中指長姉はキヴォトスに転生する   作:HAL86

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結構期間が空いてしまいました。申し訳ない。テストやら射影戦闘やらが忙しかった故、許してクレメンス。そして射影レイホンお前は2度と面見せるな。ムルホンの超絶猛虎でぶっとばしてやっただけありがたいと思え。あ、HARDはしっかり18ターンで倒しましたよ?4000字で済ませるつもりが5000字近くなっちまった。


よりょしゅく!①

「娘を送り出せた。あとは俺がこの場を繋ぐだけだな?」

 

 リアンはビルの中に消えていった2人の背中を見る。その目の前には、先ほどまで怒りに満ちていたマティアスがいた。しかし、リアンという強敵を前に今は興奮を抑えきれぬ様子だった。

 

「さて、お前が相手と言うことだ。ラッピングの一つでも剥がしてやらねぇとな!」

 

 レーヴァテインを力任せに激しくリアンに振るう。振るう度に、金属が激しくぶつかる音があたりに響く。

 

パキンッ

 

 小さな割れた音と共に、レーヴァテインの夕焼けの様に輝く刀身が顕になる。その熱はリアン達に伝わるほど強力であるが故、周りの空気が一気に緊張する。

 

「や、やっぱり只者じゃ無いわね。あの大人。」

 

 ユウカがリアンの後ろから援護するように銃を撃つ。

 

「チッ、邪魔クセェな。」

 

 ユウカのSMGを刀身を盾にガードすると、リアンの攻撃が速攻で飛んでくる。

 

「手斧で肋骨を砕くときは…」

 

 リアンの手斧がマティアスの骨を砕こうとするとき、一瞬で剣を地面に突き刺しリアンの腕を掴む。

 

「捕まえたぜ?吹き飛べ!」

 

 そのままリアンに腹下し蹴りをお見舞いする。ドンッ!と空気が破裂する様な音がして吹き飛ぶ。

 

「…ッ!やはり元は長兄。そう簡単にはいかないか。」

 

 ケホ、と咳払いしてからカドゥケウスを構え直す。

 

「七。あと二つ。引き続き援護を頼むよ。娘の生徒達。」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

-場面は変わり、良秀と先生へ-

 

 

 

 

 

 

 

 

 先生はパスワードを入力した後、目の前がホワイトアウトした。意識の繋ぎ目が徐々に失われていくのを肌で感じた。

 

 良秀も同様に感じていたが、彼女はもっと深く全ての意識を奪われていくと実感していた。

 

 

-???-

 

 先生と良秀は目を覚ますと全く心当たりのない場所にいた。目を開いたとき、煌びやかな陽光が目の網膜を貫いてくる。

 

『!…ヨシヒデ先生、起きてください。』

 

 先生の横で良秀が横たわっていた。彼女は目を覚まさず、こんこんと眠りに落ちいている。それに、いくら起こしても小さな寝息を立てるばかりで一切起きる気配がない。

 

「起こしちゃダメだよ?まだ、ここでは目を覚ませないから。」

 

 先生の後ろから、少女の声が聞こえてくる。そこには、青い着物に身を包み、黒髪に青のメッシュが入った様な髪をしていた。

 

『き、君は?ここは一体どこ?どうして君はここに?』

 

 先生が質問をし続けるが、少女は困ったように手を前にやる。

 

「ちょ、ちょっと待って。一個ずつ一個ずつ説明してもいい?」

 

『あ……ご、ごめん。私としたことが、焦っちゃって。』

 

 先生は自分がしたことを謝罪する。しかし、目の前の少女の仕草を見た通りやっぱりいたいけのない少女なのだとはっきりわかった。

 

「まずは最初の質問から答えるね。」

 

 そういうと少女は手を差し出して自己紹介を始めた。

 

「よりょしゅく!これはおかあさんが「おはつよろ」は嫌だって言ってたからわたしが作ってあげたあいさつなんだ。りょうしゅうだから、よりょしゅく!わたしはアラヤっていうんだよ!」

 

 ニコニコとこっちまで笑顔になってしまう様な明るい笑顔でピースをしながらこちらに言った。

 

『そのよりょしゅくって挨拶いいね!きっとお母さんは君のことを大切に思ってたんだね。』

 

「うん!だからね、これからおかあさんをよろしくね!」

 

『任せてよ。君のお母さん…待って、なんで私が君のお母さんの知り合いみたいな…』

 

 先生はふと良秀の方を見る。まさかと思って口に出してみる。

 

『も、もしかして…君のお母さんって、ヨシヒデ先生のこと?』

 

 それを聞いたアラヤはむっと頬を膨らませてこっちを見た。

 

「その呼び方はかわいくないよ!おかあさんのことは良秀って呼んであげて。」

 

 気づいていなかったことに怒ると思ったが、どうやら名前についてだったようだ。

 

『わ、わかったよアラヤちゃん。今度からは良秀先生って呼ぶね。』

 

 そう聞くと、ムフーと笑顔になったアラヤが話を続ける。

 

「次はわたしがここにいる理由について話すね。…だけど、ごめんね。まだちょっと言えないんだ。」

 

『それはどうして?お姉さんがまだ信用できないからかな?』

 

「うー…言えないものは言えない!」

 

 プリプリと怒るアラヤを宥めるために、先生はかなりの時間を要した。

 

 

 

 

——————————————————————

 

 

 

 

「おかあさんが起きてないのは、まだこの空間に馴染めていないから。それだけしか教えられないよ。」

 

『うん。充分だよ。ありがとうねアラヤちゃん。』

 

 フフッと笑って返答する先生。アラヤもそんな先生を悪い大人だとは思わなかった。

 

「じゃあ、わたしと一緒の場所にいるもう1人に挨拶してね!そこにいるよ!」

 

 アラヤが指を刺した方向を見ると、また別の少女が机に突っ伏しているのが見える。

 

「ZZZ…ZZZ…苺ミルクは…うへへぇ…ZZZ」

 

 さっきの会話を聞いて、起きてないのは少々疑問だが、とりあえず起こすことに決めた。

 

『アラヤちゃんもこの子起こすの手伝ってくれないかな?』

 

 先生は振り返ってアラヤに助けを求める。しかし——

 

『……アラヤちゃん?』

 

 アラヤと呼ばれる少女の姿は影も形もなくなっていた。しかし、自然と良秀の抱いている刀に目を惹かれる。まるで大丈夫と言ってるようなそんな気がした。

 

『この子は一体…』

 

 先生が少女の頬を指でつつく。プニプニしていて指が跳ね返ってくる様な感覚だ。しかし、少女は起きる気配がない。

 

『アータタタタッ!!』

 

 余りにも起きないので、先生が暗殺拳の伝承者ばりの勢いで頬をつつき始める。百烈拳ならぬ百烈つつきである。

 

 5秒ほどやり続けると、少女がゆっくりと目を開ける。

 

「んにゃぴ…?ありゃ?」

 

 少女は目を覚まし、少し間を置いたと思ったら急に慌て始めた。

 

「え?あれ?あれれ?こ、この空間になんで人が…まさか、先生!?」

 

 どうやら寝坊していた様だ。すぐに自己紹介が始まった。彼女はアロナ。この「シッテムの箱」に常在しているメインOSらしい。

 

『よろしくね。アロナ。』

 

「はい。よろしくお願いします!そちらの先生も…あれ?寝ていますか?」

 

 アロナは良秀へと目をやる。良秀は未だ寝息を立てており、目を覚ます兆しがない。

 

『ごめんね。良秀先生は、この空間に馴染めていなくて起きられないって言ってたよ。』

 

「なるほど。確かに…え?先生、それを誰から聞いたんですか?」

 

『アラヤって子がさっきまでそこにいたんだよ。アロナのお友達じゃないの?』

 

「……アラヤ?」

 

 アロナは首を傾げた。本人に心当たりがない様で先生はそれ以上の詮索をやめた。

 

「先生!アラヤという方は後に調べるとして、生体認証を行いましょう!そちらの良秀先生と一緒に。」

 

 アロナが指をこちらに向けてくる。指紋が必要な様だ。良秀と共に片手ずつ人差し指を付ける。

 

(んー?…よく見えないかも。まぁこれでいいですかね。)

 

『心の声バッチリ聞こえてるよ。』

 

「うえぇ!?だ、大丈夫ですよ。これなら…はい、できました!」

 

 最後だいぶ投げやりな気がしたが、取り敢えず良しとした。アロナは少し不機嫌になったが、宥めるとすぐに上機嫌になった。その後、経緯を全て話した。

 

「なるほど。かなり大変だったんですね。連邦生徒会長については分かりませんが、サンクトゥムタワーの問題は私で解決できそうです。」

 

『本当!?じゃあよろしくね、アロナ。』

 

 アロナは元気よく返事をした後、作業に取り掛かった。数秒したあと、アロナが目を開けニコッと笑いながらこちらを見る。

 

「先生。サンクトゥムタワーの制御権を奪取しました。今は私、アロナの統制下にあります。」

 

『ありがとうアロナ!本当にいい子だねぇ。よ〜しよしよしよしよしよしよし!』

 

「うわぁ!?先生、髪の毛がグチャグチャになっちゃいますよ。」

 

『アハハ、ごめんごめんちょっとやりすぎたね。』

 

 アロナの頭から手を離して、アロナにサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会長に返還する様に伝える。アロナは最初戸惑い、先生を引き留めたが、最終的には先生の言うとおりにした。

 

「先生、全ての作業が完了しました。」

 

『うん。ありがとうアロナ。』

 

 その言葉を皮切りに、先生の視界がまた白くなっていく。その時、またあの子の声が聞こえた。

 

「おかあさんをよろしくね。」

 

 

 

 

 

 

 

——————————————————————

 

 

 

 

 

 

 

『…知らない天井だ。』

 

「ふざけてる場合ではありませんよ。先生。」

 

『わぁ、リンちゃん。おっはー。』

 

「誰がリンちゃんですか。はぁ……先生、サンクトゥムタワーの制御権の回収について本当にお疲れ様でした。」

 

 リンは先生に頭を下げて礼を言う。しかし、申し訳なさそうに顔を上げて言う。

 

「本来ならば、ここでシャーレの部室を紹介するつもりだったのですがそうも言ってられない状況です。」

 

 外での戦いであろうと先生は思った。今も良秀のお父さんが戦闘しているのだろうと。

 

「あぁ、早く行かないとな。」

 

 いつの間にか目を覚ましていた良秀が後ろに立っていた。

 

『うわぁびっくりした!良秀先生いつの間に起きてたの?』

 

「ついさっき起きただけだ。直ぐにあいつのとこに…おい待て。」

 

 良秀が止まり、先生の肩を掴む。

 

「その名前を名乗った覚えはない。」

 

 ギリッと掴む力が増す。

 

「どこでそれを知った?」

 

 良秀の赤い目がギラリと光る。先生は冷や汗が吹き出す様な感覚を覚える。適当な返答をすれば、最悪命はないと悟る。だから先生のできることは——

 

「…アラヤ。アラヤちゃんから聞いたよ。あなたのことをヨシヒデではなく、良秀と呼んで欲しいって。」

 

カランッ

 

 その時、阿頼耶識がまたひとりでに動く。何かに気づいて欲しいかの様に静かに。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

(いやその字はそう読むんじゃなくて…ヨシヒデ、って読むんだ。)

 

(りょーしゅー!)

 

(こっちのが楽でかわいいでしょ?)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 懐かしい記憶の欠片が良秀の脳裏にチラつく。その記憶の中の声、それを思い出し良秀の手が先生の肩を離れる。

 

「フン…まぁいい。さっさと行くぞ。」

 

『うん。行こう。生徒達のもとに。』

 

 

 

 

 

-シャーレのビルの外-

 

 

 

 

 

「あついぞ!」

 

 レーヴァテインが完全に解放されたマティアスと多少血に濡れたリアンが攻撃を弾きあっている。

 

「だいぶな!」

 

「結構な暑さを感じさせたいなら、攻撃を当てたらどうだ?」

 

 レーヴァテインをナイフのように使い、刺突や不意の蹴りを全てリアンは回避する。

 

「甘いぜ!」

 

 マティアスの力任せの回し蹴りがリアンの胴を捉える。

 

「やっとまともにくらったなぁ、もう1発おまけに言っとこうか!」

 

 そういうとレーヴァテインを力いっぱいにぶん投げ、壁に激突したリアンの脇腹を掠める。

 

「チッ…ダブルリングってとこか。」

 

 マティアスが蹴りの体勢のままリアンの方向に跳んでいく。蹴りはリアンに躱されてしまうが、レーヴァテインを回収する。

 

「さぁ、そろそろ1人ぶっ殺してやるとするか!」

 

 リアンが疲弊して隙ができたと思ったマティアスは、リアンの援護に徹していた生徒に牙を向ける。

 

「!?しまった。」

 

 物陰に隠れていたユウカが完全にマティアスと目が合う。その瞬間、マティアスがニッと笑う。

 

「まずは、テメェだ青髪!腹をかっ開いてやる。」

 

 その時、ユウカの顔が恐怖に歪む。感じるのは目の前に差し迫る漠然とした死の予感。

 

(こ、こんなときどうしたら……)

 

 周りがゆっくりに見える。全身の細胞が自分を生かそうと瞬時に状況を把握する様動く。ユウカの計算高い頭はフルで活動していた。そこから弾き出された1つの結論は——

 

(自分で…解決するしかない!)

 

「恐怖も痛みも全て因数分解してやるわ!」

 

 その言葉を発した瞬間、ユウカの周りに青いバリアが展開された。

 

「なんだそりゃ!?面白い能力持ってんじゃねぇか!」

 

 縦蹴りによってユウカが上に蹴り上げられる。

 

バリンッ!

 

「そんな、一撃で…!」

 

 1発の蹴りだけでバリアが完全に砕かれる。そしてそのまま——

 

「人の開きの完成だな。」

 

 ユウカの腹に橙色の剣筋が走った。しかし、マティアスは苦虫を噛み潰したような顰めっ面になる。

 

「チ…少し浅かったな。嫌なタイミングで邪魔してきやがる。」

 

 マティアスがハスミの方を睨む。ユウカに切り込む直前、ハスミはマティアスに向けて弾丸を放った。それを避けるために僅かだが、マティアスの体勢を乱すことに成功した。

 

「げほ!げほ!……はぁ、はぁ…!」

 

 ただ、ユウカも無事とは言い難い。度重なる死の予感と元々体に蓄積されていた身体的、精神的疲労が臨界を超えていた。他の生徒も疲弊しており、この状況で希望が失われつつあった。

 

その時——声が聞こえた。

 

「Neuf(ヌフ)。完了。」

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

 リアンの体の周りに黒いモヤが現れ、それがリアン自身の体へと入り込んでいく。それはまるで人の感情が爆発した様な-激怒-のように感じられる。

 

 しかし、同時に模倣のような虚しさや寂しさも感じられる様なものだった。

 

「いい加減終わらせようか。娘の帰りを無事見届けなければならないからね。」

 

 様々感情を感じたが、リアンの右目にはただ一つの決意が宿っていた。

 





だいぶ端折ったから読みにくいって思ったら感想とかで指摘してください。時間に余裕ができたら感想の返信は随時して行きます!お気に入り欄みたら、超絶猛虎殺撃乱斬がいてクソ笑った。

原作開始時の先生は?

  • 良秀、お前が1人で先生になるんだよ!
  • 良秀と男先生
  • 良秀と女先生
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