Bチーム 鎖々木 & 玉城
「っしゃー!やったるぜ!」
「おい、作戦を…」
「んなもんいるか!『暴食魂』で全部ぶっ倒してやるぜ!」
腕をぶんぶんと振り回しながらどんどんと前にいってしまう玉城に、鎖々木は頭を抱える。
そう、玉城は後先考えないタイプなのであった。
「…ちょっまっ……はァ…」
Iチーム 叶 & 照元
「どうする?」
[合わせるよ]
「わかったよ…じゃあ俺の得意で行こう。俺の個性は闇で引力を生み出せる。引き寄せて拘束すればそれで相手は戦闘不能になるはずだ。封斗くんは拘束に長けた個性、玉城くんは攻撃に特化した個性だ。個人的には封斗くんを特に警戒しておきたい。動きやすいように敵の動きの妨害を頼むよ」
コクっと叶は頷いた。
戦闘開始
「オラオラァ!」
「ちょっと待てって!」
玉城が単独で抜け、『暴食魂』がIチームに襲いかかる。
「届かないよ」
照元が生み出した闇が宙に止まり、黒い球となる。
そこに『暴食魂』が引き寄せられ、無理やり軌道を変えさせられる。
「クッソ、全部逸れちまう!コントロールが効かねェ!?」
「おい!話を聞けって…照兄の個性はお前の個性とは相性が悪いんだ!」
「なに!?はやく言えよ!!」
「言おうとしたさ!お前が聞かないからだろ!!」
(_なんか既視感が…)
「一気に決めよう!」
黒い球が蠢き、大きくなると引き寄せる力も強くなる。
周囲の車などがそこに引き寄せられていく。
「おわっ、やばい!」
玉城も身体が浮かび、黒い球に引き寄せられていく。
宙に浮かされて成す術のない玉城の身体に鎖が巻き付く。
鎖々木が片側の腕から出した鎖を電柱に、もう片方の腕から出した鎖で玉城を救助していた。
「これは勝負あったか!?」
「照元強ェ!相手になんもさせてねえ!」
盛り上がる控え室。
それを冷静に分析する爆豪が解説する。
「玉城の独断で鎖々木がカバーに動かされてんな。大抵の相手ならゴリ押しで行けるんだろうが、照元みたいな範囲攻撃と防御の手段を持っている相手には連携してかからねェとこうなる」
「Bチームは連携取れてない。このままじゃジリ貧では?」
「このままなら、ね」
緑谷も静かに見守る。
「おい、ヤベェって!」
「黙って耐えろ!もう少しで…」
「もう少しでなんだ!?」
「いいから待て!!」
追い詰められたBチーム。
焦る玉城に対して、鎖々木は待ての指示を出す。
黒い球での引き寄せを続ける照元は鎖々木の鎖の変化に気がつく__電柱に巻き付けていた腕から伸ばした鎖がゴツゴツしくなっていることに。
「_! 叶さん、警戒して!」
鎖々木は新しく背中から生み出した鎖を電柱に巻きつけなおし、隆々しく変化した腕から出した鎖で自分たちの背後のビルの2階から上を横薙ぎでへし折った。
2人の頭上をへし折られたビルの巨大な瓦礫が黒い球に向かって引き寄せられていく。
その時、ビルが遮蔽物となり、吸い込みの効果範囲から逃れた2人。
「くっ、解放ッ!」
その事を察した照元は、黒い球を消し去った。
す引き寄せて圧縮されていた空気や瓦礫。
それらが暴風と共に四方八方へと吹き飛ばされる。
「_くそっ、結局ゴリ押しかよっ!」
振り下ろした極太の鎖は跳ね返されたビルを粉砕しながら両断し、そのままその先にいる照元に襲いかかる。
照元は闇を両腕に纏ってそれを受け止める。
ぶつかった瞬間、照元の足元のコンクリートがひび割れる。
「〜〜ッ!」
かなり効いたようで、足がふらついて地面に膝をついた。
強化時間も過ぎたようで、鎖は元の太さに戻る。
そんな中で、再び感じた違和感。
そう、玉城がいない。
(どこに行った…!?)
その時、照元の上に影が差す。
「喰らえェェ!!」
上空からの『暴食魂』が照元を襲う。
『避けてッ!』
「_おわっ!?」
勝手に体が動いたことに驚く照元だったが、上空からの攻撃があったことに気づく。
「ありがとう、助かった」
叶は微笑みながら頷くと、上空の玉城に視線を向ける。
『落ちてッ!』
その声が発された瞬間、玉城の身体には重力以上の加速がかかって地面へと墜落した。
「止まって』
_ビシッ…
(_う、うご…かないッ…!?)
一瞬だったが動きを止められた鎖々木は鎖を掴まれ抵抗することができずに闇に引き込まれてしまい、Iチームの勝利となった。
──
「玉城、策もなしに独断先行か…テメェは自分の力を過信しすぎだ。課題は味方との連携と場面や敵の情報を理解することだな」
「うぐ…」
パシッと頭を軽く叩いて玉城に言った。
「大方、これまでは周りと比べて強い個性だったからっつー驕りがあんだろ。ここは雄英。プライドはあっていいが驕りは捨てろ。じゃなきゃ成長しねぇぞ」
「はい…」
その言葉を横で聞いていた緑谷は過去の自分と重ねての発言だということをなんとなく理解していたが、爆豪がグリンと顔を向け、三角目につり上がった鋭い目で牽制して来たためそっと視線を逸らした。
「鎖々木ィ!てめェはこいつの手綱しっかり握っとけ!無理ならテメェだけでも対策練って作戦立てとけ!そんでこいつを上手く使え。前半の差がそのまま今回の勝敗だ!窮地での冷静さと咄嗟の判断、機転はまあまあだ。次は勝て!」
「…はい!」
「照元、個性の使い方が一辺倒すぎる。1つだけじゃなく複数作れれば解放するヤツと引き寄せ続けるヤツでもっと幅が生まれるだろ。それと引きつける能力なら引きつけたあと仕留める力も磨いとけや」
「う…はい」
「今回は相手が上手かったが、詰めが甘ェのが浮き彫りになってンな。殺るときゃ迅速にだ」
((("やる"の漢字がなんか違う気がする…)))
「そんで叶…てめぇがもっと効果的に動けばもっと早く片付いたはずだ…お前の個性上、立ち位置は前線じゃなくて後衛。指示出しも役目の一つだ。個性だけじゃねぇ。まずは会話できなきゃなんもできねぇぞ。常時発動しっぱなしじゃねェんならそれはお前の"ここ''の問題だ」
爆豪は親指で胸をトントンと指差す。
「……っ!………」
痛いところを突かれたのか、叶は顔を逸らした。