中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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スーパーウルトラ難産だった回。マジで文を形にするのに時間がかかりました。お待たせしました。

L社職員八雲さん誤字報告ありがとうございます。ついにL社の職員にも誤字報告されてしまった。ちょっとコギト取り込んできます。カリストが援護防御する時の優雅な笑い声好き。


閉場 - 設置美術試作品「犠牲となったあなた方の骨肉と神秘の二重奏」

「マエストロ様。もうすぐ作品が出来上がりそうね。」

 

 アルビナは笑みを浮かべながら、新姿になったファシアを振い続ける。装甲がなくなり、軽量化したアルビナは先ほどより苛烈にコノカ達を攻め立てる。

 

「く…この!」

 

 銃の柄を当てようとするが、アルビナにギリギリのところで躱される。ここで、突然アルビナが動きを止め、ファシアを地面に突き刺す。

 

「ファシアが飢えているわ。貴方の内面を貰うわね。」

 

 その瞬間、片腕を鋏に変化させアルビナは跳躍する。弧を描くような軌道でコノカの頭上を通過する。

 

「え?」

 

 標的はコノカの後ろにいた腹に傷を負ったヴァルキューレモブ。

 

グシャリ!!

 

 コノカと他のモブが反応する間もなく、傷ついていた鳩尾に深々と鋏が突き刺さる。そして、そこから一切の躊躇なく、そのモブの腹から胸を引き裂く。

 

「表皮はとても硬いけど、内面は柔らかいのね。横隔膜も綺麗…貰っていくわ。」

 

ガシッ!ズシャア!!

 

 モブの体に腕を突っ込み、肉を掴む。それを強引に引っ張って千切る。

 

「うふふ。ファシアも美味しそうにしてる。」

 

 グチャグチャと音を立てながら、ファシアに肉片が吸収されていく。その度に脈動は増し、ファシアが強力になって行く。

 

「……こ……の!」

 

 モブは一矢報いるために銃を撃つ。アルビナはファシアばかり見て油断していたのかそれが、左目の部分に命中する。それと同時にモブが倒れる。

 

「…!痛いじゃない…」

 

「今だ!たたみかけろ!」

 

 モブの犠牲を無駄にしまいとコノカ達が総攻撃を仕掛ける。しかし、そこに割って入る影が一つ。

 

「ヴァンダリズムはお断りです。ご不満があるなら館長であるこの私に!」

 

 カリストがカンナとその他を振り切り、アルビナを援護する。コノカ達は巨大になったティビアに薙ぎ払われ、壁まで吹き飛んでしまう。

 

「アルビナ、油断しては行けませんよ。都市の銃弾とは違い、粉砕弾ではありません。貫通力が桁違いですから。」

 

「はいマエストロ様、ありがとうございます。」

 

 そこにカンナ達も合流する。吹き飛ばされたコノカ達を見て、カンナとその他はさらに顔を怒りに歪める。

 

「貴様…!」

 

「申し訳ありませんカンナさん。弟子の窮地だったもので、話の途中で離れてしまいました。どこまで話しましたか?」

 

「貴様の妄言など一切聞いていない!!!」

 

 凄まじい怒声がギャラリー内に響き渡る。しかし、カリストは全く構わないといったように続ける。

 

「では、もう一度最初から話しましょう。私達の作品は血と肉で構成される身体派という流派です。」

 

 ところ構わず、自分の美学について語り始める。本来なら今すぐにでも突っ込んで蹴散らしたいが、アルビナの存在が気掛かりで下手に手を打てない。

 

「人間はそのままだと無駄な装飾が多すぎるのです。つまり、人の肉体の内面が美しい部分であると考えています。その肉体を削ぎ落とし加工することで初めて美しさが現れるのです。」

 

 アルビナは頷いているが、他の面々は到底理解できないと顔を顰める。

 

「私とこのアルビナも元はただの人です。しかし、死が訪れる瀬戸際まで自らの肉体を削り取りました。私はティビアを、アルビナはファシアを作りました。私達の肉体で作った傑作と言っても過言ではないでしょう。」

 

 だからあなた方の内面で美しい作品を作り、あなた方本来の美しさを表面化させる。カリストの言葉はこれを意味していた。

 

「ハ、ここまでの狂人だったとは。ますます、作品になる訳にはいけなくなってしまったな。」

 

「カンナさん。平凡なだけの発想からは美しい作品は生まれませんよ。」

 

 その会話を皮切りに、薬指親子とヴァルキューレ残りの戦闘が再び始まった。しかし、かたやマエストロ、その弟子では自力と戦闘経験が違いすぎた。

 

 また1人また1人と身体を死なない程度に破壊され、骨肉と神秘の塊として散らばって行く。

 

 ついには、そこに立っているのは実力のあるカンナ、コノカ、他5名ほどのヴァルキューレ生徒となっていた。

 

「クソ……まさか、ここまで傷を与えられないとは。」

 

「いいえ、素晴らしい成果だと思いますよ。この長時間でまだ7人も辛うじて動ける人がいるのですから。」

 

 ですが、と付け加えるとカリストの義手がカンナの首にのび、がっしりと掴む。

 

「が……!ぐっ…!!」

 

「そろそろ時間ですので、そなたを私の作品として加えることにいたしましょう。」

 

 ギリギリと音を立てて、首が絞められていくのを実感させられる。カンナも振り解こうと手と足で抵抗するが無駄な体力を消費するだけで、より絞殺の苦痛が高まっていく。

 

「姉御!!」

 

 コノカが怒号を上げながら銃を放つ。しかし、アルビナがその弾丸を全て防御する。銃だけではどかせられないと判断し、アルビナに迫る。

 

「ヴァンダリズムはお断りよ。さっき言ったでしょ。邪魔は駄目。」

 

「どけぇぇぇ!!」

 

 次々と追撃仕掛けるコノカ達だが、感覚の研ぎ澄まされたアルビナとファシアはその全てを完璧に捌く。

 

「そろそろ、仕留めさせてもらうわね。」

 

 いつの間にかアルビナの体の周りに白い霧のようなものが、アルビナ自身に集約し始めているのに気づく。その危険性に気づいた瞬間に、まさに鶴の一声が掛けられる。

 

「アルビナ。身体派の芸術をお見せする時ですよ。」

 

 マエストロの檄により、アルビナの気持ちが昂る。また腕を巨大な鋏に変える。

 

「今度こそ完成させるわ。マエストロ様に認められるマスターピースを…!」

 

 その瞬間、コノカの視認が難しいほど身軽で俊敏な動きを見せる。コノカが見えない即ちそれはカリストとカンナ以外が見えないことを意味する。

 

(避けきれない!)

 

 コノカは辛うじて致命傷を回避。しかし、その周りにいた生徒は全て血を流すだけの肉に変えられる。コノカも無事ではない。血に塗れた床に倒れ伏し、確実に命の灯火が消え掛かっている。

 

「コノ……カ……」

 

「友情……素晴らしいですね。これでより、完成に一歩近づきました。さぁ、貴方にも時が来ました。このまま、絞め切らせていただきます。」

 

 よりいっそう首を絞める力が強まる。ついに、体の力が抜け始めてきた。それを分かったカンナは最後の手に出る。

 

グ…!

 

 拳を握りしめて、右腕を振り上げる。それを見たカリストは愉快そうに声を上げる。

 

「まだ抵抗の意思があるのですか。それは彼女達のためですか?そなたは本当に良い作品になりそうですね。さぁ、好きなだけどうぞ。」

 

 そのまま右拳をカリストの上腕に叩きつける。その瞬間、カリストは驚愕することになる。

 

ガシャン!!!

 

「!?これは…!」

 

 カリストの腕の義手が破壊された。一瞬だけ、怯んだ隙に回し蹴りを顔面に叩き込み、カリストを吹き飛ばす。アルビナもまさか壊されるとは思わず、呆気に取られてしまった。

 

 その隙を付き、コノカを回収して入ってきた白い扉を目指す。それを見たカリストが吹き飛ばされた場所から凄まじい速度で迫る。

 

「お待ちください!」

 

 カリストがティビアを突き出す。しかし——

 

ドォォン!!

 

 カンナは逃げながら、ピンを抜いた手榴弾を上に投げていた。それは完璧なタイミングで爆発し、カリストを妨害しつつカンナ達が通りすぎたタイミングで崩れた瓦礫が扉を塞いだ。

 

「そんな…せっかくの良い材料が…心からの感想もまだ聞くことすらできないだなんて…」

 

 カンナとコノカを逃してしまったことにカリストはひどく悲しんだ。

 

「いいえ前向きに考えましょう。これほどまでに作品の材料が手に入りました。まだ神秘に関する知識は、成熟というには程遠い。少しずつ学んでいきましょう。」

 

 気持ちを切り替えようと独り言を呟き続ける。それは、自らが退屈と断ち切ったはずの怒りという猛烈な感情を理性的に抑えているように見える。

 

「それでは、残ったヴァルキューレ生徒の皆さん。犠牲となったあなた方の骨肉と神秘が二重奏となり、作品となります。」

 

 カリストは倒れている生徒を拾い上げ、作業台の上へのせる。

 

「アルビナ。この方達を使って、合作などはいかがですか?」

 

 アルビナは一言。

 

「はい。お願いいたします。」

 

 そう答えただけ。

 

「閉場の時間となりました。それでは、お達者で。」

 

 その言葉から作品作りは開始された。生徒による数多の悲鳴と苦痛によって織りなされる絶叫という名のメロディーは、カリスト、アルビナを除いて聴き届くことはなく、ただただ白い部屋の中で木魂するだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

—白い扉から少し離れたところ—

 

 

 

 

 

 

 

「コノカ…生きているか?」

 

 その言葉に、コノカは全身を軋ませながら辛うじて起き上がる。

 

「はい何とか。姉御こそ全身傷だらけっすよ。それに首の傷も…」

 

 満身創痍の2人は、その場に生きて帰れたことが全く幸運だったと息を吐いた。

 

「姉御…なんであのイカレ野郎の義手を破壊できたんですか?あたしが攻撃加えてもびくともしなかったんですけど。」

 

 カンナは少したじろいだ後、当然の疑問かというように腕をまくる。

 

「ちょ…それ、刺青っすか!?何やってんすか!」

 

「違う。これはシールだ。最もこれのおかげで不意をつけた。」

 

 カンナが使っていたのは、中指強化刺青シール-長姉だった。以前バイトで暴れて再三御用となっていたアマリアから詫びも兼ねて何枚か貰っていたものである。

 

「あの大姉御のものだったんすか。そりゃ破壊できますわ。それより、報告はどうします?中にまだ取り残された人が何人も…」

 

「もちろん救援要請はする。上と掛け合って、ヴァルキューレの大半の戦力をこっちに回してもらう。もしくは、外部から直接的な協力をしてもらう必要がある。」

 

 カンナの言う通り、カリストの危険度は既に一般生徒で対処できるレベルではない。例えるなら、都市でいう都市の星にまで引けを取らないレベルと言っていいだろう。

 

「それに…これだけでは終わらない。」

 

 カンナは拳を握りしめる。その血に塗れた拳からさらに多くの血が流れるほどに。

 

「これだけのことをされて黙っていられる訳がない。ヴァルキューレの生徒として必ず奴を捕える。」

 

 コノカはそれを見て、黙って頷く。コノカも同様の気持ちが一点の曇りもなく存在していたからだ。これにより、薬指と事件は一旦幕を引かれたが、行方不明になり続ける生徒は後を絶たなかった。





アンケート良秀1人が圧倒的だと思ったら女先生と良秀の方が票多くて笑った。

キムサッガッニキ寡黙過去激重お兄さんかとおもったら、おふざけ無気力過去もっと激重お兄さんだった。エンドゥがヤンデレしてて怖い。けどなんか前より可愛くなってる気がするんだよな。

-追記-
明日の昼12時でアンケートを締め切ります。その時、1番多かったものを採用します。

原作開始時の先生は?

  • 良秀、お前が1人で先生になるんだよ!
  • 良秀と男先生
  • 良秀と女先生
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