中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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鏡ダンジョンでリアン以外と闘いました。個人的にヴァレンチーナとルチオが1番厄介でした。これにはボニャテッリ家もニッコリ。

リオって性格と体格以外蜘蛛の巣良秀にそっくりな気がする。
(赤目、黒髪ロング、割と全身黒)

執筆途中にマティアス隻腕だったこと忘れて両手使ってるような描写残ってるかも。一応確認はしたから大丈夫……なはず。



中指長兄

「ふぅ……もう一度、赤い点が使えそうだ。」

 

LCBチーフモーゼスが低く呟く。自身のE.G.Oから赤い煙が噴き出した。この技は強力だが、代償が大きい。肉体的な負荷はもちろん、最大のものは精神的苦痛だ。

 

ねじれ探偵になる前、深層心理に刻まれたトラウマが脳を支配する。モーゼスはそれを耐え抜き、自分の約2倍ほどの赤い円柱を掌の上に出現させた。

 

ガン! ガキン!!

 

「チ…うぜぇな…」

 

中指親方マティアスは、特色フィクサーの「黄色い銛」ベスパと剣による鍔迫り合いを続けていた。

 

LCBの囚人たちはその速度についていけず、モーゼスのサポートに回っていた。

 

そして——

 

(ここだ。)

 

「赤い点。」

 

一度避けられた赤い点を、マティアスに放つ。

 

一瞬も気を抜けない特色との斬り合い。その隙に、モーゼスによる正確無比な必殺攻撃が突き刺さった。

 

「………」

 

マティアスの胸に、大きな穴がぽっかりと開いた。表情は変わらない。即死こそ免れたが、声すら出せず、立っているだけで精一杯だった。

 

「切り裂きます。」

 

ベスパの落ち着いた低い声が耳に届いた瞬間、マティアスの頭部は両断された。

 

都市において、頭部の破壊は完全な死を意味する。

 

自分の欲求を満たすためだけに家族を持った男は、見事なチームワークと信頼で結ばれた者たちに、打ち砕かれた。

 

「…で、何処なんだここは?」

 

自分の頭をポリポリと掻きながら、マティアスは状況を整理した。

とりあえず裏路地から出ようと足を踏み出した瞬間——

 

ドガァァァァァン!!

 

「あぁ?」

 

目の前が盛大に爆ぜた。

 

スケバンとゲヘナ風紀委員会の生徒たちが、白兵戦を繰り広げている。

 

「おいおい、この場所どんだけ金持ちが住んでんだ? それに、なんで『頭』から処刑人が飛んで来ねぇ?」

 

蜘蛛の巣の親方から見ても異様な光景だった。年端もいかない少女たちが、銃を好き放題ぶっ放し、罵詈雑言を浴びせ合いながら暴れ回っている。

 

普通の都市の人間なら頭を抱えるところだろうが——

 

「…めちゃくちゃ楽しそうじゃねぇか!!!」

 

新しい“オモチャ”に目がないマティアスにとっては、未知の遊び道具がそこら中に転がっているようにしか見えなかった。

 

「フギャ!!!」

 

一人のスケバンが爆風で吹き飛ばされ、マティアスの方向へ飛んでくる。気絶した彼女の手から、アサルトライフルが落ちた。

 

「おぉ!! これ使ってみるか!!」

 

マティアスはそれを拾い上げ、気の赴くままに人影に向かって引き金を引いた。

 

ドドドドドドド!!!

 

「ハハ!! 良いなぁ!」

 

窮屈な蜘蛛の巣から解放されたせいか、テンションが異常に高い。コレクションが増えることに心躍り、無差別に撃ちまくる。

 

「な、なんだあの男! スケバンのリーダーか? いや、まずなんで大人がこんなところに!?」

 

風紀委員の生徒がマティアスの異常さに気づき、数人が捕縛に向かった。

 

「そこの大人、動くな!!」

 

「なんだ? 邪魔すんなよ、今楽しんでんだ。」

 

ビビらない大人に苛立ちを隠せない風紀委員たち。ゲヘナは元々自由気質で我の強い者たちが集まる学園だ。

 

「従わないと拘束するぞ! さぁ手を挙げて——」

 

「脅迫だな。」

 

「……え?」

 

突然ドスの効いた低い声。気づけばマティアスは紫色の帳簿に何かを書き込んでいる。

 

「俺の言い分を聞かず、勝手に勘違いして脅迫までした。罪状は四肢粉砕の後に、惨たらしく死ななければならない。」

 

左足を軽く振り、ローキックを叩き込む。

 

グキッ!!

 

「…え?」

 

小枝が折れる音とともに、右足がありえない方向に曲がり、千切れかけた。血が噴き出し、風紀委員とスケバンたちが一斉に動きを止める。

 

「は? ……はぁぁぁぁ!?」

 

絶叫しながら転げ回る生徒を、マティアスは冷ややかに見下ろした。

 

「中指に牙向いたら死ぬしかねぇ。諦めろ。」

 

グシャ!!

 

「ギャアアア!!」

 

左足も容赦なく踏み潰し、骨と肉がぐちゃぐちゃになる。

 

「次は右腕。」

 

グシャ!!

 

「あ…が…」

 

誰も動けない。痛みに耐えかねる絶叫だけが響く中、人間が最も残酷に破壊されていく姿に恐怖が広がった。

 

「次は左腕。」

 

さらに骨が砕け、肉が潰れる音が耳にこびりつく。スケバンたちは逃げ出し、風紀委員は仲間を助けようとするが——

 

「じゃ次は…いや、最後か。」

 

左足を振り上げた瞬間——

 

「………げ……で。」

 

「あん?」

 

鼻水と涙で顔をグシャグシャにした生徒が、かろうじて絞り出した言葉は——

 

「だずげ……で……ぐだ……さい。」

 

サングラス越しに無表情のマティアスが放ったのは、たった一言。

 

「ダメだ。」

 

躊躇なく足を振り下ろそうとしたその時、凄まじい銃声が響いた。

 

ドドドド!!!

 

「!? ……チッ…」

 

レーヴァテインを盾に銃弾を防ぐ。掃射が終わると、そこには長い白髪と紫の大きな角、翼を生やした小さな少女が立っていた。

 

「…今日はオフだったのに。」

 

空崎ヒナ。ゲヘナ学園風紀委員会の委員長で、雷帝にも目を付けられるほどの実力者だ。

 

「めんどくさい。早めに終わらせよう。」

 

クマのできた目を擦り、気怠げにマティアスを向く。

 

だが、次の言葉でヒナを含め全員が衝撃を受けた。

 

「……? 娘ちゃん?」

 

『……………え???????????』

 

周りの生徒たちが一斉にヒナを見る。ヒナは困惑しながら首を振り、いたたまれない様子で否定した。

 

「……いや違うな。角や翼の強化施術なんてしてねぇし、そもそも刺青がねぇ。」

 

周囲からほっとした息が漏れた。しかしヒナはマティアスの異様な風貌を観察し、一つの結論を出した。

 

「サングラス…全身の刺青…もしかして、アビドスの長姉?」

 

マティアスがピクリと反応する。

 

「お? こんな所にも俺と同じような家族がいるのか? それなら、今度会いに行ってやらねぇとな。」

 

(違った? いえ、関連性はあると見て良さそうね。)

 

「そんでだ。……お前、俺に向かって銃を乱射したな?」

 

空気が一気に重くなる。生徒たちは再び動けなくなり、ヒナ自身も冷や汗が流れるのを感じた。

 

「銃と正体不明の施術で中指長兄の命を脅かした罪で……即決処刑だ。」

 

言葉の直後、マティアスの足元が爆ぜ、圧倒的なスピードで飛び蹴りがヒナの目前に迫った。

 

「な……!?」

 

ギリギリで銃を間に挟むが——

 

ドーン!!

 

凄まじい威力で、ヒナは建物を破壊する勢いで後方に吹き飛ばされた。

 

マティアスはわずかに笑みを浮かべる。

 

「他の奴よりは多少固いな。少しは楽しめるかもな。」

 

土埃の中から影が飛び上がり、上空で銃を構える。

 

「そんな細い翼で本当に飛べるんだな!!」

 

マティアスが嬉しそうに呟くが、ヒナは心底呆れたようにため息をついた。

 

「さっさと倒れて。」

 

ドドドド!!!

 

再び弾き返すマティアス。

 

「ハハ! もっと撃ってこいよ! その程度は直ぐに!」

 

跳躍し、ヒナの頭上で片腕で拳を振り下ろす。

 

「壊しちまうぞ?」

 

……が、スカッ。

 

「あぁ!?」

 

外れたことにマティアス自身が驚く。ヒナの空中機動が予想以上に高かった。

 

マティアスは自由落下し、着地に失敗して地面に叩きつけられた。

 

「イッテェな。クソ——」

 

「はぁ!!」

言い切る前に、ヒナが直下降りで腹に蹴りを叩き込む。上空からの速度と力強さが合わさり、地面が脈打つように揺れた。

 

ガシッ!!

 

「!?」

 

「効いたぜ。良い蹴りだ。」

 

マティアスは常人ではなかった。戦いの才能による、「心」や「望」を使えなくとも、根性と鍛錬だけで培った強靭な肉体と経験が彼を支えていた。

 

呆気に取られるヒナの足を掴み、持ち上げる。

 

「体重は見た目通り軽いな。だからよ!!」

 

ドガンッ!!!

 

「ぐ……う…」

 

地面が割れる強さでヒナを叩きつける。 

 

ドガンッ!

 

何度も。

 

ドガンッ!

 

何度も何度も叩きつける。

 

「ハハ。どうだ?まだ生きてるか。」

 

ヒナは頭から血を流し、全身打撲を負った。もちろんこれはヒナだからこの程度で済んでいるだけだ。そこら辺の一般生徒なら凄惨な肉餅となってバラバラ死体になっていることだろう。

 

「しっかし本当に頑丈だな。やっぱ白を気にいる奴にハズレはいねぇってこった。」

 

ハハッ!と短く笑うマティアスに依然周りは戦慄していた。ヒナが何もできずに一方的にやられた事実は、加勢しようという心意気を自滅させるには十分過ぎるほどだった。

 

「さて、まずは翼でも千切っておくか?」

 

ヒナをうつ伏せに倒し、背中を踏みつけ地面に固定する。そして——

 

ミシミシッ!!

 

「う………ああああああ!!!」

 

翼が軋む音と苦痛に悶えるヒナの声があたりに響く。誰も動こうとしない。いや動けない。ヒナの翼がもがれるのをこのまま見つめることしかできない。

 

「俺達は仕返しするまで忘れねぇ。それがどんな小さなことでもな。」

 

そのままマティアスが翼を千切ろうとした瞬間——

 

ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!

 

「!?」

 

マティアスの本能が警鐘を鳴らし、即座にヒナから離れる。その場には、1人見慣れない少女が立っていた。

 

「はぁ、全く血の気の多い連中は困る。常に店を1人で回してるってのに。」

 

不貞腐れたような顔でマティアスを見る少女。その雰囲気は異様、都市とはまた別の黒い何か。だが、完全な黒ではない何か。

 

「…テメェ。何もんだ?」

 

その問いに少女は端的に答えた。

 

「少し珍しい物を売ってだけの子供だよ。」

 

歪な笑顔貼り付けられた服と歯がついている黒いハンマーを持っている姿は誰の目から見ても気味の悪い物だった。マティアスにとってもそれは変わらない。

 

「そうか。それと、お前も俺の命を脅かしたな?そこの女と同じく、即刻処刑だ!」

 

「やれるものならやってみてよ。まぁ、できないと思うけど。」

 

今ここで、中指親方と謎の少女の戦闘が始まろうとしていた。




9.5章やって思ったこと

※9.5章の割と致命的なネタバレを含む可能性があるのでまだクリアしてない人は見ないことを推奨します。




















キラが思ったより曇ってなかった。
アラヤ可愛すぎ問題。
カリスト身内に対して口悪くね?(マティアスがやったことに関してはまぁしょうがないとも言える。)
やっと人差し指遂行者敵として出てきたよ。
大湖の裏口のところでリカルドが出てきて欲しいと願ったの自分以外もいる。
ルフォのデザイン癖丸出しでは?(テキストに彼ってあったけどあれミスかな?)
キラの腹筋の陰影と傷が凄くエッ…
階段登った所の部屋が完全にローランの部屋すぎてやっぱ指令ってクソだなと思いました。
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