中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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良秀式略語むずい。これできる人マジ凄いと思う。



殺伐とした再会

「リアン……!」

 

良秀の中に、愛憎が激しく渦巻いた。

 

 幼少期にお世話になった記憶と、大人になってからの復讐対象としての憎悪。相反する二つの感情が、彼女を苦しめていた。

 

「愛しい娘。そう睨まないでくれ。俺はもう蜘蛛の巣の一員ってわけじゃないんだ。」

 

 その言葉に、良秀は内心で「そうだろうな」と思った。

 

「はっ、指令に与えられたことを全うできなかったのか? 指令だけのお前が、随分と滑稽じゃないか。」

 

「……言い返せない分、余計にここに来るな、娘。少し前の時より、ズキンとしたよ。」

 

 二人の会話に、生徒たちは割って入ることができなかった。

 

 リアンが「娘」と呼んでいることから親子関係かと思ったが、険悪な空気に言葉を挟めないでいた。

 

『えっと……二人は親子なんですか?』

 

先生だけが気まずそうに尋ねた。

 

 雰囲気から穏やかでないのは分かっていたが、聞かずにはいられなかった。

 

ピピピピッ。カチッ。

 

 リアンが無造作に端末を取り出す。指令の文字が浮かび上がった。

 

『ヨシヒデとの関係を言うこと。どこまで話すかは自由とする。』

 

 リアンは神妙な面持ちで先生に向き直った。

 

「君が先生とやらかな? 質問の答えだが、俺と娘は血の繋がっていない、所謂義理の親子ってところさ。少し荒っぽいかもしれないが、娘の同僚となるなら、是非とも親交を深めて欲しい。」

 

「……チッ。」

 

『そ、そうなんだ。そ、そうだ! なんか思い出話なんか——』

 

「うるさい。もう喋るな。」

 

良秀の一言で先生の言葉が遮られた。

 

先生は軽率だったと内心で反省した。その後、良秀は踵を返したように指示を出す。

 

「さっさと行くぞ。こいつは恐らく、その場所とやらに向かうまで護衛としてついてくるんだろうから。」

 

「少し違うが、大方正解だよ、娘。」

 

その後の戦闘は比較的簡単だった。

 

 先生の正確な指示のもと生徒たちが綻びを作り、リアンと良秀が鬼神のようにその綻びを崩壊させていく。戦車も不良生徒も、次々と破壊されていった。

 

「先生のお父様、大剣で戦車を二等分にしてたんですが……本当に人間なのでしょうか?」

 

『ハスミ、それはちょっと失礼だよ? まぁ私もびっくりしたけど、人間ではあると思うよ。……多分。』

 

 先生も確証が持てていない様子だったが、気がつくと一行はシャーレのあるビルの前に到着していた。

 

「着いたようだな。ここまであっさりだと、物足りないどころか呆れてくるな。」

 

「お前は1発右腕に食らってるじゃないか。」

 

良秀がキッとリアンを睨む。

 

「ハハ……13歳のとき、初めて本気で怒られたことを思い出すな。あの時——」

 

ブシュュッ!

 

 嫌な音を立てて、リアンの仮面から血が漏れ出した。

 

 良秀以外の面々は、その突拍子もない出来事に凍りついた。

 

ジュュュ……

 

 リアンが仮面に手を当てると、肉が焼けるような音を立てて出血が止まっていく。

 

「……どうやら、少し発言が過ぎたようだね。阿頼耶識の気に触ってしまったかな?」

 

カランッ!

 

 阿頼耶識が一人でに怒ったように揺れた。それを良秀が撫でて制する。

 

「……フ、少しだけ気分が晴れたぞ。まだその傷に苦労しているなんてな。」

 

「あぁ、この傷は一生消えないだろうね。」

 

リアンはそっと自分の仮面を撫でた。

 

「でもな……娘。これだけは信じて欲しい。」

 

 真剣な眼差しで良秀を見つめる。それは、愛娘を見るような慈愛に満ちた目だった。

 

「俺は、娘の親として……お前のことを愛し続けていることを。」

 

周囲の生徒たちは息を呑んだ。

 

 その真剣さが、痛いほど伝わってきたからだ。しかし——

 

ね•い(寝言は寝て言え)。指令だけのお前の言葉を信じるとでも思うか?」

 

空気が地獄のように気まずくなった。

 

 側から見れば、再会を喜ぶ父が娘にキレられている、どころではない光景だった。

 

(ど、どうしたものかな。この空気の中、生徒達は動けないだろうし、よし! ここは私がどうにかして場を和ませないと!)

 

 先生が決意した瞬間、リンのホログラムが声を上げた。

 

「先生。今、この騒ぎを巻き起こした人物が判明しました。」

 

 先生の思惑は見事に空回りしたが、今はそんなことを気にしている暇はなかった。

 

 この騒動の首謀者は「狐坂ワカモ」という生徒だった。

 

 百鬼夜行連合学院を停学になった後、矯正局に収監された「厄災の狐」。脱走ついでに今回の事件を引き起こした危険人物だという。

 

「数々の破壊行為を行ってきた危険人物です。くれぐれも注意してください。」

 

 

 

 

 

 

——シャーレ部室付近——

 

 

 

 

「あらら、連邦生徒会の方はまだ来ていないみたいですね。フフ……まぁ構いません。」

 

 不敵に笑うのは、七囚人の一人——「厄災の狐」ワカモだった。

 

「あの建物に何があるかは存じませんが、連邦生徒会が大事にしているものと聞くと……」

 

 銃を握りしめ、仮面の下で破壊衝動が渦巻いていた。

 

「壊さないと……気が済みませんね。」

 

フフフ……と笑いながらシャーレに向かうワカモ。しかし彼女は知らなかった。

 

ジャラジャラ……

 

「そこにいるのか?ヨシヒデ。」

 

 ワカモのいるさらに遠くから自分など霞んで見えてしまうほどの「災厄」が、すぐそこまで迫っていることを。

 

 

「ようやく着きましたね! 先生方!」

 

 ユウカが良秀と先生に向かって明るく声をかけた。

 

 先生は『良かったぁ……』と胸を撫で下ろしたが、良秀はまるで物足りなそうな仕草を見せた。

 

「フン、銃を使ってこの程度とは……よっぽど武器に甘えてる証拠だな。」

 

 良秀が悪態をつくが、先生が穏やかに言葉を返す。

 

『私は、銃を上手く扱えていないことは悪いことじゃないと思うよ。それは少しだけでも平和だったっていう、何よりの証じゃないかな?』

 

その言葉に良秀はため息をついた。今度はリアンも、諭すように言った。

 

「娘。ここは俺たちのいた都市じゃない。銃の扱いは置いておくにしても……戦闘が雑なのは至極当然じゃないかい?」

 

 良秀は何も言わず、ただ黙って歩いていた。リアンの言葉を聞きたくない気持ちもあったが、胸の奥に小さなざわめきを感じていた。

 

『みんな、前から戦車とか色々来てるよ!』

 

先生の声で全員が前方に目を向ける。

 

 トリニティから違法に譲渡された戦車と、不良生徒たちがワラワラと現れた。

 

 先生の的確な指揮のもと、再び戦闘が始まる。その最中、不良生徒たちの塊の中心に異様な存在がいた。

 

 火縄銃のようなデザインの武器を持ち、和服に狐面を着けた生徒——狐坂ワカモだった。

 

「あら、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛いこと。」

 

 いきなりの挑発に、真っ先に飛びかかったのは良秀だった。

 

ガンッ!

 

 鞘から抜かない刀を振り下ろすが、ワカモは銃身で軽々と防御し、いなし続ける。

 

「フン、少しはできるようだな。」

 

「あら? あなた、外から来た大人ですか? フフ……面白いですね。」

 

良秀の背筋に一瞬の悪寒が走った。

 

 しかし攻め手を緩めるわけにはいかず、即座に追撃する。

 

「フフ……甘ちゃん、ですね。」

 

 今度はさっきとは違い、いとも簡単に弾き返されてしまう。

 

「人の大人を壊すというのは、どんな感触なのでしょうか?」

 

 ワカモが銃身を振り下ろそうとした瞬間、リアンが割り込んだ。

 

「迂闊だよ、娘。」

 

「チッ……余計なことを。」

 

「そういうな。それに、ここにあの時計はいないんだろう? なら、極力負傷は避けるべきだ。」

 

 リアンは良秀を庇いつつ、バスターソードでワカモを弾き飛ばした。

 

「全く、邪魔ばかりしてくださいま……す……ね………」

 

ワカモの言葉が徐々に緩慢になっていく。

 

自らを吹き飛ばした相手の顔を見て——

 

「あら?」

 

一瞬で!

 

「あらあらあら?」

 

光もびっくりな速さで!!

 

「し……し、失礼しましたぁー!」

 

一目惚れした!!!

 

 そしてリアンもびっくりする速さで逃げ出した。

 

この間、わずか7秒の出来事だった。

 

「………娘。こういう時、どんな顔をすればいいか、俺にはわからないんだ。」

 

「知らん。勝手にやってろ。」

 

『笑えばいいと思うよ。(ヤ ケ ク ソ)』

 

 誰もこの状況を理解できず、立ち尽くしていると——

 

ドンッ!

 

 鈍い音と共に、何かがこちらに向かって吹き飛んできた。

 

「今度は何よ!!」

 

 ユウカが大声を張り上げる。全員が吹き飛んできた物体を見る。

 

「な、なぜ……ワカモが吹き飛んでくるのですか……!」

 

「信じられない……もう姿は見えないほど遠くに逃げて行ったはずなのに。」

 

 先ほどリアンに一目惚れしたワカモが、凄まじい勢いで飛んできていた。

 

先生と良秀が慌てて駆け寄る。

 

『な、なにこれ? まるで鈍器で思いっきり殴られたような痛々しい痣になってる……!』

 

先生は痛々しさのあまり口元を押さえた。

 

 ワカモの腕には一本の線状の大きな痣ができ、右頬が腫れ上がっていた。

 

「……おい、リアン。質問に答えろ。」

 

ピピピピピッ。

 

 良秀が問い詰めようとした瞬間、リアンの端末が鳴った。

 

「質問に答えよ。ただし2回まで。期限はワカモを吹き飛ばした者が現れるまで。」

 

「いいだろう、娘。2回までなら答えられる。」

 

「1つ目だ。俺たち以外にも都市から来ている奴がいる。それは蜘蛛の巣以外にも限りなくいる。そうだな?」

 

「あぁ、合っている。俺たち以外にもこの地への来訪者がいる。」

 

 良秀は小さく頷いた。

 

「2つ目だ。今からこっちに来るアイツを、こいつらを守りながら撃退できるか?」

 

リアンは少しの間、押し黙った。

 

 彼でさえ即答できないほど難しい問いだった。

 

「……厳しいな。俺の予想通りの相手だとしたら、少なからず重症者を出してしまうだろう。」

 

リアンは続けた。

 

「娘。その守る者にお前も片足を入れているところを、しっかり自覚しなさい。」

 

良秀は軽く笑い飛ばした。

 

「困難に打ち勝つことこそ、また美しいものだ。」

 

その言葉が終わらないうちに——

 

ジャラジャラ……

 

 大剣を背負った大柄な男が、ゆっくりと姿を現した。

 

「おぉ! やっぱりヨシヒデか! この左腕が傷んだから行動して正解だったな。」

 

 中指の親方——マティアスが、その姿を現した。

 




勉強しなきゃ行けねぇのはわかってるんだけどよぉ…手が止まらねぇんだ。

原作開始時の先生は?

  • 良秀、お前が1人で先生になるんだよ!
  • 良秀と男先生
  • 良秀と女先生
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