かし、致命の一撃を辛うじて回避する。煙管を口に咥え、息を思いっきり吸う。

 

「!?ゲホッ!ゲホッ!…肺がやられたか。」

 

煙管を吸えなければ、精神が崩れて射撃ができなくなる。肺をやられた時点で激しい動きもできない。

 

「腹を決めるか。」

 

そう言った瞬間、シュカは校舎内に姿を消した。その瞬間を見た者はいなかった。

 

「キヒヒ、私のE.G.Oは感応度上げないと無理そうだね。」

 

アユミはそう言うと、肌色に拘束具がついた様なコートと先端に鉄の塊がついた棒が変化し始める。

 

コートは腕が出されていた部分が服と一体化し、本当の拘束着の様になる。棒も服と一体化にまるで囚人の動きを制限する様な鉄塊が足に巻きつく。口にも拘束具が付き、本当に囚人みたいだ。

 

「なんや?妙ちくりんな姿になりよったな?」

 

レイホンが興味ありげに首を傾げていると、アユミが足を振るって攻撃を仕掛ける。しかし——

 

「え……嘘……?」

 

ユメが驚愕した。なぜ驚いたのか。その理由は至極単純だった。

 

攻撃の速度が遅すぎる。

 

拘束具よって頭と足以外まともに動かせない上、足も鉄塊がついているためまともな身動きが出来ていない。ユメでも見てから避けれるレベルである。

 

「おもろいなぁ!自ら不利になる奴は久しぶりに見たで!」

 

レイホンは鉄塊をものともせずに、アユミに近づいていく。それを察知したユメがアユミの近くに行きひたすらレイホンの攻撃からアユミを庇う。

 

「ク…ゥ…なんて激しい攻撃…!」

 

猛虎の凶撃を防ぐだけでも、疲労が蓄積していく。この状況をどうにかしたいと考える中、アユミがユメに叫ぶ。

 

「私の言ったタイミングで真正面に来い!そのおっさんに渾身の一撃を叩き込む!」

 

「わ、分かった!」

 

「そんな誘いには簡単に乗らへんで!」

 

レイホンは楽しむ気で満々だった。まだ相手が奥の手を残しているのだろうと察して、その一撃を受けてみたいと感じていた。レイホンはあえてアユミの正面に行きやすいようにユメを追撃する。

 

「今だ!正面に来い!」

 

「うん!」

 

レイホンが鉄塊を迎え撃つ。いくら遅いと言っても、眼前にある物は避けられないと判断し、腕で受け流そうと構えるが…

 

ドォン!!

 

レイホンの腕から振動が爆発した様な音が起きる。レイホンの腕が痺れ、動きが一瞬だけ止まる。すかさず、鉄塊がレイホンの体に叩き込まれる。

 

「潰れちまえよぉ!!おっさん!!」

 

ドォン!ドォン!ドォン!

 

地面が爆発する様な音が辺りに響き渡る。その度に砂煙が起こり、辺りは見えなくなった。アユミは勝利を確信していた。あれ程の一撃を4発も撃ち込んだのだ。ペシャンコになっているに違いないと。

 

「キヒ!これでペラペラ人間一丁上がりってか!?ハハハ!」

 

高笑いをしているアユミ。しかし、ユメがアユミに向かって何かを叫んでいる。アユミは何も聞こえていないようだ。

 

「危ない!避けて!」

 

ズブゥ!!

 

「あとちょっとやったな。」

 

レイホンの剣がアユミの体を背中から貫く。アユミは口の拘束具から血が溢れ出す。

 

「がはっ…なん…で…?」

 

アユミはその言葉を絞り出した後に、直ぐに意識を手放した。

 

「もう少し威力が高かったら危なかったで。擦り傷ついてしもうたわ。」

 

そう言ったレイホンだったが、実際には顔に申し訳程度の傷が出来た程度だった。

 

「さぁ残りは嬢ちゃんだけや。もう少しは楽しませてもらえるんやろな?」

 

ユメが息を呑み、大楯を構える。強化刺青シールが淡く輝き始める。ユメは気づいた、その時レイホンの後ろに立つシュカの姿を。

 

「まだ1人残っていますよ。」

 

「何やて?」

 

感応度を最大まで高めたシュカがレイホンの後ろに立っている。長い黒髪は逆立ち、目は魔弾の射手のように青白く、黒煙と青白い稲妻が身体中に迸り、マントを靡かせている。

 

そして一言こう呟いた。

 

「望んだものが絶望だったとしても、弾丸の向かう場所は…決まっているのさ!」

 

ズドンッ!

 

凄まじい発射音が響く。レイホンはその弾丸に反応が遅れたが、死ぬ前に培ってきた本能がレイホンを生存へと導いた。心臓を狙った魔弾は左腕を貫いた。

 

そして——

 

「クソ…外したか。」

 

ズドンッ!

 

7発目の最後の弾丸は、シュカを正確に撃ち抜いた。シュカは力なくその場に倒れ込んだ。

 

「嘘……自滅覚悟だったの…?どうしてそこまで…?」

 

絶望し口を抑えるユメ。それとは、対照的に笑みを浮かべるレイホン。

 

「格が上の者を相手するときには全力を出して戦う。嫌いやないで。礼儀をよく弁えとる。ほんまに良い攻撃やったわ。」

 

レイホンは今度こそユメの方を向く。

 

「さぁ、今度こそ嬢ちゃん1人や。」

 

ユメは未だに目の前の状況に絶望している。自分の優位性が失われたからではない。目の前の味方を守れなかった自分に対して失意を感じている。

 

「……なんや、一気にシラケたわ。戦う気もあらへん奴に刃向けても、おもろないんやけどなぁ。まあ仕事やさかい。仕方へんなぁ。」

 

レイホンが仕留めようと距離を詰める。思考の中にいたユメは反応が致命的な程遅れる。

 

「しまっ……」

 

声が出たときには遅かった。ユメの体に袈裟斬りによって大きなが傷が刻まれ血が吹き出す。

 

そのまま、腹に強烈な蹴りを叩き込まれる。

 

「がっ!!」

 

後ろに吹き飛び、昇降口の前に倒れる。辛うじて起き上がるが、流血が酷く意識が朦朧としている。

 

「こう言う時は大人しく倒れなあかんで?もう戦う気ないやろ?」

 

「ぐっ……うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

最後の力を振り絞り、大楯で吹き飛ばそうとレイホンに向かう。最後の抵抗とも呼べる一撃は——

 

「もうええわ、寝とき。」

 

爆砕斬

 

左肩から右脇腹にかけて2回の叩く様な袈裟斬り。そこから燕返しの要領で、左脇腹から右肩にかけて深々と斬り込まれる。

 

虎標弾による推進力と火によって、ユメは絶大なダメージを受けた。アビドス生徒会長梔子ユメは倒れた。ユメ自身の肉と服が焼ける様な音、匂いと共に。

 

「呆気なく、つまらん幕引きやったなぁ。」

 

レイホンはため息をはき、負傷した左腕に即席の止血を施す。

 

「まだ理事が来うへんってことは、誰かにシバかれた可能性があるなあ。ダメ元で待っとこうか。」

 

レイホンは強い奴が来ないかという淡い期待を抱きながら、自分が倒した者達で出来た残酷な丘の前に腰を下ろした。

 




今回の戦闘の具体的な実力差(レベル)

レイホンLv.83

梔子ユメ(強化刺青シール込み)Lv.63

灰谷シュカ•流川アユミLv.45 感応度最大時Lv.60

モブ達 Lv.40

親指所属トリニティモブ(ソルダードl(プリモ))Lv.30
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